特許第5728579号(P5728579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5728579井戸内で流体プロセス変量を測定するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728579
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】井戸内で流体プロセス変量を測定するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 47/12 20120101AFI20150514BHJP
   G01L 11/04 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   E21B47/12
   G01L11/04
【請求項の数】22
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-524162(P2013-524162)
(86)(22)【出願日】2011年8月9日
(65)【公表番号】特表2013-538954(P2013-538954A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】US2011047027
(87)【国際公開番号】WO2012021485
(87)【国際公開日】20120216
【審査請求日】2013年3月12日
(31)【優先権主張番号】12/855,127
(32)【優先日】2010年8月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135873
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100180080
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 幸男
(72)【発明者】
【氏名】ヘツキ,ロバート・シー
(72)【発明者】
【氏名】ルゥ,リェンジィウ
【審査官】 ▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−098888(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/065282(WO,A1)
【文献】 特開昭56−125595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 47/12
G01L 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置で流体のプロセス変量を検知するためのセンサシステム装置であって、
音波の伝播が可能であり、一部が前記第1位置に対応する壁と、
前記第1位置から隔てられた位置で前記壁に結合され、前記第1位置へ音響信号を提供する音響源と、
前記第1位置に対応する位置で前記壁に結合され前記音響信号に反応して前記流体のプロセス変量を示す共鳴周波数共鳴音響信号を提供する可変共鳴器と、
前記可変共鳴器から隔てられた第2位置に配置され、前記可変共鳴器から送信された共鳴音響信号を受け取るように構成された音響センサと、そして
前記音響センサに結合され、前記受け取った共鳴音響信号に応答して、前記流体のプロセス変量に関連したプロセス変量出力を提供するように構成された測定回路と、
を含むセンサシステム装置。
【請求項2】
前記壁が、管又は容器の壁である、請求項1に記載のセンサシステム装置。
【請求項3】
前記流体のプロセス変量が圧力を含む、請求項1に記載のセンサシステム装置。
【請求項4】
前記可変共鳴器が、内部空洞を有する細長い要素を備える、請求項3に記載のセンサシステム装置。
【請求項5】
前記内部空洞が、流体の圧力と結合される、請求項4に記載のセンサシステム装置。
【請求項6】
前記細長い要素の内部を前記流体から隔離するように構成された隔離ダイアフラムを備える、請求項5に記載のセンサシステム装置。
【請求項7】
前記流体のプロセス変量が温度を含む、請求項1に記載のセンサシステム装置。
【請求項8】
前記可変共鳴器が、二種の金属からなる材料として形成された細長い要素を含む、請求項7に記載のセンサシステム装置。
【請求項9】
前記可変共鳴器が、片持梁を含む、請求項1に記載のセンサシステム装置。
【請求項10】
前記可変共鳴器が、音叉を含む、請求項1に記載のセンサシステム装置。
【請求項11】
前記可変共鳴器が、前記流体から隔離された共鳴要素を備える、請求項1に記載のセンサシステム装置。
【請求項12】
前記共鳴要素が、前記流体から真空空間に保持される、請求項11に記載のセンサシステム装置。
【請求項13】
前記真空空間が、前記流体を移動させる管の壁に組み込まれる、請求項12に記載のセンサシステム装置。
【請求項14】
前記可変共鳴器が、前記流体の流れに応答して共鳴する、請求項1に記載のセンサシステム装置。
【請求項15】
前記可変共鳴器が、異なる周波数範囲で共鳴するように各々構成された複数の共鳴要素を備える、請求項1に記載のセンサシステム装置。
【請求項16】
前記共鳴要素が、前記流体の異なるプロセス変量を測定するために構成される、請求項15に記載のセンサシステム装置。
【請求項17】
前記流体が坑底流体を含み、前記第1位置が井戸の坑底位置を含む、請求項1に記載のセンサシステム装置。
【請求項18】
前記流体が工業プロセスでの流体を含み、前記第1位置が前記工業プロセスの容器内の位置を含む、請求項1に記載のセンサシステム装置。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のセンサシステム装置を用いて、第1位置で流体のプロセス変量を検知するための方法であって、
前記音響源により、前記第1位置へ前記音響信号を提供することと、
