(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1単位共振器の外部周縁の長さと前記第2単位共振器の外部周縁の長さは互いに同一であり、前記第1単位共振器の内部ループの面積と前記第2単位共振器の内部ループの面積は互いに同一であることを特徴とする請求項3に記載の無線電力共振器。
前記第1単位共振器に挿入されるキャパシタと前記第2単位共振器に挿入されるキャパシタは、互いに反対方向に位置することを特徴とする請求項3に記載の無線電力共振器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、無線電力送信のための共振器及び無線電力受信のための共振器を含む無線電力伝送システムを示す図である。
【0015】
図1を参照すると、共振特性を利用した無線電力伝送システムは、ソース110及びデスティネーション120を含む。ここで、ソース110はヘリックス(helix)コイル構造の共振器やスパイラル(spiral)コイル構造の共振器を使用して、デスティネーション120に無線で電力を供給する。
【0016】
ヘリックスコイル構造の共振器やスパイラルコイル構造の共振器などの物理的なサイズは所望する共振周波数に依存する。例えば、所望する共振周波数が10MHzの場合、ヘリックスコイル構造の共振器の直径は約0.6m、スパイラルコイル構造の共振器の直径も約0.6mのように定められる。ここで、所望する共振周波数が低くなるに従い、ヘリックスコイル構造の共振器及びスパイラルコイル構造の共振器の直径は増加することになる。
【0017】
共振周波数の変化に応じて、共振器の物理的なサイズが変化することは好ましくない。極端な例として、共振周波数が極めて低い場合は共振器のサイズは極めて大きくなり、これは現実的ではない。共振周波数と共振器のサイズは互いに独立的であることが理想的である。また、共振周波数が高い場合や共振周波数が低い場合の両方に対して合理的な物理的サイズを有しながらも円滑に作動できる共振器が理想的である。
【0018】
既に知られた内容であるが、理解の便宜のために関連する用語を記述する。全ての物質は固有の透磁率(μ)及び誘電率(ε)を有する。透磁率は、物質から与えられた磁界(magnetic field)で発生する磁束密度(magnetic flux density)と真空中で磁界を発生する磁束密度との比を意味する。そして、誘電率は、物質から与えられた電界で発生する電束密度(electric flux density)と真空中で電界を発生する電束密度との比を意味する。透磁率及び誘電率は、与えられた周波数又は波長で物質の伝搬定数を決定し、透磁率及び誘電率に応じてその物質の電磁気特性が決定される。特に、自然界に存在しない誘電率又は透磁率を有し、人工的に設計された物質をメタ物質(metamaterial)といい、メタ物質は極めて大きい波長又は極めて低い周波数領域でも容易に(即ち、物質のサイズがあまり変化しなくても)共振状態に置くことができる。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態による2次元構造の共振器を示す図である。
【0020】
図2を参照すると、本実施形態による2次元構造の共振器は、第1信号導体部分211、第2信号導体部分212、及びグラウンド導体部分213を含む伝送線路、キャパシタ220、整合器230、及び導体241、242を含む。
【0021】
図2に示すように、キャパシタ220は、伝送線路の第1信号導体部分211と第2信号導体部分212との間に直列に挿入され、それによって電界はキャパシタ220に閉じ込められる。一般的に、伝送線路は、上部に少なくとも1つの導体、下部に少なくとも1つの導体を含み、上部にある導体を通して電流が流れ、下部の導体は電気的に接地(grounded)される。本明細書では、伝送線路の上部にある導体を第1信号導体部分211と第2信号導体部分212とに分けて呼び、伝送線路の下部にある導体をグラウンド導体部分213と呼ぶことにする。
【0022】
図2に示すように、本実施形態による共振器200は、2次元構造の形態を有する。伝送線路は、上部に第1信号導体部分211及び第2信号導体部分212を含み、下部にグラウンド導体部分213を含む。第1信号導体部分211及び第2信号導体部分212とグラウンド導体部分213とは、互いに向かい合うように配置される。電流は第1信号導体部分211及び第2信号導体部分212を通じて流れる。
【0023】
また、
図2に示すように、第1信号導体部分211の一端は導体242に接続され、他端はキャパシタ220に接続される。そして、第2信号導体部分212の一端は導体241に接続され、他端はキャパシタ220に接続される。即ち、第1信号導体部分211、第2信号導体部分212、及びグラウンド導体部分213、導体241、242が相互に接続されることによって、共振器200は電気的に閉じたループ構造を有する。ここで、「ループ構造」は円形の構造、四角形のような多角形の構造などを全て含み、「ループ構造を有する」ということは、電気的に閉じていることを意味する。
【0024】
キャパシタ220は、伝送線路の中断部に挿入される。より具体的には、キャパシタ220は、第1信号導体部分211と第2信号導体部分212との間に挿入される。ここで、キャパシタ220は、集中素子(lumped element)及び分布素子(distributed element)などの形態を有することができる。特に、分布素子の形態を有する分布型キャパシタは、ジグザグ形状の導体ラインと、その導体ライン間に存在する高誘電率を有する誘電体を含んで構成される。
【0025】
