特許第5728494号(P5728494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728494
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】フレキシブル・サブフレーム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20150514BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20150514BHJP
   H04J 3/00 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   H04W72/04 131
   H04W16/32
   H04J3/00 A
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-545486(P2012-545486)
(86)(22)【出願日】2010年11月22日
(65)【公表番号】特表2013-516100(P2013-516100A)
(43)【公表日】2013年5月9日
(86)【国際出願番号】IB2010055346
(87)【国際公開番号】WO2011077288
(87)【国際公開日】20110630
【審査請求日】2013年10月22日
(31)【優先権主張番号】61/289,655
(32)【優先日】2009年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/816,821
(32)【優先日】2010年6月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】パーカヴァル,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ダールマン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ラフマーン,ムハマド イマデュール
(72)【発明者】
【氏名】アステリー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ニーストレーム,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】スコルド,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】セレン,イングヴェ
【審査官】 田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−289360(JP,A)
【文献】 Qualcomm Europe,Specification impact of almost blank subframes,3GPP TSG-RAN WG1 #58bis R1-094199,2009年10月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 72/04
H04J 3/00
H04W 16/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダウンリンク・サブフレームとして予め設定される1以上のサブフレームと、アップリンク・サブフレームとして予め設定される1以上のサブフレームと、各々1つのインスタンスのアップリンク・サブフレーム及び別のインスタンスのダウンリンク・サブフレームとなるように動的に割り当てられた1以上のフレキシブル・サブフレームと、を備えるフレーム構造に対する又は当該フレーム構造からのデータを、電子回路(12、14、30、34)によって処理し、
無線端末(MS、UE)がどのように1以上のフレキシブル・サブフレームを判断又は使用すべきかを示す無線端末用の情報を、電子回路(12、14、34)によって生成して、前記無線端末に送信し、
前記無線端末用の情報に基づいて、フレキシブル・サブフレームにおいて、無線端末により送信された情報を、受信機(22、24、12)によって受信及び処理し、
前記無線端末用の情報に基づいて、ダウンリンク・サブフレームとしてのフレキシブル・サブフレームを用いて、送信機(12、24、22)によって、ダウンリンク方向に情報を送信し、
フレキシブル・サブフレームにおいてではなく、アップリンク又はダウンリンク・サブフレームとして予め設定されるサブフレームにおいてのみ、フィードバック信号を送信すること、を特徴とする無線通信ネットワークにおける無線ネットワーク・ノード(BS、eNB)のための方法。
【請求項2】
ダウンリンク・サブフレームとして予め設定される1以上のサブフレームと、アップリンク・サブフレームとして予め設定される1以上のサブフレームと、各々1つのインスタンスのアップリンク・サブフレーム及び別のインスタンスのダウンリンク・サブフレームとなるように動的に割り当てられた1以上のフレキシブル・サブフレームと、を備えるフレーム構造に対する又は当該フレーム構造からのデータを、電子回路(52〜60、44、68、70)において処理し、
フレキシブル・サブフレームにおいて基地局(BS、eNB)によって送信された情報を、受信機(42、66、64、62)によって受信及び処理し、
アップリンク・サブフレームとしてフレキシブル・サブフレームを用いて、送信機(42、72、64、62)によって、アップリンク方向に情報を送信し、
フレキシブル・サブフレームにおいてではなく、アップリンク又はダウンリンク・サブフレームとして予め設定されるサブフレームにおいてのみ、フィードバック信号を送信すること、を特徴とする無線通信ネットワークにおける無線端末(MS、UE)のための方法。
【請求項3】
セル間干渉を避けるために、1以上のフレキシブル・サブフレームの意図される使用に関する情報を、隣接した基地局と交換すること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基地局及び前記無線端末は、時分割二重通信を用いて通信する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
