(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
波形濾材
波形濾材(fluted filter media)は、さまざまな方法で流体フィルタ構造物を提供するために使用することができる。よく知られた1つの形態は、Z型濾材積層体である。本明細書で使用する用語「Z型フィルタ構造物(z-filter construction)」または「Z型濾材積層体(z-filter media)」は、フィルタ構造物を指すことを意味する。この構造物では、波形に加工した、折り曲げた、ひだ付きの、または、別の方法で形成されたフィルタ流路のうちの1つの流路が、濾材を通過する流体流れの長手方向のフィルタの流路を画定するために使用されることを意味する。この流体は、濾材積層体の流入端部と流出端部(または、流れ面)の間で流路に沿って流れる。Z型濾材積層体のいくつかの実施例は、米国特許第5,820,646号、米国特許第5,772,883号、米国特許第5,902,364号、米国特許第5,792,247号、米国特許第5,895,574号、米国特許第6,210,469号、米国特許第6,190,432、米国特許第6,350,296号、米国特許第6,179,890号、米国特許第6,235,195号、意匠第399,944号、意匠第428,128号、意匠第396,098号、意匠第398,046号、意匠第437,401号で提供される。これら15の引用文献は、引用により本明細書に合体する。
【0022】
濾材積層体によって濾過することができる流体は、ガス状物質と液体物質とを含む。濾過することができる例示のガス状物質は、空気を含む。濾過することができる例示の液体物質は、水、油、燃料、および加圧流体を含む。濾材積層体によって濾過されるべき好ましい種類の流体は空気を含む。多くの説明は、一般に、空気を濾過することに向けられる。しかしながら、濾材積層体が他のガス状物質と他の液体物質を濾過するために使用することができることを理解すべきである。
【0023】
ある種類のZ型濾材積層体は、互いに結合された2つの特定の濾材要素を使用して濾材積層体を形成する。2つの要素とは、(1)波形濾材シート(fluted media sheet)と(2)波形濾材シートと対面する対面濾材シート(facingmedia sheet)である。対面濾材シートは通常は波形でない。しかしながら、対面濾材シートは、例えば、2005年8月25日に発行され、引用により本明細書に合体される国際特許出願公開第2005/077487号に記載されたように、流路方向に垂直な波形であり得る。あるいはまた、対面濾材シートは、波形濾材シートであり得る。流路または波形物は、波形濾材シートと一直線上に、あるいはある角度で並んでいてもよい。対面濾材シートは、ひだ付きか、または波形であり得えるが、ひだ付きや波形でない形態で提供することもできる。そのような形態は、平らなシートを含むことができる。対面濾材シートが流路でない場合、波形濾材シートでないと呼ばれる。
【0024】
2つの濾材要素を使用するZ型濾材積層体の種類は、濾材積層体を形成するために互いに結合される。ここで、2つの濾材要素は、波形濾材シートと対面濾材シートは、「濾材シート結合体(single facer media、single faced media)」と呼ぶことができる。あるZ型濾材積層体では、濾材シート結合体(波形濾材シートと対面濾材シート)は、平行な入口と出口の流路を有する濾材積層体を画定するために使用することができる。いくつかの例では、波形濾材シートと平面濾材シートとは、互い固定された後に、渦巻状に巻いてZ型濾材積層体を形成する。このような濾材積層体は、例えば、引用により本明細書に合体される米国特許第6,235,195号と同6,179,890号に記述されている。その他のいくつかの濾材積層体では、平らな濾材に固定された波形濾材の非渦巻状に巻いていない部分を互いに積層して、濾材積層体を形成する。この例は、引用により本明細書に合体される米国特許第5,820,646号の
図11に記述されている。一般に、渦巻状に巻いた濾材積層体を渦巻状濾材積層体と呼び、積層した濾材積層体を積層濾材積層体と呼ぶ。渦巻状に巻いた濾材積層体かまたは積層した濾材積層体を持つフィルタエレメントを供給することができる。
【0025】
通常は、波形濾材シートと対面濾材シートの組み合わせ(例えば、濾材シート結合体)を、対面濾材シートを外に向けた状態で渦巻状に巻いた濾材積層体を形成する。渦巻状に巻く技術は、その内容が引用により本明細書に合体される2004年9月30日に出願された国際特許出願第2004/082795号に記載されている。渦巻状に巻いた構成物は、通常は、対面濾材シートの一部を濾材積層体の外部表面として持つ。所望であれば、濾材シート結合体は、波形濾材シートが濾材積層体の外部表面を形成するように渦巻状に巻くことができる。
【0026】
濾材の構造を示すために本明細書で使用する用語「波形に加工された(corrugated)」は、2本の波形ローラの間で、すなわち、2つのローラの間でニップまたはバイトに濾材を通過して得られる波形構造(flute structure)を指すことを意味する。各波形ロールは、濾材に波形状の効果を起こするのに適した表面特性を有する。用語「波形(corrugation)」は、波形ローラ間のバイトに濾材を通過させない技術で形成された流路は指さない。しかしながら、用語「波形に加工された」は、波形を形成した後に、例えば2004年1月22日に国際公開され本明細書に引用により合体される国際出願公開第2004/007054号に記述されるような折り曲げ技術によって、濾材が更に修正または変形される場合にも適用されることを意味する。
【0027】
波形加工された濾材は、波形濾材の1つの特定の形態である。波形濾材(fluted media)は、濾材を横切って延びるそれぞれの流路(例えば、波形加工、折り曲げ加工またはひだ付けによって形成される)を持つ濾材である。波形濾材は、所望の流路の形状を提供することができるいかなる技術によっても提供することができる。波形加工は、特定の大きさを持つ流路を成形するのに有用な技術であり得る。流路の高さ(ピーク間の高さ)を増加させることが好ましい場合、波形加工技術は実用的でなく、濾材を折り曲げるかまたはひだをつけることが好ましい。一般に、濾材にひだを付けることは、濾材を折り曲げた結果として得られる。一般にひだ付けによって流路を形成することは、微細なひだ付けと呼ぶことができる。ひだを付けるために濾材を折り曲げる例示の技術は、ひだを付けるために刻み目を入れるまたは圧力を用いることを含む。
【0028】
Z型濾材積層体を使用するフィルタエレメントまたはフィルタカートリッジ形状はときどき「真っ直ぐに通過する流れの形状(straight through flow configuration)」またはこの変形と呼ぶ。一般にこの文脈において、点検整備可能なフィルタエレメントは、流れがフィルタカートリッジにほぼ同一のまっすぐに流れる方向で流入および流出する、対向する流入端部(または面)と流出端部(または面)とを一般的に持つことを意味する。用語「真っ直ぐに通過する流れの形状」は、この定義に対して、濾材積層体の最も外側に巻き付けられた対面濾材シートを通過する空気流を無視する。いくつかの例では、各流入端部と各流出端部のそれぞれは、一般に平らまたは平面であり、2つは互いに平行である。しかしながら、これからの変形、例えば、いくつかの応用において平らでない面もまた使用可能である。さらに、対抗する流入面と流出面の特徴は、流入面と流出面が平行であることを必要としない。所望であれば、互いに平行な流入面と流出面を提供することができる。あるいはまた、流入面と流出面は、流入面と流出面とが平行でないような互いにある角度で提供することができる。さらに、平らでない面は非平行な面であり得る。
【0029】
真っ直ぐに通過する流れの構造物は、例えば、米国特許第6,039,778号に示される円筒状のひだ付きフィルタカートリッジとは対照的なものである。ここでは、流れは、一般に、点検整備可能なフィルタカートリッジを通過するときに実質的に旋回する。すなわち、米国特許第6,039,778号のフィルタの前進する流れシステムでは、流れは、円筒状の側面を通って円筒状のフィルタカートリッジの内部に入り、次に、旋回して端面を通って外に流れる。逆に流れるシステムでは、流量は、端面を通して点検可能な筒状のカートリッジに入り、次に、旋回して、筒状のフィルタカートリッジの側部を通って出る。そのような逆に流れるシステムの実施例は、米国特許第5,613,992号に示されている。
【0030】
フィルタエレメントあるいはフィルタカートリッジは、点検可能なフィルタエレメントあるいはフィルタカートリッジと呼ぶことができる。この文脈において、用語「点検可能」は、対応するエアクリーナから定期的に取り外して、取り替えられることを意味する。点検可能なフィルタエレメントかまたはフィルタカートリッジを含むエアクリーナは、フィルタエレメントかまたはフィルタカートリッジの取り外しと交換ができるように構成されている。一般に、エアクリーナは、ハウジングとアクセスカバーを含み、アクセスカバーは、使用したフィルタエレメントの取り外しと、新しいまたは洗浄された(再生された)フィルタエレメントの挿入のために提供される。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「Z型濾材積層体(Z-filter media construction)」とその変形は、濾材積層体を通過する濾過流路無しに、空気が1つの流れ面から別の流れ面まで流れるを禁じるような適切なシールを持つ、波形濾材シートと、対面濾材シートを含む濾材シート結合体か、および/または、渦巻きか、積層か、または他の方法で、流路の三次元的ネットワークに形成された濾材シート結合体か、および/または、濾材シート結合体を含むフィルタ構成物か、および/または、(折り曲げ、またはひだ付けにより)流路の三次元的ネットワークに形成された波形濾材のうちのいずれか、または、全てを指すことを意味する。濾材積層体の一方の側(側面)に流入する濾過されていない空気が、濾材積層体の他方の側(側面)から濾材積層体を出る濾過された空気流の一部として流出することを防ぐために、適切な流路の封止構成物を提供することは好ましい。多くの構造物において、Z型濾材積層体は、入口および出口の流路のネットワークを形成するように構成されており、そこでは、入口流路は、入口面に隣接する領域で開き、出口面に隣接する領域で閉じており、出口流路は、入口面に隣接して閉じており、出口面に隣接して開いている。しかしながら、代替のZ型濾材積層体は可能である。例えば、2006年5月4日に公開されたバルドウィンフィルタ会社の米国特許第2006/0091084A1号が参照される。その構成物もまた、濾過されていない空気の流れが、濾材積層体を通過するのを妨げるためのシール構成物と、対向する流れ面の間に延びている流路と、を有している。本発明のZ型濾材積層体では、接着剤または密封剤は、流路を閉じて、濾過されていない空気が、濾材積層体の1つの面から濾材積層体の他の面に流れるのを防ぐための適切なシール構成物を提供するために使用することができる。プラグ(栓)、濾材の折り曲げまたは濾材の押しつぶしは、濾過されていない空気の流れが濾材の一方の側(面)から濾材の他方の側(面)に流れるのを防ぐための流路の封止物を提供するための技術として使用することができる。
【0032】
代替のZ型フィルタ構成物は、波形濾材シートを利用することで提供できる。例えば、流入面と流出面で封止物を形成するために波形濾材シートを折り曲げることができる。この種類の構成物の実施例は、例えば、AAF−マックウェイ社への米国特許出願第2006/0151383号およびフリートガード社の国際特許出願公開第2006/13271号に見ることができる。それらは、流路の方向に垂直に折り目を付けるかまたは曲げて、流路の端部をシールすることを記載している。
【0033】
図1を参照すると、Z型濾材積層体として使用可能な例示の濾材1が示される。濾材1は先行技術の濾材を代表しているが、濾材1を説明するために用いられる用語の多くは、また本発明の濾材の一部もまた説明することができる。濾材1はひだ付(実施例では波形)シート3と対面濾材シート4から形成される。一般に、ひだ付波形シート3は、一般に、通常の、カーブした、波状パターンの流路または波形7を持つものとして本明細書で特徴付けられる一般的な種類のものである。この文脈で用語「波状パターン(wave pattern)」は、谷(トラフ)7bと山(ヒル)7aとが交互にくる流路あるいは波形パターンを指すことを意味する。この文脈で用語「規則的(regular)」は、谷(トラフ)と山(ヒル)(7b,7a)の組がほぼ同じ繰り返しの波形(または、流路)形状とサイズで交互に形成されることを指すことを意味する。(また、一般に規則的な構造において、各谷(トラフ)7bは、実質的に各山(ヒル)7aの逆形状である。)従って、用語「規則的」は、波形(または流路)パターンが、流路の長さの少なくとも70%に沿って実質的に変わらない波形形状と大きさで、繰り返す組(隣接した谷(トラフ)と山(ヒル))をもつ谷(トラフ)と山(ヒル)を持つことを意味する。この文脈で用語「実質的(substantial)」は、縦溝シート3を形成する濾材シートが可撓性であることによるわずかな変動とは異なり、波形加工シートあるいは波形濾材シートを形成するために使用されるプロセスまたは型での違いから得られる変更を言う。繰り返しパターンの特徴に関して、フィルタ構造物に、等しい数の谷(トラフ)と山(ヒル)とが必ずしも存在することを意味するものではない。例えば、濾材1は、谷(トラフ)と山(ヒル)とを含む1組の間で、あるいは、谷(トラフ)と山(ヒル)を含む1組に部分的にそって終端とすることができる。(例えば、
図1で断片的に図示される濾材1は、8つの完全な山(ヒル)7aと7つの完全な谷(トラフ)7bとを備える。)また、対向する流路の端部(谷(トラフ)と山(ヒル)の端部)は、互いに異なり得る。このような端部での変動は、特に述べない限り、これらの定義において無視される。すなわち、流路の端部における変動が、上記の定義によって保護されることを意味するものである。
【0034】
