(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、フラットパネルディスプレイの製造に用いられるガラスシートの表面には、高い清浄度が要求される。そのため、ガラスシートの表面に付着している異物を除去するために、特許文献2(特開2001−181686号公報)に開示されるように、無機アルカリ系の洗浄剤を用いてガラスシートの表面を洗浄する方法が用いられている。しかし、このような洗浄方法では、洗浄後にガラスシートの表面に残留している有機物に起因して、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の高い密着性が十分に達成できないおそれがある。
【0007】
本発明は、表面への樹脂の密着性を向上させたカラーフィルタ用ガラスシートの製造方法、カラーフィルタパネルの製造方法、および、ディスプレイ用ガラス基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る、ブラックマトリックス樹脂が表面に形成されるカラーフィルタ用ガラスシートの製造方法は、ガラスシート製造工程と、ガラスシート洗浄工程とを備える。ガラスシート製造工程では、熔融ガラスからガラスリボンを成形し、ガラスリボンを切断してガラスシートを形成する。ガラスシート洗浄工程では、ガラスシートの表面を洗浄して、表面に付着している異物を除去する。ガラスシート洗浄工程は、第1洗浄工程と、第2洗浄工程とを有する。第1洗浄工程では、界面活性剤が添加された無機アルカリ系の洗浄剤を用いて表面を洗浄する。第2洗浄工程では、0.1%〜2.38%の濃度を有する水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いて表面を洗浄する。ガラスシート洗浄工程において、ガラスシートは、表面に存在している有機物の質量が、表面1cm
2当たり8ng以下となるように洗浄される。また、第1洗浄工程の終了から第2洗浄工程の開始までの間において、ガラスシートの表面は、ウェットな状態に保たれる。これにより、第2洗浄工程後におけるガラス基板の表面の有機物の付着量のコントロールが可能となる。
【0009】
本発明に係るカラーフィルタ用ガラスシートの製造方法では、ダウンドロー法またはフロート法により製造されたガラスシートは、最初に、無機アルカリ系の洗浄剤を用いて表面を洗浄する第1洗浄工程が行われ、次に、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いて表面を洗浄する第2洗浄工程が行われる。TMAHは、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性の低下の原因となる有機物を、ガラスシートの表面から除去する効果を有する。また、第1洗浄工程を行った後に第2洗浄工程を行うことで、第1洗浄工程において無機アルカリ系の洗浄剤に含まれる界面活性剤に由来する有機物がガラスシートの表面に付着しても、続く第2洗浄工程において、その有機物はガラスシートの表面から除去される。すなわち、このカラーフィルタ用ガラスシートの製造方法では、第2洗浄工程によって、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性の低下の原因となる有機物を、ガラスシートの表面から効果的に除去することができる。従って、本発明に係るカラーフィルタ用ガラスシートの製造方法は、ガラスシート表面への樹脂の密着性を向上させることができる。
【0011】
また、ガラスシート洗浄工程において、ガラスシートは、疎水性有機物の質量が、表面1cm
2当たり0.01ng〜0.25ngとなるように洗浄されることが好ましい。疎水性有機物は、ガラスシートの表面に存在している有機物のうち、GC/MSにおける保持時間が18分以上である有機物である。また、疎水性有機物は、芳香族化合物である。ガラスシートの表面に付着している有機物であって、GC/MSにおける保持時間が18分以上である疎水性有機物には、ベンゼン環を有する有機物である芳香族化合物が含まれる。芳香族化合物は、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性の低下の原因となる有機物である。
【0012】
また、ガラスシート洗浄工程において、ガラスシートは、表面に存在している疎水性有機物の質量が、表面1cm
2当たり0.01ng〜0.15ngとなるように洗浄されることが好ましい。疎水性有機物は、ガラスシートと比較して疎水性が高い有機物である。言い換えると、疎水性有機物は、ガラスシートよりも水に対する親和性が低い有機物である。
【0013】
また、ガラスシートの表面は、0.7nm未満の表面粗さRaを有することが好ましい。表面粗さRaは、ガラスシートの表面の粗さを表すパラメータの一種である「中心線平均粗さ」である。ガラスシートの表面粗さRaが0.7nm未満の場合、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性に影響がない。
【0014】