特定のフレキシブル・サブフレームをいつアップリンク・サブフレームとして解釈又は使用するべきかを示し、送信回路に当該特定のフレキシブル・サブフレームを用いて送信しないように指示する無線端末用の情報を生成すること、
を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
特定のフレキシブル・サブフレームをいつアップリンク・サブフレームとして解釈又は使用するべきかを示す前記情報を、当該特定のフレキシブル・サブフレームより前のサブフレームにおいて前記無線端末に送信すること、を更に含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
フレキシブル・サブフレームを扱うことができない無線端末に前記1以上のフレキシブル・サブフレームを知らせることなく、前記フレキシブル・サブフレームを扱うことができない無線端末用の情報を処理すること、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ピコセルが置かれるマクロセルにサービスを提供し、
前記マクロセルにおけるフレキシブル・サブフレームを用いた送信が前記ピコセルにおける送信を干渉するかどうか判定し、
前記フレキシブル・サブフレームの間に前記ピコセルにおける送信を保護する必要がない場合は、前記フレキシブル・サブフレームをアップリンク又はダウンリンク送信に用いること、
を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
検出されたトラフィック要求に従って1以上のフレキシブル・サブフレームの使用を変更すること、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
特定のフレキシブル・サブフレームをいつアップリンク・サブフレームとして解釈又は使用するべきかを示す情報を受信すること、を更に含み、送信回路は、前記特定のフレキシブル・サブフレームを用いて基地局に情報を送信するように構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
特定のフレキシブル・サブフレームをアップリンク・サブフレームとして解釈又は使用するべきことを示す特定の情報が、前記無線端末に通信されない限り、全てのフレキシブル・サブフレームをダウンリンク・フレームとみなすこと、を更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項12】
1以上のフレキシブル・サブフレームを用いて情報を直接別の無線端末に送信する、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記基地局及び前記無線端末は、時分割二重通信を用いて通信する、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
請求項1、及び3〜9のいずれか一項に記載の方法を用いる無線ネットワーク・ノード(BS、eNB)。
【請求項15】
請求項2、及び10〜13のいずれか一項に記載の方法を用いる無線端末(MS、UE)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電気通信に関するものであり、特に、フレーム構造及びフレーム構造を構成する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
典型的なセル方式無線システムでは、無線又はワイヤレスターミナル(移動局及び/又はユーザ機器ユニット(UE)としても知られている)は、無線アクセス・ネットワーク(RAN)を介して1以上のコアネットワークと通信する。無線アクセス・ネットワーク(RAN)は、セル領域に分割される地理的領域をカバーしており、各セル領域は、無線基地局(RBS)などの基地局によって供給される。無線基地局は、ネットワークによって、例えば、「NodeB」(UMTS)又は「eNodeB」(LTE)と呼ばれている。セルとは、無線範囲が基地局サイトにおいて無線基地局装置によって提供される地理的領域である。各セルは、当該セルの無線放送である、局部的な無線領域内のアイデンティティによって特定される。基地局は、当該基地局の範囲内で、無線周波数で動作するエアインタフェースを通じて、ユーザ機器ユニット(UE)と通信する。
【0003】
無線アクセス・ネットワークによっては、いくつかの基地局が、無線ネットワーク制御装置(RNC)又は基地局制御装置(BSC)に接続されている(例えば、地上通信線又はマイクロ波によって)場合がある。無線ネットワーク制御装置は、そこに接続される複数の基地局の異なる動作を監督して、調整する。無線ネットワーク制御装置は、一般的に1以上のコアネットワークに接続される。
【0004】
ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)は第三世代の移動通信システムであり、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)から進化したものである。UTRANは、基本的にユーザ機器ユニット(UE)用の広帯域符号分割多重アクセスを用いた無線アクセス・ネットワークである。
【0005】
第三世代共同プロジェクト(3GPP)として知られているフォーラムにおいて、電気通信供給元は、特に第三世代のネットワーク及びUTRANの規格について提案及び合意に達し、拡張データレート及び無線容量を調査している。第三世代共同プロジェクト(3GPP)は、更にUTRAN及びGSMベースの無線アクセス・ネットワーク技術を発展させると約束した。進化型ユニバーサル地上無線アクセス(EUTRAN)仕様の最初のリリースが出て、大抵の仕様と同様に、この規格は発展しそうである。進化型ユニバーサル地上無線アクセス(EUTRAN)は、長期的進化(LTE)とシステム構造進化(SAE)とを含むものである。
【0006】