波形濾材の文脈において、特に、例示の濾材1において、山(ヒル)7aと谷(トラフ)7bとはピークとして特徴付けることができる。すなわち、山(ヒル)7aの最高点はピークとして特徴付けられるし、谷(トラフ)7bの最低点はピークとして特徴付けられる。波形濾材シート(fluted sheet)3と対面濾材シート(facing sheet)4の組合せを濾材シート結合体(single facer media)5という。谷(トラフ)7bに形成されるピークは、濾材シート結合体5の対面濾材シート3に面しているので内部ピークと呼ぶ。山(ヒル)7aに形成されるピークは、濾材シート結合体5を形成する対面濾材シート3から離れる方向の外部ピークとして特徴付けられる。濾材シート結合体5に対して、波形濾材シート3は、内部ピーク7bの繰り返しと、対面濾材シート4から離れる方向の外部ピーク7aの繰り返しを含む。
【0035】
用語「規則的(regular)」が流路を特徴付けるために使用される場合、「テーパ状」と考えることができる濾材を特徴付けることを意図しない。一般に、テーパ状は流路の長さに沿って流路の大きさの減少あるいは増加をいう。一般に、テーパ状濾材は、濾材の第1端部から濾材の第2端部に大きさが縮小する第1の流路のセット、および濾材の第1端部から濾材の第2端部に大きさが増加する第2の流路のセットをいう。一般に、テーパ状のパターンは規則的なパターンであると考えられていない。しかしながら、Z型濾材は、流路の長さに沿って規則的と考えられる領域と、規則的でないと考えられる領域を含むことができることを理解すべきである。例えば、流路の第1セットは、流路の長さの、例えば、1/4〜3/4の距離に沿って規則的と考えられ、そして次に、流路の長さの残りの量は、テーパ状であるため規則的でないと考えられる。別の可能な流路の構成物は、例えば、流路が第1面から予め選択された領域までテーパ状となっており、次に、流路が第2の予め決められた領域まで規則的であり、次に、流路が第2面までテーパ状となっている、テーパ状−規則的−テーパ状の構成物を持つことができる。別の代替の構成物は、規則的−テーパ状−規則的または、規則的−テーパ状構成物として提供することができる。所望に応じて様々な代替構成物を構成することができる。
【0036】
Z型濾材積層体の文脈において、一般に、2つの種類の「非対称」がある。1つの種類の非対称は、面積の非対称と言い、別の種類の非対称は、体積の非対称と言う。一般に、面積の非対称は、流路の断面積の非対称を示し、テーパ状の流路によって示すことができる。例えば、面積の非対称は、流路の長さに沿ってある位置の流路の面積が、流路の長さに沿った別の位置の流路の面積と異なる場合に存在する。流路の面積は、波形濾材シートと対面濾材シートとの間の面積をいう。テーパ状の流路は、面積の非対称であり、濾材積層体の第1位置(例えば、端部)から第2位置(例えば、端部)まで大きさの減少を示すか、または、濾材積層体の第1位置(例えば、端部)から第2位置(例えば、端部)まで大きさの増加を示す。この非対称(面積の非対称)は、テーパから生じる一種の非対称であり、その結果、この種類の非対称を有する濾材は、規則的でないと言うことができる。別の種類の非対称は、体積の非対称と言い、さらに詳細に説明する。体積の非対称は、濾材積層体中の汚れた側部の体積と清浄な側部の体積との差をいう。体積の非対称を示す濾材は、波状パターンが規則的であるなら規則的として特徴付けることができ、波状パターンが規則的でないなら規則的でないとして特徴付けられる。
【0037】
流路の少なくとも一部が濾過されていない空気の通路に対して閉じているZ型濾材積層体は、接着剤または密封材によるプラグ(栓)を提供する以外の技術によって提供することができる。例えば、流路の端部は、封止物(closure)を提供するために折り曲げるかまたは押しつぶすことができる。流路を閉じるための規則的でかつ一貫した折り目パターンを提供する1つの技術は、「ダーツ付け(darting)」と呼ぶことができる。ダーツ付けの流路またはダーツ付けは、一般に、流路の封止物を言い、そこでは、封止物は、押しつぶしによって生じるというよりもむしろ、封止物を提供するために、対面濾材シートに向かって流路を折りたたむために規則的な折り目パターンを生成するように流路を折り曲げることによって、生じる。ダーツ付けは、一般に、流路の封止物が一般に一貫して制御されているような、流路の一部を折りたたんで流路の端部を閉じるシステマティックなアプローチを含む。例えば、米国特許出願第2006/0163150号A1は、流路の端部でダーツ付けの構成物を持つ流路を開示する。ダーツ付けの構成物は、利点を提供することができる。例えば、シールするのに必要な密封材の量を低減する、シール効果に対する安全性を増加する、流路のダーツ付け端部上で好ましい流れパターンを提供することができる。Z型濾材積層体は、ダーツ付け端部を含む流路を含むことができ、米国特許出願第2006/0163150号A1の全ての開示は、引用により本明細書に合体される。流路の端部のダーツの存在は、濾材を非規則的にさせないことが理解される。
【0038】
「カーブした(curved)」波状パターンを特徴付ける文脈において、用語「カーブした」は、濾材に提供される、折りたたまれた、あるいは、折り目を付けられた形状の結果ではなく、むしろ各山(ヒル)7aの頂点と各谷(トラフ)7bの底部が半曲カーブに沿って形成されるパターンを言うことを意味する。代替手段は可能であるが、そのようなZ型濾材積層体の典型的な半径は、少なくとも0.25mmであり、通常は、3mmを超えない。上の定義において波形加工されていない濾材もまた、使用可能である。例えば、「カーブした」と考えられないような十分鋭い半径を持つピークを提供することは好ましい。一般に、半径は、0.25mm未満、または0.20mm未満であるならば、隆起部(リッジ)または底部は、曲げられた、折りたたまれた、または折り目を付けられたとして特徴付けられる。マスキングを抑えるために、ナイフエッジを持つピークを提供することは好ましい。ピークでナイフエッジを提供する能力は、濾材を形成するために使用される装置、濾材自身、および濾材がさらされる条件によって制限することができる。例えば、濾材を裂くまたは引き裂かないようにすることは好ましい。従って、ピークを形成するためにナイフエッジを使用することは、ナイフエッジが濾材中に切り傷あるいは裂け目を引き起こす場合には、好ましくない。また、濾材は、裂くまたは引き裂かずに、十分なカーブでないピークを提供するには、軽過ぎるまたは重過ぎる場合がある。また、処理中の空気の湿度は、ピークを形成するとき、急な半径を形成するのを補助することができる。
【0039】
図1に示すひだ付き波形シート3の特定の規則的にカーブした波形パターンの更なる特徴は、曲率が反転する遷移領域が、各谷(トラフ)7bと隣接する各山(ヒル)7aの間のほぼ中点30で、流路7の長さの大部分に沿って、配置されることである。たとえば、
図1の裏側または裏面3aを見ると、谷(トラフ)7bは凹形領域にあり、山(ヒル)7aは凸形領域にある。もちろん、前側または前面3bに向かってみると、裏側3aの谷(トラフ)は山(ヒル)を形成し、裏側3aの山(ヒル)7aは谷(トラフ)を形成する。いくつかの例では、領域30は、点の代わりに、部分30の端部で曲率が反転する真っ直ぐなセグメント30であってもよい。領域30が真っ直ぐなセグメントとして提供される場合、例えば、
図1で示される波形パターンは、山(ヒル)7aでのカーブと、領域30での直線セグメントと、谷(トラフ)7bでのカーブの繰り返しパターンにより、「弓形−真っ直ぐ−弓形」として特徴付けることができる。
【0040】
図1に示される、特別に規則的なカーブした波形パターンのひだ付き波形シート3の特徴は、個々の波形が概ね真っ直ぐであることである。この文脈で、「真っ直ぐ」とは、端部8と端部9間の長さの少なくとも50%、好ましくは70%(通常は少なくとも80%)にわたって、山(ヒル)7aと谷(トラフ)7bの断面形状が実質的に変化しないことを意味する。
図1で示される波形パターンに関する用語「真っ直ぐ」は、引用により本明細書に合体される2003年6月12日に公開された国際特許出願公開第97/40918号および同第03/47722号の
図1に記載された波形加工された濾材のテーパ状の流路のパターンと部分的に異なっている。例えば、国際特許出願公開第97/40918号の
図1のテーパ状の流路は、波形加工された波パターンではあるが、本明細書で使用されている用語のような「規則的な」パターンあるいは真っ直ぐな流路のパターンではない。
【0041】
本明細書の
図1を参照すると、上記参照したように、濾材1は対向する第1端部8と第2端部9とを持つ。図示された例示に対して、濾材1が渦巻きにより濾材積層体に形成されるとき、通常、第2端部9が濾材積層体の入口端部を形成し、第1端部8が濾材積層体の出口端部を形成するが、ある応用では逆の配置もまた可能である。
【0042】
図示された例において、隣接する端部8には、密封材が、この例では密封材のビード10の形態で波形濾材シート3と対面濾材シート4とを一緒にシールする。密封材のビード10は、波形濾材シート3と対面濾材シート4との間のビードであり、濾材シート結合体1を形成するので、時には「濾材シート結合体のビード」と呼ばれる。密封材のビード10は、端部8に隣接する各流路11の空気通路を閉じてシールする。
【0043】
図示された例において、密封材は、この例では密封材のビード14の形態で、隣接する端部9に供給される。密封材のビード14は、通常は、端部9に隣接してそこを通る濾過されていない流体の通路に対して、流路15を閉じる。密封材のビード14は、通常は、波形加工されたシート3を内部に向けた状態で、濾材1がそれ自身の周囲に渦巻状に巻かれている場合に適用される。したがって、密封材のビード14は、対面濾材シート4の裏面17と、ひだ付き波形シート3の側面18との間でシールを形成する。細長片1を渦巻きにして渦巻状濾材積層体にするときに、密封材のビード14を通常適用するので、密封材のビード14は、ときどき「渦巻ビード」という。渦巻きの代わりに、濾材2が細長片に切断され積層される場合には、密封材のビード14は、「積層ビード」と呼ばれる。
【0044】
図1を参照すると、例えば、渦巻きまたは積層によって濾材積層体中に組み込まれると、濾材1は以下のように作動することができる。最初に、空気は矢印12の方向で端部9に隣接する開いた流路11に入る。端部8は密封材のビード10によって閉じているので、空気は、矢印13で示される方向に濾材を通過する。次に、空気は、濾材積層体の端部8に隣接した流路15の開いた端部15aを通る通路によって濾材積層体から外に出る。もちろん、上記と逆方向の空気流れとすることもできる。
【0045】
より一般的な用語において、Z型濾材積層体は、対面濾材シートに固定され、対向する第1と第2の流れ面の間で延びている濾材積層体の複数の流路中に構成された波空濾材を有するものとして特徴付けることができる。密封材またはシール構成物は、第1の上流端部で空気が入ってくる流路が、濾材を通過する濾過通路を用いずに下流の流れ面または端部から濾材積層体を出ないことを確実にするように、濾材積層体内に提供されている。言い換えると、Z型濾材積層体は、流入面と流出面との間で、通常は密封材構成物または他の構成物によってそこを通る濾過されていない空気の通路が閉じられる。この追加の代替の特徴は、空気を濾過するために空気が濾材積層体の第1面と第2面のうちの一方の面の中に入り、第1面と第2面のうちの他方の面から外に出るように、流路の第1部分は、濾過されていない空気が流路の第1部分に流れ込むのを防ぐように閉じられるかまたはシールされ、かつ、流路の第2部分は、濾過されていない空気が流路の第2部分から外に流れ出るのを防ぐように閉じられるかまたはシールされることである。
【0046】
本明細書の
図1に示された特定の構造に対し、平行な波形7a、7bは、端部8から端部9まで、通常は、濾材を真っ直ぐに完全に横切る。真っ直ぐな流路または波形構成物は、選択された位置、特に端部で、変形または折り曲げることができる。この流路の端部での封止の変形は、通常は、上記の「規則的に」「カーブした」「波パターン」の定義から外れる。
【0047】
一般に、濾材は、相対的に柔軟な材料、通常は、(セルロースファイバ、合成ファイバまたは両方の)不織布ファイバ質材料であり、しばしば樹脂を含み、時には追加の材料で処理される。したがって、濾材は、容認できないような損傷を受けずに、例えば、波形加工されたパターンなどの種々の流路に加工または構成できる。また更に、濾材積層体は、容認できないような濾材の損傷を受けずに、使用のために渦巻状に巻く、あるいは他の使用形状に容易にすることができる。もちろん、濾材は、使用中に、所望の流路(例えば、波形加工された)構造を維持するような性質を持ち得る。
【0048】
波形加工または流路の形成工程では、非弾性変形が濾材に生じる。これによって、濾材が元の形状に戻ることを防ぐ。しかしながら、この工程で張力が解放されると、流路あるいは波形形状は、スプリングバックを起こし、伸びと曲がり部分の少なくとも一部が回復しやすい。対面濾材シートは、時には、縦溝シートにおけるスプリングバックを禁じるために、波形濾材シート(または、波状シート)に鋲で留められる。
【0049】
また、通常は、濾材は、樹脂を含む。波形状形成工程で、濾材は樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱することができる。樹脂が次に冷却されると、樹脂は流路の形状を維持するように作用する。
【0050】
