(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728350
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】スイッチ素子駆動回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/08 20060101AFI20150514BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20150514BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
H03K17/08 C
H03K17/687 A
H02M3/155 T
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-210446(P2011-210446)
(22)【出願日】2011年9月27日
(65)【公開番号】特開2013-74374(P2013-74374A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2014年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】岡部 和也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 久夫
【審査官】
栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/096393(WO,A1)
【文献】
特開2007−189771(JP,A)
【文献】
特開2008−193283(JP,A)
【文献】
特開2010−226224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00−17/70
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と負荷との間に接続されたスイッチ素子を駆動するためのスイッチ素子駆動回路であって、
前記電源と前記負荷との間に設けられ、前記スイッチ素子と直列接続された電圧降下素子と、
前記電圧降下素子の端子間に発生する電圧を動作電源として該電圧を昇圧し、該昇圧により得られた電圧から前記スイッチ素子を制御するための制御信号を生成する信号生成部と
を備えたスイッチ素子駆動回路。
【請求項2】
前記電圧降下素子は、
前記電源から前記負荷に向かう電流方向を順方向とするダイオードであることを特徴とする請求項1記載のスイッチ素子駆動回路。
【請求項3】
前記信号生成部は、
前記電圧降下素子の端子間に発生する電圧を動作電源として発振し、一定周期の発振信号を生成する発振部と、
前記発振部により生成された発振信号に基づく昇圧動作により、前記電圧降下素子の端子間に発生した電圧を昇圧して前記制御信号を生成する昇圧部と
を備えた請求項1または2記載のスイッチ素子駆動回路。
【請求項4】
前記昇圧部は、
前記発振部により生成された発振信号に基づき、前記電圧降下素子の端子間に発生した電圧を昇圧するチャージポンプ部と、
前記チャージポンプ部で昇圧された電圧の極性を反転させて前記スイッチ素子の制御電極に供給する極性反転部と
を備えたことを特徴とする請求項3記載のスイッチ素子駆動回路。
【請求項5】
前記スイッチ素子は、DC−DCコンバータの入力端子と出力端子との間に設けられた直結スイッチであることを特徴とする請求項4記載のスイッチ素子駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC−DCコンバータ等の電源装置が備えるスイッチ素子を駆動するためのスイッチ素子駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に、従来の昇圧チョッパー型のDC−DCコンバータの構成を示す。
同図に示すDC−DCコンバータは、入力端子Tin、グランド端子GND、昇圧コイルL、トランジスタQ1、ダイオードD1、出力端子Tout、直結スイッチ素子Q2(p型MOSFET)を備えて構成される。ここで、入力端子Tinとグランド端子GNDとの間には直流入力電源Vinが接続され、出力端子Toutとグランド端子GNDとの間には負荷Fが接続され、入力端子Tinと出力端子Toutとの間には直結スイッチ素子Q2が接続されている。ダイオードD2は、直結スイッチ素子Q2の保護用のダイオードである。なお、
