(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チャネル損失は、前記アクセスポイントによって前記ダウンリンク信号を拡散するのに使用されたダウンリンク拡散率に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項2に記載の方法。
アクセスポイントとタグの間の通信チャネルに沿って生じるチャネル損失を決定し、前記チャネル損失に少なくとも部分的に基づき、かつ前記アクセスポイントが前記タグからアップリンク信号を受信すべき所定の電力に少なくとも部分的に基づいて、アップリンク拡散率を決定し、前記アップリンク拡散率が所定の最小拡散率であることを決定し、前記アップリンク拡散率が所定の最小拡散率であることを決定するステップに基づきアップリンク電力を決定するするように構成されたプロセッサであって、前記アップリンク電力は、前記チャネル損失に少なくとも部分的に基づき、かつ前記所定の電力に少なくとも部分的に基づいて決定されるとともに、決定されたアップリンク電力が最大電力より小さい、プロセッサと、
前記プロセッサと動作可能に結合され、前記アップリンク拡散率で前記アップリンク信号を拡散するように構成された、擬似雑音拡散器と、
前記プロセッサと動作可能に結合され、前記アップリンク信号を前記タグから前記アクセスポイントに前記アップリンク電力で送信するように構成された、送信機と、
を含むタグ。
前記プロセッサと動作可能に結合され、前記アクセスポイントからダウンリンク信号を受信するように構成された受信機であって、前記プロセッサは前記ダウンリンク信号に少なくとも部分的に基づいて前記チャネル損失を決定する受信機をさらに含む、請求項5に記載のタグ。
前記プロセッサは、アクセスポイントによって前記ダウンリンク信号を拡散するのに使用されたダウンリンク拡散率に少なくとも部分的に基づいて前記チャネル損失を決定する、請求項6に記載のタグ。
前記タグの前記プロセッサは、アクセスポイントによって前記ダウンリンク信号を拡散するのに使用されたダウンリンク拡散率に少なくとも部分的に基づいて前記チャネル損失を決定する、請求項9に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
以下、添付の図面を参照して、例示的な実施形態を説明する。以下の説明は、例示的な実施形態を説明することを意図しており、添付の請求の範囲で定義される本発明を限定することを意図するものではない。
【0022】
図1は、畳み込みエンコーダ、インタリーブモジュール、変調器、擬似雑音拡散器、フィルタ、一連のタップ、自動周波数制御(AFC)ローテータ、及びその他のこのような構造などの構造を含むアップリンク送信機10を示している。これらの構造は、ブロック12、14、16、18、20、及び22に示す動作を行う。アップリンク送信機10の送信パスは、符号化されスペクトル拡散された波形である。例示的な実施形態では、復調された通信チャネルを使用する他のタグと同様に、アクセスポイントと通信するタグにアップリンク送信機10を含めることができる。アップリンク送信機10は、特定の実施形態に応じて追加の、より少ない、又は異なる動作を行うことができる。図示及び説明するものとは異なる順序で動作を行うこともできる。本明細書で使用する場合、タグとは、アクセスポイントとの間で信号を送受信するように構成されたあらゆる通信装置を意味することができる。アクセスポイントとは、複数のタグと同時に通信するように構成されたあらゆる通信装置を意味することができる。例示的な実施形態では、タグは、電池又はその他の蓄積電力で動くモバイルな低電力装置であってもよく、アクセスポイントは中央位置に存在し、壁コンセント又は発電機などの電源から電力を受け取ることができる。或いは、タグをコンセントに接続し、及び/又はアクセスポイントが電池又は他の蓄積電源で動くようにすることもできる。
【0023】
ブロック12において、畳み込みエンコーダ及びインタリーブモジュールによりデータストリームが受け取られる。1つの実施形態では、このデータストリームは、プリアンブルを含む128ビットである。或いは、他のサイズのデータストリームを使用することもできる。データストリームは、受け取られるとすぐに、畳み込みエンコーダを使用してエンコードされる。例示的な実施形態では、データストリームを1/2のレートでエンコードすることができる。或いは、その他のレートを使用することもできる。インタリーブモジュールを使用してデータストリームをインタリーブすることもできる。エンコードされた符号ストリームがブロック14に対して出力され、ここでは差動二相位相偏移変調(D−BPSK)変調器を使用して、エンコードされた符号ストリームが変調される。代替の実施形態では、その他の変調スキームを使用することができる。ブロック16において、変調されたストリームがPN拡散器に適用される。例示的な実施形態では、PN拡散器が、選択された拡散率(spreading factor)を使用する共通ネットワークゴールド符号チャネルを使用することができる。拡散率は、{64、128、256、...8192}の組の要素とすることができる。或いは、その他のあらゆる符号及び/又は拡散率を使用することもできる。所与の拡散率のタグの各々が、同じPN符号により、ランダムに選択したチップオフセットで拡散される。チップオフセットを広範囲にわたってできるだけランダムに選択することにより、特定のフレームが他の送信機からの他のフレームと衝突しない(或いは、換言すれば、アクセスポイントにおいて同じチップタイミングを有さない)確率が高くなる。迫り来る容量の限界における衝突の確率が無視できなくなった場合(〜10%又はそれ未満)、同じフレームを別様に取り出しランダムなオフセットで再送することによりこれを解決することができる。以下、
図4を参照しながらPN拡散器についてより詳細に説明する。例示的な実施形態では、ブロック18の出力は、1メガチップ/秒(Mcps)において1ビットレートを有することができる。或いは、その他のレートを使用することもできる。
【0024】
ブロック18において、データストリームが4×オーバーサンプルフィルタによりアップサンプリングされ、時間トラッキングロジックを使用して、フレームが全てAPの周波数基準と一致する同じサンプルレートに落ち着くことを確実にする。ブロック18は、サンプルスリップ/リピートインジケータを入力として受け取る。1つの実施形態では、ブロック18の出力は、約4メガヘルツ(MHz)の実周波数を有することができる。ブロック20において、周波数オフセットを含む自動周波数制御(AFC)回転を行ってアクセスポイントのタイミングオフセットを一致させ、全ユーザのからのフレームが全て同じ周波数仮説(hypothesis)の近くに落ち着くことを確実にする。 1つの実施形態では、ブロック20の出力が、約4MHzの複素周波数を有することができる。ブロック22において、正しいアクセススロットが生じるまで開始スロットからの遅延が課される。また、信号にランダムなチップ遅延が課される。例示的な実施形態では、このランダムなチップ遅延を0〜拡散率−1までとすることができる。或いは、異なるランダムなチップ遅延を使用することもできる。A(i,j)によりスロットアクセスを記述することができ、この場合、iは2
∧(13−i)として拡散率に関連し、jは非オーバーラップスロットに対応するサブスロット番号である。選択する拡散率に応じて、一般的には所与のスロット内に複数の伝送機会が存在する。アップリンクでは、アクセススロットを0〜拡散率−1までのチップオフセットとともにランダムに選択することができる。このように、アップリンクユーザ間の衝突の確率が最小化される一方で、衝突が起きた際には再選択が可能になる。信号を遅延させた後、この信号をアクセスポイントへ送信することができる。
【0025】
図2は、畳み込みエンコーダ、インタリーブモジュール、変調器、擬似雑音拡散器、フィルタ、一連のタップ、及びその他のこのような構造等、の構造を有するダウンリンク送信機30を示している。送信機30を使用して、アクセスポイント(AP)が、各々が特定のタグ又はユーザ宛ての複数のチャネルを送信する。これらの構造は、ブロック32〜54に示す動作を行う。ブロック32〜40及びブロック42〜50は、追加のデータフローのために複製できる異なるデータパスを表している。例示的な実施形態では、ブロック32〜38が、
図1を参照しながら説明した第1のデータストリームに関する動作と同様の動作を行うことができる。同様に、ブロック42〜48は、
