(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
積層されたコンクリート側塊の接合部の耐震化を図る地震対応人孔保護工法であって、 引っ張り強度の強い合成樹脂で成形した可撓シートを基材として前記積層されたコンクリート側塊の内周に対応する筒状体を形成し、前記筒状体の胴部の概ね中央部位に、軸方向に展開可能な折り畳み部を周方向に形成し、前記筒状体における前記折り畳み部の両側の胴部分の外周面にコンクリート側塊接着面を設けた目地継ぎ筒状シートと、少なくとも前記コンクリート側塊の破壊よりも弱い力で破断する合成樹脂で成形した可撓シートを基材として、前記積層されたコンクリート側塊の内周に対応し且つ前記目地継ぎ筒状シートにおける折り畳み部の両側の胴部分の外周面に設けたコンクリート側塊接着面の間に収まる幅の筒状体を形成し、前記筒状体における胴部外周面をコンクリート側塊接着面とした目地継ぎ筒状シールとを用意し、
前記目地継ぎ筒状シールを、前記積層されたコンクリート側塊の内側に接合部を跨ぐように配置し接着して固定し、次ぎに、前記目地継ぎ筒状シートを、前記積層されたコンクリート側塊の内側に前記目地継ぎ筒状シールを覆うように配置し、前記折り畳み部の両側の胴部分の外周面に設けた何れか一側のコンクリート側塊接着面を上側のコンクリート側塊の内側に、他側のコンクリート側塊接着面を下側のコンクリート側塊の内側に接着して固定することを特徴とする地震対応人孔保護工法。
前記目地継ぎ筒状シート及び前記目地継ぎシールにおける前記コンクリート側塊接着面には合成繊維シートが溶着されていることを特徴とする請求項1に記載の地震対応人孔保護工法。
前記積層されたコンクリート側塊の上側のコンクリート側塊の内壁面の全部又は一部が錐体状の傾斜面となっているとき、前記目地継ぎ筒状シートの前記筒状体における前記折り畳み部の一側の胴部分の外壁面を前記上側のコンクリート側塊の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成するとともに、前記目地継ぎ筒状シールの前記筒状体における胴部を軸方向に概ね2分し、一側の胴部分の外壁面を前記上側のコンクリート側塊の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成することを特徴とする請求項1または2に記載の地震対応人孔保護工法。
前記積層されたコンクリート側塊の上側のコンクリート側塊の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成された前記目地継ぎ筒状シートの前記筒状体における前記一側の胴部分の外壁面は、前記一側の胴部分を円周方向に沿って適宜間隔で且つ適宜角度の三角形に折り畳み前記一側の胴部分の開口部を縮径して形成され、また、前記積層されたコンクリート側塊の上側のコンクリート側塊の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成された前記目地継ぎ筒状シールの前記筒状体における前記一側の胴部分の外壁面は、前記一側の胴部分を円周方向に沿って適宜間隔で且つ適宜角度の三角形に折り畳み前記一側の胴部分の開口部を縮径して形成されることを特徴とする請求項3に記載の地震対応人孔保護工法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献1参照に記載された地震対応人孔保護工法によれば、接合部のずれから人孔内へ流入する土砂や水の流入圧がゴム製保護カラーの伸縮調整部の伸び限界を超えると、ゴム製保護カラーが破断してしまうことになる。このため、土砂や水の流入圧を大きく予想した場合、この流入圧に耐えるために、いきおいゴム製保護カラーを厚く設定しなければならず、ゴム製保護カラーを厚くすると、その分、ゴム製保護カラーをコンクリート側塊に圧接させる作業が困難となり、また、コストアップにもなるといった問題があった。
【0006】
