(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728251
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】長尺状ワークピースの研削方法
(51)【国際特許分類】
B24B 55/02 20060101AFI20150514BHJP
B24B 7/02 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
B24B55/02 B
B24B7/02
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-45043(P2011-45043)
(22)【出願日】2011年3月2日
(65)【公開番号】特開2012-179686(P2012-179686A)
(43)【公開日】2012年9月20日
【審査請求日】2014年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】391011102
【氏名又は名称】株式会社岡本工作機械製作所
(72)【発明者】
【氏名】重水 純一郎
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−086358(JP,A)
【文献】
特開2002−307302(JP,A)
【文献】
特開2001−001241(JP,A)
【文献】
特開2005−199411(JP,A)
【文献】
特開2006−315088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 55/02
B24B 5/00 − 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a).機枠上に左右方向に設けられた案内レール上を左右方向に往復移動できるように設けられたワークテーブル、
b).前記ワークテーブルの左右移動幅の長さより長い長さのクーラント液供給管一対に噴出口を多数設けたクーラント液供給管一対を前記ワークテーブルの前後の機枠に取り付けたワーク表面クーラント液供給機構、
c).コラムに上下昇降可能に取り付けた砥石軸に軸承されたダイヤモンド砥石車、
d).前記ダイヤモンド砥石車の近傍に設けられ、ダイヤモンド砥石車とワークとが接する加工点に研削液を供給する研削液供給ノズル、
を備える研削装置を用い、
前記ワークテーブル上の電磁チャック上面にワークを固定し、ワークテーブルを左右方向に往復反転移動させ
前記一対のワーク表面クーラント液供給機構の多数の噴出口よりクーラント液を前記ワークおよび電磁チャック上面および側面に供給して前記電磁チャック上表面全域に亘ってクーラント液膜を形成させるとともに、前記研削液供給ノズルより前記ダイヤモンド砥石車に向けて研削液を供給し、
回転する前記ダイヤモンド砥石車を下降させて前記左右方向に往復反転移動するワークテーブル上に固定されたワーク表面に当接させてワーク表面の研削加工を開始し、前記ワークとダイヤモンド砥石車の相対的な動きによりダイヤモンド砥石車でワーク表面を研削加工する長尺状ワークピースの研削方法において、
長尺状ワークピースの研削ステージを取り代量1.5〜15μmの粗研削ステージと取り代量0.05〜1.0μmの仕上げ研削ステージとに分け、粗研削ステージでは砥番800〜1,500番のダイヤモンド砥石車を用い、ダイヤモンド砥石車の周速度を150〜380m/分として平面研削加工を行い、仕上げ研削ステージでは砥番2,000〜3,000番のダイヤモンド砥石車を用い、ダイヤモンド砥石車の周速度を20〜40m/分として平面仕上げ研削加工を行うことを特徴とする、長尺状ワークピースの研削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルム成形用T−ダイ、溶工用T―ダイ、液体カーテン幕形成T−ダイなどの長さが5〜10mと長い長尺状ワークピースを砥石車、平研削砥石(PCD砥石、カップホイール砥石、ピッチポリィシャーなどの研削(研磨)工具を用い、平坦で反りの小さい長尺状ワークピースに研削加工する方法に係る。
【背景技術】
【0002】
長尺状ワークピースの表面をピッチポリィシャーで一方向研削加工して工具軌跡島模様の無いT−ダイに機械加工することは知られている。
【0003】
例えば、特開2006−7373号公報(特許文献1)は、
