特許第5728558号(P5728558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5728558移動通信システムにおけるパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)リオーダリングを用いてハンドオーバを行う方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728558
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】移動通信システムにおけるパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)リオーダリングを用いてハンドオーバを行う方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/02 20090101AFI20150514BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20150514BHJP
【FI】
   H04W36/02
   H04W28/04 110
【請求項の数】8
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2013-226801(P2013-226801)
(22)【出願日】2013年10月31日
(62)【分割の表示】特願2011-266883(P2011-266883)の分割
【原出願日】2007年10月19日
(65)【公開番号】特開2014-39329(P2014-39329A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2013年10月31日
(31)【優先権主張番号】10-2006-0101842
(32)【優先日】2006年10月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ソン−フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キョン−イン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト・ヤン・ヴァン・リースハウト
(72)【発明者】
【氏名】ヒムケ・ヴァン・デル・ヴェルデ
【審査官】 重田 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−186704(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/030396(WO,A1)
【文献】 3GPP TR25.813,3GPP,2006年 6月,V7.0.0,p27-29,URL,www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/25_series/25.813/25813-700.zip
【文献】 NTT DoCoMo,UE PDCP reordering at inter eNB handover,3GPP TSG RAN WG2 Meeting #54 R2-062170,3GPP,2006年 9月 1日,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_54/Documents/R2-062170.zip
【文献】 Motorola,Reordering of downlonk RLC SDUs during handovers,3GPP TSG RAN WG2 Meeting #55 R2-062894, 3GPP,3GPP,2006年10月13日,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_55/Documents/R2-062894.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送信する方法であって、
ソース基地局(eNB)からハンドオーバの準備のためのメッセージを受信するステップと、
前記ハンドオーバの準備のためのメッセージの肯定応答信号(acknowledgement)のためメッセージを伝送するステップと、
前記ソース基地局(eNB)から端末(UE)により肯定応答されないシーケンス番号(SN)を有するパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)パケット及び上位ノードからデータを受信するステップと、及び
前記端末からのPDCP SNに基づいて受信が肯定応答されたPDCPパケットを除外し、前記ソース基地局から受信された前記PDCPパケットを前記上位ノードから受信されたデータ以前に伝送するステップと、を含むことを特徴とするデータ送信方法。
【請求項2】
前記ソース基地局から受信された前記PDCPパケットに指示子(indication)を追加するステップをさらに含み、
前記指示子は、関連したPDCPパケットが前記ソース基地局から受信されことを示すことを特徴とする請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項3】
前記ソース基地局がターゲット基地局から前記ハンドオーバの準備のためのメッセージの肯定応答信号のためのメッセージを受信するか、前記ソース基地局がハンドオーバ命令を初期化する場合、前記ソース基地局が、前記端末により肯定応答されないSNを有する前記PDCPパケットを前記ターゲット基地局に伝送するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項4】
ーゲット基地局が、ダウンリンク変更の要請を送信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項5】
データを送信する基地局(eNB)装置であって、
ソース基地局(eNB)からハンドオーバの準備のためのメッセージを受信し、前記ハンドオーバの準備のためのメッセージの肯定応答信号(acknowledgement)のためメッセージを前記ソース基地局に伝送する送受信部と、
端末(UE)により肯定応答されないシーケンス番号(SN)を有するパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)パケットを前記ソース基地局(eNB)から受信し、データを上位ノードから受信する送信バッファーと、
前記端末からのPDCP SNに基づいて受信が肯定応答されたPDCPパケットを除外し、前記ソース基地局から受信された前記PDCPパケットを前記上位ノードから受信されたデータ以前に伝送する制御ユニットと、を含むことを特徴とする基地局装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記ソース基地局から受信された前記PDCPパケットに指示子(indication)を追加し、
前記指示子は、関連したPDCPパケットが前記ソース基地局から受信されことを示すことを特徴とする請求項5に記載の基地局装置。
【請求項7】
前記ソース基地局がターゲット基地局から前記ハンドオーバの準備のためのメッセージの肯定応答信号のためのメッセージを受信するか、前記ソース基地局がハンドオーバ命令を初期化する場合、前記ソース基地局は、前記端末により肯定応答されないSNを有する前記PDCPパケットを前記ターゲット基地局に伝送することを特徴とする請求項5に記載の基地局装置。
【請求項8】
ーゲット基地局は、ダウンリンク変更の要請を送信することを特徴とする請求項5に記載の基地局装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムに関し、特に、端末(User Equipment:以下、“UE”と称する。)がパケットリオーダリングを実行しながらセル間のハンドオーバをサポートするための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
広帯域(Wideband)符号分割多元接続(Code Division Multiple Access:以下、“CDMA”と称する。)を使用する第3世代の非同期移動通信システムであるユニバーサル移動通信サービス(Universal Mobile Telecommunication Service:以下、“UMTS”と称する。)システムは、ヨーロッパ式移動通信システムであるGPRS(General Packet Radio Services)及びGSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)に基づく。UMTSシステムは、システムの全サービス領域から分割された複数のセルをそれぞれ含むセルラー移動通信システムの一例であり、通信の連続性を保証するためにセル間のハンドオーバをサポートする。
【0003】
通信中であるUEが1つのセル(ソースセル)から他のセル(ターゲットセル)に移動する場合に、ターゲットセルは、UEのための通信路を確立し、この確立された通信路に関連した各レイヤーのエンティティ(Entity)を再確立する。特に、UEの通信が自動再送要請(Automatic Retransmission Request:以下、“ARQ”と称する。)をサポートする場合に、ターゲットセルがUEのためにARQエンティティを再確立する必要性が発生し得る。ここで、ARQエンティティを再確立するハンドオーバは、ソースセルで使用された従来のARQエンティティを除去し、ターゲットセルが新たなARQエンティティを設定するハンドオーバを意味する。
【0004】
