特許第5728528号(P5728528)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5728528基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728528
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 17/00 20060101AFI20150514BHJP
   H05K 3/44 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   C01F17/00 A
   H05K3/44 A
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-122568(P2013-122568)
(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公開番号】特開2014-240334(P2014-240334A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2013年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】507296791
【氏名又は名称】コリア エレクトロテクノロジー リサーチ インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】コ、ロックキル
(72)【発明者】
【氏名】ハ、ドンウ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ミョンファン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】カン、ボミン
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−290959(JP,A)
【文献】 特開平05−155616(JP,A)
【文献】 特開2011−246331(JP,A)
【文献】 特開2003−286029(JP,A)
【文献】 特開2008−044833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 17/00
H05K 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イットリウムアセテートテトラハイドレートとメタノールとを混合して混合物を形成させ、攪拌させる第1段階と、
前記第1段階の混合物にキレート剤としてのジエタノールアミンを投入し、攪拌させて合成物を合成させる第2段階と、
前記第2段階で合成された合成物をフィルターを用いてフィルタリングさせてゾルを収得する第3段階と、を含んでいることを特徴とする、基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法。
【請求項2】
前記第1段階は50℃〜60℃で30分〜5時間行われることを特徴とする、請求項1に記載の基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法。
【請求項3】
前記第2段階で投入されるジエタノールアミンは前記メタノールの体積に対して5〜20体積%で投入されることを特徴とする、請求項1に記載の基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法。
【請求項4】
前記第2段階のジエタノールアミンの投入はシリンジを用いて行われることを特徴とする、請求項1に記載の基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法。
【請求項5】
前記第2段階は30分〜5時間行われることを特徴とする、請求項1に記載の基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法。
【請求項6】
前記第3段階のフィルタリングはシリンジフィルターを用いて行われることを特徴とする、請求項1に記載の基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法。
【請求項7】
前記ゾルは基板の上面にコーティングされることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法。
【請求項8】
前記基板はハステロイ(hastelloy)であることを特徴とする、請求項7に記載の基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法。
【請求項9】
前記コーティングは浸漬コーティング(dip coating)法で行われることを特徴とする、請求項8に記載の基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法。
【請求項10】
前記コーティングは2回以上行われることを特徴とする、請求項7に記載の基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法に係り、さらに詳しくは、基板の上面に塗布されて基板を平坦化させると同時に緩衝層の役割を果たす、基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のディスプレイ市場の需要が急増するにつれて、電気素子用応用製品などの先端エネルギー技術のための材料やプリント基板製作用回路ボードなどで機械的に研磨して製作された薄膜用多用途基板が多く用いられている。
【0003】