本発明の目的は、地震により人孔のコンクリート側塊の接合部がずれがあったとき、接合部のずれから人孔内への土砂や水の流入を有効に防いで人孔を保護することができる地震対応人孔保護工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、積層されたコンクリート側塊の接合部の耐震化を図る地震対応人孔保護工法であって、引っ張り強度の強い合成樹脂で成形した可撓シートを基材として前記積層されたコンクリート側塊の内周に対応する筒状体を形成し、前記筒状体の胴部の概ね中央部位に、軸方向に展開可能な折り畳み部を周方向に形成し、前記筒状体における前記折り畳み部の両側の胴部分の外周面にコンクリート側塊接着面を設けた目地継ぎ筒状シートと、少なくとも前記コンクリート側塊の破壊よりも弱い力で破断する合成樹脂で成形した可撓シートを基材として、前記積層されたコンクリート側塊の内周に対応し且つ前記目地継ぎ筒状シートにおける折り畳み部の両側の胴部分の外周面に設けたコンクリート側塊接着面の間に収まる幅の筒状体を形成し、前記筒状体における胴部外周面をコンクリート側塊接着面とした目地継ぎ筒状シールとを用意し、前記目地継ぎ筒状シールを、前記積層されたコンクリート側塊の内側に接合部を跨ぐように配置し接着して固定し、次ぎに、前記目地継ぎ筒状シートを、前記積層されたコンクリート側塊の内側に前記目地継ぎ筒状シールを覆うように配置し、前記折り畳み部の両側の胴部分の外周面に設けた何れか一側のコンクリート側塊接着面を上側のコンクリート側塊の内側に、他側のコンクリート側塊接着面を下側のコンクリート側塊の内側に接着して固定することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記目地継ぎ筒状シート及び前記目地継ぎシールにおける前記コンクリート側塊接着面には合成繊維シートが溶着されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の、前記積層されたコンクリート側塊の上側のコンクリート側塊の内壁面の全部又は一部が錐体状の傾斜面となっているとき、前記目地継ぎ筒状シートの前記筒状体における前記折り畳み部の一側の胴部分の外壁面を前記上側のコンクリート側塊の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成するとともに、前記目地継ぎ筒状シールの前記筒状体における胴部を軸方向に概ね2分し、一側の胴部分の外壁面を前記上側のコンクリート側塊の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の、前記積層されたコンクリート側塊の上側のコンクリート側塊の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成された前記目地継ぎ筒状シートの前記筒状体における前記一側の胴部分の外壁面は、前記一側の胴部分を円周方向に沿って適宜間隔で且つ適宜角度の三角形に折り畳み前記一側の胴部分の開口部を縮径して形成され、また、前記積層されたコンクリート側塊の上側のコンクリート側塊の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成された前記目地継ぎ筒状シールの前記筒状体における前記一側の胴部分の外壁面は、前記一側の胴部分を円周方向に沿って適宜間隔で且つ適宜角度の三角形に折り畳み前記一側の胴部分の開口部を縮径して形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の地震対応人孔保護工法によれば、引っ張り強度の強い合成樹脂で成形した可撓シートを基材として前記積層されたコンクリート側塊の内周に対応する筒状体を形成し、前記筒状体の胴部の概ね中央部位に、軸方向に展開可能な折り畳み部を周方向に形成し、前記筒状体における前記折り畳み部の両側の胴部分の外周面にコンクリート側塊接着面を設けた目地継ぎ筒状シートと、少なくとも前記コンクリート側塊の破壊よりも弱い力で破断する合成樹脂で成形した可撓シートを基材として