特許第5728405号(P5728405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5728405-オキサミド含有粒状肥料 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728405
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】オキサミド含有粒状肥料
(51)【国際特許分類】
   C05G 3/08 20060101AFI20150514BHJP
   C05C 11/00 20060101ALI20150514BHJP
   C05B 1/02 20060101ALI20150514BHJP
   C05B 13/02 20060101ALI20150514BHJP
   C05G 1/00 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   C05G3/08
   C05C11/00
   C05B1/02
   C05B13/02 101
   C05G1/00 H
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-15161(P2012-15161)
(22)【出願日】2012年1月27日
(65)【公開番号】特開2013-155060(P2013-155060A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2013年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】591148613
【氏名又は名称】エムシー・ファーティコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100101904
【弁理士】
【氏名又は名称】島村 直己
(72)【発明者】
【氏名】岡田 辰夫
(72)【発明者】
【氏名】今橋 州平
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝志
【審査官】 福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭47−006376(JP,B2)
【文献】 特開2010−279265(JP,A)
【文献】 特開2006−321669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C05B 1/00−21/00
C05C 1/00−13/00
C05D 1/00−11/00
C05F 1/00−17/02
C05G 1/00− 5/00
A01G 1/00− 1/02
A01G 1/06− 1/12
A01G 5/00− 7/06
A01G 16/00−17/02
A01G 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキサミド、スルファチアゾール、過リン酸石灰及び熔成リン肥を含み、過リン酸石灰と熔成リン肥の重量比が4:1〜1:1である組成物を造粒して得られるオキサミド含有粒状肥料。
【請求項2】
粒状肥料100重量部中、オキサミド60〜90重量部及びスルファチアゾール0.5〜1.0重量部を含む請求項1記載の粒状肥料。
【請求項3】
オキサミド、スルファチアゾール、過リン酸石灰及び熔成リン肥を含み、過リン酸石灰と熔成リン肥の重量比が4:1〜1:1である組成物を造粒した後、加熱して乾燥することを含む、請求項1又は2記載の粒状肥料の製造方法。
【請求項4】
前記組成物を混合し、当該組成物100重量部に対して20〜25重量部の水を加え、造粒した後、65〜130℃に加熱して乾燥する請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
乾燥温度が90〜120℃である請求項4記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキサミドを含有する粒状の緩効性肥料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から窒素肥料として使用されている硫安、尿素、塩安及び硝安などは、すべて水にとけ易く、土壌中で植物に吸収される前に流出することが多い。特に水田のような湛水条件で前記のような窒素肥料を用いた場合には流出する肥料の損失を有効に防ぐことは難しい。
【0003】
そこで、窒素を含有する水に難溶な有機物質を窒素肥料として使用する技術が既に用いられており、このような窒素肥料は、緩効性窒素肥料と呼ばれている。緩効性窒素肥料としては、オキサミド、ウレアホルム、イソブチリデン二尿素、グアニル尿素、ジフルフリリデン三尿素、ウレア−Z、グリコールウリル及びクロトニリデン二尿素等が知られている。このような緩効性窒素肥料の中で、オキサミド[(CONH]は、水に対する溶解度が低く、更に作物に対して薬害がないなど緩効性窒素肥料として優れており、実用化されている。
【0004】
しかしながら、粉末の形態のオキサミドは土壌中の微生物により比較的早く分解されて無機化(植物が吸収できる形態にまでオキサミドが分解されることをいう)され、無機化された成分は、前記の通常の窒素肥料と同様に流亡等による損失が起り易いので、オキサミドの緩効性の特徴を充分に生かせない場合がある。
【0005】