本発明に係る、ガラス基板の表面に樹脂膜が形成されたカラーフィルタパネルの製造方法は、第1洗浄工程と、第2洗浄工程と、樹脂膜形成工程とを備える。第1洗浄工程では、樹脂膜が形成される表面を、界面活性剤を含む無機アルカリ系の洗浄剤を用いて洗浄する。第2洗浄工程では、樹脂膜が形成される表面を、0.1%〜2.38%の濃度を有する水酸化テトラメチルアンモニウムを用いて洗浄する。樹脂膜形成工程では、表面における有機物の付着量が1cm
2当たり8ng以下であり、かつ、GC/MSにおける保持時間が18分以上である疎水性有機物の表面における付着量が1cm
2当たり0.25ng以下である表面に、樹脂膜を形成する。また、第1洗浄工程の終了から第2洗浄工程の開始までの間において、ガラス基板の表面は、ウェットな状態に保たれる。これにより、第2洗浄工程後におけるガラス基板の表面の有機物の付着量のコントロールが可能となる。また、樹脂膜形成工程において、樹脂膜がブラックマトリックスであって、ブラックマトリックスを3μm〜15μmの線幅でパターニングすることが好ましい。
【0015】
本発明に係るカラーフィルタパネルの製造方法では、上述した理由により、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性の低下の原因となる有機物を、ガラスシートの表面から効果的に除去することができる。従って、本発明に係るカラーフィルタパネルの製造方法は、カラーフィルタパネル表面への樹脂の密着性を向上させることができる。
【0016】
本発明に係るディスプレイ用ガラス基板は、表面における有機物の付着量が1cm
2当たり8ng以下であり、かつ、表面における芳香族化合物の付着量が、1cm
2当たり0.25ng以下である。
【0017】
本発明に係るディスプレイ用ガラス基板は、表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性の低下の原因となる芳香族化合物の表面における付着量が小さいため、ガラス基板表面への樹脂の密着性が高い。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るカラーフィルタ用ガラスシートの製造方法は、ガラスシート表面への樹脂の密着性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明に係るカラーフィルタパネルの製造方法は、カラーフィルタパネル表面への樹脂の密着性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係るディスプレイ用ガラス基板は、ガラス基板表面への樹脂の密着性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(1)ガラスシートの組成
本発明に係るカラーフィルタ用ガラスシートの製造方法について、実施形態に基づいて説明する。本実施形態で製造されるカラーフィルタ用ガラスシートは、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造に用いられるガラスシートである。このガラスシートは、ブラックマトリックス、および、赤色(R)・緑色(G)・青色(B)の光を透過させる波長選択素子であるRGB画素が表面に配置されることで、カラーフィルタが形成される。ブラックマトリックスは、RGB画素領域以外におけるバックライトの光漏れを遮断し、互いに隣接するRGB画素の混色を防止することで、表示コントラストを向上させる。すなわち、カラーフィルタにおける光の通過領域は、ブラックマトリックスの形状および配置により決定される。ガラスシートの厚みは、例えば、0.1mm〜0.7mmである。ガラスシートのサイズは、例えば、680mm×880mm(G4サイズ)、2200mm×2500mm(G8サイズ)である。
【0023】
FPDの製造に用いられるガラスシートは、無アルカリガラス、または、微アルカリガラスが好適である。ガラスシートが無アルカリガラスである場合、ガラスの組成は、例えば、SiO
2:50質量%〜70質量%、Al
2O
3:0質量%〜25質量%、B
2O
3:1質量%〜15質量%、MgO:0質量%〜10質量%、CaO:0質量%〜20質量%、SrO:0質量%〜20質量%、BaO:0質量%〜10質量%である。ここで、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計の含有量は、5質量%〜30質量%である。
【0024】
ガラスシートが、微量のアルカリ金属を含む微アルカリガラスである場合、ガラスの組成は、さらに、0.1質量%〜0.5質量%のR’
2Oを含み、好ましくは、0.2質量%〜0.5質量%のR’
2Oを含む。ここで、R’は、Li、NaおよびKから選択される少なくとも1種である。なお、R’
2Oの含有量の合計は、0.1質量%未満であってもよい。
【0025】
また、ガラスシートは、上記成分に加えて、SnO
2:0.01質量%〜1質量%(好ましくは、0.01質量%〜0.5質量%)、Fe
2O
3:0質量%〜0.2質量%(好ましくは、0.01質量%〜0.08質量%)をさらに含有してもよく、環境負荷を考慮して、As
2O
3、Sb
2O
3およびPbOを実質的に含有しなくてもよい。
【0026】
(2)ガラスシートの製造方法の流れ
図1は、ガラスシートの製造方法の流れを示すフローチャートである。以下、フローチャートの各ステップS1〜S10について説明する。