キャパシタ220を伝送線路210に挿入することにより、共振器200はメタ物質の特性を有し得る。ここで、メタ物質とは、自然界で見つけることができない特別な電気的性質を有する物質であり、人工的に設計された構造を有する。自然界に存在する全ての物質の電磁気特性は、固有の誘電率又は透磁率を有し、大部分の物質は正の誘電率及び正の透磁率を有する。大部分の物質で電界、磁界、及びポインティング・ベクトルは右手の法則が適用されるため、このような物質をRHM(Right Handed Material)という。しかし、メタ物質は、自然界に存在しない誘電率又は透磁率を有する物質であり、誘電率又は透磁率の符号により、ENG(ε negative)物質、MNG(μ negative)物質、DNG(double negative)物質、NRI(negative refractive index)物質、LH(left−handed)物質などに分類される。
【0026】
ここで、集中素子として挿入されたキャパシタ220の容量が適切に決められる場合、共振器200は、メタ物質の特性を有する。特に、キャパシタ220の容量を適切に調整することによって、共振器は負の透磁率を有することができるため、本実施形態による共振器200はMNG共振器と呼ばれる。以下で説明するように、キャパシタ220の容量を決める前提(criterion)は多様であり得る。共振器200がメタ物質の特性を有する前提、共振器200が対象周波数で負の透磁率を有する前提、或いは共振器200が対象周波数で零次共振(Zeroth−Order Resonance)特性を有する前提などがあり、上述の前提のうちの少なくとも1つの前提の下でキャパシタ220の容量が決まる。
【0027】
MNG共振器200は、伝搬定数が0である場合の周波数を共振周波数として有する零次共振特性を有する。MNG共振器200は零次共振特性を有するため、共振周波数はMNG共振器200の物理的なサイズに対して独立である。即ち、以下で再び説明するように、MNG共振器200で共振周波数を変更するためには、キャパシタ220を適切に設計することで充分なため、MNG共振器200の物理的なサイズを変更しなくてもよい。
【0028】
また、近接フィールドにおいて、電界は、伝送線路210に挿入されたキャパシタ220に集中するため、キャパシタ220によって近接フィールドでは磁界がドミナント(dominant)される。そして、MNG共振器200は、集中素子のキャパシタ220を用いて高いQ−ファクター(Q−Factor)を有するため、電力伝送の効率を向上させることができる。参考として、Q−ファクターは、無線電力伝送において、抵抗損失の程度又は抵抗とリアクタンスとの比を表すので、Q−ファクターが大きいほど無線電力伝送の効率が大きいことが理解される。
【0029】
また、MNG共振器200は、インピーダンスマッチングのための整合器230を含むことができる。ここで、整合器230は、MNG共振器200との結合によって磁界の強度を適切に調整することができ、整合器230によってMNG共振器200のインピーダンスが決定される。そして、電流は、コネクタ240を介してMNG共振器200に流入するか、MNG共振器200から流出する。ここで、コネクタ240は、グラウンド導体部分213又は整合器230に接続される。但し、コネクタ240とグラウンド導体部分213又は整合器230との間には物理的な接続を形成してもよく、コネクタ240とグラウンド導体部分213又は整合器230との間の物理的な接続なしにカップリングによって電力を伝送してもよい。
【0030】
より具体的には、
図2に示すように、整合器230は、共振器200のループ構造によって形成されるループ内に位置する。整合器230は、物理的な形を変更することによって共振器200のインピーダンスを調整する。特に、整合器230は、グラウンド導体部分213から距離hだけ離れた位置にインピーダンスマッチングのための導体231を含めることができ、共振器200のインピーダンスは、距離hを調整することによって変更することができる。
【0031】
図2に示していないが、整合器230を制御できるコントローラが存在する場合、整合器230は、コントローラによって生成される制御信号に応じて、整合器230の物理的形状を変更することができる。例えば、制御信号に応じて整合器230の導体231とグラウンド導体部分213との間の距離hを増加させたり減少させたりし、これにより整合器230の物理的形状が変化することで共振器200のインピーダンス調整が可能になる。コントローラは、様々な要素を考慮して制御信号を生成する。これについては下記で説明する。
【0032】
整合器230は、
図2に示すように、導体231のような受動素子で具現することができ、実施形態によっては、ダイオード、トランジスタなどの能動素子を実装することができる。能動素子が整合器230に含まれる場合、能動素子は、コントローラによって生成される制御信号に応じて駆動され、その制御信号に応じて共振器200のインピーダンス調整が可能になる。例えば、整合器230には、能動素子の一種であるダイオードを含むことができ、ダイオードが「on」状態にあるか、「off」状態にあるかに応じて、共振器200のインピーダンスを調整することができる。
【0033】
また、
図2に示していないが、MNG共振器200を貫通する磁気コアを更に含んでもよい。このような磁気コアは電力伝送距離を増加させる。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態による3次元構造の共振器を示す図である。
【0035】
図3を参照すると、本実施形態による3次元構造の共振器200は、第1信号導体部分211、第2信号導体部分212、及びグラウンド導体部分213を含む伝送線路及びキャパシタ220を含む。ここで、キャパシタ220は、伝送線路の第1信号導体部分211と第2信号導体部分212との間に直列に挿入され、電界はキャパシタ220に閉じ込められる。
【0036】
また、
