(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、胃を外科的に切除した患者に前述の問題の解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、埋め込まれた人工胃が、切除した自然な胃を置き換えることができることを実現することに基づく。
【0010】
したがって、本発明の一実施形態によれば、患者の自然胃を置き換えるための人工胃が提供され、この人工胃は、食物を集めるように適合された食物リザーバと、この食物リザーバの第1の開口に接続され、上流で患者の消化管に接続されるようにさらに適合された入口と、食物リザーバの第2の開口に接続され、下流で患者の消化管に接続されるように適合された出口とを備える。
【0011】
好ましい実施形態では、人工胃は、患者の消化管と食物リザーバの第1の開口との間に接続された入口バルブを備える。
【0012】
代替実施形態は、
食物を集めるように適合された食物リザーバと、
この食物リザーバの第1の開口に接続され、上流で患者の消化管に接続されるようにさらに適合された入口と、
食物リザーバの第2の開口に接続され、下流で患者の消化管に接続されるようにさらに適合された出口とを備え、
外壁が、食物リザーバと、食物リザーバのサイズを調節するためのサーボ・リザーバの両方を囲み、食物リザーバとサーボ・リザーバは可撓性の内壁によって分離され、さらに食物リザーバの壁とサーボ・リザーバの壁の両方が外壁の一部および可撓性の内壁の一部を構成する、患者の自然胃を置き換えるための人工胃を含む。
【0013】
人工胃は、患者の腹部に埋込み可能であってよく、上流で食道に接続されるようにさらに適合された入口を有してもよい。また、入口は、上流で腸に接続されるようにさらに適合されてもよい。
【0014】
一実施形態では、入口バルブは入口と食物リザーバの第1の開口との間に接続されるか、または、人工胃は、患者の消化管と食物リザーバの第1の開口との間に接続された入口バルブを備える入口バルブ・ユニットを備える。
【0015】
入口バルブは、好ましくは、消化管内の食物が上流で下方に輸送されるときに相関して開くように適合される。あるいは、入口バルブは、収縮波が消化管に沿って上流に伝搬されるときに相関して開くように適合されるか、または、食物が入口バルブに到達するときに相関して開くように適合される。
【0016】
別の実施形態では、入口バルブ・ユニットは、上流で患者の消化管に入口を接続するように適合された少なくとも1つのコネクタを備える。このコネクタは、消化管の壁の一部を覆うように適合されたスリーブを備えてもよく、このスリーブは、好ましくは、スリーブへのヒト組織の内方成長(in−growth)を促進するように適合された構造を有する。
【0017】
人工胃は、好ましくは入口バルブ・ユニットを備え、この入口バルブ・ユニットは、げっぷ出口(burp output)をさらに備えてもよく、このげっぷ出口は、食物リザーバを接続するげっぷバルブ(burp valve)をさらに備え、入口バルブは前記げっぷバルブの近位にある。
【0018】
人工胃は、好ましくは、食物リザーバと、この食物リザーバのサイズを調節するためのサーボ・リザーバの両方を囲む外壁を有し、食物リザーバとサーボ・リザーバは可撓性の内壁によって分離され、さらに食物リザーバの壁とサーボ・リザーバの壁の両方が外壁の一部および可撓性の内壁の一部を構成し、前記サーボ・リザーバは、少しずつ流体で充填されるように適合され、食物リザーバは、前記サーボ・リザーバが少しずつ前記流体で充填されるとサーボ・リザーバによって少しずつ空にされ、それによって、前記人工胃が埋め込まれているとき少しずつ食物を腸に移すように適合される。
【0019】
食物リザーバは、通常、段階的に食物を少しずつ空にするように適合される。
【0020】
さらに別の実施形態では、人工胃は、受動的に機能し、食物リザーバの容積減少に関連して開くように適合された出口バルブを有する。
【0021】
人工胃は、通常、可変のサイズを有してさまざまな量の流体で充填されるように適合されたサーボ・リザーバを含む。この実施形態のサーボ・リザーバは、周囲の線維化により限定されることなくサイズの変化が可能な形状を有するように適合され、埋め込まれるとインプラントを覆う。
【0022】
人工胃は、サーボ・リザーバとポンプに液圧的に接続された液圧流体リザーバをさらに含み、液圧流体リザーバがポンプによってサーボ・リザーバに液圧的に接続されるようにしてもよい。好ましくは、前記ポンプはサーボ・リザーバと液圧流体リザーバの間で流体を可逆的に移動させるように適合される。
【0023】
別の実施形態による人工胃では、外壁は、食物リザーバと、この食物リザーバのサイズを調節するためのサーボ・リザーバの両方を囲み、食物リザーバとサーボ・リザーバは可撓性の内壁によって分離され、さらに食物リザーバの壁とサーボ・リザーバの壁の両方が外壁の一部および可撓性の内壁の一部を構成する。
【0024】
サーボ・リザーバはベローを備えてもよい。
【0025】
人工胃は、別の実施形態では、サーボ・リザーバと流動的接続状態にあるポンピング・リザーバを手動で押すことによって調節されるように適合された前記サーボ・リザーバを有してもよく、反転サーボをさらに備えてもよく、ポンピング・リザーバ内の小さな容積は、閉鎖系のサーボ・リザーバに手動で移動され、単位面積当たりのより高い力で圧迫されるように適合され、前記サーボ・リザーバは、第2の閉鎖系で、より大きな容積の変化を生じさせ、単位面積当たりの力を小さくするように適合される。
【0026】
好ましくは、人工胃は剛性の外壁を有する。一実施形態では、胃食物部(stomach food part)は、食物リザーバとサーボ・リザーバとを備え、液圧流体リザーバは、剛性の外壁によって胃食物部から分離され、さらに流体リザーバの壁によって囲まれる。
【0027】
さらに別の実施形態では、食物リザーバは、患者が食べているときに食物で充填されると容積を増加するように適合され、それによってサーボ・リザーバの容積を減少させ、次に前記サーボ・リザーバと前記液圧流体リザーバの間で流体を移動させる。
【0028】
人工胃の出口は、通常、下流で腸に接続されるようにさらに適合される。
【0029】
人工胃は、好ましくは、食物リザーバの第2の開口と出口の間に接続された出口バルブを備え、この出口バルブは、食物リザーバを空にするべきときに開くように適合される。あるいは、出口バルブは、調節された割合で開くように適合される。
【0030】
別の実施形態による人工胃では、食物リザーバ、入口、および出口は、生体適合性材料から製造される。
【0031】
人工胃は、好ましくは、上流で患者の消化管に入口を接続するかまたは下流で患者の消化管に出口を接続するように適合された少なくとも1つのコネクタを備え、このコネクタは、好ましくは、消化管の壁の一部を覆うように適合されたスリーブを備え、このスリーブは、好ましくは、スリーブへのヒト組織の内方成長を促進するように適合された構造を有する。
【0032】
したがって、人工胃は、好ましくは、出口コネクタに腸を接続するコネクタおよび/または入口コネクタに食道または腸を接続するコネクタを備える。
【0033】
一実施形態では、人工胃は食物処理システムを備え、この食物処理システムは、
食物リザーバ内の食物を機械的に処理し、
食物リザーバの食物を移動させ、
食物リザーバの食物を切断し、好ましくは、食物リザーバの食物を切断するように適合された、電気的に駆動される回転ナイフを備え、
食物リザーバの食物を圧搾し、
食物リザーバ内の食物を化学的に処理し、
食物リザーバに、食物リザーバの食物を処置するように適合された少なくとも1つの液体を放出するように適合されてもよい。
【0034】
この液体は、酸、酵素、抗菌物質のうちの少なくとも1つからなってもよい。
【0035】
さらに別の実施形態では、人工胃は、少なくとも1つの液体を食物リザーバに放出することによって食物リザーバの表面を洗浄するように適合された洗浄システムを備える。
【0036】
この液体は、洗浄物質および/または抗菌物質を含んでもよい。
【0037】
人工胃は特殊容器をさらに備えてもよく、この特殊容器は、好ましくは、少なくとも1つの液体を蓄積し、これを食物処理システムに分配するように適合されるか、および/または、この特殊容器は、少なくとも1つの液体を蓄積し、これを洗浄システムに分配するように適合される。
【0038】
人工胃またはこれに接続されたシステムは、食物がいつ人工胃に到達できるかを指し示すために食物リザーバの外部のその入口側に配置された食物センサを含んでもよく、好ましくは、この食物センサは食道壁に配置される。
【0039】
一実施形態のシステムは、食物が人工胃に到着できるという指示が、食道の容積の変化または食道壁の曲率もしくは伸長の変化を指し示すことによってなされることを含む。
【0040】
さらに別の実施形態では、人工胃は、患者の食道または腸に接続されるように適合された少なくとも1つのコネクタを備え、このコネクタは、人工胃の外部で近位である第1端に固定して付着されて食物通路と流動的接続状態にある導管を備え、この導管の近位部はチューブのように形成され、このチューブの遠位にバルジが形成される。
【0041】
好ましくは、ブロッキング・リングはバルジに押し付けられるように配置され、このリングは、前記バルジの外径より小さいが腸/食道壁を前記リングと前記チューブの間に設置できるのに十分な大きさの内径を有し、それによって、前記腸/食道壁がチューブから滑るのを妨げるように適合される。好ましくは、丸められ、次にチューブおよび食道または腸の一部を覆うように広げられるように配置され、バルジ上にも延びるように十分に遠くまで導管の第2の端に被せられるように配置された可撓性スリーブが含まれる。
【0042】
人工胃の一実施形態では、ブロッキング・リングは可撓性スリーブ上でバルジに押し付けられるように配置され、このリングは、前記バルジの外径より小さいが腸/食道壁を前記リングと前記チューブの間に設置できるのに十分な大きさの内径を有し、それによって、前記腸/食道壁がチューブから滑るのを妨げるように適合される。
【0043】
一実施形態の人工胃は、流体リザーバとサーボ・リザーバの間に配置された戻し導管を含み、前記戻し導管を介して前記サーボ・リザーバと前記液圧流体リザーバの間で流体を移動させる。
【0044】
人工胃の一実施形態では、サーボ・リザーバから液圧流体リザーバへの流体の移動は、入口から食物リザーバに入る食物がサーボ・リザーバの可撓性の壁に押し付けられ、したがって、流体をそこから戻し導管を介して液圧流体リザーバに移すことによって行われる。
【0045】