【0027】
最初に、ステップS1において、上述の組成を有するガラスシートを製造するために調整されたガラス原料の加熱により熔融ガラスが生成され、ダウンドロー法、リドロー法またはフロート法等によって熔融ガラスまたはプリフォームガラスから所定の厚みを有するガラスリボンが連続的に成形される。ステップS2において、ステップS1で生成されたガラスリボンが切断されて、所定のサイズを有する素板ガラスが得られる。ステップS3において、ステップS2で得られた素板ガラスは、素板ガラスの表面を保護するための合紙を介して積層された積層体として、素板ガラスを搬送および保管するためのパレットに載置される。
【0028】
次に、ステップS4において、素板ガラスの積層体から素板ガラスが取り出され、素板ガラスは、製品であるガラスシートのサイズに切断される。ステップS5において、ステップS4で得られたガラスシートは、端面の研削および研磨、端面のエッチング等の端面加工処理が行われる。
【0029】
次に、ステップS6において、ガラスシートの洗浄が行われる。ガラスシートの洗浄工程では、ガラスシートの表面に付着した、ガラスの微小片であるカレット、塵、汚れ、粘着性の異物等が除去される。また、ガラスシートの洗浄工程では、洗浄されたガラスシートの表面にこれらの異物が再度付着しないように、界面活性剤が含まれる無機アルカリ系の洗浄剤が用いられる。
【0030】
次に、ステップS7において、ステップS6で洗浄されたガラスシートの光学的検査が行われる。具体的には、ガラスシートの表面に光学的欠陥を有するキズが形成されていないか、および、ガラスシートの表面に塵や汚れが付着していないか等の検査が行われる。ステップS8において、ステップS7の検査に合格したガラスシートは、ガラスシートの表面を保護するための合紙と交互に積層された積層体として、パレットに載置されて梱包される。ステップS9において、梱包されたガラスシートの積層体は、FPDの製造業者等の納入先に出荷される。出荷されるガラスシートの積層体に挟みこまれる合紙は、ガラスシートの表面に、合紙に由来する異物が付着することを防止する観点から、再生紙を含まないパルプ紙が用いられる。
【0031】
また、ステップS3においてパレットに載置された素板ガラスの積層体は、ステップS10において、数週間または数ヶ月の長期間に亘って保管されてもよい。この場合、保管される素板ガラスの積層体に挟みこまれる合紙は、コストおよび環境保護の観点から再生紙が用いられる。長期間保管された素板ガラスの積層体は、上述したように、ステップS4の切断工程からステップS8の梱包工程までを経て、ステップS9において出荷される。なお、ステップS8においてパレットに載置され梱包されたガラスシートの積層体が、ステップS10において、数週間または数ヶ月の長期間に亘って保管されてもよい。この場合、ガラスシートの積層体に挟みこまれる合紙として、再生紙が用いられてもよい。
【0032】
(3)ガラスシートの洗浄工程の流れ
次に、
図1のステップS6で行われるガラスシートの洗浄工程の詳細について説明する。ガラスシートの洗浄工程は、第1洗浄工程および第2洗浄工程からなる。第1洗浄工程では、界面活性剤が添加された無機アルカリ系の洗浄剤を用いてガラスシート表面の洗浄が行われる。第2洗浄工程では、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いてガラスシート表面の洗浄が行われる。
【0033】
第1洗浄工程で用いられる無機アルカリ系の洗浄剤は、市販のガラスシート用洗浄液を水で希釈して得られた希釈液に、アルカリ成分を添加することで生成される。ガラスシート用洗浄液としては、例えば、パーカーコーポレーション社製のPK−LCGシリーズ、あるいは、横浜油脂工業株式会社製のセミクリーンシリーズ等が用いられる。ガラスシート用洗浄液は、例えば、1wt%〜5wt%の濃度になるように、水で希釈される。希釈液のアルカリ成分の濃度は、水酸化カリウム(KOH)の濃度に換算して、例えば、0.02wt%〜0.15wt%である。
【0034】
洗浄剤を希釈するための水は、イオン交換処理、EDI(Electrodeionization)処理、逆浸透膜(RO膜)によるフィルタ処理、および、脱炭酸ガス装置を通した脱炭酸ガス処理を施した純水または超純水であることが、ガラスシート表面を清浄に保つ点で好ましい。また、溶解性の有機物を除去するために、水を活性炭に通す処理を行うことが好ましい。具体的には、フィルタを用いて微粒子等の異物を水から除去し、次に、水を活性炭に通して有機物を除去し、次に、イオン交換処理、EDI処理、逆浸透膜によるフィルタ処理、および、脱炭酸ガス装置を通した脱炭酸ガス処理を施すことが好ましい。
【0035】
イオン交換処理では、水に含まれるイオン性物質、例えば、塩素イオンやナトリウムイオン等を、イオン交換樹脂膜を用いて水から除去する。EDI処理では、イオン交換樹脂膜を用い、かつ、電極に電位を与えて形成された電位勾配を利用して、イオン性物質を高い精度で水から除去する。逆浸透膜によるフィルタ処理では、イオン性物質、塩類および有機物を水から除去する。脱炭酸ガス処理では、脱炭酸ガス装置を用いて炭酸ガスを水から除去する。
【0036】
