(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ファンを回転させるファンモータのモータ軸が挿入されることにより、モータ軸に着脱自在に装着されてファンをモータ軸に連結するファンのワンタッチ着脱装置であって、
前記モータ軸が挿入されるモータ軸挿入孔が形成され、前記ファンに固定されるカバーの内部に固定されるベースと、
前記ベースに移動可能に取り付けられるガイド部及び操作部を有した操作部材と、
前記モータ軸の外周面の被係合部と係合可能な係合部が形成され、前記モータ軸の方向に往復移動可能に前記ガイド部を挟んだ状態で前記ベースに設けられた係合片と、
前記操作部への操作によって移動した操作部材を元に復帰させる戻しばねとを備え、
前記係合片における前記ガイド部を挟んだ部位及びこれに対応したガイド部の対応部位には、前記ガイド部の移動に伴って相互に当接及び離反することにより係合片をモータ軸の方向へ往復移動させる係合機構が設けられ、前記係合機構の当接及び離反によって前記係合片がモータ軸に対して進退して係合片の係合部がモータ軸の被係合部と係合及び解除することを特徴とするファンのワンタッチ着脱装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
図1は本発明の一実施形態のファンのワンタッチ着脱装置1をファン2に取り付けた状態を示し、
図2〜
図10は実施の形態1のファンのワンタッチ着脱装置1を示す。
【0021】
ファン2は、例えば、レンジフードに用いられるものであり、レンジフードのファンモータ3に取り付けられてファン2が回転する。
図1に示すように、ファンモータ3はモータ軸4が垂下しており、このモータ軸4がワンタッチ着脱装置1に挿入されることにより、モータ軸4の先端部分の外周面のねじ部4aとワンタッチ着脱装置1とが結合する。モータ軸4には、回り止め用ピン4bが軸方向と直交するように突出しており、ファン2の天板部2a側に設けた図示省略の係合凹部に該回り止め用ピン4bが嵌り込むことでファン2とこの回り止め用ピン4bは係合し、ファンモータ3によって回転する。
【0022】
ファン2は、円形の天板部2aと天板部2a下方の円形のリング体2bとの間に複数のブレード2cが円周方向に沿って取り付けられたシロッコファンが用いられている。この実施形態のワンタッチ着脱装置1は、ファン2の天板部2aの下面に取り付けられることによりファン2をファンモータ3のモータ軸4に着脱するように作用する。
【0023】
図2はワンタッチ着脱装置1の底面図、
図3は側面図、
図4は
図3におけるA矢視図、
図5は
図6のC−C線断面図、
図6は
図2のB−B線断面図である。
図5及び
図6はロック解除状態を示す断面図、
図7及び
図8はロック状態を示す断面図、
図9及び
図10はモータ軸4への係合を説明する断面図である。
【0024】
図1〜
図6に示すように、ワンタッチ着脱装置1は、カバー5と、ベース10と、操作部材6と、戻しばね8と、弾性体14と、ロック駒12、13及び作用駒15、16よりなる係合片41とを備えている。
【0025】
カバー5は、収容部5aと収容部5a周囲のフランジ部5bとからなる薄板状の皿形状に形成されており、フランジ部5bをファン2の天板部2aに当接させた状態でフランジ部5bに形成された複数の取付孔5cにねじをねじ込むことによりファン2に固定される。収容部5aは、上述したベース10、操作部材6、戻しばね8、弾性体14と、ロック駒12、13及び作用駒15、16よりなる係合片41が収容されるものである。
【0026】
ベース10は、カバー5の収容部5aの底面にリベット等により固定される。ベース10には、モータ軸4が挿入されるモータ軸挿入孔10aが略中央部分に貫通している。
図5に示すように、モータ軸挿入孔10aはベース10の円形軸部10bに形成されるものである。ベース10の円形軸部10bには、操作部材6が変位可能(回転可能)に取り付けられる。
【0027】
操作部材6はガイド部22とガイド部22から外方に突出した操作部23とを有している。
図5に示すように、ガイド部22はベース10の円形軸部10bを囲むリング状となっており、円形軸部10bを中心に移動可能にベース10に取り付けられる。この実施形態において、ガイド部22は円形軸部10bを中心として正逆方向に回動可能にベース10に取り付けられるものであり、ガイド部は正逆方向への回動によって移動するようになっている。ガイド部22(操作部材6)の正方向の回動はロック解除方向に操作部材6が回転する方向であり、この実施形態においては反時計方向への回転となっている。逆方向の回動は、ロック方向にガイド部22(操作部材6)が回転する方向であり、この実施形態では時計方向への回転となっている。
【0028】
操作部材6の操作部23は、正方向への回動を行うために操作される部位であり、ガイド部22から径方向の外側に突出しており、カバー5の収容部5aから外部に露出している。この場合、操作部23には取手部25が覆うことにより、カバー5からの突出長が長くなっており、これにより操作部23への操作が容易となっている。操作部23に対し、カバー5にはツマミ7が形成されており、ツマミ7と操作部23(取手部25)とに対して指をかけることにより、操作部23への回動操作を行うことが容易となっている。
【0029】
ベース10の円形軸部10bには、係合片41としての一対のロック駒12、13及び一対の作用駒15、16が収容される。一方の作用駒15は、ロック駒12に対応するように円形軸部10bに設けられ、他方の作用駒16はロック駒13に対応するように円形軸部10bに設けられている。これらの作用駒15、16に対し、それぞれのロック駒12、13の後端部には太幅の連結部12b、13bが形成されており、この連結部12b、13bが作用駒15、16に係合状態で挿入されることによりロック駒12、13と、これと対応した作用駒15、16とが連結されている。
【0030】
一対の作用駒15,16は、モータ軸挿入孔10aを挟んだ状態で円形軸部10bの直径方向に沿って収容されている。それぞれのロック駒12、13におけるモータ軸挿入孔10a側の先端面には、モータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合するねじ部12a、13aが形成されている。又、作用駒15,16は、モータ軸4の方向にのみ直線的に往復移動可能となるようにベース10の円形軸部10bに取り付けられている。従って、ロック駒12、13がモータ軸4側に進出することにより、ねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aと係合し、ロック駒12、13がモータ軸4から退出することにより、モータ軸4のねじ部4aとの係合が解除される。
【0031】
この実施形態では、ロック駒12,13及び作用駒15、16がベース10のモータ軸挿入孔10aを挟んだ両側に設けられるものである。このようにモータ軸挿入孔10aの両側にロック駒12,13及び作用駒15、16を配置することにより、モータ軸挿入孔10aに挿入されたモータ軸4のねじ部4aに対して両側からロックすることができるため、安定したロック状態とすることができる。
【0032】
図6に示すように、それぞれの作用駒15、16は、下方が開口したコ字形に形成されており、その内部に操作部材6のリング状のガイド部22が挿入されている。これにより、それぞれの作用駒15、16は操作部材6のガイド部22を挟んだ状態となっている。このようにガイド部22を挟むことにより、作用駒15、16とガイド部22の挟まれ部分とに係合機構31、32が形成されるものである。
【0033】
