(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728455
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】加熱調理装置
(51)【国際特許分類】
F24C 15/20 20060101AFI20150514BHJP
A47J 37/06 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
F24C15/20 B
A47J37/06 361
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-229489(P2012-229489)
(22)【出願日】2012年10月17日
(65)【公開番号】特開2014-81155(P2014-81155A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2013年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】杉本 和也
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−231655(JP,A)
【文献】
特開2007−322040(JP,A)
【文献】
特開平04−222322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/20
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を加熱する加熱手段を備えた加熱庫と、
前記加熱庫に接続され、前記加熱庫内で発生した排気を排気口から排出する排気通路と、
前記排気通路に設けられ、前記排気通路を通過する排気中の油煙や臭気成分を加熱消失させる脱煙・脱臭手段と、
前記加熱庫内の庫内臭気強度を検出する庫内臭気検出手段と、
前記加熱庫外の庫外臭気強度を検出する庫外臭気検出手段と、
前記加熱手段及び前記脱煙・脱臭手段の加熱強度を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記加熱手段を作動させて加熱調理を開始した後、前記庫内臭気検出手段で検出される庫内臭気強度と、前記庫外臭気検出手段で検出される庫外臭気強度との臭気強度差が所定の第1強度以上である場合または前記庫内臭気強度と前記庫外臭気強度との臭気強度差が第1強度未満であるが、前記庫内臭気強度が所定の第2強度以上の場合、前記加熱手段の加熱強度を弱めるとともに、前記脱煙・脱臭手段の加熱強度を強め、
前記加熱手段の加熱強度を弱めるとともに、前記脱煙・脱臭手段の加熱強度を強めた後で、前記庫内臭気強度と前記庫外臭気強度との臭気強度差が前記第1強度未満となり、且つ前記庫内臭気強度が所定の第2強度未満となった場合、前記加熱手段及び前記脱煙・脱臭手段の加熱強度を変更前の加熱強度に戻す制御構成を有する加熱調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理装置に関する。特に本発明は、加熱庫を有する加熱調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、台所には、グリル庫やオーブン庫等の加熱庫を有するガスコンロなどの加熱調理装置と、加熱調理装置の上方に、換気扇などの換気装置とが設けられており、加熱調理を行うときには、換気装置を運転し、発生する油煙や臭気を外部に排出させている。
【0003】
上記の加熱調理装置で、魚調理やローストチキンなどの加熱庫を使用した加熱調理を行った場合、被調理物から油煙や臭気が大量に発生することから、加熱庫と排気口とを繋ぐ排気通路内にアフターバーナなどの脱煙・脱臭手段を設け、排気通路を通過する排気中の油煙や臭気を焼き切る加熱調理装置が商品化されている。
【0004】