長期的進化(LTE)は、無線基地局ノードが無線ネットワーク制御装置(RNC)ノードよりもむしろコアネットワーク(アクセス・ゲートウェイ(AGW)を介して)に接続される3GPP無線アクセス技術の変形型である。一般にLTEでは、無線ネットワーク制御装置(RNC)ノードの機能は、無線基地局ノード(LTEのeNodeBのもの)とAGWとの間に配信される。従って、LTEシステムの無線アクセス・ネットワーク(RAN)は、無線ネットワーク制御装置(RNC)ノードへのレポートが必要ない無線基地局ノードを備える、時には「フラット」構造と称されるものを有する。
【0007】
ノードから送受信(例えば、LETなどのセル方式システムのUEのような無線端末)は、周波数領域において、又は、時間領域(若しくはそれらの組み合わせ)において多重送信することができる。周波数分割二重(FDD)では、図1の左側に示すように、ダウンリンク及びアップリンク送信は、異なる、十分に離れた周波数帯に生じる。時分割二重通信(TDD)では、図1の右側に示すように、ダウンリンク及びアップリンク伝送は、異なる、重ならないタイムスロットに生じる。このように、TDDは、対になってない周波数スペクトルにて動作することができるが、FDDは対になっている周波数スペクトルを必要とする。
【0008】
一般的に、通信システムにおいて送信された信号は、フレーム構造の何らかの形で構成される。例えば、LTEは、図2にて図示したように、無線フレーム当たり1msの長さの10個の同等サイズのサブフレーム0〜9を用いる。
【0009】
FDD動作(図2の上部に図示される)の場合、1つはアップリンク送信(fUL)用、もう1つはダウンリンク送信(fDL)用の2つの搬送周波数がある。セル方式通信システムにおいて少なくとも無線端末に対して、FDDは、全二重伝送又は半二重伝送とすることができる。全二重伝送では、端末は同時に送受信することができ、一方、半二重方式(図1を参照)では、端末は同時に送受信することができない(しかし、基地局は、同時受信/送信することができる、すなわち、ある端末から受信し、一方同時に別の端末に送信することができる)。LTEにおいて、あるサブフレームにおいてアップリンクで送信するようはっきりと指示される場合を除き、半二重方式の無線端末はダウンリンクで監視/受信する。
【0010】
TDD動作(図2の下部に図示される)の場合、1つだけ搬送周波数があり、アップリンク及びダウンリンク送信は、セルにも基づき、適時に切り離される。同じ搬送周波数がアップリンク及びダウンリンク送信に用いられるので、基地局及び移動端末は共に送信から受信へ、また、その逆へ切り替えることを必要とする。TDDシステムの重要な態様は、アップリンクとダウンリンク送信との間の干渉を避けるために、ダウンリンク送信もアップリンク送信も発生しない十分に大きいガードタイムを提供することである。LTEの場合、特別なサブフレーム(サブフレーム1、及び、場合によっては、サブフレーム6)が、このガードタイムを提供する。TDDの特別なサブフレームは、ダウンリンク部(DwPTS)、ガード周期(GP)、及びアップリンク部(UpPTS)の3つの部分に分割される。残りのサブフレームは、アップリンク又はダウンリンク送信に割り当てられる。
【0011】
時分割二重通信(TDD)は、それぞれ異なるダウンリンク/アップリンク構成によって、アップリンク及びダウンリンク送信に割り当てられるリソースの量について、異なるアシンメトリを可能にする。LTEでは、図3に示すように、7つの異なる構成がある。
【0012】
異なるセルの間でのダウンリンクとアップリンク送信の間の重大な干渉を避けるために、隣接するセルは、同じダウンリンク/アップリンク構成を有していなければならない。さもなければ、1つのセルにおけるアップリンク送信は、図4にて図示したように、隣接するセルのダウンリンク送信を干渉する場合がある(その逆もある)。図4では、右側のセルのUEのアップリンク送信が左側のセルのUEによってダウンリンク受信を干渉している。その結果、ダウンリンク/アップリンクのアシンメトリは、セル間で変化がない。ダウンリンク/アップリンクのアシメトリ構成は、システム情報の一部として信号送信され、長期間固定されたままとなる。
【0013】
異機種ネットワークとは、主に出力パワーに関して、異なる特性を有する基地局で展開され、範囲が重複するセル方式ネットワークを指す。階層的なセル構造という用語は、1種類の異機種ネットワーク展開を指すのに用いられる。異機種ネットワークの1つの簡単な例は、1以上のピコセルと重なったマクロセルである。
【0014】
異機種ネットワークの特性は、同じ領域を(部分的に)カバーする異なるセル同士の出力パワーが違うということである。例えば、ピコ基地局又はリレーの出力パワーは、30dBmオーダー以下でありうるが、マクロ基地局は、46dBmのより大きい出力パワーを有しうる。従って、ピコセルの付近ですら、マクロセルからのダウンリンク信号強度が、ピコセルのものより大きくなりうる。
【0015】
セルの選択は、一般的に、受信した信号強度に基づく、すなわち、UE端末は最も強いダウンリンクと接続する。しかしながら、異なるセル(例えば、マクロ及びピコ)間のダウンリンク送信パワーの差によって、これが、最も良いアップリンクに必ずしも対応するというわけではない。アップリンクの観点から、図5にて図示したように、アップリンク・パスロスに基づいてセルを選択する方がよい(アップリンク・パスロスの反転を破線で示し、実線はセル/基地局の両方からの受信ダウンリンク・パワーを示す)。アップリンク・パスロスがセルの選択基準として用いられる場合、UEは、ダウンリンクの受信パワーが用いられる場合よりも低いアップリンク送信パワーを用いてアップリンクを送信する。これは、あるピコセルに接続したUEによって用いられる無線リソースが別のピコセルにおいて再利用できるため(これらのピコセル間には十分な距離があると仮定する)、容量の観点から有利である。というのも、あるピコセルに接続した上記UEのアップリンク送信パワー(したがって、干渉)を、当該UEがマクロセルに接続される場合と比較して、減らすことができるからである。しかしながら、セルの選択がダウンリンク信号強度測定に基づく場合であっても、異なる測定オフセットを異なるセルに割り当てることによって、最も良いアップリンク・セルに接続することは可能である。
【0016】