図1を参照しながら説明したn番目のデータストリームに関する動作と同様の動作を行うことができ、この場合nはいずれの値であってもよい。ブロック36への入力は、第1のデータストリームを受信する予定のタグに特有のゴールド符号とすることができ、ブロック46への入力は、n番目のデータストリームを受信する予定のタグに特有のゴールド符号とすることができる。或いは、同報ゴールド符号、非ゴールド符号、又はその他のような他の符号を使用して、第1のデータストリーム及び/又はn番目のデータストリームを拡散することができる。第1のデータストリーム及びn番目のデータストリームに対応するデータリンクの電力が同等でない場合、ブロック40及び50においてブロック38及び/又はブロック48の出力に重み付けすることができる。重み付けされると、ブロック52においてパスが合計される。ブロック52では硬判定(hard decision)も行われ、正数は全て0にマッピングされ、負数は全て1にマッピングされる。或いは、異なる硬判定を行うことも可能である。1つの実施形態では、ブロック52の出力が、10Mcpsにおいて1ビットレートを有することができる。或いは、その他のレートを使用することもできる。ブロック54において、4×チップフィルタを使用してブロック52からの総出力がアップサンプリングされる。1つの実施形態では、ブロック54の出力が、40MHzの実周波数を有することができる。或いは、その他の周波数を使用することもできる。2048の最大ダウンリンク拡散率における同報フレームの単一の組である隣接周波数での伝送は図示していない。或いは、異なる最大ダウンリンク拡散率を使用することもできる。
【0026】
図3は、スロット構造及び割り当てを示している。少なくとも1つの実施形態では、データストリーム70が、スロット72、スロット74、及びスロット76を含む。スロット72はAPからタグへの通信、スロット74はタグからAPへの通信、及びスロット76はAPからタグへの通信である。例示的な実施形態では、スロットの各々が2.1秒の継続時間を有することができる。或いは、他のいずれの継続時間を使用してもよく、及び/又はスロットによって継続時間が異なってもよい。データストリーム70を半二重通信スキームで実施して、いずれかの時点において、APが送信を行ってこれをタグが受信しているか、或いはタグが送信を行ってこれをAPが受信しているかのいずれかとなるようにすることができる。代替の実施形態では、その他の通信スキームを使用することができる。
図3に示すように、データチャネル80は、スロット72内のデータのための処理利得のオプションを示している。特定の利得でデータリンクが閉じる場合、対応する利得を有するスロットの継続時間中は、タグは(APトゥタグモードでは)受信準備のみを行えばよい。伝送モードでは、タグが自身の電力消費伝送モードにおけるオンタイムを最小化できるように、タグからアクセスポイントへの伝送をスロット選択によって管理することができる。例えば、18dBの利得には1.6msのスロット(A
7,0)のみが必要となる。データチャネル82は、スロット74内のデータのための処理利得のオプションを示している。以上のように、タグが使用する電力を、個々のデータリンクが同じ電力でAPに到達するように選択することができる。
【0027】
AP側における数多くの同時波形の処理と、タグ側における相対的に少ない波形の処理との間では釣り合いが取れている。APが自動周波数制御(AFC)、時間トラッキングドリフト、及びフレームタイミングのマスタであることにより、AP側ではこれらのパラメータが分かっている。しかしながら、AFC、時間トラッキングドリフト、及びフレームタイミングをタグ側で取得した際に決定することもできる。PN配列の逆拡散器は、取得仮説の探索/復調のための効率的実行である、これらの両方に関連するブルートフォース動作を行う。この動作の別の態様は、この大量電力消費回路(アクティブ時)が、AP上では継続的に実行される(壁コンセントに接続されるので問題はない)が、タグ上では、めったに行われない「コールド」取得中にのみ実行されるようにすることである。コールド取得及びウォーム取得については、
図5及び
図6をそれぞれ参照しながらより詳細に説明する。
【0028】
図4は、PN(擬似雑音)逆拡散アレイを示しており、これによりタグ上での単一波形の取得及びAP上での複数波形のブルートフォース復調の両方が容易になる。例示的な実施形態では、PN逆拡散アレイが、多くのチップ間隔のタイミング仮説の1ビットドット積を同時に行うことができる。
【0029】
PN逆拡散のコア要素は、入力が0であるか又は1であるかに応じて個々のクロックを増分され又は増分されない単純なカウンタであってもよい。このコア要素は複素データパスであるため、I(位相内)のために1つ、及びQ(直交位相)のために1つの2つのカウンタが存在する。一般に、複素指数による乗算は、複素指数表と連動する4つの大きめのスカラー乗算器(4×1000ゲートが一般的)の組である。対照的に、1ビットの複素乗算器は、基本的に以下に示す例示的な表のような単純な真偽表であり、表中、負の値は逆数(0→1及び1→0)を示す。この真偽表は、ほんのわずかなゲートを使用して実現することができる。
【0030】
図4は、PN逆拡散アレイ100を示している。複素逆拡散動作ではカウンタ対の(1つの実施形態では256又はそれ以上などの)多くのインスタンス化が存在し得る。PN逆拡散アレイ100には、チップ間隔のタイミング仮説に作用するPN逆拡散要素102、104、及び106の隣接するインスタンス化をチップレートで供給することができる。ブロック114から要素102、104、及び106へ1ビットの複素データが送信され、ここでPN発生器110からのPN信号と合成される。PN信号発生器110は、APがデータを拡散するのと同じ順序の0及び1を出力するハードウェアであってもよい。要素102の場合、逆回転されたデータが、結合器(combiner)122aにおいてPN信号と合成される(より具体的には、1ビット複素乗算される)。この合成の実数部及び虚数部が、カウンタ118a及び120aに別々に入力される。カウンタ118a及び120aは、リセット信号112を受信するとビットストリームをシフトアウトする。より具体的には、カウンタ内のデータは、リセット信号を受信する前でのみ有効である。リセット信号は両方のカウンタを0に強制する。マルチプレクサ(multiplexer)108は、自身の逆拡散動作を特定のクロックで一意に完了したフィンガに対して現在有効なカウンタの出力を可能にする。PN逆拡散アレイ100内の他の要素も同様に動作する。要素104は、逆回転されたデータをブロック114から受け取り、要素102内の遅延ブロック116aにより課せられる遅延後にこれをPN信号と合成する。この合成がカウンタ118b及び120bに入力され、これが遅延ブロック124aから課せられる遅延を伴うリセット信号112からの信号に基づいてカウンタから取り出される。同様に、要素106は、逆回転されたデータをブロック114から受け取り、要素104内の遅延ブロック116bにより課せられる遅延後にこれをPN信号と合成する。この合成がカウンタ118c及び120cに入力され、これが遅延ブロック124bから課せられる遅延を伴うリセット信号112からの信号に基づいてカウンタから取り出される。
【0031】
拡散率に対応する数多くのクロックの後、PN逆拡散要素102は、マルチプレクサ108による出力のために選択される有効なデータを有するようになる。その後、全てのクロックごとに、全てのデータが出力されるまで隣接する拡散要素104又は106を利用することができ、拡散率とPN逆拡散インスタンス化の数とを足し合わせたものに相当するクロック数の最中にこれを行うことができる。この機構の動作を管理するPN符号は、値によりパラメータ化されたゴールド符号であってもよい。代替の実施形態では、その他のPN符号を使用することができる。
【0032】
図5は、アクセスポイントの送信波形を復調するために同報チャネルのタグモデム処理において行われる動作を示している。特定の実施形態に応じて、追加の、より少ない、又は異なる動作を行うことができる。図示及び説明するものとは異なる順序で、動作を行うこともできる。
【0033】
タグの最初の立ち上げ時には、(特定のゴールド符号又はその他の符号パラメータなどの)同報チャネルのPNシーケンス以外は、波形に関するパラメータは分かっていない。しかも、APとタグとの間の発振器の不一致に起因して、APとタグとの間にどれほどの相対的周波数オフセットが存在するかをタグが十分な精度で分かっていないこともある。
図5は、APとタグとの間の100万分の1(ppm)ドリフトの不確実性の範囲を探索する走査モードを示している。動作150において、2スロットにわたり反復を行って、タグが同報チャネルに同調できるようにする。例えば、スロットタイミングとは非同期で処理を開始することができる。仮説の半分を探索中は同報チャネルをアクティブにすることができ、仮説の他方の半分を探索中には同報チャネルを非アクティブにすることができる。第1の反復では、開始点が非同期の第1のスロットタイミングを使用して全ての仮説を探索することができる。第1の反復でエネルギーが見つからない場合は第2の反復を実行する。第2の反復では、非同期の開始点を、第1の反復で使用した非同期の開始点から1スロットずらすことができる。このように、同報チャネルがアクティブであった間に探索した仮説を、同報チャネルがアクティブである間に探索することができる。エネルギーが見つかると、タグが同報チャネルに同調することができる。例示的な実施形態では、動作150が「コールド取得」の開始点を表すことができる。動作152において、粗い自動周波数制御(AFC)が初期化される。1つの実施形態では、この初期値が−10ppmオフセットなどの最も負の値にセットされる。同報チャネルの既知のゴールド符号生成されたPNシーケンスを使用して、動作154において、所与の粗いAFC仮説の全てのC×4間隔の仮説の非コヒーレントな距離関数を計算する。例えば、拡散率の長さが2048の場合、8192の仮説の非コヒーレントな距離関数を計算することができる。