図6では、直結スイッチ素子Q2を開状態または閉状態に駆動するための駆動回路は省略されている。
【0003】
この従来のDC−DCコンバータが通常の動作を行う場合、図示しない駆動回路により直結スイッチ素子Q2をオフ状態に制御し、トランジスタQ1で昇圧コイルLをスイッチング駆動することにより直流入力電源Vinの電圧を昇圧コイルLで昇圧する。そして、昇圧コイルLで昇圧された電力をダイオードD1で整流することにより所望電圧の直流電力を生成して外部の負荷Fに供給する。
【0004】
また、このDC−DCコンバータが通常の動作を停止し、直流入力電源Vinをそのまま負荷Fに供給する場合、トランジスタQ1による昇圧コイルLのスイッチング駆動を停止させ、図示しない駆動回路により直結スイッチ素子Q2をオン状態に制御する。これにより、直流入力電源Vinを直結スイッチ素子Q2を介して負荷Fに直接供給する。
従って、直結スイッチ素子Q2を備えたDC−DCコンバータによれば、通常の動作時に、昇圧された所望の直流電力を負荷Fに供給し、通常動作を停止した状態では直流入力電源Vinを負荷Fに供給することができる。
【0005】
図7に、直結スイッチ素子Q2を駆動するための駆動回路DRの例を示す。
図7は、上述の
図6に駆動回路DRの構成を付加したものであるが、説明の便宜上、
図6に示す昇圧コイルL、トランジスタQ1、ダイオードD1は省略されている。
図7に示すように、駆動回路DRは、抵抗R1,R2およびトランジスタQ3と、このトランジスタQ3を駆動するための図示しない制御回路を備える。ここで、抵抗R2は、直結スイッチ素子Q2のソースとゲートとの間に接続され、抵抗R1の一端はスイッチ素子Q2のゲートに接続される。抵抗R1の他端はトランジスタQ3のドレインに接続され、このトランジスタQ3のソースはグランド端子GNDに接続される。
【0006】
このDC−DCコンバータが通常動作を行う場合、駆動回路DR内の図示しない制御回路がトランジスタQ3をオフ状態に制御する。これにより、直結スイッチ素子Q2のソース電圧が抵抗R2を介してゲートに印加され、直結スイッチ素子Q2のソースに対するゲート電圧Vgsがゲートしきい値電圧Vt以下になる。従ってこの場合、直結スイッチ素子Q2がオフ状態に制御される。
【0007】
また、このDC−DCコンバータが通常動作を停止した場合、駆動回路DR内の図示しない制御回路がトランジスタQ3をオン状態に制御する。これにより、直結スイッチ素子Q2のゲートは、抵抗R1およびトランジスタQ3を介してグランド端子GNDと電気的に接続され、直結スイッチ素子Q2のゲート電圧は概ね0Vになる。このため、直結スイッチ素子Q2のソースに対するゲート電圧Vgsがゲートしきい値電圧Vtを超え、直結スイッチ素子Q2がオン状態に制御される。従って、直結スイッチ素子Q2を介して負荷Fに直流入力電源Vinが供給される。
【0008】
ここで、直結スイッチ素子Q2を介して負荷Fに直流入力電源Vinを供給している状態で、例えば駆動回路DRのトランジスタQ3のソースとグランド端子GNDを電気的に接続するためのコネクタが何らかの原因でグランド端子GNDから外れた場合、トランジスタQ3のソースがフローティング状態になり、直結スイッチ素子Q2のゲートに0V(グランド電位)を供給する機能が失われる。これにより、直結スイッチ素子Q2のゲート電位が徐々に上昇する。この結果、直結スイッチ素子Q2のゲート電圧Vgsが低下して直結スイッチ素子Q2をオン状態に維持できなくなり、直結スイッチ素子Q2の端子間の抵抗値が上昇する。
【0009】
この場合、負荷Fには、抵抗値が上昇した直結スイッチ素子Q2と保護用のダイオードD2を通じて電流が供給されるが、この状態が継続すると、直結スイッチ素子Q2が発熱し、この発熱により直結スイッチ素子Q2が損傷を受けるおそれがある。
従って従来、このような事態に備えて、直結スイッチ素子Q2のゲートに0Vを供給する機能が失われたとしても温度の上昇が抑えられるように、設計段階で、直結スイッチ素子Q2の熱的性能に余裕をもたせているが、直結スイッチQ2のゲートに0Vを供給する機能が失われる事態は希である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−135805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述の従来技術による駆動回路DRによれば、グランド端子GNDからのグランド電位を用いて直結スイッチ素子Q2の導通を制御しているため、駆動回路DRとグランド端子GNDとの間の電気的接続が阻害される事態に備える必要があった。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、グランド端子からグランド電位の供給を受けることなく、スイッチ素子をオン状態に維持することを可能とするスイッチ素子駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明によるスイッチ素子駆動回路は、電源と負荷との間に接続され
