(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および
図2において、第1実施形態に係る建具としての引違い窓1は、建具枠である窓枠2と、内外の障子3、4とを備えて構成されている。
【0015】
[窓枠の構成]
窓枠2は、上枠11、下枠12および左右の縦枠13,14を備えて構成される。上枠11および下枠12は、押出成形で製造された合成樹脂材であり、上レール15、下レール16を備えている。
【0016】
縦枠13は、押出成形で製造された合成樹脂製の部材であり、窓枠2の見込み方向に沿った縦枠本体部131と、縦枠本体部131の室外側端部から見付け方向に突出された室外見付け片部132と、縦枠本体部131の室内側端部から見付け方向に突出された室内見付け片部133と、縦枠本体部131の見込み方向の中間部分から見付け方向に突出された中間見付け片部134とを備えている。
中間見付け片部134の見付け方向先端には、屋外側つまり外障子4側に向かって軟質の気密材135が突設されている。また、縦枠本体部131の外面の室外側端部および室内側端部には、縦枠13の見付け方向外側に向かって軟質の気密材137,138が突設されている。
従って、縦枠13は、気密材135,137,138部分が軟質の樹脂製とされ、他の部分は硬質の樹脂製とされた二色押出成形で製造されている。
【0017】
縦枠14は、縦枠13と同様に構成されている。すなわち、縦枠14は、窓枠2の見込み方向に沿った縦枠本体部141と、縦枠本体部141の室外側端部から見付け方向に突出された室外見付け片部142と、縦枠本体部141の室内側端部から見付け方向に突出された室内見付け片部143と、縦枠本体部141の見込み方向の中間部分から見付け方向に突出された中間見付け片部144とを備えている。
中間見付け片部144の見付け方向先端には、屋内側つまり内障子3側に向かって軟質の気密材145が突設されている。また、縦枠本体部141の外面の室外側端部および室内側端部には、縦枠14の見付け方向外側に向かって軟質の気密材147,148が突設されている。
従って、縦枠14も、気密材145,147,148部分が軟質の樹脂製とされ、他の部分は硬質の樹脂製とされた二色押出成形で製造されている。
【0018】
[障子の構成]
内障子3および外障子4は、前記上レール15、下レール16に沿って窓枠2内を左右方向にスライド移動可能に支持されている。
内障子3は、上框31、下框32、戸先框33、召合せ框(戸尻框)34を枠組みして構成され、内部にガラス35を保持している。
外障子4は、上框41、下框42、戸先框43、召合せ框(戸尻框)44を枠組みして構成され、内部にガラス45を保持している。
【0019】
内障子3の戸先框33は、押出成形された合成樹脂製の框本体331と、框本体331の中空部内に配置されたアルミ押出成形品の補強部材332とを備える。
外障子4の戸先框43は、戸先框33と同様に、框本体431と、框本体431の中空部内に配置された補強部材432とを備える。ここで、戸先框43の屋内側の見付面によって、前記気密材135が接触する接触面43Aが構成されている。
【0020】
内障子3の召合せ框34は、押出成形された合成樹脂製の框本体341と、框本体341の中空部内に配置されたアルミ押出成形品の補強部材342とを備える。
框本体341の屋外面には、框本体341の長手方向(上下方向)に沿って連続し、かつ、断面L字状の突起部343、344が、框本体341に一体に形成されている。これらの突起部343、344のうち、内障子3の外周側の突起部343の屋外面にはリップ状の気密材345が上下方向に連続して一体に形成されている。
【0021】
外障子4の召合せ框44は、召合せ框34と同様に、框本体441と、框本体441の中空部内に配置された補強部材442とを備える。
框本体441の屋内面には、框本体441の長手方向(上下方向)に沿って連続し、かつ、断面L字状の突起部443、444が框本体441に一体に形成されている。これらの突起部343、344のうち、外障子4の外周側の突起部443の屋内面にはリップ状の気密材445が上下方向に連続して一体に形成されている。
【0022】
[外障子の戸先錠の構成]
戸先框43および縦枠13には、戸先錠50が設けられている。戸先錠50は、縦枠13に取り付けられた錠受け部材51と、戸先框43に取り付けられた錠本体52とを備える。