本実施形態では、ガラスシート用洗浄液の希釈液に、KOH、NaOH、ETDA−4Na、ETDA−4K、Na4P2O7およびK4P2O7からなる群から選択される1種以上のアルカリ成分が添加されて、第1洗浄工程で用いられる洗浄剤が生成される。この洗浄剤のアルカリ成分の濃度は、水酸化カリウム(KOH)の濃度に換算して、1wt%以上である。上記のアルカリ成分は、他のアルカリ成分と比較して、ガラスに対するエッチング性が高く、かつ、溶解性に優れている。特に、エッチング性、溶解性、および、ガラスシートに形成される薄膜トランジスタに対する悪影響を防止する観点から、アルカリ成分としてKOHを単独で用いることが好ましい。また、KOHおよびNaOHは、他のアルカリ成分と比較して、排水処理の点で有利である。
【0037】
なお、第1洗浄工程で用いられる洗浄剤は、アルカリ成分の濃度が高いほど、ガラスシートから異物を除去する洗浄力が強い。しかし、アルカリ成分の濃度が高すぎると、ガラスシート洗浄装置が腐食して、洗浄剤中に結晶が生成される等の問題が生じる。そのため、洗浄剤のアルカリ成分の濃度は10wt%を超えないことが好ましい。また、洗浄剤の取り扱いを容易にするために、洗浄剤のアルカリ成分の濃度は5wt%を超えないことがより好ましい。
【0038】
本実施形態において、ガラスシートの洗浄方法には、枚葉洗浄およびバッチ洗浄の2種類の洗浄方法がある。最初に、枚葉洗浄によるガラスシートの洗浄方法について説明する。
図2は、枚葉洗浄を行うガラスシートGの枚葉洗浄装置1の概略図である。枚葉洗浄装置1は、第1洗浄工程を行う第1洗浄ユニット10と、第2洗浄工程を行う第2洗浄ユニット20とから構成される。ガラスシートGは、最初に、第1洗浄ユニット10において、界面活性剤が添加された無機アルカリ系の洗浄剤で洗浄され、次に、第2洗浄ユニット20において、TMAHで洗浄される。
【0039】
図3は、第1洗浄ユニット10の平面図であり、
図4は、第1洗浄ユニット10の側面図である。
図3および
図4において、ガラスシートGを搬送する搬送装置は省略されている。なお、第2洗浄ユニット20の構成は、第1洗浄ユニット10の構成と実質的に同じであるので、以下、第1洗浄ユニット10の構成のみについて説明する。第1洗浄ユニット10と第2洗浄ユニット20との相違点については、後述する。
【0040】
第1洗浄ユニット10は、
図3に示されるように、ブラシユニット12と、スポンジユニット14と、シャワーユニット16とを備えている。これらのユニットは、ガラスシートGの搬送方向の上流側から下流側に向かって、この順番に配置されている。第1洗浄ユニット10は、
図4に示されるように、さらに、洗浄剤タンク18と、純水タンク19と、ノズル18a,18b,18c,18d,19a,19bを備えている。
【0041】
ブラシユニット12は、洗浄ブラシロール12a,12bを有する。洗浄ブラシロール12a,12bは、ガラスシートGの搬送方向に沿って配置されている。洗浄ブラシロール12a,12bは、それぞれ、搬送されるガラスシートGの両表面を洗浄可能なように、ガラスシートGの上下に一対配置される。洗浄ブラシロール12a,12bは、それぞれ、ガラスシートGの搬送方向を横切るように配置される。洗浄ブラシロール12a,12bの外周面には、複数の洗浄ブラシが取り付けられている。洗浄ブラシロール12a,12bの軸回転によって、搬送されるガラスシートGの表面に洗浄ブラシが接触して、ガラスシートGの表面が洗浄される。
図3において、洗浄ブラシロール12a,12bは、ガラスシートGの搬送方向に沿って2列配置されているが、1列のみ配置されてもよく、3列以上配置されてもよい。
【0042】
スポンジユニット14は、洗浄スポンジロール14a,14bを有する。洗浄スポンジロール14a,14bは、ガラスシートGの搬送方向に沿って配置されている。洗浄スポンジロール14a,14bは、それぞれ、搬送されるガラスシートGの両表面を洗浄可能なように、ガラスシートGの上下に一対配置される。洗浄スポンジロール14a,14bは、それぞれ、ガラスシートGの搬送方向を横切るように配置される。洗浄スポンジロール14a,14bの外周面には、洗浄スポンジが取り付けられている。洗浄スポンジロール14a,14bの軸回転によって、搬送されるガラスシートGの表面に洗浄スポンジが接触して、ガラスシートGの表面が洗浄される。
図3において、洗浄スポンジロール14a,14bは、ガラスシートGの搬送方向に沿って2列配置されているが、1列のみ配置されてもよく、3列以上配置されてもよい。
【0043】
第1洗浄ユニット10の洗浄剤タンク18は、第1洗浄工程で用いられる、界面活性剤が添加された無機アルカリ系の洗浄剤を貯留する。洗浄剤タンク18は、例えば、50℃〜80℃の温度範囲に洗浄剤を加熱して保温する機能を有する。ノズル18a,18bは、洗浄剤タンク18から供給される洗浄剤を、ブラシユニット12内を搬送されるガラスシートGの両表面に噴射する。ノズル18c,18dは、洗浄剤タンク18から供給される洗浄剤を、スポンジユニット14内を搬送されるガラスシートGの両表面に噴射する。
【0044】
純水タンク19は、上述の純水または超純水を貯留する。ノズル19a,19bは、純水タンク19から供給される純水または超純水を、シャワーユニット16内を搬送されるガラスシートGの両表面に噴射する。