人工胃の別の実施形態では、サーボ・リザーバから液圧流体リザーバへの流体の移動は、食物が食物リザーバに入ることが可能なときに食物センサがポンプに信号を送信し、したがって、ポンプが、前記食物に対応する量の流体をサーボ・リザーバから液圧流体リザーバにポンプで汲み出すことによって行われる。
【0046】
さらに別の実施形態によれば、食物リザーバを空にすることは、ギア構造によって直接的または間接的に調節される。好ましくは、このギア構造はモータによって駆動される。
【0047】
別の実施形態による人工胃は、より長い距離に備えて力をとっておくために、前記モータに接続されたサーボ・システムを備える。
【0048】
好ましくは、サーボ・システムは前記モータに接続され、駆動軸は前記サーボ・システムに接続され、駆動軸は、好ましくは、前記食物リザーバを空にすることに直接的または間接的に影響を及ぼす。
【0049】
別の実施形態では、駆動軸は、糸を備える2つの端部を備え、この2つの端部において螺旋形の隆起が異なる方向に回転し、駆動軸の各端部において軸上に設置されたナットをさらに備え、食物リザーバは、前記リザーバの2つの移動可能な壁を備え、前記ナットは前記移動する壁に設置されるように適合され、モータは、前記移動可能な壁を移動させることによって、前記ナット内に設置された前記駆動軸を回転させると前記食物リザーバの容積を変化させるように適合される。
【0050】
人工胃は、弾性材料、生体適合性材料、および/またはシリコンからなってよい。
【0051】
適切には、少なくとも1つの層が設けられる。例えば、金属層、パリレン層、ポリテトラフルオロエチレン層、またはポリウレタン層である。適切には、各層のうちの1つは、金属、シリコン、またはPTFEで作製されてもよい。各層は、複数の層を任意の順序で備えてもよい。容積充填(volume filling)デバイスは、シリコン、ポリウレタン、Teflon(登録商標)、またはポリテトラフルオロエチレン、金属、パリレン、PTFE、またはこれらの組み合わせからなる外面層を備えてもよい。容積充填デバイスは、シリコン、ポリウレタン、Teflon(登録商標)、またはポリテトラフルオロエチレン、金属、パリレン、PTFE、またはこれらの組み合わせからなる内面層を備えてもよい。層の他の組み合わせとしては、ポリテトラフルオロエチレンからなる内面層とシリコンからなる外層、ポリテトラフルオロエチレンからなる内面層とシリコンからなる中間層とパリレンからなる外層、ポリウレタンからなる内面層とシリコンからなる外層、およびポリウレタンからなる内面層とシリコンからなる中間層とパリレンからなる外層が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
流体は、拡散を防ぐために、ヨウ素分子などの巨大分子を含んでもよい。
【0053】
システムは、患者の腹壁の第1の側面に埋め込まれるように適合された第1のユニットを備える人工胃用の固定デバイスを含んでもよく、第2のユニットは、腹壁の第2の側面で患者の腹腔に埋め込まれるように適合され、人工胃は固定デバイスに固定され、好ましくは第1のユニットまたは第2のユニットは、患者の体外から見て、円形または楕円形の断面形状を有する。
【0054】
一実施形態では、第1のユニットおよび第2のユニットは、保護を提供する材料で作製されたカバーによって覆われ、好ましくはこのカバーは、制御アセンブリであってもよい固定デバイスを封止し、それによって、考えられる電子機器および考えられる制御アセンブリの感度の高い他の構成要素を保護する。
【0055】
システムは、固定デバイスが体組織によって所定の位置に保持されるように第1のユニットと第2のユニットの間の機械的相互接続部を構成する相互接続デバイスを含んでもよい。
【0056】
別の実施形態では、相互接続デバイスは、第1のユニットと第2のユニットを電気的にまたは液圧的に相互接続する種々のワイヤ、ホースなどを収容するために中空である。
【0057】
一実施形態によれば、デバイスは、非侵襲的にデバイスを手動で制御するためのスイッチを備えることができるシステムの一部である。このスイッチは、一実施形態によれば、電気スイッチであり、皮下埋込み用に設計される。
【0058】
別の実施形態によれば、システムは、液圧リザーバを有する液圧デバイスをさらに備え、この液圧リザーバはこのデバイスに液圧的に接続される。このデバイスは、液圧リザーバを押すことによって手動で制御可能であるか、または無線遠隔制御装置を使用して自動で動作されることができる。
【0059】
無線遠隔制御装置システムは、一実施形態によれば、少なくとも1つの体外信号伝送器と、この体外信号伝送器によって送信された信号を受信するための、患者に埋込み可能な体内信号受信器とを備える。このシステムは、周波数変調信号、振幅変調信号、または位相変調信号、またはこれらの組み合わせを使用して動作することができる。
【0060】
一実施形態によれば、無線制御信号は、アナログ信号、またはデジタル信号、またはアナログ信号とデジタル信号の組み合わせを含む。また、無線制御信号が電界、または磁界、または複合電磁界を構成することも考えられる。別の実施形態によれば、無線遠隔制御装置は、無線制御信号を搬送するための搬送波信号をさらに伝送し、前記信号は、デジタル信号、アナログ信号、またはデジタル信号とアナログ信号の組み合わせ信号を含むことができる。
【0061】
システムにエネルギーを供給するため、システムは、一実施形態によれば、前記デバイスを非侵襲的に作動させるための無線エネルギー伝送デバイスを備える。前記実施形態によれば、エネルギー伝送デバイスは少なくとも1つの無線エネルギー信号によってエネルギーを伝送し、無線エネルギー信号は、例えば超音波信号、電磁波信号、赤外線信号、可視光信号、紫外光信号、レーザ光信号、マイクロ波信号、電波信号、x線信号、ガンマ線信号などの波信号を含む。
【0062】
さらに、エネルギー信号は電界、または磁界、または複合電磁界を構成し、デジタル信号、アナログ信号、またはデジタル信号とアナログ信号の組み合わせなどの搬送波信号を使用して伝送可能であることが考えられる。
【0063】
一実施形態によれば、システムは、前記デバイスに動力を供給するためのエネルギー源をさらに備え、このエネルギー源は、埋込み可能なエネルギー源であってもよく、体外エネルギー源であってもよく、またはこれらの組み合わせであってもよい。これらのエネルギー源を組み合わせる場合、体内エネルギー源と体外エネルギー源は電気通信を行うことができる。
【0064】
システムが体内エネルギー源を備える一実施形態では、体内エネルギー源を充電するためのエネルギー伝送に相関する機能パラメータを検知するセンサを設けてもよく、そのうえ、患者の内部から外部にフィードバック情報を送信するためのフィードバック・デバイスを設けることが考えられる。
【0065】
別の実施形態によれば、システムは、機能的パラメータまたは物理的パラメータなどのパラメータを検知するセンサをさらに備える。前記機能パラメータは、一実施形態によれば、患者に埋込み可能な体内エネルギー源を充電するためのエネルギーの伝送に相関する。そのうえ、前記実施形態は、患者の体内から体外にフィードバック情報を送信するためのフィードバック・デバイスと、検知を制御するための埋込み可能な体内制御ユニットとを備えることができる。前述の物理的パラメータは体温、血圧、血流、心拍、および呼吸のうちの1つとすることができ、センサは圧力センサまたは運動性センサとすることができる。
【0066】
一実施形態によれば、システムは、体外データ通信器と、この体外データ通信器と通信する埋込み可能な体内データ通信器とをさらに備えることができ、この体内通信器が前記デバイスまたは患者に関連するデータを体外データ通信器に送るか、および/または体外データ通信器がデータを体内データ通信器に送る。システムは、電気的に、液圧的に、または空気圧的に動作可能な、モータまたはポンプなどの、前記デバイスを動作するための動作デバイスをさらに備えることも考えられる。
【0067】
別の実施形態によれば、システムは、無線エネルギーを伝送するためのエネルギー伝送デバイスを有し、この無線エネルギーは、例えば前記デバイスの動作のための運動エネルギーを生成することによって動作デバイスに動力を直接供給するために使用される。
【0068】
システムが、無線エネルギーを伝送するためのエネルギー伝送デバイスを備える実施形態では、第1の形から第2の形に無線エネルギーを変換するためのエネルギー変換デバイスを設けてもよい。前記エネルギー変換デバイスは、第2の形のエネルギーによって動力を直接供給してもよい。エネルギーは、直流または脈動直流電流、または直流と脈動直流電流の組み合わせ、または交流または直流と交流の組み合わせの形をとることができる。エネルギーが、磁気エネルギー、運動エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、放射エネルギー、電磁エネルギー、光エネルギー、核エネルギー、または熱エネルギーの形をとることも考えられる。システムは、エネルギーを貯蔵するための埋込み可能なアキュムレータをさらに備えてもよい。
【0069】
システムの損傷を防ぐために、システムが、少なくとも1つの電圧レベル・ガードおよび/または少なくとも1つの定電流ガードを含む埋込み可能な電気的構成要素を備えることが考えられる。
【0070】
好ましい一実施形態では、システムは、非侵襲的に装置を手動で制御するための、患者に埋込み可能な少なくとも1つのスイッチを備える。
【0071】
別の好ましい実施形態では、システムは、非侵襲的に装置を制御するための無線遠隔制御装置を備える。
【0072】
好ましい一実施形態では、システムは、装置を動作するための液圧動作デバイスを備える。
【0073】
一実施形態では、システムは、装置を動作するためのモータまたはポンプを備える。
【0074】
食物リザーバが少しずつ空にされるかまたは少なくとも実質的に空にされるようにサーボ・リザーバを段階的に少しずつ流体で充填する方法では、続いて少しずつ食物が腸によって受容される。
【0075】
他の好ましい実施形態は、従属請求項によって定義される。
【0076】
すべての実施形態または一実施形態の特徴ならびに任意の方法またはある方法のステップは、明らかに矛盾していない限り、いかなる方法で組み合わせられることが可能なことに留意されたい。また、一般的な説明は、ある方法を実施するように適合された装置またはデバイスならびにこの方法それ自体の両方を説明すると見なされるべきであることに留意されたい。
【0077】
次に本発明について、添付の図面を参照して例によって説明する。
【発明を実施するための形態】
【0079】