波形濾材シート3、対面濾材シート4またはその両方の濾材は、例えば、参照として本明細書に合体される米国特許第6,955,755号、同第6,673,136号、同第7,270,693に記載されているように、その一側面または両側面上に、微細なファイバ材料を提供できる。一般に、ファインファイバは重合体のファインファイバ(マイクロファイバとナノファイバ)と呼ばれ、濾過性能を向上するための濾材を提供できる。濾材上にファインファイバが存在する結果として、所望の濾過性を獲得しかつ重量や厚みを低減した濾材を提供することは可能でありまたは好ましい。従って、濾材上にファインファイバが存在すると、濾過特性を高める、より軽い濾材を提供できる、またはその両方を提供できる。ファインファイバとして特徴付けられるファイバは、約0.001μm〜約10μm、約0.005μm〜約5μm、または約0.01μm〜約0.5μmの直径を持つことができる。ナノファイバは、200nmまたは0.2μm未満の直径を有するファイバをいう。マイクロファイバは、0.2μmより大きいが10μmより大きくない直径を有するファイバをいう。ファインファイバを形成するために使用できる例示の物質は、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニル・アルコール重合体、ナイロン6、ナイロン4,6、ナイロン6,6、ナイロン6,10など様々なナイロンを含む共重合体、それらの共重合体、ポリ塩化ビニル、PVDC(ポリ二塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PVDF、ポリアミド、およびそれらの混合物を含む。
【0051】
更に、
図1を参照すると、波形状シート3と対面濾材シート4との間に配置されて、2つを一緒に固定しているタックビード20が示されている。タックビード20は、例えば、接着剤の不連続な線であり得る。また、タックビード20は、濾材シートを一緒に溶接した点でもあり得る。
【0052】
上記から、図示された例示の波形シート3は、通常は、2つが接する谷(トラフ)または山(ヒル)に沿って対面濾材シートに連続的に固定されていない。従って、空気は、濾材を通過する通路無しに、隣接する入口の複数の流路の間と、交互の隣接する出口の複数の流路との間を流れることができる。しかしながら、入口面で流路中に入った空気は、少なくとも1つの濾過する濾材シートを通過せずに出口流路から出ることができない。
【0053】
次に、
図2に着目すると、ひだ付(この例では、規則的な、曲げられた、波形パターン)シート43と、波形加工されていない平らな対面濾材シート44とを使用するZ型濾材積層体40が示される。点50と点51の間の距離D1は、与えられた流路53の下にある領域52中の対面する濾材44の範囲を画定する。点50と点51は、波形濾材シート43の内部ピーク46,48の中央点として提供される。さらに、点45は波形濾材シート43の外部ピーク49の中央点として特徴付けられる。距離D1は、濾材結合体40の周期的長さまたはインターバルを画定する。距離D2は、同じ距離D1上で、流路53に対する弓形の濾材長さを画定し、流路53の形状によるD1より当然長い。先行技術によるひだ付きフィルタの応用において使用される通常の規則的な形状の濾材では、D2の長さのD1に対する比は、通常は、1.2〜2.0の範囲内である。エアーフィルタの共通の例示構成物では、D2は、D1の約1.25〜1.35倍の構成物を有する。そのような濾材は、例えば、通常のカーブした波形パターンを持つドナルドソン社のPowercore(登録商標)Z濾材積層体において商業的に使用されている。ここでD2/D1比は、時として濾材に対する流路/平坦部比(flute/flat ratio)、または濾材しぼり(media draw)として特徴付けられる。
【0054】
流路の高さJは、平らな対面濾材シート44から波形濾材シート43の最高点までの距離である。すなわち、流路の高さJは波形濾材シート43の繰り返しのピーク57とピーク58の間の外側の高度差である。流路の高さJは、縦溝シートの厚さを考慮に入れる。ピーク57(対面濾材シート44に面しているピーク)を内部ピークと呼び、ピーク58(対面濾材シート44から離れる方向のピーク)を外部ピークと呼ぶ。距離D1、D2、およびJは、
図2に示された特定の濾材結合体に適用されるが、これらの距離は波形濾材の他の構成物に適用することができ、そこでは、D1は流路の周期長さまたは所定の流路の下方の平らな濾材の距離を指し、D2は、下方ピークから下方ピークまでの波形濾材の長さを指し、Jは流路の高さをいう。
【0055】
別の計測はたわみ長さ(cord length CL)と呼ばれる。たわみ長さはピーク57の中点50からピーク58の中点45までの直線距離をいう。濾材の厚さが距離値に影響を与えるので、濾材の厚さと特別な距離測定の始点または終点の決定は、距離値に影響する。例えば、たわみ長さ(CL)は、距離が内部ピークの底部から外部ピークの底部まで測定されるかどうかに依存して、または、距離が内部ピークの底部から外部ピークの頂部まで測定されるかどうかに依存して、異なる値を持ち得る。距離におけるこの差は、濾材厚さが距離測定に影響を与えるかの例である。濾材の厚さの影響を最小にするために、たわみ長さに対する計測は、濾材中の中点で決定される。たわみ長さCLと濾材長さD2の間の関係は、波形濾材シートのたわみ率として特徴付けられる。たわみ率(media cord percentage)は、
たわみ率=((1/2)D2−CL)×100/CL
の式によって決定できる。
【0056】
段ボール業界では、様々な規格の流路が定められている。例えば、規格Eの流路、規格Xの流路、規格Bの流路、規格Cの流路、および規格Aの流路などである。
図3は、以下の表Aと組み合わせて、これらの流路の定義を提供する。
【0057】
本特許の譲受人であるドナルドソン株式会社(DCI)社は、様々なZフィルタ構成物内における規格Aと規格Bの流路の変形を使用してきた。ドナルドソン株式会社の規格Bの流路は、約3.6%のたわみ率を有する。ドナルドソン株式会社の規格Aの流路は、約6.3%のたわみ率を有する。さまざまな流路は、また、表Aおよび
図3で画定される。
図2は、波形濾材シート43として規格Bの流路を使用するZ型濾材積層体40を示している。
【0059】
一般に、段ボール箱業界からの規格の流路の形状は、波形状濾材の波形状または概略波形状を画定するために使用できる。流路の構成物または濾過性能を高める構造物を提供することによって、濾材の性能を改善することがきる。段ボール業界では、流路の大きさまたは波形の幾何形状は、荷重を処理するのに適した構造を提供するように選択される。段ボール業界における流路の幾何学的形状は規格Aまたは規格Bの流路の形状を発展させた。そのような流路の構成物は荷重を取り扱うのに好ましいが、濾過性能は、流路の幾何学形状を変更することによって高めることができる。濾過性能を改良する技術は、一般に、濾過性能を改良し、かつ選択された濾過条件下で濾過性能を改良する幾何学形状と外形を選択することを含む。濾過性能を改良するために変更できる例示の流路の幾何学形状と外形は、流路のマスキング、流路の形状、流路の幅対高さの比、流路の非対称性を含む。流路の幾何学形状と外形の広い選択の点から、流路のエレメントは、様々な流路の幾何学形状と外形の点から濾過性能を改良するために、所望のフィルタエレメントの幾何学形状と外形を持って構成することができる。
【0060】
マスキング
Z型濾材積層体の文脈において、マスキングは、波形濾材シートと対面濾材シートとの間の近接領域を指し、この領域では、実質的に圧力差が不足し、濾材を使用するとき、有用な濾材の不足をもたらす。一般に、マスキングされた濾材は、濾材の濾過性能を実質的に高めるためには有用ではない。従って、マスキングを低減することにより、濾過に利用できる濾材量を増加し、濾材の容量を増加し、濾材のスループットを増加し、濾材の圧力損失を低減することは好ましいし、これらのいくつかまたは全部を行うことは、好ましい。
【0061】
図2に示されるようなピークで広い円弧を有するパターンに配置された波形濾材シートの場合に、波形濾材シートと対面濾材シートとの接触領域の最も近くに一般に濾過に有用でない濾材のかなり大きな領域が存在する。波形濾材シートと対面濾材シートとの間の接触点またはピークの円弧を(例えば、より鋭角の接点を提供して)減少させることによって、マスキングを抑えることができる。マスキングは、一般に、濾材が(例えば、空気濾過の間に)加圧下にあるとき濾材ゆがみを考慮する。かなり大きい半径は、ひだ付き濾材の多くが対面濾材シートに向かう方向へのゆがみをもたらす。鋭角ピークまたは接点(例えば、小さい半径)を提供することによって、マスキングを抑えることができる。
【0062】
波形濾材シートと対面濾材シートとの間で接触する円弧を減少する試みがなされた。例えば、Winter他の米国特許第6,953,124号が参照される。円弧を減少させる例は、
図4aに示され、そこでは、波形濾材シート70は、比較的鋭いピークで対面濾材シート72および対面濾材シート73と接触する、すなわち、波形濾材シート70中の接点74と接点75と接触する。
図1に示されているカーブした波形パターンなどのカーブした波形パターンは、一般に、少なくとも0.25mmのピーク半径、通常は3mmを超えないピーク半径を有する波形濾材シートを提供する。比較的鋭いピークまたは接点は、0.25mm未満の半径を有するピークとして特徴付けられる。好ましくは、約0.20mm未満の半径を有する比較的鋭いピークまたは接点を提供できる。さらに、約0.15mm未満、および好ましくは約0.10mm未満の半径を有するピークを提供することによって、マスキングを抑えられる。半径を持たないまたは約0mmの半径を本質的に有するピークを提供できる。比較的鋭いピークまたは接点を示す波形濾材を提供する例示の技術は、比較的急なエッジを提供するために充分な方法で波形濾材を圧印加工する、曲げる、折り曲げる、または折り目を付けることを含む。鋭いエッジを提供する能力は、濾材自身の組成物、圧印加工する、曲げる、折り曲げる、または折り目を付けるために使用される処理装置を含む多くの因子に依存することが理解される。一般に、比較的急な接点を提供する能力は、濾材の重さと、濾材の引き裂きまたは切断に対する抵抗を有するファイバを含むかどうかに依存する。一般に、曲げる、折り曲げる、または折り目を付ける間に濾材積層体を切断しないことが好ましい。
【0063】
マスキングを抑えるためにピーク(内部ピークまたは外部ピーク)の半径を減少させることが好ましいが、ピークのすべてがマスキングを減少させるために減少した半径を有する必要はない。マスキングを低減することと濾過性能を高めることは、比較的鋭いピークまたは接点を持ついくつかのピーク(例えば、少なくとも20%)を提供することによって実現することができる。また、濾材の設計によって、低減した半径を持つ外部ピークを提供するか、または低減した半径を持つ内部ピークを提供するか、または低減した半径を持つ外部ピークと内部ピークの両方を提供することにより、十分にマスキングを減少させることができる。
【0064】
濾材の表面積の増加
濾過性能は、濾過に利用可能な濾材量を増加させることによって高めることができる。マスキングを低減することは、濾過に利用可能な濾材の表面積を増加させる技術であると考えられる。
【0065】
ここで
図4aを参照すると、波形濾材シート70は、正三角形に類似する断面積を有する流路を提供すると考えられる。濾材が可撓性であるので、濾過中に圧力が濾材にかかると、波形濾材シート70がゆがむことが予想される。さらに、
図2の波形濾材シート43は、三角形形状に類似する流路を有すると考えられる。一般に、流路が正三角形に類似する波形濾材では、他の流路設計と比べて濾過に利用可能な濾材量は最も少なく、そこでは、周期長さまたはインターバルD1は互いに増加または減少する、あるいは流路の高さJは増加または低下する。
【0066】
ここで、
図4bと4cを参照すると、
図4bは波形濾材シート80が対面濾材シート82と対面濾材シート83との間で伸びている濾材を示す。
図4cは、波形濾材シート90が対面濾材シート92と対面93との間で伸びている濾材を示す。波形濾材シート80は、
図4aに示される波形濾材シート70より長い流路の周期D1を有する。波形濾材シート80は、
図4aで示される濾材構成物と比べて流路の高さJに対して比較的長い周期D1を持って提供される。ここで、
図4cを参照すると、波形濾材シート90は、
図4aの波形濾材シート70より短い流路周期を有する。波形濾材シート90は、
図4aに示される濾材構成物と比べて周期D1に対して比較的大きい流路の高さJを有する。
【0067】
波形濾材の構成物は、流路の幅対高さの比(flute width height ratio)で特徴付けられる。流路の幅対高さの比は、流路の周期長さ(幅)D1の流路の高さJに対する比である。流路の幅対高さの比は、
流路の幅対高さの比=D1/J
の式で表わされる。流路の周期長さ(幅)D1や流路の高さJなどの測定距離は、平均が濾材のために各流路の端部から20%以内で流路の長さに沿って濾材の平均値として特徴付けられる。従って、距離は、流路の端部から離れて測定できる。流路の端部は、通常は、密封材または封止を有する。流路の封止で計算された流路の幅対高さの比は、濾過が行われているところの流路の幅対高さの比を必ずしも表すものではない。従って、流路の幅対高さの比の測定は、流路が端部近くで閉じている場合、流路の封止の影響を除去するために、流路の端部付近の流路の長さの20%を除いた流路の全長さの平均値として提供される。「規則的な」濾材では、流路の周期長さ(幅)D1と流路の高さJが、流路の長さに沿って比較的一定になると予想される。比較的一定であることによって、流路の幅対高さの比は、流路の封止設計が、幅対高さの比に影響を与える場合、各端部での20%の長さを除いた流路の全長さの約10%以内で変動することができることを意味する。さらに、テーパ状の流路を有する濾材などの規則的でない濾材の場合に、流路の幅対高さの比は、流路の全長さにわたって変動するかほぼ同じままで残り得る。理論的な正三角形状から離れた流路の形状を調整することによって、濾過に利用可能な与えられた体積中の濾材量を増加することができる。従って、少なくとも約2.2、少なくとも約2.5、少なくとも2.7、または少なくとも3.0の流路の幅対高さの比を有する流路は、濾過に利用可能な濾材の表面積を増加させることができる。さらに、約0.45未満、約0.40未満、約0.37未満、または約0.33未満の流路の幅対高さの比を有する流路の設計を提供することにより、濾過に利用可能な濾材面積の増加を提供できる。一般に、正三角形の形状を持っている理論上の流路は、約1.6の流路の幅対高さの比を示す。
【0068】