、前記積層されたコンクリート側塊の内周に対応し且つ前記目地継ぎ筒状シートにおける折り畳み部の両側の胴部分の外周面に設けたコンクリート側塊接着面の間に収まる幅の筒状体を形成し、前記筒状体における胴部外周面をコンクリート側塊接着面とした目地継ぎ筒状シールとを用意し、前記目地継ぎシールを、前記積層されたコンクリート側塊の内側に接合部を跨ぐように配置し接着して固定し、次ぎに、前記目地継ぎ筒状シートを、前記積層されたコンクリート側塊の内側に前記目地継ぎ筒状シールを覆うように配置し、前記折り畳み部の両側の胴部分の外周面に設けた何れか一側のコンクリート側塊接着面を上側のコンクリート側塊の内側に、他側のコンクリート側塊接着面を下側のコンクリート側塊の内側に接着して固定するので、地震により人孔のコンクリート側塊の接合部がずれたとき、そのずれ幅が小さい場合は、前記目地継ぎシールがコンクリート側塊の接合部のずれに追随して変形し、人孔のコンクリート側塊の接合部のずれから人孔内への土砂や水の流入を防ぐことができる。
そして、コンクリート側塊の接合部のずれが、前記目地継ぎシールで固定されたコンクリート側塊の破壊強度を超えるほど大きい場合、コンクリート側塊の破壊の前に前記目地継ぎシールが破断して、コンクリート側塊のずれを妨げないので、コンクリート側塊の破壊を防止することができ、そして、コンクリート側塊の接合部のずれに追随して前記目地継ぎ筒状シートの胴部の概ね中央部位に形成されている折り畳み部が変形し、人孔のコンクリート側塊の接合部のずれから人孔内への土砂や水の流入を防ぐことができる。
また、前記目地継ぎ筒状シートと目地継ぎ筒状シールは、いずれも可撓シートを基材としているので、従来のゴム製に比べ薄く形成することができるから、人孔内部空間の狭窄が防げ、また軽量化が図れ、取り扱いが容易となり、コンクリート側塊への固定作業が容易に行え、またコストの低減化を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載の地震対応人孔保護工法によれば、請求項1に記載の、前記目地継ぎ筒状シート及び前記目地継ぎシールにおける前記コンクリート側塊接着面には合成繊維シートが溶着されているので、接着剤により前記目地継ぎ筒状シート及び前記目地継ぎシールにおける前記コンクリート側塊接着面をコンクリート側塊に接着したとき、合成繊維シートの繊維がアンカーとなって、前記目地継ぎ筒状シート及び前記目地継ぎシールにおける前記コンクリート側塊接着面をコンクリート側塊に強固に固定することができる。
【0013】
請求項3に記載の地震対応人孔保護工法によれば、請求項1または2に記載の、前記積層されたコンクリート側塊の上側のコンクリート側塊の内壁面の全部又は一部が錐体状の傾斜面となっているとき、前記目地継ぎ筒状シートの前記筒状体における前記折り畳み部の一側の胴部分の外壁面を前記上側のコンクリート側塊の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成するとともに、前記目地継ぎ筒状シールの前記筒状体における胴部を軸方向に概ね2分し、一側の胴部分の外壁面を前記上側のコンクリート側塊の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成するので、上側のコンクリート側塊の内壁面の全部又は一部が錐体状の傾斜面となっている前記積層されたコンクリート側塊の内側に接合部を跨ぐように前記目地継ぎ筒状シール及び前記目地継ぎ筒状シートを確実に接着し固定することができる。
【0014】
