【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1に係る構造を、
図1〜
図10を用いて説明する。この実施例1の自動車用物入れ装置Mは、前後関係では、図示しないインストルメントパネルの後側RRに配され、上下関係では、図示しない床の上側UPに配され、左右関係では、図示しない左側LHの座席と右側RHの座席との間に配されているもので、前記座席に着座する乗員の小物、例えばCD、MDなどの音響機器やティッシュペーパー、チケット、菓子類などの一時保管場所として供されるものである。
【0015】
前記自動車用物入れ装置Mは、前記小物を収納可能なるケースBと、該ケースBを覆う化粧部材Aとよりなる。前記ケースBは、左側LHのボックス部1と右側RHのボックス部2とをそれぞれのフランジ1a、2aを重ねてビス止めすることで、前記小物(図示省略)を収納可能な箱状になる。前記化粧部材Aは、前記ケースBを上側UPから覆う化粧板12と、該化粧板12の開口12aを閉じる位置(
図1参照)及び該開口12aを開成する位置(図示省略)とに移動可能なるシャッター11とよりなる。符号9は、前記シャッター11が化粧板12の開口12aを閉じた状態を保持するロック手段である。
【0016】
図1乃至4の左斜め下側矢印FR及び
図5乃至10の左側矢印FRが、共に自動車の前側方向、同じく
図1乃至4の右斜め上側矢印RR及び
図5乃至10の右側矢印RRが、共に自動車の後ろ側方向、
図5、
図7、
図9の上側矢印UPが、自動車の上側方向、
図5、
図7、
図9の下側矢印LWRが、自動車の下側方向をそれぞれ指し示している。また、側方とは、即ち自動車の左右方向LH、RHを指し示している。
【0017】
前記ケースBは、側板部1bと底板部1c
(図6、図8、図10)とよりなる左側LHのボックス部1及び該左側LHのボックス部1に対して左右対称に形成されてなる側板部2bと底板部2cとよりなる右側RHのボックス部2双方のフランジ1a,2aが合わさって、振動溶着、ビス止め等の支持手段(この実施例は、締結してなる。)により、側板部1b、2bの上端部に開口1g、2fが形成されてなる矩形の箱状をなす。箱状に形成された前記ケースBを覆う化粧部材Aの前記化粧板12の開口12aの縁部である前記ケースBの側板部1b、2bの最上端には、前記シャッター11が前側FR及び後側RRに摺動可能な開閉レール24、24’が略水平状且つ左右対称に形成されてなる。該開閉レール24、24’は、左右対称に形成されてなる。
【0018】
前記シャッター11は、
図3に示すように、合成樹脂により表面11aが平滑状に形成されてなり、裏面11d側からの切り込み11cにより表面11aに複数の薄肉部11gが形成されてなるので、前記裏面11d側が前後FR、RRに傾く時のヒンジ機能を持つことが可能となっている。前記切り込み11cにより、側面視で裏面11d側が略逆三角形に形成されることで、前記シャッター11は、巻き込まれながら収納できる。つまり、前記したように、前記裏面11d側が前後FR、RRに傾くことが可能で、前記シャッター11は曲折が可能である。前記裏面11dの切り込み11cにより形成された垂下部11fそれぞれの先端(下端と言う意味)には中空状の筒部材11eが側方、即ち自動車の左右方向LH、RHそれぞれに向けて水平状に形成されてなる。符号11bは、上下貫通孔である。
【0019】
該シャッター11の裏面11dには、合成樹脂製の第2シャッター10が配されてなり、前記中空状の筒部材11eには、側方、即ち自動車の左右方向LH、RHそれぞれに張り出すと共に移動手段
(図示省略)のガイドレール25に摺動自在に軸支されてなる円柱状のガイド軸10cが形成されてなる。該ガイド軸10cは、前後FR、RRに31個等間隔で配され、最も後側のガイド軸10c’のみその前FRのガイド軸10cとの間の寸法が大きい位置に配されている。該ガイド軸10cは、
