(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の加入者側終端装置と局側終端装置とを光カプラを介在させて接続して通信を行うPONシステムにおいて、前記加入者側終端装置に対して通信帯域を割り当てる動的通信帯域割当方法であって、
前記局側終端装置が、前記加入者側終端装置から当該加入者側終端装置が通信に要する帯域幅である要求帯域幅を受信する第1工程と、
前記加入者側終端装置毎に予め定められたサービスレベルパラメータの比率に従い、利用可能通信帯域幅を前記加入者側終端装置毎の第1割当帯域幅として算出し、当該第1割当帯域幅と前記要求帯域幅との比較を行い、前記第1割当帯域幅が前記要求帯域幅以上の場合には、当該要求帯域幅を前記加入者側終端装置に割り当て、前記第1割当帯域幅が前記要求帯域幅未満の場合には、前記第1割当帯域幅を前記加入者側終端装置に割り当てる第2工程と、
前記利用可能通信帯域幅から前記第2工程で割り当てられた帯域幅の総和を差し引くことで更新された更新利用可能通信帯域幅を取得し、前記要求帯域幅から前記第2工程で割り当てられた帯域幅を差し引くことで更新された更新要求帯域幅を取得し、前記更新利用可能通信帯域幅を前記更新要求帯域幅の比率に従う第2割当帯域幅として前記加入者側終端装置毎に、前記更新利用可能通信帯域幅の余りを発生させることなく割り当てる第3工程と
を有することを特徴とする動的通信帯域割当方法。
前記第3工程では、前記第2割当帯域幅と前記更新要求帯域幅との比較を行い、前記第2割当帯域幅が前記更新要求帯域幅以上の場合には、当該更新要求帯域幅を前記加入者側終端装置に割り当て、前記第2割当帯域幅が前記更新要求帯域幅未満の場合には、前記第2割当帯域幅を前記加入者側終端装置に割り当てることを特徴とする請求項1又は2に記載の動的通信帯域割当方法。
複数の加入者側終端装置と局側終端装置とを光カプラを介在させて接続して通信を行うPONシステムにおいて、前記加入者側終端装置に対して通信帯域を割り当てる動的通信帯域割当プログラムであって、
前記局側終端装置を、
前記加入者側終端装置から当該加入者側終端装置が通信に要する帯域幅である要求帯域幅を受信する制御信号読取生成手段と、
前記加入者側終端装置毎に予め定められたサービスレベルパラメータの比率に従い、利用可能通信帯域幅を前記加入者側終端装置毎の第1割当帯域幅として算出し、当該第1割当帯域幅と前記要求帯域幅との比較を行い、前記第1割当帯域幅が前記要求帯域幅以上の場合には、当該要求帯域幅を前記加入者側終端装置に割り当て、前記第1割当帯域幅が前記要求帯域幅未満の場合には、前記第1割当帯域幅を前記加入者側終端装置に割り当てる第1計算手段と、
前記利用可能通信帯域幅から前記第1計算手段で割り当てられた帯域幅の総和を差し引くことで更新された更新利用可能通信帯域幅を取得し、前記要求帯域幅から前記第1計算手段で割り当てられた帯域幅を差し引くことで更新された更新要求帯域幅を取得し、前記更新利用可能通信帯域幅を前記更新要求帯域幅の比率に従う第2割当帯域幅として前記加入者側終端装置毎に、前記更新利用可能通信帯域幅の余りを発生させることなく割り当てる第2計算手段として機能させる
ことを特徴とする動的通信帯域割当プログラム。
前記加入者側終端装置毎に予め定められた固定帯域を割り当てるとともに、該固定帯域の総和を算出し、利用可能な全ての通信帯域幅から当該固定帯域の総和を差し引いた値を利用可能通信帯域幅とするとともに、
前記要求帯域幅から前記固定帯域を前記加入者側終端装置毎に差し引いて当該要求帯域幅を更新する予備計算手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の動的通信帯域割当プログラム。
前記第2計算手段は、前記第2割当帯域幅と前記更新要求帯域幅との比較を行い、前記第2割当帯域幅が前記更新要求帯域幅以上の場合には、当該更新要求帯域幅を前記加入者側終端装置に割り当て、前記第2割当帯域幅が前記更新要求帯域幅未満の場合には、前記第2割当帯域幅を前記加入者側終端装置に割り当てることを特徴とする請求項5又は6に記載の動的通信帯域割当プログラム。
前記サービスレベルパラメータが最低保証帯域又は最大割当帯域のどちらか一方であることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の動的通信帯域割当プログラム。
複数の加入者側終端装置と局側終端装置とを光カプラを介在させて接続して通信を行うとともに、前記加入者側終端装置に対して通信帯域を割り当てるPONシステムであって、
前記局側終端装置が制御信号読取生成手段と上り帯域割当手段とを有しており、
前記制御信号読取生成手段が、前記加入者側終端装置から当該加入者側終端装置が通信に要する帯域幅である要求帯域幅を受信し、
前記上り帯域割当手段が、
前記加入者側終端装置毎に予め定められたサービスレベルパラメータの比率に従い、利用可能通信帯域幅を前記加入者側終端装置毎の第1割当帯域幅として算出し、当該第1割当帯域幅と前記要求帯域幅との比較を行い、前記第1割当帯域幅が前記要求帯域幅以上の場合には、当該要求帯域幅を前記加入者側終端装置に割り当て、前記第1割当帯域幅が前記要求帯域幅未満の場合には、前記第1割当帯域幅を前記加入者側終端装置に割り当てる第1計算部と、