【0023】
[錠受け部材]
錠受け部材51は、
図3にも示すように、金属板をL字状に折り曲げて形成されている。このため、錠受け部材51は、縦枠13に固定される固定板部511と、この固定板部511から直交方向に延長された係合板部512とを備える。
【0024】
この固定板部511および係合板部512の交差部つまり錠受け部材51の折曲部には、係合孔513が形成されている。すなわち、係合孔513は、固定板部511および係合板部512に跨って形成されている。
錠受け部材51は、中間見付け片部134および室内見付け片部133間に配置され、固定板部511に形成された孔514から縦枠13を介して建物の躯体(壁など)にねじ込まれる図示略のネジで縦枠13に取り付けられている。
【0025】
[錠本体]
錠本体52は、
図4、5にも示すように、台座53、摘み54、ピン55、付勢部材である板バネ56、裏板57、ビスカバー58を備えて構成されている。
台座53には、図示略のネジ(ビス)が挿通される取付孔531が形成されている。そして、この取付孔531に挿通されたネジを、戸先框43にねじ込むことで、錠本体52は戸先框43の屋内面に取り付けられる。
【0026】
ビスカバー58にはフック部581が形成されている。このフック部581によってビスカバー58を、台座53に着脱自在に取り付けることができる。ビスカバー58を台座53に取り付けることで、前記ネジを隠すことができる。
【0027】
台座53は、台座53の表面側から裏面側に貫通する貫通孔532を備えている。また、台座53には、貫通孔532および台座53の裏面に開口する長溝533が形成されている。さらに、台座53の裏面には、裏板57を位置決めするための突起534が形成されている。
【0028】
摘み54は、操作バー541と、ピン55が挿通される軸孔542と、鎌状のフック部543とを備えている。フック部543の先端部には傾斜面544が形成されている。
この摘み54の軸孔542が形成されたフック部543の基端部を前記貫通孔532の位置に配置すると、軸孔542の開口は、長溝533に連通する。従って、ピン55を台座53の裏面から長溝533を介して前記軸孔542に挿入することで、摘み54は台座53に対してピン55を軸に回動自在に保持される。
【0029】
板バネ56は、固定部561と押圧部562とを備えて略L字状に折曲されている。この板バネ56の押圧部562は、貫通孔532に沿って配置され、前記摘み54の背面側に配置される。また、固定部561は、裏板57で押さえられて固定される。
この板バネ56の押圧部562は、前記フック部543が前記戸先框43側に近づく方向に前記摘み54を付勢している。
【0030】
裏板57は、前記突起534に係合する孔571と、2つの突起572とを備えている。突起572は、前記軸孔542に挿入されたピン55の端面に対向する位置に配置される。このため、突起572は、ピン55が軸孔542から抜けることを防止している。
【0031】
[戸先錠の施錠動作]
このような錠本体52において、利用者が前記板バネ56の付勢力よりも大きな力で、前記摘み54の操作バー541を台座53側に押し込むと、前記フック部543は、その先端が戸先框43から離れる方向に回動する。
一方、利用者が押し込んでいた操作バー541を離すと、前記フック部543は、前記板バネ56の付勢力により、その先端が戸先框43に近づく方向に回動し、フック部543が台座53に当接した位置で停止する。
【0032】
このような戸先框43に取り付けられた戸先錠50は、
図6〜8に示すように、錠本体52のフック部543を、錠受け部材51の係合孔513に係合することで施錠される。なお、本実施形態では、錠受け部材51の係合板部512は、縦枠13の中間見付け片部134の屋内面に近接して配置されている。このため、係合孔513に係合したフック部543は、その先端が中間見付け片部134の屋内面に当接することで、見込み方向の移動が規制される。
従って、中間見付け片部134の屋内面によって移動規制面136が構成され、フック部543の先端によって移動規制面136に当接する当接部545が構成されている。
【0033】
ここで、