図2に示すフレーム6上に設けられたワークテーブル4、研磨ヘッド10のスピンドル軸の下端に軸承された研磨工具保持板、該研磨工具保持板表面に貼付されたピッチ研磨工具3、該ピッチ研磨工具を軸承する前記スピンドル軸の回転駆動装置、左右移動駆動装置ならびに昇降装置、および、前記ワークテーブル上に載置されたワーク面とこれに対向する前記ピッチ研磨工具面間に研磨剤を供給する研磨剤供給ノズル、ドレッサ12、数値制御装置8を備えるピッチ研磨装置100を提案する。
【0004】
このピッチ研磨装置を用い、フレーム6上に設けられたワークテーブル6に固定された金属メッキブロック材(ワーク)表面に、スピンドル軸の下端に軸承された研磨工具保持板に貼付されたピッチ研磨工具3のピッチ面を押圧し、ワーク表面とこれに対向する前記ピッチ研磨工具面間に研磨剤を供給しながらピッチ研磨工具を回転させながら一方向に移動させ、ワークの一方向ピッチ研磨を行い、ワークに残っていた砥石車縞跡を消滅させるとともに、砥石車を利用した精密研削装置を用いて精密研磨されたワークと比較して表面粗さの値が1/4〜1/6倍と小さくなったより優れた研磨鏡面を呈現させることができる。
【0005】
また、上記ピッチ研磨工具に代えて、特開2006−315088号公報(特許文献2)は、円盤状基台の一方の表面に、直径5〜20mm、高さ1〜10mmの円板状ダイヤモンド焼結体ペレットの複数を隣接するペレット間の距離を少なくとも3mm以上離して同心円上に等間隔に複数設けたディスク状研削砥石であって、前記円板状ダイヤモンド焼結体ペレットは、平均粒径1〜6μm、JIS粒度2,500〜8,000番のダイヤモンド粒子を樹脂バインダーで結合し、ペレット状に成型したものを焼結して得たダイヤモンド焼結体ペレットで形成されているPCDペレット研削砥石を用い、これをスピンドル軸にPCDペレット層が下面を向くように取り付け、研削装置のワークテーブル上に載置された超硬合金製ワークの表面に研削剤を供給しつつ、前記スピンドル軸回りに回転するPCDペレット研削砥石のPCDペレットをワーク表面に押圧し、PCDペレットの一方向への送りをかけながらワークを切り込むことにより超硬合金ワーク表面を研削加工する方法を提案する。
【0006】
本願特許出願人は、特開2006−102867号公報(特許文献3)にて
図3に示すフレーム(機枠)6上に左右方向に往復移動可能に設けられたワークテーブル4を案内するスライド本体とガイド本体よりなる油静圧直動案内装置、前記ワークテーブル4に直交して設けられた前後方向に往復移動可能なサドル7を案内する油静圧直動案内装置、数値制御装置8、前記サドル7上に起立して固定されたコラム9、該コラムに砥石車3を軸承する砥石軸を備える砥石ヘッド10を固定した滑走体を上下方向に昇降させる油静圧直動案内装置、および、砥石車回転駆動機構を備える精密平面研削装置100を提案した。
【0007】
上記特許文献3に記載の超精密平面研削装置100を用いて左右長さ4250mm、前後幅800mm寸法のワークを平面研削加工したワークの前後方向の真直度は0.3μm、左右方向の真直度は1.3μmと小さいもので、長尺状ワークピースの精密研削加工に適する超精密平面研削装置と言える。
【0008】
上記特許文献1に記載のピッチ研磨装置、特許文献2に記載の平面研磨装置および特許文献3に記載の平面記載装置は、長尺状ワークピースの左右方向の長さが5000mm程度のものなら反りのない鏡面を有する研削(研磨)加工されたワークピースを与えるが、長さが7000〜12000mmと長尺のワークピースでは、ワークに反りが生じ、左右の長手方向の真直度が1.3〜2.5μmと前後方向の真直度0.1〜0.3μmと比較して大きい値を示す原因は、工具直径が250〜360mm径、または砥石車の直径が200〜360mm径、砥石車幅が25〜60mm幅では、工具とワークピースが接する加工点に供給される研削液の量では、研削作用点から遠く離れているワークピース部分の表面がワークテーブルの左右往復反転移動する間に乾燥してしまうことが原因で機械加工中のワークピースの表面温度が一定していないことに起因すると推量した。
【0009】
本願特許出願人は、特願2011−030387号明細書(特許文献4)にて
図1に示すワークおよびテーブルを冷却する冷却水噴出ノズルを、超精密平面研削盤“UPG”(商品名)(株式会社岡本工作機械製作所のカタログ「超精密平面研削盤“UPG Series”」、2007年4月印刷)に付属させ、
a)機枠上に左右方向に設けられた案内レール上を左右方向に往復移動できるように設けられたワークテーブル、