前記利用可能通信帯域幅から前記第1計算部で割り当てられた帯域幅の総和を差し引くことで更新された更新利用可能通信帯域幅を取得し、前記要求帯域幅から前記第1計算部で割り当てられた帯域幅を差し引くことで更新された更新要求帯域幅を取得し、前記更新利用可能通信帯域幅を前記更新要求帯域幅の比率に従う第2割当帯域幅として前記加入者側終端装置毎に、前記更新利用可能通信帯域幅の余りを発生させることなく割り当てる第2計算部と
を有していることを特徴とするPONシステム。
前記第2計算部は、前記第2割当帯域幅と前記更新要求帯域幅との比較を行い、前記第2割当帯域幅が前記更新要求帯域幅以上の場合には、当該更新要求帯域幅を前記加入者側終端装置に割り当て、前記第2割当帯域幅が前記更新要求帯域幅未満の場合には、前記第2割当帯域幅を前記加入者側終端装置に割り当てることを特徴とする請求項9又は10に記載のPONシステム。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。なお、各図において各構成要素の形状、大きさ及び配置関係について、この発明が理解できる程度に概略的に示してある。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。また、各図において、共通する構成要素には同符号を付し、その説明を省略することもある。
【0034】
(GE−PONシステム)
図1は、PONシステムの実施形態の一例として、GE−PONシステムの構成を概略的に示す模式図である。まず、
図1を参照して、GE−PONシステムについて説明する。
【0035】
GE−PONシステム10は、1台の局側端末12(以下、単に「OLT12」と称する。)と、複数台の加入者側端末14
1〜14
N(以下、単に「ONU14
1〜14
N」と称する。)と、光カプラ16と、光ファイバ18とを備えている。
【0036】
OLT12は、通信基地局内に備えられており、インターネット等の上位ネットワークNWからの通信データを光信号に変換して、ONU14
1〜14
Nに送信する。また、OLT12は、ONU14
1〜14
Nから受信した通信データとしての光信号を電気信号に変換して上位ネットワークNWに送信する。
【0037】
ONU14
1〜14
Nは、サービス利用者(以下、単に「ユーザ」とも称する。)の宅内に設置されていて、インターフェースを介して、パーソナルコンピュータ等のユーザ装置PCや、LANなどに接続されている。ONU14
1〜14
Nは、ユーザ装置PCから入力されたデータを光信号に変換して、OLT12に送信する(上り通信)。また、ONU14
1〜14
Nは、OLT12から送られた光信号(下り通信)を電気信号に変換して、ユーザ装置PCに送信する。
【0038】
特に、ONU14
1〜14
NがOLT12に対して上り通信を行うに当たっては、OLT12から通信帯域の割り当てを受ける必要がある。上り通信帯域は、トラフィックの状況に関わらず必ず割り当てられる最低保証帯域と、ONU14
1〜14
Nの通信状況により割当量を変化させるベストエフォート帯域とに分けられる。
【0039】
ベストエフォート帯域を割り当てるに当たっては、ONU14
1〜14
Nは、OLT12に対して自らが必要とする通信帯域幅を要求帯域幅Q
1〜Q
Nとして要求する。
【0040】
OLT12は、配下の全ONU14
1〜14
Nから要求帯域幅を受信すると、後述する動的通信帯域割当方法に従い、各ONU14
1〜14
Nに対して割り当てる割当帯域幅を求める。そして、OLT12は、求めた割当帯域幅を各ONU14
1〜14
Nに対して送信する。割当帯域幅を受信した各ONU14
1〜14
Nは、この帯域幅で上り通信を行う。
【0041】
また、ONU14
1〜14
Nを所持する各ユーザは、OLTを所持する通信事業者との間でサービスレベル契約を結んでおり、例えば、上り通信時にONUに割り当てられる最大割当帯域等のSLAパラメータがユーザ毎に定められている。通信事業者は、通信にあたり、このSLAパラメータの比率を尊重した通信帯域を各ONU14
1〜14
Nに割り当てることが重要である。つまり、SLAパラメータの大小により通信速度に差をつけることが重要である。
【0042】
再び
図1に戻ると、光ファイバ18は、OLT12から光カプラ16までを接続する幹線18
0と、光カプラ16から各ONU14
1〜14
Nまでを接続する支線18
1〜18
Nとを備えている。光ファイバ18は、1芯のシングルモード光ファイバであり、単一の伝播モードの光信号を伝送する。光ファイバ18を介して伝送される光信号は、OLT12からONU14
1〜14
Nに送られる下り光信号と、ONU14
1〜14
NからOLT12に送られる上り光信号とで異なる波長を用いた、いわゆる波長多重方式で伝送される。
【0043】
光カプラ16は、光ファイバ18の幹線18
0と支線18
1〜18
Nとの分岐点に設けられる。光カプラ16は、上述した下り光信号をONU14
1〜14