図3に示すように、共振器200は3次元構造の形態を有する。伝送線路は、上部に第1信号導体部分211及び第2信号導体部分212を含み、下部にグラウンド導体部分213を含む。第1信号導体部分211及び第2信号導体部分212とグラウンド導体部分213とは、互いに向かい合うように配置される。電流は第1信号導体部分211及び第2信号導体部分212を通じてx方向に流れ、この電流によって−y方向に磁界H(w)が発生する。勿論、
図3に示すものとは異なり、+y方向に磁界H(w)が発生することもある。
【0037】
また、
図3に示すように、第1信号導体部分211の一端は導体242に接続され、他端はキャパシタ220に接続される。そして、第2信号導体部分212の一端は導体241に接続され、他端はキャパシタ220に接続される。即ち、第1信号導体部分211、第2信号導体部分212、及びグラウンド導体部分213、導体241、242が相互に接続されることによって、共振器200は電気的に閉じたループ構造を有する。ここで、「ループ構造」は円形の構造、四角形のような多角形の構造などを全て含み、「ループ構造を有する」ということは、電気的に閉じていることを意味する。
【0038】
また、
図3に示すように、キャパシタ220は、第1信号導体部分211と第2信号導体部分212との間に挿入される。ここで、キャパシタ220は、集中素子及び分布素子などの形態を有することができる。特に、分布素子の形態を有する分布型キャパシタは、ジグザグ形状の導体ラインと、その導体ライン間に存在する高誘電率を有する誘電体を含んで構成される。
【0039】
図3に示すように、キャパシタ220を伝送線路に挿入することにより、共振器200はメタ物質の特性を有し得る。集中素子として挿入されたキャパシタ220の容量が適切に決められる場合、共振器200はメタ物質の特性を有する。特に、キャパシタ220の容量を適切に調整することにより、共振器200は特定の周波数帯域において負の透磁率を有することができるため、本実施形態による共振器200はMNG共振器と呼ばれる。以下で説明するように、キャパシタ220の容量を決める前提は多様であり得る。共振器200がメタ物質の特性を有する前提、共振器200が対象周波数で負の透磁率を有する前提、或いは共振器200が対象周波数で零次共振特性を有する前提などがあり、上述の前提のうちの少なくとも1つの前提の下でキャパシタ220の容量が決まる。
【0040】
図3に示す前記MNG共振器200は、伝搬定数が0である場合の周波数を共振周波数として有する零次共振特性を有する。MNG共振器200は零次共振特性を有するため、共振周波数はMNG共振器200の物理的なサイズに対して独立である。MNG共振器200で共振周波数を変更するためには、キャパシタ220を適切に設計することで充分なため、MNG共振器200の物理的なサイズを変更しなくてもよい。
【0041】
図3に示すように、MNG共振器200を参照すると、近接フィールドにおいて、電界は、伝送線路210に挿入されたキャパシタ220に集中するため、キャパシタ220によって近接フィールドでは磁界がドミナントになる。特に、零次共振特性を有するMNG共振器200は、磁気双極子(magnetic dipole)のような特性を有するため、近接フィールドでは磁界がドミナントになり、キャパシタ220の挿入により発生する少ない量の電界もそのキャパシタ220に集中するため、近接フィールドでは、磁界がより一層ドミナントになる。MNG共振器200は、集中素子のキャパシタ220を使用して高いQ−ファクターを有するため、電力伝送の効率を向上させることができる。
【0042】
また、
図3に示すように、MNG共振器200は、インピーダンスマッチングのための整合器230を含むことができる。ここで、整合器230は、MNG共振器200の磁界の強度を適切に調整することができ、整合器230によってMNG共振器200のインピーダンスが決定される。そして、電流は、コネクタ240を介してMNG共振器200に流入するか、MNG共振器200から流出する。ここで、コネクタ240は、グラウンド導体部分213又は整合器230に接続される。
【0043】
より具体的には、
図3に示すように、整合器230は、共振器200のループ構造によって形成されるループ内に位置することができる。整合器230は物理的な形態を変更することによって共振器200のインピーダンスを調整することができる。特に、整合器230は、グラウンド導体部分213から距離hだけ離れた位置にインピーダンスマッチングのための導体231を含めることができ、共振器200のインピーダンスは距離hを調整することによって変更することができる。
【0044】
図3に示していないが、整合器230を制御できるコントローラが存在する場合、整合器230は、コントローラによって生成される制御信号に応じて、整合器230の物理的形状を変更することができる。例えば、制御信号に応じて整合器230の導体231とグラウンド導体部分213との間の距離hを増加させたり減少させたりし、これにより整合器230の物理的形状が変化することで共振器200のインピーダンス調整が可能になる。整合器230の導体231とグラウンド導体部分230との間の距離hは、多様な方式で調整が可能である。即ち、第1に、整合器230には、様々な導体を含むことができ、その導体のうちのいずれかを適応的に活性化することで、距離hを調整することができる。第2に、導体231の物理的な位置を上下に調整することにより、距離hを調整することができる。このような距離hは、コントローラの制御信号に応じて制御することができ、コントローラは、様々な要素を考慮して制御信号を生成する。コントローラが制御信号を生成することについては下記で説明する。
【0045】
整合器230は、