最も後側のガイド軸10c’を含めて都合32個である。符号10bは、前記上下貫通孔11bと同じ位置に形成されてなる上下貫通孔である。符号10aは、前記第2シャッター10の表面で、裏面(図示省略)側からの切り込み10dにより表面10aが薄肉状に形成されてなるから、前記裏面側が前後FR、RRに傾くことが可能で、前記シャッター11は曲折が可能である。
【0020】
前記移動手
段は、前記ガイドレール25と、前記ガイド軸10c、10c’とよりなる。前記ガイドレール25は、前記開閉レール24、24’と、後述する可動レール体5、6と、同じく後述する収納用固定レール22とより構成されてなる。前記可動レール体5、6は、前記開閉レール24、24’の後端部24a、24’aより後側RRに棚状に配されたプレート27、27’上を前後FR、RR移動自在に配してなり、
図5に示すように、前記シャッター11が前記開口12aを閉じた状態で、前記可動レール体6の前端部6aに最も後側RRのガイド軸10c’が係合し、前記前端部6aの上側UPに表面11aの後端部11’aが載り、前記化粧板12の表面12bと、前記シャッター11の表面11aとが面一となる。
【0021】
前記可動レール体5は、前記可動レール体6に対して、左右対称に形成されてなるので、前記
最も後側のガイド軸10c’が可動レール体6に係合すると同時に可動レール体5
にも係合することになる。前記収納用固定レール22は、例えば、半径80ミリメートルの単純円弧状に形成されてなる場合、前記可動レール体6が最前位置に移動した状態での前端部6aの位置は、前記収納用固定レール22の延長線上に位置するが、前記収納用固定レール22の上端部は、前記可動レール体6の底部の位置で止まるので、
図5に示す前記可動レール体6の位置、即ち最も後退している位置が、開口12aの形成される位置となり、開口12aを大きくすることができる。尚、出願人において確認したところ、前記収納用固定レール22を半径80ミリメートル以下の単純円弧状に形成すると、前記シャッター11を摺動させる荷重が著しく大になることを確認した。
図6に示すように、前記開閉レール24、24’は、前記ケースBの左側LHのボックス部1及び右側RHのボックス部2双方の側板部1b、2bの上端部に配設されてなるもので、前記ケースBの開口12aに沿った前後方向FR、RRに略水平に延びる。前記可動レール体5、6に係合してなるリンク3、4の傾斜面3a、4a
にロック手段9のローラー14が抑え込むことで、「付勢手段」であるスプリング7、8に抗して後側RRに移動させ、該リンク3、4に係合した可動レール体5、6が最も後側RRに移動し、固定される。
【0022】
前記ロック手段9は、ロックケース13と、第1ロック体16と、第2ロック体17と、ロックアウターパネル18と、ロックインナーパネル19とより構成されてなる。前記ロックケース13は、前記シャッター11の前側FRに上下UP、LWRに形成されてなる上下貫通孔11b内を介してビス13aにより
シャッター11に固持されてなる。符号13dは、該ビス13aの下孔である。符号13eは、後述するロッド16aを軸支する貫通支持部である。前記ロックアウターパネル18の下孔18b、18bを介して前記ロックケース13の
下孔13b,13bに螺合するビス18a、18aにより前記ロックケース13に前記ロックアウターパネル18を固定する。この際、前記ロックケース13の突起13c、13cに前記ロックアウターパネル18の貫通孔18c、18cを係合することで、ビス18a、18aを締結する前に仮止めできる。符号18dは、前記ロックインナーパネル19に形成されてなるボタン19aが出没自在する開口である。前記ロックアウターパネル18と前記ロックインナーパネル19との間には、第2ロックスプリング21が介在されてなる。符号20は、前記第1ロック体16と、第2ロック体17との間に介在されてなる第1ロックスプリングである。
【0023】