図6に示すように、前記外障子4を開いた状態、つまり戸先錠50が施錠されていない状態であり、気密材135も戸先框43の接触面43Aに接触していない状態において、縦枠13の移動規制面136と、戸先框43の接触面43Aに接触する気密材135の屋外側端部(本実施形態では気密材135の先端部)との見込み寸法を寸法Aとする。
【0034】
また、
図6の状態における戸先框43の接触面43Aと、フック部543の当接部545との見込み寸法を寸法Bとする。ここで、前記当接部545は、利用者が摘み54を押し込むことなどで、見込み方向に移動するが、前記寸法Bは前記フック部543の当接部545が最も接触面43Aに近づいた状態の寸法つまり最小寸法である。
【0035】
さらに、
図6に示すように、縦枠13の移動規制面136と、中間見付け片部134の屋外面つまり気密材135の基端部との見込み寸法を寸法Cとする。
そして、本実施形態では、前記寸法Bは寸法Aよりも小さな寸法に設定されている。本実施形態では、寸法Aは、寸法Bの1.2〜1.3倍程度に設定されている。また、前記寸法Bは、寸法Cよりも大きな寸法に設定されている。従って、各寸法A,B,Cは、C<B<Aの関係に設定されている。
【0036】
ここで、外障子4を閉めると、
図7に示すように、フック部543の傾斜面544が錠受け部材51の係合板部512の端部に当接する。このため、フック部543は、前記板バネ56の付勢力に抗して、前記傾斜面544の作用で屋内側つまり戸先框43から離れる方向に回動する。
そのまま、外障子4を閉めると、
図8に示すように、フック部543の先端は、錠受け部材51の係合板部512に当接し、さらに係合孔513に移動する。このため、フック部543は、前記板バネ56の付勢力によって、戸先框43に近づく方向に回動する。
【0037】
このとき、戸先框43の接触面43Aの見込み方向の位置は、フック部543の先端の当接部545が移動規制面136に当接する位置で最も屋外側となる。この際、フック部543の当接部545つまり移動規制面136から接触面43Aまでの見込み寸法は、前記板バネ56の付勢力によって寸法Bに維持される。従って、移動規制面136から寸法A(B<A)の位置にある気密材135の屋外側端部は、確実に接触面43Aに接触する。従って、外障子4を閉めると、戸先框43によって施錠が自動的に行われ、かつ、縦枠13および戸先框43間の気密性も確保される。
【0038】
[内障子の戸先錠の構成]
内障子3の戸先框33および縦枠14には、戸先錠60が設けられている。戸先錠60は、縦枠14に取り付けられた錠受け部材61と、戸先框33に取り付けられた錠本体52とを備える。
【0039】
[錠受け部材]
錠受け部材61は、
図9にも示すように、金属板を折り曲げて形成されている。このため、錠受け部材61は、縦枠14に固定される固定板部611と、この固定板部611から直交方向に延長された直交板部612と、直交板部612の端部から固定板部611側とは反対側に延長されてさらに斜め方向に折り曲げられた係合板部613とを備える。
なお、係合板部613の幅寸法(縦枠14に沿った上下方向の寸法)は、固定板部611や直交板部612の幅寸法(縦枠14に沿った上下方向の寸法)よりも小さな寸法に設定されている。さらに、係合板部613の幅寸法は、フック部543の幅寸法よりも小さな寸法に設定されている。
【0040】
錠受け部材61は、中間見付け片部144および室内見付け片部143間に配置され、固定板部611に形成された図示略の孔から縦枠14を介して建物の躯体(壁など)にねじ込まれる図示略のネジで縦枠14に取り付けられている。
【0041】
[錠本体]
戸先錠60の錠本体52は、戸先錠50の錠本体52と同じものであるため、説明を省略する。この戸先錠60の錠本体52も、図示略のネジで戸先框33の屋内面(見付面)に取り付けられている。
【0042】
このような錠本体52において、利用者が前記板バネ56の付勢力よりも大きな力で、前記摘み54の操作バー541を台座53側に押し込むと、前記フック部543は、その先端が戸先框33から離れる方向に回動する。
一方、利用者が押し込んでいた操作バー541を離すと、前記フック部543は、前記板バネ56の付勢力により、その先端が戸先框33に近づく方向に回動し、フック部543が台座53に当接した位置で停止する。
【0043】