係合機構31、32は、それぞれの作用駒15、16におけるガイド部22を挟んだ一側(内側)に形成された第1係合凸部33、34と、ガイド部22を挟んだ他側(外側)に形成された第2係合凸部35、36とを有している。又、係合機構31、32は、第1係合凸部33、34と対応するようにガイド部22の内面に形成された内径変化部37、38と、第2係合凸部35、36と対応するようにガイド部22の外面に形成された支持凸部39、40とを有している。それぞれの支持凸部39,40は、ガイド部22の外面から径方向に突出しており、その突出端面が平面状に形成されている。又、それぞれの内径変化部37、38は、大径凹部37a、38aと、大径凹部37a、38aの両側から径が徐々に小さくなって連続する曲面部37b、38bとによって形成されている。
【0034】
係合機構31、32においては、支持凸部39、40が作用駒15、16の第2係合凸部35、36に当接することにより、作用駒15、16がモータ軸4と離反する方向に直線的に移動し、これらの作用駒15、16の移動によりロック駒12、13がモータ軸4と離れる方向に移動する。これにより、
図5及び
図6に示すように、ロック駒12、13のねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aとの係合から外れてロック解除状態となる。一方、操作部材6が逆方向(時計方向)に回動すると、支持凸部39、40と第2係合凸部35、36との当接が解除される。これと同時に、ガイド部22の内径変化部37、38においては、大径凹部37a、38aに連続している曲面部37b、38bが第1係合凸部33、34と当接する。曲面部37b、38bは大径凹部37a、38aよりも径が小さくなっているため、曲面部37b、38bが第1係合凸部33,34と当接することにより、作用駒15、16が押されてモータ軸4の方向に直線的に移動し、この移動に伴って、ロック駒12、13がモータ軸4の方向に直線的に移動する。これにより、
図7及び
図8に示すように、ロック駒12、13のねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合する。また、曲面部37b、38bは径が徐々に小さくなっているため、モータ軸4のねじ部4aに径の大小があっても、ロック駒12,13はねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aに密着するまで円滑に動くことが出来る。このような係合により、ワンタッチ着脱装置1がモータ軸4に取り付けられる。
【0035】
上記構成において、ロック駒12、13と作用駒15、16とは、テーパ面を介して接触している。すなわち、
図6及び
図8に示すように、ロック駒12、13の外面にテーパ面12c、13cが形成されると共に、このテーパ面12c、13cに対応したテーパ面15c、16cが作用駒15、16に形成されている。これらのテーパ面12c、13c、15c、16cは、モータ軸4の挿入方向(下方向)に沿ってモータ軸4からの距離が徐々に大きくなる傾斜面となっている。このような傾斜面とすることにより、ワンタッチ着脱装置1に下方向の力(モータ軸4から外れる方向の力)が作用しても、ロック駒12,13がモータ軸4から抜けることが阻止される。これにより、ワンタッチ着脱装置1が抜け方向に動くことがなく、ワンタッチ着脱装置1をモータ軸4に安定して取り付けた状態とするとともに取り付けた状態でのガタツキを抑えることができる。
【0036】
すなわち、ワンタッチ着脱装置1に下方向の力(モータ軸4から外れる方向の力)が作用した場合、ロック駒12、13はそのねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aと噛み合って係合しているため、モータ軸4のねじ部4aから上方向の力(
図6及び
図8において紙面上方向の力)を受けることになり、その力により上方向に移動しようとするが、作用駒15、16と接しているテーパ面は上方向にいくほどに間隔が狭くなるため、ロック駒はモータ軸4の中心に向かって力を受けることになる。したがって、ロック駒12、13がモータ軸4から抜けることが阻止される。
【0037】
また、取り付け状態では、ロック駒12、13は作用駒15、16に押されてモータ軸4方向に力を受けているが、テーパ面が前述のようにモータ軸4の挿入方向(下方向)に沿ってモータ軸4からの距離が徐々に大きくなる傾斜面となっているため、ロック駒12、13が受けているモータ軸4方向の力は下方向の力(
図6及び
図8において紙面下方向)に変換される。したがって、ロック駒12、13のネジ部12a、13aはモータ軸4のねじ部4aを下方向に押し付けるように噛み合って係合することになる。すなわちロック駒12、13はモータ軸4より上方向の反力を受け、つまりは、ファン2は上方向に抑え込まれる力を受けることになる。このときファン2とモータ軸4とは、モータ軸4から突出している回り止め用ピンがファン2の天板部2a側に設けた係合凹部に嵌り込むことで係合しているため、ファンは上方向(
図6及び
図8において紙面上方向)への移動を規制されている。よって、モータ軸4からファン2が受ける上向きの反力がファン2を上方向に抑え込むのに有効に作用し、取り付け状態でのファンのガタツキを効果的に抑えることができる。
【0038】
図6及び
図8に示すように、弾性体14はそれぞれのロック駒12、13を上下で挟むようにロック駒12、13とベース10との間に配置されている。すなわち、弾性体14は、それぞれのロック駒12,13を挟むように弾性体14がベース10とロック駒12,13との間に配置されている。弾性体14としては、コイルばねが用いられているが、皿ばねを重ねる、あるいは板ばねを挟んで形成することにより弾性体14としても良い。このように弾性体14をロック駒12、13を上下で挟んだ状態で配置することにより、ロック駒12、13を上下方向(モータ軸4の軸方向)に沿って移動可能に弾持した状態となる。これにより、ねじ部12a、13aの山谷がモータ軸4のねじ部4aの山谷と係合するようにロック駒12、13が移動でき、モータ軸4のねじ部4aとの係合を確実且つ簡単に行うことができる。
【0039】
図9は、ロック駒12,13のねじ部12a、13aの山谷がモータ軸4のねじ部4aの山谷と一致していない状態を示し、この状態に対して弾性体14がロック駒12,13を上下方向に弾持しているため、山谷が一致するようにロック駒12,13が移動する。これにより、
図10に示すように、ロック駒12,13のねじ部12a、13aの山谷がモータ軸4のねじ部4aの山谷と一致し、ねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合することができ、この係合により、モータ軸4に対してロック駒12,13が結合し、ファンワンタッチ着脱装置1がモータ軸4に装着される。
【0040】
戻しばね8は、ベース10に巻回された状態で一端のフック部8aがベース10に係止され、他端のフック部8bが操作部材6に係止されている。これにより、戻しばね8は操作部材6がロック方向(時計方向)に回動するように付勢している。従って、操作部材6に対するロック解除方向への回動操作が解除されると、操作部材6は戻しばね8の付勢力によりロック方向に自動的に回動する。
【0041】
次に、この本実施の形態1の動作を
図5〜
図8により説明する。
【0042】
図5及び
図6は、操作部材6の操作部23(取手部25)を正方向(反時計方向)に回動操作した状態を示す。操作部23の正方向への回動により、操作部材6のガイド部22における支持凸部39、40が作用駒15、16の第2係合凸部35、36に当接し、作用駒15、16をモータ軸4から離反する方向に直線的に移動させる。この状態においては、作用駒15、16の第1係合凸部33、34はガイド部22の大径凹部37a、38aに隙間を有して臨んでおり、これらの第1係合凸部33、34はガイド部22と当接しない状態となっている。かかる作用駒15、16の移動によりロック駒12、13も同方向に移動するため、ロック駒12,13のねじ部12a、13aがベース10のモータ軸挿入孔10aから退避する。
【0043】
従って、この状態ではモータ軸4をモータ軸挿入孔10aに挿入することができる。モータ軸4の挿入の後、操作部材6の操作部23への操作を解除する。操作部23への操作が解除されることにより、戻しばね8の付勢力により操作部材6が逆方向(時計方向)に回転する。この回転により、操作部材6のガイド部22における支持凸部39、40は作用駒15、16の第2係合凸部35、36との当接から外れる。