N毎に分波するとともに、ONU14
1〜14
Nから送信される上り光信号を合波してOLT12に向けて伝送する機能を有する。光カプラ16は、外部からの給電が必要なく、入力された上り光信号及び下り光信号を受動的に合分波する。
【0044】
(OLT)
続いて、
図2を参照して、OLT12の構成について説明する。
図2は、OLT12のハードウエア的な構成及び機能的な構成を示すブロック図である。なお、OLT12は、局側制御部28の構成を除いては従来周知の構成にできるので、OLT12の機能ブロックの図示を一部省略している。
【0045】
OLT12は、インターフェース変換部20と、下り信号送信部22と、光合分波器24と、上り信号受信部26と、局側制御部28とを含んでいる。
【0046】
上り信号受信部26は、ONU14
1〜14
Nから受信した上り光信号を光−電気変換して上り電気信号を得る。そして、この上り電気信号を上り制御信号と上りデータ信号とに分離して、上り制御信号は局側制御部28に向けて出力し、上りデータ信号はインターフェース変換部20に向けて出力する。
【0047】
インターフェース変換部20は、上位ネットワークNWとの通信プロトコル処理を行う装置である。より詳細には、インターフェース変換部20は、下り信号送信部22に対して上位ネットワークNWからの下りデータ信号を出力する。また、インターフェース変換部20には、上り信号受信部26から上りデータ信号が入力され、この上りデータ信号を上位ネットワークNWに出力する。
【0048】
局側制御部28は、上り制御信号の受信に応答して下り制御信号を生成して下り信号送信部22に対して出力する。
【0049】
下り信号送信部22は、インターフェース変換部20から送られてきた下りデータ信号、及び局側制御部28から送られてきた下り制御信号を時間多重して下り電気信号を生成する。さらに、下り信号送信部22は、この下り電気信号を電気−光変換して下り光信号を生成し、光合分波器24を介して、ONU14
1〜14
Nに向けて送信する。
【0050】
光合分波器24は、下り光信号と上り光信号とを合波及び分波する。一般に、上り光信号と下り光信号の中心波長は異なるので、光合分波器24としては光フィルタ等が用いられる。
【0051】
ここで、「下りデータ信号」とは、上位ネットワークNWからユーザ装置PCへと伝送される信号であり、ユーザの要求に対する上位ネットワークNWからの応答が載せられた信号である。また、「上りデータ信号」とは、ユーザ装置PCから上位ネットワークNWへと伝送される信号であり、ユーザの上位ネットワークNWへの要求が載せられた信号である。
【0052】
また、「下り制御信号」とは、局側制御部28が後述するONU14
1〜14
Nの加入者側制御部44に向けて送信する信号である。下り制御信号には、ONU14
1〜14
Nに割り当てられる割当帯域幅や、上り通信の送信タイミングなどの情報が載せられている。また、「上り制御信号」とは、ONU14
1〜14
Nの加入者側制御部44が局側制御部28に向けて送信する信号であり、上り制御信号には、ONU14
1〜14
Nの要求帯域幅などの情報が載せられている。なお、OLT12とONU14
1〜14
Nとの間で安定した通信を行うためには、定期的にこれらの制御信号を送受信する必要がある。
【0053】
なお、上述のように、「下り信号」は、時間多重された下り制御信号と下りデータ信号とを含む。そして、下り信号が電気信号の形態を取る時に、「下り電気信号」と称し、下り信号が光信号の形態を取る時に、「下り光信号」と称する。
【0054】
また、「上り信号」は、時間多重された上り制御信号と上りデータ信号とを含む。そして、上り信号が電気信号の形態を取る時に、「上り電気信号」と称し、上り信号が光信号の形態を取る時に、「上り光信号」と称する。
【0055】
局側制御部28は、ハードウエア的には、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク装置などの記憶部28cなどを備えたコンピュータシステムとして構成されている。
【0056】
ここで、CPUは、例えば、記憶部28cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、機能手段としての制御信号読取生成手段28a及び上り帯域割当手段28bを実現する。また、制御信号読取生成手段28a及び帯域割当手段28bの処理結果は記憶部28cに格納される。
【0057】
なお、このCPUは、インターフェース変換部20、下り信号送信部22、光合分波器24、上り信号受信部26、及び局側制御部28を制御してOLT12を動作させる。
【0058】
ここで、上り帯域割当手段28bは、第1計算部28b1と、第2計算部28b2を備えている。また、上り帯域割当手段28bは、予備計算部28b3を備えていてもよい。
【0059】
なお、制御信号読取生成手段28a及び上り帯域割当手段28bの機能及び動作の詳細については後述する。
【0060】
(ONU)
続いて
図3を参照して、ONU14
1〜14
Nの構成について説明する。
図3は、ONU14