請求項4に記載の地震対応人孔保護工法によれば、請求項3に記載の、前記積層されたコンクリート側塊の上側のコンクリート側塊の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成された前記目地継ぎ筒状シートの前記筒状体における前記一側の胴部分の外壁面は、前記一側の胴部分を円周方向に沿って適宜間隔で且つ適宜角度の三角形に折り畳み前記一側の胴部分の開口部を縮径して形成され、また、前記積層されたコンクリート側塊の上側のコンクリート側塊の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成された前記目地継ぎ筒状シールの前記筒状体における前記一側の胴部分は、の外壁面は、前記一側の胴部分を円周方向に沿って適宜間隔で且つ適宜角度の三角形に折り畳み前記一側の胴部分の開口部を縮径して形成されるので、前記目地継ぎ筒状シートの前記筒状体における前記一側の胴部分の外壁面及び前記目地継ぎ筒状シールの前記筒状体における前記一側の胴部分の外壁面を、前記上側のコンクリート側塊の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に容易に形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る地震対応人孔保護工法を実施するための形態を詳細に説明する。
図1乃至
図4は本発明に係る地震対応人孔保護工法の実施の形態の第1例を示すもので、
図1は本例を実施した人孔のコンクリート側塊の接合部位を示す縦断面図、
図2は本例で使用される目地継ぎ筒状シートを示す一部切り欠き中間省略正面図、
図3は目地継ぎ筒状シートに形成された折り畳み部の折り畳み形状の他例を示す一部切り欠き中間省略正面図、
図4は本例で使用される目地継ぎ筒状シールの一例を示す一部切り欠き中間省略正面図である。
【0017】
本例の地震対応人孔保護工法は、上下のコンクリート側塊1,2の内壁面3,4が鉛直面となって積層されたコンクリート側塊1,2に対応した地震対応人孔保護工法である。 先ず、引っ張り強度の強い合成樹脂で成形した可撓シートを基材として積層されたコンクリート1,2側塊の内周に対応する筒状体5を形成し、筒状体5の胴部の概ね中央部位に、軸方向に展開可能な折り畳み部6を周方向に形成し、筒状体5における折り畳み部6の両側の胴部分5a,5bの外周面にコンクリート側塊接着面7を設けた目地継ぎ筒状シート8と、少なくともコンクリート側塊1,2の破壊よりも弱い力で破断する合成樹脂で成形した可撓シートを基材として、積層されたコンクリート側塊1,2の内周に対応し且つ目地継ぎ筒状シート8における折り畳み部6の両側の胴部分5a,5bの外周面に設けたコンクリート側塊接着面7の間隔L1に収まる幅L2(L1>L2)の筒状体9を形成し、筒状体9における胴部外周面をコンクリート側塊接着面10とした目地継ぎ筒状シール11とを用意する。
【0018】
さらに詳細には、前記目地継ぎ筒状シート8にあっては、筒状体5の基材となる可撓シートを成形する合成樹脂として、本例ではポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等が使用される。この基材は平坦な表面を有し、その厚さは、人孔のコンクリート側塊1,2の接合部Aがずれたとき、このずれにより人孔内に流入する土砂や水の予想流入圧に対応できる厚さに設定されている。
【0019】
また、筒状体5の胴部の中央に形成された折り畳み部6は、本例では、
図2に示すように胴部の内側に向かって胴部の中央部が下縁部側に折り返された後、上縁側に折り返されて形成されている。
この折り畳み部6の折り返し量は、折り畳まれた状態にある折り畳み部6が展開したとき、人孔のコンクリート側塊1,2の接合部Aのずれに追随できる量として設定されている。
従って、折り畳み部6の折り畳み形状は、人孔のコンクリート側塊1,2の接合部Aのずれに追随できる量が確保できる限り、前記の形状に限られるものではなく、例えば、
図3に示すように折り畳み部6が胴部の内側に向かって胴部の中央部が上下縁部側に折り返された後、さらに中央側に折り返されたものでもよい。
【0020】
また、本例では、折り畳み部6の両側にある胴部分5a、5bの外周面に設けられたコンクリート側塊接着面7に合成繊維シート12が溶着されている。この合成繊維シート12は、本例ではポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の繊維が使用され、また、合成繊維シート12は、織布、不織布の何れであってもよい。