ところで、従来、換気装置の運転及び停止は調理者によって行われていたが、調理者が加熱調理中に被調理物の異常を最も早期に感知するのは臭気であることから、加熱調理装置から室内に排出される臭気を検出するための臭気センサを臭気が吸い込まれる換気装置近辺に設け、臭気センサによって検出された臭気成分に基づき換気装置や加熱調理装置の運転を制御することが提案されている(例えば、特許文献1)。これによれば、加熱調理中に、被調理物に焦げ付きなどが発生した場合、焦げ臭が臭気センサにより検出できるから、加熱調理を停止させたり、早期に室内の空気が外部に排出されるよう、換気装置の換気風量を増加させたりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−137060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、換気装置には加熱調理装置から発生する臭気だけでなく、室内の臭気も吸い込まれる。そのため、例えば、加熱調理装置での加熱調理中に、室内でも鍋調理などを行っていたり、室内に匂いの強い生花や果物などがあった場合、加熱調理装置から発生する臭気は弱いにも関わらず、臭気センサでこれらの臭気が検出されることとなる。その結果、加熱調理装置で異常が発生していないにも関わらず、加熱調理が停止されたり、不要な換気風量の増加が行われるという問題がある。
【0007】
また、加熱庫で発生した臭気は、排気通路を通り、加熱調理装置の上面に設けられた排気口から排出され、さらに排気口上方に設けられた換気装置に吸い込まれるが、大きな被調理物や連続して焼物調理をするようなアフターバーナで加熱焼失可能な量以上の大量の臭気が加熱庫内で発生した場合、換気装置近辺で臭気が検出されるまでに時間を要し、室内に臭気が拡散されてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、加熱庫を使用した加熱調理を行うことによって発生する臭気の室内への拡散を抑えるとともに、室内の臭気によっても適切に加熱庫での加熱調理を行うことができる加熱調理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
被調理物を加熱する加熱手段を備えた加熱庫と、
前記加熱庫に接続され、前記加熱庫内で発生した排気を排気口から排出する排気通路と、
前記排気通路に設けられ、前記排気通路を通過する排気中の油煙や臭気成分を加熱消失させる脱煙・脱臭手段と、
前記加熱庫内の庫内臭気強度を検出する庫内臭気検出手段と、
前記加熱庫外の庫外臭気強度を検出する庫外臭気検出手段と、
前記加熱手段及び前記脱煙・脱臭手段の加熱強度を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記加熱手段を作動させて加熱調理を開始した後、前記庫内臭気検出手段で検出される庫内臭気強度と、前記庫外臭気検出手段で検出される庫外臭気強度との臭気強度差が所定の第1強度以上である場合
または前記庫内臭気強度と前記庫外臭気強度との臭気強度差が第1強度未満であるが、前記庫内臭気強度が所定の第2強度以上の場合、前記加熱手段の加熱強度を弱めるとともに、前記脱煙・脱臭手段の加熱強度を強め
、
前記加熱手段の加熱強度を弱めるとともに、前記脱煙・脱臭手段の加熱強度を強めた後で、前記庫内臭気強度と前記庫外臭気強度との臭気強度差が前記第1強度未満で、且つ前記庫内臭気強度が所定の第2強度未満となった場合、前記加熱手段及び前記脱煙・脱臭手段の加熱強度を変更前の加熱強度に戻す制御構成を有する加熱調理装置が提供される。
【0010】
上記加熱調理装置は、加熱庫内に庫内臭気検出手段を有するとともに、加熱庫外に庫外臭気検出手段を有しているから、加熱庫内の庫内臭気強度と、加熱庫外の庫外臭気強度とを比較することができる。そして、庫内臭気強度が庫外臭気強度よりも所定の第1強度以上、高い場合
または前記庫内臭気強度と前記庫外臭気強度との臭気強度差が第1強度未満であるが、前記庫内臭気強度が所定の第2強度以上の場合、加熱庫内に大量の臭気が発生している可能性が高いから、加熱手段の加熱強度を弱めるとともに、脱煙・脱臭手段の加熱強度を強めることにより、室内への臭気の排出を抑えることができる。また、上記加熱調理装置によれば、庫内臭気強度が庫外臭気強度よりも高い場合
に、加熱庫から発生する臭気が低減されるから、室内に果物などの臭気を発生するものが置かれて、庫外臭気検出手段で検出される臭気が強くても、その臭気によって加熱手段の加熱強度が変更されるのを防止できる。