1のハードウエア的な構成及び機能的な構成を示すブロック図である。なお、ONU14
1は、従来周知の構成とすることができるので、図示及び説明を一部省略している。また、OUN14
1〜14
Nは、それぞれ同じ構成であるので、以下ONU14
1を代表としてその構成を説明する。
【0061】
ONU14
1は、インターフェース変換部40と、下り信号受信部42と、加入者側制御部44と、上り信号送信部46と、上りデータ信号バッファ部48と、光合分波器50とを含んでいる。
【0062】
インターフェース変換部40は、ユーザ装置PCとの通信プロトコル処理を行う装置である。より詳細には、インターフェース変換部40は、上りデータ信号バッファ部48に対してユーザ装置PCからの上りデータ信号を出力する。また、インターフェース変換部40には、下り信号受信部42から下りデータ信号が入力され、この下りデータ信号をユーザ装置PCに出力する。
【0063】
上りデータ信号バッファ部48は、インターフェース変換部40から、次回の上り通信時に送信されるべき上りデータ信号が入力され、一時的に記憶される。
【0064】
上り信号送信部46は、上りデータ信号バッファ部48から読み出した上りデータ信号と、加入者側制御部44から送られてきた上り制御信号とを時間多重して上り電気信号を生成する。さらに、上り信号送信部46は、この上り電気信号を電気−光変換して上り光信号を生成し、光合分波器50を介して、OLT12に向けて送信する。
【0065】
下り信号受信部42は、OLT12からの下り光信号を光−電気変換して下り電気信号を得る。そして、この下り電気信号を下り制御信号と下りデータ信号とに分離して、下り制御信号は加入者側制御部44に向けて出力し、下りデータ信号はインターフェース変換部40に向けて出力する。
【0066】
光合分波器50は、上述したOLT12の光合分波器24と同様の構成であるので、再度の説明を省略する。
【0067】
加入者側制御部44は、ハードウエア的には、図示しないCPUと、ROM、RAM及びハードディスク装置などを備えたコンピュータシステムとして構成されている。
【0068】
ここで、CPUは、図示しない記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、機能手段としての制御信号読取生成手段44a及び上り送信時間制御手段44bを実現している。
【0069】
なお、このCPUは、インターフェース変換部40、下り信号受信部42、光合分波器50、上り信号送信部46、上りデータ信号バッファ部48、及び局側制御部44からONU14
1の動作に関する情報を取得するとともに、これらの各種手段を制御してONU14
1を動作させる。
【0070】
制御信号読取生成手段44aは、下り信号受信部42から下り制御信号を受け取り、その内部に記載されたONU14
1に割り当てられた帯域幅を読み取り、上り送信時間制御手段44bへと出力する。さらに、制御信号読取生成手段44aは、上り送信時間制御手段44bから、ONU14
1の要求帯域幅を読み出して、上り制御信号を生成し、上り信号送信部46へと出力する。
【0071】
上り送信時間制御手段44bは、制御信号読取生成手段44aから入力されたONU14
1に割り当てられた帯域幅を読み取り、読み取った帯域幅で通信を行うように上り信号送信部46を制御する。また、上り送信時間制御手段44bは、上りデータ信号バッファ部48に一時的に記憶されている上りデータ量を監視し、このデータ量に基づいてONU14
1の要求帯域幅を決定して、制御信号読取生成手段44aに出力する。
【0072】
(動的通信帯域割当方法)
続いて、
図4及び
図5を参照して、OLT12による通信帯域の動的通信帯域割当方法について説明する。
図4及び
図5は、この実施形態の動的通信帯域割当方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0073】
ここで、ONU14
1〜14
NからOLT12に向けて行われる上り通信の全通信帯域幅をUとする。
【0074】
なお、この動的通信帯域割当方法は、第1工程(ステップS1)、予備工程(ステップS2〜S3)、第2工程(ステップS4〜S15)、及び第3工程(ステップS16〜S22)を有している。
【0075】
第1工程では、OLT12が、ONU14
iからONU14
iが通信に要する帯域幅である要求帯域幅Q
iを受信する。ここで、iは、1〜Nの整数であり、ONU14
1〜14
Nに割り振られた固有の番号を示す。
【0076】
予備工程では、ONU14
i毎に予め定められた固定帯域F
iを割り当てるとともに、固定帯域F
iの総和ΣF
iを算出し、利用可能な全通信帯域幅Uから固定帯域の総和ΣF
iを差し引いた値を利用可能通信帯域幅Rとするとともに、要求帯域幅Q
iから固定帯域F
iをONU14
i毎に差し引いて要求帯域幅をRQ
iに更新する。
【0077】
第2工程では、ONU14
i毎に予め定められたSLAパラメータの比率に従い、利用可能通信帯域幅RをONU14
i毎の第1割当帯域幅BE_BW
iとして算出し、第1割当帯域幅BE_BW
iと要求帯域幅RQ