【0044】
戻しばね8の付勢力によって操作部材6(ガイド部22)がさらに逆方向(時計方向)に回動すると、ガイド部22の内径変化部37における曲面部37b、38bが作用駒15、16の第1係合凸部33、34に当接する。曲面部37b、38bは、大径凹部37a、38aよりも径が小さくなっていることから、第1係合凸部33、34に当接することにより作用駒15、16を押して作用駒15、16をモータ軸4の方向に直線的に移動させる。この移動に伴ってロック駒12,13がモータ軸4の方向に直線的に移動するため、
図7及び
図8に示すように、ロック駒12,13のねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合する。かかるねじ部12a、13aの係合に際しては、弾性体14がロック駒12、13を上下方向から弾持しているため、
図9及び
図10で説明したように、ねじ部12a、13aの山谷がモータ軸4のねじ部4aの山谷と一致してこれらが相互に噛み込むことができる。ロック駒12,13のねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aに係合することにより、ワンタッチ着脱装置1がファン2に装着される。
【0045】
ファン2への装着状態に対し、操作部材6の操作部23(取手部25)を反時計方向に回動操作する。これにより、
図5及び
図6に示す状態となり、ロック駒12,13がモータ軸4から離反するように直線的に移動してねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aとの係合から離脱する。これにより、ワンタッチ着脱装置1をファン2から取り外すことができる。
【0046】
このような実施の形態1によれば、操作部材6を正方向に回動させることにより、作用駒15,16がロック駒12,13をベース10のモータ軸挿入溝10aから退避させるため、モータ軸4をモータ軸挿入溝10aに挿入することができる。その後、操作部材6の操作を解除することにより戻しばね8が操作部材6を元に復帰させるため、作用駒15,16がロック駒12,13をモータ軸4の方向に進出させ、ロック駒12,13のねじ部12a、13aとモータ軸4のねじ部4aとが係合し、モータ軸4aへの装着を行うことができる。さらに、操作部材6を正方向に回動させることにより、作用駒15,16がロック駒12,13をモータ軸4から退避させるため、ロック駒12,13のねじ部12a、13aとモータ軸4のねじ部4aとの係合が解除し、モータ軸4から取り外すことができる。これによりモータ軸4への着脱をワンタッチで行うことができる。しかも、モータ軸4に対して着脱のための加工を行う必要がないため、左ねじを用いた従前のモータ軸に対しても、そのまま適用することができる。これにより、モータ軸を専用の構造とする必要がなく、汎用性を有したものとすることができる。また、保持状態では、ガイド部22の内径変化部37,38により作用駒15,16及びロック駒12,13よりなる係合片41が固定されるので、ばね等の弾性力によって抑え込む旧来の方法と比べて安定して強固にファンを保持することができる。すなわち、旧来の方法はモータ軸に設けられている係止溝に保持部をばね等の弾性力により付勢して抑えつけて保持状態としているため、保持状態の維持はばね等の弾性力により成り立っているが、本発明ではガイド部22の内径変化部37、38により、係合片41の移動が規制されるため、より強固に保持状態を維持することができる。
【0047】
上記実施の形態1においては、弾性体14をそれぞれのロック駒12,13の上下に配置しているが、それぞれのロック駒12,13に対して一本の弾性体14を貫通させる構造としても良い。この場合においては、ロック駒12,13に弾性体14と係合する凸部を形成したり、弾性体14におけるロック駒12,13の貫通部分を接着剤によってロック駒12,13に係合させても良く、弾性体14におけるロック駒12,13の貫通部分を大径としてロック駒12,13に係合させても良い。又、ロック駒12,13及び作用駒15、16をモータ軸挿入孔10aの両側に設けることなく、モータ軸挿入孔10aの片側に単一で設けても良く、3箇所以上に設けても良い。
【0048】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2のファンのワンタッチ着脱装置は、
図11〜14に示すように、上記実施の形態1の構成に対し、係合片41を実施の形態1のように作用駒とロック駒の二つの部品から構成せずに一つの部品で一体として構成し、また、モータ軸4の被係合部及び係合片の係合部を実施の形態1ではねじ部としていたのに対して、モータ軸4の一部に直径を小さくしたくびれ部44を設けることで被係合部42とし、そのくびれ部44に係合片41の係合部43を入れ込むことでファンを保持する構成としている。それ以外の構成要素は上記実施の形態1のワンタッチ着脱装置と基本的に同様であることから同じ符号を付すことで重複説明は省略する。
【0049】
図11は本発明の実施の形態2のファンのワンタッチ着脱装置をモータ軸線を含む平面で切断した断面図(ロック状態)であり、
図12は
図11のD−D線断面図であり、
図13は本発明の実施の形態2のファンのワンタッチ着脱装置をモータ軸線を含む平面で切断した断面図(ロック解除状態)であり、
図14は
図13のE−E線断面図である。
【0050】
モータ軸4の被係合部42は
図11及び
図13に示すように、モータ軸の一部において直径が小さくしたくびれ部44により形成しており、このくびれ部44に係合片41の係合部43が入り込むことで係合される構造となっている。
【0051】
ベース10の円形軸部10bには、一対の係合片41が収容される。一対の係合片41は、モータ軸挿入孔10aを挟んだ状態で円形軸部10bの直径方向に沿って収容されている。それぞれの係合片41におけるモータ軸挿入孔10a側の先端部には、モータ軸4の被係合部42であるくびれ部44に入り込んで係合する係合部43が形成されている。又、係合片41は、モータ軸4の方向にのみ直線的に往復移動可能となるようにベース10の円形軸部10bに取り付けられている。従って、係合片41がモータ軸4側に進出することにより、係合部43がモータ軸4のくびれ部44と係合し、係合片41がモータ軸4から退出することにより、モータ軸4のくびれ部44との係合が解除される。
【0052】
係合片41におけるモータ軸挿入孔10a側の先端部に形成されている係合部43は
図14に示すように、モータ軸4のくびれ部44と接触する先端面がくびれ部44の形状に合わせて湾曲面となっている。これにより接触面が多くとれるため安定した係合状態とすることができる。
【0053】
この実施形態では、係合片41がベース10のモータ軸挿入孔10aを挟んだ両側に設けられるものである。このようにモータ軸挿入孔10aの両側に係合片41を配置することにより、モータ軸挿入孔10aに挿入されたモータ軸4の被係合部42に対して両側からロックすることができるため、安定したロック状態とすることができる。
【0054】
図11及び
図13に示すように、それぞれの係合片41は、その後側(モータ軸から遠い側)が下方を開口したコ字形に形成されており、その内部にリング状となっている操作部材6のガイド部22が挿入されている。これにより、それぞれの係合片41は操作部材6のガイド部22を挟んだ状態となっている。このようにガイド部22を挟むことにより、係合片41とガイド部22の挟まれ部分とに係合機構31、32が形成されるものである。
【0055】