前記第1ロック体16には、左右方向LH、RHに進退自在なロッド16aと、該ロッド16aの先端部に配設されてなる支持部16bと、該支持部16bに上下方向UP、LWRに軸支されてなるロックピン16cとよりなり、該ロックピン16cにより前記ローラー14が回転自在に軸支されてなる。前記第2ロック体17には、左右方向LH、RHに進退自在なロッド17a及びロッド17dと、該ロッド17aの先端部に配設されてなる支持部17bと、該支持部17bに上下方向UP、LWRに軸支されてなるロックピン17cとよりなり、該ロックピン17cによりローラー15が回転自在に軸支されてなる。
【0024】
前記スプリング7、8
の係止部7a、7b、8a、8bは、
一方の係止部7a、8aが左側のボックス部1の固定部1dと右側のボックス部2の固定部2d
に係止され、他方の係止部7b、8bが、前記リンク3、4の前側FRのフランジ3b、4bに設けた係合部3d、4d
に係止されることで懸架されて、常に前記リンク3、4を前側FRに付勢してなる。
【0025】
次に、この実施例1の作用を説明する。
【0026】
図5及び
図6は、前記シャッター11が開口12aを閉じて、ロックされた状態を示す。つまり、リンク3、4は、スプリング7、8により前側FRへ引き寄せられる力が加えられているが、ロック手段9の第1ロックスプリング20によりロッド16a、17aを介してリンク3、4の傾斜面3a、4aに加わるローラー14、15の左右方向LH、RHへの押圧力によりリンク3、4は保持される。該リンク3、4に係合した可動レール体5、6もこの位置に保持される。従って、
図5に示すように、最も後側RRのガイド軸10c’は、可動レール体5、6の前端部6aに係合しているが、可動レール体5、6は、最も後側RRの位置に保持される。シャッター11の表面11aは、化粧板12の表面12bと同一面を保持している。尚、スプリング7、8の付勢力よりも第1ロックスプリング20の付勢力の方が大きい。
【0027】
図5及び
図6に示す状態で、ロック手段9のボタン19aを第2ロックスプリング21に抗して後側RRに押し込むと、
図7及び
図8に示すように、ロック手段9のロックが解除される。つまり、
図6に示すロッド16aが
ロックケース13側に引っ込むことで、ローラー14がリンク3の傾斜面3aから外れ、
図8に示す位置に移動する。すると、スプリング7によりリンク3は前側FRに引っ張られ、該リンク3に係合した可動レール体5がプレート27上を前側FRに移動
して、プレート27から外れる。図示は省略しているが、前記したように、ロック状態を解除すると、リンク4の傾斜面4aからローラー15も外れ、スプリング8によりリンク4も前側FRに移動し、該リンク4に係合した可動レール体6もプレート27’上を前側FRに移動
して、プレート27’から外れる。従って、前記シャッター11の最も後側RRのガイド軸10c’が前記可動レール体6の前端部6aから導入部6bに移動する。この状態、つまり、ロック手段9を解除した状態でボタン19aを押圧した力を解除すると、第1ロックスプリング20の力でロッド16a、17aが張り出し、リンク3、4の傾斜面3a、4aを押し、分力でリンク3、4は、スプリング7、8に抗して後側RRへ移動させることになる。リンク3、4に係合してなる可動レール体5、6も後側RRに移動し、シャッター11の最も後側RRのガイド軸10c’も
図5に示す元の位置に戻ることになる。
【0028】
前記ロック手段9のロックを解除した状態において、
可動レール体6の導入部6bと収納用固定レール22とが合致するので、手でロックアウターパネル18を持って前記シャッター11を開成する方向、つまり、後側RRに摺動させると、
図9及び
図10に示すように、前記シャッター11の最も後側RRのガイド軸10c’が前記可動レール体6の導入部6bから収納用固定レール22に移動し、前記シャッター11は、ケースB内に収納されることになる。この時、ロッド16a、17aは