、前記スイッチ素子と直列接続されたスイッチ素子を駆動するためのスイッチ素子駆動回路であって、前記電源と前記負荷との間に設けられた電圧降下素子と、前記電圧降下素子の端子間に発生する電圧を動作電源として該電圧を昇圧し、該昇圧により得られた電圧から前記スイッチ素子を制御するための制御信号を生成する信号生成部とを備える。
【0014】
上記構成を有する本発明によるスイッチ素子駆動回路によれば、スイッチ素子と
直列接続された電圧降下素子の端子間に発生する電圧を昇圧することにより、グランド電位に対応する信号レベルを有する制御信号を生成する。従って、グランド端子からのグランド電位を用いることなく、スイッチ素子をオン状態に維持することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、グランド端子からグランド電位の供給を受けることなく、スイッチ素子を制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態によるスイッチ素子駆動回路100の構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態によるスイッチ素子駆動回路100が備える発振部21の構成例を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態によるスイッチ素子駆動回路100が備える昇圧部22を構成するチャージポンプ部221の構成例を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態によるスイッチ素子駆動回路100が備える昇圧部22を構成する極性反転部222の構成例を示す図である。
【
図5】本発明の第2実施形態によるスイッチ素子駆動回路200の構成例を示す図である。
【
図6】従来の昇圧チョッパー型のDC−DCコンバータの構成例を示す図である。
【
図7】従来の昇圧チョッパー型のDC−DCコンバータが備える駆動回路DRの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1に本発明の第1実施形態によるスイッチ素子駆動回路100をDC−DCコンバータに適用した例を示す。同図において、直流入力電源Vin、入力端子Tin、グランド端子GND、直結スイッチQ2、出力端子Tout、負荷Fは、前述の
図7に示すDC−DCコンバータの構成要素に相当し、DC−DCコンバータの構成に関する限り、第1実施形態によるスイッチ素子駆動回路100が適用されるDC−DC−コンバータの構成は
図7に示す従来装置と同一である。
【0018】
ただし、本第1実施形態では、直結スイッチ素子Q2はp型MOSFETから構成され、そのドレインが入力端子Tinに接続され、そのソースが出力端子Toutに接続されているものとする。以下では、直結スイッチ素子Q2のドレイン電極が接続されたノードを「ノードNA」と称し、直結スイッチ素子Q2のソース電極が接続されたノードを「ノードNB」と称す。
【0019】
図1に示す本第1実施形態によるスイッチ素子駆動回路100は、直流入力電源Vinと負荷Fとの間に接続された直結スイッチ素子Q2を駆動するためのものであり、直流入力電源Vinと負荷Fとの間に設けられた電圧降下素子10と、直結スイッチ素子Q2の開閉を制御するための制御信号CNTを生成する信号生成部20とを備えて構成される。
【0020】
ここで、電圧降下素子10は、この電圧降下素子10に電流を流したときに、その電気的特性によって与えられる電圧VEが端子間に現れる性質を有する。この電圧降下素子10は、電流を流したときに電圧降下を発生させるものであれば、どのようなものであってもよく、例えばダイオードや抵抗素子である。
【0021】
本第1実施形態では、電圧降下素子10は、直流入力電源Vinから負荷Fに向かう電流方向を順方向とするダイオードであるものとする。従って、上述の電圧VEは、ダイオード10の順方向降下電圧(Vf)に概ね等しくなる。以下では、電圧降下素子10を「ダイオード10」と称す。また、本実施形態では、ダイオード10として、DC−DCコンバータを構成する直結スイッチQ2に並列接続された保護用のダイオード(