濾過に利用可能な濾材の量を増加させるための別の技術は、濾材積層体の流路の密度を増加させることを含む。流路の密度は、濾材積層体中の濾材の断面積当たりの流路の数に関する。流路の密度は、流路の高さJ、流路の周期D1、および濾材の厚さTを含む、多くの因子に依存する。流路の密度は、濾材積層体の流路の密度としてまたは濾材シート結合体の流路の密度として特徴付けることができる。フィルタエレメントに対する濾材積層体の流路の密度(ρ)を計算する式は、
ρ=チャンネルの数(開いたおよび閉じたチャンネル)/(2×Z型濾材積層体の断面積)
である。フィルタエレメントの流路の密度は、フィルタエレメントの断面で開いているチャンネルと閉じているチャンネルを含むチャンネルの数を計数し、かつチャンネルの数を決定した位置でのフィルタエレメントの断面積の2倍の数で計数を割ることによって計算することができる。一般に、流路の密度は、流入面から流出面まで(または、逆も同様に)、フィルタエレメントの長さに沿って比較的一定であることが予想される。Z型濾材積層体の断面は、(渦巻または積層)濾材積層体の断面積を言い、フィルタエレメントの断面積を言うわけではないことを理解すべきである。フィルタエレメントは、ハウジングに係合するシース(さや)あるいはシールを持っても良い。ハウジングは、濾材の断面積より大きい断面積を持つフィルタエレメントを提供する。また、濾材の断面積は、有効面積と言う。すなわち、濾材をコアまたはマンドレルの周囲に巻く場合、コアまたはマンドレルの断面積は、Z型濾材積層体の断面積の一部でない。また、チャンネルの数は、有効面積のチャンネルの数を言う。
【0069】
濾材シート結合体の流路の密度(ρ)の計算のための代替式は、
ρ=1/((J+T)×D1)
である。濾材シート結合体あたりの流路の密度の方程式では、Jは流路の高さ、D1は流路の周期長さ、Tは波形濾材シートの厚さである。この代替式は、濾材シート結合体の流路の密度を計算するための方程式と呼ぶことができる。濾材シート結合体流路の密度は、濾材シート結合体の構成に基づいて決定される。対照的に、濾材積層体の流路の密度は、組み立てられた濾材積層体に基づいて決定される。
【0070】
理論的には、濾材積層体の流路の密度と濾材シート結合体の流路の密度は、同様の結果を提供すべきである。しかしながら、濾材積層体の流路の密度と濾材シート結合体流路の密度が異なる結果を提供するような方法で濾材積層体を構成することは、可能である。
【0071】
図2と
図3に示され、表1で特徴付けられた規格Bの流路は、約5.27流路/cm
2(34流路/インチ
2)の流路の密度(濾材積層体の流路の密度と濾材シート結合体の流路密度)を持つ渦巻状濾材を提供する。規格Bの流路から形成された濾材積層体は、約5.27流路/cm
2(34流路/インチ
2)の平均流路の密度を持つものとして特徴付けることができる。別の方法で述べられない場合、流路の密度(濾材積層体の流路の密度または濾材シート結合体の流路の密度として表現されるか否かに関係なく)は、濾材積層体の平均密度であると考えることができる。したがって、流路の密度は、時には、流路の密度として、時には、平均流路の密度として呼ばれる。一般に、平均流路の密度を増加させることは、規格Bの濾材積層体に対する流路の密度よりも大きな流路の密度を持つ濾材積層体を提供することを言う。例えば、増加した流路の密度は、5.43流路/cm
2(35.0流路/インチ
2)より大きい流路の密度を持つ濾材積層体に対して言うことができる。約5.58流路/cm
2(36流路/インチ
2)より大きな流路の密度、約5.89流路/cm
2(38流路/インチ
2)より大きな流路の密度、約6.209流路/cm
2(40流路/インチ
2)より大きな流路の密度、6.98流路/cm
2(45流路/インチ
2)より大きな流路の密度、または約7.75流路/cm
2(50流路/インチ
2)より大きな流路の密度を持つ濾材積層体を提供することができる。圧力損失あるいはそこを通って流れる抵抗の低減を提供するために、(規格Bの濾材と比較して)減少した流路の密度を持つ濾材積層体を提供することができる。例えば、5.27流路/cm
2(34流路/インチ
2)未満の流路の密度、約4.65流路/cm
2(30流路/インチ
2)未満の流路の密度、または約3.88流路/cm
2(25流路/インチ
2)未満の流路の密度を持つ濾材積層体を提供することができる。一般に、増加した流路の密度を持つ濾材を提供することは、濾材の体積内の濾材の表面積を増加させる傾向があり、したがって、濾材の充填容量を高める傾向を持つ。従って、濾材の流路の密度を増加させると、濾材の充填容量を高めるという効果を持つことができる。しかしながら、濾材の流路の密度を増加させることは、他の因子が一定であると仮定すると、圧力損失を増加させるという影響をもたらし得る。また、濾材の流路の密度を減少させることにより、初期の圧力損失を減少するという効果を持つことができる。
【0072】
濾材の流路の密度を増加させることは、流路の高さ(J)または流路の周期長さ(D1)または両方を下げるという効果がある。その結果として、流路の大きさ(流路の大きさは、流路の断面積を言う)は、流路の密度の増加とともに減少する傾向がある。その結果として、流路の大きさを小さくすると、濾材を通る圧力損失が増加する影響を持つ。一般に、濾材を通る圧力損失について言うとき、濾材の第2面で測定された圧力に対して濾材の第1面で決定される圧力差を言う。ここで、第1面と第2面は、一般に流路の対向端部で提供される。所望の圧力損失を保持しながら、比較的高い流路の密度を持つ濾材を供給するために、流路の長さを減らすことができる。流路の長さは、濾材の第1面から濾材の第2面までの距離を言う。燃焼機関用空気を濾過するため使用可能な濾材の場合、短い長さの流路は、約12.7cm(5インチ)未満の流路(例えば、約2.54cm(1インチ)〜約12.7cm(5インチ)、または約5.08cm(2インチ)〜約10.16cm(4インチ))の流路を持つものとして特徴付けることができる。中程度の長さの流路は、約12.7cm(5インチ)〜約20.32cm(8インチ)の長さを持つものとして特徴付けることができる。長い長さの流路は、約20.32cm(8インチ)より長い流路(例えば、約20.32cm(8インチ)〜約30.48cm(12インチ))を持つものとしてを特徴付けることができる。
【0073】
流路の形状
濾材積層体内で濾過用に利用可能な濾材の量を増加させるための別の技術は、表1で説明されたような規格の流路の設計と比較して、濾過用に利用可能な濾材の量を増加させる流路の形状を選択することを含む。濾過用に利用可能な濾材の量を増加させる流路の形状を提供する1つの技術は、隣接するピーク間でリッジを形成することである。上記説明したように、隣接する複数のピークは、内部ピークと外部ピークとして特徴づけられ、内部ピークと外部ピークは、ピークが対面濾材シートに向かう方向に面しているか、あるいは対面濾材シートから離れる方向に面しているかどうかに依存する。
図5a〜
図5cに濾過性能を高めるための例示の流路の形状を示す。
図5aに示す流路の形状は、「低接触(low contact)」流路の形状と呼ぶことができる。
図5bと
図5cに示された流路の形状は、「ゼロ歪(zero strain)」と呼ぶことができる。一般に、「低接触」は、規格Aと規格Bの波形濾材と比べて波形濾材シートと対面濾材シートとの間の接触(例えば、マスキング)の量を減少させて、対面濾材シート間の波形濾材シートの量を増やす能力をいう。「ゼロ歪み」の名は、濾材上に好ましくないレベルの歪みを導入しないことにより、流路の長さに沿ってテーパ状にする流路の形状の能力をいう。一般に、濾材中の好ましくないレベルの歪み(または、伸張)は、濾材に亀裂を生じるひずみ量、または、より高いレベルの歪みに耐えられる特別な濾材を使用するひずみ量をいう。一般に、約12%より大きい歪みに耐えられる濾材は、通常は、歪みの高いレベルに耐えられる特別な濾材と考えられ、約12%までの歪みに耐えられる濾材よりも高価である。ゼロ歪みの波形濾材シートは、さらに、波形濾材シートと対面濾材シートとの間での接触を減少する(例えば、マスキングを抑える)ようにすることができる。
【0074】
ここで、
図5a〜5cを参照すると、濾材110は、対面濾材シート111と対面濾材シート113の間に波形濾材シート112を含み、濾材120は、対面濾材シート121と対面濾材シート123の間に波形濾材シート122を含み、濾材140は、対面濾材シート141と対面濾材シート143との間に波形濾材シート142を含む。波形濾材シート112と対面濾材シート113との組合せを、波形濾材シート112が対面濾材シート113の片側にだけ結合された濾材シート結合体117と呼び、波形濾材シート122と対面濾材シート123との組合せを波形濾材シート122が対面濾材シート123の片側にだけ結合された濾材シート結合体137と呼び、波形濾材シート142と対面濾材シート143の組合せを波形濾材シート142が対面濾材シート143の片側にだけ結合された濾材シート結合体147と呼ぶ。濾材シート結合体117、137、または147を巻くかまたは積層する場合、積層濾材では対面濾材シート111、121、または141は、別の濾材シート結合体から、渦巻状濾材では同じ濾材シート結合体から提供される。
【0075】
濾材110、120、および140は、空気などの流体を洗浄するためのフィルタエレメントを供給するように配置することができる。フィルタエレメントは、渦巻状エレメントまたは積層エレメントとして配置することができる。一般に、渦巻状エレメントは、渦巻状構造物を提供するために巻き付ける波形濾材シートと対面濾材シートとを含む。丸い形状、ほぼ丸い形状、または競馬場の形状によって特徴付けられる形状を持つ渦巻状構成物を提供することができる。一般に、積層構造物は、対面濾材シートに接着した波形濾材シートを含む濾材の交互層を含む。
図5a〜5cに示される濾材110、120、および140は、低接触とゼロ歪みの形状の波形濾材シートの断面形状を示すために、濾材を横切って得られる断面図である。流路の長さに並んで伸びている断面形状を提供することができることが理解される。また、流路は、濾材がZ型濾材積層体として機能するようにシールすることができる。所望であれば、接着剤あるいは密封剤としてシールを提供することができる。
【0076】
図5aでは、距離D1は、内部ピーク114の中点から外部ピーク116の中点まで測定される。各周期長さD1に対してまたは濾材の長さD2に沿って2つの隆起部(リッジ)118を持つ波形濾材110を示す。流路の長さの少なくとも一部に沿って伸びる2つの隆起部(リッジ)118が提供される。一般に、各隆起部(リッジ)118は、波形濾材の比較的平らな部分118aが、波形濾材の比較的急な部分118bと接触する一般領域として特徴付けることができる。隆起部(リッジ)(例えば、ピークでないリッジ)は、異なる傾斜の濾材部分の間の交線と考えることができる。隆起部(リッジ)は、その位置で濾材を変形することにより形成することができる。濾材に圧力をかけて、隆起部(リッジ)で濾材を変形することができる。濾材は、濾材に圧力をかけて隆起部(リッジ)で濾材を変形させることができる。隆起部(リッジ)を形成する技術は、圧印加工、折り目付け、曲げ、折り曲げを含む。好ましくは、隆起部(リッジ)は、濾材に圧力をかける波形加工工程の間に圧印加工して、波形ロールが隆起部(リッジ)を形成することができる。波形濾材シートと単一スペーサの濾材を形成するための例示の技術は、2008年2月4日に出願された米国特許庁に出願された米国特許出願第61/025999号に記載されている。米国特許出願第61/025999号の開示全体は、引用により本明細書中に合体される。ピークは、隆起部(リッジ)と呼ぶことができることが理解される。しかしながら、この開示の文脈では、「隆起部(リッジ)」は、隆起部(リッジ)が明確にピーク間に提供される場合、「ピークでない隆起部(リッジ)」を言うことを理解することができる。
【0077】
例示の波形濾材シート112に対して、波形濾材の比較的平らな部分118aは、外部ピーク115と隆起部(リッジ)118の間に伸びている波形濾材の一部として
図5aに見ることができる。外部ピーク115から隆起部(リッジ)118までの波形濾材の比較的平らな部分118aの平均角度は、45°未満として特徴付けることができ、対面濾材シート113に対して約30°未満で提供することができる。内部ピーク116から隆起部(リッジ)118に伸びている濾材のその一部として波形濾材の比較的急な部分118bを特徴付けることができる。波形濾材の比較的急な部分118bは、内部ピーク116から隆起部(リッジ)118まで伸びている濾材の一部として特徴付けることができる。一般に、波形濾材の比較的急な部分118bの角度は、内部ピーク116と隆起部(リッジ)118の間に伸びているとして特徴付けられる場合、45°より大きく、対面濾材シート113に対して約60°より大きい。波形濾材の比較的平らな部分118aと波形濾材の比較的急な部分118bの間の角度差により、隆起部(リッジ)118の存在を特徴付けることができる。波形濾材の比較的平らな部分118aの角度と、波形濾材の比較的急な部分118bの角度は、濾材部分の端部ポイントを形成するポイント間の平均角度として決定でき、この角度は対面濾材シートから測定することができることが理解することができる。
【0078】
隆起部(リッジ)118は、波形濾材12の形成の間に、圧印加工、折り目付け、曲げ、または折り曲げによって、波形濾材シート112の長さに沿って、提供することができる。波形濾材112を形成する工程の間に隆起部(リッジ)118を付ける工程を設けることは好ましいが、必ずしも必要ではない。例えば、隆起部(リッジ)118は、熱処理、湿気処理またはその組合せによって付けることができる。さらに、隆起部(リッジ)118は、圧印加工する、折り目を付ける、曲げる、または折り重ねることにより、隆起部(リッジ)を付ける追加工程無しに、隆起部(リッジ)を形成することができる。また、隆起部(リッジ)118を特徴付けるときに、波形濾材シートの外部ピーク115、119と、波形濾材シートの内部ピーク116、114とを混同しないことである。隆起部(リッジ)の存在を特徴付ける方法として、一般により平らな部分118aと一般により急な部分118bの特徴をあげることができる。一般に、より平らな部分118aとより急な部分118bとは曲線を示すと予想される。すなわち、より平らな部分118aと、より急な部分118bとは、特に、空気流などの流体が濾過中に濾材を通る場合は、完全に平らではないと予想される。それにもかかわらず、濾材の角度は、隆起部(リッジ)から対応する隣接するピークまで測定して、濾材のその一部の平均角度を提供することができる。