【0045】
第2洗浄ユニット20は、第1洗浄ユニット10と同じ構成を有する。しかし、第2洗浄ユニット20の洗浄剤タンク18は、第2洗浄工程で用いられるTMAHを貯留する。TMAHの濃度は、0.1%〜2.38%であるが、好ましくは、0.25%〜1.5%であり、より好ましくは、0.35%〜1.0%である。
【0046】
なお、本実施形態では、
図4に示されるように、ブラシユニット12およびスポンジユニット14は共通の洗浄剤タンク18を用いているが、別々の洗浄剤タンク18を用いてもよい。この場合、ブラシユニット12およびスポンジユニット14は、異なる濃度の洗浄剤を用いてガラスシートGを洗浄してもよい。
【0047】
次に、枚葉洗浄装置1におけるガラスシートGの洗浄の流れについて説明する。最初に、第1洗浄ユニット10のブラシユニット12において、ガラスシートGのブラシ洗浄が行われる。具体的には、ノズル18a,18bから噴射された無機アルカリ系の洗浄剤が、ガラスシートGの両表面に付着して、洗浄ブラシロール12a,12bの軸回転によってガラスシートGの両表面が洗浄される。
【0048】
次に、第1洗浄ユニット10のスポンジユニット14において、ガラスシートGのスポンジ洗浄が行われる。具体的には、ノズル18c,18dから噴射された無機アルカリ系の洗浄剤が、ガラスシートGの両表面に付着して、洗浄スポンジロール14a,14bの軸回転によってガラスシートGの両表面が洗浄される。
【0049】
次に、第1洗浄ユニット10のシャワーユニット16において、ガラスシートGの表面に付着した無機アルカリ系の洗浄剤が除去される。具体的には、ノズル19a,19bから噴射された純水または超純水が、ガラスシートGの両表面に付着することで、ガラスシートGの表面が純水または超純水ですすがれて、表面に付着した無機アルカリ系の洗浄剤が洗い流される。なお、シャワーユニット16を通過したガラスシートGの表面は、純水または超純水が付着してウェットな状態にある。第1洗浄ユニット10を通過したガラスシートGは、表面がウェットな状態のまま、第2洗浄ユニット20の内部に搬送される。これにより、第2洗浄ユニット20を通過したガラスシートGの表面の異物の付着量のコントロールが可能となる。
【0050】
次に、第2洗浄ユニット20のブラシユニット12において、ガラスシートGのブラシ洗浄が行われる。具体的には、ノズル18a,18bから噴射されたTMAHが、ガラスシートGの両表面に付着して、洗浄ブラシロール12a,12bの軸回転によってガラスシートGの両表面が洗浄される。
【0051】
次に、第2洗浄ユニット20のスポンジユニット14において、ガラスシートGのスポンジ洗浄が行われる。具体的には、ノズル18c,18dから噴射されたTMAHが、ガラスシートGの両表面に付着して、洗浄スポンジロール14a,14bの軸回転によってガラスシートGの両表面が洗浄される。
【0052】
次に、第2洗浄ユニット20のシャワーユニット16において、ガラスシートGの表面に付着したTMAHが除去される。具体的には、ノズル19a,19bから噴射された純水または超純水が、ガラスシートGの両表面に付着することで、ガラスシートGの表面が純水または超純水ですすがれて、表面に付着したTMAHが洗い流される。
【0053】
以上、枚葉洗浄によるガラスシートの洗浄方法について説明した。次に、バッチ洗浄によるガラスシートの洗浄方法について説明する。
図5は、バッチ洗浄を行うガラスシートのバッチ洗浄装置101の概略図である。バッチ洗浄装置101は、複数のガラスシートGを収容可能なカセット120を搬送する搬送機構(図示せず)と、複数の液槽130とを備えている。各液槽130は、必要に応じて、ガラスシートGを液体Lに浸漬した状態で超音波によりガラスシートGを洗浄する超音波洗浄機構、および、液体Lの温度を調節する温度調節機構を備えている。バッチ洗浄装置101は、さらに、各液槽130に液体Lを供給するタンク(図示せず)を備えている。
【0054】
複数のガラスシートGを収容したカセット120は、搬送機構によって搬送され、液槽130に貯留された複数種類の液体Lに、順次、浸漬されて洗浄される。バッチ洗浄装置101において、ガラスシートGが浸漬される液体Lの種類および順序は、適宜に決定される。バッチ洗浄工程の一例として、1番目にフッ酸、2番目に純水、3番目に無機アルカリ系の洗浄剤、4番目に純水、5番目にTMAH、6番目に純水、7番目に超純水を用いてガラスシートGを洗浄する工程がある。2,4,6番目の工程で用いられる純水、および、7番目の工程で用いられる超純水は、それぞれ、上述の枚葉洗浄装置1において使用される純水および超純水と同じである。3番目の工程で用いられる無機アルカリ系の洗浄剤は、上述の枚葉洗浄装置1において使用される洗浄剤と同じである。ガラスシートGが各液槽130において液体Lに浸漬される時間は、液体Lに応じて、45秒〜180秒である。なお、1番目の工程であるフッ酸によるガラスシートGの表面処理は、行われなくてもよい。
【0055】
(4)特徴
(4−1)