【0034】
動作156及び158において、粗いAFC仮説をppmレンジ(range)の最後まで増分する。個々の粗いAFC仮説ごとに、
図7に示すハードウェアを使用して、現在の仮説により表される周波数オフセットを元に戻す。PN逆拡散アレイを使用して、8個の連続する符号からなる逆拡散出力を生成する。或いは、他の数の符号を使用することもできる。次に、これらの8個の符号の非コヒーレントな合計を計算する。上からN個(1つの実施形態では8個)の距離関数の組が、これらの関連パラメータとともにデータ構造内に保持される。
図5のフロー図が示すように、勝った(すなわち、有効な)1つがデータ構造内に表されることを見越して、発振器ppmの不確実性の範囲全体が、チップ×4の分解能における全てのタイミング仮説とともに探索される。最も有効な仮説とともに、一般により少ないマルチパス反射、依然としてかなりのエネルギー蓄積が存在する隣接するAFCの粗い周波数仮説、並びに雑音分散によって異常に大きな距離関数を生成した完全に無効な仮説が存在する傾向にある。
【0035】
個々の粗いAFCごとの全てのチップ×4のタイミング仮説の非コヒーレントな距離関数をデータ構造に伝えることができる。動作160において、データ構造が、(粗いAFC値、チップ×4のタイミング仮説、非コヒーレントな距離関数値などの)最も大きな非コヒーレントな距離関数を記録する。動作162において、「最終的勝者(finalists)」がN個の専用フィンガ(dedicated fingers)に割り当てられる。チップ×4のタイミング値、及びPN逆拡散アレイを管理する現在の粗いAFC仮説とは無関係の粗いAFC仮説により、個々のフィンガを一意にパラメータ化することができる。最初はフレームタイミングが分かっていないので、専用フィンガにより出力される個々の逆拡散符号がフレーム内の最後であると仮定される。このようにして、動作164及び166に示すように、バッファされた256個の符号が、差動復調、及び定数複素値による乗算に基づく追加の反復セットを受けて細かいAFC補正を実行する。動作164の出力は、個々の専用フィンガからの複素外積となり得る。動作166において、(細かいAFC仮説により求められるような)定数複素回転による符号ごとの乗算を情報の仮想フレームに繰り返し適用して、いずれの複素回転定数値の選択(あるとすれば)が、周期的冗長検査(CRC)をパスするフレームを発見するかを判定することができる。これは、個々の仮説ごとに周期的冗長検査(CRC)を実行できるブルートフォース動作であってもよい。あらゆる有効なCRCに関して、信号からのペイロードをMACへ送信することができ、及びネットワークパラメータを既知であると見なすことができる。
【0036】
動作168において、他のスロットタイミング仮説が試行される。例示的な実施形態では、最も成功したCRCに関連する粗いAFC仮説を、名目上の最初の粗いAFC仮説とすることができる。粗いAFC仮説の範囲全体が探索されると、タグは、粗いAFC仮説検索の範囲を大幅に狭める将来的なトランザクションで使用される関連する状態情報であるNominal_Coarse_AFCと呼ばれる変数を記録するが、これは、1分かそこらにわたる発振器ドリフトよりも発振器のppm偏差の部分ごとの変化のほうが非常に大きいことに起因する。
【0037】
図6は、ウォームスタート、すなわち関連する状態情報が分かっている場合からの専用チャネルのタグ処理において行われる動作を示している。例えば、フレームタイミングを把握して、大幅に狭い範囲の粗いAFC仮説を探索することができる。モデムは、9個の符号のプリアンブルの末尾の前に有効なフィンガ割り当てが行われるように自身の処理を十分に早く開始する。或いは、その他のあらゆる数の符号を使用することができる。
【0038】
動作200では、フレームタイミングが分かっているので、タイミング仮説を2スロットにわたって反復する必要はない。同報チャネルを使用する代わりに専用チャネルを使用する。動作202において、粗いAFC仮説を走査する。例示的な実施形態では、粗いAFCを狭い範囲にわたって走査して、最後のアクセス時からの小さな周波数ドリフトを計上することができる。タグに一意の既知のゴールド符号生成されたPNシーケンスを使用して、動作204において全てのチップ×4間隔の仮説の非コヒーレントな距離関数を計算する。動作206及び208において、粗いAFC仮説を、狭いppm範囲の最後まで増分する。動作210において、データ構造が、(粗いAFC値、チップ×4のタイミング仮説、非コヒーレントな距離関数値などの)最大の非コヒーレントな距離関数を記録する。動作212において、データ構造に基づいて専用フィンガが割り当てられる。動作214において、現在のDBPSK及び以前のDBPSKを使用して符号外積が生成される。動作214の出力は、個々の専用フィンガからの複素外積であり得る。動作216において、フレームがインタリーブされてデコードされる。あらゆる有効なCRCに関して、ペイロードを媒体アクセス制御(MAC)層へ送信することができる。動作218において、他のスロットタイミング仮説が試行される。例示的な実施形態では、最も成功したCRCに関連する粗いAFC仮説を、名目上の最初の粗いAFC仮説とすることができる。
【0039】
図7は、例示的な実施形態によるタグの復調処理を示すタグの受信データパスを示している。図示のように、1ビットの複素サンプルをサンプルバッファ220にバッファして、有効なエネルギーの信頼できる検出を行うのに十分なデータが提示されるようにする。サンプルバッファブロック220において例示的な値が提供される。例えば、1つの実施形態では9個の符号をバッファする。代替の実施形態では、他の値を使用することもできる。サンプルをIチャネル及びQチャネルからこのピンポンバッファスキームにチップ×2又は2MHzの同期サンプルレートで入力することができる。或いは、他の率が使われる可能性がある。速い非同期クロックで、これらのサンプルは、さまざまな粗いAFC仮説を調査するのに用いられる。現在の粗いAFC仮説に基づいて、チップ×4の分解能で時間トラッキングを実行する。AP及びタグの両方で同じタイミング基準を使用してキャリア周波数及びサンプルクロックの両方をドライブするので、既知のキャリア周波数を有する粗いAFC仮説は、既知の時間トラッキングレートに一意にマッピングを行うことができる。
【0040】
サンプルバッファ220は、Iチャネル及びQチャネルを介して通信信号を受け取る。これらの信号は、時間トラッキングロジック222及び専用フィンガ234へ送信される。時間トラッキングロジック222は粗いAFC仮説も受け取り、ロジック222は、チップ×4パリティでゼロにリセットすることができる。時間トラッキングロジック222は2つのブロックを有することができ、1つは偶数チップ×4パリティに関してゼロに初期化されるカウンタを有し、1つは奇数チップ×4パリティに関してミッドレンジ(すなわち、2
∧25)に初期化されるカウンタを有する。時間トラッキングロジック222の出力がブロック224に提供され、ここで仮想チップ×4位相が適用される。ブロック224はまた、取得状態マシンからパリティを受け取ることもできる。ブロック224の出力に自動周波数制御(AFC)回転ロジック226が適用される。
【0041】
図8は、
図7を参照しながら説明した時間トラッキングロジック222の2つのブロックの例示的な実施形態を示している。ストリーム250は、偶数チップ×4パリティを有する通信ストリームである。ストリーム252は、奇数チップ×4パリティを有する通信ストリームである。
図8は、時間トラッキング動作を示しており、個々の異なる網掛けは異なるチップ×4間隔のシーケンスを表している。いずれの現在のAFC仮説が探索されているかに直接依存するレートでサンプルが挿入又は反復され、サンプルレートと搬送波周波数との間の既知の比率により乗算される。これを固定したクロック仮定として使用して、2次元空間を1次元に崩すことができる。図示の値Nは、十分な時間トラッキング精度を可能にするために記録される分数成分を有する。所定の時間に4個の可能なチップ×4位相の特定のパリティが選択される。次に、
図9に示すように、結果として得られるチップレートシーケンスが1ビットのデータパスにおいて逆回転される。
【0042】