【0079】
図5aで示される濾材形状を低接触の形状(low contact shape)と呼ぶ。一般に、低接触の形状は、波形濾材シート112と対面濾材シート111の間の比較的低い接触領域を言う。隆起部(リッジ)118を出現させることにより、ピーク115、119のマスキングを低減することを補助する。隆起部(リッジ)118は、波形濾材シート112を変形することにより出現し、その結果、ピーク115、119で濾材の内部応力を減少させる。隆起部(リッジ)118がないと、波形濾材シート112中にある量の内部張力が存在し、ピーク115、119でより大きい半径が形成され、それによりマスキングを増加させる。その結果として、隆起部(リッジ)118の存在は、隣接するピーク間(例えば、ピーク115、114)に存在する濾材の量を増加させるのを助けるとともに、隆起部(リッジ)がないときに、ピークで濾材を伸ばすかまたは平らにする波形濾材シート112内の張力を、ある程度まで軽減することによりピーク(例えば、ピーク115)半径を減少させるのを助ける。
【0080】
目視によって隆起部(リッジ)118の存在を検出することができる。
図6は、波形濾材が低接触形状を持つものとして特徴付けることができるフィルタエレメントの端部の写真である。波形濾材の端部を見ても低接触の形状が存在することは、特に、明確でないが、フィルタエレメントに切り込みを入れることにより、流路の長さに沿って伸びている隆起部(リッジ)の存在を見ることができる。さらに、
図7の写真によって示される技術によって、隆起部(リッジ)が存在することを確認することができる。
図7では、フィルタエレメントは、ダストが詰まっており、波形濾材シートが対面濾材シートから剥ぎ取られた波形濾材上の隆起部(リッジ)に対応する隆起部(リッジ)を持つダストケーキを見ることができる。一般に、ダストケーキ上の隆起部(リッジ)は、異なる平均角度を持つダスト表面の別の部分と交差する平均角度を持つダスト表面の一部を反映している。ダスト表面のケーキの2つの部分の交点は、隆起部(リッジ)を形成する。流路を満たすために濾材を充填するのに使用して流路中にダストケーキを提供するダストは、ISOのファインテストダストとして特徴付けることができる。
【0081】
ここで
図5aを参照すると、波形濾材シート112は、距離D2の間に2つの隆起部(リッジ)118を含む。ここで、距離D2は、ピークの中点114からピーク116の中点までの波形濾材シート112の長さをいい、隆起部(リッジ)はピーク114、115、116、または119ではない。ピーク114、116は、内部ピークと呼び、ピーク115、119は、外部ピークと呼ぶが、これらのピークは、追加的に対面濾材シートのピークとして特徴付けることができる。一般に、濾材は、渦巻きまたは積層などの異なる構成で配置され、流路は、内向きと外向きの特徴が、対面濾材シートのピークとしてピークの特徴を使用するときに無視することができるように、特に、配置されると考えることができる。用語「内向きと外向き(internal and external)」の使用は、図に示されかつ濾材シート結合体の一部として提供されるような流路を説明する時に都合がよい。
【0082】
各長さD2に沿って2つの隆起部(リッジ)118を持つ波形濾材シート112を提供することができる。所望であれば、各周期長さD2に沿って1つの隆起部(リッジ)を持つ波形濾材シート112を提供することができる。また、いくつかの周期が少なくとも1つの隆起部(リッジ)を示す、いくつかの周期が2つの隆起部(リッジ)を示す、およびいくつかの周期は隆起部(リッジ)が無い、またはそれらの組合せの構成物を提供することができる。波形濾材シートは、隆起部(リッジ)の繰り返しパターンを持つものとして提供することができる。隆起部(リッジ)の繰り返しパターンは、波状パターンが隆起部(リッジ)の1つのパターンを示すことを意味する。隆起部(リッジ)のパターンは、隣接するピークごと、1つおきに隣接するピークごと、または、3つおきに隣接するピークごとのパターンであり、または隆起部(リッジ)の繰り返しパターンを示すような濾材の波形パターンを理解することができる変形のパターンである。
【0083】
隆起部(リッジ)の存在の特徴は、隆起部(リッジ)が流路の長さに沿って存在することを意味すると理解すべきである。一般に、隆起部(リッジ)は、流路の長さ方向に沿って充分な長さで提供されて、所望の性能を持つ濾材を提供する。隆起部(リッジ)が流路の全長に伸びている場合に、例えば、流路の端部の影響により、隆起部(リッジ)は、流路の全長に伸びていない可能性がある。この例の影響は、流路の端部における流路の封止物(例えば、ダーツ)およびプラグ(栓)の存在を含んでいる。好ましくは、隆起部(リッジ)は、流路の長さの少なくとも20%の長さだけ伸びている。一例として、隆起部(リッジ)は、流路の長さの少なくとも30%の長さ、流路の長さの少なくとも40%の長さ、流路の長さの少なくとも50%の長さ、流路の長さの少なくとも60%の長さ、または流路の長さの少なくとも80%の長さだけ伸びている。流路の端部は、何らかの方法で閉じていてもよく、封止物により、濾材積層体を1面から見ると、隆起部(リッジ)の存在を検出できるまたはできないかもしれない。従って、流路の長さに沿って伸びている隆起部(リッジ)の存在の特徴は、隆起部(リッジ)が流路の全長に沿って伸びていなければならないことを意味するものではない。また、隆起部(リッジ)は、流路の端部で検出されないかもしれない。ここで
図6の写真を注目すると、隆起部(リッジ)の存在は流路の端部からある距離だけ入った濾材中に検出することができるので、流路の端部で、隆起部(リッジ)の存在を検出することは難しい。
【0084】
ここで
図5bを参照すると、波形濾材120は、対面濾材シート121、123の間に提供される波形濾材シート122を含む。波形濾材シート122は、内部ピーク124と外部ピーク125の間に少なくとも2つの隆起部(リッジ)128、129を含む。長さD2に沿って、波形濾材シート122は、4つの隆起部(リッジ)128、129を含む。濾材の一つの周期長さは、4つの隆起部(リッジ)を含む。隆起部(リッジ)128、129は、対面濾材シートピークと呼ばれるピーク124、125、または126ではないことが理解される。波形濾材シート122は、隣接ピーク(例えば、ピーク125、126)間に2つの隆起部(リッジ)128、129を持つように提供することができる。また、波形濾材シート122は、隣接するピーク間に1つの隆起部(リッジ)がある、または隆起部(リッジ)がないようにすることができる。隣接するピーク間に2つの隆起部(リッジ)がある必要はない。もしも隣接するピーク間に予め決められた間隔で隆起部(リッジ)の代替物を持つことが好ましい場合には、ピーク間に隆起部(リッジ)がなくてもよい。
【0085】
隆起部(リッジ)128は、波形濾材の比較的平らな部分128aが波形濾材の比較的急な部分128bと結合する領域として特徴付けられる。一般に、波形濾材の比較的平らな部分128aは、隆起部(リッジ)128と129の間で対面濾材シート123に対して測定される角度が、一般に、45°未満、好ましくは約30°未満の角度を持つものとして特徴付けられる。波形濾材の比較的急な部分128bは、ピーク126から隆起部(リッジ)128で、対面濾材シート123に対して測定される角度が、一般に、45°以上、好ましくは約30°以上の角度を持つものとして特徴付けられる。隆起部(リッジ)129は、波形濾材の比較的平らな部分129aと波形濾材の比較的急な部分129bの交差する結果として提供される。一般に、波形濾材の比較的平らな部分129aは、隆起部(リッジ)128から隆起部(リッジ)129まで伸びている濾材の一部の角度に対応している。一般に、波形濾材の比較的平らな部分129aは、45°未満、好ましくは約30°未満の傾斜を有するものとして特徴付けられる。波形濾材の比較的急な部分129bは、隆起部(リッジ)129とピーク125の間に伸びている濾材の一部として特徴付けられ、隆起部(リッジ)129とピーク125の間で、対面濾材シート123に対してある角度を持つものとして特徴付けられる。一般に、波形濾材の比較的急な部分129bは、45°以上、好ましくは約60°以上の角度を持つものとして特徴付けられる。
【0086】
ここで、
図5cを参照すると、波形濾材140は、対面濾材シート141、143の間に提供される波形濾材シート142を含む。波形濾材シート142は内部ピーク144と外部ピーク145との間で少なくとも2つの隆起部(リッジ)148、149を含む。長さD2に沿って、濾材140は4つの隆起部(リッジ)148、149を含む。一つの濾材の周期長さは4つの隆起部(リッジ)を含む。隆起部(リッジ)148と149は、ピーク144と145でないことが理解される。濾材140は、隣接するピーク(例えば、ピーク144と145)の間に2つの隆起部(リッジ)148、149があるように提供される。さらに、波形濾材シート140は、他の隣接しているピーク間で、1つの隆起部(リッジ)、2つの隆起部(リッジ)が提供される、または隆起部(リッジ)無しで提供される。各隣接するピーク間で、2つの隆起部(リッジ)があるという必要性は全くない。隣接するピーク間を予め決められた間隔で、隆起部(リッジ)の代替物を持つことが好ましい場合、ピーク間に隆起部(リッジ)がないことがあり得る。一般に、流路のパターンが繰り返しかつ隣接するピーク間で隆起部(リッジ)の存在を含む流路のパターンを提供することができる。
【0087】
隆起部(リッジ)148、149は、波形濾材シートの比較的平らな部分が波形濾材シートの比較的急な部分と結合する領域として特徴付けることができる。隆起部(リッジ)148の場合、波形濾材シートの比較的平らな部分148aは、波形濾材シートの比較的急な部分148bと結合する。隆起部(リッジ)149の場合、波形濾材シートの比較的平らな部分149aは、波形濾材シートの比較的急な部分149bと結合する。波形濾材の比較的急な部分は、対面濾材シート143に対して濾材の一部として測定される場合、45°以上、好ましくは約60°以上の角度を持つものとして特徴付けることができる。比較的平らな部分は、対面濾材シート143に対して濾材の一部に対して45°未満、好ましくは約30°未満の傾斜を有するものとして特徴付けることができる。
【0088】
波形濾材シート142の巻き付け角度は、波形濾材シート122の巻き付け角度より少ないので、波形濾材シート142は波形濾材シート122を調整するより有利であると考えられる。一般に、巻き付け角度は、ひだ付け工程で濾材を回転する角度の合計をいう。波形濾材シート142の場合、濾材は、波形濾材シート122と比較してひだ付けの間の巻き付けは少ない。その結果、波形濾材シート142を形成するためのひだ付けにおいて、濾材に要求される引張り強度は、波形濾材シート122と比べて低いものである。
【0089】
波形濾材シート112、122、142は、ピークからピークまで比較的対称なものとして示される。すなわち、波形濾材シート112、122、142に対し、流路は、隣接するピーク間で同じ数の隆起部(リッジ)を持って繰り返す。隣接するピークは、ひだ付き媒の体長さに沿って互いに並んでいるピークをいう。例えば、波形濾材シート112に対して、ピーク114とピーク115は、隣接するピークと考えられる。しかしながら、濾材の周期は、隣接するピーク間で同じ数の隆起部(リッジ)を持つ必要はない。この場合の濾材は、非対称的であると特徴付けられる。すなわち、周期の1つの半分の上に隆起部(リッジ)を有し、周期のもう1つの半分の上に隆起部(リッジ)を持たない濾材を調整することができる。
【0090】
波形濾材の隣接するピーク間に単一の隆起部(リッジ)または複数の隆起部(リッジ)を提供することによって、規格Aや規格Bの流路などの先行技術の濾材に対して距離D2を増加させることができる。1つの隆起部(リッジ)または複数の隆起部(リッジ)が存在すると、例えば、規格Aや規格Bの流路と比べて濾過に利用可能なより多くの濾材を提供することが可能である。前に説明されたたわみ率の測定は、隣接するピーク間に提供された濾材量を特徴付けるために使用することができる。長さD2は、波形濾材シート112、122、142の周期に対して、波形濾材シート112、122、142の長さとして画定される。波形濾材シート112の場合、距離D2は、下側ピーク114から下側ピーク116までの波形濾材シートの長さである。この距離は、2つの隆起部(リッジ)118を含む。波形濾材シート122の場合、下側ピーク124から下側ピーク126までの長さD2は、波形濾材シート122の距離である。この距離は少なくとも4つの隆起部(リッジ)128、129を含む。一つまたはそれ以上の隆起部(リッジ)を隣接するピーク間に提供することにより、隣接するピーク間での増加する濾材の量は、たわみ率によって特徴付けることができる。前に説明したように、規格Bおよび規格Aの流路は、通常は、それぞれ約3.6%と約6.3%のたわみ率を示す。一般に、
図5aに示される流路設計などの低接触の流路は約6.2%〜約8.2%までのたわみ率を示すことができる。好ましくは、流路は、5.2%より大きく、好ましくは、6.5%より大きいたわみ率を示す。
図5bと
図5cに示される流路設計では、約7.0%〜約16%のたわみ率を提供できる。所望であれば、たわみ%が約6.3%より大きい、または約8.3%より大きいたわみ率を示す流路を持つ濾材積層体を提供することができる。
【0091】
図5bと
図5cの濾材120と140では、追加の利点として、濾材中に歪みを生み出さずに流路の長さに沿って流路をテーパ状にする能力を提供する。これにより、
図5bと
図5cで示される流路の形状は、ゼロ歪みの流路の形状という。ここで
図8と