しかし、セルを最も良いアップリンクに接続するということは、最も良いダウンリンクが必ずしも用いられるということを意味するものではない。この条件は、時に、リンク・アンバランスと言われる。図5の2つのセルが同一周波数にて送信する場合、ピコセルからのダウンリンク送信は、マクロセル・ダウンリンク送信から強い干渉を受け、ピコ基地局を囲んでいる一定の領域において、UEがピコセルからの送信を受信することが難しくなりうる。換言すれば、マクロからピコへのダウンリンク干渉によって、UEは、ピコセルから受信することができなくなる。
【0017】
アップリンク−ダウンリンクのアンバランスを解決することは、異機種ネットワークにおいて重要である。簡単な解決案としては、異なる(十分に離れた)周波数で、異なる重複セル又はセル「層」を操作することである。異なる周波数を別々のセル層に用いることができない状況における1つの方法としては、アップリンクとダウンリンクセルの境界が一致するように、すなわち、ピコ基地局を囲んでいる図5の網掛け部分が縮小して、最終的になくなるように、ピコ基地局の受信感度を下げることによって、アップリンク感度抑圧を利用することである。LTEでは、より高い受信パワーは、パワー制御パラメータ(すなわち、P0)を正確に設定することによって達成できるので、感度を下げる必要はない。これによって、ピコセルにおいてより高い受信パワー目標を用いることを犠牲にすれば、ピコセルからダウンリンク送信を受信する際の問題は解決される。
【0018】
したがって、時分割二重通信(TDD)ネットワークは、アップリンクであるサブフレームとダウンリンクであるサブフレームとがある、固定フレーム構成を用いる。これによって、アップリンク/ダウンリンク・リソースのアシンメトリをトラフィック状況の変更に利用するための融通性がなくなる、又は、少なくとも制限される。異機種での展開は、概して、周波数でセル層を分けるものであり、これは必要なスペクトル又は感度抑圧の利用を犠牲にしてリンク・アンバランス問題を緩和するものであり、それによって、人工的にアップリンク・パフォーマンスを下げることになる。
【発明の概要】
【0019】
本明細書にて開示される技術は、サブフレームを「フレキシブル」サブフレームとして構成することができる能力を提供する。その結果、TDDシステムには、少なくとも3つの異なるタイプのサブフレームが設定されうる。すなわち、ダウンリンク(「DL」)サブフレーム、アップリンク(「UL」)サブフレーム、及び「フレキシブル」サブフレーム、である。
【0020】
本技術の1つの非限定的な態様は、無線通信ネットワークにおける無線ネットワーク・ノード及びそれに関連する方法に関する。ダウンリンク・サブフレームとして予め設定される1以上のサブフレームと、アップリンク・サブフレームとして予め設定される1以上のサブフレームと、1以上のフレキシブル・サブフレームと、を備えるフレーム構造に対する又は当該フレームからのデータを処理する。ここで、フレキシブル・サブフレームは、フレームの1つのインスタンスのアップリンク・サブフレーム及び別のインスタンスのダウンリンク・サブフレームとなるように動的に割り当てられる。無線端末がどのように1以上のフレキシブル・サブフレームを解釈又は使用するべきかを示す情報を無線端末に対して生成する。受信機は、フレキシブル・サブフレームにおいて、無線端末により送信された情報を受信して処理し、送信機は、ダウンリンク・サブフレームとしてのフレキシブル・サブフレームを用いて、ダウンリンク方向に情報を送信する。基地局及び無線端末は、時分割二重通信を用いて通信する。
【0021】
実施形態の非限定的な例において、無線ネットワーク・ノードは、セル間干渉を避けるために、1以上のフレキシブル・サブフレームの意図される使用に関する情報を、隣接した基地局と交換する。
【0022】
無線ネットワーク・ノードが、ピコセルが置かれるマクロセルにサービスを提供する場合、当該ノードが前記マクロセルにおけるフレキシブル・サブフレームを用いた送信が前記ピコセルにおける送信を干渉するかどうか判定するという選択肢がある。前記フレキシブル・サブフレームの間に前記ピコセルにおける送信を保護する必要がない場合は、前記フレキシブル・サブフレームをアップリンク又はダウンリンク送信に用いてもよい。
【0023】
実施形態の非限定的な例において、前記無線ネットワーク・ノードは、特定のフレキシブル・サブフレームをいつアップリンク・サブフレームとして解釈又は使用するべきかを示し、送信回路に当該特定のフレキシブル・サブフレームを用いて情報を送信しないように指示する無線端末用の情報を生成する。例えば、特定のフレキシブル・サブフレームをいつアップリンク・サブフレームとして解釈又は使用するべきかを示す前記情報を、当該特定のフレキシブル・サブフレームより前のサブフレームで送信してもよい。
【0024】
実施態様の一例としては、好ましくはフレキシブル・サブフレームにではなく、アップリンク又はダウンリンク・サブフレームにおいてのみフィードバック信号を送信してもよい。実施態様の別の例としては、従来の無線端末に前記1以上のフレキシブル・サブフレームを知らせることなく、従来の無線端末用の情報を処理する。さらに別の例としては、検出されたトラフィック要求に従って1以上のフレキシブル・サブフレームの使用を変更する。
【0025】
本技術の別の非限定的な態様は、無線通信ネットワークにおける、利用者無線端末及びその動作に関する。ここでもまた、ダウンリンク・サブフレームとして予め設定される1以上のサブフレームと、アップリンク・サブフレームとして予め設定される1以上のサブフレームと、1以上のフレキシブル・サブフレームと、を備えるフレーム構造に対する又は当該フレームからのデータを処理する。ここで、フレキシブル・サブフレームは、フレームの1つのインスタンスのアップリンク・サブフレーム及び別のインスタンスのダウンリンク・サブフレームとなるように動的に割り当てられる。受信機は、フレキシブル・サブフレームにおいて、基地局により送信された情報を受信して処理し、送信機は、アップリンク・サブフレームとしてのフレキシブル・サブフレームを用いて、アップリンク方向に情報を送信する。
【0026】