iとの比較を行い、第1割当帯域幅BE_BW
iが要求帯域幅RQ
i以上の場合には、要求帯域幅RQ
iをONU14
iに割り当て、第1割当帯域幅BE_BW
iが要求帯域幅RQ
i未満の場合には、第1割当帯域幅BE_BW
iをONU14
iに割り当てる。
【0078】
第3工程では、利用可能通信帯域幅Rから第2工程で割り当てられた帯域幅の総和を差し引くことで更新された更新利用可能通信帯域幅R’を取得し、要求帯域幅RQ
iから第2工程で割り当てられた帯域幅を差し引くことで更新された更新要求帯域幅RQ
i’を取得し、更新利用可能通信帯域幅R’を更新要求帯域幅RQ
i’の比率に従う第2割当帯域幅BE_BW’
iをONU14
i毎に割り当てる。
【0079】
なお、予備工程を行わずに、第1工程に続いて第2工程を行ってもよい。
【0080】
(第1工程)
ステップS1においては、OLT12の上り信号受信部26は、ONU14
iの上り信号送信部46から、ONUが必要とする通信帯域幅である要求帯域幅Q
iを含む上り光信号を受信する。
【0081】
続いて、OLT12の上り信号受信部26は、光−電気変換を行い、上り光信号を上り電気信号に変換する。次に、上り信号受信部26は、上り電気信号を上り制御信号と上りデータ信号とに分離する。そして、要求帯域幅Q
iを含む上り制御信号を局側制御部28に送る。続いて、局側制御部28の制御信号読取生成手段28aは、この要求帯域幅Q
iを上り制御信号から読み出して記憶部28cに格納する。
【0082】
(予備工程)
この予備工程では、ONU14
i毎に予め定められた固定帯域F
iを割り当て、固定帯域F
iの総和ΣF
iを算出し、利用可能な全通信帯域幅Uから固定帯域の総和ΣF
iを差し引いた値を利用可能通信帯域幅Rとするとともに、要求帯域幅Q
iから固定帯域F
iを差し引いて要求帯域幅Q
iをRQ
iへと更新する。
【0083】
予備工程を行わない場合は、要求帯域幅Q
iをそのままRQ
iとする。また、全通信帯域幅Uをそのまま利用可能通信帯域幅Rとする。
【0084】
より詳細には、ステップS2において、OLT12が、全ONU14
1〜14
Nから要求帯域幅Q
iを受信したことをキーとして、予備計算部28b3は記憶部28cから、各ONU14
iに予め定められた固定帯域F
iを読み出す。そして、この固定帯域F
iを固定帯域割当用作業変数A
iへと格納する。すなわちA
i=F
iとの処理を行うことにより、各ONUに固定帯域F
iを割り当てる。そして、この固定帯域割当用作業変数A
iを記憶部28cへと記憶する。
【0085】
さらに、予備計算部28b3は、固定帯域F
iの総和ΣF
iを算出する。ここで、記号「Σ」は、F
iを全てのiについて総和することを意味する。続いて、予備計算部28b3は、全通信帯域幅UからΣF
iを差し引いた値を求め、この値を利用可能通信帯域幅Rとする。つまり、R=U−ΣF
iなる計算を行う。
【0086】
これにより、全通信帯域幅Uから固定帯域F
iの総和ΣF
iが除かれた利用可能通信帯域幅Rが得られる。利用可能通信帯域幅Rは、記憶部28cに記憶される。
【0087】
続いてステップS3では、予備計算部28b3は、要求帯域幅Q
iから固定帯域幅F
iを差し引いて、要求帯域幅をRQ
iへと更新する。すなわち、Q
iを記憶部28cから読み出してきて、RQ
i=Q
i−F
iなる計算を全てのiについて行う。
【0088】
そして、RQ
i>0、すなわち、要求帯域幅Q
i>固定帯域幅F
iであるONU14
1〜14
Nの個数をMとする。
【0089】
さらに、RQ
i>0、すなわち要求帯域幅Q
i>固定帯域幅F
iであるONU14
iの番号iを作業変数Bに格納する。
【0090】
これらの変数M及びBは、記憶部28cに記憶される。
【0091】
例えば、8台のONUがOLT12に収容されていて、RQ
i>0であるONUが、ONU14
1,ONU14
4,ONU14
6の場合、M=3であり、B={1,4,6}である。
【0092】
(第2工程)
第2工程では、ONU14
i毎に予め定められたSLAパラメータの総和に対する割合MinBW
i/Σ
BMinBW
iに従い、利用可能通信帯域幅RをONU14
i毎の第1割当帯域幅BE_BW
iとして算出する。そして、第1割当帯域幅BE_BW
iと要求帯域幅RQ
iとの比較を行い、第1割当帯域幅BE_BW
iが要求帯域幅RQ
i以上の場合には、要求帯域幅RQ
iをONU14
iに割り当て、第1割当帯域幅BE_BW
iが要求帯域幅RQ
i未満の場合には、第1割当帯域幅BE_BW
iをONU14
iに割り当てる。
【0093】
より詳細には、まず、ステップS4においては、第1計算部28b1が、条件判断を行う。その条件判断は、(R>0かつM>0)が成り立つかどうかである。「R>0」が成り立つときは、ONUに対して、割り当てるべき利用可能通信帯域幅Rが残っている。また、「M>0」が成り立つときは、要求帯域幅RQ
iが満たされていないONUが存在する。
【0094】
ステップS4における判断の結果、条件が成り立たない場合(No)には、処理は終了する。それに対し、条件が成り立つ場合(Yes)には、処理はステップS5に移行する。