従来、ガラスシートの表面に付着している有機物を除去するために、無機アルカリ系の洗浄剤を用いてガラスシートの表面を洗浄する方法が用いられている。FPDの製造に用いられるガラスシートの表面には、TFT等の半導体素子が形成される。このようなガラスシートは、剥離帯電や短絡等による半導体素子の破壊を抑制するために、表面に極めて高い清浄度が要求される。そのため、無機アルカリ系の洗浄剤を用いてガラスシートの表面を洗浄することで、極めて高い清浄度を有するガラスシートを製造する方法が用いられている。
【0056】
しかし、高い清浄度を目的としてKOHまたはNaOH系の無機アルカリ系の洗浄剤を用いて洗浄されたガラスシートは、表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性が低く、ブラックマトリックスがガラスシートの表面から剥離してしまう問題を有していることが分かってきた。特に、近年、ディスプレイの高精細化に伴い、ガラスシートの表面に配置されるブラックマトリックスの線幅およびピッチが小さくなっているので、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性の低下は、重要な問題である。従って、上述のガラスシートの洗浄方法は、ブラックマトリックスの高精細化に対応することができない。
【0057】
また、ガラスシートの表面に付着している特定の有機物が、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性の低下の原因である可能性がある。具体的には、界面活性剤が添加された無機アルカリ系の洗浄剤を用いてガラスシートの表面を洗浄すると、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性が低下する。そのため、界面活性剤に由来する有機物が、ブラックマトリックス樹脂の密着性の低下の原因である可能性がある。また、ブラックマトリックス樹脂の密着性の低下に起因する有機物には、例えば、ガラスシートの積層体に含まれる合紙に由来する有機物、および、ガラスシートの積層体の保管および搬送環境下における雰囲気中の有機物も含まれる可能性がある。
【0058】
本実施形態では、界面活性剤が添加された無機アルカリ系の洗浄剤を用いてガラスシート表面を洗浄する第1洗浄工程の後に、TMAHを用いてガラスシート表面を洗浄する第2洗浄工程を行うことで、極めて高い清浄度を有しつつ、ブラックマトリックス樹脂の密着性が低下しないガラスシートを製造することができる。第2洗浄工程において、TMAHを用いてガラスシート表面を洗浄することで、第1洗浄工程で使用された洗浄剤に含まれる界面活性剤に由来する有機物であって、第1洗浄工程によってガラスシートの表面に付着した有機物が除去される。この有機物は、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性の低下の原因となる有機物である。この有機物は、GC/MSにおける保持時間が18分以上である疎水性有機物であり、例えば、芳香族化合物である。すなわち、第2洗浄工程によって、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性の低下の原因となる疎水性有機物が、ガラスシートの表面から効果的に除去される。従って、本実施形態に係るガラスシートの製造方法は、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性を向上させることができる。なお、GC/MSで使用されるキャピラリーカラムとして、ジーエルサイエンス株式会社製の無極性カラムTC−1が用いられる。
【0059】
本実施形態において、ガラスシートの洗浄工程後におけるガラスシートの表面に付着している疎水性有機物の質量は、ガラスシート表面1cm
2当たり0.05ng〜0.50ngであることが好ましく、0.05ng〜0.25ngであることがより好ましい。
【0060】
また、本実施形態に係るガラスシートの製造方法は、ブラックマトリックスの線幅およびピッチが小さいカラーフィルタパネルの製造に、特に有効である。カラーフィルタパネルは、ブラックマトリックスおよびRGB画素が表面に配置されて、カラーフィルタが形成されたガラスシートである。本実施形態に係るガラスシートの製造方法で製造されたガラスシートは、10μm未満の線幅を有するブラックマトリックスを表面に配置しても、ブラックマトリックスの剥離が十分に抑制されるガラスシートである。従って、このガラスシートは、3μm〜5μmの線幅を有する高精細のブラックマトリックスを表面に配置することができる。
【0061】
(4−2)
本実施形態では、第1洗浄ユニット10のブラシユニット12およびスポンジユニット14において、無機アルカリ系の洗浄剤でガラスシートGの表面が洗浄された後、第1洗浄ユニット10のシャワーユニット16において、ガラスシートGの表面に付着した無機アルカリ系の洗浄剤が、純水または超純水で洗い流されて除去される。これにより、第1洗浄工程においてガラスシートGの表面に付着した洗浄剤によって、続く第2洗浄工程におけるTMAHによるガラスシートGの洗浄効果が低下することが抑制される。
【0062】