簡単に説明すると、本発明は、人工胃を提供して、それを患者の身体に埋め込むことによって、自然な胃を切除した患者のより自然な消化過程を可能にする解決策を提供する。
【0080】
この説明で使用される「食物」という用語は、以下、食物または液体、ならびに患者が食べたり飲んだりした食物および液体の任意の組み合わせを表す。「患者」は、その自然胃を人工胃に置き換えたヒトまたは動物を意味する。「食道(oesophagus)」は、「食道(esophagus)」とも綴られることがわかっている。同様に、「食道の(oesophageal)」は、「食道の(esophageal)」とも綴られることがある。
【0081】
従来技術について、
図1、
図2a、および
図2bを参照して前述した。
【0082】
次に、本発明の一実施形態による埋め込まれた人工胃を有する患者について、
図3を参照して説明する。人工胃10は、患者200の身体に、好ましくは自然胃が切除されたのと同じ場所に埋め込まれる。人工胃10は、この例では、遠隔制御装置(図示せず)などの任意の適切な手段によって制御されてもよく、遠隔制御装置は患者の体外に設置されるか、または体内に埋め込まれる。
【0083】
次に、本発明の例示的な実施形態による人工胃について、ブロック図を示す
図4を参照して説明する。人工胃10は、食物リザーバ12の第1の開口に接続された入口11と、リザーバ12の第2の開口に接続された出口13とを備える。入口11は、上流で患者の食道に接続され、患者が食べたり飲んだりするとき、食物を受容する。入口11は、食物を、食物を集める食物リザーバ12に送る。出口13は、下流で患者の腸に接続され、集められた食物を出す。あるいは代わりに、入口11は、出口13が接続された点から上流の点で腸に接続されてもよい。これは、自然胃を切除し食道を腸に接続した患者に有用である。好ましくは、人工胃10は、患者の腹部に埋め込まれるように適合されてもよいが、患者の体内または体外の他の領域に使用されるように設計されてもよい。
【0084】
次に、前述の実施形態と異なる別の実施形態について、
図4bを参照して説明する。この実施形態による人工胃は、前述のように、対応する入口11と、食物リザーバ12と、出口13とを備えるが、種々の追加構成要素も備える。人工胃10は、入口バルブ14と、任意選択の出口バルブ15とを備え、これらのバルブは食物リザーバ12を開閉する。入口バルブ14は、食道内の食物および/または収縮波が長手方向に輸送されて食道を下るときに相関して開くように適合される。任意選択で、入口バルブ14は、代わりに、食道内の食物および/または収縮波が入口バルブ14に到達するときに相関して開くように適合されてもよい。出口バルブ15は、食物リザーバ12の内容を比較的ゆっくりと腸に移すように適合され、出口バルブは段階的にまたは無段階的に開くように適合されてもよい。人工胃10を食道または腸に接続するために、入口コネクタ17および出口コネクタ18を使用してもよい。このようなコネクタについては、
図7aおよび
図7bを参照して以下に詳細に説明するが、参照により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第60/960,790号および第60/960,791号に記載されている。食物は食物通路16を通って輸送され、食物通路16は、食物と接触するすべての構成要素、すなわち食物リザーバ12、入口バルブ14、出口バルブ15、ならびにコネクタ17および18を含む構成要素として定義される。この食物通路は、好ましくは、生体適合性材料から製造される。好ましくは、食物リザーバ12は、その内容を比較的ゆっくりと腸に移すように適合されてもよい。食物センサ117は、食物がいつ食物リザーバ12に到達できるかを指し示すために、食物リザーバ12の外部にその入口側に配置されてもよい。食物センサ117は、例えば
図4bに示される位置に配置されるが、前述のように、例えば食道壁に置かれてもよい(
図33を参照)。食物が食物リザーバ12に到着できるという指示は、例えば、食道の容積の変化、または食道壁の曲率もしくは伸長の変化を指し示すことによってなされ、その場合、食物センサは好ましくは
図33に示されるように食道壁上または食道壁において配置される。
【0085】
食物処理システム19は、食物リザーバ12に接続され、食物リザーバ12内の食物を機械的におよび/または化学的に処理するように適合される。機械的な食物処理システムは、食物リザーバ12の食物を移動させる移動システム、食物リザーバ12の食物を圧搾する圧搾システム、食物リザーバ12の食物を(例えばナイフを回転させることによって)切断する切断システム、または食物リザーバ12の食物を機械的に処理することに適した他の任意のシステムのうちの少なくとも1つを含んでもよい。一方、化学的食物処理システムは、例えば消化促進用化学物質(例えば酵素、酸など)または殺菌用化学物質(例えば抗菌物質)を食物に放出することによって、食物を処置するために種々の化学物質を食物リザーバ12に放出するように適合されてもよい。洗浄システム20を設け、例えば任意の抗菌物質を含む洗浄用化学物質を用いて食物通路16を処置するように適合してもよい。
【0086】
食物リザーバ12での消化促進用化学物質、殺菌用化学物質、または洗浄用化学物質の放出を可能にするために、人工胃10は、これらの化学物質を食物リザーバ12に分配する前にこれらを蓄積するように適合された特殊容器21を備える。そのうえ、特殊容器21への化学物質の充填または補充を可能にするために、特殊容器21に接続された注入ポート22も設ける。注入ポート22は、患者の身体の皮下に設置されるように適合され、さらに抗菌液、酸、洗浄液、造影剤、または他の任意の適切な液体のうちの少なくとも1つを注入されるように適合される。
【0087】
人工胃10を動作するために、動作デバイス40を設ける。動作デバイス40は、例えば食物処理システム19または洗浄システム20を動作することによって、電気的におよび/または液圧的に人工胃10を動作してもよい。人工胃10が電気的に動作される場合、動作デバイス40は電力の供給を受け、例えば電気モータを備えてもよい。人工胃10が液圧的に動作される場合、代わりに動作デバイス40は液圧動作デバイスである。しかし、動作デバイス40は異なる方法で動力を供給され動作されるように設計されてもよいことは、当業者には理解されよう。例えば、食物処理システム19は液圧的に動作されてもよいが、電力の供給を受けてもよい。
【0088】
人工胃10は種々の機能、例えば機械的な食物の処理、化学的な食物の処理、または食物通路16の洗浄に適合され、これらの機能の少なくとも1つが患者200の体外から調節されてもよい。患者200の体外から機能を調節するために、皮下スイッチは患者によって押されるように適合されてもよい。あるいは、人工胃10が液圧的に動作されるとき、液圧動作デバイス40との接続を有する液圧リザーバは、動作デバイス40を調節するために患者200によって手動で押されるように適合されてもよい。この液圧リザーバは、特殊容器21であってもよく、侵襲的にまたは非侵襲的に設置されてもよい。動作デバイス40が電力の供給を受けるとき、一代替形態の人工胃10は、体内エネルギー源(例えば電池またはアキュムレータ)と、遠隔制御装置と、この遠隔制御装置からの情報信号の受信器とを備えてもよい。これらの構成要素は、患者が体外から人工胃を調節することを可能にするように適合される。人工胃を制御または調節する異なる方法について、
図9〜
図32を参照して以下に説明する。
【0089】
しかし、説明された実施形態の構成要素は変えることができ、これらの構成要素の種々の組み合わせを備える人工胃を構築することもできることは、当業者には理解されよう。
【0090】
次に、本発明の例示的な実施形態による人工胃について、
図5を参照して、ならびに
図2および
図4をさらに参照して説明する。人工胃10は、好ましくは、自然胃の構造に類似した解剖学的構造を有するために製造され、患者の腹部に設置されるように適合される。この実施形態では、人工胃10が液圧的に動作される。人工胃10は消化管に接続され、上流で入口11は食道202に接続され、下流で出口13は切断された空腸214の遠位端に接続される。しかし、人工胃10は消化管の種々の場所に埋め込まれることができることは、当業者には理解されよう。例えば、ルーY法によって胃を切除した患者200は、残存消化管(空腸214の遠位端と縫合された食道202)を切断し、人工胃10の入口11および出口13に接続してもよい。その場合、空腸214の上流部は人工胃10の入口11に接続されてもよく、空腸214の下流部は人工胃10の出口13に接続されてもよい。人工胃10の調節ベロー502は、ホース506を介して、サーボ・リザーバでもある液圧リザーバ504と接続される。液圧リザーバ504は、患者200内の腹壁510の外部、すなわち患者の皮膚508と腹壁510の間に皮下に設置される。次いで、患者は液圧リザーバ504を押すかまたは圧搾することによって人工胃10を動作することができる。液圧リザーバ504を圧搾すると、調節ベロー502への液圧流体の流れを調節する。あるいは、液圧リザーバ504は、患者200の体内の別の適切な位置に設置されてもよく、次いで液圧リザーバ504の圧搾は、例えば皮下スイッチを押すことによって、または皮下に設置されたポンプを起動することなどによって間接的に実施されてもよい。次に、スイッチおよびポンプはそれぞれ、患者200によって押され、起動されてもよい。人工胃の食物リザーバは、任意選択で、患者が食べているときに食物で充填されると容積を増加するように適合され、それによってサーボ・リザーバの容積を変化させ、次に前記サーボ・リザーバと前記液圧流体リザーバの間で流体を移動させる。
【0091】
次に、本発明の例示的な実施形態による人工胃について、
図6を参照して、ならびに
図2および
