【実施例】
【0024】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
(実施例1)各種硝酸化成抑制剤入りオキサミド含有粒状肥料の無機化試験(畑条件)
(供試肥料)
(1)オキサミド粒
粉末オキサミド85重量部に硫酸第一鉄2.0重量部、リン酸液15.5重量部及び浮上防止剤(安山岩粉末)5重量部を二軸ローター型混合機で十分に混合した後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
【0026】
(2)ST0.5%添加オキサミド粒
粉末オキサミド84.5重量部にスルファチアゾール(ST)0.5重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
前記操作で得られた混合物に過リン酸石灰12重量部、熔成リン肥3重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
【0027】
(3)ST1.0%添加オキサミド粒
粉末オキサミド84重量部にスルファチアゾール(ST)1.0重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
前記操作で得られた混合物に過リン酸石灰12重量部、熔成リン肥3重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
【0028】
(4)MBT2.5%添加オキサミド粒
粉末オキサミド82.5重量部にメルカプトベンゾチアゾール(MBT)2.5重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
前記操作で得られた混合物に過リン酸石灰12重量部、熔成リン肥3重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
【0029】
(5)AM0.5%添加オキサミド粒
粉末オキサミド84.5重量部に2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン(AM)0.5重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
前記操作で得られた混合物に過リン酸石灰12重量部、熔成リン肥3重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
【0030】
(6)AM1.0%添加オキサミド粒
粉末オキサミド84重量部に2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン(AM)1.0重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰12重量部、熔成リン肥3重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
【0031】
(7)Dd2.0%添加オキサミド粒
粉末オキサミド83重量部にジシアンジアミド(Dd)2.0重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰12重量部、熔成リン肥3重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の粒径2.35〜3mmを無機化試験に供した。
いずれの供試サンプルも造粒後65℃で24時間乾燥後、篩い分けた。
【0032】
(無機化試験)
風乾土〔若宮土壌(砂壌土)〕60gに供試オキサミド含有肥料約100mgを混合し100ml三角フラスコに充填し、土壌水分を最大容水量の60%に脱イオン水で調整した後、ポリエチレンフィルムで蓋をし、25℃の恒温庫内に静置した。
【0033】
所定期間経過後、土壌中及び肥料中に存在しているオキサミド(OX)の量を定量して分解されて無機化したオキサミドの比率を求めた。
結果を表1及び
図1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
(実施例2〜7及び比較例1)スルファチアゾール添加オキサミド粒の物性試験
(実施例2)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0036】
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰12.5重量部、熔成リン肥2.5重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品を90℃、5時間乾燥後、篩い分け、粒径2.8〜3.35mmの粒状品を物性試験に供した。
【0037】
(実施例3)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0038】
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰12.0重量部、熔成リン肥3.0重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品を90℃、5時間乾燥後、篩い分け、粒径2.8〜3.35mmの粒状品を物性試験に供した。
【0039】
(実施例4)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0040】
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰10.0重量部、熔成リン肥5.0重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品を90℃、5時間乾燥後、篩い分け、粒径2.8〜3.35mmの粒状品を物性試験に供した。
【0041】
(実施例5)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0042】
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰7.5重量部、熔成リン肥7.5重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品を90℃、5時間乾燥後、篩い分け、粒径2.8〜3.35mmの粒状品を物性試験に供した。
【0043】
(実施例6)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0044】
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰5.0重量部、熔成リン肥10.0重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品の90℃、5時間乾燥後、粒径2.8〜3.35mmを物性試験に供した。
【0045】
(実施例7)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0046】
前記操作で得られた混合物85重量部に過リン酸石灰2.5重量部、熔成リン肥12.5重量部を混合機中で十分に混合後、水25重量部を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品を90℃、5時間乾燥後、篩い分け、粒径2.8〜3.35mmの粒状品を物性試験に供した。
【0047】
(比較例1)
粉末オキサミド100重量部にスルファチアゾール(ST)0.6重量部を添加して、二軸ローター型混合機で5分間混合した。
【0048】
前記操作で得られた混合物85重量部に硫酸第一鉄2.0重量部、リン酸液15.5重量部及び浮上防止剤(安山岩粉末)4重量部を二軸ローター型混合機で十分に混合した後、水を加えて皿型造粒機で造粒した。得られた粒状品を90℃、5時間乾燥後、篩い分け、粒径2.8〜3.35mmの粒状品を物性試験に供した。
【0049】
(評価項目及び評価方法)
実施例2〜7及び比較例1で得られた供試肥料を用いてスルファチアゾール(ST)含量、pH値、硬度及び水中形状安定性などの物性を評価した。
【0050】
これらの試験方法は次のとおりである。
スルファチアゾール(ST)含量:高速液体クロマトグラフィー法(独立行政法人 農林水産消費安全技術センター 肥料等試験法(2011)7.6.aに準ずる)で定量した。
pH値:供試肥料1gを100mlの水(25℃)に十分攪拌して懸濁状態とし、この水懸濁液のpHを測定した。
硬度:木屋式硬度計を用い供試肥料10粒を測定した平均値を示した。
水中形状安定性:50mlの水(25℃)を入れたビーカーに供試肥料10粒を投入し、1時間後の崩壊した粒の数を求め崩壊率を算出した。(2反復平均)
結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
比較例1では製造過程においてスルファチアゾールが分解し、その含有率が低下してしまったが、実施例2〜7では製造過程においてスルファチアゾールの分解が全く認められなかった。また、スルファチアゾールの分解抑制効果、硬度及び水中形状安定性の点から、過リン酸石灰と熔成リン肥の重量比を4:1〜1:1にすることが最も好ましいことがわかる。