図3に示すように、導体231のような受動素子で具現することができ、実施形態によっては、ダイオード、トランジスタなどの能動素子を実装することができる。能動素子が整合器230に含まれる場合、能動素子は、コントローラによって生成される制御信号に応じて駆動され、その制御信号に応じて共振器200のインピーダンス調整が可能になる。例えば、整合器230には、能動素子の一種であるダイオードを含むことができ、ダイオードが「on」状態にあるか、「off」状態にあるかに応じて、共振器200のインピーダンスを調整することができる。
【0046】
また、
図3には示していないが、MNG共振器200を貫通する磁気コアを更に含んでもよい。このような磁気コアは電力伝送距離を増加させる。
【0047】
図4は、bulky typeに設計された無線電力伝送のための共振器の一例を示す図である。
【0048】
図4を参照すると、第1信号導体部分211と導体242は個別に製造された後で相互に接続されるのではなく、1つの一体型として製造される。同様に、第2信号導体部分212と導体241も1つの一体型として製造される。
【0049】
第2信号導体部分212と導体241が個別に製造された後で互いに接続される場合は、継ぎ目250による導体損失が発生し得る。本実施形態によると、第2信号導体部分212と導体241とは別途の継ぎ目なし(seamless)に相互に接続され、導体241とグラウンド導体部分213も別途の継ぎ目なしに相互に接続され、継ぎ目による導体損失を減らすことができる。即ち、第2信号導体部分212とグラウンド導体部分213とは別途の継ぎ目なしに1つの一体型として製造される。同様に、第1信号導体部分211とグラウンド導体部分213とは別途の継ぎ目なしに1つの一体型として製造される。
【0050】
図4に示すように、別途の継ぎ目なしに1つの一体型で、2以上の部分(partition)を互いに接続するタイプを「bulky type」と呼ぶ。
【0051】
図5は、Hollow typeに設計された無線電力伝送のための共振器の一例を示す図である。
【0052】
図5を参照すると、Hollow typeに設計された無線電力伝送のための共振器の第1信号導体部分211、第2信号導体部分212、グラウンド導体部分213、導体241、242のそれぞれは、内部が空いている空間を含む。
【0053】
与えられた共振周波数において、有効電流は第1信号導体部分211、第2信号導体部分212、グラウンド導体部分213、導体241、242のそれぞれの全ての部分を流れるのではなく、一部分のみを介して流れるものとしてモデリングすることができる。即ち、与えられた共振周波数において、第1信号導体部分211、第2信号導体部分212、グラウンド導体部分213、導体241、242の厚さがそれぞれのskin depthよりも過度に厚いことは効率的ではない。即ち、それは共振器の重さや共振器の製造コストを増加させる原因になり得る。
【0054】
従って、本実施形態によると、与えられた共振周波数において、第1信号導体部分211、第2信号導体部分212、グラウンド導体部分213、導体241、242のそれぞれのskin depthに基づいて、第1信号導体部分211、第2信号導体部分212、グラウンド導体部分213、導体241、242のそれぞれの厚さを適切に決定する。第1信号導体部分211、第2信号導体部分212、グラウンド導体部分213、導体241、242のそれぞれが該当するskin depthよりも大きいながらも適切な厚さを有する場合、共振器200は軽くすることができ、共振器200の製造コストも減らすことができる。
【0055】
例えば、
図5に示すように、第2信号導体部分212の厚さはdmのように決定され、dは
のように決定することができる。ここで、fは周波数、μは透磁率、σは導体定数を表す。特に、第1信号導体部分211、第2信号導体部分212、グラウンド導体部分213、導体241、242が銅(copper)として5.8×10
7の導電率を有する場合、共振周波数が10kHzではskin depthが約0.6mmであり、共振周波数が100MHzではskin depthは0.006mmである。
【0056】
図6は、parallel−sheetが適用された無線電力伝送のための共振器の一例を示す図である。
【0057】
図6を参照すると、parallel−sheetが適用される無線電力伝送のための共振器の第1信号導体部分211、第2信号導体部分212のそれぞれの表面にはparallel−sheetが適用される。
【0058】
第1信号導体部分211、第2信号導体部分212は、完全な導体ではないことから抵抗成分を有し、その抵抗成分によって抵抗損失が発生する。このような抵抗損失は、Q−ファクターを減少させ、カップリング効率を減少させる。
【0059】
本実施形態によると、第1信号導体部分211、第2信号導体部分212のそれぞれの表面にparallel−sheetを適用することによって抵抗損失を減らし、Q−ファクター及びカップリング効率を向上させることができる。
図6に示す中断部270を参照すると、parallel−sheetが適用される場合、第1信号導体部分211、第2信号導体部分212のそれぞれは複数の導体ラインを含む。この導体ラインは並列に配置され、第1信号導体部分211、第2信号導体部分212は、それぞれの終端で接地される。
【0060】
第1信号導体部分211、第2信号導体部分212のそれぞれの表面にparallel−sheetを適用する場合、導体ラインが並列に配置されるため、導体ラインが有する抵抗成分の和は減少する。従って、抵抗損失を減らすと共にQ−ファクター及びカップリング効率を増加させることができる。
【0061】
図7は、分布型のキャパシタを使用した無線電力伝送のための共振器の一例を示す図である。
【0062】