このような戸先框33に取り付けられた戸先錠60は、
図10に示すように、錠本体52のフック部543を、錠受け部材61の係合板部613に係合することで施錠される。なお、本実施形態では、錠受け部材61の係合板部613は、縦枠14の室内見付け片部143の屋内側に配置されている。このため、係合板部613に係合したフック部543は、その先端が室内見付け片部143の屋内面に当接することで、見込み方向の移動が規制される。
従って、縦枠14において、室内見付け片部143の屋内面によって移動規制面146が構成され、フック部543の先端によって移動規制面146に当接する当接部545が構成されている。
【0044】
ここで、
図9に示すように、前記内障子3を開いた状態、つまり戸先錠60が施錠されていない状態であり、気密材145も戸先框33の屋外側の接触面33Aに接触していない状態において、縦枠14の移動規制面146と気密材145の屋内側端部(本実施形態では気密材145の先端)との見込み寸法を寸法Dとする。
また、
図9の状態における戸先框33の接触面33Aと、フック部543の当接部545との見込み寸法を寸法Eとする。ここで、前記フック部543の当接部545は、利用者が摘み54を押し込むことなどで、見込み方向に移動するが、前記寸法Eは前記当接部545が最も戸先框33に近づいた状態の寸法、つまり最小寸法である。
そして、本実施形態では、前記寸法Dは寸法Eよりも小さな寸法に設定されている。本実施形態では、寸法Eは、寸法Dの1.1〜1.2倍程度に設定されている。
【0045】
ここで、内障子3を閉めると、フック部543の傾斜面544が錠受け部材61の係合板部613に当接する。このため、フック部543は、前記板バネ56の付勢力に抗して、前記傾斜面544および係合板部613に案内されて屋内側つまり戸先框33から離れる方向に回動する。
そのまま、内障子3を閉めると、
図10に示すように、フック部543の先端が錠受け部材61の係合板部613の端部を超えて移動する。このため、フック部543は、前記板バネ56の付勢力によって、戸先框33に近づく方向に回動する。
このとき、戸先框33の接触面33Aの見込み方向の位置は、フック部543の先端の当接部545が移動規制面146に当接する位置で最も屋外側となる。この際、フック部543の当接部545つまり移動規制面146から接触面33Aまでの見込み寸法は、前記板バネ56の付勢力によって寸法Dに維持される。従って、移動規制面146から寸法D(D<E)の位置にある気密材145の屋内側端部は、通常は接触面33Aに接触し、気密性を確保する。
【0046】
[召合せ框の引寄せ機構]
次に、内障子3の召合せ框34および外障子4の召合せ框44間の引寄せ機構70に関して説明する。
図11、12に示すように、召合せ框の引寄せ機構70は、第1召合せ框である召合せ框34に取り付けられた第1引寄せ片71と、第2召合せ框である召合せ框44に取り付けられた第2引寄せ片72とを備える。
【0047】
[第1引寄せ片]
第1引寄せ片71は、召合せ框34の屋外面に図示略のネジで固定された板状部材である。召合せ框34の框本体341の屋外面には、前述の通り、断面L字状の突起部343、344が一体に形成されている。ここで、第1引寄せ片71の厚さ寸法(引違い窓1の見込み方向の寸法)は、突起部343、344の見込み方向の寸法(框本体341の屋外面からの突出寸法)以下に設定されている。このため、第1引寄せ片71は、突起部343、344よりも屋外側に突出しないように取り付けられている。
【0048】
また第1引寄せ片71のガラス35側は、召合せ框34よりも見付け方向に突出しており、その先端部に第1当接部711が形成されている。
このため、第1引寄せ片71が配置される部分に対応する突起部344は切り欠かれており、この切り欠き部分に第1引寄せ片71が取り付けられている。そして、第1引寄せ片71の第1当接部711は、召合せ框34よりも戸先框33側に突出されている。この第1当接部711の端部には、戸先框33側に向かうにしたがって屋外側の位置となるように傾斜された傾斜面713が形成されている。
【0049】
[第2引寄せ片]
第2引寄せ片72は、召合せ框44に図示略のネジで固定された固定板部721と、固定板部721から連続して形成された保持部722とを備えている。