前記無線端末は、特定のサブフレームをいつアップリンク・サブフレームとして解釈又は使用するべきかを示す情報を受信するか、又は、すでに有するように構成されてもよく、当該特定のサブフレームを用いて基地局に情報を送信してもよい。前者の例としては、前記情報は、前記特定のフレキシブル・サブフレームの前のフレキシブル・サブフレームにおいて受信することができる。後者の例において、特定のフレキシブル・サブフレームをアップリンク・サブフレームとして判断又は使用するべきことを示す特定の情報が、前記無線端末に通信されない限り、全てのフレキシブル・サブフレームをダウンリンク・フレームとみなしてもよい。
【0027】
上記のように、前記無線端末は、また、フレキシブル・サブフレームにおいてではなく、アップリンク又はダウンリンク・サブフレームにおいてのみ、フィードバック信号を送信してもよく、及び/又は、トラフィック要求にしたがって、1以上のフレキシブル・サブフレームの使用を変更してもよい。
【0028】
実施形態の非限定的な例において、情報を直接別の無線端末に送信することによって、1以上のフレキシブル・サブフレームを用いて基地局を迂回してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】周波数分割二重通信、半二重周波数分割、及び時分割二重通信における送信を図示する。
図2】周波数分割二重通信(FDD)及び時分割二重通信(TDD)の場合別に、LTEのアップリンク/ダウンリンク時間/周波数構造を図示する。
図3】長期的進化(LTE)における時分割二重通信(TDD)の7つの異なるダウンリンク/アップリンク構成の一例を示す図である。
図4】時分割二重通信(TDD)におけるアップリンク/ダウンリンク(UL/DL)干渉の一例を図示する。
図5】混同したセルの場合におけるアップリンク及びダウンリンク範囲の一例を図示する。
図6】フレキシブル・サブフレームを利用する通信システムにおける基地局の手順の非限定的な例を示すフローチャートである。
図7】フレキシブル・サブフレームを利用する通信システムにおけるUE端末の手順の非限定的な例を示すフローチャートである。
図8】本願明細書に記載又は含まれるフレキシブル・サブフレームを利用でき、X2インタフェースを通してeNBs間でセル間協調メッセージを送信する、LTEセル方式通信ネットワークの非限定的な例の機能ブロック図である。
図9】UE端末の観点から、フレキシブル・サブフレームを用いる場合の非限定的な例を示す。
図10】フレキシブル・フレームの信号を示す非限定的な例である。
図11】異なるセル層において、異なるアップリンク−ダウンリンク割当てを利用する異機種ネットワークで用いうる干渉軽減技術の一例を示す。
図12A図12Aは、本願明細書に記載又は含まれるフレキシブル・サブフレームを利用できる通信ネットワークに用いる基地局とUE端末の非限定的な例を示す機能ブロック図である。
図12B図12Bは、本願明細書に記載又は含まれるフレキシブル・サブフレームを利用できる通信ネットワークに用いる基地局とUE端末の非限定的な例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の説明では、制限ではなく説明の目的のために、特定の構造、インタフェース、技術などの具体的な詳細を記載する。しかしながら、ここで記載されている技術は、これらの具体的な詳細から逸脱する他の実施形態において実施してもよいことは、当業者にとって明らかである。すなわち、当業者は、本願明細書においてはっきりと記載されていない又は示されないが、記載されている技術の原理を実施して、その趣旨及び範囲の中に含まれる、様々な構成を考案することが可能である。場合によって、周知のデバイス、回路及び方法の詳細な説明は、不要な詳細によって記載内容が不明確にならないよう省略される。本願明細書において、原理、態様、実施形態、及び具体例を詳述する全記載は、その構造的及び機能的同等物を含むことが意図される。加えて、そのような同等物には、現在周知の同等物と共に、将来的に開発される同等物、すなわち、構造にかかわらず、同じ機能を行うよう開発されるいずれの要素、も含まれることが意図される。
【0031】
このように、例えば、本願明細書におけるブロック図は、技術の原理を実施する一例である回路の概念的な図を表すことができるということは、当業者であれば理解されるだろう。同様に、すべてのフローチャート、状態遷移図、偽コードなどは基本的にコンピュータで読み取れる媒体において表示することができ、コンピュータ又はプロセッサがはっきり示されているかどうかに関係なく、コンピュータ又はプロセッサによって実行できる種々のプロセスを示している。
【0032】
「コンピュータ」、「プロセッサ」又は「制御部」という名の、又は、と記載される機能ブロックを含む様々な要素の機能を、専用ハードウェアと共にコンピュータで読み取り可能な媒体に記憶される符号化指示の形式でソフトウェアを実行することができるハードウェアを使用することによって提供してもよい。コンピュータとは、一般的には、1以上のプロセッサ及び/又は制御部から成るものと理解され、コンピュータ及びプロセッサという用語は、本願明細書において取り換えて使用される場合がある。コンピュータ又はプロセッサによって提供される場合、その機能は、単一の専用のコンピュータ又はプロセッサによって、単一の共用コンピュータ又はプロセッサによって、若しくは、共有又は分配されるものを含む複数の個別のコンピュータ又はプロセッサによって提供されてもよい。そのような機能は、コンピュータによって実行、したがって、機械によって実行されるものとして理解すべきである。さらにまた、「プロセッサ」又は「制御部」という用語の使用も、そのような機能を行って及び/又はソフトウェアを実行することができる他のハードウェアを指すものとして解釈されるべきものであり、限定されるものではないが、そのような機能を行うことができるデジタル信号処理装置(DSP)ハードウェア、縮小命令セットプロセッサ、ハードウェア(例えば、デジタル又はアナログの)回路、及び(必要に応じて)状態機械が挙げられる。
【0033】