なお、本例では、合成繊維シート12は、折り畳み部6の両側の胴部分5a、5bの外周面に設けられたコンクリート側塊接着面7に溶着されているが、筒状体5の胴部外周全面に溶着されていてもよい(図示せず。)。
【0021】
このように構成される目地継ぎ筒状シート8は次ぎのようにして製造される。
先ず、筒状体5の胴部幅となる所定幅の帯状の基材を、コンクリート側塊1,2の内周に対応する長さに切断し、筒状体5の外周面となる面で、基材の中央に形成する折り畳み部6の両側の胴部分5a,5bに設けられたコンクリート側塊接着面7となる面に、長さ方向一端部に溶着部位を残して合成繊維シート12を溶着する。
【0022】
次に、合成繊維シート12を溶着した基材の中央に、筒状体5の外周面となる基材の面側に向かって基材の中央部を下縁部側に折り返した後、上側に折り返して折り畳み、加熱プレスして折り畳み部6を形成する。
このようにして、折り畳み部6を形成した基材を、合成繊維シート12を溶着した面側が外面となるように、その一端部の溶着部位に他端部を重ねて溶着することにより円筒状体とし、目地継ぎ筒状シート8を形成する。
【0023】
また、前記目地継ぎ筒状シール11にあっては、筒状体9の基材となる可撓シートを成形する合成樹脂として、本例ではポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等が使用される。この基材は平坦な表面を有し、その厚さはコンクリート側塊1,2の破壊よりも弱い力で破断する厚さに設定されている。
【0024】
また、本例では、筒状体9における胴部外周面であるコンクリート側塊接着面10に合成繊維シート13が溶着されている。この合成繊維シート13は、本例ではポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の繊維が使用され、また、合成繊維シート13は、織布、不織布の何れであってもよい。
【0025】
このように構成される目地継ぎ筒状シール11は次ぎのようにして製造される。
先ず、筒状体9の胴部幅となる所定幅の帯状の基材を、コンクリート側塊1,2の内周に対応する長さに切断し、筒状体9の胴部外周面であるコンクリート側塊接着面10に、長さ方向一端部に溶着部位を残して合成繊維シート13を溶着する。
【0026】
次に、合成繊維シート13を溶着した基材を、合成繊維シート13を溶着した面側が外面となるように、その一端部の溶着部位に他端部を重ねて溶着することにより円筒状体とし、目地継ぎ筒状シール11を形成する。
【0027】
本例の地震対応人孔保護工法は、上記のように構成した目地継ぎ筒状シート8と目地継ぎ筒状シール11を用意し、先ず、目地継ぎシール11を、積層されたコンクリート側塊1,2の内側に接合部Aを跨ぐように配置し、合成繊維シート13が溶着されているコンクリート側塊接着面10をコンクリート側塊1,2の内側に接着剤で接着し固定する。
このとき、コンクリート側塊接着面10には合成繊維シート13が溶着されているので、接着剤によりコンクリート側塊接着面10をコンクリート側塊1,2に接着したとき、合成繊維シート13の繊維がアンカーとなってコンクリート側塊接着面10をコンクリート側塊1,2に強固に固定することができる。
【0028】
次ぎに、前記目地継ぎ筒状シート8を、折り畳み部6が折り畳まれた状態でコンクリート側塊1,2の内側に、目地継ぎ筒状シール11を覆うように配置する。
【0029】
そして、一側の胴部分5aの外周面に設けられた合成繊維シート12が溶着されているコンクリート側塊接着面7を上側のコンクリート側塊1の内側に接着剤で接着し、他側の胴部分5bの外周面に設けられた合成繊維シート12が溶着されているコンクリート側塊接着面7を下側のコンクリート側塊2の内側に接着剤で接着し固定する。
