(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本実施形態におけるLED照明装置について、目視検査用ライトを例に挙げて説明する。
図1は、この目視検査用ライト100の構成を示した図である。
【0021】
図に示すように、目視検査用ライト100は、ルーペライトに適用し、検査体に光を照射するとともに拡大鏡で検査体を拡大して見ることができるようにしたものである。この目視検査用ライト100は、上面及び下面に開口部101a、101bを有する金属性のカバー101と、カバー101の内部に収容されるLED201が実装された基板200と、LED201から発生する熱を放熱させるための放熱板300と、透光性を有する素材で形成された導光体400と、導光体400の下面に設けられたシート状のフレネルレンズ500とから構成されている。
【0022】
ここで、LED201は、赤色LEDと緑色LEDと、青色LEDとで構成されているものとする。なお、赤色LED、緑色LED及び青色LEDが1つのパッケージに集積された3色LEDであってもよい。そして、各色の発光を調整することにより、検査体を観察するのに適した色の光を発光させることができる。また、このLED201の発光する光は熱を帯びることがないため検査体が生物の場合であっても、生物を傷めることなく観察することができる。
【0023】
図2は、この目視検査用ライト100を下方から見た図である。
図に示すように、この目視検査用ライト100はリング状に構成されている。開口部101a、101bを有する金属性のカバー101の開口部101a部分には、図示しないが拡大鏡が配置される。また、フレネルレンズ500は導光体400の下面略全体を覆うように設けられている。
【0024】
図3は、LED201が実装された基板200の下面側を示す斜視図である。
図に示すように、基板200は平板状でリング状に構成されており、LED201は、基板200の下面側の外周に沿うようにして等間隔で実装されている。この基板200の外周側には、導光体400を下面側に設置し固定するための金具202と、LED201の点灯制御を行う制御基板203と、が設けられている。
【0025】
図4は、LED201が実装された基板200の第1の変形例を示した図であり、
図5は、
図4に示すA−A’線断面図である。
図3と同一の内容については同一の符号を付したので重複する説明は省略するが、図に示すように、基板200の下面側には、基板200の幅方向略中央部に孔部20が等間隔で外周と同心的に穿設されており、この孔部20にLED201が実装されている。この孔部20は、
図5に示すように、LED201を実装できる深さを有し、その壁面には反射塗料21が塗布されている。この塗布された反射塗料21によって、LED201が発光した光を反射させ、漏れなく導光体400へ入射させる。
【0026】
図6は、LED201が実装された基板200の第2の変形例を示した図であり、
図7は、
図6に示すB−B’線断面図である。
図3および
図4と同一の内容については同一の符号を付したので重複する説明は省略するが、図示するように、基板200の下面側には、基板200と同心円状の溝部30が形成されており、この溝部30の底面に等間隔でLED201が実装されている。この溝部30は、
図7に示すように、LED201を実装できる深さを有する。
【0027】
図8は、LED201が実装された基板200の上面側、即ち、
図3,
図4および
図6に示された側とは反対側、の斜視図である。
図に示すように、基板200の上面側には金具202が設けられている。この金具202は、上述したように基板200の下面側にも連設されており、下面側では導光体400を固定し、上面側では基板200をカバー101に固定するものである。
【0028】
図9は、放熱板300の構成を示した斜視図である。
図に示すように、放熱板300は平板状でリング状に構成されており、基板200の外径及び内径と略同一に構成されている。この放熱板300は、LED201の駆動によって発生する熱を放熱させるためのものであり、基板200の上面側に設置される。なお、放熱板300は、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム等)で形成されている。
【0029】
図10は、導光体400を上面側から見た斜視図である。
図に示すように、導光体400は、耐熱性、絶縁性及び光透過性を有する素材で、例えば、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等で略環球形状に形成されている。また、導光体400の一部には、LED201による発光の光を反射させるための反射膜が形成されている。
【0030】
図11〜
図13は、導光体400の構造及び基板への設置状態を示す断面図である。
図に示すように、導光体400は、LED201からの光を入射させる入射部401と、入射した光を混光させる混光部402と、から構成されている。
【0031】
入射部401は、LED201の設置部位を囲む凹形状の凹部401aと、LED201の発光光を導光体400内に反射させる反射面401cと、からなる。この凹部401aの開口部はLED201よりも大きく、例えば、
図3に示すような基板200上にLED201が実装されている場合には、基板200の下面に導光体400を設置したときに、当該開口部がLED201の真下に位置し、LED201を囲うようにして覆う状態となる(
図11)。
また、
図4に示すように基板200の孔部20の底面にLED201が実装されている場合に、凹部401aの開口部が孔部20の真下に位置した状態となり(
図12)、孔部20の壁面21に塗布されている反射塗料にLEDの発光の光が反射して入射部401へ入射される。
さらに、