本出願の技術は、1以上のサブフレームが、アップリンク・サブフレーム又はダウンリンク・サブフレームであるとして、事前に宣言又は構成されていないため、フレキシブルである、フレキシブル・サブフレームを導入するものである。この技術は、例えば、時分割二重通信(TDD)に基づくシステムにおいて有利なものであるが、TDDに限られてはいない。換言すれば、フレキシブル・サブフレームは、必要に応じて又は所望に応じて、アップリンク又はダウンリンク送信に用いることができる。図4に示される例のようなセル間干渉を避けるために、セル間の隔絶が十分でない隣接するセル同士は、好ましくはフレキシブル・サブフレームを、矛盾する形で使用すべきではなない。
【0034】
適切なフレキシブル・サブフレームの使用を、セル同士が各々の意図するサブフレームの使用に関して情報を交換する、セル間協調機構を用いて指示してもよい。基地局同士は、各々の意図するフレキシブル・サブフレームの使用に関して情報を交換することができる。基地局BS1及びBS2によってそれぞれ制御されるセル1及び2に関する図4の例を考える。移動局MS1はセル1に、移動局MS2はセル2に配置されている。BS1は、BS1がセル1とセル2の間にセルの境界の近くに置かれるMS1からのアップリンク送信にフレキシブル・サブフレームを用いる予定であることを、BS2に知らせてもよい。BS2は、この情報を用いて、同じフレキシブル・サブフレームでダウンリンク送信をスケジューリングすることを避けてもよい。というのも、これがMS1のBS1受信に対する干渉の原因となる、及び/又は、MS1からのアップリンク送信がセル2においてMS2によるダウンリンク受信を干渉することになるからである。隣接したセル同士は、異なる基地局において実行される分散アルゴリズムによって、セル配置及びパスロスを認識するか、無線リソース・マネージャなどの中央調整ノードによって、各々のアップリンク/ダウンリンクの使用(例えば、1つの無線フレーム)を事前に調整することができる。
【0035】
図6は、フレキシブル・サブフレームを利用する通信システムにおける基地局の手順の非限定的な例を示すフローチャートである。まず最初に、基地局は、1以上のダウンリンク・サブフレーム、アップリンク・サブフレーム、及びフレキシブル・サブフレームを備えるフレーム構造に対する又は当該フレーム構造からのデータを処理する(ステップS1)。好ましくは、基地局は、例えば、セル間干渉を避けるために、フレキシブル・サブフレームの意図する使用に関する情報を、隣接したセルの基地局によって交換してもよい(ステップS2)。情報は、UEがフレキシブル・サブフレームをどのように判断及び/又は使用するべきかを知るのに適したいずれかの方法で、UEに通信される(ステップS3)。例えば、基地局は、明示的なサブフレーム関連の信号をUEに送信してもよく、及び/又は、UEは、フレキシブル・サブフレームに関する明示的な信号がない時は、一定の前提条件に基づいて動作するよう事前にプログラムされていてもよい。最終的に、基地局は、アップリンク・サブフレームとして用いられるフレキシブル・サブフレームにおいて、UEによって送信される情報を受信して、処理する(ステップS4)。さらに最終的に、基地局は、フレキシブル・サブフレームにおいて、ダウンリンク情報を送信する(ステップS5)。
【0036】
図7は、フレキシブル・サブフレームを利用する通信システムにおけるUE端末の手順の非限定的な例を示すフローチャートである。初めに、又は、継続的に、UEは、フレキシブル・サブフレームをどのように判断及び/又は使用するかについて、ネットワーク(基地局からの又は基地局を介して)から、情報を受信する(ステップS10)。受信した情報に基づいて、UEは、1以上の予め設定されたアップリンク・サブフレームを用いてアップリンクで情報を送信することに加えて、1以上のフレキシブル・サブフレームを用いてアップリンクで情報を送信する(ステップS12)。さらに、受信した情報に基づいて、UEは、1以上の予め設定されたダウンリンク・サブフレームにてダウンリンクで情報を受信することに加えて、1以上のフレキシブル・サブフレームにてダウンリンクで情報を受信する(ステップS14)。
【0037】
上記のセル間通信/協調に関して、それを達成する一つの方法は、LTE Rel−8においてすでに提供されているセル間干渉協調の拡張として行う。LTE Rel−8のセル間干渉制御(ICIC)は、X2インタフェースを通じてメッセージを交換する基地局に依拠する。図8は、LTEに基づく通信システムの一例を示す図である。コアネットワーク・ノードは、1以上の移動管理エンティティ(MME)、LTEアクセス・ネットワーク用のキー制御ノード、及び、モビリティ・アンカーとして動作する一方でユーザ・データパケットのルートを決めて、転送する1以上のサービング・ゲートウエイ(SGW)を備える。これらは、S1インタフェースを通じて、LTEにおいてeNBsと言われる基地局と通信する。eNBsには、X2インタフェースを通じて通信する、マクロ及びマイクロeNBsが挙げられる。これらのセル間通信/協調メッセージは、1つの基地局から別の基地局への示唆であり、場合によっては、スケジューリング及び/又はUL及び/又はDL送信に影響する。典型的には、これらの勧告は、更なる通知があるまで有効である。セル間通信/協調メッセージへの拡張は、フレキシブル・サブフレームを説明するために付加されるものであり、例えば、上記の示唆が特定のフレキシブル・サブフレームに対するものであることを示す。
【0038】
フレキシブル・サブフレームをUEの観点から制御することができる方法の1つの非限定的な例としては、図9の例示的な方法で図示したように、UEがアップリンクにおいて送信するようはっきりと指示される場合を除き、UEがダウンリンクにおいて全てのフレキシブル・サブフレーム(ダウンリンクデータやアップリンク動作を制御する制御信号を含みうる)を受信することである。
【0039】
図9の例における第1のフレキシブル・サブフレームにおいて、無線端末UEは、ダウンリンク制御信号を受信し、端末がこの制御情報に対する目的の受信機であることを検知すると、受信した制御信号に従う。制御信号は、ダウンリンクデータ送信が同じサブフレームにおいて受信しなければならないこと、又は、端末が後のサブフレームで送信しなければならないことを(例えば)示すことができる。