さらに、加熱庫内の庫内臭気強度が所定の第2強度以上であれば、大量の臭気が加熱庫内に発生している可能性があるから、庫内臭気強度と庫外臭気強度との臭気強度差が第1強度未満であっても、加熱手段の加熱強度を弱めるとともに、脱煙・脱臭手段の加熱強度を強めることにより、室内への臭気の排出を早期に防止することができる。そして、上記加熱調理器によれば、加熱手段の加熱強度を弱め、脱煙・脱臭手段の加熱強度を強めた後で、庫内臭気強度と庫外臭気強度との臭気強度差が第1強度未満となり、庫内臭気強度が所定の第2強度未満となった場合、加熱手段及び脱煙・脱臭手段の加熱強度を変更前の加熱強度に戻すから、臭気を低減させた後、適正な火力で被調理物の焼成を継続させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、加熱庫内外の臭気強度に基づいて加熱手段や脱煙・脱臭手段の加熱強度が変更されるから、加熱庫での加熱調理を適切に行いながら、室内への臭気の拡散を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る加熱調理装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る加熱調理装置の一例を示す要部概略断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る加熱調理装置おける加熱調理運転を行う場合の制御動作を示す制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態の加熱調理装置について具体的に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る加熱調理装置の一例を示す概略構成図、
図2は、加熱調理装置の要部概略断面図である。
【0017】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態の加熱調理装置は、台所のシステムキッチンのカウンタートップKに開設された開口K1に落とし込み状態に装着されるドロップインタイプのガスコンロ1であり、ガスコンロ1の上方には、内部に換気扇2aが配設された換気装置2が設けられている。換気扇2aは、図示しない排気ダクトを通じて外部と連通しており、換気扇2aを運転することにより調理時に発生する油煙や臭気などの調理ガスが外部に排出される。
【0018】
コンロ本体10の天板11には、コンロ用バーナ13や五徳12が位置しているとともに、コンロ本体10の正面には加熱庫であるグリル庫20の前方開口を覆う開閉扉24が配設されており、該開閉扉24にはこれを前方に引き出すための取っ手25が固定されている。また、コンロ本体10の前面に設けられた操作部(図示せず)にはグリル庫20内に設けられている上下グリルバーナ261,262の点消火と火力調節の機能を兼備した点消火スイッチ26が設けられている。さらに、図示しないが、コンロ本体10の前面には、押し操作により前方へ開いて露出し、不要時には後方へ閉じて本体ケース内へ隠蔽される操作パネルが設けられており、操作パネルには、魚調理や揚げ物調理など調理の種類に応じた加熱強度で調理が行われるよう複数の調理選択スイッチが設けられている。
【0019】
グリル庫20内の下方には、後方に延びる枠体230が設けられており、この枠体230上に、被調理物から滴下する油や水分を受ける汁受皿250と、被調理物を載せる焼網240とが載置されている。
【0020】
グリル庫20の上壁には面状の上グリルバーナ261が配設され、左右の両側壁の下方には、前後方向の長手に延在する下グリルバーナ262が配設されている。この左右の下グリルバーナ262は、焼網240及び汁受皿250がグリル庫20内に収納されたときに、焼網240と汁受皿250との間に下グリルバーナ262の炎孔が臨み、焼網240の下方から被調理物を加熱するように配設されている。上下の各グリルバーナ261,262には、図示しないガス管が接続されており、ガス管には、電磁弁及びガス量を調節可能な流量制御弁からなるガス量調節部が配設されている。このガス量調節部を後述する制御ユニットCで調節することにより、各グリルバーナ261,262に供給されるガス量が増減され、加熱強度が調節されるように構成されている。
【0021】
グリル庫20の後部は、排気用開口20aが天板11の上面後部の排気口11aを介して外部と連通するように、その上端開放部を天板11の排気口11aに臨ませた排気筒30と接続されている。この排気筒30で囲まれた空間によりグリル庫20内で発生した油煙や臭気を排気用開口20aから排気口11aへ導く排気通路300が形成される。
【0022】
排気筒30は、排気用開口20aの下端を形成するグリル庫20の後壁の上端から後方斜め上へ延設された傾斜部を有しており、この傾斜部の排気通路300の入口付近の下部に燃焼面が上向きになるようにアフターバーナ31が配設されている。なお、アフターバーナ31は、排気通路300の入口付近の上部に設けてもよい。