係合機構31、32は、それぞれの係合片41におけるガイド部22を挟んだ一側(内側)に形成された第1係合凸部33、34と、ガイド部22を挟んだ他側(外側)に形成された第2係合凸部35、36とを有している。又、係合機構31、32は、第1係合凸部33、34と対応するようにガイド部22の内面に形成された内径変化部37、38と、第2係合凸部35、36と対応するようにガイド部22の外面に形成された支持凸部39、40とを有している。それぞれの支持凸部39,40は、ガイド部22の外面から径方向に突出しており、その突出端面が平面状に形成されている。又、それぞれの内径変化部37、38は、大径凹部37a、38aと、大径凹部37a、38aの両側から径が徐々に小さくなって連続する曲面部37b、38bとによって形成されている。
【0056】
係合機構31、32においては、支持凸部39、40が係合片41の第2係合凸部35、36に当接することにより、係合片41がモータ軸4と離反する方向に直線的に移動する。これにより、
図13及び
図14に示すように、係合片41の係合部43がモータ軸4の被係合部42であるくびれ部44との係合から外れてロック解除状態となる。一方、操作部材6が逆方向(時計方向)に回転すると、支持凸部39、40と第2係合凸部35、36との当接が解除される。これと同時に、ガイド部22の内径変化部37、38においては、大径凹部37a、38aに連続している曲面部37b、38bが第1係合凸部33、34と当接する。曲面部37b、38bは大径凹部37a、38aよりも径が小さくなっているため、曲面部37b、38bが第1係合凸部33,34と当接することにより、係合片41が押されてモータ軸4の方向に直線的に移動する。これにより、
図11及び
図12に示すように、係合片41の係合部43がモータ軸4の被係合部42であるくびれ部44に入り込んで係合する。このような係合により、ワンタッチ着脱装置がモータ軸4に取り付けられる。したがって、保持状態では、ガイド部22の内径変化部37,38により係合片41が固定されるので、ばね等の弾性力によって抑え込む旧来の方法と比べて安定して強固にファンを保持することができる。すなわち、旧来の方法はモータ軸に設けられている係止溝に保持部をばね等の弾性力により付勢して抑えつけて保持状態としているため、保持状態の維持はばね等の弾性力により成り立っているが、本発明ではガイド部22の内径変化部37,38により、係合片41の移動が規制されるため、より強固に保持状態を維持することができる。
【0057】
(実施の形態3)
図15〜
図19は本発明の実施の形態3におけるファンのワンタッチ着脱装置を示し、
図2におけるB−B線に対応した断面図である。この実施の形態のワンタッチ着脱装置は、実施の形態1のワンタッチ着脱装置1と同様な構造となっているのに加え、ベース10にホールド機構51を設けた構造となっている。
【0058】
すなわち、この実施の形態のワンタッチ着脱装置は、実施の形態1と同様に、ファン2に固定されるカバー5と、カバー5の収容部5aの底面に固定されるベース10と、ベース10に変位可能に取り付けられた操作部材6とを有している。ベース10はモータ軸4が挿入されるモータ軸挿入孔10aが略中央部分に貫通しており、操作部材6はモータ軸挿入孔10aが形成された円形軸部10bに取り付けられている。
【0059】
操作部材6はベース10の円形軸部10bに対して正逆方向に回動可能に取り付けられたリング状のガイド部22と、
図5に示すと同様にガイド部22から外方に突出した操作部23とを有している。
【0060】
図5に示すと同様にベース10の円形軸部10bには、係合片41としての一対のロック駒12、13及び一対のロック駒12、13のそれぞれに連結された一対の作用駒15、16がモータ軸挿入孔10aを挟んだ両側に設けられている。ロック駒12、13の先端面にはモータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合するねじ部12a、13aが形成されている。それぞれの作用駒15、16におけるガイド部22を挟んだ内側には第1係合凸部33、34が形成され、ガイド部22を挟んだ外側には第2係合凸部35、36が形成されている。そして、第1係合凸部33、34と対応する内径変化部37、38がガイド部22の内側に形成され、第2係合凸部35、36に対応する支持凸部38、39がガイド部22の外側に形成されている。実施の形態1と同様に、これらの第1係合凸部33、34、第2係合凸部35、36、内径変化部37、38及び支持凸部39、40によって、ロック駒12、13がモータ軸4のねじ部4aと係合したり、係合を解除する係合機構31、32が形成されている。また、ロック駒12、13と作用駒15、16とは、モータ軸4の挿入方向に沿ってモータ軸4からの距離が徐々に大きくなるテーパ面12c、15c、13c、16cを介して接触している。さらに、ロック駒12、13とベース10との間には、ロック駒12、13を上下で挟む弾性体14が設けられている。ベース10には回転によって変位した操作部材6を元に復帰させる戻しばね8が設けられている。以上の構造は実施の形態1と同様である。
【0061】
この実施の形態におけるホールド機構51は、ホールドキャップ52と、ホールドキャップ52を押圧する押圧ばね53とによって形成されている。ホールドキャップ52は上下方向移動可能にベース10のモータ軸挿入孔10a内に挿入されており、これによりホールドキャップ52はモータ軸4が挿入される軸方向と一致するように設けられている。ホールドキャップ52は上面部52aが閉じ、下面部が開放された筒状に形成されている。又、ホールドキャップ52はモータ軸4のねじ部4aの径よりも幾分大きな径を有した筒状となっている。これによりホールドキャップ52がモータ軸挿入孔10a内に位置しているときは、ロック駒12、13はモータ軸挿入孔10a内への進出が阻止された退避状態となっている。ホールドキャップ52の下端部には、ベース10に当接するフランジ状のストッパ部52bが形成されており、ストッパ部52bがベース10に当接することによりモータ軸挿入孔10a内でのホールドキャップ52の上方への移動が停止する。
【0062】
押圧ばね53はホールドキャップ52の上面部52aとカバー5との間に配置されており、ホールドキャップ52が上方へ移動するように付勢している。これによりホールドキャップ52はベース10のモータ軸挿入孔10aへの挿入状態となるように付勢されている。
【0063】
この実施の形態のワンタッチ着脱装置においては、操作部材6を反時計方向に回動操作して作用駒15、16を介してロック駒12、13をベース10のモータ軸挿入孔10aから退避させる。これにより押圧ばね53に付勢されているホールドキャップ52が下方からモータ軸挿入孔10a内に進入する。この進入によりロック駒12、13のねじ部12a、13aがホールドキャップ52に押されるため、
図15に示すようにロック駒12、13はモータ軸挿入孔10a内から退避した状態を維持する。従って、操作部材6への操作を解除してもロック駒12、13はモータ挿入孔10a内に進出することがない。この操作部材6への操作を解除した状態においては、戻しばね8によって操作部材6が逆方向(時計方向)に回動するように付勢された状態となっている。
【0064】
この状態でワンタッチ着脱装置をモータ軸4に接近させ、モータ軸4のねじ部4aをモータ軸挿入孔10a内に挿入する。
図16はこの状態を示し、モータ軸4のねじ部4aの先端部がホールドキャップ52の上面部52aを押しながらモータ軸挿入孔10a内に進入する。従って、ホールドキャップ52は押圧ばね53を押しながらモータ軸挿入孔10a内を下方に移動する。この状態ではホールドキャップ52によってロック駒12、13のモータ軸挿入孔10aからの退避状態が維持されているため、ロック駒12、13はモータ軸4のねじ部4aに干渉したり噛み込むことがなく、モータ軸挿入孔10aへのモータ軸4の挿入を操作部材6を操作することなく円滑に行うことができる。
【0065】
図17はモータ軸4のねじ部4aをベース10のモータ軸挿入孔10a内に完全に挿入した状態を示し、ホールドキャップ52が下方に移動してロック駒12、13の間から抜け出た状態となる。このとき戻しばね8によって操作部材6が戻り方向に回動するように付勢されているため、ロック駒12、13は係合機構31、32を介してモータ軸挿入孔4a内に進出するようになっている。又、このときにおいては、弾性体14がロック駒12、13を上下方向から弾持しているため、ロック駒12、13のねじ部12a、13aの山谷がモータ軸4のねじ部4aの山谷と円滑に一致する。以上により、ロック駒12、13がモータ軸4の方向に瞬間的に移動し、