図4をさらに参照して説明する。人工胃10は、自然胃の構造に類似した解剖学的構造を有するために製造され、患者の腹部に設置されるように適合される。この実施形態では、人工胃10は機械的に動作される。人工胃10は消化管に接続され、上流で入口11は食道202に接続され、下流で出口13は切断された空腸214の遠位端に接続される。しかし、人工胃10は消化管の種々の場所に埋め込まれることができることは、当業者には理解されよう。例えば、ルーY法によって胃を切除した患者200は、残存消化管(空腸214の遠位端と縫合された食道202)を切断し、人工胃10の入口11および出口13に接続してもよい。その場合、空腸214の上流部は人工胃10の入口11に接続されてもよく、空腸214の下流部は人工胃10の出口13に接続されてもよい。人工胃10は、モータ40によって駆動されるギア74によって調節される。モータ40を動作する動作ユニット606が、患者200内の腹壁510の外部、すなわち患者の皮膚508と腹壁510の間に皮下に設置される。モータ40は、動作ユニット606と接続され、コネクタ608を介して動作ユニットによっても動力を供給される。動作ユニット単位606は皮下スイッチを有してもよく、患者200はこのスイッチを押すことによって人工胃10を動作することができる。あるいは、動作ユニットは、患者200の体外から遠隔制御装置または他の適切なユニットによって制御されてもよい。人工胃の食物リザーバは、任意選択で、患者が食べているときに食物で充填されると容積を増加するように適合され、それによってモータによって駆動されるギア74を変化させ、例えば、これにより、ギアは食物リザーバ内の食物の増加による影響によって動くことができる。前記変化によって、ベローの位置も変化する。この実施形態によれば、食物リザーバを空にすることは、好ましくはモータによって駆動されるギア構造によって直接的または間接的に調節される。
【0092】
次に、本発明の例示的な実施形態による(720の)コネクタ(前は17および18と呼ばれた)について、
図7aおよび
図7bを参照して、ならびに
図3および
図4をさらに参照して説明する。人工胃10は、患者の食道202または腸204に接続されるように適合された少なくとも1つの(720の)コネクタを備える。(720の)コネクタは好ましくは円形の導管726を備え、導管726は人工胃10の外部で近位である第1端に固定的に取り付けられ、食物通路と流動的接続状態にある。導管726の近位部はチューブ718のように形成され、チューブ718の遠位にバルジ728が形成される。可撓性スリーブ720は丸められ、次にチューブ718および管状組織722(食道202または腸204)の一部を覆うように元に戻され、この場合、バルジ728上にも延びるように十分に遠くまで導管726の第2の端724に被せられる。可撓性スリーブ720は、可撓性スリーブ720と腸/食道壁722の間の長期接続を達成するために可撓性スリーブ720を介して組織の内方成長を促進するように適合された構造を有する。可撓性スリーブ720が管状組織722の上に元に戻された後、ブロッキング・リング730が可撓性スリーブ上でバルジ728に押し付けられる。リング730は、前記バルジ728の外径より小さいが腸/食道壁722を前記リング730と前記チューブ718の間に設置できるのに十分な大きさの内径を有し、それによって、前記腸/食道壁722がチューブ718から滑るのを妨げるように適合される。しばらくして、腸/食道壁722および導管726の壁734に縫合された糸732(
図7b)は患者200の身体によって吸収され、ほぼ同じ時期に、生体組織が腸/食道壁722内に形成され、腸/食道壁722を可撓性スリーブ720の内方成長層736に接続する。したがって、腸/食道壁722が導管726の第2の端724から引き離される傾向があるので、ブロッキング・リング730も移動され、腸/食道壁722および可撓性スリーブ720をバルジ728に押し付け、それによって、腸/食道壁722がバルジ728の上を滑るのを防止する。ブロッキング・リング730と可撓性スリーブ720の外表面との間の摩擦係数は、導管の壁734の外表面が腸/食道壁722に対して有する摩擦係数より高いべきである。前述のように、(720の)コネクタは好ましくはスリーブ720を備えるが、このコネクタから前記スリーブ720を省くことも選択肢として可能であり、その場合、前述の機能を維持するために、
図7aおよび
図7bに示されるものに比べて多少小さな直径を有するブロッキング・リング730が配置される。
【0093】
システム
次に、前述の人工胃を備え、全体的に28と指定されている、人工胃システムについて、
図8〜
図32を参照して説明する。
【0094】
図8のシステムは、患者200の腹部に設置された人工胃10を備える。埋め込まれたエネルギー変換デバイス30の形をとる体内エネルギー源は、電力供給ライン32を介して人工胃システムのエネルギー消費構成要素にエネルギーを供給するように適合される。体外エネルギー伝送デバイス34は、無線信号を伝送する無線遠隔制御装置を含み、この無線信号は信号受信器によって受信される。この信号受信器は、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30に組み込まれてもよいし、それと別個でもよい。埋め込まれたエネルギー変換デバイス30は、信号からのエネルギーを電気エネルギーに変換し、これを電力供給ライン32を介して供給する。
【0095】
図8のシステムは、
図9のより一般化されたブロック図形態に示されており、同図では、垂直線によって全体的に示されている患者の皮膚36は、線の右側にある患者の内部を、線の左側にある外部から分離している。
【0096】
図10は、分極エネルギーによっても動作可能な電気スイッチ38の形をとる反転デバイスが、人工胃10を反転させるために患者に埋め込まれている点を除いて、
図9のものと同一である本発明の一実施形態を示す。体外エネルギー伝送デバイス34の無線遠隔制御装置は、分極エネルギーを搬送する無線信号を伝送し、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30は、電気スイッチ38を動作するために無線分極エネルギーを分極電流に変換する。電流の極性が、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30によって転換されると、電気スイッチ38は、人工胃10によって実施される機能を逆転させる。
【0097】
図11は、患者に埋め込まれた、人工胃10を調節するための動作デバイス40が、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30と人工胃10の間に設けられる点を除いて、
図9のものと同一である本発明の一実施形態を示す。この動作デバイスは、電気サーボモータなどのモータ40の形をとることができる。体外エネルギー伝送デバイス34の遠隔制御装置が、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30の受信器に無線信号を伝送するので、モータ40は、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30からエネルギーを供給される。
【0098】
図12は、動作デバイスも備え、モータ/ポンプ・ユニット78を含むアセンブリ42の形をとり、調節リザーバ46が患者に埋め込まれる点を除いて、
図9のものと同一である本発明の一実施形態を示す。この場合、人工胃10は液圧的に動作される、すなわち液圧流体がモータ/ポンプ・ユニット44によって調節リザーバ46から導管48を通って人工胃10にポンプ注入されて人工胃を動作させ、液圧流体が人工胃10から調節リザーバ46にモータ/ポンプ・ユニット44によってポンプ注入されて人工胃を開始位置に戻す。埋め込まれたエネルギー変換デバイス30は、無線エネルギーを電流、例えば分極電流に変換し、電力供給ライン50を介してモータ/ポンプ・ユニット44に動力を供給する。
【0099】
液圧的に動作される人工胃10の代わりに、動作デバイスが空気圧動作デバイスを備えることも考えられる。この場合、調節のために加圧空気を使用することができ、調節リザーバは空気チャンバに置き換えられ、流体は空気に置き換えられる。
【0100】
これらの実施形態のすべてにおいて、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30は、無線エネルギーによって充電される電池またはコンデンサのような再充電可能なアキュムレータを含んでもよく、デバイスの任意のエネルギー消費部分のためのエネルギーを供給する。
【0101】
体外エネルギー伝送デバイス34は、好ましくは無線であり、人体の外部からデバイスを制御するための、遠隔で制御される制御デバイスを含んでもよい。
【0102】
このような制御デバイスは、無線遠隔制御装置、ならびに患者の手によって、おそらく間接的に、例えば皮膚の下に設置された押しボタンと接触する任意の埋め込まれた部分の手動制御装置を含んでもよい。
【0103】
図13は、無線遠隔制御装置を有する体外エネルギー伝送デバイス34と、この場合は液圧的に動作される人工胃10と、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30とを備え、液圧流体リザーバ52と、モータ/ポンプ・ユニット44と、液圧バルブ・シフト・デバイス54の形をとる反転デバイスとをさらに備える本発明の一実施形態を示しており、これらはすべて患者に埋め込まれる。もちろん、液圧動作は、ポンプ注入方向を変更するだけで容易に実施されることができ、したがって液圧バルブを省略してもよい。遠隔制御装置は、体外エネルギー伝送とは独立したデバイスであってもよいし、同じデバイスに含まれてもよい。モータ/ポンプ・ユニット44のモータは電気モータである。埋め込まれたエネルギー変換デバイス30は、体外エネルギー伝送デバイス34の無線遠隔制御装置からの制御信号に応答して、この制御信号によって搬送されるエネルギーからのエネルギーを用いてモータ/ポンプ・ユニット44に動力を供給し、それによってモータ/ポンプ・ユニット44は液圧流体リザーバ52と人工胃10の間に液圧流体を分配する。体外エネルギー伝送デバイス34の遠隔制御装置は、人工胃を動作するために流体がモータ/ポンプ・ユニット44によって液圧流体リザーバ52から人工胃10にポンプ注入される1つの方向と、人工胃を開始位置に戻すために流体がモータ/ポンプ・ユニット44によって人工胃10から液圧流体リザーバ52にポンプ注入される別の反対方向との間で液圧流体の流れる方向を転換するように、液圧バルブ・シフト・デバイス54を制御する。
【0104】
図14は、体外エネルギー伝送デバイス34の無線遠隔制御装置によって制御される体内制御ユニット56、アキュムレータ58、およびコンデンサ60も患者に埋め込まれる点を除いて、
図13のものと同一である本発明の一実施形態を示す。体内制御ユニット56は、人工胃10にエネルギーを供給するアキュムレータ58内における、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30から受け取った電気エネルギーの貯蔵を準備する。体内制御ユニット56は、体外エネルギー伝送デバイス34の無線遠隔制御装置からの制御信号に応答して、アキュムレータ58から電気エネルギーを放出し、この放出されたエネルギーを電力ライン62および64を介して変換するか、または電力ライン66、電流を安定化させるコンデンサ60、電力ライン68、および電力ライン64を介して、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30からの電気エネルギーを直接変換して、人工胃10を動作させる。