第1洗浄工程で用いられる無機アルカリ系の洗浄剤は、界面活性剤を含んでいる。界面活性剤は、上述したように、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性の低下の原因となる有機物である。そのため、第1洗浄工程の最後に、ガラスシートGの表面を純水または超純水ですすいで、ガラスシートGの表面に付着している洗浄剤を洗い流すことで、第2洗浄工程における、ガラスシートGの表面に付着した有機物を除去する効果を向上させることができる。第2洗浄工程は、ガラスシートGの表面に付着した異物を除去する効果と、第1洗浄工程によってガラスシートGの表面に付着した洗浄剤に由来する有機物を除去する効果とを有している。
【0063】
また、第2洗浄工程の最後においても、第2洗浄ユニット20のシャワーユニット16によって、ガラスシートGの表面に付着しているTMAHが純水または超純水で洗い流されて除去される。従って、枚葉洗浄装置1またはバッチ洗浄装置101によって洗浄されたガラスシートGは、極めて高い清浄度を有する。
【0064】
(4−3)
本実施形態では、第1洗浄工程で使用される洗浄剤は、市販のガラス基板用洗浄液を水で希釈して得られた希釈液に、KOH等のアルカリ成分を添加して生成される。具体的には、ガラス基板用洗浄液の希釈液に、KOH等のアルカリ成分を添加して、1wt%以上の濃度を有する洗浄剤が生成される。アルカリ成分を添加することにより、アルカリ成分の濃度が非常に高い洗浄液を製造および取り扱うことなく、アルカリ成分の濃度が高い洗浄剤を容易に生成することができる。アルカリ成分の濃度が高い洗浄剤は、ガラスシートのエッチング性を向上させ、かつ、カレットや塵等の異物、および、荷重を受けた状態でガラスシートの表面に付着した粘着性の異物等を、ガラスシートの表面から剥離させて効果的に除去することができる。
【0065】
また、ガラス基板用洗浄液の希釈液にアルカリ成分を添加することで生成される洗浄剤の表面張力は、希釈液よりも低い。すなわち、界面活性剤を含むガラス基板用洗浄液の希釈液に、KOH等のアルカリ成分を添加することで、アルカリ成分を単独で純水に添加する場合ではほとんど得られない、洗浄剤の表面張力を低下させる効果を得ることができる。これにより、洗浄剤が粘着異物とガラス板との間に浸透しやすくなる。さらに、洗浄剤によるガラスシートのエッチング性の向上との相乗効果により、ガラスシートに付着した異物がより効果的に除去される。
【0066】
また、ガラス基板用洗浄液の希釈液に添加するアルカリ成分の濃度を高くすることで、数週間または数ヶ月以上の長期に亘って保管されたガラスシートの表面に付着した粘着性の異物を除去する効果が向上する。
【0067】
(5)実施例
本発明に係るカラーフィルタ用ガラスシートの製造方法の実施例について説明する。本実施例では、ガラスシートの洗浄後に、ガラスシート表面にブラックマトリックス樹脂を塗布して、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性を確認した。以下、具体的な手順について説明する。
【0068】
最初に、上述した
図1に示されるステップS3に基づいて、素板ガラスと合紙とがパレット上で交互に積層された積層体を用意した。次に、ステップS4に基づいて、素板ガラスの積層体から素板ガラスを取り出し、素板ガラスを所定のサイズに切断して、ガラスシートを得た。次に、ステップS5に基づいて、ガラスシートの端面加工を行った。次に、ステップS6に基づいて、本実施形態で説明した枚葉洗浄装置1を用いて、ガラスシートの枚葉洗浄を行った。ガラスシートの第1洗浄工程では、横浜油脂工業株式会社製の無機アルカリ性洗浄剤であるKGを純水で希釈して、アルカリ成分としてKOHを添加して生成された洗浄剤を使用した。ガラスシートの第2洗浄工程では、0.1%〜2.38%の濃度を有するTMAHを使用した。
【0069】
次に、ガラスシートの表面にブラックマトリックス樹脂を塗布した。具体的には、ガラスシートの表面に、膜厚が1μmになるようにブラックマトリックス樹脂を塗布した。次に、ブラックマトリックス樹脂が塗布されたガラスシートを、1μm、3μm、5μm、10μm、15μm、20μmおよび30μmのパターンが描かれたフォトマスクを用いて露光および現像して、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性を判定した。具体的には、ガラスシート表面におけるブラックマトリックスの剥離および残渣の有無を確認した。
【0070】
本実施例では、ガラスシートの表面に塗布されたブラックマトリックス樹脂は、5μm〜30μmの線幅において、剥離および残渣が確認されなかった。なお、洗浄されたガラスシートの表面におけるTMAHの残留量は、イオンクロマトグラフィーによる検出下限0.01ng/cm
2以下であった。
【0071】
また、ガラスシートの第1洗浄工程において、横浜油脂工業株式会社製の無機アルカリ性洗浄剤であるL.G.Lを純水で希釈して、アルカリ成分としてKOHを添加して生成された洗浄剤を使用しても、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性の判定結果は変わらなかった。また、ガラスシートの表面粗さRaは、0.15nm〜0.67nmであった。
【0072】