固定板部721は、召合せ框44のガラス保持側とは反対側つまり縦枠14に対向する見込み面に固定されている。
【0050】
保持部722は、前記第1引寄せ片71の第1当接部711が配置可能な溝7221を備えて横断面形状が略U字状に形成されている。この保持部722において、溝7221の屋内側は第2当接部7222とされている。
すなわち、保持部722は、第2当接部7222の見込み方向の位置が召合せ框34の見込み寸法内となるように形成されている。このため、第2当接部7222の見込み方向の位置は、召合せ框34の突起部343、344よりも屋内側に設定され、前記第1引寄せ片71の第1当接部711に当接可能な位置とされている。
第2当接部7222の端部には、召合せ框34側に向かうにしたがって屋外側の位置となるように傾斜された傾斜面723が形成されている。
【0051】
[召合せ框の引き寄せ動作]
障子3,4を閉じた際に、各召合せ框34、44が見込み方向に離れていても、第1当接部711および第2当接部7222の端面同士が当接すれば、その傾斜面713、723の案内で、各召合せ框34、44は互いに近づく方向に引き寄せられる。
このため、突起部343から突設された気密材345は、突起部444の屋内面に確実に密着し、突起部443から突設された気密材445は、突起部344の屋外面に確実に密着する。
【0052】
[第1実施形態の作用効果]
(1)外障子4の戸先錠50において、前記各寸法A,B,Cを、C<B<Aの関係に設定しているので、外障子4を閉めると前記フック部543の当接部545が移動規制面136に当接し、板バネ56の付勢力で戸先框43が気密材保持部である中間見付け片部134側に引き寄せられる。このため、戸先框43の接触面43Aと気密材135との密着が強くなり、気密性を向上できるとともに、戸先框43のがたつきも防止できる。また、戸先錠50が戸先框43の引き寄せ機構を兼用しているので、部品点数を低減できて引違い窓1の組立性を向上でき、コストも低減できる。
【0053】
(2)内障子3の戸先錠60において、前記各寸法D,Eを、D<Eの関係に設定したので、内障子3を閉めた際も、戸先框33の接触面33Aと気密材145とを密着でき、気密性を向上できる。
【0054】
(3)障子3,4を閉めた際に、召合せ框34に取り付けた第1引寄せ片71の第1当接部711と、召合せ框44に取り付けた第2引寄せ片72の第2当接部7222とが当接して、各召合せ框34、44を互いに近づける方向に引き寄せる。このため、気密材345、445と、各召合せ框34、44との密着が強くなり、召合せ框34、44における気密性を向上できるとともに、召合せ框34、44のがたつきも防止できる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、
図13、14を参照して説明する。
第2実施形態では、外障子4の戸先框43に密着する気密材135を、縦枠13の室外見付け片部132に設けている。すなわち、気密材135を、室外見付け片部132の屋内面から屋内側に突設し、戸先框43の屋外側の接触面43Bに接触させている。従って、第2実施形態では、室外見付け片部132が気密材保持部として機能する。
また、この気密材135の位置の変更に伴い、外障子4の戸先錠50Aを、第1実施形態の戸先錠50と異なる構成としている。
【0056】
戸先錠50Aは、縦枠13に取り付けられる錠受け部材51Aと、戸先框43の屋内面に取り付けられる錠本体52Aとを備えている。
錠受け部材51Aは、第1実施形態の錠受け部材51と同様に、固定板部511、係合板部512、係合孔513を備えている。そして、縦枠13の中間見付け片部134から所定寸法離れた位置に、係合板部512を配置している。
【0057】
錠本体52Aは、第1実施形態の錠本体52と類似する構成であるが、フック部543Aの先端の向きが屋内側に向かっている点と、摘み54Aが台座53Aの障子内周側(ガラス45保持側)に配置されている点と、図示略の付勢部材である板バネが前記摘み54Aをフック部543Aが屋内側に向かう方向に付勢している点で相違する。
すなわち、錠本体52Aの摘み54Aは、前記板バネによって、前記フック部543Aが戸先框43から離れる方向つまり屋内側に向かう方向に付勢されている。
【0058】
そして、