ARQエンティティを再確立するハンドオーバが従来の移動通信システムで実行される場合に、ARQエンティティの上位レイヤーエンティティは、累積再送信(accumulative retransmission)を実行する。この累積再送信は、ソースセルで既に送信されたパケットがターゲットセルで再転送されることもあるが、上位レイヤーエンティティの複雑度を減少させることができる。従来のUMTS移動通信システムにおいて、ARQエンティティを再確立するハンドオーバは、UEのサービング無線ネットワーク制御器(Radio Network Controller:RNC)が変わるサービング無線ネットワークサブシステム(SRNS)再割当ての間に発生する。このSRNS再割当ては、頻繁に発生しないために、効率性より複雑度を考慮して累積再送信を実行する。
【0005】
一方、UMTS標準化を担当している第3世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project:以下、“3GPP”と称する。)において、ロングタームエボルーション(Long Term Evolution:以下、“LTE”と称する。)は、UMTSシステムの次世代移動通信システムとして議論が進んでいる。LTEは、2010年ごろに商用化することを目標にしており、100Mbps程度の高速パケット基盤通信を実現するための技術である。このために、様々な方法が論議されている。例えば、ネットワーク構成を簡素化することにより、通信経路上のノードの数を減少させる方式及び無線プロトコルを無線チャネルに最大に近接させる方式などがある。
LTEシステムのような次世代移動通信システムにおいて、ARQエンティティは、RNCの下位レイヤーエンティティである基地局(Node B)に位置する。したがって、ARQエンティティは、基地局間のハンドオーバでいつも再確立され、これにより、ARQエンティティを再確立するハンドオーバは、UMTSシステムに比べてLTEシステムのような次世代移動通信システムではるかに頻繁に発生する。したがって、LTEシステムのような次世代移動通信システムにおけるARQエンティティを再確立するハンドオーバのために通信の効率性を向上させるための技術を開発する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/029785号
【特許文献2】特表2010−507317号公報
【特許文献3】特開2001−24707号公報
【特許文献4】特開2000−228676号公報
【特許文献5】特開2005−12718号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Motorola, Reordering of downlink RLC SDUs during handovers,3GPP TSG RAN WG2 Meeting #55, R2-062894, 2006年10月13日
【非特許文献2】NTT DoCoMo, Inc., UE PDCP reordering at inter eNB handover,3GPP TSG RAN WG2 Meeting #54, R2-062170, 2006年9月1日
【非特許文献3】NTT DoCoMo, Inc., In-sequence data delivery for SAE Bearer Service, 3GPP TSG RAN WG2 Meeting #53, R2-061265, 2006年5月12日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、移動通信システムにおけるARQエンティティを再確立するハンドオーバにおいて通信の効率性を向上させるための方法及び装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、ARQエンティティを再確立するハンドオーバにおいてデータパケットの損失及び重複送信を防止するための方法及び装置を提供することにある。
【0010】
本発明のさらなる目的は、ターゲットセルに移動したUEがソースセルで受信していないパケットを選択的に再送信することができるARQエンティティの上位レイヤーエンティティをリオーダリングするための方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するために、本発明の実施形態の一態様によれば、移動通信システムにおける端末(UE)によりハンドオーバを実行する方法を提供する。上記方法は、ソースセルからターゲットセルへのハンドオーバ命令メッセージが受信されると、上記ソースセルから正常に受信された第1のパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)パケットデータユニット(PDU)を上記第1のPDCP PDUのリオーダリングを必要とする特定の指示子とともに、無線リンク制御(RLC)受信バッファからPDCP受信エンティティに送信するステップと、上記特定の指示子に応じて上記PDCP受信エンティティで上記第1のPDCP PDUをPDCP PDUリオーダリングバッファにバッファリングするステップと、上記第2のPDCP PDUが上記ターゲットセルに対する新たなRLC受信エンティティを介して上記ターゲットセルから受信されると、上記第2のPDCP PDUのシーケンス番号より高いシーケンス番号を有する1番目の未受信PDCP PDUの前までの第3のPDCP PDUを上記PDCPリオーダリングバッファから出力するステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の実施形態の他の態様によれば、移動通信システムにおけるハンドオーバを実行するための端末装置を提供する。上記端末装置は、ハンドオーバの前に無線リンク制御(RLC)パケットデータユニット(PDU)をソースセルから受信し、上記RLC PDUをパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)PDUに組立て、上記ソースセルからターゲットセルへのハンドオーバ命令メッセージが受信されると、上記ソースセルから正常に受信された第1のPDCP PDUを上記第1のPDCP PDUのリオーダリングを必要とする特定の指示子とともに出力する既存のRLC受信エンティティと、上記ハンドオーバの後に、上記ソースセルから正常に受信されていない第2のPDCP PDUを含む少なくとも1つのRLC PDUを上記ターゲットセルから受信し、上記受信されたRLC PDUを上記第2のPDCP PDUに組立てる新たなRLC受信エンティティと、上記特定の指示子に応じて、上記第1のPDCP PDUをPDCP PDUリオーダリングバッファにバッファリングし、第2のPDCP PDUが上記新たなRLC受信エンティティから伝達されると、上記第2のPDCP PDUのシーケンス番号より高いシーケンス番号を有する1番目の未受信PDCP PDUの前までの第3のPDCP PDUを上記PDCPリオーダリングバッファから出力するPDCP受信エンティティと、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の実施形態のさらに他の態様によれば、移動通信システムにおける基地局(ENB)によりハンドオーバを実行する方法を提供する。上記方法は、端末がソースセルからターゲットセルにハンドオーバするに従って、上記ソースセルを制御するソースENBから上記端末に正常に送信できなかった第1のパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)パケットデータユニット(PDU)を上記ソースENBから上記ターゲットセルを制御するターゲットENBで受信するステップと、上記第1のPDCP PDUの中で最後のPDCP PDUを除いた残りのPDCP PDUを含む第2のPDCP PDUを、上記第2のPDCP PDUの各々が上記ソースセルから上記ターゲットセルに伝達された最後のPDCP PDUでないことを示す第1の指示子とともに上記ターゲットENBから上記端末に送信するステップと、上記最後のPDCP PDUを上記最後のPDCP PDUが上記ソースセルから上記ターゲットセルに伝達された最後のPDCP PDUであることを示す上記第2の指示子とともに上記ターゲットENBから上記端末に送信するステップと、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の実施形態のさらなる他の態様によれば、移動通信システムにおけるハンドオーバを実行する基地局装置を提供する。上記基地局装置は、端末がソースセルからターゲットセルにハンドオーバするに従って、上記端末に正常に送信できなかった第1のパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)パケットデータユニット(PDU)を上記ソースセルを制御するソースENBから受信して記憶し、アンカーノードから伝達されたPDCP PDUを記憶する送信バッファと、上記送信バッファが上記第1のPDCP PDUの中で最後のPDCP PDUを除いた残りのPDCP PDUを含む第2のPDCP PDUを、上記第2のPDCP PDUの各々が上記ソースセルから上記ターゲットセルに伝達された最後のPDCP PDUでないことを示す第1の指示子とともに上記端末に送信し、上記最後のPDCP PDUを上記最後のPDCP PDUが上記ソースセルから上記ターゲットセルに伝達された最後のPDCP PDUであることを示す上記第2の指示子とともに上記端末に送信するように、上記送信バッファを制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、移動通信システムにおけるARQエンティティを再確立するハンドオーバにおいて、ターゲットセルが、UEがソースセルで受信していないパケットをUEに選択的に再送信することができるように、ARQエンティティの上位レイヤーであるPDCPエンティティは、リオーダリング動作を実行する。したがって、本発明は、通信の効率性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】LTE移動通信システムの構成を示す概略図である。
図2】LTE移動通信システムのプロトコルスタックを示す図である。
図3】移動通信システムにおけるRLCレイヤーの動作を示す図である。
