特許第5728463号(P5728463)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728463
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20150514BHJP
   B65G 13/00 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   B65G47/52 101Z
   B65G13/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-261253(P2012-261253)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-105100(P2014-105100A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2014年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】白川 孝之
(72)【発明者】
【氏名】堀井 幸泰
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−031815(JP,A)
【文献】 特開平02−028413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00− 1/133
B65G 1/14− 1/20
B65G 13/00−13/12
B65G 39/00−39/20
B65G 47/00−47/20
B65G 47/52−47/62
B65G 47/66
B65G 67/00−67/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を載せて搬送する無人搬送車と、前記無人搬送車が通る通路を内部に有し、前記無人搬送車が前記通路を通ると前記無人搬送車から前記搬送物を受け取るハンドリング装置とからなる搬送システムであって、
前記ハンドリング装置が、
前記通路の上方に設置され、出口が入口に比べて高くなるように傾斜し、前記入口の高さが前記無人搬送車に載置された前記搬送物の前端底面と同じ高さ、又は、前記前端底面よりも低い傾斜コンベアと、
を備え、
前記ハンドリング装置が、前記傾斜コンベアの前記出口側に、
前記無人搬送車に接触すると前記傾斜コンベアの前記出口と同じ高さの第1の位置まで上昇し、前記無人搬送車に接触しないと前記第1の位置よりも低い第2の位置まで下降し、前記傾斜コンベアの送り方向と同じ方向に前記搬送物を送る昇降コンベアと、
前記第1の位置よりも低く前記第2の位置よりも高い位置、かつ、前記昇降コンベアが取り付けられるフレームと同一のフレーム内に固定され、前記傾斜コンベアの送り方向とは異なる方向に前記搬送物を送る固定コンベアと、
を備え
前記無人搬送車が、
前記無人搬送車から上方に延び、前記搬送物の後端に接触し、前記無人搬送車が前記通路に進入すると前記無人搬送車が前進するにつれて前記搬送物の後端を押すことで前記搬送物が前記傾斜コンベア上を移動するようにする連係部材、
を備えることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送システムであって、
前記ハンドリング装置が、
前記昇降コンベアの前記第1の位置と前記第2の位置との間の動きを前記固定コンベアの送り方向の動きに変換するリンク機構と、
前記リンク機構に接続され、前記リンク機構から伝達される動きによって前記固定コンベア上の前記搬送物を前記固定コンベアの送り方向に押し出す押し出し部材と、
を備えたことを特徴とする搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車との間で搬送物の受け渡しを行う搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場内の自動化、省力化のために、特許文献1に開示されるような、パレット等の搬送物の搬送に無人搬送車(AGV)が利用されている。無人搬送車は、磁気テープ、レーザー等によって指定された軌道に沿って自律的に走行することができる。
【0003】