図6に示すダイオードD2に相当する要素)を流用するものとする。
【0022】
信号生成部20は、発振部21と昇圧部22から構成され、昇圧部22は、後述のチャージポンプ部221と極性反転部222から構成される。このうち、発振部21は、一定周期の発振信号を生成するものであり、また、昇圧部22は、電圧降下素子10の端子間に発生する電圧VEを動作電源として動作することにより該電圧VEを昇圧し、この昇圧動作により得られた電圧から直結スイッチ素子Q2を制御するための制御信号CNTを生成する機能を有している。
【0023】
図2に、発振部21の詳細構成を示す。
発振部21は、抵抗211〜214、コンデンサ215,216、トランジスタ217,218により、マルチバイブレータとして構成される。このようなマルチバイブレータは公知であり、その詳細についての説明は省略するが、本実施形態では、発振部21を構成するマルチバイブレータの動作電源として、上述のダイオード10の端子間に発生する電圧VEを用いている。即ち、発振部21は、ダイオード10の端子間に発生する電圧VEを動作電源として発振し、一定周期の発振信号OSCと、その逆相信号である発振信号OSCbとを生成するように構成されている。
【0024】
図3に、昇圧部22を構成するチャージポンプ部221の構成例を示す。
このチャージポンプ部221は、上述の発振部21により生成された発振信号OSC,OSCbに基づき、ダイオード10の端子間に発生した電圧VEを昇圧するものであり、トランジスタ2211,2212、ダイオード2213、コンデンサ2214から構成されるチャージポンプを単位として、複数段のチャージポンプを従属接続して構成される。
【0025】
各チャージポンプは、原理的には、動作電源として供給される電圧VEにコンデンサ2214の端子間電圧を上乗せすることにより電圧VEを2倍に昇圧するものであり、複数のチャージポンプを従属接続することにより、電圧VEを所望電圧にまで昇圧する。この昇圧部221によれば、
図1に示すノードNB(直結スイッチQ2のソース)の電圧を基準として昇圧された正極性の高電圧VHを得ることができる。
【0026】
図4に、昇圧部22を構成する極性反転部222の構成例を示す。
極性反転部222は、は、基本的にはDC−DCコンバータと同様の構成を有し、トランス2221、トランジスタ2222、ダイオード2223,コンデンサ2224から構成される。この構成によれば、上述のチャージポンプ部221で生成された高電圧VHの極性が反転される。
【0027】
即ち、ノードNBの電圧を基準としてチャージポンプ部221から出力された正極性の高電圧VHは、トランジスタ2222のスイッチング動作により交流に変換されてトランス2221の1次巻線に供給され、このトランス2221の2次巻線に誘起された電力のうち、負極性の電力がダイオード2223を通過する。これにより、ノードNBを基準した負極性の電圧−VHが得られる。この負極性の電圧−VHは、制御信号CNTとして直結スイッチ素子Q2のゲート(制御電極)に供給される。
【0028】
次に、本第1実施形態によるスイッチ素子駆動回路100の動作について、直結スイッチ素子Q2をオン状態に維持する動作に着目して説明する。
図1に示すスイッチ素子駆動回路100が適用されたDC−DCコンバータの動作が停止状態にある場合、スイッチ素子駆動回路100が直結スイッチ素子Q2をオン状態に制御するが、この場合、直結スイッチ素子Q2のソース電極であるノードNBを基準として、十分に低い負極性の電圧を直結スイッチ素子Q2のゲート電極に印加する必要がある。
【0029】
本第1実施形態による信号生成部20によれば、上述したように、ダイオード10の端子間に発生する電圧VE(=Vf)から、ノードNBの電圧を基準とした負極性の電圧−VHを生成し、これを直結スイッチ素子Q2のゲート電極に供給することで、この直結スイッチ素子Q2をオン状態に制御する。
【0030】
ここで、本第1実施形態では、ノードNBの電圧を基準とした電圧−VHが概ね0V(グランド電位)になるように、昇圧部22が高電圧VHを発生させる。換言すれば、グランド電位を基準としたときのノードNBの電圧と、ノードNBの電圧を基準としたときの高電圧VHは概ね等しい。従って、ノードNBを基準とした高電圧VHの極性を反転させることにより、ノードNBを基準とした電圧−VHとして概ね0Vの電圧が得られる。よって、グランド端子GNDからグランド電位の供給を受けることなく、グランド電位と等しい電圧(0V)を得ることができ、これを制御信号CNTの信号レベルとすることにより、直結スイッチ素子Q2をオン状態に制御することができる。