【0023】
アフターバーナ31は、2本のバーナボディ310と、各バーナボディ310上に配設された平板状の燃焼プレート311とを備えている。各バーナボディ310は、図示しないガス管と接続され、ガス管には、電磁弁からなるガス量調節部が配設されている。この電磁弁を制御ユニットCで開閉することにより、各バーナボディ310にガスが供給、停止され、加熱強度が調節されるように構成されている。
【0024】
グリル庫20内の後方には、耐熱壁で保護された庫内臭気センサ40が設けられており、検出された臭気信号は、制御ユニットCに出力される。本実施の形態の庫内臭気センサ40としては、従来公知の半導体ガスセンサや水晶振動式センサを使用することができる。これらの中でも、硫黄化合物やアミン化合物などの強い臭気成分を検出可能な臭気センサが好ましく用いられる。例えば、アミン化合物検出用の半導体ガスセンサを用い、半導体の抵抗値の変化量を電気的出力として評価すれば、グリル庫20内に発生したアミン化合物の臭気強度を検出することができる。
【0025】
また、システムキッチンの下方には、庫外臭気検出手段として、庫内臭気センサ40と同種の臭気成分を検出可能な庫外臭気センサ50が設けられており、検出された臭気信号は、制御ユニットCに出力される。庫内臭気センサ40及び庫外臭気センサ50はそれぞれ、1つであってもよいし、複数用いてもよい。
【0026】
ガスコンロ1は、コンロ部やグリル部の加熱運転や換気扇2aの運転を制御するための制御ユニットCを備えている。また、制御ユニットCは、CPU、ROM、RAM、タイマなどを具備しており、機能的構成手段として、コンロ用バーナ13や上下グリルバーナ261,262、さらにアフターバーナ31の点消火や加熱強度を調節するバーナ制御部、換気扇2aの運転及び停止や換気扇2aの回転数を調節するファン制御部、庫内臭気センサ40及び庫外臭気センサ50で検出される臭気強度を比較する臭気強度比較部、庫内臭気センサ40で検出された臭気強度を判定する庫内臭気強度判定部、調理選択スイッチに応じた加熱強度でコンロ用バーナ13、上下グリルバーナ261,262やアフターバーナ31を燃焼させるためのガス量データや臭気強度と臭気成分の濃度とを対比したデータテーブルが記憶された記憶部などを備えており、各バーナの加熱強度を調節するためのガス量調節部、庫内及び庫外臭気センサ40,50、換気扇2aなどと電気配線によって接続されている。なお、制御ユニットCと、各臭気センサ40,50及び換気扇2aとは、赤外線などの無線で接続されていてもよい。
【0027】
次に、本実施の形態の加熱調理装置で、グリル庫20を使用した加熱調理を行うときの制御動作について、
図3の制御フロー図を参照して説明する。
【0028】
調理者がグリル庫20の点消火スイッチ26を押すとともに、例えば、調理選択スイッチで魚調理を選択すると、制御ユニットCは、上下グリルバーナ261,262を中火の加熱強度で、アフターバーナ31を1つの燃焼プレート311で燃焼させるとともに、所定時間、加熱調理を行うためにタイマをオンし、さらに換気扇2aをオンして、低速で回転させ、加熱調理を開始する(ステップST1)。
【0029】
加熱調理が開始されると、制御ユニットCは、庫内及び庫外臭気センサ40,50でそれぞれ検出される庫内及び庫外の臭気強度のモニタを開始する(ステップST2)。
【0030】
加熱調理中、被調理物からグリル庫20内に放出された臭気は、一部が排気通路300を通過する際に、アフターバーナ31で加熱されて焼失するが、グリル庫20内で被調理物に焦げ付きが発生した場合、焦げ臭などの不快な臭気成分が増加し、アフターバーナ31で焼失されずに、室内に排出される。このため、制御ユニットCは、加熱調理中の庫内臭気強度と庫外臭気強度とを比較し、庫内臭気強度と庫外臭気強度との臭気強度差が所定の第1強度以上となるかどうかを判定する(ステップST3)。この第1強度は、加熱調理の初期に設定された加熱強度で上下グリルバーナ261,262及びアフターバーナ31を燃焼させている状態で、アフターバーナ31で焼失しきれない量の臭気がグリル庫20内で発生しているときの臭気強度に設定される。
【0031】
庫内臭気強度と庫外臭気強度との臭気強度差が第1強度以上である場合(ステップST3で、Yes)、制御ユニットCは、上下グリルバーナ261,262を弱火の加熱強度で燃焼させるとともに、アフターバーナ31を両燃焼プレート311で燃焼させ、換気扇2aのファン回転数を高速に増加させる(ステップST4)。これにより、被調理物のさらなる焦げ付きが防止され、大量の臭気の発生を防ぐことができ、室内への臭気の拡散を抑えることができる。