図9aを参照すると、テーパ状構成物の波形濾材シート122を示す。
図9aに、外形122aから外形122dまでテーパ状になっている波形濾材シート122を示す。テーパ状にした結果として、波形濾材シートは、122bと122cとして示される外形を含む。波形濾材が122aから122dまでテーパ状となると、隆起部(リッジ)128、129は、下側ピーク126に近づき、上側ピーク125から離れる方向に動く。従って、波形濾材122が122aから122dまでテーパ状となると、波形濾材シート122と対面濾材シート123との間の断面積は減少する。この断面積の減少に対応して、波形濾材シート122によって形成される対応する流路と上側ピーク125に接触する対面濾材シートは、断面積が増加する。さらに、テーパが122aと122dで示される端部外形に向かって移動すると、隆起部(リッジ)が一緒に合体するかまたは互いから識別可能でなくなる傾向となることがわかる。122aで示される外形は、低接触形状により似る傾向がある。さらに、波形濾材が122dから122aまでテーパ状となると、隆起部(リッジ)128と隆起部(リッジ)129は上側ピーク125に近づくことがわかる。テーパ状でゼロ歪の形状の場合、波形濾材シートは、流路の長さの少なくとも30%、好ましくは、少なくとも50%を超える長さまで隣接するピーク間の複数の流路を持つものとして特徴付けることができる。
【0092】
波形濾材シート122が隆起部(リッジ)128、129を含む濾材120を使用する利点は、過度の歪みを生み出すことなく流路をテーパ状にする能力と、12%以上の歪みを示さない濾材を使用する能力である。一般に、歪みは、
歪み=((D2max−D2min)/D2min)×100
の式で特徴付けられる。D2minは、濾材がほぐれたまたは歪みがないときの濾材距離を言い、D2maxは裂ける直前の歪みのときの濾材距離を言う。亀裂無しで最大約12%の歪み量に耐えることができる濾材は、濾過産業で比較的一般的に使用されている。一般的に使用される濾材は、セルロースベースのものとして特徴付ることができる。濾材が耐えることができる歪み量を増加させるために、合成ファイバを濾材に追加することができる。その結果として、12%以上の歪み量に耐えられる濾材を使用することは、比較的高価となる。従って、濾材の歪みを最小にし、かつ12%より多い歪み量を可能にする、高価な濾材を使用せずに、流路をテーパ状とする流路の構成物を利用することは、好ましい。
【0093】
ここで
図9bを参照すると、
図5cの波形濾材シート142は、位置142aから位置142bまで、そして次に位置142cまで伸びるテーパ状の構成物として示される。流路が、より小さい断面領域(波形濾材シート142と対面濾材シート143の間の領域)までテーパ状となるので、隆起部(リッジ)148、149は、ピーク145に向かって移動する。逆もまたいえる。すなわち、流路の断面領域が増加するので、隆起部(リッジ)148、149は、ピーク144に向かって移動する。
【0094】
図5a〜5cに例示された流路の形状は、規格Aと規格Bの流路と比べてピークでマスクされる濾材領域が減少するのを補助する。さらに、
図5a〜5cに例示される形状は、規格Aと規格Bの流路と比べて濾過に利用可能な濾材量が増加するのを補助する。
図5aでは、対面濾材シート113から波形濾材112を見ると、隆起部(リッジ)118が凹形である流路を提供することができることが理解される。対面濾材シート111の斜視図から、隆起部(リッジ)118は、凸形を有する流路を提供することが理解される。ここで、
図5bを参照すると、隆起部(リッジ)128、129は、ピークから隣接するピークまで波形濾材122のどちらの側からも凹形と凸状の両方を提供するこができることがわかる。流路は、隆起部(リッジ)の存在からみて、実際に凹状または凸状でないことを理解することができる。従って、隆起部(リッジ)は曲面に遷移部かまたは不連続部を提供する。隆起部(リッジ)の存在を特徴付ける別の方法は、不連続が存在しない規格の流路Aと規格Bの濾材の曲部で不連続部を観測することである。また、
図5a〜5cと
図9a〜9bで示された流路の形状は、いくらか誇張されていることを理解すべきである。すなわち、波形濾材を形成した後に、濾材は、ある程度、垂れさがるかまたは曲がるように濾材中に記憶されるかまたは変形するであろう。また、濾材を通過する流体(例えば、空気)へ適用すると、濾材は歪む。その結果として、この記載に基づいて調整された実際の濾材は、
図5a〜5cと
図9a〜9bで示された図に沿って必ずしも正確に従うものではない。
【0095】
所望であれば、
図5a〜5cに示される濾材シート結合体は、逆にすることができる。例えば、濾材シート結合体117は、波形濾材シート112と対面濾材シート113とを含む。所望であれば、濾材シート結合体は、波形濾材シート112と対面濾材シート111を含むように構成することができる。所望であれば、同様に、
図5bと
図5cに示される濾材シート結合体を逆にすることができる。
図5a〜5cに示される濾材シート結合体の特徴は、本発明を説明するために提供することができる。濾材シート結合体が
図5a〜5cで示されるのと本質的に反対の方法で対面濾材シートに波形濾材シートを結合することによって調整できることを理解することができる。すなわち、波形濾材シートに流路を付ける工程の後に、波形濾材シートは、波形濾材シートのどちらかの側部に対面濾材シートを結合することができる。
【0096】
流路の体積の非対称
流路の体積の非対称は、上流側の体積と下流側の体積の間で、フィルタエレメントあるいはフィルタカートリッジ内の体積差をいう。上流側の体積は、濾過されていない流体(例えば、空気)を受け入れる濾材の体積をいい、下流側の体積は、濾過された流体(例えば、空気)を受け入れる濾材の体積をいう。フィルタエレメントは、汚れた側と清浄な側とを持つものとしてさらに特徴付けることができる。一般に、濾材の汚れた側は、濾過されていない流体を受け入れる濾材の体積をいう。清浄な側は、汚れた側から濾過通路を通過する濾過された流体を受け入れる濾材の体積をいう。清浄な側あるいは下流側の体積より大きい汚れた側あるいは上流側の体積を有する濾材を提供することが好ましい場合がある。空気を濾過する場合、空気中の微粒子は汚れた側で堆積し、それにより、濾材の容量は、汚れた側の体積によって決定されることが観測される。体積の非対称を提供することによって、汚れた空気を受け取るのに利用可能な濾材の体積を増加させ、それにより、濾材積層体の容量を増加させることは可能である。
【0097】
上流側の体積と下流側の体積との差が10%以上ある場合に、流路の体積が非対称な濾材が存在する。流路の体積の非対称を持つ濾材は、非対称な体積の構成物を持つ濾材積層体と呼ぶことができる。流路の体積の非対称は、
体積の非対称=(体積上流−体積下流)×100/体積下流
によって表現できる。好ましくは、体積の非対称を示す濾材は、約10%以上、約20%以上、30%以上、および、好ましくは、約50%以上の体積の非対称を示す。流路の体積の非対称に対する例示の範囲は、約30%〜約250%、および約50%〜約200%を含む。一般に、上流側の体積が下流側の体積より大きいことは好ましい。あるいはまた、下流側の体積に対して上流側の体積を最小にするのが好ましい状況がある。例えば、安全エレメントの場合には、濾材が満杯となり破壊が上流側フィルタエレメント中で起こったことを指示するものとして、比較的素早く流れを止めるように、比較的低い上流側の体積を有する安全エレメントを提供することが好ましい。
【0098】
体積の非対称は、流路の断面を示す写真から流路の断面積を測定することによって計算することができる。流路が通常パターンを形成する場合、この計測は流路の体積の非対称をもたらす。流路が通常でない場合(例えば、テーパ状の場合)、濾材をいくつかに分けて、内挿法または外挿法を使用して流路の体積の非対称を計算することができる。
【0099】
流路の設計は、濾過機能を向上する流路の非対称を供給するように調整することができる。一般に、流路の非対称は、上流側の体積と下流側の体積が異なるように、狭いピークと広いアーチ形の谷(トラフ)または逆の形状を有する流路をいう。対称形状の流路の例は、ワグナー他の米国特許出願公開第2003/0121845号によって提供される。米国特許出願公開第2003/0121845号の開示は引用により本明細書に合体される。
【0100】
ここで、
図10aと10bを参照すると、非対称の流路の体積は、濾材150、160に示される。ここで、
図10aと
図10bは、例えば、通常のテーパ状でない濾材の断面図である。濾材150は、対面濾材シート154、155の間に波形濾材シート152を示す。波形濾材シート152は、波形濾材シート152と対面濾材シート155によって画定される体積よりも波形濾材シート152と対面濾材シート154の間でより大きい体積を提供するように構成されている。上流側の体積または汚れた側の体積を最大にすることが好ましい場合、得られる波形濾材シート152と対面濾材シート154の間の領域によって画定される体積は、上流側の体積、または、汚れた側の体積として提供することができる。濾材160は、対面濾材シート164と対面濾材シート165の間に波形濾材シート162を示す。波形濾材シートは、波形濾材シート162と対面濾材シート165の間でより大きい体積を提供するように構成されている。所望であれば、流路シート162と対面濾材シート165の間の領域は、上流側の体積あるいは汚れた側の体積として特徴付けることができる。
【0101】
非対称な体積の構成物を持つ濾材は、通常の流路あるいはテーパ状の流路の存在から得ることができる。また、比較的に対称のテーパ状の流路を持つ濾材(例えば、それぞれの方向に比較的同じ程度にテーパ状になっている流路)は、非対称な体積の構成物でない濾材(10%未満の非対称の体積)を提供することができる。従って、テーパ状の流路が存在するあるいは存在しないことは、非対称な体積の構成物が存在するまたは存在しないことを暗示しないし、意味もしない。通常の流路の構成物(例えば、テーパ状でない)を持つ濾材は、非対称な体積の構成物であるかもしれないし、そうでないかもしれない。
【0102】
濾材積層体中の流路が通常の流路とテーパ状の流路の両方である濾材積層体を提供することができる。例えば、流路の長さに沿って、長さの一部がテーパ状の流路であり、長さの一部が通常の流路であるような流路を提供することができる。例示の構成物は、例えば、流路が1面から予め決められた位置までテーパ状であり、次に、別の予め決められた位置まで通常の形状であり、次に、テーパ状であるような、テーパ状−まっすぐ−テーパ状の構成物を含む。テーパ状−まっすぐ−テーパ状の構成物の存在は、非対称の体積を供給するのを補助するために使用することができ、かつ充填と圧力損失を取り扱うのを補助するために使用することができる。
【0103】
ダーツ付き流路
図11〜18は、カーブした波形パターンを持つ流路の端部を閉じる(封止)技術を例示する。この技術はダーツ付けと呼ばれ、流路をダーツ付ける一般的な技術は、2006年7月27日に発行された米国特許出願公開第2006/0163150号に記載されている。米国特許出願公開第2006/0163150号の全体は、引用により本明細書に合体される。
【0104】
本発明に基づく濾材で流路を封止するために使用できる例示のダーツ付け技術は、
図11〜
図18に示されている。
図11〜18に提供されるダーツ付け技術は、先行技術の濾材の内容を示すが、このダーツ付け技術は、本発明に基づく波形濾材に適用できる。例えば、
図5a〜5cで示される波形濾材は、
図11〜18に示される技術によりダーツ付けできる。
【0105】
一般に、ダーツ付けは、波形濾材シート204を対面濾材シート206に固定するために単一フェーサビード190を用いた後で、封止するために行われる。一般に、米国特許出願公開第2006/0163150号に記載されているように、刻み目を付けるまたはダーツを付けるホイールは、
図11〜13に示される流路200を形成するのに使用でき、折り曲げホイールは、
図14〜18に示されている流路200を形成するために使用することができる。
図11〜13に示されているように、ダーツ付きホイールは、刻み目を付けるまたは逆さにすることにより上側ピーク204の部分202を変形させる。用語「逆にする(inverting)」とその変形により、上側ピーク204に刻み目を付けるまたは対面濾材シート206に向かう方向の内側に曲げることを意味する。
図12はダーツ付けホイールによって生み出される逆部210の中央に沿った断面図である。逆部210は、ダーツ付け工程の結果として生み出される1組のピーク212、214の間である。ピーク212、214は、一緒に流路のダブルピーク216を形成する。流路のダブルピーク216のピーク212,214は、逆にする前の上側ピーク204の高さより短い高さである。
図13は、ダーツ付けホイールと係合せず、それにより変形されていない流路200の部分で流路200の断面を示す。
図13でわかるように、流路200の部分は元の形状を保持する。
【0106】
図12に示された流路のダブルピーク216は、本質的に対称である1組のピーク212、214を形成するために、上側ピーク204のインデンティング(へこみ)を示すが、ダーツ付けの正確な位置は中心から外れてもよいことを理解すべきである。インデンティングまたはダーツ付けホイールのタイミングと濾材の柔軟性の結果として、ピーク212,214は、異なる大きさを持ってもよいし、ピーク212,214の相対的な大きさは、流路から流路へ濾材を通して変更することができる。
【0107】
ここで、
図14〜18に注目する。
図14〜18は、折り曲げホイールと係合した後のダーツ付け部198の部分を示す。
図18は断面図でダーツ付け部198の端面図を特に示している。折り目構成物218は、4つの折り目221a、221b、221c、221dを持つダーツ付き流路(darted flute)220を形成することが理解できる。折り目構成物218は、対面濾材シート64に固定される平らな第1層222を含む。第2層224は第1層222に対して押し付けられて示される。第2層224は好ましくは第1層222の対向する外側端部を折り曲げて形成される。
【0108】