図4】UEが他のENBに属している新たなセルに移動する際におけるARQエンティティを再確立するハンドオーバの過程を示す信号フロー図である。
図5】本発明による全過程の一例を示すメッセージフロー図である。
図6】本発明によるUEのRLC受信エンティティの関連動作を示すフローチャートである。
図7】本発明によるPDCP受信エンティティの動作を示すフローチャートである。
図8】本発明によるRLC制御情報の一例を示す図である。
図9】本発明による全過程の一例を示すメッセージフロー図である。
図10】本発明によるUEのRLC受信の過程を示すフローチャートである。
図11】本発明によるPDCP受信エンティティの動作を示すフローチャートである。
図12】本発明による送受信エンティティの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な一実施形態を、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。下記の説明において、明瞭性と簡潔性の観点から、本発明に関連した公知の機能や構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0018】
本発明の主な要旨は、ARQエンティティを再確立するハンドオーバ(HandOver:HO)の発生の際に、選択的な再送信を使用してデータパケットの重複送信を防止するものである。この際、ARQエンティティの上位レイヤーエンティティは、受信されたデータパケットに対する適切なリオーダリング(reordering)動作を実行することにより、選択的に再送信されたパケットが送信された元来の順序と同一の順序で上位レイヤーに伝達されるようにする。
【0019】
以下、本発明の実施形態の一例であるロングタームエボルーション(Long Term Evolution:以下、“LTE”と称する。)システムについて簡略に説明する。
【0020】
図1を参照すると、次世代UMTS無線アクセスネットワーク(Evolved Radio Access Network:以下、“E-RAN”と称する。)110又は112は、次世代基地局(Evolved Node B:以下、“ENB”と称する。)120、122、124、126、128とアンカーノード130及び132との簡素化した2ノード構成を有する。ユーザー端末(User Equipment:以下、“UE”と称する。)101は、E-RAN110及び112を介してインターネットプロトコル(以下、“IP”と称する。)ネットワーク114に接続される。
【0021】
ENB120乃至128は、UMTSシステムの既存のノードBに対応し、無線チャネルを介してUE101に接続される。ENB120乃至128は、UE等の状況情報を収集することによりスケジューリングを実行し、無線リソース制御に関連した機能を担当する。例えば、ENBは、無線リソース制御(Radio Resource Control:以下、“RRC”と称する。)のような制御プロトコルを備えている。
【0022】
最大100Mbpsの送信速度を実現するために、LTEシステムは、20MHzシステムの帯域幅で直交周波数分割多重化(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:以下、“OFDM”と称する。)方式を無線接続技術として使用する。また、LTEシステムは、UEのチャネル状態に従って変調方式及びチャネル符号化率を決定する適応変調符号化(Adaptive Modulation & Coding:以下、“AMC”と称する。)方式を使用する。
【0023】
図2を参照すると、パケットデータコンバージェンスプロトコル(Packet Data Convergence Protocol:以下、“PDCP”と称する。)レイヤー205及び240は、IPヘッダーの圧縮(compression)/復元(decompression)及び暗号化(ciphering)/復号化(deciphering)のような動作を行うことにより、PDCPパケットデータユニット(Packet Data Unit:以下、“PDU”と称する。)を生成する。ここで、特定のプロトコルエンティティから出力されたパケットをプロトコルのPDUと呼ぶ。無線リンク制御(Radio Link Control:以下、“RLC”と称する。)レイヤー210及び235は、PDCP PDUを適切なサイズをそれぞれ有するRLC PDUに再構成し、RLC PDUのARQ動作を行うARQエンティティとして機能する。PDCPレイヤー205及び240とRLCレイヤー210及び235とは、通信が開始される際にサービス別又はフロー別に構成され得る少なくとも1つのPDCP装置又は少なくとも1つのRLCエンティティを構成し、各エンティティを介してデータパケットを処理する。図2に示すように、PDCPレイヤー205及び240は、UE及びアンカーノードにそれぞれ位置し、RLCレイヤー210及び235は、UE及びENBにそれぞれ位置する。
【0024】
メディアアクセス制御(Medium Access Control:以下、“MAC”と称する。)レイヤー215及び230は、複数のRLCエンティティに接続され、RLC PDUをMAC PDUに多重化し、MAC PDUを複数のRLC PDUに逆多重化する動作を行う。物理レイヤー220及び225は、上位レイヤーデータのチャネル符号化及び変調を行うことによりOFDMシンボルを生成し、この生成されたOFDMシンボルを、無線チャネルを介して送信するか、又は、無線チャネルを介して受信されたOFDMシンボルの復調及びチャネルデコーディングを行い、OFDMシンボルを上位レイヤーに伝達する。受信されたパケットをチャネルデコーディングし、前に受信されたパケットとソフトコンバイニングし、CRC演算を取る等の大部分のHARQ(ハイブリッドARQ)動作は、物理レイヤー220及び225で実行され、MACレイヤー215及び230は、HARQ動作を制御する。
【0025】
上述したように、RLCレイヤー210及び235は、ARQ過程を介して信頼性あるデータ送受信を保証する。このような点に基づいて、RLCレイヤーのエンティティをARQエンティティと呼ぶ。
【0026】
図3を参照すると、送信側RLCレイヤーの送信バッファ305は、PDCP PDUを受信側RLCレイヤーに送信する前に、送信側PDCPレイヤーが提供したPDCP PDU310及び312を記憶する。各PDCP PDUは、暗号化されヘッダーが圧縮されたIPパケットをペイロード内に含み、1つずつ順次に増加するPDCPシーケンス番号(SN)をヘッダー内に含む。このシーケンス番号は、IPパケットの暗号化及び復号化のために使用される“各パケットに従って変わる入力値”に対応する。現在知られている大部分の暗号化方式において、暗号化装置がパケットを暗号化する際に“各パケットに従って変わる入力値”を使用して暗号化の安全性を増加させる。PDCP PDU310及び312は、フレーミング部315で適切なサイズをそれぞれ有するRLC PDUに再構成され、1つずつ増加するRLCシーケンス番号は、この再構成されたRLC PDUに添付され、RLC PDUは、受信側RLCレイヤーに送信される。その後に、RLC PDUは、肯定応答(ACKnowledged:以下、“ACK”と称する。)信号が受信側RLCレイヤーから受信されるまで再送信バッファ320にバッファリングされる。
【0027】
受信側RLCレイヤーは、この受信されたRLC PDUを受信バッファ330に記憶し、各シーケンス番号を検査することにより送信の間に流失したRLC PDUを検出し、この送信の間に流失したRLC PDUの再送信を送信側RLCレイヤーに要請する。以下、説明の便宜のために、RLC PDU[x]は、RLCシーケンス番号がxであるRLC PDUを示し、PDCP PDU[x]は、PDCPシーケンス番号がxであるPDCP PDUを示す。
【0028】
RLCレイヤーが行われたARQ動作の例について説明する。1つの時点で、送信側RLCレイヤーから送信されたRLC PDU[7]乃至RLC PDU[10]の中で、RLC PDU[8]及びRLC PDU[9]だけが受信側RLCレイヤーにより受信され、受信バッファ330に記憶されている。受信側RLCレイヤーは、RLC PDU[8]及びRLC PDU[9]の受信成功及びRLC PDU[7]の受信失敗を報告する状態報告340を送信することにより、送信側RLCレイヤーに回答する。具体的に、状態報告340は、シーケンス番号8及び9を含むACK信号であるACK[8,9]とシーケンス番号7を含む否定応答(Non-ACKnowledged:以下、“NACK”と称する。)信号であるNACK[7]とを含む。その後に、送信側RLCレイヤーは、再送信バッファ320に記憶されており、再送信が要請されたRLC PDU[7]を再送信し、正常に送信されたRLC PDU[8]及びRLC PDU[9]を再送信バッファ320から廃棄する。受信バッファ330に記憶されているRLC PDUの中で、1つの完全なPDCP PDUを構成することができるRLC PDUは、再組立部335によりPDCP PDUに構成された後に、この構成されたPDCP PDUは、受信側PDCPレイヤーに伝達される。
【0029】
RLCレイヤーが行った重要な動作の中の1つは、受信側RLCレイヤーがPDCP PDUを受信側PDCPレイヤーに伝達する際に、送信側RLCレイヤーが送信側PDCPレイヤーからPDCP PDUを受信した順序と同一の順序で伝達するものである。これを“順次伝送(in-sequence delivery)”動作と呼ぶ。例えば、PDCP PDU[101]310がRLC PDU[8]及びRLC PDU[9]を使用して再組立てされることができるとしても、受信側RLCレイヤーは、RLC PDU[7]をまだ受信していないため、RLC PDU[8]及びRLC PDU[9]をPDCP PDU[101]310に再組立てし、この再組立てされたPDCP PDU[101]310をPDCPレイヤーに伝達しない。受信側RLCレイヤーがこの再送信されたRLC PDU[7]を受信し、受信バッファ330が未受信RLC PDUをこれ以上含まない際に、受信側RLCレイヤーの再組立部335は、受信バッファ330に記憶されているRLC PDUを再組立てすることによりPDCP PDUを構成した後に、受信側PDCPレイヤーに伝達する。