図9は、所定の時間に4個の仮想チップ×4位相224のうちの1つに作用する
図7のAFC(自動周波数制御)回転ロジック226の機能を示している。
図9は、1ビットの逆回転機構を示している。この逆回転機構は、想定される粗いAFC仮説に関して受信機と送信機との間の相対的な搬送波ドリフトによるAFC回転を元に戻すように設計される。これは、(上述の真偽表によって表される)1ビット変換であるため、処理の90度分解能は、相対的な発振器オフセットからのAFCドリフトに起因する位相の連続値に対して+/−45度である。
【0043】
AFC回転ロジック226はまた、粗いAFC仮説を入力として受け取ることもできる。PN逆拡散アレイ228(
図7)は、自身の逆拡散動作をチップ間隔の仮説のために実行する。PN逆拡散アレイ228は、現在の粗いAFC仮説、タイミングパリティ、タイミング位相、拡散率、及び/又はゴールド符号選択を入力として受け取ることができる。所与の符号に関して値が出力されるので、より良好な距離関数の信頼性のために合計が非コヒーレントに蓄積され、実行中の合計が非コヒーレントな蓄積バッファ230に記憶される。このバッファのサイズは逆拡散要素の数に基づく。例示的な実施形態では、PN逆拡散アレイ228が256個の逆拡散要素を有し、サンプルバッファを通過することにより256個の仮説のための非コヒーレントな距離関数が完成するようになる。或いは、その他の数の逆拡散要素を使用することができ、その他の数の仮説に関して距離関数を完成させることができる。タグの送信電力制御において、及びAPへの電力制御フィードバックに信号対雑音比(SNR)距離関数を使用することができる。最も大きな距離関数を有する仮説が上位N個のパスデータ構造232に記憶され、これを使用して専用フィンガ234の割り当てを制御する。上位N個のパスは、タイミング仮説、タイミングパリティ、粗いAFC仮説、その他を含むN個のレコードであってもよい。
【0044】
図10は、専用通信フィンガを示している。個々の専用フィンガは、チップ×4サンプルの4個の位相の各々にアクセスすることができ、チップ×4セレクタ260が、フィンガ割り当てのパラメータの一部として設定される。個々のフィンガは、独自のPN発生器262、及び逆拡散に使用するAFC発生器264を有する。専用フィンガは、粗いAFC仮説、自身のチップ×4タイミング位相、時間トラッキングレートの従属変数に基づいて符号積算器266内に蓄積し、その後クロックの拡散率数ごとに複素変数を出力する。
図7を参照しながら例示した専用フィンガ234はまた、サンプルバッファ220及びPN符号選択から入力を受け取ることもできる。
【0045】
再び
図7を参照すると、専用フィンガ234からの出力は、性能を犠牲にすることなくフレームバッファ238に効率的に記憶するためにビット幅を縮小するビット幅スクイーザ236を通過する。ビット幅スクイーザ236からの出力はフレームバッファ238に提供され、これは、現在の符号がフレームの最後の符号であるかのように256の符号フレームを処理する一般的事例を可能にする循環バッファ機構であってもよい。フレームタイミングが分かっている場合、このメモリ構造は、既知の最終符号を有するフレームの特定の処理をサポートすることができる。
【0046】
フレームバッファ238は、受信チェーンの残りに仮定フレームを出力する。外積乗算ブロック240は、現在の符号と、D−BPSK復調のための従来の距離関数である以前の符号の複素共役とを乗算する。残留周波数ドリフトにより、D−BPSK群が固定位相によって回転されるようにすることができる。細かいAFC乗算ブロック242の役割は、ブルートフォース法を取って異なる可能な位相回転を試行することにより、少なくとも1つの細かいAFC仮説がデインタリーバ及びビタビデコーダ244を通過するときに有効なCRCを生じるようにすることである。細かいAFC乗算ブロック242はまた、細かいAFC仮説を入力として受け取ることもできる。デインタリーバ及びビタビデコーダ244からの出力は、CRCチェッカ246に提供される。CRCが有効である場合、ペイロードロードがMAC層へ送信される。
【0047】
図11は、アクセスポイントの受信処理中に行われる例示的な動作を示している。実施形態に応じて、追加の、より少ない、又は異なる動作を行うことができる。さらに、本明細書に示すものとは異なる順序で動作を行うこともできる。APは、全ての考えられるチップ×2タイミング仮説、拡散率、及び拡散率内のアクセススロットをチェックするブルートフォース動作を実行する。これは、タグによる非協調的なアクセスを可能にする。幸いにも、APがフレームタイミング及びAFC搬送波基準のマスタであることにより(全てのタグは、自身の搬送波ドリフト及びサンプルクロックを補正してAPのタイミングに一致させることができる)、APが粗いAFC仮説の次元又は未知のフレームタイミングを探索する必要がないので、APにかかる処理負荷は大幅に低減される。
【0048】
図11のフロー図は、全ての考えられるチップ×2タイミングオフセット、[8192,4096,...,64]の組からの拡散率、及び最大値未満の拡散率のアクセススロット番号に対する反復の順序付けの例を示している。次にAPは、タグが実行するものと同様の細かいAFC検索を実行して、最後のトランザクション以降に発生するタグのタイミングソースとAPとのタイミングソースとの間の少量の周波数ドリフトを可能にする。全ての有効なCRCがMAC層へ転送される。
図11のフロー図は多次元空間の検索を示している。最も外側のループでは、全ての考えられる拡散率が検索される。例示的な実施形態では、8個の拡散率[64,128,256,512,1024,2048,4096,8192]が存在することができる。或いは、他の拡散率及び/又は拡散率の数を使用することもできる。第2のループでは、所与の拡散率に関する全ての考えられるサブスロットが検索される。例えば、64チップの拡散率では128個のサブスロットが考えられ、8192チップの拡散率では単一のデジェネレイトサブスロットが存在することができる。第3のループでは、所与のサブスロット内の全ての考えられるチップ×2タイミング位相が検索される。以下で、更に詳細に述べられるように、さまざまなループは矢で
図11に図示される。
【0049】
動作270において、1つの粗いAFC値が使用される。例示的な実施形態では、タグが補正を行うので、1つの粗いAFC値を0とすることができる。動作272において、最大拡散率(例8192)を始点として使用する。代替の実施形態では、最大拡散率が8192より大きても又は小さくてもよい。動作274において、拡散率内のアクセススロットが処理される。この処理は、8192個の拡散率が存在する場合にはデジェネレイトであってもよい。動作276において、全てのチップ×2間隔の仮説に対して現在の拡散率で逆拡散が実行される。例えば、拡散率の長さが8192の場合、16,384回の逆拡散動作を実行することができる。拡散率が(256などの)フレームバッファ数未満でなければ、全ての要素に逆拡散を実行する。動作278において、拡散率が半分に減少されて処理を継続する。動作280において、拡散率が64まで減少したかどうかを判断する。代替の実施形態では、他の所定の値を使用することができる。拡散率が64(又は他の所定の値)まで減少していなかった場合、動作276において処理が継続する。拡散率が64に減少していた場合、動作282において、システムは次のサンプルバッファが満たされるのを待つ。動作282において次のサンプルバッファが満たされると、制御は動作272へ戻る。動作284において、逆拡散要素のフレームバッファが取得される。例示的な実施形態では、PN逆拡散アレイにより256個の符号が単一パスから出力された後にフレームバッファが揃うことができる。1つの実施形態では、256段のPN逆拡散アレイの場合、パススルーにより、各々が256個の符号を有する256個のタイミング仮説を生成することができる。代替の実施形態では、PN逆拡散アレイがより多くの又はより少ない段を有することができる。動作286において、現在の逆拡散DBPSK符号と以前の符号との外積が計算される。1つの実施形態では、外積は、256個までのフレームでは256個の符号を含むことができる。或いは、他の数の符号及び/又はフレームを使用することができる。動作288において、AFC仮説に基づいて現在のフレームがデコードされ位相多重される。動作290において、CRCがチェックされ、あらゆる有効なCRCに関して、物理層(PHY)からペイロードが送出されて媒体アクセス制御(MAC)へ送られる。一例として、256の逆拡散アレイの個々のパスごとに、CRCを細かいAFC仮説の数の256倍チェックすることができる。所定のスロットの処理が完了すると、ブロック282からブロック272への矢印によって示すように、後続のスロットに対して処理が行われる。
【0050】