そこで、オキサミドの溶出を制御してオキサミドと微生物との接触を抑制するため、肥料を粒状化することが行われている(特許文献1〜3)。
【0006】
しかしながら、従来のオキサミド含有粒状肥料では、例えば、水稲栽培の場合、基肥及び穂肥の2回施用が必要であり、作業性の面からも更なるオキサミドの緩効度(分解・無機化抑制効果)の向上が望まれている。
【0007】
一方、特許文献4には、オキサミド含有粒状肥料に、アミジノチオウレア(ASU)、ジシアンジアミド(Dd)、チオウレア、ペンタクロロフェノールナトリウム塩(PCP−Na塩)等の硝酸化成抑制剤を配合することにより、オキサミドの分解を調節する方法が開示されているが、スルファチアゾールについては何ら言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公平6−2628号公報
【特許文献2】特公平6−2629号公報
【特許文献3】特公平6−2630号公報
【特許文献4】特公昭47−6376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、オキサミドの緩効度(分解・無機化抑制効果)に優れたオキサミド含有粒状肥料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、オキサミドを含む原料組成物に、スルファチアゾールを配合することにより、オキサミドの緩効度(分解・無機化抑制効果)が向上することを見出し、また、オキサミド、スルファチアゾール及び鉱酸(例えばリン酸液)を含む組成物を造粒した後、加熱して乾燥すると、造粒後の乾燥温度によってスルファチアゾールの分解が認められるが、原料組成物に、鉱酸(例えばリン酸液)を添加する代わりに、過リン酸石灰と熔成リン肥を、一定の割合で配合することにより、スルファチアゾールの分解を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)オキサミド及びスルファチアゾールを含む組成物を造粒して得られるオキサミド含有粒状肥料。
(2)前記組成物が過リン酸石灰及び熔成リン肥を含む前記(1)に記載の粒状肥料。
(3)過リン酸石灰と熔成リン肥の重量比が6:1〜1:2である前記(2)に記載の粒状肥料。
(4)粒状肥料100重量部中、オキサミド10〜90重量部、スルファチアゾール0.1〜2.0重量部、過リン酸石灰6〜35重量部及び熔成リン肥1〜35重量部を含む前記(2)又は(3)に記載の粒状肥料。
(5)オキサミド、スルファチアゾール、過リン酸石灰及び熔成リン肥を含み、過リン酸石灰と熔成リン肥の重量比が6:1〜1:2である組成物を造粒した後、加熱して乾燥することを含む、前記(3)又は(4)に記載の粒状肥料の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、オキサミドの緩効度(分解・無機化抑制効果)が向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は無機化試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の粒状肥料におけるオキサミドの含有率は、作物による肥料的効果、配合肥料における成分割合の点から、好ましくは10〜90重量%、更に好ましくは60〜90重量%である。
【0015】
本発明の粒状肥料におけるスルファチアゾールの含有率は、オキサミドの緩効度(分解・無機化抑制効果)の点から、好ましくは0.1〜2.0重量%、更に好ましくは0.5〜1.0重量%である。
【0016】
本発明の粒状肥料は、オキサミド及びスルファチアゾール以外の成分を含むことができる。
本発明の粒状肥料に配合するオキサミド及びスルファチアゾール以外の成分としては、例えば、オキサミド以外の窒素肥料(例えば、硫安、硝安、塩安、石灰窒素、尿素;オキサミド以外の緩効性窒素肥料)、リン酸肥料(例えば、過リン酸石灰、熔成リン肥、重過リン酸石灰)、カリ肥料(例えば、塩化加里、硫酸加里)、有機質肥料(例えば、油かす、魚粉、乾燥菌体)、微量要素(例えば、Mn、Fe、B、Cu、Zn)を含有する肥料;スルファチアゾール以外の硝酸化成抑制剤;浮上防止剤(例えば、安山岩粉末、橄欖岩粉末、ジリコン石粉末);組成均一化促進剤(例えばゼオライト、石膏)などが挙げられる。
【0017】
本発明の粒状肥料におけるオキサミド及びスルファチアゾール以外の成分の含有率は、オキサミドの緩効度(分解・無機化抑制効果)、硬度、水中形状安定性及び造粒性の点から、好ましくは10〜90重量%、更に好ましくは10〜40重量%である。
【0018】
オキサミド、スルファチアゾール及び鉱酸(例えばリン酸液)を含む組成物を造粒した後、加熱して乾燥すると、造粒後の乾燥温度によって(例えば品温85℃以上に加熱)スルファチアゾールの分解が認められるが、原料組成物に過リン酸石灰と熔成リン肥を、通常重量比6:1〜1:2、好ましくは重量比4.5:1〜1:1、更に好ましくは重量比4:1〜1:1で配合することにより、スルファチアゾールの分解を抑制できる。
【0019】
本発明の粒状肥料における過リン酸石灰の含有率は、好ましくは6〜35重量%、更に好ましくは10〜20重量%であり、熔成リン肥の含有率は、好ましくは1〜35重量%、更に好ましくは2.5〜20重量%である。
【0020】