b)噴出口を多数設けたクーラント液供給管1対を前記ワークテーブルの前後の機枠に取り付けたワーク表面クーラント液供給機構、
c)コラムに上下昇降可能に取り付けた工具軸に軸承された砥石車、
d)前記砥石車の近傍に設けられ、砥石車とワークとが接する加工点に研削液を供給する研削液供給ノズル、
を備える平面研削装置を用い、
前記ワークテーブル上にワークを固定し、ワークテーブルを左右方向に往復反転移動させ
前記一対のワーク表面クーラント液供給機構よりクーラント液を前記ワーク表面に供給してワーク表面全域にクーラント液膜を形成させるとともに、前記研削液供給ノズルより前記研削工具に向けて研削液を供給し、
150〜380m/分の周速度で回転する前記砥石車を下降させて前記左右方向に6〜10m/分の速度で往復反転移動するワークテーブル上に固定されたワーク表面に当接させてワーク表面の研削加工を開始し、
前記ワークと砥石車の相対的な動きにより砥石車でワーク表面を研削加工する、長尺状ワークピースの研削方法を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−7373号公報
【特許文献2】特開2006−315088号公報
【特許文献3】特開2006−102867号公報
【特許文献4】特願2011−030387号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】岡本工作機械製作所のカタログ「超精密平面研削盤“UPG Series”」、2007年4月頒布
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献4記載の平面研削方法は、研削加工中において、常時、ワークテーブル表面全域にクーラント液膜が形成され、ワークテーブルの温度を一定に保つことができるので、反りの小さい、ワークの前後方向の真直度が0.3μm、ワークの左右方向の真直度が0.6μmの研削加工ワークを得ることができた。
【0013】
本願発明者は、真直度の値が0.1μm前後とさらに小さい加工ワークを得るには、最終研削ステージにおいて、砥番が2,000〜3,000番と砥粒径が小さいダイヤモンド砥石車を用い、ダイヤモンド砥石車の周速度を20〜40m/分程度に小さくすれば可能であると想到した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1は、
a).機枠上に左右方向に設けられた案内レール上を左右方向に往復移動できるように設けられたワークテーブル、
b).
前記ワークテーブルの左右移動幅の長さより長い長さのクーラント液供給管一対に噴出口を多数設けたクーラント液供給管一対を前記ワークテーブルの前後の機枠に取り付けたワーク表面クーラント液供給機構、
c).コラムに上下昇降可能に取り付けた砥石軸に軸承されたダイヤモンド砥石車、
d).前記ダイヤモンド砥石車の近傍に設けられ、ダイヤモンド砥石車とワークとが接する加工点に研削液を供給する研削液供給ノズル、
を備える研削装置を用い、
前記ワークテーブル上
の電磁チャック上面にワークを固定し、ワークテーブルを左右方向に往復反転移動させ
前記一対のワーク表面クーラント液供給機構
の多数の噴出口よりクーラント液を前記ワーク
および電磁チャック上面および側面に供給して
前記電磁チャック上表面全域に亘ってクーラント液膜を形成させるとともに、前記研削液供給ノズルより前記ダイヤモンド砥石車に向けて研削液を供給し、
回転する前記ダイヤモンド砥石車を下降させて前記左右方向に往復反転移動するワークテーブル上に固定されたワーク表面に当接させてワーク表面の研削加工を開始し、前記ワークとダイヤモンド砥石車の相対的な動きによりダイヤモンド砥石車でワーク表面を研削加工する長尺状ワークピースの研削方法において、
長尺状ワークピースの研削ステージを取り代量1.5〜15μmの粗研削ステージと取り代量0.05〜1.0μmの仕上げ研削ステージとに分け、粗研削ステージでは砥番800〜1,500番のダイヤモンド砥石車を用い、ダイヤモンド砥石車の周速度を150〜380m/分として平面研削加工を行い、仕上げ研削ステージでは砥番2,000〜3,000番のダイヤモンド砥石車を用い、ダイヤモンド砥石車の周速度を20〜40m/分として平面仕上げ研削加工を行うことを特徴とする、長尺状ワークピースの研削方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