図6に示すように基板200の溝部30の底面にLED201が実装されている場合に、溝部30の幅は凹部401aより大きいため、凹部401aが溝部30に嵌ることにより凹部401aの開口部がLED201の真下に位置し、LED201を囲うようにして覆う状態となる(
図13)。
そして、凹部401aの内壁面にはLED201の発光光を反射させる反射塗料401bが塗布されており、LED201から発射される光がこの反射塗料401bで反射することで、LED201の発光光を漏れなく反射面401cに反射させることができる。
【0032】
反射面401cは、導光体400の内径側に向かって直線状に傾斜しており、この傾斜面に、白色の塗料が塗布され反射膜を形成している。この傾斜面の傾斜角度Rは30〜50°の範囲で変えることができ、この傾斜角度Rの変更により、検査体への焦点距離を変えることができる。
なお、この反射面401cは弧状でもよく、照射する対象物によってその形状を変えてもよい。
【0033】
混光部402は、断面形状において略円形状の上面であって反射塗料が塗布された反射面402aと直線状の側面であって反射塗料が塗布された反射面402bと、直線状の底面であって、混光部402内で混光された光を出光させる出光面402cとから形成されている。この出光面402cには、フレネルレンズ500が設けられている。
【0034】
混光部402では、入射部401の反射面401cに反射したLED201の光が、上面402a及び側面402bの内壁に形成された反射膜に繰り返し反射し、混光部402内で混光し、混光された光はフレネルレンズ500を介して、導光体400の中心軸に向かって出光される。
【0035】
図14は、フレネルレンズ500の構成を示した断面図である。
フレネルレンズ500は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等で形成されており、一方側の面に略平面状で導光体400の出光面402cと接着する接着面501を有し、他方側の面に複数の同心円状で略三角構造の断面のレンズ部502を有する。
【0036】
導光体400の出光面402cを略球面にし、球面の曲率を変えることで種々の検査体に応じた焦点距離を作り出すことができるが、そのためには、様々な曲率の球面を有する導光体400を用意する必要があり、コスト高の原因となる。また、出光面402cを略球面状に加工するにもコストが嵩むことから検査体に応じた焦点距離を作り出す導光体400を用意することは困難である。
【0037】
そこで、導光体400の出光面402cを略平面状にし、そこにフレネルレンズ500を貼り付けることで検査体に応じた焦点距離を作りだすことができる。このフレネルレンズ500は、上記したように一方側の面が接着面501となっており、導光体400の出光面402cに容易に接着したり剥がしたりすることができる。
【0038】
また、フレネルレンズ部502の略三角構造を変形させることで焦点距離を変えることができる。さらに、様々な焦点距離を作りだすことができるフレネルレンズ500を揃えることは、導光体400の出光面402cを略球面状に加工するよりも、コストを抑えることができる。
【0039】
従って、様々な焦点距離を作りだすことができるフレネルレンズ500を用意し、導光体400の出光面402cに検査体に応じた焦点距離を有するフレネルレンズ500を接着させることで、検査体に応じたLED照明装置を提供することができる。
【0040】
次に、
図15を参照して導光体400内での光の挙動について詳細に説明する。
図15(a)〜
図15(c)は、導光体内での光の挙動を示した図である。
図示するように、LED201の発光による光が入射部401内に入射され、反射面401cに反射する(
図15(a))。このとき、LED201の発光による光が入射部401の凹部401aの反射塗料が塗布されている壁面401bに反射することで漏れなく導光体400内へ入射させることができる。
【0041】
反射面401cに反射した光は混光部402内に入り、混光部402の上面の反射面402aに反射し、再度、反射面401cに反射する(
図15(b))。混光部402内では、再度、反射面401cに反射した光が反射面402a,402bに繰り返し反射して、いわゆるポンピングにより、導光体400内を光が繰り返し往復し、混光される。そして、混光された光は、出光面402cからフレネルレンズ500を介して出光し、LED照明装置100の下面に照射される(
図15(c))。
【0042】
この時、フレネルレンズ500が導光体400の中心軸に集光する構成になっているため、出光はその中心軸に集光して焦点を作ることができる。
さらに、LED201の発光による光が導光体400内で混光されることで、検査体に対して均一に照射することができ、照度ムラをなくすことができる。
【0043】
図16は、導光体400の変形例を示した図である。
図示する導光体400は、目視検査用ライト100の照度を上げるために基板200の外周側及び内周側に実装されたLED201に対応したものである。
このような場合の導光体400は、外径側と内径側に入射部401を有する構成となっている。それぞれのLED201の発光による光は、それぞれの入射部401に入射し、反射面401cに反射して、混光部402に入る。混光部402内では、光は上面の反射面402aに反射して、前述したポンピングを繰り返し下面のフレネルレンズ500から出光する。
【0044】
なお、上記したLED照明装置の一例としての目視検査用ライト100は、基板や放熱板あるいは導光体をリング状(略環球形状)に形成し、開口部101aに拡大鏡(図示せず)を配置する構成であるが、これらの基板や放熱板あるいは導光体400の形状はリング状(略環球形状)に限定されるものではない。これを、例えば、直管型に形成すれば、LEDを用いた蛍光灯として提供することが可能となる。また、その他、使用態様に応じて自由に設計することができる。