無人搬送車に搬送物を乗せたまま作業を行うことは少なく、通常は、無人搬送車によって搬送されてきた搬送物は、コンベアに移し替えられ、コンベアによって作業者の近くまで搬送される。また、作業終了後の搬送物は、別のコンベアによって無人搬送車の軌道近くまで搬送され、無人搬送車に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−114743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、無人搬送車を用いれば、工場内の自動化、省力化を進めることが可能である。しかしながら、無人搬送車とコンベアとの間で搬送物を移し替える作業は依然として作業者の手によっており、なお自動化、省力化の余地があった。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、無人搬送車とコンベアとの間の搬送物の受け渡しを自動化し、工場内の自動化、省力化をさらに進めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、搬送物を載せて搬送する無人搬送車と、前記無人搬送車が通る通路を内部に有し、前記無人搬送車が前記通路を通ると前記無人搬送車から前記搬送物を受け取るハンドリング装置とからなる搬送システムであって、前記ハンドリング装置が、前記通路の上方に設置され、出口が入口に比べて高くなるように傾斜し、前記入口の高さが前記無人搬送車に載置された前記搬送物の前端底面と同じ高さ、又は、前記前端底面よりも低い傾斜コンベアと、を備え、前記ハンドリング装置が、前記傾斜コンベアの前記出口側に、前記無人搬送車に接触すると前記傾斜コンベアの前記出口と同じ高さの第1の位置まで上昇し、前記無人搬送車に接触しないと前記第1の位置よりも低い第2の位置まで下降し、前記傾斜コンベアの送り方向と同じ方向に前記搬送物を送る昇降コンベアと、前記第1の位置よりも低く前記第2の位置よりも高い位置、かつ、前記昇降コンベアが取り付けられるフレームと同一のフレーム内に固定され、前記傾斜コンベアの送り方向とは異なる方向に前記搬送物を送る固定コンベアと、を備え、前記無人搬送車が、前記無人搬送車から上方に延び、前記搬送物の後端に接触し、前記無人搬送車が前記通路に進入すると前記無人搬送車が前進するにつれて前記搬送物の後端を押すことで前記搬送物が前記傾斜コンベア上を移動するようにする連係部材、を備えることを特徴とする搬送システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、ハンドリング装置におけるパレットの方向転換が自動化され、工場内の自動化、省力化をさらに進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態にかかる搬送システムの正面図である。
図2】本発明の実施形態にかかる搬送システムの上面図である。
図3A】分離機構及び方向転換機構の動作を説明するための図である。
図3B】分離機構及び方向転換機構の動作を説明するための図である。
図3C】分離機構及び方向転換機構の動作を説明するための図である。
図3D】分離機構及び方向転換機構の動作を説明するための図である。
図3E】分離機構及び方向転換機構の動作を説明するための図である。
図4】押し出し機構の細部構成を説明するための図である。
図5A】押し出し機構の動作を説明するための図である。
図5B】押し出し機構の動作を説明するための図である。
図6】整列機構の細部構成を説明するための図である。
図7A】整列機構の動作を説明するための図である。
図7B】整列機構の動作を説明するための図である。
図7C】整列機構の動作を説明するための図である。
図8A図7AのA矢視図である(スロープは省略)。
図8B図7BのB矢視図である(スロープは省略)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1図2は、本発明の実施形態にかかる搬送システム100の全体構成を示している。搬送システム100は、複数の無人搬送車2と、無人搬送車2との間でパレット3の受け渡しを行うハンドリング装置6とで構成される。なお、以下の説明では、理解を容易にするために、無人搬送車2が一台であるとして説明を行う。
【0012】
<無人搬送車2の構成>
無人搬送車2は、磁気テープ、レーザー等で指定された軌道10の上を自律的に移動する車両である。本実施形態における無人搬送車2は、動力源を有する先導車に牽引されて移動するが、それ自体がモータ等の動力源を有して移動するものであってもよい。
【0013】
無人搬送車2は、箱形の車体21を有し、車体上面22にはパレット3が載置される。パレット3には三段のラック4が取り付けられており、複数の未加工又は加工済みのワーク5を積むことができる。本実施形態において、ワーク5は、自動変速機に用いられるオイルポンプである。