、第1ロックスプリング20により、外側への付勢力が働いているが、ロッド16a、17aの先端部に支持されているローラー14、15
が、左右のボックス部1、2の側板部1b、2bの内面1b’、2b’を回転して移動するので、スムーズな移動を可能としている。この時、リンク3、4は、スプリング7、8により前側FRに引き寄せられたまま保持されているし、該リンク3、4に係合されてなる可動レール体5、6も、最も前側FRに保持されてなるので、
収納用固定レール22に次々に係合されるガイド軸10cもスムーズに移動していくことになる。また、前記シャッター11は、薄肉部11gにより前後FR、RRに合成樹脂により一体に形成されていることで、
図1及び
図5に示すように、前側FRから後側RRまで一様な平面状をなす形状から、
図9に一部示すように、後側RRのみが曲折状をなす形状、そして、収納用固定レール22に沿って摺動する際に、収納用固定レール22の形状に従って円弧状に曲折されることになる。
【0029】
以上のように、小物を収納可能なる収納部1h、2hを備え且つ一方の面である上側に前記収納部1h、2hに連通した開口1g、2fを有するケースBと、該ケースBの開口1g、2fを閉成する位置及び前記ケースBの開口1g、2fを開成すると共に前記ケースB内に収納される位置間を
移動手段により摺動自在なるシャッター11とより少なくとも構成されてなり、前記シャッター11が閉成した状態では、前記シャッター11の表面11aと前記ケースBの開口1g、2fが形成されてなる
表面12bとが略同一面となり、前記
移動手段は、前記シャッター11を摺動する方向に案内可能且つ前記ケースBに形成されてなるガイドレール25と、該ガイドレール25に沿って曲折可能且つ前記シャッター11の外方に張り出してなると共に前記ガイドレール25に摺動自在に軸支されてなるガイド軸10c、10c’とより構成されてなるため、前記
移動手段を備えてなるにもかかわらず、前記シャッター11が前記ケースBの開口1g、2fを閉成している状態で、実施例的には、前記ケースBの開口1g、2fが形成されている化粧板12の表面12bと前記シャッター11の表面11aとが略同一面になるという効果を奏する。
【0030】
また、前記ガイドレール25は、前記シャッター11が、実施例的には前記ケースBの開口1g、2fであり、発明的には化粧板12の開口12aを開閉する際に、前記開口1g、2fと平行に導く開閉レール24、24’と、前記ケースBの下方に前記シャッター11を案内可能な収納用固定レール22と、該収納用固定レール22の上部に配されて
、ロック手段9のロックを解除することで、前記シャッター11のガイド軸10c、10c’を前記収納用固定レール22に
導入可能な位置に移動可能なる可動レール体5、6とより構成されてなるため、前記シャッター11の閉成時には、前記シャッター11のガイド軸10c、10c’と前記可動レール体5、6とが前後離間した位置にあり、収納用固定レール22に案内されない状態にある。そして、前記シャッター11のロック解除時には、前記シャッター11のガイド軸10c、10c’と前記可動レール体5、6とが前後連結した
位置に可動レール体5、6が移動するので、収納用固定レール22に案内
可能な状態にあって、摺動自在である、という効果を奏する。
【0031】
更に、前記可動レール体5、6は、前記ケースB
に前後動可能なると共に常時前側に付勢されてなるリンク3、4に係合されてなり、前記シャッター11の閉成ロック時には前記付勢力に抗して前記
可動レール体5、6が移動して前記ガイド軸10c、10c’
を前記収納用固定レール22に案内できない位置に保持してなるため、前記シャッター11のロックを解除すると、常時スプリング7、8により、前記リンク3、4は前記可動レール体5、6を収納用固定レール22に案内可能位置に移動するので、前記シャッター11開成の邪魔にならず、スムーズな開成を可能とする、という効果を奏する。