図18に示すようにロック駒12、13のねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合するため、ワンタッチ着脱装置をモータ軸4に装着することができる。かかるロック駒12、13の進出によるモータ軸4のねじ部4aへの噛み込みの際に衝突音が発生するため、ワンタッチ着脱装置がモータ軸4に装着されたことを音で判断することができる。
【0066】
モータ軸4からのワンタッチ着脱装置の取り外しは、操作部材6を反時計方向に回動操作する。これによりロック駒12、13がモータ軸4の軸方向と直交した直線方向に離反移動してねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aと離脱するため、ワンタッチ着脱装置の取り外しを行うことができる。かかるワンタッチ着脱装置の取り外しにおいては、ホールドキャップ52が押圧ばね53の付勢力によりロック駒12、13の間に進入して
図15の状態に戻る。
【0067】
図19はモータ軸4のベース10のモータ軸挿入孔10aへの挿入状態で挿入を停止した場合を示す。この場合には、ホールドキャップ52がロック駒12、13の間で停止するため、ロック駒12、13がモータ軸挿入孔10a方向に進出することがなく、ねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aと係合しない。従って、ワンタッチ着脱装置がモータ軸4に不完全な状態で取り付けられることがなく、不完全取り付けに起因してワンタッチ着脱装置が落下する不都合を防止することができる。
【0069】
この実施の形態のファンのワンタッチ着脱装置は、実施の形態1における操作部材6及び戻しばね8を変更するものであり、その他の構成は実施の形態1のワンタッチ着脱装置と同様となっている。又、この実施の形態においては、実施の形態3におけるホールド機構51が設けられている。ホールド機構51は
図21に示すように上下動することによりベース10のモータ軸挿入孔10a内に対して進入移動するホールドキャップ52と、ホールドキャップ52がモータ軸挿入孔10a内に進入するように付勢する押圧ばね53とによって形成されている。
【0070】
実施の形態1及び3と同様に、ベース10には係合片41としての一対のロック駒12、13及びそれぞれのロック駒12、13に連結された一対の作用駒15、16がモータ軸挿入孔10aを挟んだ両側に設けられている。ロック駒12、13の先端面には、モータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合するねじ部12a、13aが形成されている。
図21に示すように、ロック駒12、13と作用駒15、16とは、モータ軸4の挿入方向に沿ってモータ軸4からの距離が徐々に大きくなるテーパ面12c、15c、13c、16cを介して接触している。さらに、ロック駒12、13とベース10との間にはロック駒12、13を上下で挟むことにより、ロック駒12、13を弾持する弾性体14が設けられている。
【0071】
図22及び
図23に示すように、操作部材6はガイド部22及び操作部23を有している。この実施の形態の操作部材6は、ベース10に対して直線的に移動するものであり、操作部23がカバー5の収容部5aから突出し、この操作部23を押圧することにより操作部23がカバー5内に押し込まれて直線的に移動する。
【0072】
ガイド部22は平面から見て略半円形のアーム状に形成されており、その中央部分に操作部23が設けられている。これによりガイド部22は操作部23から左右に分岐した状態となっている。操作部23はロック駒12、13及び作用駒15、16を結んだ配置方向と直交する方向に設けられており、操作部23を押圧することにより略半円アーム状のガイド部22はロック駒12、13及び作用駒15、16を結ぶ直線と直交する方向に直線的に移動して変位する。
【0073】
ガイド部22における分岐したそれぞれの先端部には、ガイド部22が直線的に移動する方向に沿って延びるガイド面55が形成されている。又、ベース10におけるガイド面55との対応部位には、ガイド面55が摺動可能な受け面56が直線的に形成されている。これらのガイド面55及び受け面56により、操作部材6は上述した方向に安定的に直線的に移動することができる。さらに、ベース10には、受け面56と直交する方向に延びるストッパ面58が形成されており、このストッパ面58にガイド部22が当接(衝突)することによりガイド部22の直線的な移動が規制される。
【0074】
それぞれの作用駒15、16は、ガイド部22における左右に分岐した部分を挟んだ状態となっており、作用駒15、16とガイド部22の挟まれ部分とに係合機構31、32が形成されている。係合機構31、32は実施の形態1と同様に、それぞれの作用駒15、16におけるガイド部22を挟んだ内側に形成された第1係合凸部33、34と、ガイド部22を挟んだ外側に形成された第2係合凸部35、36とを有している。又、係合機構31、32は、第1係合凸部33、34と対応するようにガイド部22の内面に形成された内径変化部37、38と、第2係合凸部35、36と対応するようにガイド部22の外面に形成された支持凸部39、40とを有している。それぞれの支持凸部39,40は、斜面状となってガイド部22の外面から突出している。又、それぞれの内径変化部37、38は、大径凹部37a、38aと、径が徐々に小さくなって大径凹部37a、38aと連続する曲面部37b、38bとによって形成されている。
【0075】
戻しばね8はコイルばねからなり、ベース10と操作部材6との間に配置されている。戻しばね8は一端が操作部材6の操作部23の裏面に当接し、他端がベース10に形成されたばね孔57の底面に当接しており、操作部材6がカバー5から突出するように付勢している。
【0076】
図22はロック駒12、13のねじ部12a,13aがベース10のモータ軸挿入孔10aから退出することによりねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aと係合していない状態を示し、ホールドキャップ52がモータ軸挿入孔10a内に位置している。
図23はロック駒12、13のねじ部12a、13aがモータ軸挿入孔10aに進出してモータ軸4のねじ部4aと係合し、これによりワンタッチ着脱装置がモータ軸4に取り付けられた状態を示す。
【0077】
この実施の形態のワンタッチ着脱装置においては、
図22に示すように、操作部23をカバー5内に押し込む。これにより操作部材6の全体が押し込み方向に沿って直線的に移動し、ガイド部22が同方向に直線的に移動する。ガイド部22が直線的に移動することにより、ガイド部22の支持凸部39、40が作用駒15、16の第2係合凸部35、36に当接し、作用駒15、16をモータ軸挿入孔10aから離反する方向に直線的に移動させる。このとき作用駒15、16の第1係合凸部33、34はガイド部22の大径凹部37a、38aに隙間を有して臨んでおり、第1係合凸部33、34はガイド部22と当接しない状態となっている。作用駒15、16の移動によりロック駒12、13も同方向に移動するため、ロック駒12、13のねじ部12a、13aがベース10のモータ軸挿入孔10aから退避する。これにより実施の形態3と同様に、ホールドキャップ52がモータ挿入孔10a内に進入してロック駒12、13の退避状態を維持する。又、このときにおいては操作部材6の押し込みにより戻しばね8が短縮されて反対方向への付勢力が蓄えられる。
【0078】
このような