【0031】
なお、本第1実施形態によれば、上述のように直結スイッチ素子Q2をオン状態に制御する結果、ダイオード10の端子間の電圧が消失し、これを動作電源とするスイッチ素子駆動回路100の動作が一時的に停止する場合がある。しかしながら、スイッチ素子駆動回路100の動作が停止すると、直結スイッチ素子Q2のゲート電極の電位が上昇し、これに伴って直結スイッチ素子Q2の抵抗値が上昇する傾向を示すため、ダイオード10の端子間の電圧が回復する。従って、スイッチ素子駆動回路100が再び動作を開始し、直結スイッチ素子Q2をオン状態に維持する。このように、スイッチ素子駆動回路100は、直結スイッチ素子Q2の端子間の電圧がダイオード10の順方向降下電圧(Vf)の近傍で安定するようにフィードバック動作を継続する。
【0032】
(第2実施形態)
次に、
図5を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
なお、
図5において、前述の
図1に示す要素と共通する要素には、同一符号を付す。
【0033】
本第2実施形態によるスイッチ素子駆動回路200は、上述の
図1に示す第1実施形態の構成において、ダイオード10に代え、直流入力電源Vinと負荷Fとの間に、直結スイッチ素子Q2と直列接続された電圧降下素子10Aを備える。この電圧降下素子10Aは、前述の第1実施形態による電圧降下素子10と同様に、例えばダイオードや抵抗素子である。本第2実施形態でも、電圧降下素子10Aは、直流入力電源Vinから負荷Fに向かう方向を順方向としたダイオードであるものとするが、そのアノードは入力端子Tinに接続され、そのカソードは直結スイッチ素子Q2のドレインに接続されている。
【0034】
本第2実施形態では、上述の第1実施形態のダイオード10の端子間の電圧VEに代え、ダイオード10Aのアノードが接続されたノードNCとカソードが接続されたノードNDとの間の電圧を用いる点を除けば、第1実施形態と同様である。
【0035】
本第2実施形態によれば、直流入力電源Vinと負荷Fとの間に、ダイオード10Aと直結スイッチ素子Q2または保護用のダイオードD2とによる電流経路が形成され、ダイオード10Aの端子間の電圧(Vf)は直結スイッチ素子Q2がオン状態になっても消失しない。従って、このダイオード10Aの端子間の電圧をスイッチ素子駆動回路200の動作電源として用いることにより、スイッチ素子Q2の制御を安定的に継続することができる。
【0036】
本第2実施形態では、ダイオード10Aを入力端子Tinと直結スイッチ素子Q2のドレインとの間に設けたが、この例に限定されず、直結スイッチ素子Q2のソースと出力端子Toutとの間に設けてもよい。この場合にも、ダイオード10Aの端子間の電圧を安定的に得ることができるので、これを動作電源として、直結スイッチ素子Q2の制御を安定的に継続することができる。
【0037】
また、ダイオード10Aの個数(n)を増やし、複数のダイオード10Aを従属接続してもよい。これにより、スイッチ素子駆動回路200の動作電源の電圧(n×Vf)が大きくなり、その動作を更に安定化させることができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の実施形態に限定されず。本発明の要旨を逸脱しない範囲で変形が可能である。例えば、上述の実施形態では、極性反転部222を設けたが、この例に限定されることなく、例えば、昇圧部221のチャージポンプ部におけるコンデンサ34の充電極性を反転させるようにダイオード33を接続し直すことにより、昇圧部221で電圧VHの極性を反転させた電圧を生成してもよい。
【0039】
また、上述の実施形態では、直結スイッチ素子Q2としてp型MOSFETを用いたが、この例に限定されることなく、バイポーラトランジスタであってもよく、どのようなスイッチ素子であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
100,200…スイッチ素子駆動回路、10,10A…電圧降下素子(ダイオード)、20…信号生成部、21…発振部、22…昇圧部、Tin…入力端子、GND…グランド端子、Q2…直結スイッチ素子、Tout…出力端子、F…負荷。