【0032】
一方、庫内臭気強度と庫外臭気強度との臭気強度差が第1強度未満である場合(ステップST3で、No)、制御ユニットCは、さらに、庫内臭気強度が所定の第2強度以上であるかどうかを判定する(ステップST5)。すなわち、加熱調理を行っている室内で他に臭気を発生するものがある場合、室内の臭気強度が高くなる。そのため、庫内臭気強度が高くても、庫内臭気強度と庫外臭気強度との臭気強度差が小さくなるから、大量の臭気が室内に排出される虞がある。このため、庫内臭気強度自体が第2強度以上であれば(ステップST5で、Yes)、庫内臭気強度と庫外臭気強度との臭気強度差が第1強度未満であっても、上下グリルバーナ261,262の加熱強度を弱めるとともに、アフターバーナ31の加熱強度を強める(ステップST4)。これにより、臭気の室内への拡散をさらに防止できる。なお、この第2強度は、アフターバーナ31の加熱強度を最大にしたときでも、アフターバーナ31で焼失できない量の臭気がグリル庫20内で発生しているときの臭気強度に設定される。
【0033】
上下グリルバーナ261,262及びアフターバーナ31の加熱強度を調節した後、さらに、庫内臭気強度が第3強度(第3強度>第2強度)以上であるかどうかを判定する(ステップST6)。すなわち、上下グリルバーナ261,262の加熱強度を弱め、アフターバーナ31の加熱強度を強めた状態でも、庫内臭気強度が第2強度より高い第3強度以上である場合、制御ユニットCは、上下グリルバーナ261,262の燃焼を直ちに停止させ、アフターバーナ31のみ燃焼を継続させる(ステップST7)。これにより、庫内火災が生じるような焦げ付きが生じるのを防止できる。そして、一定時間、アフターバーナ31のみを燃焼させた後(ステップST11)、アフターバーナ31を消火する(ステップST12)。
【0034】
庫内臭気強度と庫外臭気強度との臭気強度差が第1強度未満であり、庫内臭気強度自体も第2強度未満である場合(ステップST3及びST5で、No)、所定の調理時間がタイムアップしているかどうかが確認される(ステップST8)。そして、上下グリルバーナ261,262及びアフターバーナ31の各加熱強度が臭気低減のガス量に調節されている場合(ステップST9で、Yes)、各バーナ261,262,31の加熱強度が初期の加熱強度に戻されるとともに、換気扇2aのファン回転数を低速に減少させて、加熱調理が継続される(ステップST10)。これにより、被調理物が適正な火力で焼成される。
【0035】
上記庫内臭気強度と庫外臭気強度に基づく判定は、調理時間がタイムアップするまで継続され、調理時間がタイムアップすると(ステップST8で、Yes)、制御ユニットCは、上下グリルバーナ261,262を消火する(ステップ7)。さらに、上下グリルバーナ261,262を消火してから所定時間経過した後(ステップST11で,Yes)、アフターバーナ31を消火する(ステップST12)。これにより、グリル庫20内に残留していた臭気を焼成することができる。
【0036】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、加熱調理の開始時に、アフターバーナ31を燃焼させているが、加熱調理中に庫内臭気強度と庫外臭気強度との臭気強度差が第1強度以上になった場合にアフターバーナ31を点火してもよい。
(2)上記実施の形態では、ガスコンロを例に挙げて説明したが、電磁誘導コンロなどの電気式の加熱調理装置にも本発明を適用することができる。
(3)上記実施の形態では、臭気強度を電気的出力(例えば、電圧評価)により判断しているが、臭気センサによって直接、臭気成分の濃度を評価してもよい。
(4)上記実施の形態では、被調理物から発生する臭気に基づいて庫内及び庫外の臭気強度を検出しているが、一酸化炭素などの加熱調理中に不完全燃焼が生じた場合に発生する臭気を検出してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 ガスコンロ(加熱調理装置)
20 グリル庫(加熱庫)
261 上グリルバーナ
262 下グリルバーナ
31 アフターバーナ(脱煙・脱臭手段)
40 庫内臭気センサ(庫内臭気検出手段)
50 庫外臭気センサ(庫外臭気検出手段)
300 排気通路
C 制御ユニット(制御手段)