図22の状態では、モータ軸4をモータ軸挿入孔10aに挿入することができる。モータ軸4の挿入によってホールドキャップ52がモータ軸4に押されてモータ挿入孔10a内を下方に移動するため、ホールドキャップ52がロック駒12、13の間から抜け出る。このとき戻しばね8は操作部材6が戻り方向に直線的に移動するように付勢しているため、ロック駒12、13は係合機構31、32を介してモータ軸挿入孔4a内に進出する。すなわち操作部材6の直線的な戻り移動により、操作部材6のガイド部22における支持凸部39、40は作用駒15、16の第2係合凸部35、36との当接から外れる。そして
図23に示すように、ガイド部22の内径変化部37、38における曲面部37b、38bが作用駒15、16の第1係合凸部33、34に当接するため、作用駒15、16がモータ軸4の方向に直線的に移動し、この移動に伴ってロック駒12,13がモータ軸4の方向に直線的に移動する。これによりロック駒12,13のねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合する。このとき、弾性体14がロック駒12、13を上下方向から弾持しているため、ねじ部12a、13aの山谷がモータ軸4のねじ部4aの山谷と一致してこれらが相互に噛み込むことができる。かかる噛み込み動作においては、衝突音が発生するため、モータ軸4への取り付けを音で判断することができる。
【0079】
以上のようにロック駒12、13のねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合するため、操作部材6を操作することなくワンタッチ着脱装置をモータ軸4に取り付けることができる。又、このような実施の形態によれば、操作部材6への直線的な押し込み操作によりモータ軸4への着脱を行うことができるため、操作部材6への回動操作に比べて操作性が格段に向上する。
【0081】
この実施形態においては、実施の形態1における操作部材6及び戻しばね8と、係合片41とを変更するものであり、その他の構成は実施の形態1のワンタッチ着脱装置と同様となっている。又、この実施の形態において、実施の形態3におけるホールド機構51が設けられている。ホールド機構51は
図25に示すようにベース10のモータ挿入孔10a内に対して進入移動するホールドキャップ52と、ホールドキャップ52がモータ挿入孔10a内に進入するように付勢する押圧ばね53とによって形成されている。
【0082】
図25〜
図27に示すように、この実施の形態における係合片41はベース10のモータ挿入孔10aを挟んだ両側における片側にだけ設けられるものである。すなわち、係合片41はモータ挿入孔10aの片側(左側)に設けられた一のロック駒12と、このロック駒12に連結された一の作用駒15とによって形成されている。ロック駒12の先端面には、モータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合するねじ部12aが形成されている。
図25に示すように、ロック駒12と作用駒15とは、モータ軸4の挿入方向に沿ってモータ軸4からの距離が徐々に大きくなるテーパ面12c、15cを介して接触している。さらに、ロック駒12とベース10との間には、ロック駒12を上下で挟むことにより、ロック駒12を弾持する弾性体14が設けられている。
【0083】
図26及び
図27に示すように、操作部材6は平面から見てC字形状に形成されたガイド部22と、ガイド部22に一体に形成された操作部23とを有している。ガイド部22における一端側(
図26,
図27における右端側)には、円形の支点部61が形成されており、この支点部61にベース10に設けられた軸ピン62が挿入されている。これによりガイド部22は支点部61を中心に回転可能となっている。操作部23はガイド部22の中間部分に設けられてカバー5の収容部5aから外側に突出している。この操作部23を押し込むように直線的に押圧することによりガイド部22が軸ピン62を中心に回転する。
【0084】
作用駒15はガイド部22の他端側(
図26、
図27における左端側)の部分を挟んだ状態となっており、作用駒15とこの他端側のガイド部22の挟まれ部分とに係合機構31が形成されている。係合機構31は係止片41に対応して設けられており、このためベース10のモータ挿入孔10aを挟んだ両側における片側にだけ設けられている。この係合機構31は作用駒15におけるガイド部22を挟んだ内側に形成された第1係合凸部33と、ガイド部22を挟んだ外側に形成された第2係合凸部35と、第1係合凸部33と対応するようにガイド部22の内面に形成された内径変化部37と、第2係合凸部35と対応するようにガイド部22の外面に形成された支持凸部39とを有している。支持凸部39は平面状に形成されている。又、内径変化部37は大径凹部37aと、径が徐々に小さくなって大径凹部37aと連続する曲面部37bとによって形成されている。
【0085】
戻しばね8はコイルばねからなり、ベース10と操作部材6との間に配置されている。戻しばね8は一端が操作部材6の操作部23の裏側部分に当接し、他端がベース10に形成されたばね孔57を底面に当接しており、操作部材6がカバー5から突出する方向に回転するように付勢している。
【0086】
図26はロック駒12のねじ部12aがベース10のモータ挿入孔10aから退出することにより、ねじ部12aがモータ軸4のねじ部4aと係合していない状態を示す。このときにはホールドキャップ52がベース10のモータ挿入孔10a内に進入する。
図27はロック駒12のねじ部12aがベース10のモータ軸挿入孔10a内に進出してモータ軸4のねじ部4aと係合した状態を示す。この状態では、ワンタッチ着脱装置がモータ軸4に取り付けられた状態となる。
【0087】
この実施の形態のワンタッチ着脱装置においては、
図26に示すように操作部23をカバー5内に直線的に押し込む。この押し込みにより操作部材6の全体が軸ピン62を中心に反時計方向に回動し、ガイド部22が同方向に回動する。ガイド部22の回動によりガイド部22の支持凸部39が作用駒15の第2係合凸部35に当接して作用駒15をモータ軸挿入孔10aから離反する方向に直線的に移動させる。このとき作用駒15の第1係合凸部33はガイド部22の大径凹部37aに隙間を有して臨んでおり、第1係合凸部33はガイド部22と当接しない状態となっている。作用駒15の移動によりロック駒12も同方向に移動するため、ロック駒12のねじ部12aがベース10のモータ軸挿入孔10aから退避する。これによりホールドキャップ52がモータ挿入孔10a内に進入してロック駒12の退避状態を維持する。又、このときにおいては操作部材6の押し込みにより戻しばね8が短縮されて反対方向への付勢力が蓄えられる。
【0088】
このような
図26の状態においては、モータ軸4をモータ軸挿入孔10aに挿入することができる。モータ軸4の挿入によってホールドキャップ52がモータ軸4に押されてモータ挿入孔10a内を下方に移動するため、ホールドキャップ52がモータ軸挿入孔10aから抜け出る。このとき戻しばね8は操作部材6が逆方向に回動するように付勢しているため、ロック駒12は係合機構31を介してモータ軸挿入孔4a内に進出する。すなわち操作部材6の回動により、操作部材6のガイド部22における支持凸部39は作用駒15の第2係合凸部35との当接から外れる。そして
図27に示すように、ガイド部22の内径変化部37における曲面部37bが作用駒15の第1係合凸部33に当接するため、作用駒15がモータ軸4の方向に直線的に移動し、この移動に伴ってロック駒12がモータ軸4の方向に直線的に移動する。これによりロック駒12のねじ部12aがモータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合する。このとき、弾性体14がロック駒12を上下方向から弾持しているため、ねじ部12aの山谷がモータ軸4のねじ部4aの山谷と一致してこれらが相互に噛み込むことができる。
【0089】