本発明の粒状肥料は、当該粒状肥料100重量部中、オキサミド10〜90重量部、スルファチアゾール0.1〜2.0重量部、過リン酸石灰6〜35重量部及び熔成リン肥1〜35重量部を含むことが好ましく、オキサミド60〜90重量部、スルファチアゾール0.5〜1.0重量部、過リン酸石灰10〜20重量部及び熔成リン肥2.5〜20重量部を含むことが更に好ましい。
【0021】
本発明の粒状肥料におけるオキサミド、スルファチアゾール、過リン酸石灰及び熔成リン肥以外の成分の含有率は、オキサミドの緩効度(分解・無機化抑制効果)、作物による肥料的効果、配合肥料における成分割合の点から、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。
【0022】
本発明の粒状肥料は、例えば、オキサミド、スルファチアゾール、過リン酸石灰及び熔成リン肥、必要に応じて更に、その他の成分(例えば、浮上防止剤、組成均一化促進剤)を含む組成物を混合し、これに適量(通常、組成物100重量部に対して20〜25重量部の水)を加え、通常の方法(例えば皿型造粒機、押出し造粒機、高速回転造粒機などを用いた造粒方法)を利用して造粒した後、加熱して乾燥することにより製造することができる。乾燥温度は、通常65〜130℃、好ましくは90〜120℃である。
【0023】
本発明の粒状肥料の形状及びサイズに関しては特に制限はないが、通常、1〜10mmの範囲内の粒径を有する粒状又は顆粒状である。特に粒径が1〜5.5mmの範囲内にある粒状又は顆粒状のものは、施肥の際の飛散を軽減できるなど作業性が良好であり好ましい。
【実施例】
【0024】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
(実施例1)各種硝酸化成抑制剤入りオキサミド含有粒状肥料の無機化試験(畑条件)
(供試肥料)
(1)オキサミド粒
粉末オキサミド85重量部に硫酸第一鉄2.0重量部、リン酸液15.5重量部及び浮上防止剤(安山岩粉末)5重量部を二軸ローター型混合機で十分に混合した後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
【0026】
(2)ST0.5%添加オキサミド粒
粉末オキサミド84.5重量部にスルファチアゾール(ST)0.5重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
前記操作で得られた混合物に過リン酸石灰12重量部、熔成リン肥3重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
【0027】
(3)ST1.0%添加オキサミド粒
粉末オキサミド84重量部にスルファチアゾール(ST)1.0重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
前記操作で得られた混合物に過リン酸石灰12重量部、熔成リン肥3重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
【0028】
(4)MBT2.5%添加オキサミド粒
粉末オキサミド82.5重量部にメルカプトベンゾチアゾール(MBT)2.5重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
前記操作で得られた混合物に過リン酸石灰12重量部、熔成リン肥3重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
【0029】
(5)AM0.5%添加オキサミド粒
粉末オキサミド84.5重量部に2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン(AM)0.5重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
前記操作で得られた混合物に過リン酸石灰12重量部、熔成リン肥3重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
【0030】
(6)AM1.0%添加オキサミド粒
粉末オキサミド84重量部に2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン(AM)1.0重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰12重量部、熔成リン肥3重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
【0031】
(7)Dd2.0%添加オキサミド粒
粉末オキサミド83重量部にジシアンジアミド(Dd)2.0重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰12重量部、熔成リン肥3重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
いずれの供試サンプルも造粒後65℃で24時間乾燥後、篩い分けた。
【0032】
(無機化試験)
風乾土〔若宮土壌(砂壌土)〕60gに供試オキサミド含有肥料約100mgを混合し100ml三角フラスコに充填し、土壌水分を最大容水量の60%に脱イオン水で調整した後、ポリエチレンフィルムで蓋をし、25℃の恒温庫内に静置した。
【0033】
所定期間経過後、土壌中及び肥料中に存在しているオキサミド(OX)の量を定量して分解されて無機化したオキサミドの比率を求めた。
結果を表1及び図1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