【0030】
このように、RLCレイヤーが信頼性ある送受信機能及び“順次伝送”機能を提供するため、PDCPレイヤーは、個別のバッファリング又はリオーダリング機能を必要としない。しかしながら、UEが他のENBに属しているセルにハンドオーバする場合には、UEは、前のセルで使用したARQエンティティ(すなわち、RLCエンティティ)を除去し、新たなセルで使用するRLCエンティティを再確立しなければならない。したがって、このハンドオーバが完了する前に、RLCレイヤーは、ARQ動作による信頼性ある送受信機能及び“順次伝送”機能を提供することができないこともある。
【0031】
図4に示すように、UE405は、PDCP受信エンティティ及びRLC受信エンティティを含み、ソースセルを制御するソースENB410及びターゲットセルを制御するターゲットENB415は、RLC送信エンティティを含み、アンカーノード420は、PDCP送信エンティティを含む。
【0032】
図4を参照すると、RLC PDUがUE405とソースENB410との間で送信される際に(ステップ425)、ソースENB410は、UE405をターゲットENB415のセルにハンドオーバすることを決定する(ステップ430)。ソースENB410がターゲットENB415にハンドオーバを準備することを要請すると(ステップ435)、ターゲットENB415は、UE405がターゲットENB415にハンドオーバした後に即座に通信を再開することができるようにする準備を行い、例えば、ターゲットENB415がUE405のためのRLCエンティティを設定した後に(ステップ440)、ハンドオーバ準備が完了したことをソースENB410に通知する(ステップ445)。その後に、ソースENB410は、UE405へのダウンリンク(downlink:DL)送信を中止し(ステップ447)、ターゲットENB415にハンドオーバすることをUE405に命令する(ステップ450)。この際に、この命令が送信される時点までのデータ送受信は、次の仮定に基づいている。
【0033】
・ アンカーノード420は、PDCP PDU[1]乃至PDCP PDU[8]をソースENB410に送信する。
・ ソースENB410は、PDCP PDU[1]乃至PDCP PDU[8]に対応するRLC PDUをUE405に送信する。PDCP PDU[7]及びPDCP PDU[8]は、まだ送信されていない。
・ UE405は、RLC PDUの中で、PDCP PDU[1]、PDCP PDU[2]、PDCP PDU[4]、及びPDCP PDU[6]に対応するRLC PDUを正常に受信する(ステップ449)。
・ UE405は、UE405がPDCP PDU[1]及びPDCP PDU[2]に対応するRLC PDUを正常に受信したことを、RLC状態報告を介してソースENB410に通知する。
・ UE405は、リオーダリングされたRLC PDUの中で、PDCP PDU[1]及びPDCP PDU[2]を組立て、この組立てられたPDUをPDCP受信エンティティに伝達する。
・ UE405のRLC受信エンティティは、PDCP PDU[4]及びPDCP PDU[6]に対応するRLC PDUを記憶する。
【0034】
ソースENB410は、RLCレベルのACK信号がUE405からまだ受信されていないPDCP PDU[3]乃至PDCP PDU[6]とUE405にまだ送信されていないPDCP PDU[7]及びPDCP PDU[8]とをターゲットENB415に送信する(ステップ455)。
【0035】
ハンドオーバ命令を受信したUE405は、非順次(out-of-sequence)RLC PDUを受信バッファから除去し、既存のRLCエンティティ(ソースセルとの通信を行ったRLCエンティティ)を除去する。その後に、既存のRLCエンティティとともに、PDCP PDU[4]及びPDCP PDU[6]に対応するRLC PDUが除去される(ステップ460)。その後に、UE405は、ターゲットENB415へのハンドオーバを行った後に、ターゲットENB415と通信するための新たなRLCエンティティを構成し、ハンドオーバ完了メッセージをターゲットENB415に送信する(ステップ465)。この際に、このハンドオーバ完了メッセージは、正常に受信されたPDCP PDUのシーケンス番号を含む。例えば、UE405のPDCP受信エンティティがPDCP PDU[1]及びPDCP PDU[2]を正常に受信したため、このハンドオーバ完了メッセージは、PDCP PDUがPDCP PDU[2]まで受信されたことを示す情報を含む。
【0036】
ターゲットENB415は、このハンドオーバ完了メッセージを受信すると、UE405がハンドオーバを行ったため、アンカーノード420にダウンリンクデータ経路を変更するように要請し(ステップ467)、UE405のために新たに構成されたRLCエンティティを用いてソースENB410から受信されたPDCP PDUの中で、UE405のPDCP受信エンティティがまだ受信していないPDCP PDU[3]乃至PDCP PDU[6]を再送信することを決定する(ステップ480)。ターゲットENB415の要請に応じて、アンカーノード420は、UE405のためのダウンリンクデータ経路をソースENB410からターゲットENB415に切り替え、ソースENB410に伝達された次のPDCP PDU、すなわち、PDCP PDU[9]乃至PDCP PDU[11]をターゲットENB415に伝達する。他方、ターゲットENB415は、PDCP PDU[3]及びその次のPDCP PDUは、新たに構成されたRLCエンティティを使用してUE405に送信される。
【0037】
図4に示すように、ターゲットENB415が重複再送される可能性があるにもかかわらず、リオーダリングされたPDCP PDUの次のPDCP PDUから送信を再開する場合に、PDCP受信エンティティは、受信したPDCP PDUを個別にバッファリングするか又はPDCP PDUをリオーダリングする必要がない。すなわち、PDCP受信エンティティは、RLC受信エンティティから伝達されたPDCP PDUを復号化エンティティ及びヘッダー復元エンティティに即座に入力する。
【0038】
しかしながら、ターゲットENBが、UEが受信していないPDCP PDUだけを送信する場合に、PDCP PDUは、個別のバッファリング機能及びリオーダリング機能を必要とする。このリオーダリングは、シーケンス番号に従って受信したパケットをリオーダリングした後に、このリオーダリングされたパケットを次のプロセッシングブロックに伝達し、非順次パケットがリオーダリングを介して正しい順序(in-sequence)となるまで非順次パケットを記憶している動作を意味する。この際に、非順次パケットは、未受信パケット(すなわち、まだ受信されていないパケット)が存在することを意味する。すなわち、未受信パケットがある場合には、この未受信パケットのシーケンス番号より高いシーケンス番号を有するパケットは、非順次パケットと見なされる。リオーダリングエンティティは、この未受信パケットが受信されるか又はこの未受信パケットが完全に流失したという事実が確実となるまでこの非順次パケットを一時的に記憶する。効率的なリオーダリング動作は、未受信パケットが完全に流失した場合に未受信パケットの流失をどのくらい速く感知し、この流失パケットのシーケンス番号より高いシーケンス番号を有するパケットを次のプロセッシングブロックに迅速に伝達することができるかによっている。
【0039】
本発明の第1の実施形態によれば、UEのPDCP受信エンティティは、ソースENBから正常に受信したPDCP PDUの中で、非順次PDCP PDUを受信バッファに一時的に記憶し、ターゲットセルからPDCP PDUを受信すると、この受信したPDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有するPDCP PDUのリオーダリングが完了したことを判定する。これは、UEのRLC受信エンティティが“順次伝送”動作を実行することにより、PDCP受信エンティティによるxのシーケンス番号を有するPDCP PDUの受信は、xより低いシーケンス番号を有する他のPDCP PDUをこれ以上受信する可能性がないことを意味する。
【0040】
図5を参照すると、ソースENB510からハンドオーバ命令を受信する前に、UE505は、PDCP PDU[1]、PDCP PDU[2]、PDCP PDU[4]、及びPDCP PDU[6]に対応するRLC PDUをソースENB510から受信する(ステップ520)。RLC PDUの中で、PDCP PDU[1]及びPDCP PDU[2]に対応するRLC PDUは、すでに正しい順序(in-sequence)となっている状態であるため、PDCP PDU[1]及びPDCP PDU[2]に組立てられた後にPDCP受信エンティティにまず伝達される。
【0041】
UE505がハンドオーバ命令をソースENB510から受信すると(ステップ525)、UEは、RLC受信バッファに残っているRLC PDUの中で、PDCP PDUに組立て可能なすべてのRLC PDUを組立てた後に、この組立てられたPDCP PDUをPDCP受信エンティティに伝達する(ステップ530)。この際に、PDCP PDU[4]及びPDCP PDU[6]は、正常に受信されたPDCP PDUと見なされ、PDCP受信エンティティに伝達される。また、UE505のRLC受信エンティティは、非順次PDCP PDUがリオーダリングを必要とする特定の指示子を正常に受信されたPDCP PDUとともにPDCP受信エンティティに伝達する。PDCP受信エンティティは、この特定の指示子を通じてPDCP PDU[3]及びPDCP PDU[5]がまだ受信されていないことを認識し、非順次PDCP PDUであるPDCP PDU[4]及びPDCP PDU[6]を次のプロセッシングブロックに伝達せず、リオーダリングバッファに一時的に記憶する(ステップ535)。
【0042】