【0095】
ステップS5では、第1計算部28b1が、記憶部28cからユーザとの契約によりONU14
i毎に定められたSLAパラメータを読み出す。この実施形態においては、SLAパラメータは、好ましくは、例えば、ONU14
i毎に定められた最低保証帯域MinBW
iとする。ここで、最低保証帯域MinBW
iが読み出されるONUは、RQ
i>0を満たすものである。つまり、作業変数Bに値が格納されているONUに関してのみ最低保証帯域MinBW
iが読み出される。
【0096】
続いて、第1計算部28b1は、記憶部28cから作業変数Bを読み込み、作業変数Bに番号iが格納されているONUについて、最低保証帯域MinBW
iの総和を計算する。すなわち、上述のように、B={1,4,6}の場合には、MinBW
1+MinBW
4+MinBW
6との計算を行う。以降、このように添字iで区別される任意の変数Diについて、作業変数Bに格納された番号iについての総和を取ることをΣ
BD
iと表記する。つまり、このステップにおいては、Σ
BMinBW
iを求めたこととなる。求められたΣ
BMinBW
iは、記憶部28cへと記憶される。
【0097】
ステップS6〜ステップS8では、第1計算部28b1は、最低保証帯域MinBW
iの比率に従い、利用可能通信帯域幅RをONU14
i毎に割り当てるために、第1割当帯域幅BE_BW
iを算出する。
【0098】
より詳細には、ステップS7において、第1計算部28b1は、記憶部28cからΣ
BMinBW
iを読み出してきて、BE_BW
i=R×MinBW
i/Σ
BMinBW
iなる計算を行う。これにより、利用可能通信帯域幅Rは、最低保証帯域MinBW
iの比率に従った第1割当帯域幅BE_BW
iに分配される。求められた第1割当帯域幅BE_BW
iは記憶部28cへと記憶される。
【0099】
なお、ステップS6〜ステップS8の処理は、作業変数Bを繰り返し変数とするループ処理である。つまり、上述のようにB={1,4,6}の場合、ループ処理は、ONU14
1,ONU14
4及びONU14
6に対して行われる。よって、ステップS6〜ステップS8により、第1割当帯域幅BE_BW
1,BE_BW
4及びBE_BW
6が算出されることとなる。
【0100】
ステップS9〜ステップS14では、第1計算部28b1は、ステップS6〜ステップS8で求められた第1割当帯域幅BE_BW
iの割り当てを行う。
【0101】
ステップS9〜ステップS14の処理も作業変数Bを繰り返し変数とするループ処理である。つまり、ステップS9〜ステップS14の処理は、要求帯域幅Q
iが固定帯域F
iよりも大きく、通信帯域が不足しているONUについて行われる。上述のように、B={1,4,6}の場合には、ループ処理は、ONU14
1,ONU14
4及びONU14
6に対して行われる。
【0102】
ステップS10においては、第1計算部28b1は、記憶部28cから読み出された第1割当帯域幅BE_BW
iと要求帯域幅RQ
iとの大小を比較する。BE_BW
i≧RQ
iが成り立つ場合(Yes)には、処理はステップS11−1へと移行する。それに対して、BE_BW
i≧RQ
iが成り立たない場合(No)つまり、BE_BW
i<RQ
iの場合には、処理はステップS11−2へと移行する。
【0103】
ステップS11−1は、BE_BW
i≧RQ
iの場合、つまり、ONU14
iに対して割り当てられるべき第1割当帯域幅BE_BW
iが、ONU14
iの必要としている帯域幅である要求帯域幅RQ
i以上の場合に行われる。この場合には、第1計算部28b1は、ONU14
iに対して、要求帯域幅RQ
iを満たすだけの帯域を割り当てる。つまり、具体的には、第1計算部28b1は、AT
iにRQ
iを入力することにより、ONU14
iに帯域を割り当てる。ここで、AT
iは、割当用作業変数とする。さらに、ONU14
iには、要求帯域幅RQ
iを満足する帯域が割り当てられたので、第1計算部28b1は、RQ
iを0として、RQ
iを更新する。さらに、第1計算部28b1は、要求帯域幅RQ
iが満たされていないONUの個数を1減算する。
【0104】
ところで、ステップS7においては、予め定められた最低保証帯域の比率に従って、第1割当帯域幅BE_BW
iを求めている。BE_BW
iが、ONU14
iが必要としている帯域幅(要求帯域幅RQ
i)以上の場合、ステップ11−1において、(BE_BW
i−RQ
i)の通信帯域の余剰分が発生する。
【0105】
ステップS11−2は、BE_BW
i<RQ
iの場合、つまり、ONU14
iに対して割り当てられるべき第1割当帯域幅BE_BW
iが、ONU14
iの必要としている帯域幅である要求帯域幅RQ
i未満の場合に行われる。よって、この場合には、第1計算部28b1は、ONU14
iに対しては、第1割当帯域幅BE_BW
iをそのまま割り当てる。具体的には、第1計算部28b1は、割当用作業変数AT
iにBE_BW
iを入力する。
【0106】
さらに、第1計算部28b1は、要求帯域幅RQ
iから第2工程で割り当てられた帯域幅BE_BW