【0040】
図8の例における第2のフレキシブル・サブフレームでは、端末は、アップリンクにて送信するように指示されている。したがって、無線端末は、この特定のサブフレームにおいては、いかなるダウンリンク送信も受信しないことになる。アップリンクにて送信するという指示は、例えば、データを送信することを明確に許可する形とすることもできるしし、暗に前回のサブフレームで受信したデータの結果として制御信号の形とすることもできる。
【0041】
図9に関する上述の説明は、フレキシブル・サブフレームだけを考慮したものである。フレキシブル・サブフレームはまた、従来の、半静的に割り当てられたアップリンク及びダウンリンク・サブフレームと組み合わせることができる。図9は、フレキシブル・サブフレームとともに半静的に割り当てられたアップリンク及びダウンリンク・サブフレームを図示する。このフレキシブルに割り当てられたサブフレームと半静的に割り当てられたサブフレームとの組合せには、いくつかの利点がある。第1に、フレキシブル・サブフレームによって、すでに既存の時分割二重通信(TDD)システムを拡張することができ、そこでは、従来の端末(フレキシブル・サブフレームを扱うことができない)は、従来のアップリンク及びダウンリンク・サブフレームを用い、その一方で、より新しい端末はフレキシブル・サブフレームも用いることができる。第2に、例えば、システム情報を送信して、ランダムアクセスを提供するのに、所定のダウンリンク及びアップリンク・サブフレームを有することは、有用でありうる。第3に、半静的にいくつかのサブフレームをフレキシブルになるよう割り当てて、同様に動的にフレキシブル・サブフレームをアップリンク及びダウンリンク送信に割り当てることは、制御信号設計にとって利点である。多数のシステムでは、1つの送信方向で受信されるデータは、他方向に信号を送信することによって承認されなければならない。これに関する非限定的な例としては、LTEのハイブリッドARQ承認である。アップリンク送信はダウンリンク・サブフレームで生じることはできないので(逆も同じ)、ハイブリッドARQ承認は次の使用可能なアップリンク・サブフレームまで「延期される」。実施形態の一例では、これらのルールは、半静的に割り当てられたダウンリンク及びアップリンクのサブフレームに適用するだけでもよい。フレキシブル・サブフレームは、どちらの方向のフィードバック信号も提供することができる。好適な例実施形態において、フィードバックは、フレキシブル・サブフレームではなく、アップリンク又はダウンリンク・サブフレームにおいてのみ送信されてもよい。上記に代わる実施形態の例では、フィードバックは、最初の可能性で送信される、すなわち、アップリンク送信に動的に用いられるULサブフレーム又はフレキシブル・サブフレームにて送信され、同様に、ダウンリンク方向では、ダウンリンク送信に動的に用いられるダウンリンク・サブフレーム又はフレキシブル・サブフレームにて送信される。
【0042】
フレキシブル・サブフレームは、例えばシステム情報の一部として、どのサブフレームがダウンリンク、アップリンク、又はフレキシブルなのかをUE端末に知らせるために、送信することができる。しかしながら、既存のシステムにこの方法を導入すると、従来の端末に対する下位互換性に影響を及ぼす場合がある。代替案としては、サブフレームをダウンリンク又はアップリンクになるように構成する従来の機構を用いることである。例えば、あるLTEの場合、Rel−8UE端末は、従来のUEを表すことができ、UL/DLの割当ては、システム情報の一部として信号送信する。図10の例にて図示したように、追加の信号によって、すでに宣言されたULサブフレームのうちどちらがフレキシブルなのかについて、非従来のUE端末に知らせてもよい。この信号が従来のUE端末に「見えない」場合、それらは基地局からの送信がないものと判断する。あるいは、明確にそうするように指示されない限り、それらはアップリンクで何も送信しない。したがって、従来のUE端末は、ダウンリンク又はアップリンク送信用のフレキシブル・サブフレームを用いた新しいUE端末に干渉しないことになるが、それでも、基地局スケジューラによってそうするように指示される場合は、アップリンク送信用のリソースを用いることができる。
【0043】
異機種ネットワークでは、上述の背景技術の箇所で説明したように、マクロセルからの干渉は、端末がピコセルからの送信を受信する可能性を制限しうるものである(図5のUL境界とDL境界との間の領域を参照)。図11にて図示したように、マクロ及びピコセルにおいて異なるアップリンク−ダウンリンク割当てを用いることは、TDDシステムにおいてこの問題を緩和するという1つの可能性を提供する。マクロセルでは、1以上のサブフレームがアップリンク送信に割り当てられるが、好ましくは、アップリンク送信には、マクロセルに接続する端末によってそのように用いられることはない。ピコセルでは、これらのサブフレームは、ダウンリンク送信に有利に用いられることができる。これらのサブフレームにはマクロセルから送信がないので、ピコセルに接続されるUE端末は、いずれのマクロセル干渉を受けることがなく、したがって、ピコセルからの送信を受信することができる。この状況でフレキシブル・サブフレームを用いることで、リソースの使用を改善することができる。マクロセルのフレキシブル・サブフレームは、ピコセルにおいて「干渉のない」サブフレームを提供する。これによって、ピコセルにおいて送信を保護する必要がない場合に、マクロセルがフレキシブル・サブフレームを(アップリンク又はダウンリンク送信に対して)用いることができ、それによって、マクロとピコセル間における、より動的なリソースのシェアリングを提供する。
【0044】