UE505は、ターゲットENB515へのハンドオーバを実行した後に、ハンドオーバ完了メッセージをターゲットENB515に送信する(ステップ540)。この際に、このハンドオーバ完了メッセージは、PDCP PDU受信状態に関する情報、すなわち、未受信PDCP PDUのシーケンス番号及び受信されたPDCP PDUのシーケンス番号を含む。この例において、このハンドオーバ完了メッセージは、PDCP PDU[6]まで受信されており、PDCP PDU[3]及びPDCP PDU[5]が受信されていないというPDCP PDU受信状態情報を含む。
【0043】
このハンドオーバ完了メッセージを送信した後に、UE505は、ターゲットENB515で使用する新たなRLC受信エンティティを確立し(ステップ545)、RLC PDUがターゲットENB515から新たなRLC受信エンティティに到着することを待機する。
【0044】
一方、ターゲットENB515は、PDCP PDUをソースENB510から受信する(ステップ527)。その後に、このハンドオーバ完了メッセージをUE505から受信すると、ターゲットENB515は、このハンドオーバ完了メッセージに含まれているPDCP PDU受信状態を参照して送信されるPDCP PDUを決定し、この決定されたPDCP PDUのシーケンス番号を参照してこの決定されたPDCP PDUを送信する(ステップ550)。この例において、ターゲットENB515は、ソースENB510から受信されたPDCP PDU[3]、PDCP PDU[4]、PDCP PDU[5]、PDCP PDU[6]、PDCP PDU[7]、及びPDCP PDU[8]の中でPDCP PDU[3]、PDCP PDU[5]、PDCP PDU[7]、及びPDCP PDU[8]の順序でPDCP PDUを送信する。この際に、PDCP PDU[4]及びPDCP PDU[6]は、ターゲットENB515により廃棄され得る。ターゲットENB515は、上述した順序で、PDCP PDUをRLC PDUに再構成し、RLCシーケンス番号をRLC PDUに添付した後に、RLC PDUをUEのRLC受信エンティティに送信する。ターゲットENB515に構成されたRLC送信エンティティのシーケンス番号が0に初期化されるため、ターゲットENB515は、PDCP PDU[3]に対応する1番目のRLC PDUにシーケンス番号0を与える。
【0045】
ターゲットENB515及びUE505は、新たなRLC送信及び受信エンティティを介して通常のRLC送受信動作を再開し(ステップ555)、UE505のRLC受信エンティティは、正しい順序のRLC PDUをPDCP PDUに組立て、この組立てられたPDCP PDUをPDCP受信エンティティに伝達する(ステップ560)。RLC送受信動作の中に、任意のRLC PDUの送受信が完全に失敗する場合も発生し得る。このような場合は、例えば、RLC PDUが所定の時間間隔内に送信に成功できなかった場合、又は再送信に許容された最大回数まで再送信を試みたが再送信に成功できなかった場合であり得る。結局、未受信RLC PDUの受信が失敗する場合には、RLC受信エンティティは、未受信RLC PDUの存在を無視しつつ“順次伝送”動作を実行する。すなわち、未受信RLC PDUが受信されたという仮定に基づいて、正しい順序のRLC PDUの中でPDCP PDUに組立て可能なRLC PDUは、PDCP PDUに組立てられた後にPDCP受信エンティティに伝達される。
【0046】
上述したように、RLC受信エンティティが“順次伝送”動作を実行するため、ターゲットセルで使用するために構成されたRLC受信エンティティが伝達したPDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有する他のPDCP PDUがこれ以上受信される可能性がない。したがって、PDCP受信エンティティは、PDCP PDUがこのターゲットセルのRLC送信エンティティから伝達されたPDCP PDUまでは正しい順序となっているものと判定する(ステップ565)。例えば、PDCP受信エンティティがPDCP PDU[3]を受信せず新たなRLC受信エンティティからPDCP PDU[5]を受信した場合に、PDCP受信エンティティは、PDCP PDU[5]のシーケンス番号より低いシーケンス番号を有するPDCP PDU[3]が全く流失したものと判定し、PDCP PDU[5]までは正しい順序となっているものと判定する。
【0047】
本発明の第1の実施形態による全体の動作について次のように要約されることができる。
【0048】
・ ハンドオーバ命令を受信すると、UEのRLC受信エンティティは、PDCP PDUに組立可能なすべてのRLC PDUをPDCP PDUに組立てた後にPDCP受信エンティティに伝達する。この際に、RLC受信エンティティは、非順次PDCP PDUがリオーダリングを必要とする特定の指示子をPDCP PDUとともにPDCP受信エンティティに伝達する。
・ PDCP受信エンティティは、この特定の指示子及びPDCP PDUを受信すると、受信されたPDCP PDUのシーケンス番号を検査し、非順次PDCP PDU、すなわち、未受信PDCP PDUのシーケンス番号より高いシーケンス番号を有するPDCP PDUをリオーダリングバッファに記憶する。
・ PDCP受信エンティティは、PDCP PDU受信状態をUEの無線リソース制御(RRC)エンティティに伝達する。
・ UEのRRCエンティティは、PDCP PDU受信状態をハンドオーバ完了メッセージに挿入した後に、このハンドオーバ完了メッセージをターゲットENBに送信する。
・ ターゲットENBのRRCエンティティは、PDCP PDU受信状態をUEのために構成されたRLC受信エンティティに伝達する。
・ RLC送信エンティティは、PDCP PDU受信状態に基づいて、ソースENBから伝達されたPDCP PDUの中で、UEがソースENBからすでに受信したPDCP PDUを除いた残りのPDCP PDUをシーケンス番号に従って送信する。
・ ハンドオーバ完了メッセージが送信された後に、UEのRLC受信エンティティは、ターゲットENBのRLC送信エンティティから受信されたRLC PDUに対して“順次伝送”動作を実行する。
・ UEのPDCP受信エンティティは、新たなRLC送信エンティティからPDCP PDUを受信すると、この受信されたPDCP PDUまでは正しい順序となっているものと見なし、リオーダリングバッファに記憶されているPDCP PDUの中で、この新たなRLC送信エンティティから受信されたPDCP PDUのシーケンス番号より高いシーケンス番号を有する1番目の未受信PDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有するすべてのPDCP PDUを次のプロセッシングブロックに伝達する。
・ UEのPDCP受信エンティティは、リオーダリングバッファに記憶されているPDCP PDUが存在しないときまでこのリオーダリング動作を実行する。
【0049】
図6を参照すると、ステップ605で、UEは、ハンドオーバ命令をソースENBから受信する。ステップ610で、UEのRLC受信エンティティは、組立可能なRLC PDUをPDCP PDUに組立てた後に、この組立てられたPDCP PDUをPDCP PDUのリオーダリングを必要とする特定の指示子とともにPDCP受信エンティティに伝達する。
【0050】
ターゲットセルへのハンドオーバを実行した後に、UEは、ステップ615で、ハンドオーバ完了メッセージをターゲットENBに送信する。その後に、UEは、既存のRLC受信エンティティを除去し、ターゲットセルと関連するための新たなRLC受信エンティティを構成する。その後に、ステップ620で、この新たに構成されたRLC受信エンティティは、ターゲットセルから受信されたRLC PDUに対して“順次伝送”動作を実行する。
【0051】
図7を参照すると、ステップ705で、リオーダリングを必要とする特定の指示子とともにPDCP PDUがRLC受信エンティティから伝達されると、PDCP受信エンティティは、ステップ707で、この伝達されたPDCP PDUのシーケンス番号を検査することにより、正常に受信されたPDCP PDUのシーケンス番号及び未受信PDCP PDUのシーケンス番号を取得し、この取得されたシーケンス番号をUEのPDCP受信状態を報告する際に使用するためにUEのRRCエンティティに通知する。RRCエンティティは、ターゲットENBに送信されたハンドオーバ完了メッセージにUEのPDCP受信状態を挿入する。
【0052】
ステップ710で、PDCP受信エンティティは、RLC受信エンティティから伝達されたPDCP PDUをリオーダリングする必要があるか否かを検査する。この検査の結果に基づいて、このリオーダリングが必要である場合には、PDCP受信エンティティは、ステップ720に進み、このリオーダリングが不要である場合には、ステップ715に進む。このリオーダリングが必要である場合には、少なくとも1つの未受信PDCP PDUが存在することを意味する。
【0053】
ステップ715で、PDCP受信エンティティは、この受信されたPDCP PDUを次のプロセッシングブロックに伝達した後に、ステップ740で、その後に受信されたPDCP PDUに対する通常の動作を実行する。言い換えれば、PDCP受信エンティティは、RLC受信エンティティからPDCP PDUを次のプロセッシングブロックに即座に伝達する。
【0054】
ステップ720で、PDCP受信エンティティは、このリオーダリングされたPDCP PDU、すなわち、1番目の未受信PDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有するPDCP PDUを次のプロセッシングブロックに伝達し、リオーダリングを必要とする残りのPDCP PDUをリオーダリングバッファに記憶する。その後に、ステップ725で、PDCP受信エンティティは、PDCP PDUがこのターゲットセルに対して新たに構成されたRLC受信エンティティから伝達されるまで待機する。PDCP PDUがこのターゲットセルに対して新たに構成されたRLC受信エンティティから伝達される場合に、PDCP受信エンティティは、ステップ730に進み、この伝達されたPDCP PDUのシーケンス番号より高いシーケンス番号を有する1番目の未受信PDCP PDUまでのすべてのPDCP PDUが正しい順序となっているものと見なし、この正しい順序となっているPDCP PDUを次のプロセッシングブロックに出力する。