【0105】
体内制御ユニットは好ましくは患者の体外からプログラム可能である。好ましい一実施形態では、体内制御ユニットは、あらかじめプログラムされたタイム・スケジュールに従って、または患者の任意の可能な物理的パラメータもしくはデバイスの任意の機能パラメータを検知する任意のセンサからの入力に従って胃を伸ばすように人工胃10を調節するためにプログラムされる。
【0106】
一代替形態によれば、
図14の実施形態のコンデンサ60を省略してもよい。別の代替形態によれば、この実施形態のアキュムレータ58を省略してもよい。
【0107】
図15は、人工胃10を動作するためにエネルギーを供給するための電池70および人工胃10の動作を切り換えるための電気スイッチ72も患者に埋め込まれる点を除いて、
図9のものと同一である本発明の一実施形態を示す。電気スイッチ72は、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30によって供給されるエネルギーによって動作され、電池70が使用中でないオフ・モードから電池70が人工胃10の動作のためエネルギーを供給するオン・モードに切り換える。
【0108】
図16は、体外エネルギー伝送デバイス34の無線遠隔制御装置によって制御可能な体内制御ユニット56も患者に埋め込まれる点を除いて、
図15のものと同一である本発明の一実施形態を示す。この場合、電気スイッチ72は、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30によって供給されるエネルギーによって動作され、無線遠隔制御装置が体内制御ユニット56を制御することが防止され、かつ電池が使用中でないオフ・モードから、遠隔制御装置が人工胃10の動作のため電池70から電気エネルギーを放出するように体内制御ユニット56を制御することができるスタンバイ・モードに切り換える。
【0109】
図17は、アキュムレータ58が電池70の代用となり、埋め込まれた各構成要素が異なるように相互接続される点を除いて、
図16のものと同一である本発明の一実施形態を示す。この場合、アキュムレータ58は、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30からのエネルギーを貯蔵する。体内制御ユニット56は、体外エネルギー伝送デバイス34の無線遠隔制御装置からの制御信号に応答して、電気スイッチ72を制御して、アキュムレータ58が使用中でないオフ・モードから、アキュムレータ58が人工胃10の動作のためエネルギーを供給するオン・モードに切り換える。
【0110】
図18は、電池70も患者に埋め込まれ、埋め込まれた各構成要素が異なるように相互接続される点を除いて、
図17のものと同一である本発明の一実施形態を示す。体内制御ユニット56は、体外エネルギー伝送デバイス34の無線遠隔制御装置からの制御信号に応答して、アキュムレータ58を制御し、電気スイッチ72を動作するためのエネルギーを送出し、電池70が使用中でないオフ・モードから、電池70が人工胃10の動作のため電気エネルギーを供給するオン・モードに切り換える。
【0111】
あるいは、電気スイッチ72は、アキュムレータ58によって供給されるエネルギーによって動作され、無線遠隔制御装置が電池70を制御して電気エネルギーを供給することが防止され、使用中でないオフ・モードから、無線遠隔制御装置が人工胃10の動作のため電気エネルギーを供給するように電池70を制御することができるスタンバイ・モードに切り換えてもよい。
スイッチはその最も範囲の広い実施形態において解釈されるべきであることを理解されたい。これは、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)またはD/Aコンバータまたは他の任意の電子構成要素または回路の電源がオンおよびオフに切り換えることができ、好ましくは体外から、または体内制御ユニットによって制御されることを意味する。
【0112】
図19は、モータ40、ギア74の形をとる機械的な反転デバイス、およびギア74を制御するための体内制御ユニット56も患者に埋め込まれる点を除いて、
図15のものと同一である本発明の一実施形態を示す。体内制御ユニット56は、ギア74を制御して、(機械的に動作される)人工胃10によって実施される機能を逆転させる。さらに簡単であるのは、電子的にモータの方向を切り換えることである。
【0113】
図20は、埋め込まれた各構成要素が異なるように相互接続される点を除いて、
図20のものと同一である本発明の一実施形態を示す。したがって、この場合、体内制御ユニット56は、アキュムレータ58、適切にはコンデンサが電気スイッチ72を起動させてオン・モードに切り換えるときに、電池70によって動力を供給される。電気スイッチ72がオン・モードである場合、体内制御ユニット56は、電池70を制御して、人工胃10の動作のためエネルギーを供給するか、または供給しないことができる。
【0114】
図21は、種々の通信オプションを達成するための装置の埋め込まれた各構成要素の考え得る組み合わせを概略的に示す。基本的に、人工胃10と、体内制御ユニット56と、モータまたはポンプ・ユニット44と、体外無線遠隔制御装置を含む体外エネルギー伝送デバイス34とが存在する。既に前述したように、無線遠隔制御装置は、体内制御ユニット56によって受信される制御信号を伝送し、体内制御ユニット56は、この装置の種々の埋め込まれた構成要素を制御する。
【0115】
患者が食べていることを知らせる食道内の収縮波などの、患者の物理的パラメータを検知するために、フィードバック・デバイス、好ましくはセンサ76の形をとるものを、患者に埋め込んでもよい。体内制御ユニット56、または別法として体外エネルギー伝送デバイス34の体外無線遠隔制御装置は、センサ76からの信号に応答して人工胃10を制御してもよい。トランシーバは、検知された物理的パラメータに関する情報を体外無線遠隔制御装置に送信するためにセンサ76と組み合わされてもよい。無線遠隔制御装置は信号伝送器またはトランシーバを備えてもよく、体内制御ユニット56は信号受信器またはトランシーバを備えてもよい。あるいは、無線遠隔制御装置は信号受信器またはトランシーバを備えてもよく、体内制御ユニット56は信号伝送器またはトランシーバを備えてもよい。上記のトランシーバ、伝送器、および受信器は、患者の体内から患者の体外に人工胃10に関連する情報またはデータを送信するために使用されてもよい。
【0116】
あるいは、センサ76は、人工胃10の機能パラメータを検知するように配置されてもよい。
【0117】
モータ/ポンプ・ユニット44およびモータ/ポンプ・ユニット44に動力を供給するための電池70が埋め込まれる場合、電池70は電池70のコンディションに関する情報を送信するためにトランシーバを装備してもよい。より正確には、電池またはアキュムレータにエネルギーを充電すると、前記充電プロセスに関連するフィードバック情報が送信され、それに応じてエネルギー供給が変更される。
【0118】
図21は、人工胃10が患者の体外から調節される一代替実施形態を示す。人工胃システム28は、皮下スイッチ80を介して電池70に接続された人工胃10を備える。したがって、人工胃10の調節は、皮下スイッチを手動で押すことによって非侵襲的に実施され、それによって人工胃10の動作はオンおよびオフに切り換えられる。図示の実施形態は単純なものであり、体内制御ユニットまたは本出願に開示されている他の任意の部分などの追加の構成要素を人工胃システムに追加できることが理解されるであろう。
【0119】
図23は、人工胃システム28が、液圧流体リザーバ52と流動的接続状態にある人工胃10を備える一代替実施形態を示す。非侵襲的な調節は、人工胃10に接続された液圧リザーバを手動で押すことによって実施される。
【0120】
本発明によるシステムの他の実施形態は、患者の体内から体外に情報を送信し、人工胃もしくはシステムの少なくとも1つの機能パラメータまたは患者の物理的パラメータに関連するフィードバック情報を与え、それによってシステムの性能を最適化するためのフィードバック・デバイスを備える。
【0121】
デバイスの1つの好ましい機能パラメータは、体内エネルギー源を充電するためのエネルギーの伝送と相関するものである。
【0122】
図24では、正確な量のエネルギーを、皮膚36が垂直線で示されている患者に埋め込まれた人工胃システム28に供給するための配置が概略的に示されている。人工胃10は、同様に患者の体内に、好ましくは患者の皮膚36の直下に位置する、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30に接続される。一般的に言えば、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30は、腹部、胸部、筋膜(例えば腹壁内)、皮下、または他の任意の適切な場所に設置されることができる。埋め込まれたエネルギー変換デバイス30は、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30の近くの患者の皮膚36の外側に位置する体外エネルギー伝送デバイス34内に設けられた体外エネルギー源34aから伝送された無線エネルギーEを受け取るように適合される。
【0123】
当技術分野でよく知られているように、無線エネルギーEは、一般に、体外エネルギー源34a内に配置された一次コイルと埋め込まれたエネルギー変換デバイス30内に配置された隣接する二次コイルと含むデバイスなどの、任意の適切な経皮エネルギー伝送(TET)デバイスを用いて伝送され得る。電流が一次コイルを介して送られると、エネルギーが電圧の形で、二次コイル内に誘導され、例えば電池またはコンデンサなどのエネルギー貯蔵デバイスまたはアキュムレータに流入エネルギーを貯蔵した後、人工胃を動作するために使用できる。しかし、本発明は、全般的に、特定のエネルギー伝送技術に限定されるものではなく、TETデバイスまたはエネルギー貯蔵デバイス、および任意の種類の無線エネルギーを使用することができる。
【0124】