【0014】
パレット3の前端は、前上がりの傾斜面になっており、無人搬送車2が後述する分離機構30の入口に到達すると、パレット3が分離機構30の傾斜コンベア31に乗り上げるようになっている。
【0015】
また、車体上面22の前側は、前下がりの傾斜面になっており、無人搬送車2が後述する方向転換装置40の下部の通路T2に進入し、方向転換装置40の昇降コンベア41から下に延びる脚部42に接触すると、脚部42が車体上面22に乗り上げるようになっている。車体上面22の後側は、後下がりの傾斜面になっており、無人搬送車2が通路T2を抜けるときに、この傾斜面に沿って脚部42が動き、昇降コンベア41がスムーズに降下するようになっている。
【0016】
また、車体上面22の後側には、連係ロッド23が車体上面22を貫通するように取り付られている。連係ロッド23は、その一部が車体上面22から上方に突き出しパレット3の後端に接触している。連係ロッド23は、図1に示す位置を最下位置として、そこから上方にスライド可能に車体上面22に取り付けられている。また、連係ロッド23の下端には車輪24が取り付けられている。
【0017】
<ハンドリング装置6の構成>
ハンドリング装置6は、未加工のワーク5を積んだパレット3を無人搬送車2から受け取り、作業者がいる作業コンベア70まで自動的に搬送する機能と、加工後のワーク5を積んだパレット3を自動的に無人搬送車2の軌道近くまで搬送し、パレット3を無人搬送車2に払い出す機能とを有する。
【0018】
ハンドリング装置6は、大きく分けて、分離機構30、方向転換機構40、押し出し機構50、受け入れコンベア60、作業コンベア70、返却コンベア80、及び、払い出し機構90によって構成される。以下、各構成について説明する。
【0019】
分離機構30は、未加工のワーク5を積んだパレット3を無人搬送車2から分離する機構であり、ハンドリング装置6のフレームに固定された傾斜コンベア31及びガイドレール32を備える。分離機構30の下部は無人搬送車2が通過することのできる通路T1になっている。
【0020】
傾斜コンベア31は、複数のローラ及びこれらを支持するフレームとで構成されるローラコンベアである。出口が入口よりも高くなるように傾斜しており、入口の高さは無人搬送車2に載置されるパレット3の前端と同じ高さ、又は、前端よりも低くなっている。
【0021】
ガイドレール32は、無人搬送車2の連係ロッド23の下端(車輪24)に接触して連係ロッド23を案内するためのレールで、傾斜コンベア31の下方、かつ、傾斜コンベア31と平行に設けられる。
【0022】
図3A図3Dは無人搬送車2に載置されているパレット3が分離機構30によって分離され、パレット3が傾斜コンベア31に乗り移る様子を示している。
【0023】
無人搬送車2が分離機構30の入口に近づくと、図3Aに示すように、パレット3の前端が傾斜コンベア31の最も入口側にあるローラに接触する。パレット3の後端に連係ロッド23が接触しているので、無人搬送車2が通路T1に進入するにつれてパレット3が連係ロッド23によって前方に押され、図3Bに示すように、パレット3が傾斜コンベア31に乗り上げる。
【0024】
傾斜コンベア31が傾斜しているので、無人搬送車2が通路T1を進む間は無人搬送車2とパレット3との上下方向の距離が増大する。しかしながら、連係ロッド23がガイドレール32によって押し上げられ、パレット3と連係ロッド23との上下方向の距離が一定に保たれるので、パレット3と連係ロッド23との接触は維持される(図3B図3C)。
【0025】
これにより、無人搬送車2が前進するにつれてパレット3が傾斜コンベア31上を移動する。そして、無人搬送車2が通路T1を通過して方向転換機構40の下部の通路T2に入ると、図3Dに示すように、パレット3が方向転換機構40の昇降コンベア41に乗り移る。
【0026】
図1図2に戻り、ハンドリング装置6の他の構成について説明を続けると、方向転換機構40は、傾斜コンベア31の送り方向と同じ方向にパレット3を送る昇降コンベア41と、昇降コンベア41の送り方向に対して直角方向にパレット3を送る固定コンベア44とを備える。方向転換機構40の下部は無人搬送車2が通過することのできる通路T2になっている。
【0027】
昇降コンベア41は、複数のローラ及びこれらを支持するフレームとで構成されるローラコンベアであり、傾斜コンベア31の出口と同じ第1の高さ(図3C参照)と、第1の高さよりも低い第2の高さ(図3E参照)との間を昇降することができるよう、ハンドリング装置6のフレームにスライド可能に取り付けられる。昇降コンベア41からは脚部42が下に延びており、脚部42の下端には車輪43が取り付けられている。車輪43も含めた脚部42の下端は通路T2内に突出している。