研削加工中において、常時、ワークテーブル表面全域にクーラント液膜が形成され、ワークテーブルの温度を一定に保つことができるので、反りの小さい、真直度のバラツキが小さい研削加工ワークを製作することができる。また、仕上げ研削ステージでの砥石車の回転周速度を粗研削ステージの砥石車の周速度150〜380m/分の約1/10〜1/15程度の低速で行うのでRxが0.01μm前後、Ryが0.09〜0.12μmの鏡面を有する加工ワークを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1はワーク表面全域にクーラント液膜を形成させている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施する研削装置は、研削装置が噴出口を多数設けたクーラント液供給管1対20a,20bを前記ワークテーブルの前後の機枠に取り付けたワーク表面クーラント液供給機構20を備える点を除いては、前記特許文献1、特許文献2、特許文献3記載および既知のコラム式、サドル式、門型の平面研削装置100が使用できる。
【0018】
砥石車3としては、粗研削ステージでは砥番800〜1,500番のダイヤモンド砥石車を用い、ダイヤモンド砥石車の周速度を150〜380m/分として平面研削加工を行う。仕上げ研削ステージでは砥番2,000〜3,000番のダイヤモンド砥石車を用い、ダイヤモンド砥石車の周速度を20〜40m/分として平面仕上げ研削加工を行う。
【0019】
図1において、ワーク表面クーラント液供給機構20は、孔径2〜5mmの噴出口20dを30cm間隔に多数設けた口径8〜15mmのクーラント液供給管一対20a,20bを前記ワークテーブル4の前後の機枠2に取り付けており、クーラント液供給管20a,20bの長さは、ワークテーブル4の左右移動幅より10〜20cm若干長い長さとなっている。前記クーラント液供給管一対20a,20bの先端は分岐管20cに結合され、この分岐管にクーラント液タンクからポンプでクーラント液が供給され、噴出口20dより噴流20eがワークwおよび電磁チャック13上面および側面に供給される。この噴出口20dのクーラント液供給管上での穿孔位置は、噴出口より10〜250リットル/分の割合で噴流されるクーラント液がワークテーブル4上の電磁チャック13表面に届くように設けられ、供給されたクーラント液がワークテーブル4の左右移動により電磁チャック13上表面全域に亘って液膜を形成するとともに、ワークテーブル4上にも垂下、もしくはワークテーブル4にもクーラント液の噴流20eがかかって電磁チャック13を冷却する。更に、ワークテーブル4をも冷却する。
【0020】
ダイヤモンド砥石車3の近傍には、ダイヤモンド砥石車3とワークwとが接する加工点に研削液を供給する研削液供給ノズル11が設けられ、研削液(クーラント液)が2〜30リットル/分の割合で供給される。
【0021】
クーラント液、研削液はそれぞれ別のクーラント液タンクに貯蔵され、それらの保管温度は、コラム9やワークテーブル4、電磁チャックを冷却するクーラント液と略同一温度に保たてられる。
【実施例】
【0022】
実施例1
コラム型超精密平面研削盤“UPG12000”(商品名)のワークテーブル4の前後の機枠6に、孔径4mmの噴出口を30cm間隔に多数設けた口径12mm、長さ12050mmのクーラント液供給管一対20a,20bを取り付け、これらクーラント液供給管の一方の端を分岐管に連結し、分岐管の先をクーラント液タンクに臨ませ、ポンプによりクーラント液を分岐管に供給できる構造とした。
【0023】
研削砥石3として、砥石径300mm、砥石幅50mmの砥番1,000の粗研削ダイヤモンド砥石車または砥番2,000の仕上げ研削ダイヤモンド砥石車を用い、前後幅150mm、左右長さ2500mm、高さ40mm寸法のワークwをワークテーブル4上の電磁チャック13を介して固定した。
【0024】
前記ワークテーブル4を9m/分の速度で左右方向に往復反転移動させ、前記一対のワーク表面クーラント液供給機構20よりクーラント液を1つの噴出孔より40リットル/分の割合で前記磁気チャック上に固定されるワーク表面上に供給してワーク表面全域にクーラント液膜を形成させるとともに、前記研削液供給ノズル11より前記砥番1,000の砥石車3に向けて10リットル/分量の研削液を供給した。
【0025】