(実施例2〜7及び比較例1)スルファチアゾール添加オキサミド粒の物性試験
(実施例2)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0036】
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰12.5重量部、熔成リン肥2.5重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品を90℃、5時間乾燥後、篩い分け、粒径2.8〜3.35mmの粒状品を物性試験に供した。
【0037】
(実施例3)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0038】
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰12.0重量部、熔成リン肥3.0重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品を90℃、5時間乾燥後、篩い分け、粒径2.8〜3.35mmの粒状品を物性試験に供した。
【0039】
(実施例4)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0040】
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰10.0重量部、熔成リン肥5.0重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品を90℃、5時間乾燥後、篩い分け、粒径2.8〜3.35mmの粒状品を物性試験に供した。
【0041】
(実施例5)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0042】
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰7.5重量部、熔成リン肥7.5重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品を90℃、5時間乾燥後、篩い分け、粒径2.8〜3.35mmの粒状品を物性試験に供した。
【0043】
(実施例6)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0044】
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰5.0重量部、熔成リン肥10.0重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の90℃、5時間乾燥後、粒径2.8〜3.35mmを物性試験に供した。
【0045】
(実施例7)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0046】
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰2.5重量部、熔成リン肥12.5重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品を90℃、5時間乾燥後、篩い分け、粒径2.8〜3.35mmの粒状品を物性試験に供した。
【0047】
(比較例1)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0048】
前記操作で得られた混合物85重量部に硫酸第一鉄2.0重量部、リン酸液15.5重量部及び浮上防止剤(安山岩粉末)4重量部を二軸ローター型混合機で十分に混合した後、水を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品を90℃、5時間乾燥後、篩い分け、粒径2.8〜3.35mmの粒状品を物性試験に供した。
【0049】
(評価項目及び評価方法)
実施例2〜7及び比較例1で得られた供試肥料を用いてスルファチアゾール(ST)含量、pH値、硬度及び水中形状安定性などの物性を評価した。
【0050】
これらの試験方法は次のとおりである。
スルファチアゾール(ST)含量:高速液体クロマトグラフィー法(独立行政法人 農林水産消費安全技術センター 肥料等試験法(2011)7.6.aに準ずる)で定量した。
pH値:供試肥料1gを100mlの水(25℃)に十分攪拌して懸濁状態とし、この水懸濁液のpHを測定した。
硬度:木屋式硬度計を用い供試肥料10粒を測定した平均値を示した。
水中形状安定性:50mlの水(25℃)を入れたビーカーに供試肥料10粒を投入し、1時間後の崩壊した粒の数を求め崩壊率を算出した。(2反復平均)
結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
比較例1では製造過程においてスルファチアゾールが分解し、その含有率が低下してしまったが、実施例2〜7では製造過程においてスルファチアゾールの分解が全く認められなかった。また、スルファチアゾールの分解抑制効果、硬度及び水中形状安定性の点から、過リン酸石灰と熔成リン肥の重量比を4:1〜1:1にすることが最も好ましいことがわかる。
【符号の説明】
【0053】
OX:オキサミド
ST:スルファチアゾール
MBT:メルカプトベンゾチアゾール
AM:2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン
Dd:ジシアンジアミド
図1