また
図18を参照すると、2つの折り返しまたは折り目221a、221bは、一般に「上側の、内側に向けられた」折り返しまたは折り目と本明細書で呼ぶ。この文脈で、用語「上側」は、折り目220が
図11の方向で見るとき、折り目が全体の折り目220の上側にあることを意味する。用語「内側に向けられた」は、各折り目221a、折り目221bの折り目ラインがもう片方の方向に向けられることを意味する。
【0109】
また
図18を参照すると、2つの折り返しまたは折り目221a、221bは、一般に「上側の、内側に向けられた」折り返しまたは折り目と本明細書で呼ぶ。この文脈で、用語「上側」は、折り目220が
図11の方向で見るとき、折り目が全体の折り目220の上側にあることを意味する。用語「内側に向けられた」は、各折り目221a、折り目221bの折り目ラインがもう片方の方向に向けられることを意味する。
【0110】
この文脈で使われる用語「上側」と「下側」は、
図18の配向において、特に折り目220をいう。すなわち、折り目120が使用のために実際の製品中に配向される場合、別の方向を示すことを意味しない。
【0111】
図18の特徴とレビューに基づいて、この開示において
図18による好ましい通常の折り目構成物218は、少なくとも2つの「上側の内側に向かう折り目」を含む構成物であると考えられる。これらの内側に向かう折り目はユニークであり、折り曲げが隣接する流路上にかなりの食い込みを引き起こさない総合的な構成物を提供するのを補助する。これらの2つの折り目は、折り目の先端212、214から
図18の互いに向う方向からの部分をもたらす。
【0112】
また、第3層228は、第2層224に対して押しつけられているのがわかる。第3層228は、第3層228の対抗する内側端部230から折り曲げられて形成される。ある好ましい実施例では、対面濾材シート206は、折り目構成物218から対向する端部に沿って波形濾材シート196に固定される。
【0113】
折り目の構成物218を見る別の方法は、波形シート196のピーク204と谷(トラフ)205を交互にする幾何学的形状に関する。第1層222は逆さのピーク210を含む。第2層224は、好ましい構成物では、逆さのピーク210に対して折り曲げられる方向に折り曲げられるダブルピーク216に対応する。第2層224に対応する逆さピーク210とダブルピーク216は隆起部(リッジ)204の反対側の谷(トラフ)205の外側にあることに注意すべきである。図示された実施例において、2つピーク216の折り曲げられた端部230、231から伸びている第3層がある。
【0114】
図15〜17は異なる部分の流路200の形状を示している。
図17は流路200の変形していない部分を示している。逆さのピーク210が対面濾材シート206(
図18)に係合しているところからもう存在しない点(
図17)まで伸びている逆さピーク210を
図15と
図16で見ることができる。
図15と
図16では、逆さピーク210は対面濾材シート206から異なる長さで間隔をあけて配置されている。
【0115】
図18に示される流路の封止(閉鎖)は、比較的対称のピーク212、214を形成するために、上側ピーク204のダーツ付けから得られる封止を示すが、上側のピーク204のインデンティングが中心から外れた位置で起こる場合、得られる封止が異なるように見えることを理解すべきである。得られる封止は、
図18に示される封止ほど対称的でないかもしれない。折り目構成物は、折り目の先端の1つだけが折り重なるようにして提供してもよい。
【0116】
図11〜18に基づくダーツを提供するために使用する工程は、「中央の刻み目付け(center identing)」、「逆さ中央(center inverting)」、「中央のダーツ付け(center darting)」または「中央の変形(center deformation)」と呼ばれる。また、この文脈で用語「中央」によって、刻み目またはダーツ付けホイールに係合した刻み目または逆さピークが関連する上側ピーク80の頂点または中央で起こることを意味する。変形または刻み目は、隆起部(リッジ)の中央から3mm以内で起こる限り、通常は、本明細書では中央の刻み目と考えられる。ダーツ付けの文脈において、用語「折り目(crease)」「折り目(fold)」、または「折り目ライン」は、濾材の部分間を密封剤または接着剤と共にまたは無しに濾材積層体を折り曲げることによって形成される端部を示すことを意味する。
【0117】
図11〜18の内容で説明された封止技術は、
図18で示されるような流路の封止をもたらすることができるが、ダーツ付けの間、濾材の柔軟性と濾材の移動速度の結果により、刻み目の工程は、波形シート196の頂点またはピークで正確に起こらない可能性がある。その結果として、折り目の先端212、214は、対称として示されない。実際、折り目の先端212、214の1つは、片方のチップが折り曲げられる間、いくらか平らにされる。また、ある流路設計では、刻み目工程をスキップすることが好ましい。例えば、流路は、十分に小さい高さ(J)を持ち、流路は、刻み目を入れる工程を必要とせずに繰り返し折り目パターンを提供するために加圧されて閉じることができる。
【0118】
プラグ長さと流路の高さ
Z型濾材積層体は、濾材の入口面から出口面まで伸びている流路を有するものとして特徴付けられる。流路の第1部分は入口流路として特徴付けられ、流路の第2部分は出口流路として特徴付けられる。入口流路は、出口面またはその近くでプラグ(栓)またはシールとともに提供される。また、出口流路は入口面またはその近くでプラグまたはシールとともに提供される。もちろん、この構成物の代替手段は可能である。例えば、シールまたはプラグは、入口面または出口面上にまたは隣接して提供する必要はない。シールまたはプラグは、所望ならば、入口面または出口面から離れた方向に提供することができる。シールまたはプラグとして熱溶融接着剤を使用する場合、プラグは、規格Bの流路では、通常は、少なくとも約12mmの長さを有する。プラグ長さは、エレメントの表面からプラグの内側表面まで測定して得ることができる。出願人は、プラグ長さを減少することによって、充填容量の増加、低い初期圧力損失、濾過のために使用することができる表面積の増加、濾過用エレメントのために必要となる濾材の量の低減、またはそれらの組合せを含む濾材の好ましい特性を提供することが可能であることを見いだした。約10mm未満、好ましくは約8mm未満、約7mm未満、より好ましくは約6mm未満であるプラグ長さを提供することは好ましい。プラグ長さを減少させることは、流路の長さが比較的短いような状況(例えば、約12.7cm(5インチ)未満の流路の長さ)に対して、性能を増加することができる。比較的長い流路の長さ(例えば、20.32cm(8インチ)より大きい)のプラグ長さを減少することは、より短い流路の長さを持つ濾材のプラグ長さを減少することと比較すると、性能を高めるために有効でないかもしれない。より短い長さの流路、例えば、約12.7cm(5インチ)(例えば、約5.08cm(2インチ)〜約10.16cm(4インチ))未満の長さを持つ流路に対し、プラグ長さを約7mm未満あるいは約6mm未満まで減少させると、性能を高めることができる。プラグ長さは、平均プラグ長さと呼ぶことができ、第1の複数の流路をシールしているプラグの平均プラグ長さとして、または、第2の複数の流路をシールしているプラグの平均プラグ長さまたは両方として測定することができる。すなわち、平均プラグ長さは、濾材積層体の面の1つまたはその近くに存在するプラグを減少することができる。平均プラグ長さが、濾材積層体内の全てのシールに対して平均プラグ長さであるという必要性はない。すなわち、流路の第1部分の平均プラグ長さは、流路の第2部分の平均プラグ長さと異なることができる。所望であれば、平均プラグ長さは、シールの全て(例えば、複数の第1流路と複数の第2流路)の平均プラグ長さとして提供することができる。
【0119】
プラグ長さを低減するための例示の技術は、対面濾材シートに波形濾材シートを保持する密封材または接着剤を含む単一フェーサのエッジをトリミングしてプラグ長さを減少することである。すなわち、製造の間の単一フェーサの幅は、単一フェーサの幅がプラグの長さを減少するためにトリミングするという理解で、必要より長くすることができる。さらに、プラグ長さは、濾材の1面か両面をトリミングすることによって減少することができる。プラグ長さを低減するための代替技術は、短い長さを持つシールまたはプラグを提供するために増粘剤または高粘度の密封剤を使用することである。
【0120】
得られる濾材に対する所望の流路の高さまたは大きさに依存して、流路の高さ(J)を選択することができる。濾材の使用条件は、所望の流路の高さ(J)の選択に依存することができる。本発明の濾材を使用するフィルタエレメントを、汎用フィルタエレメントの代用品として使用する場合、例えば、規格Bの縦溝流流路では、高さJは、約0.191cm(0.075インチ)〜約0.381cm(0.150インチ)であり得る。本発明の濾材を使用するフィルタエレメントを、汎用フィルタエレメントの代用品として使用する場合、例えば、規格Aの縦溝流流路では、高さJは、約0.381cm(0.15インチ)〜約0.635cm(0.25インチ)であり得る。
【0121】
例示の濾材の定義
空気濾過用の応用に対して、特に、内燃機関の空気流を濾過するために、Z型濾材積層体を有用に使用する場合、濾材の定義は、濾材がダストを充填する容量を最大にするか、圧力損失を最小にするか、または容量と圧力損失の両方を好ましいレベルにするかに依存しながら、選択することができる。ダスト充填容量は、濾材の寿命すなわち使用期間と言うことができる。時には、濾材を取り替える前に、所望の寿命期間を示すことができる濾材を設計することは、好ましいことである。あるいはまた、ある状況下では、所望の圧力損失の範囲内で作動することができる濾材を設計することは、より好ましいかもしれない。濾材に対する様々な定義を選択することは、特別な環境と特別なエアクリーナに対する濾材を定義するための柔軟性が提供される。さらに、濾材の様々な定義を選択することにより、特別の環境に適合するようなエアクリーナを設計する際の柔軟性を持たせることが可能となる。
【0122】
以下に記載する例示の濾材は、前に「低接触」あるいは「ゼロ歪み」として説明した流路の形状を持つものと持たないものを供給することができる。波形濾材のピーク間に1つまたは複数の尾根(リッジ)を提供することは濾材の必要要件ではないが、性能を高めるために当てにすることができる。
【0123】
第1の例示の濾材は、ダストの充填容量を最大にするように、選択することができる。流路の密度は、規格Bの濾材から調製された流路の密度よりも大きいように選択することができる。例えば、少なくとも約5.43流路/cm
2(35.0流路/インチ
2)の流路の密度を持つ濾材を提供することができる。ここで、流路の密度は、
ρ=チャンネルの数(開いたおよび閉じたチャンネル)/(2×Z型濾材積層体の断面積)
で計算することができる。チャンネルの数は、濾材の断面でかつ濾材の断面積を決定する位置での流路を計数することにより決定される。好ましくは、流路の密度は、6.98流路/cm
2(45流路/インチ
2)、あるいは約7.75流路/cm
2(50流路/インチ
2)であり得る。流路の密度の増加により引き起こされる圧力損失を抑えるために、流路の長さを減少することができる。例えば、12.7cm(5インチ)未満の流路の長さを持つ濾材を提供することができる。流路の長さが比較的短い場合、濾過に利用可能な濾材量を増加させるために、比較的短いプラグ長さを提供することができる。例えば、約7mm未満、好ましくは、約6mm未満の長さを持つプラグを提供することができる。さらに、濾材の流路の非対称な体積を調整することができる。例えば、濾材の流路の非対称な体積は、上流側の体積が下流側の体積よりも少なくとも10%だけ大きいようにすることができる。好ましくは、流路の非対称な体積は、30%より大きい、好ましくは、50%より大きいものであり得る。少なくとも約2.7、好ましくは、少なくとも約3.0の流路の幅対高さの比を持つ波形濾材を提供することができる。
【0124】
第2の例示の濾材は、所望の長寿命を提供するために、選択することができる。第2の例示の濾材は、中くらいの流路の長さを持つことができる。例えば、流路の長さは、約12.7cm(5インチ)〜約20.32cm(8インチ)であり得る。第2の例示の濾材は、テーパなしで提供することができ、かつ、ほぼ規格Bの濾材の流路の密度である約5.27流路/cm
2(34流路/インチ
2)の流路の密度を持つものを提供することができる。第2の例示の濾材は、約2.7より大きく、好ましくは、約3.0より大きい流路の幅対高さの比を持つものを提供することができる。さらに、第2の例示の濾材は、20%より大きい、好ましくは、30%より大きい流路の非対称な体積を持つものを提供することができる。
【0125】
第3の例示の濾材は、濾材が所望の低い圧力損失を示すようなものを提供することができる。第3の例示の濾材は、約5.27流路/cm
2(34流路/インチ
2)未満、好ましくは、約3.88流路/cm
2(25流路/インチ
2)未満の比較的低い流路の密度を持つことができる。さらに、濾材の流路の長さは、中位の長さまたは長い長さであり得る、少なくとも約12.7cm(5インチ)の長さを持つことができる、約15.24cm(6インチ)〜約30.48cm(12インチ)の長さを持つことができる。流路が非対称な体積を持つまたは持たない第3の例示の濾材を提供することができる。流路の非対称な体積を提供するとき、濾材は約30%より大きい、または約70%より大きい流路の非対称な体積を持つことができる。流路は、テーパ状としてまたは非テーパ状として提供することができる。
【0126】
第4の例示の濾材は、所望レベルのダスト充填容量と所望の圧力損失とのバランスを供給することができる。比較的長い流路を持つ第4の例示の濾材を供給することができる。例えば、濾材の流路の長さは、約20.32cm(8インチ)〜約30.48cm(12インチ)であり得る。テーパ状であるなしにかかわらず第4の例示の濾材を供給することができる。
【0127】
フィルタエレメント