このとき、筒状体5における折り畳み部6の両側にある胴部分5a、5bの外周面に設けられたコンクリート側塊接着面7には合成繊維シート12が溶着されているので、接着剤によりコンクリート側塊接着面7をコンクリート側塊1,2に接着したとき、合成繊維シート12の繊維がアンカーとなって、コンクリート側塊接着面7をコンクリート側塊1,2に強固に固定することができる。
このようにして第1例の地震対応人孔保護工法の実施が完了する(
図1参照。)。
【0030】
上記第1例の地震対応人孔保護工法によれば、地震により人孔のコンクリート側塊1,2の接合部Aがずれたとき、そのずれ幅が小さい場合は、目地継ぎシール11がコンクリート側塊1,2の接合部Aのずれに追随して変形し、人孔のコンクリート側塊1,2の接合部Aのずれから人孔内への土砂や水の流入を防ぐ。
【0031】
そして、コンクリート側塊1,2の接合部Aのずれが、目地継ぎシール11で固定されたコンクリート側塊1,2の破壊強度を超えるほど大きい場合、コンクリート側塊1,2の破壊の前に目地継ぎシール11が破断するので、コンクリート側塊1,2のずれの妨げとならず、コンクリート側塊1,2の破壊を防止することができ、そして、コンクリート側塊1,2の接合部Aのずれに追随して目地継ぎ筒状シート8の折り畳み部6が変形し、人孔のコンクリート側塊1,2の接合部Aのずれから人孔内への土砂や水の流入を防ぐ。
【0032】
また本例では、目地継ぎ筒状シート8及び目地継ぎ筒状シール11におけるコンクリート側塊接着面7,10には合成繊維シート12,13が溶着されているので、接着剤により目地継ぎ筒状シート8及び前記目地継ぎ筒状シール11におけるコンクリート側塊接着面7,10をコンクリート側塊1,2に接着したとき、合成繊維シート12,13の繊維がアンカーとなって、目地継ぎ筒状シート8及び目地継ぎ筒状シール11におけるコンクリート側塊接着面7,10をコンクリート側塊1,2に強固に固定することができる。
【0033】
図5乃至
図9は本発明に係る地震対応人孔保護工法の実施の形態の第2例を示すもので、
図5は本例を実施した人孔のコンクリート側塊の接合部位を示す縦断面図、
図6は本例で使用される目地継ぎ筒状シートを示す一部切り欠き中間省略正面図、
図7は
図6に示す目地継ぎ筒状シートにおける折り畳み部の一側の胴部分の外壁面を錐体状の傾斜面に形成した構造を示す説明図、
図8は本例で使用される目地継ぎ筒状シートに形成された折り畳み部の折り畳み形状の他例を示す一部切り欠き中間省略正面図、
図9は本例で使用される目地継ぎ筒状シールの一例を示す一部切り欠き中間省略正面図である。
本例の地震対応人孔保護工法は、前記第1例と基本構成において変わるところが無く、第1例と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細は第1例の説明を援用する。
【0034】
本例の地震対応人孔保護工法は、上側のコンクリート側塊1の内壁面3の全部が円錐の錐体状の傾斜面となっている積層されたコンクリート側塊1,2に対応した地震対応人孔保護工法である。
本例にあっても、第1例と同様、目地継ぎ筒状シート8と目地継ぎ筒状シール11を用意する。
目地継ぎ筒状シート8と目地継ぎ筒状シール11にあって、第1例との違いは、目地継ぎ筒状シート8の筒状体5における折り畳み部6の一側の胴部分5aの外壁面14を上側のコンクリート側塊1の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成し、そして、目地継ぎ筒状シール11の筒状体9における胴部を軸方向に概ね2分し、一側の胴部分9aの外壁面15を上側のコンクリート側塊1の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成する点だけである。
【0035】
このように構成される目地継ぎ筒状シート8と目地継ぎ筒状シール11は次のようにして製造される。
目地継ぎ筒状シート8にあっては、第1例の目地継ぎ筒状シート8を使用し、筒状体5における折り畳み部6の一側の胴部分5a、本例では上側となる一側の胴部分5aを、