図12は、アクセスポイント(AP)の受信データパスを示している。タグとは異なり、最大拡散率のフレーム全体をピンポンバッファスキームでサンプルバッファ300に記憶することができる。このバッファスキームは、(16.8Mbitなどの)相当量のメモリであることができ、少なくとも1つの実施形態では、専用オフチップメモリ装置に記憶することができる。サンプルバッファブロック300は例示的な値を含む。代替の実施形態では、他の値を使用することができる。タグとは異なり、APがマスタの時間基準であるため、時間トラッキングロジック及びAFC回転ロジックを使用することはできない。サンプルバッファ300は、フレームをPN逆拡散アレイ302へ転送し、このPN逆拡散アレイ302が本明細書で前述したようなブルートフォーステストを実行することができる。PN逆拡散アレイ302は256個の逆拡散要素を含むことができる。或いは、他のいずれかの数の逆拡散要素を使用することができる。PN逆拡散アレイ302はまた、(チップ×2分解能のみとすることができる)現在のタイミングパリティ、仮説位相、及び/又は拡散率を入力として受け取ることもできる。PN逆拡散アレイ302からの出力は、ビット幅スクイーザ304に提供される。ビット幅スクイーザ304はフレームのサイズを縮小し、次にこれがフレームバッファ306へ送信される。フレームバッファブロック306は例示的な値を含む。代替の実施形態では、他の値を使用することもできる。実施形態によっては、フレームバッファ306を専用オフチップメモリ装置内に記憶することもできる。システムの残りはタグの受信処理と同様であり、細かいAFC仮説に対して反復が行われ(動作310及び312)、有効なCRCを有する全てのペイロードがAPのMACへ転送される(動作314及び316)。非コヒーレントな蓄積308を使用して、タグへの送信電力制御フィードバックで使用するための信号強度などのSNR距離関数を決定する。
【0051】
図13は、非同期的な最初のタグ送信動作を示しており、タグからAPへのデータ転送を生じる2種類の相互作用を含む。例示及び説明のために、スロット320はタグのスロットを表し、スロット322はアクセスポイントのスロットを表している。「コールドスタート」とは、タグが関連する状態情報を持たずにシステムに参加する場合のことであり、「ウォームスタート」とは、タグがスロットタイミング及び探索のための縮小した範囲の粗いAFC仮説などのシステム情報を認識している場合のことである。
【0052】
「コールドスタート」のシナリオでは、タグが、スロット非同期の時点でアクセスの検索を開始する。
図13は、APが同報チャネルの送信さえ行っていないときに(スロット1)、タグがこの同報チャネルを取得しようとする試みを開始する時間を示している。最終的に、タグの処理は、APが同報フレームを送信している時間中に有効な粗いAFC仮説を探索する。
図13は、これがスロット2の最中に行われることを示している。この時点で、非コヒーレントなエネルギー距離関数が、専用フィンガに正しいチップ×4タイミング及び粗いAFC仮説を探索させる。正しい仮説を有するフィンガは、個々の新たな符号をフレームの最終符号として常に取り扱い、これらの仮説フレームを受信チェーンに通し、ここでCRCチェックが失敗を示す。スロット4の最後に、CRCチェックが成功を示すことにより有効なフレームタイミングが得られる。この時点で、タグは、「ウォームスタート」で参加するタグが有するであろう同じ関連する状態情報を有しており、「ウォームスタート」タグが受けるであろう同じ処理を完了し続ける。
【0053】
タグは、「コールドスタート」手順を介した移行により、又は関連する状態情報が適切に保持されている場合にはタグの起動時に直接的に、スロット6(「ウォームスタート」)に示す相互作用に参加する。この時点で、タグは、受け取った同報フレームの強度の測定を行い、この情報を使用して、タグがその後送信を行う際の送信電力及び拡散率をスロット7において決定する。タグは、以下の点にもとづいて、自身のメッセージを送信する。すなわち、1)測定した受け取った同報チャネルの信号強度を使用して、タグのオンタイムを最小化するとともに電力消費を最小化するのに最適な、リンクを閉じるために使用できる最小拡散率を選択すること、2)測定した受け取った同報チャネルの信号強度及び以前に選択した拡散率を使用して、タグが、全てのユーザがAPによりビット当たりエネルギー対スペクトル雑音密度比(Eb/No)の非常に似た値で受信されるAPにおける受信の最適性条件で送信を行うこと、3)最大拡散率以外の全てについて、スロットアクセスパラメータjをランダムに選択すること、ならびに、4)0〜拡散率−1までのチップオフセット値をランダムに選択することによりAPにおける「衝突」が最小化され、個々の送信におけるランダム選択によりその後の送信機会において「衝突」を解決できるようにすること、である。
【0054】
APは、スロット7の最中に受信した全ての信号をスロット8及び9の最中に処理し、スロット10の最中に肯定の確認応答を返送する。APは、ゴールド符号により特徴付けられる単一のチャネルにいくつかのACKを集約し、或いは自身の専用ゴールド符号チャネルを使用してタグへ専用メッセージを送信する。なお、前者の方法は、チャネルを割り当てるために何らかの登録手順(図示せず)を必要とする。いずれにせよ、タグは、メッセージのプリアンブルを使用して自身のチップ×4タイミングを更新する。
【0055】
図14は、スロットモードにおけるアクセスポイントとタグとの間の単純な相互作用を示している。例示的な実施形態では、この単純な相互作用はタグのためのデータを含まず、比較的静的なチャネルを含む。例示及び説明のために、タイムライン330はスロット中のタグの処理を表し、タイムライン332はスロット中のアクセスポイントの処理を表している。システムの特質は、タグが低電力状態、すなわち低電力であるとともに通常は32kHzである低周波数の水晶発振器を介してシステムタイミングが保持される状態で最大可能時間を費やすことである。これをサポートするために、APが開始した相互作用に対する最大許容待ち時間が識別される(すなわち、これはタグがいずれかのAP動作がペンディング中であるかどうかをチェックするために低電力状態から出たり入ったりするレート循環である)。
図14は、タグが自身の低電力状態から出て、APがトランザクションを開始したいと望んでいるかどうかをチェックするという比較的単純な相互作用を示している。これは、登録中にAPとタグとの間で合意済みのスロット位相及びレートで行われる。
【0056】
通常、タグは、フレームタイミング及び粗いAFC仮説が狭い範囲内にあると分かっている「ウォームスタート」に入る。タグは、受信した同報チャネルの電力の測定を行う。
図14は、電力がAPとの最後の相互作用から大幅に変化しなかったシナリオを示している。これは、APが送信した最後の送信電力/拡散率がリンクを閉じるのに十分であることを意味する。スロット3において、タグは、自身の専用ゴールド符号を使用してプリアンブル上でフレームを取得し、その後復調しようと試みる。典型的なシナリオでは、APは情報を送信しておらず、タグは直ちにスリープに入る。
【0057】
図15は、例示的な実施形態による、アクセスポイントとタグとの間のデータ転送及び動的に変化する伝搬を含むより複雑な相互作用を示している。例示及び説明のために、タイムライン340はスロット中のタグの処理を表し、タイムライン342はスロット中のアクセスポイント(AP)の処理を表している。ここでは、APが送信する情報を有しており、チャネルの伝搬は最後のAPトランザクションから大幅に変化している。現在の同報チャネルの電力測定が変化することにより、タグは、後続する送信を前回と同じ送信電力/拡散率で行うと不適切になることを認識するようになる。従って、タグは、
図13で説明したプロトコルを使用して再登録メッセージを送信し、現在のチャネル状態に適した新たな送信電力/拡散率を使用するようにAPに警告する。新規の情報は、スロットN+5で行われるフレームの送受信を規定する。タグは、
図13のプロトコルにより規定される確認応答(ACK)メッセージを生成して送信の成功を示す。ACKがうまく受信されると、トランザクションは完了したと見なされる。それ以外の場合、タグは再送を試みる。
【0058】
図16は、いかにしてタグをともにメッシュネットワークに接続することができるかを示している。タグ350は、マイクロリピータ351への通信リンクを有しており、このリピータ自体も、アクセスポイント354に接続する前に他のマイクロリピータ352及び353に接続する。これらの要素間の通信リンクは、上述したものと同じ通信プロトコルを使用する双方向の半二重リンクである。
【0059】
ネットワークは、以下の代表的な実施形態を通じて動的に形成することができる。ネットワーク内の個々の装置はシード値を有する。アクセスポイントは0のシード値を有する。個々の後続する装置は、アクセスポイントからの接続数に等しいシード値を有する。例えば、
図16では、マイクロリピータ353は、アクセスポイント354から1接続離れているので1に等しいシード値を有し、マイクロリピータ351は、アクセスポイント354から3接続離れているので3に等しいシード値を有する。