図7を参照すると、無線電力伝送のための共振器に含まれるキャパシタ220は、分布型のキャパシタとすることができる。集中素子としてのキャパシタは、相対的に高い等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance:ESR)を有する。集中素子としてのキャパシタが有するESRを減らすためにいくつかの提案があるが、本実施形態では、分布素子としてのキャパシタ220を用いることによってESRを減らすことができる。参考として、ESRによる損失はQ−ファクター及びカップリング効率を減少させる。
【0063】
分布素子としてのキャパシタ220は、
図7に示すように、ジグザグ構造を有する。即ち、分布素子としてのキャパシタ220は、ジグザグ構造の導体ライン及び誘電体に実現されてもよい。
【0064】
また、
図7に示すように、本実施形態では、分布素子としてのキャパシタ220を用いることによってESRによる損失を減らすことができるが、複数の集中素子としてのキャパシタを並列的に用いることによってESRによる損失を減らすことができる。その理由は、集中素子としてのキャパシタのそれぞれが有する抵抗成分は、並列接続を介して小さくなるため、並列的に接続された集中素子としてのキャパシタの有効な抵抗も小さくなり、従って、ESRによる損失を減らすことができる。例えば、10pFのキャパシタの使用を、1pFのキャパシタ10個を用いるものと代替することによって、ESRによる損失を減らすことができる。
【0065】
図8は、2次元構造の共振器及び3次元構造の共振器で使用される整合器の例を示す図である。
【0066】
図8(A)は整合器を含む
図2に示した2次元共振器の一部を示し、
図8(B)は整合器を含む
図3に示した3次元共振器の一部を示す。
【0067】
図8(A)を参照すると、整合器は、導体231、導体232、及び導体233を含み、導体232及び導体233は、伝送線路のグラウンド導体部分213及び導体231に接続される。導体231とグラウンド導体部分213との間の距離hに応じて、2次元共振器のインピーダンスは決定され、導体231とグラウンド導体部分213との間の距離hは、コントローラによって制御される。導体231とグラウンド導体部分213との間の距離hは、多様な方式で調整することができ、導体231になり得るいくつかの導体のうちのいずれかを適応的に活性化することで距離hを調整する方式、導体231の物理的な位置を上下に調整することで距離hを調整する方式などがあり得る。
【0068】
図8(B)を参照すると、整合器は、導体231、導体232、及び導体233を含み、導体232及び導体233は、伝送線路のグラウンド導体部分213及び導体231に接続される。導体231とグラウンド導体部分213との間の距離hに応じて、3次元共振器のインピーダンスは決定され、導体231とグラウンド導体部分213との間の距離hは、コントローラによって制御される。2次元構造の共振器に含まれる整合器と同様に、3次元構造の共振器に含まれる整合器も、導体231とグラウンド導体部分213との間の距離hは、多様な方式で調整することができる。例えば、導体231になり得るいくつかの導体のうちのいずれかを適応的に活性化することで距離hを調整する方式、導体231の物理的な位置を上下に調整することで距離hを調整する方式などがあり得る。
【0069】
図8に示していないが、整合器は能動素子を含むことができ、能動素子を用いて共振器のインピーダンスを調整する方式は、上述の方式と類似する。即ち、能動素子を用いて整合器に流れる電流の経路を変更することで、共振器のインピーダンスを調整することができる。
【0070】
図9は、無線電力伝送のためのsplit ringタイプの共振器に含まれる第1単位共振器及び第2単位共振器を示す図である。
【0071】
図9を参照すると、split ringタイプの共振器に含まれる第1単位共振器21及び第2単位共振器22のそれぞれは、伝送線路の中断部に伝送経路に対して直列に挿入されたキャパシタを含む。そして、第1単位共振器21は、厚さe、高さcの整合器を含み、第2単位共振器22も、
図9に示すような整合器を含むことができる。第2単位共振器22が整合器を含む場合、第1単位共振器21に含まれる整合器と第2単位共振器22に含まれる整合器は互いにviaを介して接続することができ、このような場合、両方の単位共振器21、22のいずれかの共振器に電力が印加されると、2つの単位共振器21、22の両方が共に作動する。
【0072】
また、
図9に示す第1単位共振器21の縦長さは「a」であり、第1単位共振器21の横長さは「b」であり、伝送線路の厚さは「d」であり、整合器の縦長さは「c」であり、整合器の厚さは「e」である。ここで、aは約50mm〜70mm、bは約30mm〜50mm、cは4mm〜4.6mm、dは4.5mm〜5.5mm、eは1.7mm〜2.3mmの範囲の値を有することができる。例えば、aは60mm、bは40mm、cは4.3mm、dは5mm、eは2mmであってもよい。勿論、上述のa、b、c、d、eのサイズは単なる例である。即ち、aのサイズが70mmよりも大きい場合も容易に考えられる。hの値は、所望する共振周波数などに応じて適応的に調整される。
【0073】
図9に示す第1単位共振器21及び第2単位共振器22は、2つの層に積み上げられ、2つの層で構成された第1単位共振器21及び第2単位共振器22を含む共振器をsplit ringタイプの共振器と呼ぶ。例えば、第1単位共振器21は1つの平面に位置し、第2単位共振器22はその平面から所定の距離だけ離れた他の平面に位置する。
【0074】
また、
図9に示す第1単位共振器21の外部周縁の長さと第2単位共振器22の外部周縁の長さとが互いに同一であり、第1単位共振器21の内部ループの面積と第2単位共振器22の内部ループの面積とが互いに同一である場合、第1単位共振器21と第2単位共振器22との間で相互結合(mutual coupling)が極大化する。
【0075】
そして、
図9に示す第1単位共振器21のキャパシタ及び第2単位共振器22のキャパシタは同じ方向に挿入されてもよく、反対の方向に挿入されてもよい。第1単位共振器21のキャパシタ及び第2単位共振器22のキャパシタが互いに反対の方向に挿入される場合については、