【0055】
この後に、ステップ735で、PDCP受信エンティティは、非順次PDCP PDUがリオーダリングバッファに残っているか否かを検査する。この検査の結果、非順次PDCP PDUがリオーダリングバッファに残っている場合には、PDCP受信エンティティは、ステップ725に進み、リオーダリング動作を継続して実行する。他方、非順次PDCP PDUがリオーダリングバッファに残っていない場合には、PDCP受信エンティティは、ステップ740に進み、通常の動作を実行する。
【0056】
本発明の第1の実施形態は、ターゲットENBがソースENBから受信されたPDCP PDU及びアンカーノードから受信されたPDCP PDUの順序をリオーダリングした後に、このリオーダリングされたPDCP PDUを送信する場合に対応する。本発明の第2の実施形態は、ターゲットENBがPDCP PDUをリオーダリングせず送信する場合にPDCP及びRLCの動作を提案する。
【0057】
ターゲットENBがソースENBから受信するPDCP PDUは、アンカーノードで受信したPDCP PDUより常に低いシーケンス番号を有し、ターゲットENBがソースENBから受信するPDCP PDUをまず最初に送信することが好ましい。しかしながら、ソースENBからのPDCP PDUがアンカーノードを介して通過した後にターゲットENBに伝達されるため、アンカーノードからターゲットENBに即座に伝達されたPDCP PDUよりターゲットENBに遅く到着する可能性がある。送信効率のために、ソースENBからのPDCP PDUが到着するまでターゲットENBがダウンリンク送信を中止することは好ましくない。
【0058】
したがって、ターゲットENBは、ソースENB又はアンカーノードから受信されたPDCP PDUの中で1番目に受信されたPDCP PDUをまずUEに送信する。この場合に、UEがPDCP PDUを逆の順序で受信する可能性が一層高い。また、ソースENBから伝達されたPDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有する他のPDCP PDUは、これ以上受信される可能性がない。しかしながら、このアンカーノードから伝達されたPDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有するPDCP PDUが受信される可能性は、ソースENBから伝達されたPDCP PDUがこれ以上存在しないときまでやはり残っている。
【0059】
本発明の第2の実施形態によると、ターゲットENBは、ソースENB又はアンカーノードから伝達されたPDCP PDUの中で、1番目に到着したPDCP PDUをまずUEに送信する。また、ターゲットENBは、ソースENBから伝達されたPDCP PDUを送信する際に、“PDCP PDUがソースENBから伝達されたPDCP PDUであるので、PDCP受信エンティティがPDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有する他のPDCP PDUを受信する可能性がなく、したがって、PDCP受信エンティティは、PDCP PDUを受信する際に、PDCP PDUのシーケンス番号より高いシーケンス番号を有する1番目の未受信PDCP PDUまでを次のプロセッシングブロックに伝達しなければならない”という指示子をPDCP PDUとともに送信する。以下、説明の便宜のために、この指示子を指示子1と称する。簡単に、指示子1は、PDCP受信エンティティに本発明の第1の実施形態に従うリオーダリング動作を適用することを命令するための指示子である。指示子1は、PDCP PDUの少なくとも一部を含むRLC PDUの制御情報として伝達されることができる。
【0060】
図8を参照すると、ターゲットENBのRLC送信エンティティは、ソースENBから伝達されたPDCP PDU[n]805をRLC PDU[m]810及びRLC PDU[m+1]815に再構成した後に、この再構成されたRLC PDU[m]810及びRLC PDU[m+1]815を送信する。この際に、ターゲットENBのRLC送信エンティティは、“現在のRLC PDUに再構成されたPDCP PDUがPDCP受信エンティティに伝達される際に、現在のRLC PDUとともに指示子1の伝達を命令する”制御情報820をPDCP PDU[n]805から再構成された最後のRLC PDU、すなわち、RLC PDU[m+1]815に添付する。以下、説明の便宜のために、制御情報820を“RLC制御情報1”と呼ぶ。
【0061】
UEのPDCP受信エンティティは、本発明の第1の実施形態で提示したリオーダリング動作を指示子1とともに伝達されたPDCP PDUに適用する。すなわち、指示子1とともに伝達されたPDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有するPDCP PDUがこれ以上受信される可能性がないので、PDCP受信エンティティは、PDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有する未受信PDCP PDUの存在可能性を無視し、PDCP PDUのシーケンス番号より高いシーケンス番号を有する1番目の未受信PDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有するすべてのPDCP PDUを次のプロセッシングブロックに伝達する。
【0062】
PDCP受信エンティティがソースENBからターゲットENBに伝達された最後のPDCP PDUを受信すると、この最後のPDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有するPDCP PDUがさらに受信される可能性がないので、これ以上のリオーダリング動作は無意味である。例えば、アンカーノードから伝達されたPDCP PDUが未受信PDCP PDUのためにPDCP受信エンティティのバッファに記憶されている場合にも、この最後のPDCP PDUを受信した後にはこの未受信PDCP PDUをこれ以上受信する可能性がない。
【0063】
したがって、本発明の第2の実施形態によれば、ターゲットENBは、ソースENBから受信された最後のPDCP PDUをUEに送信する際に、指示子2を最後のPDCP PDUとともに送信する。指示子2は、UEのPDCP受信エンティティにすべての非順次PDCP PDUを次のプロセッシングブロックを伝達するように指示する。この指示子2をPDCP PDUとともに受信すると、UEのPDCP受信エンティティは、バッファに記憶されているすべての非順次PDCP PDUを次のプロセッシングブロックに伝達した後に、通常の動作を実行する。また、この指示子2は、PDCP PDUの少なくとも一部を含む最後のRLC PDUのRLC制御情報として伝達され得る。
【0064】
図8を参照すると、RLC送信エンティティは、ソースENBから伝達されたPDCP PDU825をRLC PDU[k]835及びRLC PDU[k+1]840に再構成した後に、この再構成されたRLC PDU[k]835及びRLC PDU[k+1]840を送信する。この際に、RLC送信エンティティは、“現在のRLC PDUに再構成されたPDCP PDUがPDCP受信エンティティに伝達される際に、現在のRLC PDUとともに指示子2の伝達を命令する”制御情報845をPDCP PDU825から再構成された最後のRLC PDU、すなわち、RLC PDU[k+1]840に添付する。以下、説明の便宜のために、制御情報845を“RLC制御情報2”と呼ぶ。
【0065】
図9を参照すると、ソースENB910からハンドオーバ命令を受信する前に、UE905は、ステップ920で、PDCP PDU[1]、PDCP PDU[2]、PDCP PDU[4]、及びPDCP PDU[6]に対応するRLC PDUを受信する。RLC PDUの中で、PDCP PDU[1]及びPDCP PDU[2]に対応するRLC PDUがすでに正しい順序となっている状態であるため、PDCP PDU[1]及びPDCP PDU[2]に組立てられた後に、PDCP受信エンティティに伝達される。
【0066】
UE905は、ステップ925で、ソースENB910からハンドオーバ命令を受信すると、ステップ930で、RLC受信バッファに残っているRLC PDUの中で組立て可能なすべてのRLC PDUをPDCP PDUに組立てた後に、この組立てられたPDCP PDUをPDCP受信エンティティに伝達する。この際に、PDCP PDU[4]及びPDCP PDU[6]は、正常に受信されたPDCP PDUと見なされ、PDCP受信エンティティに伝達される。また、UE905のRLC受信エンティティは、非順次PDCP PDUがリオーダリングを必要とする特定の指示子を正常に受信されたPDCP PDUとともにPDCP受信エンティティに伝達する。PDCP受信エンティティは、ステップ935で、この特定の指示子を通じてPDCP PDU[3]及びPDCP PDU[5]が受信されなかったことを認識し、非順次PDCP PDUであるPDCP PDU[4]及びPDCP PDU[6]を次のプロセッシングブロックに伝達せず、リオーダリングバッファに一時的に記憶する。
【0067】
UE905は、ターゲットENB915へのハンドオーバを実行した後に、ステップ940で、ハンドオーバ完了メッセージをターゲットENB915に送信する。この際に、このハンドオーバ完了メッセージは、PDCP PDU受信状態に関する情報、すなわち、未受信PDCP PDUのシーケンス番号及び受信されたPDCP PDUのシーケンス番号を含む。この例において、このハンドオーバ完了メッセージは、PDCP PDU[6]まで受信されており、PDCP PDU[3]及びPDCP PDU[5]が受信されていないというPDCP PDU受信状態情報を含む。