【0060】
個々のマイクロリピータ及びアクセスポイントは、同報チャネル上で送信を行うことができる。最初は、アクセスポイントのみが同報チャネル上で送信を行う。個々のマイクロリピータがネットワークと結び付くと、このマイクロリピータは、同報チャネルを他の装置へ送信できるようになる。例えば、
図16では、アクセスポイント354及びマイクロリピータ353、352、及び352はネットワークと結び付いているので、これらは全て同報チャネル上で送信を行うことができる。個々の装置のシード値が、同報チャネル上でメッセージの形で送信される。従って、結び付いていないマイクロリピータは、自身のシード値を、受信した同報チャネルメッセージのシード値+1にセットすることができる。
【0061】
図17は、いかにして特定のマイクロリピータがネットワークに結び付くことができるかを示している。マイクロリピータ360は、同報チャネルを聴くことにより結び付き処理を開始する。エリア内にはマイクロリピータ361、362、363、364、及び365も存在する。近隣にはアクセスポイント366も存在する。マイクロリピータ360が受信できる最も強いリンクはリンク367である。マイクロリピータ360は、図示のその他のリンクも受信することができる。マイクロリピータ360はまず、受信した最も強い信号に基づいて取得する傾向があり、これはリンク367である。上記のような処理を通じて、マイクロリピータ360は、ネットワークタイミングからフレームタイミング及び相対的な基準結晶偏差を取得する。マイクロリピータ360は、受信モードに切り替えを行って、取得できる他のリンクを全て取得する。マイクロリピータ360は、ある閾値を超える最も低いシードを有するマイクロリピータを選択することができる。マイクロリピータ360は、他の要素を使用していずれのマイクロリピータを選択するかを決定することもできる。
【0062】
マイクロリピータ360が、いずれの他のマイクロリピータに結び付くかを決定すると、結び付くための許可を求めてリンク368を介してマイクロリピータ362へ送信を行うことができる。この結果、マイクロリピータ362は、これに応答して結び付きを許可することができる。
【0063】
結び付きが許可されると、マイクロリピータ間で他のメッセージを送信することができる。より低い数字のシード値を有するマイクロリピータは、ネットワークを通じて一貫したAFC及びサンプルタイミング補正を保持するために必要なメッセージを含む様々なメッセージを、より高い数字のシード値を有するマイクロリピータへ送信することができる。例えば、
図17では、マイクロリピータ362は、AFC補正メッセージをマイクロリピータ360へ送信することができる。全てのマイクロリピータが制御メッセージを送信して、結び付いているマイクロリピータからの送信を適切に電力制御することができる。マイクロリピータ362及び360は、いずれも互いに電力制御送信を送信することができる。上流のマイクロリピータからのいくつかの連続するメッセージの受信に失敗すると、マイクロリピータを取得モードに戻して、結び付くための異なるマイクロリピータを検索させることができる。マイクロリピータ360がマイクロリピータ362からのいくつかの連続するメッセージの受信を停止すると、マイクロリピータ360は取得モードに戻り、潜在的に異なるマイクロリピータと結び付くことができる。マイクロリピータは、ネットワークと結び付いた後、他のマイクロリピータ又はタグを含む、ネットワークに参加しようとするその他の装置に自身のシードを通知する送信を同報チャネル上で行う。このマイクロリピータによるメッセージ同報を設定済みの同報電力で行って、マイクロリピータをネットワーキングに利用できるかどうかをできるだけ多くの装置が判断できるようにすることができる。例えば、結び付き後、マイクロリピータ360は同報チャネル上で送信を行って、ネットワークに参加しようとする他の装置に自身のことを通知することができる。
【0064】
タグから発信するアップストリーム通信は、個々のマイクロリピータから自身が結び付くより低いシード値のマイクロリピータへ転送される。例えば、
図16では、マイクロリピータ352が、タグ350から発信されマイクロリピータ351から受信したトラフィックを、アクセスポイント354への途中にあるマイクロリピータ353へ転送する。最終的には、シード値1を有するマイクロリピータがアクセスポイントへメッセージを送信する。マイクロリピータ353は、タグから発信したトラフィックをアクセスポイント354へ転送する。タグは、たとえより高いシード値のマイクロリピータと通信することになるとしても、必要とする送信電力が最小のいずれかのマイクロリピータと通信して電池の寿命を節約することができる。タグ350は、マイクロリピータ352又は351のいずれと通信することもできるが、マイクロリピータ351との通信に必要な送信電力が最小であることに基づいて、マイクロリピータ351との通信を選択することができる。方向に関係なく、宛先のシード値に対応するゴールド符号を使用して通信が行われる。
【0065】
個々のマイクロリピータは、ダウンストリーム通信をよりタグに近いマイクロリピータへ送ることができる。マイクロリピータ353は、アクセスポイント354から発信したタグ350宛てのトラフィックをマイクロリピータ352へ転送する。以前にマイクロリピータを通過したタグからアクセスポイントへのアップストリーム通信中に、この情報をデータ構造内で取り込むことができる。特許請求する発明により具体化されるシステムでは、多くの公知のルーティング法を使用することができる。1つのルーティング法では、データ構造内の特定のルートのためのエントリが、装置の識別子及びその装置へ辿り着く次の通信リンクのシード値の両方を含むことができる。マイクロリピータ353は、タグ350へのルートのためのエントリをデータ構造内に有することができる。データ構造内のエントリはまた、装置がマイクロリピータといつ直接通信するかを示すこともできる。マイクロリピータ351は、自身がタグ350と直接通信していることを示すことができる。送られたメッセージの転送に使用されるゴールド符号は、データ構造内のエントリに依存する。マイクロリピータは、さらに下流のマイクロリピータに対応するゴールド符号、又は装置に直接対応するゴールド符号のいずれかを使用して送信を行うことができる。従って、マイクロリピータ351は、装置に直接対応するゴールド符号を使用してタグ350と通信するようになる。データ構造内の未知の装置宛ての受信メッセージは、上流へ送り返される必要が生じ得る。アクセスポイントがこの装置のレコードを有していない場合、アクセスポイントは、タグからのメッセージを待つか、或いはタグを探す同報チャネルメッセージを直接発行することができる。
【0066】
マイクロリピータとのタグ通信は、上述した直接的なタグからアクセスポイントへのトポロジと基本的に変わりないものであってよい。マイクロリピータのシードとは無関係な合意済みのネットワーク規模のゴールド符号を使用して、タグが初期化に使用する同報メッセージを同報通信することができる。従って、タグ350がネットワークに結び付こうと試みる場合、タグはネットワーク規模のゴールド符号を使用することができる。タグが、上述したようにアクセスポイントと電力制御通信を行うことができるのと同じように、これをマイクロリピータと行うことができる。
【0067】
ある状況下では、タグ自体をマイクロリピータとして機能させることが望ましい場合がある。このために、タグは、自身の存在を他のタグに通知する同報チャネルメッセージを送信することができる。従って、タグ350がマイクロリピータとして機能する予定である場合、タグ350は、自身のことを他のタグに通知する同報チャネルメッセージを送信することができる。この結果、マイクロリピータとタグが通常機能するのとほぼ同じように2つのタグが機能することができる。1つの実施形態では、タグが、特定の時間の割合で同報チャネルメッセージのみを発行することができる。
【0068】
1つの実施形態では、本明細書に記載されたランダム位相多重アクセス(RPMA)システムは、エネルギー制御を用いて、システム容量を増加させ信号電力をバランスさせることができる。
図18は、代表的な実施形態による動的なエネルギー制御を利用するRPMAシステムを示す図である。該システムは、アクセスポイント1810とタグ1850を含む。アクセスポイント1810は、プロセッサ1815とメモリ1817と送信機(Tx)1820と受信機(Rx)1830とを含む。タグ1850は、プロセッサ1855とメモリ1857と送信機(Tx)1860と受信機(Rx)1870とを含む。アクセスポイント1810の送信機1820は、タグ1850の受信機1870にダウンリンク信号1840を送信することができる。タグ1850の送信機1860は、アクセスポイン1810の受信機1830にアップリンク信号1880を送信することができる。
【0069】