なお、比較例として、ガラスシートの第1洗浄工程において、界面活性剤を含む無機アルカリ系の洗浄剤を用いる替わりに、TMAHを用いて、ガラスシートの洗浄を行った。すなわち、第1洗浄工程および第2洗浄工程の両方において、TMAHを用いたガラスシートの洗浄を行った。その結果、ガラスシートの表面に付着した異物の量が、上述の実施例より多くなった。この原因として、TMAHは、KG等の無機アルカリ系の洗浄剤に比べて洗浄力が弱く、素板ガラスに付着した汚れを除去しきれないからであると考えられる。この洗浄方法を用いた場合、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性の判定に関しては、異物の付着が原因と思われるブラックマトリックスの剥離および残渣が確認された。
【0073】
また、上述した
図1のステップS6におけるガラスシートの洗浄工程において、ガラスシートの枚葉洗浄ではなく、ガラスシートのバッチ洗浄を行った実施例について説明する。この場合においても、ガラスシートの表面に塗布された3μm〜30μmの線幅を有するブラックマトリックス樹脂は、いずれの線幅においても、剥離および残渣が確認されなかった。
【0074】
また、狭い線幅を有するブラックマトリックス樹脂のパターンについて、ブラックマトリックスの剥離および残渣の確認を行った。最初に、ガラスシートの第2洗浄工程において、濃度0.5%のTMAHを用いてガラスシートを洗浄した。次に、洗浄されたガラスシートの表面に、膜厚1μm、かつ、線幅1μm〜15μmとなるようにブラックマトリックス樹脂を塗布してパターンを形成し、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性を判定した。その結果、3μm〜15μmの線幅において、ガラスシートの表面におけるブラックマトリックスの剥離および残渣は確認されなかった。また、1μmの線幅において、一部、ブラックマトリックスの剥離が確認された。しかし、1μmの線幅におけるブラックマトリックスの剥離または残渣の発生確率を低減することができた。従って、特定の表面異物をコントロールしない従来の方法と比べて、特に狭い線幅を有するブラックマトリックス樹脂のパターンにおける歩留まりの向上が可能となった。
【0075】
なお、比較例として、ガラスシートの第2洗浄工程において、TMAHにガラスシートを浸漬して洗浄を行う替わりに、アンモニア水にガラスシートを浸漬して超音波洗浄を行った。その結果、ガラスシートの表面に塗布された、20μmより線幅が狭いブラックマトリックス樹脂に関しては、ブラックマトリックスの成膜条件および現像条件を変更しても、剥離および残渣の発生が確認された。
【0076】
(6)変形例
(6−1)変形例A
本実施形態に係る洗浄方法は、ガラスリボンを枚葉化したガラスシートの洗浄工程に関するが、ロール状で保管されるガラスフィルムの洗浄工程にも適用可能である。ダウンドロー法またはリドロー法によって、熔融ガラス、または、熔融ガラスから形成されたプリフォームガラスを用いて成形された0.1mm以下の厚みを有するガラスリボンを、合紙または樹脂フィルムを介して巻き取ることで、ロール状の素板ガラスが得られる。
【0077】
本変形例では、このロール状の素板ガラスから、合紙または樹脂フィルムを除去しつつ、ガラスフィルムを徐々に引き出す。そして、ガラスフィルムの端面をエッチング処理した後に、ガラスフィルムの表面を洗浄する。ガラスフィルムの洗浄工程では、本実施形態と同様に、界面活性剤が添加された無機アルカリ系の洗浄剤を用いて表面を洗浄して、純水または超純水で表面をすすいだ後、TMAHを用いて表面を洗浄して、純水または超純水で表面を再びすすぐ。そして、洗浄されたガラスフィルムを、ロールツーロールでカラーフィルタの製造工程に搬送する。または、洗浄されたガラスフィルムを、製品用の合紙や樹脂フィルムを介して再び巻き取って、製品であるガラスフィルムロールを形成する。
【0078】
(6−2)変形例B
本実施形態では、枚葉洗浄装置1における第2洗浄工程において、TMAHを用いてガラスシートGをブラシ洗浄およびスポンジ洗浄し、その後、純水または超純水を用いてガラスシートGをシャワー洗浄してガラスシートGの表面に残留している有機物を除去する。しかし、第2洗浄工程において、スポンジ洗浄が行われなくてもよい。具体的には、第1洗浄工程における異物除去能力に応じて、適宜に、第2洗浄工程において、ブラシ洗浄およびスポンジ洗浄の少なくとも一方を行えばよい。
【0079】
(6−3)変形例C
本実施形態では、枚葉洗浄装置1における第2洗浄工程において、枚葉洗浄が行われたガラスシートGは、
図1に示されるステップS7の検査工程に送られる。しかし、枚葉洗浄が行われたガラスシートGは、さらに、バッチ洗浄が行われてもよい。バッチ洗浄では、
図5に示されるように、複数枚のガラスシートGがカセット120に収容され、ガラスシートGが複数の液槽130に、順次、浸漬されて洗浄される。
【0080】
(6−4)変形例D
本実施形態では、ガラスシートの表面は、0.7nm未満の表面粗さRaを有することが好ましい。表面粗さRaは、ガラスシートの表面の粗さを表すパラメータの一種である「中心線平均粗さ」である。ガラスシートの表面粗さRaが0.7nm未満の場合、ガラスシート表面へのブラックマトリックス樹脂の密着性に影響が出ないので、ガラスシート表面におけるブラックマトリックス樹脂の密着性のコントロールがより容易に可能となる。