ここで、
図19〜
図28を参照して、濾材積層体を含むフィルタエレメントを説明する。濾材積層体は、本明細書に記載された特徴に基づいておよび例示の濾材の定義に基づいて提供することができる。本明細書に特徴付けらたような濾材を受け入れるために
図19〜
図28で図示されたフィルタエレメントをどのようにも変更することができることが理解される。例えば、巻き付けまたは積層した濾材を提供することができる、記載されたような流路の長さと流路の密度を持つ濾材を提供することができる。さらに、
図19〜
図28で図示されるフィルタエレメントは、一般に、空気を濾過するために使用することができるので、空気の濾過用エレメントとして特徴付けられる。
【0128】
濾材積層体は、例えば、その開示が引用により本明細書に合体される米国特許第6,350,291号、米国特許出願第2005/0166561号、および国際特許出願公開第2007/056589号に記載されたように、半径方向シールを含むフィルタエレメントの一部として供給できる。例えば、
図19を参照すると、フィルタエレメント300は、濾材シート結合体を巻いた濾材積層体302として提供することができ、かつ、第1面304と第2面306を含む濾材積層体301を含むことができる。フレーム308は、濾材積層体310の第1端部上に提供され、第1面304を超えて伸びることができる。また、フレーム308は、第1面304を超えて伸びる周辺部312と支持材314に階段または減少部を含むことができる。シール部材316は支持材314上に提供される。フィルタエレメント301がハウジング320中に挿入されると、シール部材316は、ハウジングシール表面322に係合してシールを提供し、濾過されていない空気が濾材積層体300を迂回しないようにする。シール部材316は、半径方向にハウジングシール表面322と係合してシールを提供するシール表面317を含むので、半径方向シールとして特徴付けすることができる。さらに、フレーム308は、濾材積層体のクロスブレースあるいは支持体構造物324を含む。支持体構造物324は、フレーム308を支え、空気濾材積層体300のはめ込みを減少するように補助することができる。アクセスカバー324は、ハウジング320中でフィルタエレメント300の囲いを提供することができる。
【0129】
濾材積層体は、半径方向シール構成物上に変形を持つフィルタエレメントの一部として供給することができる。
図20に示されるように、シール330は、フレーム332を濾材積層体334に保持するのを補助することができる。
図19に示されるように、フレーム308は濾材積層体301に接着剤で取付けることができる。
図20に示されるように、フレーム332は、第1面336に隣接して提供され、シール330は、追加の接着剤を使用せずに、濾材積層体334上に支持材332を保持するように提供することができる。シール330は、第1端部340で濾材積層体334の外部表面上にかつシール支持材338の両側に沿って伸びている、オーバモールドシールとして特徴付けることができる。
【0130】
濾材積層体は、その全体の開示が引用により本明細書中に合体される米国特許第6,235,195号によるフィルタエレメントの一部として提供することができる。ここで
図21を参照すると、フィルタエレメント350は、長方形または競馬場の形状と、濾材積層体の外部に外接する端部に取り付けられた軸方向のピンチシール354とを持つ、巻き付けられた濾材積層体352を含む。示される軸方向ピンチシール354は、濾材積層体の第1面356と第2面358の間に提供される。軸方向ピンチシール354は、基部360とフランジ部362とを含む。基部360は濾材積層体への取り付けのために提供することができる。フランジ部362は、2つの表面の間にはさまれてシールを形成する。表面の1つは、フィルタエレメント350を含むハウジングの表面であり得る。さらに、フランジ部362をはさむ他の構造は、ハウジング中に提供されるアクセスカバーあるいは別の構造であり、濾過されていない空気が濾材積層体を迂回せずに濾材積層体を通過するようにシールを維持するのを助ける。フィルタエレメント350は、第1面356から軸方向に延びているハンドル364を含むことができる。所望であれば、第2面358から軸方向に伸びているハンドルを提供することができる。ハンドル364は、人がハウジングからフィルタエレメント350を引きだすかまたは取り外すのを可能にする。
【0131】
ここで
図22〜24を参照すると、フィルタエレメントは参照番号400で示される。フィルタエレメント400は、巻き付けた濾材積層体402、ハンドル構成物404、およびシール構成物406を含む。フィルタエレメントの構造物の詳細は、米国特許第6,348,084号に記載され、その全体の開示は引用により本明細書に合体する。前に記載した濾材シート結合体は、フィルタエレメント400を調製するために使用することができる。
【0132】
ハンドル構成物404は、中央ボード408、ハンドル410、およびフック構造物412を含む。濾材シート結合体は、ハンドル410が濾材積層体402の第1面414から軸方向に伸びるように、中央ボード408の周囲に巻き付けられている。フック構成物412は、濾材積層体402の第2面416から伸びている。ハンドル410は、オペレータがハウジングからフィルタエレメント400を取り外すのを可能にする。フック構造物412は、クロスブレースまたは支持体構造物420への取り付け具を提供する。フック構造物412は、クロスブレースまたは支持体構造物420と係合するフック部材422、424を含む。クロスブレースまたは支持体構造物420は、第2面426から伸びかつシール支持体部材432を含むシール支持体構造物430の一部として提供することができる。シール434は、フィルタエレメント400とハウジングの間にシールを供給するために、シール支持材部材432上に提供することができる。シールが半径方向の対面シール面436とハウジングシール面の接触の結果としてシーリングを提供する場合、シール434は、半径方向シールとして特徴付けることができる。
【0133】
濾材積層体は、その全体の開示が引用により本明細書中に合体される米国特許第6,348,085号に示されるガスタービンシステムの一部として提供することができる。例示のガスタービン用濾過エレメントは、
図25の参照番号450で示される。フィルタエレメント450は、第1フィルタエレメント452と第2フィルタエレメント454とを含み得る。第2フィルタエレメント454は、安全フィルタエレメントと呼ばれる。メイン・フィルタエレメント452は、前に本明細書で記載されたように濾材積層体として提供することができる。濾材積層体は、濾材シート結合体を巻き付けた結果として、または、濾材シート結合体の積層の結果として、提供することができる。第1フィルタエレメント452と第2フィルタエレメント454は、スリーブ部材460中に固定される。スリーブ部材460は、シール464を含むフランジ462を含む。取り付け時に、フィルタエレメント450は、濾過されていない空気がフィルタエレメント450を迂回しないように十分なシールを提供するように、シール464が十分なシールを提供するように、支持材466に隣接してかつ適所にクランプ200によってフランジ462とシール464が支えられるように提供することができる。
【0134】
濾材積層体を利用することができる別のフィルタエレメントは、その全体の開示が引用により本明細書に合体される米国特許第6,610,126号に記載されている。ここで、
図26を参照すると、フィルタエレメント500は、濾材積層体502、半径方向シール構成物504、およびダストシール構成物506を含む。フィルタエレメント500は、エアクリーナハウジング510中に提供され、フィルタエレメント500の下流に、安全または二次フィルタエレメント512を含むことができる。また、アクセスカバー514はエアクリーナハウジング510を囲むために提供することができる。エアクリーナハウジング510とアクセスカバー514は、ダストシール構成物506がピンチシールとして特徴付けられるようにダストシール構成物506をはさむことができる。
【0135】
濾材積層体は、その開示が引用により本明細書に合体される国際特許出願公開第2006/076479号と国際特許出願公開第2006/076456号に基づく積層濾材積層体として提供することができる。ここで
図27を参照すると、フィルタエレメントは、積層されブロック化された濾材積層体602を含む参照番号600で示される。積層されブロック化された濾材積層体602は、長方形または直角(標準)の平行四辺形濾材積層体として特徴付けることができる。濾材積層体602の対向する端部をシールするために、側部パネル604、606が配置される。側部パネル604、606は、それぞれ積層された濾材シート結合体の先端部と末端部を閉じる。濾材積層体602は、対抗する流れ面610と流れ面612を持つ。流れ面610と流れ面612との間に流路が提供されず、空気が濾材積層体602の濾材を通過して濾過される必要がないことが指摘される。周辺部の周囲ハウジングシールリング614は、空気フィルタエレメント600中に配置される。図示された特定のシールリング614は、軸方向ピンチシールリングである。所望であれば、保護シートまたはパネルを濾材積層体表面620と622上に提供することができる。
【0136】
濾材積層体は、その全体の開示が引用により本明細書中に合体される国際特許出願公開第2007/133635号に基づく積層濾材積層体として提供することができる。ここで、
図28を参照すると、フィルタエレメントは参照番号650で示される。フィルタエレメント650は、第1入口面、この場合、入口面654と、対抗する第2出口面、この場合、出口面656を有する積層Z型濾材積層体652を含む。さらに、フィルタエレメント650は、上側側部660と、下側側部662と、対向する側部端部664と側部端部666とを含む。一般に、積層Z型濾材積層体652は、対面濾材シートに固定された波形濾材シートを含む濾材シート結合体の細長片の1つまたはそれ以上の積層体を含む。細長片は、傾いた配置で提供することができる。細長片は、入口面654と出口面656との間に流路が伸びた状態で構成される。図示されたフィルタエレメント650は、2つの積層された濾材積層体670と濾材積層体672を含む積層されたZ型フィルタ濾材積層体を含む。シール部材680は濾材積層体中に成形加工することができる。
【0137】
例示の
図19〜28を考慮すると、空気濾材積層体は、増強された性能を提供し、次に様々なハウジング構成物中で使用できるフィルタエレメントを形成するために、様々な構成物に提供できることが理解される。
【0138】
実施例
様々な流路設計を含む濾材を持つフィルタエレメントは、濾材性能のモデリングソフトウェアを使用して比較された。フィルタエレメントは、この実施例示のために製造されて試験されなかった。代わりに、フィルタエレメントとフィルタエレメントコンポーネントの寸法、フィルタエレメントとフィルタエレメントコンポーネントの性質と特徴、使用条件、および濾過される空気の特徴が濾材の性能をモデル化するコンピュータプログラムに入力された。濾材性能のモデリングソフトウェアは、実際のドナルドソン会社の濾材のテストランに基づいて確認された。コンピュータソフトウェアのモデリングの結果は、約10%以内の誤差を有すると予想される。異なる濾材設計の代替物を評価する目的のために、約10%以内の誤差値は、モデリングソフトウェアがいろいろな設計オプションを評価できるのに十分低いものであると信じられている。コンピュータモデリングソフトウェアのために、選択されたダストは、SAEとして特徴付けられる。
【0139】
表2〜表8は、フィルタエレメントの特徴とコンピュータで得られる結果を含む。表では、濾材の性能モデルソフトウェアを使用して評価されたエレメントの大きさが特定される。エレメントの大きさは、エレメントの総合的な大きさを言う。
【0140】
各表で特徴付けられたフィルタエレメントは、最後に特定された寸法に対応する深さまたは流路の長さを有する積層されたエレメントである。例えば、表2(a)では、エレメントは、流路の長さが12.7cm(5インチ)であり、20.32cm(8インチ)×30.48cm(12インチ)の大きさである。エレメント1に対し、流路種類は規格Bとして特徴付けられる。エレメント2、3では、エレメントの体積を比較的一定に保ちながら、エレメントの形状を変えた。エレメント4から始まる流路種類は、規格Bと考えることができず、弓形−フラット−弓形として特徴付けられる。弓形−フラット−弓形は、一般に、波形濾材シートの内部ピークと外部ピークを形成する弓形、内部ピークと外部ピークを接続する濾材の比較的平らな部分を持つ流路の形状を示している。エレメント17〜19に対して、流路種類は低接触として特徴付けることができる。低接触の形状は、一般に、
図5(a)で示される。
【0141】
表2〜8のフィルタエレメントは、流路の密度、非対称な体積、流路の幅/高さ比、流路の高さ、流路のピッチ、プラグの長さ、および濾材の厚さによって、さらに特徴付けられる。この情報の結果として、コンピュータモデリングソフトウェアは、初期の圧力損失、30.48cm(12インチ)水柱圧力損失までのSAE微細充填、体積、および要求された濾材の面積について計算する。これらの値は、濾材を通る規定流量に対して決定される。さらに、表は、基準フィルタとの比較を含んでいる。一般に、表に対する基準フィルタは、その表の第1に記載されたエレメントを示す。その結果として、性能変化は、設計変更の結果として、異なるエレメント間で評価することができる。
【0142】
表2〜表8のデータによって示される一般的な教示は、フィルタエレメントの設計における多くの変更によって実質的に性能を向上させることができるということである。さらに、1つの変更は、複数の変更と比べて大きな改良を提供するというわけではない。
【0157】
上記の明細書、実施例、およびデータは、本発明の濾材およびフィルタエレメントの製造および使用について完全な記載を供給する。本発明の多くの実施例は、本発明の趣旨と範囲から逸脱せずに成することができるので、本発明は、本明細書の以下に添付した特許請求の範囲にある。