図14に示すように、戸先錠50Aを施錠した際に、フック部543Aの屋内側の見付面である当接部545が、錠受け部材51Aの係合板部512の屋外面(見付面)に当接する。従って、係合板部512の屋外側の見付面によって移動規制面515が構成されている。
【0059】
この第2実施形態では、縦枠13において、錠受け部材51Aの移動規制面515と、前記気密材135とが対向する。従って、
図13の外障子4を開いた状態で、前記移動規制面515から気密材135の屋内側端部(先端部)までの見込み寸法を寸法Aとする。
一方、戸先框43において前記気密材135が接触する接触面43B(戸先框43の屋外側の見付面)から、戸先框43の移動規制面515に当接する前記フック部543Aの当接部545までの見込み寸法を寸法Bとする。
さらに、前記移動規制面515から室外見付け片部132の屋内面つまり気密材135の基端部までの見込み寸法を寸法Cとする。
【0060】
ここで、前記フック部543Aの当接部545は、利用者が摘み54Aを押し込むことなどで、見込み方向の屋外側に移動するが、前記寸法Bは前記フック部543Aの当接部545が最も屋内側に移動した状態の寸法つまり最大寸法である。
ここで、前記寸法Aは、寸法Bよりも小さな寸法に設定されている。本実施形態では、寸法Bは、寸法Aの1.1倍程度に設定されている。また、前記寸法Bは、寸法Cよりも小さな寸法に設定されている。従って、各寸法A,B,Cは、A<B<Cの関係に設定されている。
【0061】
ここで、外障子4を閉めると、フック部543Aの傾斜面544が錠受け部材51Aの係合板部512に当接する。このため、フック部543Aは、前記板バネの付勢力に抗して、前記傾斜面544の作用で屋外側つまり戸先框43に近づく方向に回動する。
そのまま、外障子4を閉めると、
図14に示すように、フック部543Aの先端が錠受け部材51Aの係合孔513に係合する。このため、フック部543Aは、前記板バネの付勢力によって、戸先框43から離れる方向に回動する。
このとき、戸先框43の接触面43Bの見込み方向の位置は、フック部543Aの当接部545が移動規制面515に当接する位置で最も屋外側となる。この際、フック部543Aの当接部545つまり移動規制面515から戸先框43の接触面43Bまでの見込み寸法は、前記板バネの付勢力によって寸法Bに維持される。従って、移動規制面515から寸法A(A<B)の位置にある気密材135の屋内側端部は、確実に戸先框43の接触面43Bに接触し、気密性を確保する。
【0062】
この第2実施形態においても前記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
すなわち、外障子4の戸先錠50Aにおいて、前記各寸法A,B,Cを、A<B<Cの関係に設定しているので、外障子4を閉めると前記フック部543Aの当接部545が移動規制面515に当接し、板バネ56の付勢力で戸先框43が気密材保持部である室外見付け片部132側に引き寄せられる。このため、戸先框43の接触面43Bと気密材135との密着が強くなり、気密性を向上できるとともに、戸先框43のがたつきも防止できる。また、戸先錠50Aが戸先框43の引き寄せ機構を兼用しているので、部品点数を低減できて引違い窓1の組立性を向上でき、コストも低減できる。
【0063】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
たとえば、前記第1実施形態では、中間見付け片部134の屋内面を移動規制面136としていたが、中間見付け片部134から錠受け部材51を離して配置した場合のように、フック部543を錠受け部材51に当接させて錠受け部材51に移動規制面を設けてもよい。同様に、第2実施形態では、縦枠13側に移動規制面を設けてもよい。
【0064】
錠受け部材51、51Aや、錠本体52、52Aの具体的構成は前記実施形態に限らない。
また、窓枠2や各障子3,4は、樹脂製のものに限らず、アルミ形材で構成したものや、アルミ形材と樹脂材とを組み合わせたものなど、従来から知られている各種の窓枠や障子が利用できる。
【0065】
本発明の建具は、引違い窓1に限らず、片引き窓でもよい。この場合、内障子3や外障子4の一方を固定障子とすればよい。さらに、本発明の建具は、上げ下げ窓、片上げ下げ窓のように、障子が上下にスライド移動するものでもよい。