【0028】
固定コンベア44は、複数のローラ及びこれらを支持するフレームとで構成されるローラコンベアであり、昇降コンベア41の第1の高さよりも低く、第2の高さよりも高い位置となるようにハンドリング装置6のフレームに固定される。固定コンベア44のローラは、昇降コンベア41のローラに対して直角に、かつ、昇降コンベア41のローラを避けるように配置され、昇降コンベア41が昇降しても昇降コンベア41と固定コンベア44とが干渉することはない。
【0029】
図3C図3Eは、傾斜コンベア31を出たパレット3が昇降コンベア41に移され、その後、固定コンベア44に移される様子を示している。
【0030】
図3Cに示すように、無人搬送車2が通路T2に入ると、昇降コンベア41から下に延びる脚部42が無人搬送車2の車体上面22に乗り上げ、これによって昇降コンベア41が第1の高さまで上昇する。第1の高さは、傾斜コンベア31の出口の高さと同じ高さなので、図3C図3Dに示すように、傾斜コンベア31を進んできたパレット3は昇降コンベア41にスムーズに乗り移る。
【0031】
無人搬送車2がさらに前進し、通路T2を抜けると、昇降コンベア41から下に延びる脚部42が無人搬送車2の車体上面22から外れ、これによって昇降コンベア41が図3Eに示す第2の高さまで下降する。第2の高さは固定コンベア44が設置されている高さよりも低いので、パレット3は昇降コンベア41から固定コンベア44に乗り移る。
【0032】
固定コンベア44の送り方向は上記の通り昇降コンベア41の送り方向に対して直角方向であるので、パレット3が昇降コンベア41から固定コンベア44に移ることによってパレット3の方向転換が実現される。
【0033】
図2に戻り、ハンドリング装置6の他の構成について説明を続けると、押し出し機構50は、昇降コンベア41から固定コンベア44に乗り移ったパレット3を固定コンベア44の送り方向に押し出す機構である。
【0034】
押し出し機構50は、図4に示すように、丸棒状の押し出し部材51と、昇降コンベア41の昇降動作を固定コンベア44の送り方向の動きに変換して押し出し部材51に伝えるリンク機構52とで構成される。
【0035】
リンク機構52は、一端が昇降コンベア41に回転自在に接続される第1リンク53と、一端が第1リンク53の他端に回転自在に接続されるとともに途中がハンドリング装置6のフレームに回転自在に接続される第2リンク54と、第2リンク54と一定の角度をなすように一端が第2リンク54の他端に連結されるとともに他端に押し出し部材51が固定される第3リンク55とで構成される。
【0036】
図5A図5Bは押し出し機構50が動作する様子を示している。
【0037】
通路T2に無人搬送車2が進入すると、図5Aに示すように、昇降コンベア41の脚部42が無人搬送車2の車体上面22に乗り上げ、昇降コンベア41が上昇する。昇降コンベア41が上昇すると、図5Aに示すように、リンク機構52によってこの動きが水平方向の動きに変換されて押し出し部材51に伝達され、押し出し部材51が方向転換機構40の隅(パレット3と干渉しない位置)に待避する。
【0038】
無人搬送車2が通路T2を抜けると、図5Bに示すように、昇降コンベア41の脚部42が無人搬送車2の車体上面22から外れ、昇降コンベア41が下降する。昇降コンベア41のこの動きがリンク機構52によって水平方向の動きに変換されて押し出し部材51に伝達され、押し出し部材51が固定コンベア44の送り方向に移動する。
【0039】
これにより、固定コンベア44上のパレット3が押し出し部材51によって固定コンベア44の送り方向に押され、固定コンベア44上のパレット3が受け入れコンベア60へと押し出される。
【0040】
図2に戻り、ハンドリング装置6の他の構成について説明を続けると、受け入れコンベア60は、固定コンベア44と送り方向が同じコンベアであり、方向転換機構40と作業コンベア70との間を接続する。受け入れコンベア60は、入口よりも出口が低くなっており、押し出し機構50によってパレット3が固定コンベア44から受け入れコンベア60に押し出されると、パレット3は自重によって作業コンベア70まで搬送される。
【0041】
作業コンベア70の上面には、パレット3を任意の方向に送ることができるよう、多数の自在キャスタ71が車輪を上に向けた状態で配置される。作業者は、受け入れコンベア60から作業コンベア70に搬送されてくるパレット3から未加工のワーク5を受け取り、所定の加工をワーク5に施す。そして、加工済みのワーク5をパレット3に戻す。