デバイスに対して体内で受け取ったエネルギーの量を、デバイスによって使用されるエネルギーと比較することができる。その場合、デバイスによって使用されるという用語は、デバイスによって貯蔵されるエネルギーも含むと理解される。伝送されるエネルギーの量は、前述のように、決定されたエネルギー・バランスに基づいて体外エネルギー源34aを制御する体外制御ユニット34bを用いて調節されることができる。適正な量のエネルギーを伝送するために、エネルギー・バランスおよび必要とされるエネルギー量を、人工胃10に接続された体内制御ユニット56を用いて決定することができる。したがって、体内制御ユニット56は、人工胃10の適切な動作のために必要とされるエネルギー量をいくらか反映する、人工胃10のある特性を測定する適切なセンサなど(図示せず)によって得られた種々の測定値を受け取るように配置されることができる。さらに、患者のコンディションを反映するパラメータを提供するために、適切な測定デバイスまたはセンサを用いて患者の現在のコンディションも検出されてもよい。したがって、このような特性および/またはパラメータは、消費電力、動作モード、および温度などの、人工胃10の現在のコンディション、ならびに例えば体温、血圧、心拍、および呼吸によって反映される患者のコンディションに関連するものとすることができる。
【0125】
そのうえ、エネルギー貯蔵デバイスまたはアキュムレータ58は、任意選択で、受け取ったエネルギーを蓄積して後に人工胃10で使用するために、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30に接続されてもよい。あるいは、またはこれに加えて、同様に所要量のエネルギーを反映する、このようなアキュムレータの特性も測定してもよい。アキュムレータを電池で置き換えてもよく、測定される特性は、電圧、温度などの、電池の現在の状態に関連するものとすることができる。人工胃10に十分な電圧および電流を供給するために、また、過度の加熱を避けるために、電池は、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30から適正な量、すなわち少なすぎず多すぎない量のエネルギーを受け取ることによって最適に充電されるべきであることが、はっきりと理解される。アキュムレータは、対応する特性を有するコンデンサであってもよい。
【0126】
例えば、電池の特性は、電池の現在の状態を判断するために定期的に測定されてよく、次に、その結果を体内制御ユニット56の適切な貯蔵手段に状態情報として保存してよい。したがって、新しい測定が行われる場合は常に、それに応じて、保存される電池状態情報を更新することができる。このようにして、電池の状態は、適正な量のエネルギーを伝送することによって「較正される」ことができ、その結果、電池を最適なコンディションに保つ。
【0127】
このように、体内制御ユニット56は、人工胃10もしくは患者に関する前述のセンサもしくは測定デバイスによってなされた測定値、またはエネルギー貯蔵デバイスを使用する場合はこのデバイスによってなされた測定値、またはこれらの任意の組み合わせに基づいて、エネルギー・バランスおよび/または現在必要とされるエネルギー量(単位時間当たりのエネルギーまたは蓄積されたエネルギー)を決定するように適合される。体内制御ユニット56は体内信号伝送器82にさらに接続され、体内信号伝送器82は、体外制御ユニット34bに接続された体外信号受信器34cに、決定された必要なエネルギー量を反映する制御信号を送信するように配置される。次に、体外エネルギー源34aから送信されるエネルギーの量を、受け取った制御信号に応答して調節することができる。
【0128】
あるいは、センサ測定値を体外制御ユニット34bに直接送信することができ、その場合、エネルギー・バランスおよび/または現在必要とされるエネルギー量は体外制御ユニット34bによって決定されることができ、したがって体内制御ユニット56の前述の機能は体外制御ユニット34bに統合される。その場合、体内制御ユニット56を省略することができ、センサ測定値は体内信号伝送器82に直接供給され、体内信号伝送器82は測定値を体外信号受信器34cおよび体外制御ユニット34bに送信する。次いで、エネルギー・バランスおよび現在必要とされるエネルギー量が、これらのセンサ測定値に基づいて体外制御ユニット34bによって決定されることができる。
【0129】
したがって、本解決策は、必要とされるエネルギーを示す情報のフィードバックを用いる。これは、例えば人工胃により使用されるエネルギー量、エネルギー差、またはエネルギー率と比較したエネルギー受取り率に関してなど、受け取ったエネルギーと比較される実際のエネルギー使用に基づくので、前述の解決策より効率的である。人工胃は、受け取ったエネルギーを、消費に使用してもよいし、このエネルギーをエネルギー貯蔵デバイスなどに貯蔵してもよい。したがって、前述のさまざまなパラメータは、関連がある場合、および必要な場合に、実際のエネルギー・バランスを決定するための道具として使用される。しかし、このようなパラメータは、人工胃を特定の態様で(specifically)動作するために内部的に行われる任意の挙動のために、それ自体が必要とされることがある。
【0130】
体内信号伝送器82および体外信号受信器34cは、無線信号、IR(赤外線)信号、または超音波信号などの適切な信号伝送手段を使用する独立したユニットとして実施されてもよい。あるいは、体内信号伝送器82および体外信号受信器34cは、基本的に同じ伝送技術を使用して、エネルギー伝送に対して逆方向に制御信号を伝えるように、それぞれ、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30および体外エネルギー源34aに一体化されてもよい。制御信号は、周波数、位相、または振幅に関して変調されてもよい。
【0131】
結論を言えば、
図24に示されるエネルギー供給配置は、基本的に以下のように動作することができる。最初に、エネルギー・バランスが体内制御ユニット56によって決定される。必要とされるエネルギー量を反映する制御信号も体内制御ユニット56によって生成され、この制御信号は体内信号伝送器82から体外信号受信器34cに送信される。あるいは、エネルギー・バランスは、前述のように、その代わりに実装に応じて体外制御ユニット34bによって決定されることができる。その場合、制御信号は、種々のセンサからの測定結果を伝えることができる。次に、体外エネルギー源34aから放射されるエネルギー量が、例えば受信した制御信号に応答して、決定されたエネルギー・バランスに基づいて、体外制御ユニット34bによって調節されることができる。このプロセスは、エネルギー伝送の進行中にある間隔で断続的に繰り返されてもよいし、エネルギー伝送中に多少連続的に実行されてもよい。
【0132】
伝送されるエネルギーの量は、一般に、電圧、電流、振幅、波の周波数、およびパルス特性などの、体外エネルギー源34aにおける種々の伝送パラメータを調整することによって調整されることができる。
【0133】
したがって、患者に埋め込まれた電気的に動作可能な人工胃に供給される無線エネルギーの伝送を制御するための方法が提供される。無線エネルギーEは、患者の外部に位置する体外エネルギー源から伝送され、患者の内部に位置する体内エネルギー受信器によって受け取られる。この体内エネルギー受信器は、受け取ったエネルギーを直接的または間接的に供給するために人工胃に接続される。体内エネルギー受信器によって受け取ったエネルギーと人工胃に使用されるエネルギーの間のエネルギー・バランスが決定される。次いで、この決定されたエネルギー・バランスに基づいて、体外エネルギー源からの無線エネルギーEの伝送が制御される。
【0134】
患者に埋め込まれた電気的に動作可能な人工胃に供給された無線エネルギーの伝送を制御するためのシステムも提供される。このシステムは、患者の外部に位置する体外エネルギー源から、患者の内部に位置する、埋め込まれたエネルギー変換デバイスによって受け取られる無線エネルギーEを伝送するように適合され、この埋め込まれたエネルギー変換デバイスは、受け取ったエネルギーを直接的または間接的に供給するために人工胃に接続される。システムは、埋め込まれたエネルギー変換デバイスによって受け取られたエネルギーと人工胃に使用されるエネルギーの間のエネルギー・バランスを決定し、この決定されたエネルギー・バランスに基づいて体外エネルギー源からの無線エネルギーEの伝送を制御するようにさらに適合される。
【0135】
デバイスの機能パラメータは、体内エネルギー源を充電するためのエネルギーの伝送と相関する。
【0136】
他の代替実施形態では、体外エネルギー源は、患者の体外から制御され、電磁無線エネルギーを放出し、放出された電磁無線エネルギーは人工胃を動作するために使用される。
【0137】
別の実施形態では、体外エネルギー源は、患者の体外から制御され、非磁気無線エネルギーを放出し、放出された非磁気無線エネルギーは人工胃を動作するために使用される。
【0138】
図13〜
図25による上記の種々の実施形態を多くの異なる方法で組み合わせることが可能なことは、当業者には理解されよう。例えば、分極エネルギーによって動作される電気スイッチ38は、
図11、
図14〜
図20の実施形態のいずれかに組み込むことができ、液圧バルブ・シフト・デバイス54は
図12の実施形態に組み込むことができ、ギア74は
図11の実施形態に組み込むことができる。このスイッチは任意の電子回路または構成要素を指すことができるに過ぎないことに留意されたい。
【0139】
非侵襲的動作を可能にする、人工胃を動作するための無線エネルギー伝送について説明してきた。人工胃は有線(wire bound)エネルギーを使用しても動作できることは理解されるであろう。このような例が
図25に示されており、同図では、外部スイッチ84が、電力ライン86および88を用いて、体外エネルギー源34aと、人工胃10を調節する電気モータなどの動作デバイスの間に相互接続されている。体外制御ユニット34bは、外部スイッチの動作を制御して、人工胃10の適切な動作をもたらす。
【0140】
液圧または空気圧による動力供給
図26〜
図29は、本発明による人工胃に動力を液圧的または空気圧的に供給する4つの異なる方法のより詳細なブロック図を示す。
【0141】
図26は、前述のような人工胃システムを示す。このシステムは、人工胃10を備え、独立した調節リザーバ46と、1方向ポンプ44と、交互バルブ54とをさらに備える。
【0142】
図27は、人工胃10および調節リザーバ46を示す。調節リザーバの壁を移動するか、または調節リザーバのサイズを他の任意の異なる方法で変更することによって、バルブを用いずに人工胃の調整を実施することができ、リザーバの壁を移動するだけで、いつでも流体を自由に通せる。
【0143】
図28は、人工胃10と、2方向ポンプ44と、調節リザーバ46とを示す。
【0144】