図6に示すように、円周方向に沿って適宜間隔で且つ適宜角度の略三角形に折り返して折り畳んで縮径用折り畳み部16を設けて一側の胴部分5aの開口部を縮径させ、一側の胴部分5aの外壁面14が上側のコンクリート側塊1の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面となるように形成する。
前記一側の胴部分5aに設けた縮径用折り畳み部16は、胴部分5aを略三角形に折り返し加熱プレスして折り畳み、溶着して固定している。
【0036】
目地継ぎ筒状シール11にあっては、第1例の目地継ぎ筒状シール11を使用し、
図6に示す目地継ぎ筒状シート8と同様に、筒状体9における一側の胴部分9a、本例では上側となる一側の胴部分9aを、円周方向に沿って適宜間隔で且つ適宜角度の略三角形に折り返して折り畳んで縮径用折り畳み部17を設けて一側の胴部分9aの開口部を縮径させ、一側の胴部分9aの外壁面15が上側のコンクリート側塊1の錐体状の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面となるように形成する。
前記一側の胴部分9aに設けた縮径用折り畳み部17は、胴部分9aを略三角形に折り返し加熱プレスして折り畳み、溶着して固定している。
【0037】
本例の地震対応人孔保護工法は、上記のように構成した目地継ぎ筒状シート8と目地継ぎ筒状シール11を用意し、先ず、目地継ぎ筒状シール11を、外壁面15が錐体状の傾斜面に形成されている一側の胴部分9aを上向きとして、上側のコンクリート側塊1の内壁面3が錐体状の傾斜面となっているコンクリート側塊1,2の内側に、コンクリート側塊1,2の接合部Aを跨ぐように配置する。
【0038】
そして、一側の胴部分9aの外周面からなる合成繊維シート13が溶着されているコンクリート側塊接着面10を上側のコンクリート側塊1の内側に接着剤で接着し、他側の胴部分9bの外周面からなる合成繊維シート13が溶着されているコンクリート側塊接着面10を下側のコンクリート側塊2の内側に接着剤で接着し固定する。
このとき、コンクリート側塊接着面10には合成繊維シート13が溶着されているので、接着剤によりコンクリート側塊接着面10をコンクリート側塊1,2に接着したとき、合成繊維シート13の繊維がアンカーとなって、コンクリート側塊接着面10をコンクリート側塊1,2に強固に固定することができる。
【0039】
次ぎに、前記目地継ぎ筒状シート8を、折り畳み部6が折り畳まれた状態で、且つ外壁面14が錐体状の傾斜面に形成されている一側の胴部分5aを上向きとして、前記コンクリート側塊1,2の内側に、目地継ぎシール筒状11を覆うように配置する。
【0040】
そして、一側の胴部分5aの外周面に設けられた合成繊維シート12が溶着されているコンクリート側塊接着面7を上側のコンクリート側塊1の内側に接着剤で接着し、他側の胴部分5bの外周面に設けられた合成繊維シート12が溶着されているコンクリート側塊接着面7を下側のコンクリート側塊2の内側に接着剤で接着し固定する。
このとき、筒状体5における折り畳み部6の両側にある胴部分5a、5bの外周面に設けられたコンクリート側塊接着面7には合成繊維シート12が溶着されているので、接着剤によりコンクリート側塊接着面7をコンクリート側塊1,2に接着したとき、合成繊維シート12の繊維がアンカーとなって、コンクリート側塊接着面7をコンクリート側塊1,2に強固に固定することができる。
このようにして第2例の地震対応人孔保護工法の実施が完了する(
図5参照。)。
【0041】
上記第2例の地震対応人孔保護工法によれば、上側のコンクリート側塊1の内壁面2の全部が錐体状の傾斜面となっている積層されたコンクリート側塊1,2の内側に接合部Aを跨ぐように目地継ぎ筒状シール8及び目地継ぎ筒状シート11を確実に接着し固定することができる。
その他の作用効果は前記した第1例と同様なので、第1例の説明を援用する。
【0042】
図10は本発明に係る地震対応人孔保護工法の実施の形態の第3例で使用される目地継ぎ筒状シートを示す一部切り欠き中間省略正面図、