【0042】
返却コンベア80は、受け入れコンベア60と送り方向が逆のコンベアであり、作業コンベア70と払い出し機構90との間を接続する。返却コンベア80は、入口よりも出口が低くなっており、加工済みのワーク5が積まれたパレット3が作業者によって返却コンベア80に押し出されると、パレット3は自重によって払い出し機構90まで搬送される。
【0043】
払い出し機構90は、返却コンベア80から送られてくるパレット3を受け取る待機コンベア91と、待機コンベア91上のパレット3を整列させる整列機構92と、スロープ93とを備える。払い出し機構90の下部は無人搬送車2が通過することのできる通路T3(図1参照)になっている。
【0044】
待機コンベア91は、返却コンベア80から送られてくるパレット3を受け入れて待機させる。待機コンベア91の上面には多数の自在キャスタ94が車輪を上に向けた状態で配置され、待機コンベア91上のパレット3が任意の方向に移動できるようになっている。
【0045】
整列機構92は、図6に示すように、待機コンベア91の脇に設けられ、回転軸95と、回転軸95に固定されるアーム96及びフラップ97と、フラップ97とハンドリング装置6のフレームとを接続するバネ98とで構成される。アーム96は、無人搬送車2の進行方向側が凹になるように屈曲しており、待機コンベア91の上側において待機コンベア91の上面と平行に延びている。また、フラップ97は、待機コンベア91の下側において待機コンベア91の上面と平行に延び、通路T3に突出している。
【0046】
スロープ93は、待機コンベア91の出口に接続し、待機コンベア91から払い出されたパレット3を無人搬送車2の車体上面22の高さまで徐々に降下させる。
【0047】
図7A図7Cは、払い出し機構90の動作を示している。図8A図7AのA矢視図、図8B図7BのB矢視図である(それぞれスロープ93は省略)。
【0048】
図7A及び図8Aは、無人搬送車2が通路T3に進入する前の状態である。
【0049】
無人搬送車2が通路T3に進入すると、図7B及び図8Bに示すように、無人搬送車2の側面がフラップ97に接触し、バネ98の力に抗してフラップ97が無人搬送車2の進行方向に回転し、アーム96がこれに連動して同じ方向に回転する。アーム96が上記の通り無人搬送車2の進行方向側が凹になるように屈曲しているので、アーム96が回転するとパレット3に取り付けられているラック4の支柱Pに接触して抱え込み、アーム96が回転するにつれてパレット3が待機コンベア91の脇に引き寄せられてパレット3が整列される。
【0050】
無人搬送車2が通路T3をさらに進むと、図7Cに示すように、連係ロッド23がパレット3の後端に接触してパレット3を押し、パレット3が待機コンベア91から払い出される。アーム96は整列時にラック4の支柱Pを抱え込んでいるが、進行方向側が開いているので、ラック4の支柱Pはアーム96から抜け出すことができ、アーム96がパレット3の進行を妨げることはない。
【0051】
待機コンベア91から払い出されたパレット3は、スロープ93を通り、無人搬送車2に移される。
【0052】
上記実施形態によれば、分離機構30及び払い出し機構90によって、無人搬送車2との間のパレット3の受け渡しが自動化され、工場内の自動化、省力化をさらに進めることができる。パレット3の受け渡しの動力として無人搬送車2の動きを利用するようにしたので、電気、空気圧等の動力は不要である(請求項1に対応する効果)。
【0053】
また、方向転換機構40を備えたことにより、ハンドリング装置6におけるパレット3の方向転換が自動化される(請求項2に対応する効果)。
【0054】
また、押し出し機構50を備えたことにより、方向転換機構40から受け入れコンベア60へのパレット3の移し替えが自動化される(請求項3に対応する効果)。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0056】
2 無人搬送車
3 パレット(搬送物)
6 ハンドリング装置
31 傾斜コンベア
32 ガイドレール(ガイド部材)
23 連係ロッド(連係部材)
41 昇降コンベア
44 固定コンベア
51 押し出し部材
52 リンク機構
91 待機コンベア
96 アーム
97 フラップ
100 搬送システム
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B