【0068】
このハンドオーバ完了メッセージを送信した後に、UE905は、ステップ945で、ターゲットENB915で使用する新たなRLC受信エンティティを確立し、RLC PDUがターゲットENB915から新たなRLC受信エンティティに到着することを待機する。
【0069】
一方、ターゲットENB915は、PDCP PDUをソースENB910及びアンカーノードから受信する。ここで、このような説明は、アンカーノードからのPDCP PDUがまず到着する場合に基づいている。すなわち、ステップ929で、PDCP PDU[9]からのPDCP PDUは、アンカーノードから受信され始め、ステップ927で、PDCP PDU[3]乃至PDCP PDU[8]は、ソースENB910から受信される。ターゲットENB915に新たに構成されたRLC送信エンティティは、この受信されたPDCP PDUを受信された順序で送信バッファに記憶する。すなわち、PDCP PDU[9]、PDCP PDU[10]、PDCP PDU[11]、PDCP PDU[3]、PDCP PDU[5]、PDCP PDU[6]、PDCP PDU[7]、PDCP PDU[8]、及びPDCP PDU[12]などの順序で送信バッファに記憶される。
【0070】
その後に、このハンドオーバ完了メッセージをUE905から受信すると、ターゲットENB915は、ステップ950で、このハンドオーバ完了メッセージに含まれているPDCP PDU受信状態を参照して送信されるPDCP PDUを決定した後に、この決定されたPDCP PDUのシーケンス番号を参照してこの決定されたPDCP PDUを送信する。この例において、ソースENB910から受信されたPDCP PDU[3]〜PDCP PDU[8]の中で、PDCP PDU[3]、PDCP PDU[5]、PDCP PDU[7]、及びPDCP PDU[8]だけがUE905に送信される。また、PDCP PDUは、送信バッファに記憶されている順序、すなわち、PDCP PDU[9]、PDCP PDU[10]、PDCP PDU[11]、PDCP PDU[3]、PDCP PDU[5]、PDCP PDU[6]、PDCP PDU[7]、PDCP PDU[8]、及びPDCP PDU[12]の順序で送信される。ターゲットENB915に構成されたRLC送信エンティティのシーケンス番号が0に初期化されるため、ターゲットENB915は、PDCP PDU[3]に対応する1番目のRLC PDUにシーケンス番号0を与える。
【0071】
UE905は、ステップ955で、新たなRLC受信エンティティによりRLC受信動作に従う“順次伝送”を実行し、ステップ960で、正しい順序となっているRLC PDUをPDCP PDUに組立てた後に、この組立てられたPDCP PDUを受信エンティティに伝達する。この際に、RLC制御情報1を含むRLC PDUを組み合わせることにより構成されたPDCP PDUは、指示子1とともにPDCP受信エンティティに伝達され、RLC制御情報2を含むRLC PDUを組み合わせることにより構成されたPDCP PDUは、指示子2とともにPDCP受信エンティティに伝達される。
【0072】
PDCP受信エンティティは、ターゲットセルで新たに構成されたRLC受信エンティティからPDCP PDUを受信すると、この受信されたPDCP PDUが指示子1又は指示子2とともに伝達されたか否かを検査する。この受信されたPDCP PDUが指示子1とともに伝達されると、PDCP受信エンティティは、ステップ965で、この受信されたPDCP PDUまでは正しい順序となっているものと見なし、PDCP PDUのシーケンス番号より高いシーケンス番号を有する1番目の未受信PDCP PDUまでのPDCP PDUを次のプロセッシングブロックに伝達する。他方、この受信されたPDCP PDUが指示子2とともに伝達されると、PDCP受信エンティティは、ステップ970で、この受信されたPDCP PDUを含むバッファに記憶されているすべてのPDCP PDUが正しい順序となっているものと見なし、これらを次のプロセッシングブロックに伝達する。
【0073】
図10を参照すると、ステップ1005で、UEは、ハンドオーバ命令をソースENBから受信する。ステップ1010で、UEのRLC受信エンティティは、組立可能なRLC PDUをPDCP PDUに組立てた後に、この組立てられたPDCP PDUをPDCP PDUのリオーダリングを必要とする特定の指示子とともにPDCP受信エンティティに伝達する。
【0074】
ターゲットセルへのハンドオーバを実行した後に、UEは、ステップ1015で、ハンドオーバ完了メッセージをターゲットENBに送信する。その後に、UEは、既存のRLC受信エンティティを除去し、ターゲットセルと関連するための新たなRLC受信エンティティを構成する。その後に、ステップ1020で、この新たに構成されたRLC受信エンティティは、ターゲットセルから受信されたRLC PDUに対して“順次伝送”動作を実行する。ステップ1025で、この新たに構成されたRLC受信エンティティは、正しい順序となっているPDCP PDUをPDCP受信エンティティに伝達する。この際に、RLC制御情報1を含むRLC PDUを組み合わせることにより構成されたPDCP PDUは、指示子1とともにPDCP受信エンティティに伝達され、RLC制御情報2を含むRLC PDUを組み合わせることにより構成されたPDCP PDUは、指示子2とともにPDCP受信エンティティに伝達される。
【0075】
図11を参照すると、ステップ1105で、リオーダリングを必要とする特定の指示子とともにPDCP PDUがRLC受信エンティティから伝達されると、PDCP受信エンティティは、ステップ1107で、この伝達されたPDCP PDUのシーケンス番号を検査することにより、正常に受信されたPDCP PDUのシーケンス番号及び未受信PDCP PDUのシーケンス番号を取得し、この取得されたシーケンス番号をUEのPDCP受信状態を通知する際に使用するためにUEのRRCエンティティに通知する。RRCエンティティは、ターゲットENBに送信されたハンドオーバ完了メッセージにUEのPDCP受信状態を挿入する。
【0076】
ステップ1110で、PDCP受信エンティティは、RLC受信エンティティから伝達されたPDCP PDUをリオーダリングする必要があるか否かを検査する。この検査の結果に基づいて、このリオーダリングが必要である場合には、PDCP受信エンティティは、ステップ1120に進み、このリオーダリングが不要である場合には、ステップ1115に進む。このリオーダリングが必要である場合には、少なくとも1つの未受信PDCP PDUが存在することを意味する。
【0077】
ステップ1115で、PDCP受信エンティティは、この受信されたPDCP PDUを次のプロセッシングブロックに伝達した後に、ステップ1140で、この後に受信されたPDCP PDUに対する通常の動作を実行する。言い換えれば、PDCP受信エンティティは、RLC受信エンティティからPDCP PDUを次のプロセッシングブロックに即座に伝達する。
【0078】
ステップ1120で、PDCP受信エンティティは、このリオーダリングされたPDCP PDU、すなわち、1番目の未受信PDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有するPDCP PDUを次のプロセッシングブロックに伝達し、リオーダリングを必要とする残りのPDCP PDUをリオーダリングバッファに記憶した後に、ステップ1125で、PDCP受信エンティティは、PDCP PDUがこのターゲットセルに対して新たに構成されたRLC受信エンティティから伝達されるまで待機する。PDCP PDUがこのターゲットセルに対して新たに構成されたRLC受信エンティティから伝達される場合に、PDCP受信エンティティは、ステップ1127に進み、PDCP PDUが指示子2とともに伝達されたか否かを検査する。PDCP受信エンティティは、PDCP PDUが指示子2とともに伝達された場合には、ステップ1128に進み、PDCP PDUが指示子2とともに伝達されない場合には、ステップ1129に進む。
【0079】
指示子2がこの伝達されたPDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有する他のPDCP PDUがこれ以上受信される可能性がなく、現在リオーダリングバッファに記憶されているPDCP PDUが正しい順序となるようにリオーダリングされる可能性がないことを示すので、PDCP受信エンティティは、ステップ1128で、リオーダリングバッファに記憶されているすべてのPDCP PDUを次のプロセッシングブロックに伝達した後に、ステップ1140に進み、通常の動作を実行する。
【0080】
PDCP PDUが指示子2とともに伝達されない場合には、PDCP受信エンティティは、ステップ1129に進み、PDCP PDUが指示子1とともに伝達されたか否かを検査する。指示子1は、この伝達されたPDCP PDUのシーケンス番号より低いシーケンス番号を有する他のPDCP PDUがこれ以上受信される可能性がないことを示すので、PDCP受信エンティティは、ステップ1130に進み、この伝達されたPDCP PDUのシーケンス番号より高いシーケンス番号を有する1番目の未受信PDCP PDUまでのすべてのPDCP PDUが正しい順序となっているものと見なし、この正しい順序となっているPDCP PDUを次のプロセッシングブロックに出力する。
【0081】
この後に、ステップ1135で、PDCP受信エンティティは、非順次PDCP PDUがリオーダリングバッファに残っているか否かを検査する。この検査の結果、非順次PDCP PDUがリオーダリングバッファに残っている場合には、PDCP受信エンティティは、ステップ1125に進み、リオーダリング動作を継続して実行する。他方、非順次PDCP PDUがリオーダリングバッファに残っていない場合には、PDCP受信エンティティは、ステップ1140に進み、通常の動作を実行する。