前記可変共鳴器により、前記音響信号に反応して前記流体のプロセス変量を示す共鳴周波数の共鳴音響信号を提供することと、
前記音響センサにより、前記第1位置から隔てられた第2位置で前記共鳴音響信号を受け取ることと、そして
前記測定回路により、前記共鳴音響信号の関数として前記流体のプロセス変量を決定することと、
を含む方法。
【請求項20】
前記音響源により、前記第2位置から前記第1位置へ前記音響信号を提供することを包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記流体のプロセス変量が圧力を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記流体のプロセス変量が温度を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、井戸内で実施される測定に関する。より具体的には、本発明は、井戸の坑底位置での流体のプロセス変量の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
深井戸は、地球から流体を取り出すための1つの周知技法である。鑿井(さくせい)技術は高度な技術であり、井戸の深さ及び井戸の構造を増大させるために多くの技法が開発されてきた。
【0003】
油井などの、深井戸の操作及び掘削の間、多くの場合、井戸の「坑底」位置で流体のプロセス変量を測定することが望ましい。このようなプロセス変量としては、圧力及び温度が挙げられる。しかしながら、深井戸の坑底位置は、著しく苛酷な環境となることがあり得る。圧力は15,000psiを上回り、温度は華氏375度に到達する場合がある。更に、地表から、井戸の深い坑底位置への距離が、例えば、15,000フィートを超える深さとなる場合がある。したがって、深い坑底位置に測定機器を配置するのは困難であり、このようなあらゆる機器は苛酷な環境条件に耐えるように十分に丈夫な設計でなければならない。更に、坑底位置で取得されるいかなる測定値も、その後、地表へと送信されなければならない。
【発明の概要】
【0004】
流体のプロセス変量に応答して変化し、反応してプロセス変量を示す共鳴周波数で共鳴音響信号を提供する、共鳴周波数を有する第1位置に配置された可変共鳴器を備えた、第1位置で流体のプロセス変量を検知するためのセンサシステム。可変共鳴器から隔てられた第2位置に配置された音響センサが、可変共鳴器から送信された共鳴音響信号を受け取るように構成される。音響センサに連結した測定回路が、受け取った共鳴音響信号に応答して、流体のプロセス変量に関連したプロセス変量出力を提供するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】井戸の断面の簡略図である。
図2】共鳴を示す図である。
図3】井戸の坑底位置で流体のパラメータを測定するための本発明の一実施態様による装置を示すブロック図である。
図4】可変共鳴器の一例示的実施態様の断面図である。
図5】管の壁に組み込まれた可変共鳴器の別の例の図である。
図6】音叉の図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
例示的実施態様の詳細な説明
井戸は、地球表面下の深い位置から、原油などの流体を採取するために使用される。井戸の掘削の間及び他の操作の間に、「坑底」位置で流体の性質(「プロセス変量」)を測定することが有益であり得る。プロセス変量としては、圧力及び温度が挙げられる。しかしながら、これらの性質の測定は、重要な工学的課題となり得る。坑底位置への電子機器の配置は可能であるが、高コスト及び信頼できないものとなり得る。電子部品は、多くの場合、多数の井戸に存在する高温高圧を乗り切ることができない。電子部品を高圧から保護するように、包装が構成されなければならない。高温は、バッテリを使用不可能にするか、非常に短いバッテリ寿命をもたらす。電力及び通信のための地表からの配線は、高コスト及び信頼できないものとなる。
【0007】
本発明では、受動型坑底流体プロセス変量測定システムが提供される。1つの構成では、可変共鳴器が、坑底流体のプロセス変量に基づいて変化する共鳴周波数を有した坑底位置に提供される。この共鳴周波数は、任意の適切な技術を使用して測定可能である。1つの実施例では、地表又は遠隔位置の音響源が、井戸の下の坑底位置へ向けて音響エネルギーを送り込む。別の実施例では、音響エネルギーが、井戸自体の中で、例えば、井戸の流体の流れによって、発生する。可変共鳴器からの共鳴音響信号が、続いて、地表へと送信される。共鳴信号は、可変共鳴器の共鳴周波数に関連した周波数成分を有する。地表位置の音響センサが、共鳴信号を受け取る。測定回路が、例えば共鳴信号の周波数又は振幅などの、共鳴信号を測定するように構成され、坑底流体のプロセス変量に関連した出力を提供する。この構成が、掘削の間、及び、井戸の操作の間の双方での、坑底流体の性質のリアルタイム測定を可能にする。
【0008】
図1は、鑿井装置の誇張された断面図である。例として、40インチの直径の穴が1,000フィートまで掘削され、16インチの直径の穴が15,000フィートまで掘削される。30インチ鋼板(ケーシング)12が1,000フィートまで設置され、12インチ鋼管(ケーシング)14が15,000フィートまで設置される。グラウト16が、井戸の底部(坑底)まで、ケーシングの内側に注入される。ケーシングが、続いて、加圧され、ケーシングと穴の間の井戸の外側でグラウトが押し上げられる。グラウト16が乾燥し、井戸を封止する。3インチ管20が、続いて、井戸底部までケーシングの内側に設置される。パッカ(厚みのあるガスケット)22が、井戸底部で管20とケーシング14の間に設置される。パッカから地表までの空間は、(水又はディーゼル油などの)パッカ流体24で充填される。続いて、爆発物26を、パッカの下の位置で、ケーシングを通じて、例えば油層へと爆発させる。