図29は、第2の閉鎖系を制御する第1の閉鎖系を有する反転サーボ・システムのブロック図を示す。このサーボ・システムは、調節リザーバ46とサーボ・リザーバ90とを備える。サーボ・リザーバ90は、機械的相互接続部94を介して人工胃10を機械的に制御する。人工胃は、拡張可能/接触可能な空洞を有する。この空洞は、好ましくは、人工胃10と流動的接続状態にあるより大きな調節可能なリザーバ92から液圧流体を供給することによって拡張または収縮される。あるいは、この空洞は圧縮可能なガスを含み、このガスは、サーボ・リザーバ90の制御下で圧縮および拡張されることができる。
【0145】
サーボ・リザーバ90は、人工胃自体の一部であってもよい。
【0146】
一実施形態では、調節リザーバは患者の皮膚の皮下に設置され、その外表面を指により押すことによって動作される。この人工胃システムは、
図30a〜
図30cに示されている。
図30aでは、導管48によりバルジ形状のサーボ・リザーバ90に接続された可撓性の皮下調節リザーバ46が示されている。このベロー形状のサーボ・リザーバ90は、可撓性の人工胃10内に含まれる。
図30aに示された状態では、サーボ・リザーバ90は最小限の流体を含み、ほとんどの流体は調節リザーバ46内にある。サーボ・リザーバ90と人工胃10の間の機械的相互接続部により、人工胃10の外形が収縮される、すなわち、人工胃10が占有する容積はその最大容積より小さい。この最大容積は、図では破線で示される。
【0147】
図30bは、人工胃が埋め込まれている患者などの使用者が調節リザーバ46を押し、その結果、その中に含まれる流体が導管48を通ってサーボ・リザーバ90に流れ込み、サーボ・リザーバ90が、ベロー形状であるために長手方向に拡張されている状態を示す。この拡張によって人工胃10が拡張され、最大容積を占有し、それによって、人工胃10が接触している胃壁(図示せず)が伸びるようになる。
【0148】
調節リザーバ46は、好ましくは、圧迫後もその形状を保つための手段46aを備える。図に概略的に示されるこの手段は、このように、使用者が調節リザーバを解放したときも伸ばされた位置に人工胃10を保持する。このようにして、調節リザーバは基本的に人工胃システムのオン/オフ・スイッチとして動作する。
【0149】
次に、液圧動作または空気圧動作の一代替実施形態について、
図32および
図33a〜
図33cを参照して説明する。
図31に示されるブロック図は、第2の閉鎖系を制御する第1の閉鎖系を含む。第1のシステムは、調節リザーバ46と、サーボ・リザーバ90とを備える。サーボ・リザーバ90は、機械的相互接続部94を介して、より大きな調節可能なリザーバ92を機械的に制御する。次に、拡張可能な/接触可能な空洞を有する人工胃10は、人工胃10と流動的接続状態にある、より大きな調節可能なリザーバ92から液圧流体を供給することによって、より大きな調節可能なリザーバ92によって制御される。
【0150】
次に、この実施形態の一例について、
図32a〜
図32cを参照して説明する。前の実施形態のように、調節リザーバは患者の皮膚の皮下に設置され、その外表面を指により押すことによって動作される。調節リザーバ46は、導管48によりベロー形状のサーボ・リザーバ90と流動的接続状態にある。
図30aに示されている、部分46、48、90を備える第1の閉鎖系では、サーボ・リザーバ90は最小限の流体を含み、ほとんどの流体は調節リザーバ46内にある。
【0151】
サーボ・リザーバ90は、この例でもベロー形状を有するが直径がサーボ・リザーバ90より大きい、より大きな調節可能なリザーバ92に機械的に接続される。このより大きな調節可能なリザーバ92は人工胃10と流動的接続状態にある。これは、使用者が調節リザーバ46を押し、それによって、流体が調節リザーバ46からサーボ・リザーバ90に排出されると、サーボ・リザーバ90の拡張によって、より大量の流体がより大きな調節可能なリザーバ92から人工胃10に排出されることを意味する。言い換えれば、この反転サーボでは、調節リザーバ内の小さな容積がより大きな力で圧迫され、これにより、単位面積当たりのより小さな力で、より大きな総面積の移動を引き起こす。
【0152】
図31a〜
図31cを参照して説明した前の実施形態のように、調節リザーバ46は、好ましくは、圧迫後もその形状を保つための手段46aを備える。図に概略的に示されるこの手段は、このように、使用者が調節リザーバを解放したときも伸ばされた位置に人工胃10を保持する。このようにして、調節リザーバは基本的に人工胃システムのオン/オフ・スイッチとして動作する。
【0153】
次に、本発明の例示的な実施形態による人工胃について、
図33を参照して、ならびに
図2、
図4a〜
図4b、および
図30a〜
図30cをさらに参照して説明する。人工胃10は、好ましくは、自然胃の構造に類似した解剖学的構造を有するために製造され、患者の腹部に設置されるように適合される。この実施形態では、人工胃10が液圧的に動作される。人工胃10は消化管に接続され、上流で入口11は食道202に接続され、下流で出口13は切断された空腸214の遠位端に接続される。人工胃10は胃食物部を有し、この胃食物部は、剛体材料から製造された外壁550によって囲まれる。この剛性の外壁は食物リザーバ12およびサーボ・リザーバ90という2つのリザーバを囲み、これらのリザーバは可撓性の内壁552によって分離される。液圧流体リザーバ52は、剛性の外壁550によって胃食物部から分離され、流体リザーバの壁556によってさらに囲まれる。この流体リザーバの壁556は、好ましくは可撓性であるが、選択肢として剛性であってもよい。流体リザーバの壁556は、可撓性である場合、
図30aおよび
図30bに示される調節リザーバの壁46の屈曲に類似した形で曲がるように構成されてもよい。
【0154】
食物リザーバ12は、食物を受容し、これを機械的および/または化学的に処置するように適合される。液圧流体リザーバ52は、導管44a、44bを通ってサーボ・リザーバ90に送られるべき液圧流体を含むように適合される。導管44aおよび44bに接続されたポンプ44は、液圧流体リザーバ52とサーボ・リザーバ90の間で液圧流体を移動させるように適合される。
【0155】
次に
図4bおよび
図33を参照して説明するように、上記で定義された品質の材料から壁550、552、554、および556を製造し、ポンプ44を用いて液圧流体リザーバ52とサーボ・リザーバ90の間で交互方向に液圧流体を送ることによって、食物リザーバ12内で食物を圧搾することで、機械的な処置が達成される。
【0156】
最初に、食物は、任意選択の出口バルブ15を閉位置に維持しながら任意選択で入口バルブ14を開くことによって、食物リザーバ12に入ることができる(
図4bを参照)。この食物は、食物リザーバ12の容積を増加させ、それによって、サーボ・リザーバ90を圧迫し、その結果、その中に含まれる流体の一部を液圧流体リザーバ52に移動させることができる。入口バルブが閉鎖されると、流体が液圧流体リザーバ52とサーボ・リザーバ90の間で繰り返し移動される。流体がサーボ・リザーバ90に移動すると、内壁552が、食物リザーバ12に含まれる食物を押し付け、それによって、自然な胃の壁の処置と類似した形で食物を処置する。そのうえ、種々の化学物質を放出することによって、前述のように、化学的処置が達成される。
【0157】
食物リザーバ12は、任意選択の出口バルブ15が人工胃の出口端に配置されるかどうかに応じて、さまざまな方法で空にすることができる。食物リザーバに含まれる食物が十分に処置されたとき、出口バルブ15が存在する場合、出口バルブ15が開かれ、サーボ・リザーバ90が流体で充填され、その結果、食物リザーバ12が空にされるか、または少なくとも実質的に空にされる。食物リザーバは、段階的に少しずつ空にするように適合される。次いで出口バルブ15が閉じられ、流体がサーボ・リザーバ90から液圧流体リザーバに移動され、このプロセスがもう一度繰り返される。出口バルブは、受動的に機能し、食物リザーバの容積減少に関連して開くように適合されてもよい。
【0158】
前述のサーボ・リザーバ90から液圧流体リザーバ52への流体の移動は、好ましくは、2つの方法、すなわち入口11から食物リザーバ12に入る食物がサーボ・リザーバ90の可撓性の壁552を押し付け、したがって、そこから戻し導管118を介して液圧流体リザーバ52に流体を移す方法か、または食物が食物リザーバ12に入ることが可能なときに食物センサ117がポンプ44に信号を送信し、ポンプ44はしたがって前記食物に対応する量の流体をポンプで汲み出して、サーボ・リザーバ90から導管44a、44bを介して液圧流体リザーバ52に移送する方法のうちの1つで行われる。サーボ・リザーバ90が上記の方法のうちの1つで空にされる場合、既に処置された食物が腸210から食物リザーバ12に入ることが回避される。
【0159】
食物リザーバに含まれる食物が十分に処置されたとき、任意選択の出口バルブ15が存在しない場合、サーボ・リザーバ90は段階的に、すなわち少しずつ流体で充填され、したがって、食物リザーバ12は少しずつ空にされるか、または少なくとも実質的に空にされる。その結果、十分に処置された食物は続いて少しずつ腸によって受容され、それによって、腸が容易に食物を処置することが可能になる、すなわち食物リザーバは段階的に、少しずつ空になるように適合される。その後、流体がサーボ・リザーバ90から液圧流体リザーバに移動され、このプロセスがもう一度繰り返される。前述のサーボ・リザーバ90から液圧流体リザーバ52への流体の移動は、好ましくは、2つの方法、すなわち入口11から食物リザーバ12に入る食物がサーボ・リザーバ90の可撓性の壁552を押し付け、したがって、そこから戻し導管118を介して液圧流体リザーバ52に流体を移す方法か、または食物が食物リザーバ12に入ることが可能なときに食物センサ117がポンプ44に信号を送信し、ポンプ44はしたがって前記食物に対応する量の流体をポンプで汲み出して、サーボ・リザーバ90から導管44a、44bを介して液圧流体リザーバ52に移送する方法のうちの1つで行われる。サーボ・リザーバ90が上記の方法のうちの1つで空にされる場合、既に処置された食物が腸210から食物リザーバ12に入ることが回避される。
【0160】
前述のように、人工胃の食物リザーバが、患者が食べているときに食物で充填されると容積が増加するように適合され、それによって、サーボ・リザーバの容積を変化させ、次に前記戻し導管118を介して前記サーボ・リザーバと前記液圧流体リザーバの間で流体を移動させる場合、戻し導管118は流体リザーバ52とサーボ・リザーバ90の間に配置されてもよい。前記戻し導管118は、好ましくは、導管44a、44bより直径が小さい。