図11は本発明に係る地震対応人孔保護工法の実施の形態の第3例で使用される目地継ぎ筒状シールの一例を示す一部切り欠き中間省略正面図である。
第3例の地震対応人孔保護工法は、上側のコンクリート側塊1の内壁面3の一部が円錐の錐体状の傾斜面となっている積層されたコンクリート側塊1,2に対応した地震対応人孔保護工法である。
本例の地震対応人孔保護工法は、前記第2例と基本構成において変わるところが無く、第2例と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細は第2例の説明を援用する。
【0043】
本例にあっても、第2例と同様、目地継ぎ筒状シート8と目地継ぎ筒状シール11を用意する。目地継ぎ筒状シート8と目地継ぎ筒状シール11にあって、第2例との違いは、目地継ぎ筒状シート8の筒状体5における折り畳み部6の一側の胴部分5aの外壁面14の一部を、内壁面3の一部が円錐の錐体状の傾斜面と上側のコンクリート側塊1の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成し、そして、目地継ぎ筒状シール11の筒状体9における胴部を軸方向に概ね2分し、一側の胴部分9aの外壁面15の一部を、内壁面3の一部が円錐の錐体状の傾斜面と上側のコンクリート側塊1の傾斜面に対応する錐体状の傾斜面に形成する点だけである。
このように構成される目地継ぎ筒状シート8と目地継ぎ筒状シール11は第2例の目地継ぎ筒状シート8と目地継ぎ筒状シール11と同様にして製造される。
【0044】
本例の地震対応人孔保護工法は、上記のように構成した目地継ぎ筒状シート8と目地継ぎ筒状シール11を用意し、第2例と同様にして目地継ぎ筒状シート8と目地継ぎ筒状シール11を上側のコンクリート側塊1の内壁面3の一部が錐体状の傾斜面となっているコンクリート側塊1,2の内側に接着剤で接着し固定する。
本例の作用効果は前記した第2例と同様なので、第2例の説明を援用する。
【0045】
なお、本発明に係る地震対応人孔保護工法は、第1例では、コンクリート側塊1,2の内壁面3,4の内周が円状となっているが、角状のコンクリート側塊1,2にも対応できる。また、第2例、第3例では、いずれも上側のコンクリート側塊1の内壁面3の全部または一部が円錐の錐体状の傾斜面となっているが、上側のコンクリート側塊1の内壁面3の全部一部が角錐の錐体状の傾斜面となっている積層されたコンクリート側塊にも対応できる。この場合の地震対応目地継ぎ手は、図示しないが、前記第1例、第2例、第3例に示す目地継ぎ筒状シート8と目地継ぎ筒状シール11を角筒状に設計変更するだけで済む。
【0046】
また、図示していないが、前記第1例、第2例、第3例にあって、目地継ぎ筒状シート8となる筒状体5に形成した折り畳み部6に、筒状体5を形成する基材となる可撓シートよりも破断強度の弱い放水用弱化部を設けておくこともできる。
放水用弱化部は筒状体5の折り畳み部6の一部に薄肉部を形成し、この薄肉部を放水用弱化部としてもよく、または折り畳み部6の一部を開口し、開口部に可撓シートよりも破断強度の弱い可撓シートを溶着して、該部を放水用弱化部としてもよい。
また、放水用弱化部にあっては、その破断強度は筒状体5を形成する基材となる可撓シートよりも僅かに弱い程度であることが好ましい。
このように、目地継ぎ筒状シート8となる筒状体5に形成した折り畳み部6に、筒状体5を形成する基材となる可撓シートよりも破断強度の弱い放水用弱化部を設けておくことにより、コンクリート側塊1,2の接合部Aのずれから人孔内へ流入した水の水圧が折り畳み部6に、筒状体5を形成する基材となる可撓シートの破断強度を超えるような水圧となって掛かった場合、折り畳み部6に設けた放水用弱化部が破断して人孔内へ流入した水が折り畳み部6から放水され、水圧による折り畳み部6の破断を防止できる。
【0047】
また、本発明に係る地震対応人孔保護工法は、人孔に限らず、地下に埋設した埋設管の接合部に配置することにより、地震対応埋設管保護工法としても適用できる。