【0082】
他方、ステップ1129で、PDCP PDUが指示子1とともに伝達されない場合には、PDCP受信エンティティは、ステップ1133に進み、シーケンス番号に従ってPDCP PDUをリオーダリングバッファに記憶する。その後に、PDCP受信エンティティは、ステップ1125に進み、通常の動作を実行する。
【0083】
図12を参照すると、ターゲットENBのRLC送信エンティティ1270は、送信バッファ1215と、分割/ヘッダー挿入部1220と、再送信バッファ1225と、RLC制御部1230とを含む。送信バッファ1215は、ソースENBから伝達されたPDCP PDU1205及びアンカーノードから伝達されたPDCP PDU1210を記憶する。本発明の第1の実施形態によると、送信バッファ1215は、この伝達されたPDCP PDUをシーケンス番号に従ってリオーダリングした後に記憶する。本発明の第2の実施形態によると、送信バッファ1215は、PDCP PDUが伝達された順序に従ってこの伝達されたPDCP PDUを記憶する。
【0084】
送信バッファ1215は、この記憶されたPDCP PDUの中でRLC制御部1230が指定するPDCP PDUを分割/ヘッダー挿入部1220に伝達し、この伝達されたPDCP PDUを除去する。
【0085】
分割/ヘッダー挿入部1220は、送信バッファ1215から伝達されたPDCP PDUを適切なサイズをそれぞれ有するPDCP PDUに分割するか又は連接(concatenation)した後に、RLCシーケンス番号などを含むRLCヘッダーをPDCP PDUに挿入することにより、少なくとも1つのRLC PDUを再構成する。この際に、RLC制御情報がRLC制御部1230から送信された場合に、分割/ヘッダー挿入部1220は、RLC制御情報をこの再構成されたRLC PDUの所定の位置に挿入する。RLC PDUは、再送信バッファ1225及び下位レイヤーに伝達される。下位レイヤーに伝達されたRLC PDUは、所定の手順に従ってUEのRLC受信エンティティ1275に伝達され、再送信バッファ1225に伝達されたRLC PDUは、RLC受信エンティティ1275からのACK信号が到着するまで記憶される。
【0086】
RLC制御部1230は、送信バッファ1215及び再送信バッファ1225に記憶されているPDCP PDU又はRLC PDUの送信及び再送信を制御する。具体的に、RLC制御部1230は、UEがソースENBから正常に受信したPDCP PDUのシーケンス番号をRRCエンティティ(図示せず)から受信し、PDCP PDUを送信バッファ1215から除去する。また、UEに送信されるRLC制御情報がある場合に、RLC制御部1230は、このRLC制御情報を分割/ヘッダー挿入部1220に伝達することにより、RLC制御情報は、この送信されたRLC PDUにピギーバックされるようにすることができる。本発明の第2の実施形態によると、送信バッファ1215から伝達されたPDCP PDUがソースENBから伝達されたPDCP PDUである場合に、RLC制御部1230は、RLC制御情報1が対応するRLC PDUに添付されるように分割/ヘッダー挿入部1220を制御する。ソースENBから伝達された最後のPDCP PDUを送信する際に、RLC制御情報2が対応するRLC PDUに添付されるように分割/ヘッダー挿入部1220を制御する。
【0087】
RLC受信エンティティ1275は、受信バッファ1235と、RLC制御部1245と、再組立部1240とを含む。受信バッファ1235は、RLCシーケンス番号に従って基地局から受信されたRLC PDUを記憶する。正しい順序となっているRLC PDUの中でPDCP PDUとして組立て可能なRLC PDUは、受信バッファ1235から再組立部1240に伝達される。この際に、RLC PDUが制御情報を含む場合に、この制御情報は、RLC制御部1245に伝達される。
【0088】
再組立部1240は、受信バッファ1235から伝達されたRLC PDUをPDCP PDUに組立てた後に、PDCP PDUをPDCP受信エンティティ1280に伝達する。
【0089】
UEがハンドオーバ命令を受信すると、RLC制御部1245は、受信バッファ1235に記憶されているRLC PDUの中でPDCP PDUに組立て可能なすべてのRLC PDUを再組立部1240に伝達するように受信バッファ1235を制御する。また、RLC制御部1245は、PDCP受信エンティティ1280のリオーダリング制御部1265に特定の指示子を伝達することにより、正しい順序となるまでリオーダリングバッファ1250に対応する時点(すなわち、この特定の指示子を伝達する時点)で伝達されたPDCP PDUを記憶するように要請する。一方、RRCエンティティ1260は、UEのハンドオーバが完了すると、リオーダリング制御部1265からPDCP PDU受信状態情報を収集し、この収集されたPDCP PDU受信状態情報をターゲットENBに送信されたハンドオーバ完了メッセージに挿入する。
【0090】
本発明の第2の実施形態によると、RLC受信エンティティ1275がRLC PDUとともにRLC制御情報1をターゲットENBから受信した場合に、RLC制御部1245は、RLC制御情報2を含むRLC PDUから組立てられたPDCP PDUとともに指示子2をPDCP受信エンティティ1280のリオーダリング制御部1265に伝達する。
【0091】
PDCP受信エンティティ1280は、リオーダリングバッファ1250と、リオーダリング制御部1265と、次のプロセッシングブロック1255とを含む。次のプロセッシングブロック1255は、UEが進行中であるサービスに関連した上位レイヤープロトコルを処理するために、例えば、暗号化部及びヘッダー復元部を含んでもよい。
【0092】
通常、リオーダリングバッファ1250は、RLC受信エンティティ1275から伝達されたPDCP PDUを次のプロセッシングブロック1255に即座に伝達する。しかしながら、リオーダリング制御部1265からリオーダリング命令を受信すると、リオーダリングバッファ1250は、リオーダリングが必要とされるPDCP PDUを記憶する。
【0093】
本発明の第1の実施形態によると、リオーダリングが必要とされるPDCP PDUがリオーダリングバッファ1250に記憶されている間に、リオーダリングバッファ1250が新たに構成されたRLC受信エンティティ1275からPDCP PDUを受信すると、リオーダリングバッファ1250は、この受信されたPDCP PDUのシーケンス番号より高いシーケンス番号を有する1番目の未受信PDCP PDUまで正しい順序となっているものと見なし、PDCP PDUを次のプロセッシングブロック1255に伝達する。また、記憶されているPDCP PDUがこれ以上存在しないと、リオーダリングバッファ1250は、通常の動作をさらに実行し、受信されたPDCP PDUを次のプロセッシングブロック1255に即座に伝達する。
【0094】
本発明の第2の実施形態によると、リオーダリングバッファ1250がPDCP PDUを指示子1とともに受信すると、リオーダリングバッファ1250は、この受信されたPDCP PDUのシーケンス番号より高いシーケンス番号を有する1番目の未受信PDCP PDUまで正しい順序となっているものと見なし、PDCP PDUを次のプロセッシングブロック1255に即座に伝達する。また、リオーダリングバッファ1250がPDCP PDUを指示子2とともに受信すると、リオーダリングバッファ1250は、記憶されているすべてのPDCP PDUを正しい順序となっているものと見なし、すべてのPDCP PDUを次のプロセッシングブロック1255に伝達する。
【0095】
次のプロセッシングブロック1255は、リオーダリングバッファ1250から伝達されたPDCP PDUを復号化し、ヘッダーを復元することによりIPパケットを再構成した後に、このIPパケットを上位レイヤー(例えば、IPレイヤー)に伝達する。
【0096】
以上、本発明を具体的な実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく様々な変更が可能であるということは、当業者には明らかであり、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものの範囲内で定められるべきである。
【符号の説明】
【0097】
101 ユーザー端末
110,112 次世代UMTS無線アクセスネットワーク(E-RAN)
114 インターネットプロトコルネットワーク
120,122,124,126,128 次世代基地局(ENB)
130,132 アンカーノード
205,240 パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)レイヤー
210,235 無線リンク制御(RLC)レイヤー
215,230 メディアアクセス制御(MAC)レイヤー
220,225 物理レイヤー
305 送信バッファ
310,312 PDCP PDU
315 フレーミング部
320 再送信バッファ
330 受信バッファ
335 再組立部
405 UE
410 ソースENB
415 ターゲットENB
420 アンカーノード
505 UE
510 ソースENB
515 ターゲットENB
905 UE
910 ソースENB
915 ターゲットENB
1205 ソースENBから伝達されたPDCP PDU
1210 アンカーノードから伝達されたPDCP PDU
1215 送信バッファ
1220 分割/ヘッダー挿入部
1225 再送信バッファ
1230 RLC制御部
1235 受信バッファ
1240 再組立部
1245 RLC制御部
1250 リオーダリングバッファ
1255 プロセッシングブロック
1260 RRCエンティティ
1265 リオーダリング制御部
1270 RLC送信エンティティ
1275 RLC受信エンティティ
1280 PDCP受信エンティティ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12