370m/分の周速度(v)で回転する前記砥石車3を0.5μmの切り込み量で下降させて左右方向に9m/分テーブル速度で往復反転移動、前後送り速度10mm/分で前後移動するワークテーブル4上の磁気チャックに固定された前記ワーク表面に砥石車3を当接させてワーク表面の研削加工を開始した。
【0026】
前記ワークwと砥石車3の相対的な動き(前後、左右、上下)により砥石車3でワーク表面を粗研削加工し、15.0μm総取り代量削り取り、ワークの前後方向の真直度が0.3μm、ワークの左右方向の真直度が0.6μmの粗研削加工ワークを得た。
【0027】
ついで、砥石車を砥番2,000の仕上げ研削ダイヤモンド砥石車に取り替え、上記粗研削加工ワークの研削加工条件を、砥石車の切り込み量0.1μm、総取り代量0.5μm、仕上げ研削ダイヤモンド砥石車の周速度(v)34m/分、ワークテーブル4の左右方向移動テーブル速度6m/分、ワークテーブル4の前後送り速度0.4mm/分と変更する他は同様にして仕上げ研削加工を行い、Rxが0.098〜0.10μm、Ryが0.12〜0.16μmの鏡面を呈する仕上げ研削加工ワークを得た。
【0028】
実施例2
コラム型超精密平面研削盤“UPG12000”(商品名)のワークテーブル4の前後の機枠6に、孔径4mmの噴出口を30cm間隔に多数設けた口径12mm、長さ12050mmのクーラント液供給管一対20a,20bを取り付け、これらクーラント液供給管の一方の端を分岐管に連結し、分岐管の先をクーラント液タンクに臨ませ、ポンプによりクーラント液を分岐管に供給できる構造とした。
【0029】
研削砥石3として、砥石径300mm、砥石幅50mmの砥番1,000の粗研削ダイヤモンド砥石車、砥番1,500の中仕上げ研削ダイヤモンド砥石車、または、砥番3,000の仕上げ研削ダイヤモンド砥石車を用い、前後幅150mm、左右長さ2500mm、高さ40mm寸法のワークwをワークテーブル4上の電磁チャック13を介して固定した。
【0030】
前記ワークテーブル4を9m/分の速度で左右方向に往復反転移動させ、前記一対のワーク表面クーラント液供給機構20よりクーラント液を1つの噴出孔より40リットル/分の割合で前記磁気チャック上に固定されたワーク表面上に供給してワーク表面全域にクーラント液膜を形成させるとともに、前記研削液供給ノズル11より前記砥番1,000の砥石車3に向けて10リットル/分量の研削液を供給した。
【0031】
370m/分の周速度(v)で回転する前記砥石車3を1.0μmの切り込み量で下降させて左右方向に9m/分テーブル速度で往復反転移動、前後送り速度10mm/分で前後移動するワークテーブル4上の磁気チャックに固定された前記ワーク表面に砥石車3を当接させてワーク表面の研削加工を開始した。
【0032】
前記ワークwと砥石車3の相対的な動き(前後、左右、上下)により砥石車3でワーク表面を粗研削加工し、12.0μm総取り代量削り取り、ワークの前後方向の真直度が0.36μm、ワークの左右方向の真直度が0.68μmの粗研削加工ワークを得た。
【0033】
ついで、砥石車を砥番1,500の中仕上げ研削ダイヤモンド砥石車に取り替え、上記粗研削加工ワークの研削加工条件を、砥石車の切り込み量0.2μm、総取り代量2.0μm、中仕上げ研削ダイヤモンド砥石車の周速度(v)80m/分、ワークテーブル4の左右方向移動テーブル速度6m/分、ワークテーブル4の前後送り速度0.4mm/分と変更する外は同様にして中仕上げ研削加工を行い、Rxが0.010〜0.012μm、Ryが0.14〜0.18μmの鏡面を呈する中仕上げ研削加工ワークを得た。
【0034】
続いて、砥石車を砥番3,000の仕上げ研削ダイヤモンド砥石車に取り替え、上記中仕上げ研削加工ワークの研削加工条件を、砥石車の切り込み量0.1μm、総取り代量0.5μm、仕上げ研削ダイヤモンド砥石車の周速度(v)34m/分、ワークテーブル4の左右方向移動テーブル速度6m/分、ワークテーブル4の前後送り速度0.4mm/分と変更する外は同様にして仕上げ研削加工を行い、Rxが0.009〜0.010μm、Ryが0.09〜0.12μmの鏡面を呈する仕上げ研削加工ワークを得た。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の長尺状ワークピースの研削方法は、反りが小さく、鏡面研磨されたT−ダイを製造できる。
【符号の説明】
【0036】
100 平面研削装置
w ワーク
3 砥石車
4 ワークテーブル
5 作業ステージ
6 機枠
7 サドル
9 コラム
10 研削ヘッド
11 研削液供給ノズル
13 磁気チャック
20a,20b クーラント液供給管