多用途基板の場合、基板用材料を作るために圧延によって製作されるが、このような方式は、多用途基板の製造コストを低めかつ小さい体積と軽い重さを有するという利点を持っている。
【0004】
ところが、多用途基板は、時々、薄膜やフィルムの蒸着のために求められる表面粗さを満足させないため、低い製作コストにも拘らず、多様な分野に提供できないことがある。
【0005】
よって、前記多用途基板を平坦化しなければならない。平坦化工程としては機械的研磨、電気的研磨、化学的研磨などが挙げられる。これらの工程は表面の粗さを低めて薄膜の蒸着を容易にする。機械的研磨によって製作された薄膜用多用途基板は、電気素子用製品(高温超伝導体と太陽電池)などの先端エネルギー技術のための材料と既存のディスプレイとプリント基板製作用回路ボードにおいても多く用いられている。
【0006】
多用途基板は、基板用材料を作るために圧延工程を数回行って製作する。このような方式は、多用途基板の製造コストを低め、体積を減らし、軽量化が可能であるうえ、既存の製造装置と共に使用可能であるという利点を持っている。
【0007】
ところが、多用途基板は、時々、薄膜やフィルムの蒸着のために求められる表面粗さを満足させないため、低い製作コストにも拘らず、大きな結実を結ばないことがある。
【0008】
電気的研磨は、長尺の金属基板の平坦化処理を含む速い準備過程のために開発された。ところが、この方法は所望の広い物質の平坦化に適さず、特定のニッケル化合物にのみ適用可能であるという欠点がある。
よって、多用途基板を平坦化させかつ緩衝層を形成させるための方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上述した従来の技術の問題点を解決するために案出されたもので、その目的は、ゾルゲル工程によって製作されたイットリア(Y)溶液を製造するが、基板の上面に塗布されて基板を平坦化させると同時に基板物質の拡散を防ぐ拡散障壁(diffusion barrier)としての緩衝層の役割を果たす、基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、イットリウムアセテートテトラハイドレートとメタノールとを混合して混合物を形成させ、攪拌させる第1段階と、第1段階の混合物にキレート剤としてのジエタノールアミンを投入し、攪拌させて合成物を合成させる第2段階と、前記第2段階で合成された合成物をフィルターを用いてフィルタリングさせてゾルを収得する第3段階とを含んでいる、基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法を提供する。
前記第1段階は50℃〜60℃で30分〜5時間行われることが好ましい。
前記第2段階で投入されるジエタノールアミンは前記メタノールの体積に対して5〜20体積%で投入されることが好ましい。
前記第2段階のジエタノールアミンの投入はシリンジ(syringe)を用いて行われることが好ましい。
前記第2段階は常温で30分〜5時間行われることが好ましい。
前記第3段階のフィルタリングはシリンジフィルターを用いて行われることが好ましい。
前記ゾルは基板の上面に蒸着されることが好ましい。
前記基板はハステロイ(hastelloy)であることが好ましい。
前記蒸着は浸漬コーティング(dip coating)法で行われることが好ましい。
前記蒸着は2回以上行われることが好ましい。
【0011】
これにより、ゾルゲル工程によって製作されたイットリア溶液を製造するが、基板の上面に塗布されて基板を平坦化させると同時に基板物質の拡散を防ぐ拡散障壁(diffusion barrier)としての緩衝層の役割を果たすという利点がある。
【発明の効果】
【0012】
上述した構成による本発明は、ゾルゲル工程によって製作されたイットリア溶液を製造するが、基板の上面に塗布されて基板を平坦化させると同時に基板物質の拡散を防ぐ拡散障壁(diffusion barrier)としての緩衝層の役割を果たすという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法を示す工程図である。
図2】本発明の実施例によって製造されたイットリアゾルを基板に蒸着させる蒸着装置を示す概略図である。
図3】表面処理されていないハステロイ(hastelloy)基板の表面変化によるAFMイメージを示す図である。
図4】本発明の第1実施例によって製造された基板の表面変化によるAFMイメージを示す図である。
図5】本発明の第2実施例によって製造された基板の表面変化によるAFMイメージを示す図である。
図6】本発明の第3実施例によって製造された基板の表面変化によるAFMイメージを示す図である。
図7】本発明の第1実施例によって製造された基板のオージェ測定結果を示す図である。
図8】本発明の第2実施例によって製造された基板のオージェ測定結果を示す図である。
図9】本発明の第3実施例によって製造された基板のオージェ測定結果を示す図である。
図10】本発明のジエタノールアミンの量による平坦化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明に係る基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法を示す工程図で、図2は本発明の実施例によって製造されたイットリアゾルを基板に蒸着させる蒸着装置を示す概略図で、図3は表面処理されないハステロイ基板の表面変化によるAFMイメージを示し、図4は本発明の第1実施例によって製造された基板の表面変化によるAFMイメージを示し、図5は本発明の第2実施例によって製造された基板の表面変化によるAFMイメージを示し、図6は本発明の第3実施例によって製造された基板の表面変化によるAFMイメージを示し、図7は本発明の第1実施例によって製造された基板のオージェ測定結果を示し、図8は本発明の第2実施例によって製造された基板のオージェ測定結果を示し、図9は本発明の第3実施例によって製造された基板のオージェ測定結果を示している。