iを差し引くことにより、更新された更新要求帯域幅RQ
i’を求める。具体的には、第1計算部28b1は、RQ
i’=RQ
i−BE_BW
iなる計算を行う。
【0107】
ステップS12では、第1計算部28b1は、各種の更新処理を行う。
【0108】
まず、作業変数Bを更新する。具体的には、ステップS11−1で要求帯域幅RQ
iを満足する帯域が割り当てられたONUの番号iを作業変数Bの中から消去する。例えば、B={1,4,6}で、ONU
1が要求帯域幅RQ
1を満たした場合には、更新後のBは{4,6}となる。
【0109】
さらに、ステップS11−1のAT
i=RQ
iの処理、及び、ステップS11−2のAT
i=BE_BW
iなる割当処理により、利用可能通信帯域幅Rが減少したことから、利用可能通信帯域幅Rを更新する。具体的には、R=R−AT
iなる処理を行い、利用可能通信帯域幅Rから第2工程で割り当てられた帯域幅AT
iを順々に差し引いていく。
【0110】
ステップS14では、第1計算部28b1が、更新利用可能通信帯域幅R’を求める。具体的には、作業変数Bに関するループ中の処理であるステップS12が終了することによって、利用可能通信帯域幅Rからは、この工程(第2工程)で割り当て済みの帯域幅の総和が差し引かれた状態になっている。よって、R’=Rなる処理を行うことで、利用可能通信帯域幅Rから、この工程(第2工程)で割り当てられた帯域幅の総和を差し引いて更新された更新利用可能通信帯域幅R’が得られる。
【0111】
ステップS15では、第1計算部28b1が、条件判断を行う。その条件判断は、(R>0 かつ M>0)が成り立つかどうかである。
【0112】
このステップにおいてNoの場合には、処理は終了する。それに対し、Yesの場合には、処理はステップS16に移行する。
【0113】
(第3工程)
第3工程では、利用可能通信帯域幅Rから第2工程で割り当てられた帯域幅の総和を差し引くことで、更新された更新利用可能通信帯域幅R’を、要求帯域幅RQ
iから第2工程で割り当てられた帯域幅BE_BW
iを差し引くことで、更新された更新要求帯域幅RQ
i’の全加入者側終端装置の要求帯域幅に対する比率(RQ
i’/Σ
BRQ
i’)に従う第2割当帯域幅BE_BW’
iとしてONU14
i毎に割り当てる。
【0114】
より詳細には、まず、ステップS16〜ステップS18において、第2計算部28b2が、更新要求帯域幅RQ
i’の総和処理を行う。ステップS16〜ステップS18の処理も作業変数Bを繰り返し変数とするループ処理である。ステップS16〜ステップS18により、更新要求帯域幅RQ
i’の総和であるΣ
BRQ
i’が求められる。
【0115】
ステップS19〜ステップS22では、第2計算部28b2が、ONU14
1〜14
Nに対して2回目の帯域割り当てを行う。ステップS19〜ステップS22の処理は、作業変数Bを繰り返し変数とするループ処理である。
【0116】
まずステップS20において、更新要求帯域幅RQ
i’の、全更新要求帯域幅Σ
BRQ
i’に対する割合(RQ
i’/Σ
BRQ
i’)に従い、第2割当帯域幅BE_BW’
iを算出する。
【0117】
より詳細には、ステップS20において、第2計算部28b2が、BE_BW’
i=R’×RQ
i’/Σ
BRQ
i’なる計算を行う。これにより、更新利用可能通信帯域幅R’は、更新要求帯域幅RQ
i’の全更新要求帯域幅Σ
BRQ
i’に対する比率(RQ
i’/Σ
BRQ
i’)に従った第2割当帯域幅BE_BW’
iに分配される。
【0118】
続いて、ステップS21では、第2計算部28b2は、ONU14
iに対して、第2割当帯域幅BE_BW’
iを割り当てる。つまり、具体的には、第2計算部28b2は、AT
i+BE_BW’
iという計算の結果を新たな割当用作業変数AT
iとする処理を行うことにより、ONU14
iに帯域を割り当てる。さらに、RQ
i’−BE_BW’
iなる計算の結果を新たな要求帯域幅RQ
i’とする処理を行う。
【0119】
第3工程では、ONU14
iの必要としている帯域幅である更新要求帯域幅RQ
i’の比率(RQ
i’/Σ
BRQ
i’)に応じて更新利用可能通信帯域幅R’をONU14
iに分配する。従って、更新利用可能通信帯域幅R’を過不足なくONU14
iに分配することができる。
【0120】
続いて、ステップS23の最終処理が行われる。ステップS23では、第2計算部28b2が、S22までで割り当てられた通信帯域AT
iと固定帯域割当用作業変数A
iとから最終割当帯域幅F_AT
iを得る。具体的には、F_AT
i=AT
i+A
iなる計算を行う。制御信号読取生成手段28aは、最終割当帯域幅F_AT
iを読み出し、下り制御信号を生成する。下り制御信号は、下り信号送信部22において、下りデータ信号と時間多重されてONU14
1〜14
Nに向けて送信される。
【0121】
そして、この下り信号を受信したONU14
iは、下り信号受信部42で、下り信号から下り制御信号を抽出し、制御信号読取生成手段44aへと出力する。制御信号読取生成手段44aは、下り制御信号から最終割当帯域幅F_AT