【0161】
対応するプロセスは、
図5および
図6を参照して上記で説明した実施形態に適用されることができる。
【0162】
任意選択で、ポンプ44は、患者の皮膚の皮下に埋め込まれた動作ユニット(図示せず)内に備えられてもよい。また、この動作ユニットは、例えば前述のように、注入ポート、特殊容器、および/または人工胃10を制御するためのスイッチ(図示せず)のような種々の追加の構成要素を備えてもよい。
【0163】
任意選択で、
図30a〜
図30cを参照して前述した実施形態のように、ポンピング・リザーバを、好ましくは皮下に設けてもよい。
【0164】
任意選択で、食物リザーバ12の入口11および出口13は、それぞれ逆流防止(non return)バルブ14および15を備えてもよい。そのうえ、さらに食物リザーバ12は、げっぷ出口566も備えてよく、げっぷ出口566はげっぷバルブ568を備えてもよい。げっぷバルブ568は、入口バルブ14を迂回して、食物リザーバ12のガスが食道202を通って外に出ることを可能にする。
【0165】
図34は、本発明による人工胃を埋め込むときに実施される手順の流れ図を示す。最初にステップ102で、腹壁を切開して開口を形成する。次に、ステップ104で、胃のまわりの一領域を切開する。その後、ステップ106で、本発明による少なくとも1つの人工胃が、胃壁、特に胃底部の壁(fundus wall)と接触するように設置される。次いで、ステップ108で胃壁を縫合する。
図5、
図6、および
図33からわかるように、本発明のいくつかの実施形態では、外壁が食物リザーバとサーボ・リザーバの両方を囲み、サーボ・リザーバが食物リザーバのサイズを調節し、食物リザーバとサーボ・リザーバは可撓性の内壁によって分離され、さらに食物リザーバの壁とサーボ・リザーバの壁の両方が外壁の一部および可撓性の内壁の一部を構成する。前記
図5、
図6、および
図33からわかるように、サーボ・リザーバはベローであってよく、調節手段はギアであってもよいし、流体であってもよい。サーボ・リザーバは、可変のサイズを有し、さまざまな量の流体で充填されるように適合される。サーボ・リザーバは、周囲の線維化により限定されることなくサイズの変化が可能な形状を有するように適合され、埋め込まれるとインプラントを覆う。人工胃は、前記サーボ・リザーバに液圧的に接続された液圧流体リザーバと、この流体供給リザーバをサーボ・リザーバに流動的に接続するためのポンプとをさらに備え、液圧流体リザーバをサーボ・リザーバに流動的に接続するための前記ポンプは、サーボ・リザーバと液圧流体リザーバの間で流体を可逆的に移動させるように適合される。
【0166】
いくつかの実施形態では、外壁が、食物リザーバと、食物リザーバのサイズを調節するためのサーボ・リザーバの両方を囲み、食物リザーバとサーボ・リザーバは可撓性の内壁によって分離され、さらに食物リザーバの壁とサーボ・リザーバの壁の両方が外壁の一部および可撓性の内壁の一部を構成し、前記サーボ・リザーバは、少しずつ流体で充填されるように適合され、食物リザーバは、前記サーボ・リザーバが少しずつ前記流体で充填されるとサーボ・リザーバによって少しずつ空にされ、それによって、前記人工胃が埋め込まれているとき少しずつ食物を腸に移すように適合される。
【0167】
一実施形態によれば、人工胃を使用する方法は、人工胃内の食物を腸にゆっくり移すように人工胃を手術後に調節するか、または食物リザーバが少しずつ空にされるかもしくは少なくとも実質的に空にされるようにサーボ・リザーバを段階的に少しずつ流体で充填することによって食物を受容するように胃を適合し、その結果、続いて少しずつ食物が腸によって受容される。
【0168】
図35は、体組織に取り付けられた、本発明による人工胃のための固定デバイスの一実施形態の側面図を示す。
【0169】
人工胃用の固定デバイスは、患者の腹壁の第1の側面に埋め込まれるように適合された第1のユニットを備えてもよく、第2のユニットは、腹壁の第2の側面で患者の腹腔に埋め込まれるように適合され、人工胃が固定デバイスに固定される。
【0170】
人工胃用の固定デバイス120は、腹部、胸部、筋膜(例えば腹壁内)、好ましくは皮下に、または他の任意の適切な場所に設置されることができる。
【0171】
固定デバイス120は、ヒトの腹部の前壁の各側面を上下に走行する腹直筋などの、患者の体組織124の第1の側面に好ましくは皮下に埋め込まれた第1のユニット122を備える。言い換えれば、第1のユニットは、患者の皮膚126と体組織124の間に位置決めされる。
【0172】
第2のユニット128は、患者の体腔130内の体組織124の第2の側面、すなわち第1のユニット122が設けられた側面と反対の側面に埋め込まれる。
【0173】
第1のユニット122および/または第2のユニット128は、好ましくは、患者の体外から見て、円形または楕円形の断面形状を有する。これを滑らかに湾曲した断面形状と組み合わせることによって、固定デバイス120を埋め込んだ患者に損傷をもたらす可能性がある、ユニット122、128の鋭い角を持つことを避けることができる。
【0174】
第1のユニット122および第2のユニット128は、例えばシリコンまたは保護を提供する別の材料で作製されるカバー132によって覆われてもよい。カバー132は、好ましくは第1のユニットおよび第2のユニットの外形に追随するように弾性であり、また制御アセンブリであってもよい固定デバイス120を封止し、それによって、考えられる電子機器および考えられる制御アセンブリの感度の高い他の構成要素を保護する。
【0175】
カバーが第1のユニット122および第2のユニット128を囲む場合、これらはまとめて機械的に保持され、それによって、相互接続デバイス134がその相互接続機能を実施するのを支援する。
【0176】
相互接続デバイス134は、固定デバイス120が体組織124によって所定の位置に保持されるように第1のユニット122と第2のユニット128の間の機械的相互接続部を構成する。相互接続デバイスは、体組織の延長部(extension)と平行な面において、第1のユニットおよび第2のユニットの断面積より小さな断面積を有する。このようにして、相互接続デバイス134が貫通する、体組織124内の穴136は、ユニット122、128のうち一方または他方が体組織124を「通り抜ける」のを回避するように十分に小さくすることができる。また、相互接続デバイス134の断面形状は、好ましくは、体組織124の損傷を回避するために円形である。
【0177】
相互接続デバイス134は、第1のユニット122および第2のユニット128の一方と一体となることができる。あるいは、相互接続デバイス134は独立した部分であり、固定デバイス120の埋込み中に第1のユニット122および第2のユニット128に接続される。
【0178】
好ましい一実施形態では、固定デバイス120が制御アセンブリでもある場合、相互接続デバイス124は、第1のユニット122と第2のユニット128を電気的にまたは液圧的に相互接続する種々のワイヤ、ホースなどを収容するように中空である。
【0179】
あるいは、またはこれに加えて、相互接続デバイス134は、ゴムなどの弾性材料で作製され、固定デバイス120が、それを埋め込んだ患者の動きに適合できるようにする。
【0180】
人工胃10は、例えば、ねじ138、リベットなどを使用して、固定デバイス120に固定される。
【0181】
人工胃は、各層においてさまざまな材料から構成されてもよく、その場合、前記人工胃の前記食物リザーバ、この食物リザーバを制御する前記人工胃のサーボ・リザーバ、およびこのサーボ・リザーバを制御するための前記人工胃の液圧流体リザーバのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの層を備えてもよい。この少なくとも1つの層は、パリレン層、またはポリテトラフルオロエチレン層、またはポリウレタン層、またはシリコン層、または金属層、またはTeflon(登録商標)層を含んでよい。
【0182】
金属層は、金、銀、およびチタンのいずれか、またはこれらの組み合わせからなってもよい。
【0183】
人工胃は、複数の層を備えてもよい。人工胃は、ポリウレタン、Teflon(登録商標)、またはポリテトラフルオロエチレン、パリレン、シリコン、金属、またはこれらの組み合わせからなる外面層を備えてもよい。
【0184】
人工胃は、ポリウレタン、Teflon(登録商標)、またはポリテトラフルオロエチレン、パリレン、シリコン、金属、またはこれらの組み合わせからなる内面層を備えてもよい。
【0185】
人工胃は、ポリテトラフルオロエチレンからなる内面層と、シリコンからなる外層とを備えてもよい。
【0186】
人工胃は、ポリテトラフルオロエチレンからなる内面層と、シリコンからなる中間層と、パリレンからなる外層とを備えてもよい。
【0187】
人工胃は、ポリウレタンからなる内面層と、シリコンからなる外層とを備えてもよい。
【0188】
人工胃は、ポリウレタンからなる内面層と、シリコンからなる中間層と、パリレンからなる外層とを備えてもよい。
【0189】
人工胃は、生体適合性材料を含む外層を備えてもよい。
【0190】
すべての実施形態または一実施形態の特徴ならびに任意の方法またはある方法のステップは、明らかに矛盾していない限り、いかなる方法で組み合わせられることが可能なことに留意されたい。また、一般的な説明は、ある方法を実施するように適合された装置またはデバイスならびにこの方法それ自体の両方を説明すると見なされるべきであることに留意されたい。
【0191】
本明細書では本発明の特定の実施形態について図示し説明してきたが、多数の他の実施形態を考えることができ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多数の追加の利点、修正、および変更が当業者に容易に想到されることが理解されよう。したがって、本発明は、その範囲のより広い態様において、本明細書で図示し説明した具体的な詳細、代表的なデバイス、および説明した例に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその等価物によって定義される本発明の一般的な概念の精神または範囲から逸脱することなく、種々の修正を加えることができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲に含まれるこのようなすべての修正および変更を包含することを理解されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の多数の実施形態を考えることができる。