【0016】
図示したように、本発明に係る基板の緩衝層用イットリア溶液の製造方法は、イットリウムアセテートテトラハイドレートとメタノールとを混合して混合物を形成させ、攪拌させる第1段階と、第1段階の混合物にキレート剤としてのジエタノールアミンを投入し、攪拌させて合成物を合成させる第2段階と、前記第2段階で合成された合成物をフィルターを用いてフィルタリングさせてゾルを収得する第3段階とを含んでいる。
【0017】
まず、前記第1段階ではイットリウムアセテートテトラハイドレートとメタノールを混合して混合物を形成させ、攪拌させるが、攪拌は50℃〜60℃で30分〜5時間行われる。
【0018】
続いて、第2段階が行われる。第2段階では、第1段階の混合物にキレート剤としてのジエタノールアミンを投入し、攪拌させて合成物を合成させるが、ジエタノールアミンの投入はシリンジを用いて行う。この際、攪拌は常温で30分〜5時間行われる。
【0019】
第2段階で投入されるジエタノールアミンの量は、第1段階で投入されるメタノールの量に対して5〜20%以上であっても、所望の結果を得るには十分ではない。図10に示すように、ジエタノールアミンの量が5%以下および20%以上の場合は繰り返しコートしたときに一貫した再現性がないことが分かる。
【0020】
次に、第3段階が行われる。前記第2段階で合成された合成物をシリンジフィルターを用いてフィルタリングさせてゾルを収得する第3段階を経ると、本発明に係るイットリア溶液が製造される。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0022】
<第1実施例>
本発明の第1実施例は、イットリウムアセテートテトラハイドレート(Yttrium acetatetetrahydrate)(Alfa Aesar Chemical Co.,99.9%)を基本出発物質として用いるが、精製なしでそのまま用いる。
溶媒としては、メタノール(Methyl alcohol)(Aldrich Chemical Co.,99%)を用いた。0.1Mのイットリウムアセテートテトラハイドレート3.4gをメタノール90mLに添加して混合物を形成させ、前記混合物を約55℃の温度で約1時間マグネチックバーを用いてゆっくり攪拌させる。
【0023】
その後、前記混合物にキレート剤としてのジエタノールアミン(Diethanolamine)10mLをシリンジ(syringe)を用いてゆっくり投入し、常温で2時間攪拌させて合成物を形成させる。
【0024】
合成された合成物は、最終的に0.22μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターによってフィルタリングさせて最終的なゾルを収得する。
【0025】
<第2実施例>
本発明の第2実施例は、イットリウムアセテートテトラハイドレート(Alfa Aesar Chemical Co.,99.9%)を基本出発物質として用いたが、精製しないでそのまま用いる。
【0026】
溶媒としては、メタノール(Methyl alcohol)(Aldrich Chemical Co.,99%)を用いる。0.4Mのイットリウムアセテートテトラハイドレート13.6gをメタノール90mLに添加して混合物を形成させ、前記混合物を約55℃の温度で約1時間マグネチックバーを用いてゆっくり攪拌させる。
その後、前記混合物にキレート剤としてのジエタノールアミン10mLをシリンジを用いてゆっくり投入し、常温で2時間攪拌させて合成物を形成させる。
【0027】
合成された合成物は、最終的に0.22μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターによってフィルタリングさせて最終的なゾルを収得する。
【0028】
<第3実施例>
本発明の第3実施例は、イットリウムアセテートテトラハイドレート(Alfa Aesar Chemical Co.,99.9%)を基本出発物質として用いるが、精製なしでそのまま用いる。
【0029】
溶媒としては、メタノール(Methyl alcohol)(Aldrich Chemical Co.,99%)を用いた。0.6Mのイットリウムアセテートテトラハイドレート20.4gをメタノール90mLに添加して混合物を形成させ、前記混合物を約55℃の温度で約1時間マグネチックバーを用いてゆっくり攪拌させる。
その後、前記混合物にキレート剤としてのジエタノールアミン10mLをシリンジを用いてゆっくり投入し、常温で2時間攪拌させて合成物を形成させる。
【0030】
合成された合成物は、最終的に0.22μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターによってフィルタリングさせて最終的なゾルを収得する。
【0031】
前記第1、第2および第3実施例は、添加されるイットリウムアセテートテトラハイドレートの添加量(モル数)を異ならせた以外は同様の過程を経て最終的にゾルを形成させる。
次に、前記それぞれの実施例で製造されたゾルを基板の上面に蒸着し、しかる後に、基板の物性などを測定した。以下、これについて詳細に説明する。
前記イットリアゾルの蒸着のための基板としては、厚さ0.05mm、長さ230cmのハステロイC−276金属テープを用いる。
本発明の蒸着装置は、図2のようなリール・トゥ・リール(Reel-to-reel)方式を用いた蒸着装置を使用する。
【0032】