iを読み取り、上り送信時間制御手段44bへと出力する。最終割当帯域幅F_AT
iが入力された上り送信時間制御手段44bは、読み取った最終割当帯域幅F_AT
iで上り通信を行う。
【0122】
この実施形態の動的通信帯域割当方法によれば、第2工程における1回目の計算で、SLAパラメータの比率に従って通信帯域の割り当てを行い、第3工程における2回目の計算で、1回目の計算で生じた余剰帯域を、更新要求帯域量RQ
i’の比率に従って割り当てる。その結果、帯域割当の計算の繰り返し回数を2回に抑えることで、帯域割当の計算時間の短縮化を図りつつ、帯域割り当てにユーザ間のサービスレベル比率を反映させることができる。
【0123】
なお、この実施形態においては、SLAパラメータとして最低保証帯域MinBW
iを採用したが、SLAパラメータは、最低保証帯域MinBW
iに限定されず、例えば、最大割当帯域や、その他の通信速度に関するパラメータであってもよい。
【0124】
(動的通信帯域割当プログラム)
続いて、
図6を参照して、コンピュータに上述した動的通信帯域割当方法を実行させるためのプログラムについて説明する。
図6は、動的通信帯域割当プログラムのモジュール構成を示す図である。
【0125】
動的通信帯域割当プログラム90は、処理を統括するメインモジュール100と、制御信号読取生成モジュール102と、第1計算モジュール104と、第2計算モジュール106とを備える。ここで、制御信号読取生成モジュール102と、第1計算モジュール104と、第2計算モジュール106とがコンピュータに行わせる機能は、それぞれ、上述した、制御信号読取生成手段28と、第1計算部28b1と、第2計算部28b2とが有する機能と同様である。
【0126】
なお、動的通信帯域割当プログラム90は、例えばCD−ROM、DVDもしくはROM等の記憶媒体又は半導体メモリによって提供される。また、動的通信帯域割当プログラム90は搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号としてネットワークを介して提供されるものであってもよい。
【実施例】
【0127】
本発明の効果を確認するためにシミュレーションを行った。このシミュレーションにおいては、8台のONU1〜ONU8が1台のOLTに収容されているGE−PONシステムを仮定している。このGE−PONシステムにおいては、上り通信時の全通信帯域幅を500Mbpsとし、この全通信帯域幅を8台のONUに分配することとした。
【0128】
下記表1に示すように、各ONUのSLAパラメータとしては、上り通信時の最低保証帯域MinBWを採用した。また、各ONUがOLTに要求する帯域幅である要求帯域幅に最小値と最大値とを設定し、シミュレーションにおける要求帯域幅は、この最小値と最大値との間で乱数値を取ることとした。
【0129】
また、特にONU7及び8については、要求帯域幅の最大値を1Mbpsに固定し、1回目の帯域割当計算時に、必ず余り帯域が生じるようにした。
【0130】
【表1】
【0131】
また、ONU1〜ONU8への帯域割当は、下記の3種類の計算方法で行った。
(I)本実施形態の動的通信帯域割当方法(実施例)
(II)余剰帯域の繰り返し割当計算回数を2回に制限した特許文献1の方法(比較例)
(III)余剰帯域が無くなるまで繰り返し割当計算を行った特許文献1の方法(従来例)
なお、(II)の比較例の計算方法において、2回の計算で割り当てられなかった余剰帯域は、ONUに割り当てずに破棄することとした。
【0132】
図7にシミュレーション結果を示す。図の縦軸は、割り当てられた帯域幅(Mbps)を示し、横軸は、ONU1〜8の区別を示す。
図7には、上述した計算方法に対応した3本の曲線I〜IIIが描かれている。
【0133】
図7を参照すると、実施例の曲線Iは、余剰帯域が無くなるまで無制限に繰り返し計算を行った従来例を示す曲線IIIとよい一致を示している。それに対し、余剰帯域の繰り返し計算回数を2回に制限した比較例を示す曲線IIは、ONU1〜3において、従来例を示す曲線IIIと大きく乖離している。これは、曲線IIでは、余剰帯域を破棄したことが影響している。
【0134】
また、
図7より、全通信帯域幅(500Mbps)のうち、割り当てに使用された比率を示す帯域利用率を求めると、実施例(曲線I)及び従来例(曲線III)が100%であるのに対し、比較例(曲線II)は45%程度であった。
【0135】
帯域割当の計算は1回目と2回目以降で同じ計算内容を実行するので、計算に掛かる時間は、計算回数に線形比例する。従来例による帯域割当計算の最大回数は、1回の帯域割当で1個のONUの要求帯域が満足されるとした場合、接続しているONU数Nと同等になる。一方、実施例の計算回数は最大で2回となる。そのため、最大の計算回数で実施例と従来例とを比較すると、実施例は従来例の計算時間を2/Nに短縮することが可能となる。
【0136】
このように、本実施例の動的通信帯域割当方法(曲線I)は、計算時間を従来例(曲線III)に比較して短縮しながら、帯域割り当てにSLAパラメータの比率を反映させることができる。