図10を参照して具体的に説明する。
【0076】
図10は、split ringタイプの共振器を立体的に示す図である。
【0077】
図10を参照すると、第1単位共振器21の下部に第2単位共振器22が配置され、split ringタイプの共振器は2つの層として第1単位共振器21及び第2単位共振器22を含む。
【0078】
図10に示すように、第1単位共振器21のキャパシタ及び第2単位共振器22のキャパシタは互いに反対の方向に挿入されてもよい。但し、
図10に示すものとは異なり、第1単位共振器21のキャパシタ及び第2単位共振器22のキャパシタは、互いに同一方向に挿入されてもよい。
【0079】
図10に示すように、第1単位共振器21の外部周縁の長さと第2単位共振器22の外部周縁の長さが互いに同一であり、第1単位共振器21の内部ループの面積と第2単位共振器22の内部ループの面積とが互いに同一である場合、第1単位共振器21と第2単位共振器22のとの間で相互結合が極大化する。
【0080】
図11は、互いに異なるサイズを有する2つの単位共振器を含むsplit ringタイプの共振器を示す図である。
【0081】
図11を参照すると、split ringタイプの共振器は、互いに異なるサイズを有する第1単位共振器21及び第2単位共振器22を含む。即ち、split ringタイプの共振器において、第2単位共振器22は、第1単位共振器21のループ内部に含まれる。ここで、第1単位共振器21及び第2単位共振器220は、同一の平面に配置されてもよく、他の平面に配置されてもよい。
【0082】
図11において、C1は、第1単位共振器21に挿入されるキャパシタを示し、C2は第2単位共振器22に挿入されるキャパシタを示す。
【0083】
図12は、水平方向に複数のターンを有する無線電力伝送のための共振器を示す図である。
【0084】
図12を参照すると、水平方向に複数のターンを有する無線電力伝送のための共振器は水平方向に形成された複数のターンを含む。より具体的には、
図12に示す2ターンを含む共振器を参照すると、上側にある導体は、伝送線路に含まれる第1信号導体部分及び第2信号導体部分を示し、下側にある導体は、伝送線路に含まれるグラウンド導体部分を示す。そして、左側にある導体は第1信号導体部分とグラウンド導体部分とを接続する第1導体であり、右側にある導体は第2信号導体部分とグラウンド導体部分とを接続する第2導体である。ここで、第1信号導体部分、第2信号導体部分、第1導体、及び第2導体は2ターンを含む。同様に、より具体的には、
図12に示す3ターンを含む共振器を参照すると、その共振器に含まれる第1信号導体部分、第2信号導体部分、第1導体、及び第2導体は3ターンを含んでいることが分かる。ここで、ターンのそれぞれのサイズは同じであってもよく、異なってもよい。
【0085】
略同一の平面上で複数のターンが形成されるため、そのターンは水平方向に形成されたものと見なすことができ、水平方向に形成された複数のターンによって共振器のインダクタンス値を高めることができる。従って、そのインダクタンスに対するキャパシタの容量が相対的に小さくなる。従って、ESRの影響を減らすことができ、このような複数のターンを有する無線電力伝送のための共振器は、携帯電話のようなモバイルデバイスに適用され得る。
【0086】
図13は、垂直方向に複数のターンを有する無線電力伝送のための共振器を示す図である。
【0087】
図13の正面図を参照すると、垂直方向に複数のターンを有する共振器は、
図2に示す共振器を含んでもよく、
図13の側面図及び拡大図を参照すると、垂直方向に複数のターンが形成されることが分かる。ここで、複数のターンは相互に電気的に接続される。
【0088】
図13を参照すると、複数のターンのそれぞれは、異なる平面上に存在する。ここで、ターンのそれぞれのサイズは同一であってもよく、異なってもよい。複数のターンのそれぞれが互いに異なる平面上に存在するため、複数のターンは垂直方向に形成されたと見なすことができ、垂直方向に複数のターンを有する無線電力伝送のための共振器は、3階構造を有するものと確認することができる。このような3階構造によって、与えられた断面積に対してインダクタンスが増大し、相対的にキャパシタの容量が小さくなる。従って、共振器は、ESRの影響をそれほど受けないことから、携帯電話のようなモバイルデバイスに適用され得る。それだけではなく、
図13に示す共振器は、
図12に示す水平方向に複数のターンを有する無線電力伝送のための共振器に比べて、周辺環境に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0089】
上述したparallel−sheetの概念を説明すると、
図12及び
図13に示す複数のターンは1つの接地面に接地される。このような場合、
図12及び
図13に示す複数のターンが1つの接地面に接地されることで、抵抗損失が最小化され、従って、キューファクターを向上させることができる。
【0090】
図14は、大きい単位共振器及び大きい単位共振器のループの内部に位置する小さい単位共振器を含む無線電力伝送のための共振器を示す図である。
【0091】
図14を参照すると、無線電力伝送のための共振器は、横の長さa、縦の長さbを有する第1単位共振器と、第1単位共振器のサイズよりも小さいサイズを有する6個の第2単位共振器を含む。ここで、第2単位共振器の個数は変わり得る。6個の第2単位共振器は、第1単位共振器のループ内部に位置し、1単位共振器のループ内部で一定の間隔をおいて規則的に配置される。ここで、aは約260mm、bは約150mm、cは約27.5mm、dは約16.7mmである。
【0092】
図14に示す共振器は、高い実効透磁率を有することができ、電力伝送利得を増加させることができる。その理由は、第2単位共振器は、効果的に第1単位共振器の透磁率を増大し、