以上のようにロック駒12のねじ部12aがモータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合するため、操作部材6を操作することなくワンタッチ着脱装置をモータ軸4に取り付けることができる。かかるロック駒12の進出によるモータ軸4のねじ部4aへの噛み込みの際に衝突音が発生するため、ワンタッチ着脱装置がモータ軸4に装着されたことを音で判断することができる。このような実施形態では、モータ軸4のねじ部4aに噛み込むためのロック駒12を有した係合片41及びロック駒12の進退を行う係合機構31をベース10のモータ軸挿入孔10aの片側にだけ設けているため、部品点数が少なくなり、簡単な構造とすることができ、メンテナンスが容易となる。又、操作部材6の回動を操作部23への直線的な押し込み操作によって行うため、操作部23への回動操作に比べて操作性が格段に向上する。
【0091】
この実施形態においては、実施の形態1における操作部材6及び戻しばね8と、係合片41とを変更するものであり、その他の構成は実施の形態1のワンタッチ着脱装置と同様となっている。又、この実施の形態において、実施の形態3におけるホールド機構51が設けられている。ホールド機構51は
図29に示すようにベース10のモータ挿入孔10a内に対して進入移動するホールドキャップ52と、ホールドキャップ52がモータ挿入孔10a内に進入するように付勢する押圧ばね53とによって形成されている。
【0092】
図29〜
図31に示すように、この実施の形態における係合片41はベース10のモータ挿入孔10aを挟んだ両側における片側にだけ設けられるものである。すなわち、係合片41はモータ挿入孔10aの片側(左側)に設けられた一のロック駒12と、このロック駒12に連結された一の作用駒15とによって形成されている。ロック駒12の先端面には、モータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合するねじ部12aが形成されている。
図29に示すように、ロック駒12と作用駒15とは、モータ軸4の挿入方向に沿ってモータ軸4からの距離が徐々に大きくなるテーパ面12c、15cを介して接触している。さらに、ロック駒12とベース10との間には、ロック駒12を上下で挟むことにより、ロック駒12を弾持する弾性体14が設けられている。
【0093】
図30及び
図31に示すように、操作部材6は平面から見てコ字形に形成されたガイド部22と、ガイド部22に一体に形成された操作部23とを有している。ガイド部22はベース10のモータ軸挿入孔10aを挟むように設けられている。モータ軸挿入孔10aを挟んだ一側(左側)は、後述する係合機構形成部位64となっており、他側(右側)はガイドアーム部63となっている。操作部23はガイド部22の中間部分に設けられてカバー5の収容部5aから外側に突出している。この操作部23を押し込むことにより操作部材6の全体がベース10に対して直線的に移動して変位する。この直線的な変位はロック駒12と作用駒15とを結ぶ直線と直交する方向となっている。
【0094】
操作部材6のガイドアーム部63は操作部材6の移動方向に沿って直線的に延びている。これに対し、ベース10には、直線的なガイド溝65が形成されており、このガイド溝65にガイドアーム部63が挿入されることによりガイドアーム部63がベース10の内部に配置されている。操作部材6の移動に際しては、ガイドアーム部63がガイド溝65内を摺動するため、この摺動によって操作部材6が安定して直線移動することができる。
【0095】
ガイド部22における係合構形成部位64の先端部には、ガイド部22が直線的に移動する方向に沿って延びるガイド面55が形成されている。又、ベース10におけるガイド面55との対応部位には、ガイド面55が摺動可能な受け面56が直線的に形成されている。この実施の形態においては、上述したガイドアーム部63に加えてガイド面55及び受け面56が形成されているため、操作部材6が安定して直線移動することができる。さらに、ベース10には、受け面56と直交する方向に延びるストッパ面58が形成されており、このストッパ面58にガイド部22が当接することによりガイド部22の直線移動が停止する。
【0096】
作用駒15はガイド部22における係合機構形成部位64(
図30、
図31における左側)の部分を挟んだ状態となっており、作用駒15と係合構形成部位64とに係合機構31が形成されている。係合機構31は係止片41に対応して設けられており、このためベース10のモータ挿入孔10aを挟んだ両側における片側にだけ設けられている。この係合機構31は作用駒15におけるガイド部22の係合機構形成部位64を挟んだ内側に形成された第1係合凸部33と、係合機構形成部位64を挟んだ外側に形成された第2係合凸部35と、第1係合凸部33と対応するように係合機構形成部位64の内面に形成された内径変化部37と、第2係合凸部35と対応するように係合機構形成部位64の外面に形成された支持凸部39とを有している。支持凸部39は平面状に形成されている。又、内径変化部37は大径凹部37aと、径が徐々に小さくなって大径凹部37aと連続する曲面部37bとによって形成されている。
【0097】
戻しばね8はコイルばねからなり、ベース10と操作部材6との間に配置されている。戻しばね8は一端が操作部材6の操作部23の裏側部分に当接し、他端がベース10に形成されたばね孔57を底面に当接しており、操作部材6がカバー5から突出するように付勢している。
【0098】
図30はロック駒12のねじ部12aがベース10のモータ挿入孔10aから退出することにより、ねじ部12aがモータ軸4のねじ部4aと係合していない状態を示す。このときにはホールドキャップ52がベース10のモータ挿入孔10a内に進入する。
図31はロック駒12のねじ部12aがベース10のモータ軸挿入孔10a内に進出してモータ軸4のねじ部4aと係合した状態を示す。この状態では、ワンタッチ着脱装置がモータ軸4に取り付けられた状態となる。
【0099】
この実施の形態のワンタッチ着脱装置においては、
図30に示すように操作部23をカバー5内に直線的に押し込む。この押し込みにより操作部材6の全体が直線的に移動する。ガイド部22の直線移動によりガイド部22の支持凸部39が作用駒15の第2係合凸部35に当接して作用駒15をモータ軸挿入孔10aから離反する方向に直線的に移動させる。このとき作用駒15の第1係合凸部33はガイド部22の大径凹部37aに隙間を有して臨んでおり、第1係合凸部33はガイド部22と当接しない状態となっている。作用駒15の移動によりロック駒12も同方向に移動するため、ロック駒12のねじ部12aがベース10のモータ軸挿入孔10aから退避する。これによりホールドキャップ52がモータ挿入孔10a内に進入してロック駒12の退避状態を維持する。従って、不用意にロック駒12がモータ軸4のねじ部4aに干渉したり噛み込むことがなく、これらを防止するために操作部材6への操作を継続する必要がない。又、このときにおいては操作部材6の押し込みにより戻しばね8が短縮されて反対方向への付勢力が蓄えられる。
【0100】
図30の状態においては、モータ軸4をモータ軸挿入孔10aに挿入することができる。モータ軸4の挿入によってホールドキャップ52がモータ軸4に押されてモータ挿入孔10a内を下方に移動するため、ホールドキャップ52がモータ軸挿入孔10aから抜け出る。このとき戻しばね8は操作部材6が逆方向(復帰方向)に移動するように付勢しているため、ロック駒12は係合機構31を介してモータ軸挿入孔4a内に進出する。すなわち操作部材6の復帰移動により、操作部材6のガイド部22における支持凸部39は作用駒15の第2係合凸部35との当接から外れる。そして
図31に示すように、ガイド部22の内径変化部37における曲面部37bが作用駒15の第1係合凸部33に当接するため、作用駒15がモータ軸4の方向に直線的に移動し、この移動に伴ってロック駒12がモータ軸4の方向に直線的に移動する。これによりロック駒12のねじ部12aがモータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合する。このとき、弾性体14がロック駒12を上下方向から弾持しているため、ねじ部12aの山谷がモータ軸4のねじ部4aの山谷と一致してこれらが相互に噛み込むことができる。