具体的な実施形態では、アクセスポイント1810のプロセッサ1815は、ダウンリンク電力を制御するメモリ1817に格納された指示を実行して、ダウンリンク電力、ダウンリンク拡散率、及び/又はダウンリンク信号1840の送信を制御することができる。ダウンリンク信号1840は、第1の擬似雑音(PN)符号及びダウンリンク拡散率を使用して拡散させることができる。ダウンリンク信号1840は、第1のランダムタイミングオフセットも有することができる。具体的な実施形態では、アクセスポイント1810は、タグ1850に既知の電力(すなわち、タグ1850に知られた)で送信することができる。或いは、アクセスポイント1810は、タグ1850にダウンリンク信号1840が送信される電力を知らせることができる。プロセッサ1855は、タグ1850においてメモリ1857に格納された指示を実行して、ダウンリンク電力、ダウンリンク拡散率、及び/又は送信機1860によって送信されるアップリンク信号1880の送信を制御することができる。アップリンク信号1880は、第2の所定の擬似雑音(PN)符号及びアップリンク拡散率を使用して拡散させることができる。アップリンク信号1880は、第2のランダムタイミングオフセットも有することができる。
【0070】
図19は、具体的な実施形態によるタグによるエネルギー制御を示すフロー図である。代替の実施形態では、より少ない、追加の、及び/又は異なる、動作を行なうことができる。さらに、本明細書のフロー図の使用は、実施される動作の順序に対する限定を意味しない。動作1900では、タグはアクセスポイントからダウンリンク信号を受信する。1つの実施形態では、該アクセスポイントはアクセスポイント1810であり得、また、該タグは
図18を参照しながら説明したタグ1850であり得る。ダウンリンク信号は、アクセスポイントとタグの間の通信チャンネルに沿って受信することができる。具体的な実施形態では、アクセスポイントは、タグにとって既知の電力でダウンリンク信号を送信することができる。該既知の電力は、アクセスポイントの最大電力、又は実施形態に応じた他の任意の電力であり得る。該アクセスポイントは、タグにとって既知の拡散率でダウンリンク信号を拡散することができる。或いは、タグは、ダウンリンク信号を受取するとき拡散信号を決定してもよい。
【0071】
動作1905において、タグは、アクセスポイントとタグの間の通信チャネルに沿って生じるチャネル損失の量を決定することができる。チャネル損失は、通信チャネルに沿った障害物、降雨などの悪天候、アクセスポイントとタグの間の距離などにより生じ得る。1つの実施形態では、タグは損失率の単位でチャネル損失の量を決定することができる。或いは、チャネル損失の任意の他の表現を使用してもよい。
【0072】
チャネル損失は、任意の方法により受信されたダウンリンク信号の信号強度又は電力を決定することにより少なくとも部分的に決定することができる。チャネル損失はまた、アクセスポイントに使用される既知の又は決定されたダウンリンク拡散率に少なくとも部分的に基づいて決定することもできる。タグは、ダウンリンク信号を送信するためにアクセスポイントによって使用される既知の電力とダウンリンク信号の決定された受信電力との間の差を決定することができる。ダウンリンク信号が送信される電力(すなわち、タグに既知の電力)とダウンリンク信号が受信される電力との差を、アクセスポイントが使用するダウンリンク拡散率と共に使用して、タグとアクセスポイントとの間の通信チャネルに沿ったチャネル損失を決定することができる。1つの実施形態では、タグはまた、通信チャネルに沿って生じる電力減衰の指標となる損失率を決定することもできる。
【0073】
代替の実施形態では、タグは、アクセスポイントから受信した信号検出メッセージに基づいてチャネル損失の量を決定することができる。該信号検出メッセージは、タグから受信したアップリンク信号を検出するアクセスポイントの能力、アップリンク信号の信号対雑音比に基づくアップリンク信号の等級又はスコア、アップリンク信号が受信される強さ、アップリンク信号が受信されたかどうか、等に関する情報を含むことができる。信号検出メッセージはまた、アクセスポイントによって決定されるような通信チャネルに沿ったチャネル損失を含むこともできる。具体的な実施形態では、チャネル損失が、アップリンク方向とダウンリンク方向の両方向で同じであってもよい。
【0074】
動作1910において、タグはアップリンク拡散率を決定する。アップリンク拡散率は、タグからアクセスポイントへ送信されるアップリンク信号を拡散するのに使用される。具体的な実施形態では、アップリンク拡散率は、チャネル損失の量に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。1つの実施形態では、拡散率は、16と8192の間の任意の2の倍数となり得る。或いは、他の任意の範囲及び/又は値を用いてもよい。具体的な実施形態では、チャネル損失が高い場合、タグは、最大の拡散率を使用してアップリンク信号がアクセスポイントによって確実に受信されるのを支援することができる。チャネル損失が減少するにつれて、タグは拡散率を減少させて資源を節約することができる。1つの実施形態では、タグは、チャネル損失が減少するにつれて2の倍数で拡散率を減少させる(すなわち、8192→4096→2048等)ことができる。アップリンク拡散率が減少された量は、チャネル損失の実際の量に基づくことができる。或いは、タグは、アップリンク拡散率を直線的、指数関数的等に減少させてもよい。タグは、表、アルゴリズム、制御ループ、或いは決定されたチャネル損失に基づいて適切なアップリンク拡散率を決定する他の任意の方法を用いることができる。
【0075】
具体的な実施形態では、アクセスポイントは、タグによって使用されるのと同じ拡散率を使用して拡散されるダウンリンク信号を送信することができる。このように、タグによるアップリンク拡散率の決定によって、アクセスポイントにより使用されるダウンリンク拡散率を決定することもできる。上記のように、アクセスポイントの受信スロットの間、アクセスポイントは、全てのランダムなオフセットで全ての拡散率を探索することができる。このように、タグは、アクセスポイントに通知することなく、或いは、アクセスポイントと交渉することなく、アップリンク信号を拡散するのに使用されるアップリンク拡散率をダイナミックに変えることができる。代替の実施形態では、アクセスポイントはタグによって使用されたものとは異なる拡散率を使用してもよい。たとえば、タグ及びアクセスポイントによって利用される拡散率は、アップリンク信号/ダウンリンク信号がアクセスポイント/タグによってそれぞれ受信される電力において10dBの差に相当してもよい。別の代替実施形態では、タグがアップリンク信号を送信する前にアップリンク拡散率をアクセスポイントに知らせてもよい。
【0076】
動作1915では、タグはアップリンク電力を決定する。アップリンク電力は、タグがアクセスポイントへアップリンク信号を送信する電力になり得る。具体的な実施形態では、アップリンク電力は、チャネル損失の量及び決定されたダウンリンク拡散率に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。このような実施形態では、タグは、拡散率が最大値(すなわち、8192又は他の値)から最小値(すなわち、16又は他の値)に減少するとき最大電力を使用してアップリンク信号を送信することができる。アップリンク拡散率が最小値まで減少すると、タグは、チャネル損失がアップリンク電力を減少させ、資源をさらに節約することができるのに十分低いがどうかを決定することができる。1つの実施形態では、チャネル損失が減少するとき(また、最小の拡散率が使用されることになっているとき)、タグは、アップリンク電力を最大電力から最小電力に減少させることができる。アップリンク電力が減少する量は、チャネル損失の実際の値に基づくことができる。アップリンク電力は、指数関数的、直線的等で減少させてもよい。タグは、表、アルゴリズム、制御ループ、或いは決定されたチャネル損失に基づいて適切なアップリンク拡散率を決定する他の任意の方法を用いることができる。
【0077】
具体的な実施形態では、タグは、各アップリンク信号の送信に先立って適切なアップリンク拡散率及び/又はアップリンク電力を決定することができる。このように、タグが任意のアップリンク信号を送信する前に、アップリンク拡散率は、決定されたチャネル損失に基づいて、増加又は減少させることができる。同様にアップリンク電力も、決定されたチャネル損失に基づいて、増加又は減少させることができる。或いは、アップリンク拡散率及び/又はアップリンク電力は、周期的に、ランダムに、又はスケジュールに従って決定してもよい。別の代替実施形態では、タグは、決定されたチャネル損失の変化が閾値を超過する場合のみ、アップリンク拡散率及び/又はアップリンク電力を調節してもよい。このような実施形態では、アップリンク拡散率及び/又はアップリンク電力はチャネル損失の変化が小さい場合には同じままでよい。