この装置は、基本的に、溶液を収容する槽(bath)200と、金属基板100を蒸着温度まで昇温するための石英炉(Quartz furnace)300と、線材のテンション(Tension)を調節するためのテンション器400と、線材の連続的なコーティングのためのモーターとから構成される。
溶液を収容する槽200は、溶液に影響されないテフロン(登録商標)材質のビーカーとする。
【0033】
コートされた溶液の熱処理のための石英炉300は、熱に少なく影響されるようにするために石英を用いて、30mmの直径および300mmの長さを有するように、かつ加熱温度を900℃まで調節することができるように製作される。
また、酸素雰囲気を作るために空気ガスに連結される管をさらに設置することができる。
【0034】
線材の連続的なコーティングのためにモーター(図示せず)を設置した。このモーターはrpmの調節が可能である。熱処理された線材の膨張現象に対するテンションを調節するためにテンション器400を設置する。
【0035】
上述したように形成された蒸着装置を用いて、Y緩衝層を製作するために、線材が槽(bath)200内に浸かった後に熱処理が繰り返し行われる連続的なテープループコーター(Tape loop coater)で浸漬コーティング(Dip coating)方法によって蒸着が行われる。
【0036】
基板100である金属テープは、20μm×20μmのスケールで67nmのRMS粗さを有し、5μm×5μmのスケールで31.8nmのRMS粗さをそれぞれ有する。
基板であるテープを動かす速度は分当たり100mmである。
【0037】
浸漬コーティングのための槽200は、テープが溶液に浸かるように回転自在な滑車と、液体を注入し或いはテープの移動が可能な出入口とを備える。テープは、コーティング後に溶媒が乾燥する間に石英炉内の流体の揺動を減少させるために内部の流体流れが制御される石英炉に入ることになる。石英炉内で順次Yのコンバージョンが起こりかつ炭化水素の酸化現象が石英炉で500℃±10で起こるように制御される。
【0038】
63mL/minの乾燥圧縮された空気は、十分に酸化させかつ石英炉内の副産物を除去する役割を果たす。そして、多重コーティングはループコーターで連続的なコーティングによって行われる。
【0039】
図2のような蒸着装置を用いるが、第1実施例、第2実施例および第3実施例で製造されたY溶液を槽に充填して基板の上面に蒸着する方式で薄膜を製造する。
前記蒸着は多数回行われるが、最大30層まで蒸着された。
前記蒸着された薄膜に対して物性の測定を行う。次に、これについて詳細に説明する。
【0040】
1.表面粗さの分析
図3は表面処理されないハステロイ(hastelloy)基板の表面変化による4箇所のAFMイメージを示す。表面粗さ(Rρμσ)は5μm×5μmのスケールで31.8nmの平均を示した。
【0041】
本発明の第1実施例に係る溶液をコートした場合の基板の表面変化によるAFMイメージを図4に示す。図4において、(a)は5回の蒸着、(b)は10回の蒸着、(c)は15回の蒸着、(d)は20回の蒸着、(e)は25回の蒸着、(f)は30回の蒸着をそれぞれ行った場合を示すもので、蒸着回数が増加すると表面粗さは減少することが分かる。
【0042】
本発明の第2実施例に係る溶液をコートした場合の基板の表面変化によるAFMイメージを図5に示す。図5において、(a)は5回の蒸着、(b)は10回の蒸着、(c)は15回の蒸着、(d)は20回の蒸着、(e)は25回の蒸着、(f)は30回の蒸着をそれぞれ行った場合を示すもので、蒸着回数が増加すると表面粗さは減少することが分かる。
【0043】
本発明の第3実施例に係る溶液をコートした場合の基板の表面変化によるAFMイメージを図6に示す。図6において、(a)は5回の蒸着、(b)は10回の蒸着、(c)は15回の蒸着、(d)は20回の蒸着、(e)は25回の蒸着、(f)は30回の蒸着をそれぞれ行った場合を示すもので、蒸着回数が増加すると表面粗さは減少することが分かる。
【0044】
上述したように、本発明の実施例に係るイットリア溶液を基板の上面に蒸着する場合、蒸着回数が増加すると、表面粗さは減少する。よって、蒸着回数を調節して基板に蒸着する場合、所望の表面粗さを有する薄膜を形成することができ、蒸着回数が増えると、基板の表面は平坦化されることが分かる。
【0045】
2.緩衝層の分析
本発明の実施例に係る薄膜が緩衝層になるか否かを確認するためにオージェ(auger)分析を行った。
図7は本発明の第1実施例によって30回蒸着された薄膜のオージェ分析結果を示す図である。図7より、時間経過に伴って、ハステロイ基板の構成元素であるニッケルが検出されることを確認することができる。これは第1実施例の蒸着回数を増加させなければならないことを意味する。
【0046】
図8は本発明の第2実施例によって30回蒸着された薄膜のオージェ分析結果を示す図である。図8より、時間経過に伴って、ハステロイ基板の構成元素であるニッケルが全く検出されないことが分かる。これは30回程度蒸着された薄膜でも緩衝層の役割を果たすことができることを意味する。
【0047】
図9は本発明の第3実施例によって30回蒸着された薄膜のオージェ分析結果を示す図である。図9より、時間経過に伴って、ハステロイ基板の構成元素であるニッケルが全く検出されないことが分かる。これは30回程度蒸着された薄膜でも緩衝層の役割を果たすことができることを意味する。
上述したように、本発明の実施例に係るイットリア溶液を基板の上面に蒸着する場合、蒸着回数を調節すると、緩衝層の役割を果たすことができることが分かる。
【符号の説明】
【0048】
100 基板
200 槽(bath)
300 石英炉
400 テンション器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10