【0101】
以上のようにロック駒12のねじ部12aがモータ軸4のねじ部4aに噛み込んで係合するため、ワンタッチ着脱装置をモータ軸4に取り付けることができる。かかるロック駒12の進出によるモータ軸4のねじ部4aへの噛み込みの際に衝突音が発生するため、ワンタッチ着脱装置がモータ軸4に装着されたことを音で判断することができる。
【0102】
このような実施の形態によれば、操作部材6への直線的な押し込み操作によりモータ軸4への着脱を行うことができるため、操作部材6への回動操作に比べて操作性が格段に向上する。又、モータ軸4のねじ部4aに噛み込むためのロック駒12を有した係合片41及びロック駒12の進退を行う係合機構31をベース10のモータ軸挿入孔10aの片側にだけ設けているため、部品点数が少なくなり、簡単な構造とすることができ、メンテナンスが容易となる。
【0103】
(実施の形態7)
図32及び
図33は、本発明の実施の形態7におけるファンのワンタッチ着脱装置を示し、
図32はモータ軸の挿入初期の断面図、
図33はモータ軸の挿入終了状態の断面図である。
【0104】
この実施の形態のワンタッチ着脱装置は
図15〜
図19に示す実施の形態3の構造と同様であり、実施の形態3の構造にさらに音発生部材67を加えた構造となっている。従った、基本構造は実施の形態3と同様であるため、実施の形態3の部材と同一の符号を付して対応させることにより各部材の説明を省略する。
【0105】
音発生部材67はホールド機構51のホールドキャップ52に対応して設けられるものであり、音発生部材67を配置するための凹み部68がベース10の底部に形成されている。凹み部68はホールド機構51のホールドキャップ52が挿入される挿入凹部70よりも大きな径を有し、挿入凹部70の周囲に位置するようにベース10の底部に形成されている。音発生部材67はこの凹み部68とカバー5の底部69との間に配置されている。
【0106】
音発生部材67はホールドキャップ52の下端部に形成されているフランジ状のストッパ部52bが当接するように凹み部68内に配置される。音発生部材67はホールドキャップ52のストッパ部52bが当接することにより、自らが変形して音を発生する材料が用いられる。この実施形態においては、ホールドキャップ52のストッパ部52bが当接することにより上下反転する皿ばねが用いられている。
【0107】
この実施形態において皿ばねからなる音発生部材67は、
図32に示すようにモータ軸4のモータ軸挿入孔10aへの挿入初期においては、外周部がカバー5の底面69に接触した状態で上方に向かって湾曲した凸状となっている。これに対しモータ軸4のモータ軸挿入孔10aへの挿入終了時点では、
図33に示すように、モータ軸4によってホールドキャップ52が下方に押され、これによりホールドキャップ52の下端部のストッパ部52bが音発生部材67に当接する。これにより音発生部材67は外周部がベース10における凹み部68に当接し、下方に向かって湾曲した凹み状となるように反転する。この反転の際には音が発生する。この状態においてはホールドキャップ52がロック駒12、13の間から退出して、ねじ部12a、13aがモータ軸4のねじ部4aに噛み込んでワンタッチ着脱装置のモータ軸4への取り付け状態となる。従ってモータ軸4への取り付け時に音が発生するため、モータ軸4への装着を音で判断することができる。又、ワンタッチ着脱装置1をモータ軸4から取り外すため、モータ軸4がモータ軸挿入孔10aから抜け出る際には、ホールドキャップ52が押圧ばね53の付勢力によって上方に移動する。この移動によりストッパ部52bは音発生部材67への当接から外れるため、音発生部材67は凹み状から凸状となるように反転する。この反転の際に音が発生するため、ワンタッチ着脱装置をモータ軸4から取り外したことを音で判断することができる。
【0108】
(実施の形態8)
図34は本発明の実施の形態8におけるファンのワンタッチ着脱装置の断面図を示す。この実施の形態におけるファンのワンタッチ着脱装置は、実施の形態3〜7におけるホールド機構51を変更し、他の構造は実施の形態3〜7と同様となっている。従って、実施の形態3〜7の部材と同一の符号を付して対応させることにより各部材の説明を省略する。
【0109】
この実施の形態におけるホールド機構51は、コイルばねからなるホールドばね71によって全体が形成されるものである。ホールドばね71はベース10内に取り付けられるピッチ巻き(粗巻き)の押圧コイル部71aと、押圧コイル部71aに連設された密着巻きのホールドコイル部71bとによって形成されている。ホールドコイル部71bはロック駒12、13の間に位置するようにホールドばね71がモータ軸挿入孔10a内に挿入され、前記ホールドキャップ52と同じ機能を果たす部分となる。又、ホールドコイル部71bはモータ軸4がモータ軸挿入孔10a内に挿入されたとき、モータ軸4のねじ部4aが当接してモータ軸4により押圧される。
【0110】
このような構造においてモータ軸4がモータ軸挿入孔10a内に挿入されていない状態では、ホールドコイル部71bが押圧コイル部71aに付勢されており、この付勢によりロック駒12、13の間に位置する。このため、ロック駒12、13がモータ軸挿入孔10a内へ進出することが阻止される。これに対し、モータ軸4がモータ軸挿入孔10a内に挿入されるとホールドコイル部71bがモータ軸4に押されるため、ロック駒12、13の間から退避する。これによりロック駒12、13がモータ軸挿入孔10a内に進出してモータ軸4のねじ部4aと係合する。この係合によりワンタッチ着脱装置のモータ軸4への装着が行われる。このような実施形態では、ホールド機構51を単一のコイルばねによって形成できるため、部品点数が少なくなり、簡単な構造とすることができる。
【0111】
(実施の形態9)
図35は本発明の実施の形態9におけるファンのワンタッチ着脱装置の断面図を示す。この実施の形態のワンタッチ着脱装置は、実施の形態6におけるホールド機構51を変更し、他の構造は実施の形態6と同様となっている。従って、実施の形態6の部材と同一の符号を付して対応させることにより各部材の説明を省略する。
【0112】
この実施の形態においては、ホールド機構51におけるホールドキャップ52を変更するものである。ホールドキャップ52は実施の形態3〜7と同様に上面部が閉じ、下面部が開放された筒状に形成された筒状部分73と、筒状部分73に一体に形成された当接アーム部72とを有している。そして、モータ軸4をモータ軸挿入孔10a内に挿入することにより筒状部分73がモータ軸4のねじ部4aに押されるようになっている。当接アーム部72は筒状部分73から作用駒15の方向に延びるようになっている。作用駒15はロック駒12と共に係合片41を形成する構成部材であり、この実施の形態では、作用駒15はモータ軸挿入孔12aの片側に配置されている。
【0113】
当接アーム部72は作用駒15に係合しているロック駒12を跨いだ状態で作用駒15の端面(右端面)に当接するように延びている。これによりモータ軸4がモータ軸挿入孔10a内に挿入されておらず、ホールドキャップ52がモータ軸挿入孔10a内に位置している状態では、当接アーム部72は作用駒15をモータ軸挿入孔10aから遠ざかるように押している。従って、この状態では、当接アーム部72は作用駒15に係合しているロック駒12がモータ軸挿入孔10aに進出することを阻止している。これに対し、モータ軸4をモータ軸挿入孔10a内に挿入してホールドキャップ52がモータ軸挿入孔10aから抜け出ると、当接アーム部72が作用駒15との当接から外れるため、ロック駒12がモータ軸挿入孔10a内に進出可能となり、これによりロック駒12のねじ部12aがモータ軸4のねじ部4aと係合してワンタッチ着脱装置のモータ軸4への装着が行われる。このような構造では、ロック駒12の上下方向の動きをホールド機構51が阻害することがないため、ロック駒12のねじ部12aとモータ軸4のねじ部4aとの係合をさらに円滑に行うことができる。