【実施例】
【0049】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
「実施例1」
図1に示す方法により、直径50mmの光ファイバ母材10と、直径50mmのダミー棒11を接続し、ダミー棒11が接続された光ファイバ母材10を製造した。
光ファイバ母材10とダミー棒11としては、その相対する端部の断面が、その中心軸に垂直な平面であるものを用意した(
図1(a)参照)。
ダミー棒11における、光ファイバ母材10の端部と相対する端部を切断後の断面と、ダミー棒11の中心軸に垂直な平面とのなす角度θが1°、すなわち、tanθ=0.017となるように、精密切断砥石を備えた高速切断機により、ダミー棒11の端部を切断加工した(
図1(b)参照)。
【0051】
その後、光ファイバ母材10とダミー棒11を、その中心軸線を中心として回転させながら、光ファイバ母材10とダミー棒11の相対する端部同士を、水素量300L/minの酸水素バーナ13で6分間加熱し、十分に溶融した(
図1(c)参照)。
その後、光ファイバ母材10とダミー棒11の相対する端部同士を接触させて、毎分10cmの速度で、互いに突合せながら融着接続し、一端部にダミー棒11が接続された光ファイバ母材10を作製した(
図1(d)、(e)参照)。
【0052】
同様にして、光ファイバ母材10とダミー棒11の接続加工を10回繰り返して行い、
図1(e)に示すようなダミー棒11が接続された光ファイバ母材10を10本作製した。
全てのダミー棒11が接続された光ファイバ母材10の接続部には、気泡が存在しなかった。これは、接合面に気泡が存在する可能性があったとしても、融着接続の際、その気泡が、切断加工した部分から、
図1(d)に示した矢印の方向へ逃げたためと考えられる。
【0053】
ここで、ダミー棒11が接続された光ファイバ母材10の両端を旋盤のチャックで把持し、その光ファイバ母材10に対して、100kgの荷重で張力を加えたが、ダミー棒11と光ファイバ母材10の接続部に亀裂や割れが発生しなかった。
【0054】
さらに、上記の接続加工と同様の方法により、光ファイバ母材10のもう一方の端部にも、直径50mmのダミー棒11を接続して、両端にダミー棒11が接続された光ファイバ母材10を製造した。
この光ファイバ母材10の両端に接続されたダミー棒11をチャックで把持し、光ファイバ母材10に対して、外付け工程を行うことにより、光ファイバ母材10の外周に酸化ケイ素を堆積させた(
図2参照)。
その後、酸化ケイ素を堆積させた光ファイバ母材10を脱水、焼結し、ガラス化した光ファイバ母材を得た。
【0055】
ガラス化した光ファイバ母材の全て(10本)について、非円率および偏心量を測定した。
〔非円率〕
下記の定義式に基づき、外径測定器により、光ファイバ母材の非円率を測定した。
(光ファイバ母材の外径aの最大値−光ファイバ母材の外径aの最小値)/(光ファイバ母材の外径aの平均値)×100(%)
〔偏心量〕
プリフォームアナライザを用いて、下記のようにして、光ファイバ母材の偏心量を測定した。
光ファイバ母材の1つの直径上において、コアの両側のクラッドの厚みの差(b−c)の最大値を求めた。
【0056】
いずれの光ファイバ母材においても、非円率は0.5%以内であり、偏心量は1mm以内であった。これは、光ファイバ母材とダミー棒の接合部分が、外付け工程における応力による変形や破損のない、十分に強固なものであり、かつ、本発明のダミー棒が接続された光ファイバ母材の製造方法によって製造された光ファイバ母材は、外付け工程において、偏心、非円の悪化の問題を全く生じないことを示すものである。
【0057】
「実施例2」
ダミー棒11における、光ファイバ母材10の端部と相対する端部を切断後の断面と、ダミー棒11の中心軸に垂直な平面とのなす角度θが7°、すなわち、tanθ=0.123となるように、精密切断砥石を備えた高速切断機により、ダミー棒11の端部を切断加工した以外は実施例1と同様にして、一端部にダミー棒11が接続された光ファイバ母材10を作製した。
【0058】
同様にして、光ファイバ母材10とダミー棒11の接続加工を10回繰り返して行い、
図1(e)に示すようなダミー棒11が接続された光ファイバ母材10を10本作製した。
全てのダミー棒11が接続された光ファイバ母材10の接続部には、気泡が存在しなかった。これは、接合面に気泡が存在する可能性があったとしても、融着接続の際、その気泡が、切断加工した部分から、
図1(d)に示した矢印の方向へ逃げたためと考えられる。
【0059】
ここで、ダミー棒11が接続された光ファイバ母材10の両端を旋盤のチャックで把持し、その光ファイバ母材10に対して、100kgの荷重で張力を加えたが、ダミー棒11と光ファイバ母材10の接続部に亀裂や割れが発生しなかった。
【0060】
さらに、上記の接続加工と同様の方法により、光ファイバ母材10のもう一方の端部にも、直径50mmのダミー棒11を接続して、両端にダミー棒11が接続された光ファイバ母材10を製造した。
この光ファイバ母材10の両端に接続されたダミー棒11をチャックで把持し、光ファイバ母材10に対して、外付け工程を行うことにより、光ファイバ母材10の外周に酸化ケイ素を堆積させた(