図14に示す全体(overall)の共振器の透磁率を増加させることができる。
図14に示す共振器によると、物質に依存して透磁率を増加させるのではなく、第1単位共振器及び第2単位共振器の配置を利用して実効透磁率を増加させることができる。
【0093】
図15は、全方向性(omnidirectional)の特性を有する無線電力送信のための3次元共振器を示す図である。
【0094】
図15に示す共振器1を参照すると、第1単位共振器による磁界と第2単位共振器による磁界は互いに異なる方向に形成される。特に、第1単位共振器による磁界と第2単位共振器による磁界は直交するため、その磁界は互いにカップリングされない。従って、
図15に示す共振器1は全方向に電力を送信することができる。
【0095】
また、
図15に示す共振器2を参照すると、正六面体に含まれる6個の面のそれぞれが単位共振器に対応する。このような
図15に示す共振器2は、全方向に電力を送信できるだけではなく、磁界の強度を適応的に調整することもできる。
【0096】
また、本実施形態による共振器は、
図15に示す共振器3の構造を有してもよく、このような共振器も全方向に電力を送信することができる。
【0097】
また、本発明の実施形態による共振器は、
図15に示す共振器4のように、球形の構造を有してもよい。
図15に示す共振器4を参照すると、球形の外郭は伝送線路に取り囲まれ、球形の内部にはクロスフィーダ(cross feeder)を配置してもよい。クロスフィーダは数個のフィーダを含み、数個のフィーダのうち活性化されたフィーダに対応する方向に電力が送信される。特に、全てのフィーダが活性化される場合、全方向に電力を送信することができる。
【0098】
図16は、
図2に示す無線電力伝送のための共振器の等価回路を示す図である。
【0099】
図2に示す無線電力伝送のための共振器は、
図16に示す等価回路にモデリングすることができる。
図16に示す等価回路において、C
Lは
図2に示す伝送線路の中断部に集中素子の形態で挿入されたキャパシタを示す。
【0100】
ここで、
図2に示す無線電力伝送のための共振器は零次共振特性を有する。即ち、伝搬定数が0である場合、無線電力伝送のための共振器は
を共振周波数として有するものと仮定する。ここで、共振周波数
は下記の数式1のように表すことができる。ここで、MZRは、μ Zero Resonatorを意味する。
【0102】
上記数式1を参照すると、共振器の共振周波数
はL
R/C
Lによって決定することができ、共振周波数
と共振器の物理的なサイズは、互いに独立していることが分かる。従って、共振周波数
と共振器の物理的なサイズが互いに独立しているため、共振器の物理的なサイズは十分に小さくなり得る。
【0103】
図17は、零次共振特性を有する右手−左手系複合伝送線路(Composite Right−Left Handed Transmission Lime)の等価回路を示す図である。本実施形態による無線電力伝送のための共振器は、MNG伝送線路を基盤とするので、右手−左手系複合伝送線路を介してMNG伝送線路を説明することにする。
【0104】
図17を参照すると、右手−左手系複合伝送線路の等価回路は、基本的な伝送線路に比べて、series−capacitorである
412、及びshunt−inductorである
422を追加的に含む。ここで、
411及び
421は、基本的な伝送線路が有するインダクター成分及びキャパシタ成分を表す。
【0105】
ここで、インピーダンスZ’410は
411に対応する成分と
412に対応する成分との和であり、アドミッタンスY’420は
421に対応する成分と
422に対応する成分との和である。
【0106】
従って、インピーダンスZ’410及びアドミッタンスY’420は下記の数式2のように表すことができる。
【0108】
上記数式2を参照すると、共振周波数(共振周波数でインピーダンスZ’410又はアドミッタンスY’420の大きさ(amplitude)が最小となる)は、基本的な伝送線路に
412、及び
422を適切に追加することによって調整され、右手−左手系複合伝送線路は零次共振特性を有することが分かる。即ち、右手−左手系複合伝送線路の共振周波数は伝搬定数が0であるときの周波数である。
【0109】
基本的な伝送線路に
412のみが追加された場合に、このような伝送線路は、特定の周波数帯域で負の透磁率を有するため、MNG伝送線路と呼ばれる。また、
422のみが追加された場合、そのような伝送線路は、負の誘電率を有するためENG伝送線路と呼ばれ、MNG伝送線路及びENG伝送線路も零次共振特性を有する。
【0110】
本実施形態によるMNG共振器は、近接フィールドで磁界がドミナントできるように
412を含む。即ち、近接フィールドで、電界は
412に集中されるため、近接フィールドで磁界がドミナントになる。
【0111】
また、MNG共振器は、右手−左手系複合伝送線路と同様に零次共振特性を有するため、共振周波数に関係がなく、MNG共振器は小さく製造することができる。
【0112】
図18は、右手−左手系複合伝送線路で発生する零次共振を概念的に説明するグラフである。
【0113】
図18を参照すると、右手−左手系複合伝送線路は、A、Bの共振周波数を有する。ここで、A、Bに対応する伝搬定数(β)は0であるため、右手−左手系複合伝送線路は零次共振特性を有する。
【0114】
右手−左手系複合伝送線路と同様に、MNG伝送線路及びENG伝送線路も零次共振特性を有する。例えば、MNG伝送線路の共振周波数がAであり、ENG伝送線路の共振周波数がBであってもよい。従って、本実施形態によるMNG共振器は、十分に小さいサイズで製造することができる。
【0115】
図19は、本発明の一実施形態による無線電力伝送のための共振器の特性を示す表である。