図12Aは、本願明細書に記載又は含まれるフレキシブル・サブフレームを利用することができる基地局ノード10の例を示す。基地局10は、エアインタフェースを通じて、1以上のUE端末40と通信しており、サブフレーム生成器34の動作を制御する、フレーム/サブフレーム・スケジューラ30を備える。サブフレーム生成器34は、基地局10からUE端末40までダウンリンクにて送信されるサブフレームをフォーマットして構成するように構成される。フレーム/サブフレーム・スケジューラ30は、また、本願明細書に記載されている実施形態の例の一つ以上に係るフレキシブル・サブフレームを実行するように構成されるフレキシブル・サブフレーム・コーディネータ32を備える。フレキシブル・サブフレーム・コーディネータ32を用いて、フレーム/サブフレーム・スケジューラ30は、フレーム中のどのサブフレームがフレキシブル・サブフレームに指定されることになっているか判定し、基地局及び無線端末の両方がどのサブフレームがフレキシブル・サブフレームであるか分かるように、信号を制御する。
【0045】
基地局は、また、アンテナ・ポート24を介して基地局ノードに接続されるアンテナ22のような典型的な基地局ハードウェアを備える。受信した信号は、当該受信した信号をベースバンドに変換するために、アップリンク信号処理回路26において処理される。シグナル操作子28は、フレーム/サブフレーム・スケジューラ32による処理のために、受信したベースバンド信号から、フレームを得る。フレーム/サブフレーム・スケジューラ30及びサブフレーム生成器34は、例えば、1以上のプロセッサ又は制御部によってコンピュータで実行することができる。コンピュータ12は、RAM16、ROM18、及びアプリケーションプログラム20を備えるメモリ14によって示される。
【0046】
図12BのUEワイヤレスターミナル40は、永続的な指定によって、又は、信号から分かるか又はアップリンク(UL)送信に用いることになっているフレキシブル・サブフレームであるものとして、無線端末40が、アップリンク(UL)サブフレームであると分かっているフレーム用のアップリンク(UL)上でサブフレームを生成させることができるように、サブフレーム生成器70を備える。サブフレーム生成器70からのサブフレームは、アップリンク処理回路に設けられ、ベースバンド情報を、エアインタフェースを通じて基地局10へ送信するための1以上のアンテナ62に対して1以上のポート64を介して転送されるRF信号に変換する。ダウンリンク信号は、1以上のアンテナ62を介して受信されて、1以上のポート64を介して、RF信号をベースバンドに変換するダウンリンク信号処理回路に伝達される。ベースバンド信号は、続いて、予め設定されたダウンリンク・サブフレーム、及び、指定された又はダウンリンク・サブフレームであるとみなされるフレキシブル・サブフレームに従って、ダウンリンク・サブフレーム処理用の信号フレーム操作子68に供給される。
【0047】
信号フレーム操作子68及びサブフレーム生成器70は、例えば、1以上のプロセッサ又は制御部によってコンピュータで実行することができる。コンピュータ42は、RAM46、ROM48、及びアプリケーションプログラム50を備えるメモリ44によって示される。無線端末は、また、キーパッド52、音声入力54、視覚入力56、視覚出力58、及び音声出力60のような典型的なユーザ・インタフェース構成要素を備えてもよい。
【0048】
フレキシブル・サブフレームの利点及び使用場面の例としては、フレキシブルUL/DLアシンメトリ、測定動作、UEからUEへの通信、及び基地局非連続送信(DTX)が挙げられるが、これらに限定されない。フレキシブル・サブフレームは、様々なトラフィック要求に応ずるために、UL/DLアシンメトリを迅速に変更することができる。上記の通りにセル間協調に加えられる場合、この利点は更に改善し得る。測定動作(例えば、スペクトル検知)の場合、UE端末は、フレキシブル・サブフレームにおいていずれのダウンリンク送信も予想し得ないので、フレキシブル・サブフレームを用いて、これらのフレキシブル・サブフレームのためにUEが接続するシステムのチャンネル測定を判定することができない。しかし、UEは、フレキシブル・サブフレームを用いない他のシステムにおけるダウンリンク送信で測定してもよい。フレキシブル・サブフレームは、アップリンク又はダウンリンク・サブフレームとして予め設定されないので、フレキシブル・サブフレームをUEからUEへの通信に用いてもよい。そして、UE端末はフレキシブル・サブフレームにおいていかなるダウンリンク送信を予想することができないので、基地局は、必要に応じて、例えば、基地局エネルギー効率を改善するために、又は、将来的な改善への順互換性を与えるために、そうしたフレキシブル・サブフレームにおける送信を切替えることができる。しかしながら、UE端末がフレキシブル・サブフレームにおける制御信号を受信しようと試みる場合、基地局は、サブフレーム当たりに基づき、サブフレームがDTXされるかどうか判断する。これは、言い換えれば、DTXされたサブフレームの数を動的に適合するということである。空白のサブフレーム又はLTE Rel−8のMBSFNサブフレームなどの空白に近いサブフレームを半静的に割り当てる他の方法では、フレキシブルさが低くなる。
【0049】
様々な実施形態を図と共に詳細に説明したが、請求項は、いずれかの特定の実施形態又は実施例に限定されるものではない。前記のいずれの説明も、特定の要素、ステップ、範囲、又は機能が必須であり、請求項の範囲に含まれなければならないことを意味するものとして解釈されるべきではない。特許を受けた主題の範囲は、請求項のみによって定義される。法的保護の範囲は、許可された請求項及びそれらの同等物において詳述される語によって定められる。当業者に公知である上記の好ましい実施態様の要素に対する全ての構造的及び機能的同等物は、明示的に本願明細書において引用したものとし、本請求項に含まれるものとする。さらに、装置又は方法はここで記載されている技術によって解決しようとするすべての問題に焦点をあてる必要はなく、また、本請求項に含まれる必要はない。「〜手段」又は「〜ステップ」という用語が用いられていない限り、いずれの請求項も米国特許法第112条第6パラグラフを発動するものではない。さらに、この明細書における実施形態、特徴、構成要素、又はステップは、請求項において当該実施形態、特徴、構成要素、又はステップが詳述されているかどうかにかかわらず、いずれも一般公衆に開放されることは意図されていない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B