図2参照)。
その後、酸化ケイ素を堆積させた光ファイバ母材10を脱水、焼結し、ガラス化した光ファイバ母材を得た。
【0061】
ガラス化した光ファイバ母材の全て(10本)について、実施例1と同様にして、非円率および偏心量を測定した。
【0062】
いずれの光ファイバ母材においても、非円率は0.5%以内であり、偏心量は1mm以内であった。これは、光ファイバ母材とダミー棒の接合部分が、外付け工程における応力による変形や破損のない、十分に強固なものであり、かつ、本発明のダミー棒が接続された光ファイバ母材の製造方法によって製造された光ファイバ母材は、外付け工程において、偏心、非円の悪化の問題を全く生じないことを示すものである。
【0063】
「実施例3」
ダミー棒11における、光ファイバ母材10の端部と相対する端部を切断後の断面と、ダミー棒11の中心軸に垂直な平面とのなす角度θが10°、すなわち、tanθ=0.176となるように、精密切断砥石を備えた高速切断機により、ダミー棒11の端部を切断加工した以外は実施例1と同様にして、一端部にダミー棒11が接続された光ファイバ母材10を作製した。
【0064】
同様にして、光ファイバ母材10とダミー棒11の接続加工を10回繰り返して行い、
図1(e)に示すようなダミー棒11が接続された光ファイバ母材10を10本作製した。
全てのダミー棒11が接続された光ファイバ母材10の接続部には、気泡が存在しなかった。これは、接合面に気泡が存在する可能性があったとしても、融着接続の際、その気泡が、切断加工した部分から、
図1(d)に示した矢印の方向へ逃げたためと考えられる。
【0065】
ここで、ダミー棒11が接続された光ファイバ母材10の両端を旋盤のチャックで把持し、その光ファイバ母材10に対して、100kgの荷重で張力を加えたが、ダミー棒11と光ファイバ母材10の接続部に亀裂や割れが発生しなかった。
【0066】
さらに、上記の接続加工と同様の方法により、光ファイバ母材10のもう一方の端部にも、直径50mmのダミー棒11を接続して、両端にダミー棒11が接続された光ファイバ母材10を製造した。
この光ファイバ母材10の両端に接続されたダミー棒11をチャックで把持し、光ファイバ母材10に対して、外付け工程を行うことにより、光ファイバ母材10の外周に酸化ケイ素を堆積させた(
図2参照)。
その後、酸化ケイ素を堆積させた光ファイバ母材10を脱水、焼結し、ガラス化した光ファイバ母材を得た。
【0067】
ガラス化した光ファイバ母材の全て(10本)について、実施例1と同様にして、非円率および偏心量を測定した。
【0068】
いずれの光ファイバ母材においても、非円率は0.5%以内であり、偏心量は1mm以内であった。これは、光ファイバ母材とダミー棒の接合部分が、外付け工程における応力による変形や破損のない、十分に強固なものであり、かつ、本発明のダミー棒が接続された光ファイバ母材の製造方法によって製造された光ファイバ母材は、外付け工程において、偏心、非円の悪化の問題を全く生じないことを示すものである。
【0069】
「実施例4」
光ファイバ母材の代わりにダミー棒を用いて、実施例2と同様の接続加工を行ない、ダミー棒同士を接続して、2本のダミー棒が接続されたダミー棒を製造した。
【0070】
同様にして、2本のダミー棒の接続加工を10回繰り返して行い、2本のダミー棒が接続されたダミー棒を10本作製した。
全てのダミー棒の接続部には、気泡が存在しなかった。
【0071】
ここで、ダミー棒の両端を旋盤のチャックで把持し、そのダミー棒に対して、100kgの荷重で張力を加えたが、ダミー棒の接続部に亀裂や割れが発生しなかった。
【0072】
「比較例1」
図3に示す方法により、直径50mmの光ファイバ母材30と、直径50mmのダミー棒31を接続し、ダミー棒31が接続された光ファイバ母材30を製造した。
光ファイバ母材30とダミー棒31としては、その相対する端部の断面が、その中心軸に垂直な平面であるものを用意した。
【0073】
その後、実施例1〜4のように、ダミー棒31の端部の切断を行わずに、光ファイバ母材30とダミー棒31を、その中心軸線を中心として回転させながら、光ファイバ母材30とダミー棒31の相対する端部同士を、水素量300L/minの酸水素バーナ33で6分間加熱し、十分に溶融した。このとき、光ファイバ母材30とダミー棒31の端面において、周縁部に環状に盛り上がりが生じた(
図3(b)参照)。
その後、光ファイバ母材30とダミー棒31の相対する端部同士を接触させて、互いに突き合わせながら融着接続し、一端部にダミー棒31が接続された光ファイバ母材30を作製した(
図3(c)参照)。
【0074】
同様にして、光ファイバ母材30とダミー棒31の接続加工を10回繰り返して行い、ダミー棒31が接続された光ファイバ母材30を10本作製した。
全てのダミー棒31が接続された光ファイバ母材30の接続部には、気泡が存在していた。
また、ダミー棒31が接続された光ファイバ母材30の両端を旋盤のチャックで把持し、その光ファイバ母材30に対して、100kgの荷重で張力を加えたところ、ダミー棒31と光ファイバ母材30の接続部に亀裂や割れが発生した。