【0116】
図19を参照すると、本実施形態によるMNG共振器の近接フィールドで、磁界が電界に比べてドミナントである。また、MNG共振器は、磁界結合を介して電力伝送の効率を向上させることができる。
【0117】
そして、本実施形態によるMNG共振器は、3次元構造に製造されてもよく、高いQ−ファクターを指す。そして、本実施形態によるMNG共振器は、近距離無線電力伝送のために用いられる。
【0118】
図20〜
図22は、本発明の一実施形態による無線電力伝送のための共振器の多様な実施例を示す図である。
【0119】
図20を参照すると、本実施形態による無線電力伝送のための共振器は、互いに直列に接続された複数の伝送線路710、720、730を含む。ここで、複数のキャパシタ711、721、731のそれぞれは、複数の伝送線路710、720、730のそれぞれに挿入される。
【0120】
図21を参照すると、本実施形態による無線電力伝送のための共振器は、スパイラル構造を有する。即ち、複数の伝送線路は、スパイラル構造で相互に接続され、複数の伝送線路のそれぞれに複数のキャパシタのそれぞれを挿入する。
【0121】
また、
図22を参照すると、本実施形態による無線電力伝送のための共振器は並列に接続された複数の伝送線路910、920、930を含む。
【0122】
図20〜
図22に示す形態の他にも本実施形態による無線電力伝送のための共振器は多様な形態に製造することができる。
【0123】
図23は、
図1に示したソースに適用される無線電力送信装置を示すブロック図である。
【0124】
図23を参照すると、無線電力送信装置1000は、無線電力送信共振器1010及び前処理部1020を含む。
【0125】
無線電力送信共振器1010は、
図1〜
図22を参照して説明した共振器であり、無線電力送信共振器1010によって伝搬する電磁波(wave)によって電力を無線で送信する。
【0126】
前処理部1020は、無線電力送信装置1000の外部又は内部の電源供給機から供給されたエネルギーを用いて、無線電力送信のための電流及び周波数を生成する。
【0127】
より具体的に、前処理部1020は、AC−DCコンバータ1021、周波数生成器1022、パワー増幅器1023、コントローラ1024、検出器1025を含む。
【0128】
AC−DCコンバータ1021は、電源供給機から供給された交流(AC)エネルギーを直流(DC)エネルギー又は直流電流に変換する。ここで、周波数生成器1022は、その直流エネルギー又は直流電流に応じて、所望する周波数(即ち、共振周波数)を生成し、所望する周波数を有する電流を生成する。所望する周波数を有する電流は、パワー増幅器1023によって増幅されてもよい。
【0129】
コントローラ1024は、無線電力送信共振器1010のインピーダンスを調整するための制御信号を生成し、周波数生成器1022によって生成される周波数を制御することができる。例えば、複数の周波数帯域のうち、電力伝送利得、カップリング効率などが最大化される最適な周波数を選択する。
【0130】
また、検出器1025は、無線電力送信共振器1010と無線電力受信装置の無線電力受信共振器との間の距離、無線電力送信共振器1010から無線電力受信共振器に放射(radiation)される電磁波の反射係数、無線電力送信共振器1010と無線電力受信共振器との間の電力伝送利得、或いは無線電力送信共振器1010と無線電力受信共振器との間のカップリング効率などを検出する。
【0131】
ここで、コントローラ1024は、上記距離、反射係数、電力伝送利得、カップリング効率などを考慮し、無線電力送信共振器1010のインピーダンスを調整したり、周波数生成器1022によって生成される周波数を調整したりすることができる制御信号を生成する。
【0132】
図24は、
図1に示したデスティネーションに適用される無線電力受信装置を示すブロック図である。
【0133】
図24を参照すると、無線電力受信装置1100は、無線電力受信共振器1110、整流器1120、検出器1130、及びコントローラ1140を含む。
【0134】
無線電力受信共振器1110は、
図1〜
図22を参照して説明した共振器であり、無線電力送信装置によって伝播される電磁波を受信する。
【0135】
整流器1120は、受信された電磁波による電力を直流エネルギーに変換し、その直流エネルギーの全て又は一部をターゲットデバイスに提供する。
【0136】
また、検出器1130は、無線電力送信共振器と無線電力受信装置1100の無線電力受信共振器1110との間の距離、無線電力送信共振器から無線電力受信共振器1100に放射される電磁波の反射係数、無線電力送信共振器と無線電力受信共振器1100との間の電力伝送利得、或いは無線電力送信共振器と無線電力受信共振器1100との間のカップリング効率などを検出する。
【0137】
また、コントローラ1140は、無線電力送信共振器と無線電力受信装置1100の無線電力受信共振器1110との間の距離、無線電力送信共振器から無線電力受信共振器1100に送信される電磁波の反射係数、無線電力送信共振器と前記無線電力受信共振器1100との間の電力伝送利得、或いは無線電力送信共振器と無線電力受信共振器1100との間のカップリング効率などに基づいて、無線電力受信共振器のインピーダンスを調整するための制御信号を生成する。
【0138】
以上、本発明を限られた実施形態と図面によって説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような実施形態から多様な修正及び変形が可能である。従って、本発明の範囲は、開示した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲だけではなく特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。