【0078】
図21を参照して以下に説明するように、アップリンク拡散率及びアップリンク電力の決定も、アクセスポイントがタグから信号を受け取る所定の電力に少なくとも部分的に基づくことがある。具体的な実施形態では、アクセスポイントは全体のシステム障害を減少させるのと同じ電力で、RPMAシステムにおけるすべてのタグから送信されるすべてのアップリンク信号を受信することができる。このように、各タグは、チャネル損失及び所定の電力に基づいて、アップリンク拡散率及びアップリンク電力を調節してアクセスポイントが該所定の電力でアップリンク信号を確実に受信することができるようにする。動作1920では、タグは、決定されたアップリンク拡散率でアップリンク信号を拡散する。アップリンク信号は、本明細書に記載された方法、或いは他の任意の方法によって拡散することができる。動作1925では、タグは、決定されたアップリンク電力でアップリンク信号を送信する。アップリンク信号は、本明細書に記載された任意の方法、或いは他の任意の方法によって送信することができる。
【0079】
図20は、具体的な実施形態によるアップリンク拡散率、アップリンク電力及びチャネル損失の間の関係を示すグラフである。
図20の上部に示されるように、チャネル損失が高い場合、タグは、最大のアップリンク拡散率8192を使用してアップリンク信号を拡散することができる。或いは、他の任意の最大アップリンク拡散率を使用してもよい。最大アップリンク拡散率を使用することによって、アクセスポイントがアップリンク信号の受信に成功する可能性を増加させることができる。
図20の下部に示されるように、チャネル損失が高く、最大の拡散率が使用される場合、タグは最大電力で送信することができる。チャネル損失が減少すると共に、タグは、より低いアップリンク拡散率を使用してアクセスポイントへアップリンク信号を送信することができる。より低いアップリンク拡散率を使用することによって、タグが使用する処理の資源を減少させ、バッテリ電力を節約することができる。1つの例として、タグは、チャネル損失(又は損失率)αで、拡散率4096を使用することができる。
【0080】
図20の下部にさらに示したように、タグは、最小拡散率を使用するまで、最大電力で送信を続けることができる。該最小拡散率は16又は他の任意の値であり得る。チャネル損失が十分に低いと、タグは、アクセスポイントが所定の電力でアップリンク信号を確実に受信するようにしつつ、アップリンク電力を最大電力から最小電力に減少させるステップを開始して、さらに処理の資源を減少させ、バッテリ電力を節約することができる。このように、最小拡散率は、タグがアップリンク拡散率の調整から資源を節約するためにアップリンク電力の調整に移行する閾値であり得る。代替の実施形態では、アップリンク拡散率及びアップリンク電力は同時に調整することができる。別の代替実施形態では、最小電力を使用しなくてもよい。
【0081】
図21は、具体的な実施形態による動的なエネルギー制御を利用する第2のRPMAシステムを示すブロック図である。該RPMAシステムは、アクセスポイント2110、第1のタグ2120、第2のタグ2130、及び第3のタグ2140を含む。代替の実施形態では、追加のアクセスポイント及び/又はタグを含んでもよい。具体的な実施形態では、第1のタグ2120、第2のタグ2130、及び第3のタグ2140はそれぞれアクセスポイント2110からの距離が異なることができる。第1のタグ2120は第1の通信チャネルに沿ってアクセスポイント2110へ第1のアップリンク信号2125を送信することができ、第2のタグ2130は第2の通信チャネルに沿ってアクセスポイント2110へ第2のアップリンク信号2135を送信することができ、第3のタグ2140は第3の通信チャネルに沿ってアクセスポイント2110へ第3のアップリンク信号2145を送信することができる。第1のアップリンク信号2125、第2のアップリンク信号2135、及び第3のアップリンク信号2145のそれぞれが、同一の電力で送信され、第1の通信チャネル、第2の通信チャネル、及び第3の通信チャネルに沿った減衰が一定であると、アクセスポイント2110は、アップリンク信号2125、2135、及び2145を異なる電力で受信することができる。該異なる電力は、各タグ2120、2130、及び2140とアクセスポイント2110との間の距離が異なることにより生じ得る。或いは、通信パスに沿った減衰が異なり、その結果、アクセスポイント2110で異なる電力で受信され得る。
【0082】
上記したように、RPMAシステムは、アップリンク信号2125、2135、及び2145のそれぞれが同一か或いはほぼ同一の電力でアクセスポイント2110に到達するようにバランスさせることが望ましいことがある。タグ2120、2130、及び2140からの全ての送信をアクセスポイント2110が受信することによって、RPMAシステム内全体の障害を減少させることができる。このように、タグ2120、2130、及び2140は、アクセスポイント2110が全てのアップリンク信号を受信することができる所定の電力を知ることができる。チャネル損失(それは各タグとアクセスポイント2110との間の距離を考慮に入れることができる)及び所定の電力に基づいて、タグ2120、2130、及び2140は、それぞれのアップリンク拡散率及びアップリンク電力を調整して、第1のアップリンク信号2125、第2のアップリンク信号2135、及び第3のアップリンク信号2145が所定の電力でアクセスポイント2110によって確実に受信されるようにすることができる。
【0083】
代替の実施形態では、アクセスポイント2110は、第1のタグ2120、第2のタグ2130、及び第3のタグ2140からの送信が同じパワーでアクセスポイント2110により受信されるように、タグ2120、2130、及び2140にアップリンク電力調整リクエストを送信することができる。このような実施形態では、アクセスポイント2110は、RPMAシステムの維持可能な最低電力をRPMAシステムの全ての通信チャネルに基づいて決定することができる。アクセスポイント2110は、該維持可能な最低電力に基づいて、アップリンク信号2125、2135、及び2145がこの最低電力でアクセスポイント2110により確実に受信されるようにタグ2120、2130、及び2140にそれぞれの電力調整リクエストを送ることができる。各電力調整リクエストは、維持可能な最低電力の値、タグが使用するアップリンク拡散率、タグが使用するアップリンク電力、タグがアップリンク拡散率及び/又はアップリンク電力を増大/減少させるべき量、ならびに/又はタグがアップリンク信号をどのように送信するかを決定する際に使用できる他の任意の情報を含んでもよい。
【0084】
図22は、具体的な実施形態によるRPMAシステムのアクセスポイントによって行なわれた動作を示すフロー図である。代替の実施形態では、より少ない、追加の、及び/又は異なる動作が行なわれても良い。さらに、本明細書のフロー図を使用することによって、行なわれる動作の順序に関して限定することを意味しない。動作2200では、アクセスポイントはタグからアップリンク信号を受信する。動作2205では、アクセスポイントは、タグによって使用されるアップリンク拡散率を決定してアップリンク信号を拡散する。アップリンク拡散率はアップリンク信号の処理の結果として決定することができる。動作2210では、アクセスポイントはダウンリンク拡散率を決定する。具体的な実施形態では、ダウンリンク拡散率は、タグにより使用されるアップリンク拡散率と同じであり得る。或いは、アクセスポイントは異なる拡散率を使用してもよい。1つの実施形態では、アクセスポイントは、アクセスポイントとタグの間の通信チャネルに沿ったチャネル損失を決定することもできる。このような実施形態では、ダウンリンク拡散率は、タグに関して
図19及び20に上記したようなチャネル損失に少なくとも部分的に基づいてもよい。動作2215では、アクセスポイントは、該ダウンリンク拡散率でダウンリンク信号を拡散する。動作2220では、アクセスポイントはタグにダウンリンク信号を送信する。具体的な実施形態では、アクセスポイントは、その最大電力でダウンリンク信号を送信することができる。或いは、アクセスポイントによって使用される電力は、チャネル損失又は任意の他の因子に基づいてもよい。
【0085】
例示及び説明目的で上述の例示的な実施形態の説明を行った。この説明は完全なものでも、又は開示した厳密な形に本発明を限定するものでもなく、上記教示に照らして修正及び変形が可能であり、或いは本発明を実施することによりこれらを得ることができる。実施形態は、本発明の原理及びその実用的応用を説明して、企図される特定の用途に適した様々な実施形態で及び様々な修正形態とともに当業者が本発明を利用できるようにするために選択し説明したものである。また、本明細書では1又はそれ以上のフロー図を使用した。フロー図の使用は、動作を行う順序に関して限定的であることを意図するものではない。