【0009】
前述のように、井戸の坑底位置は、著しく苛酷な環境となることがあり得る。新しい井戸では、坑底が15,000psiを超える圧力となることがあり得る。制御されない場合、坑底圧力が約4,000psiの上部圧力を超えるときは、「噴油井」の原因となる。更に、坑底温度が華氏375度を超えることがあり得る。
【0010】
坑底位置にセンサを配置することは、重要な技術的課題である。ワイヤ、光ファイバ又はRFなどの無線技術を使用して、地表へ情報を返信することは困難である。地表からデバイスに電力を供給することも、長いワイヤが提供されなければならないため、課題となり得る。バッテリなどのローカル電源が使用されてもよいが、苛酷な条件下で動作可能でなければならない。測定デバイス自体も、高圧高温に耐えられなければならないため、設計が困難である。
【0011】
本発明は、圧力又は温度などの、坑底流体のパラメータ又はプロセス変量を決定するために、音響伝達及び音響信号の特性を利用する。気体、液体及び固体での音の速さは、媒質の密度及び体積弾性率と呼ばれる弾性に基づいて、一般的に予測できる。媒質の弾性は、所定量の外部の圧力に応答して媒質がどれくらい圧縮するかを決定する。僅かな体積圧縮に対する圧力の変化の比率は、物質の体積弾性率と呼ばれる。様々な物質での代表的な音響信号の伝播速度(音の速さ)は、水では20℃で1,482m/sの伝播速度、油では1,200m/sの伝播速度、鋼では4,512m/sの伝播速度そして乾燥した空気では20℃で343m/sの伝播速度である。
【0012】
共鳴は、外部振動と調和的な類似点を有する受動的な主体が、その外部振動に反応する調和的な現象である。この現象は、2つの類似の音叉を用意した簡単な例を使用して、実証可能である。音叉の1つが、固体状の物に載置される。他の音叉が叩かれ、続いて、固体状の物と接触して配置された場合、振動は物を通って伝わり、載置された音叉が共鳴する。この例は、エネルギーがどのように共鳴系の間で移動し、保存され得るかを示している。
【0013】
図2は、掘削操作中の管を表すと考えられる細長い物体54に共に連結された送信音叉50及び受信音叉52を示す簡易図である。この例では、音叉50及び52は同一で、管54に、例えば溶接によって、連結される。送信音叉50が叩かれると、縦振動「A」は、同時の半径方向振動「R」を引き起こす。この音波は、管54に沿って伝播し、矢印「R」及び「A」によって示すように受信音叉52を共鳴させる。送信音叉50の音が消えた場合でも、受信音叉52は振動を続け、音波を被受信音叉50に返信し、被受信音叉50をもう一度共鳴させる。
【0014】
図3は、地面108を通って管107の坑底位置106まで延びる井戸104に連結された測定回路102を備える坑底測定システム100を示す、本発明の一実施態様の簡略化されたブロック図である。可変共鳴器110が坑底位置106に配置され、音響変換器114が発生した音響信号112を受け取る。音響変換器114は、音響源116及び音響センサ118を備える。
【0015】
可変共鳴器110は送信された音響信号112を受け取り、坑底位置106で流体のプロセス変量に応じて共鳴を始める。その結果、反射された音響信号122が、井戸管107に沿って送り返される。変換器の音響センサ118が、反射された音響信号122を受け取る。測定回路102は、変換器114に連結される。回路102は、好ましくは、メモリ132及び出力134と連結したマイクロプロセッサ130を備える。デジタルアナログ変換器136がマイクロプロセッサ130に接続され、増幅器138にデジタル出力を提供する。アナログデジタル変換器140が増幅器142から信号を受け取り、マイクロプロセッサ130へデジタル化された出力を提供する。
【0016】
この実施態様では、操作の間、マイクロプロセッサ130が、デジタルアナログ変換器136にデジタル信号を提供することによって、音響変換器114に音響信号112を発生させる。これによりアナログ信号が生成され、アナログ信号は、増幅器138によって増幅され、音響源116によって音響信号に変換される。先に記載したように、可変共鳴器110は反射された音響信号122を生成し、音響信号は変換器114の音響センサ118によって受け取られる。センサ118は増幅器142にアナログ信号を提供し、増幅器はアナログデジタル変換器140に増幅された信号を提供する。アナログデジタル140は、増幅された信号をデジタル化し、マイクロプロセッサ130へデジタル化された出力を提供する。マイクロプロセッサ130は、メモリ132に保存された命令に従って作動し、出力回路134を使用して出力を提供するように構成される。出力は、坑底位置106での流体のプロセス変量を示す。出力回路134からの出力は、例えば、ローカルディスプレイもしくはローカル出力を含むことができ、又は、例えば、有線もしくは無線通信技術を使用して、遠隔位置に送信することができる。有線通信技術の一例は、データと電力の双方が同じ2本のワイヤで提供される二線式プロセス制御ループである。例えば、4〜20mAの電流を、出力回路134によって2本のワイヤで制御し、検知された流体のプロセス変量の表示を提供するために使用することが可能である。別の例では、デジタル情報を二線式ループ上に変調することができる。二線式ループは、システムに電力を提供するように構成することも可能な、制御室などのローカル位置に連結することができる。あるいは、様々な無線通信案が使用されてもよい。
【0017】
一実施態様によれば、音響信号112を一定範囲の周波数で掃引させるように、マイクロプロセッサ130を構成することができる。反射された音響信号122をモニタすることによって、反射された信号122のピークを、周波数のグループの特定の周波数に対して同定することができる。この情報は、検知された坑底位置106での流体のプロセス変量と相関可能である。可変共鳴器110は、共鳴器110の共鳴周波数が流体の1つ以上のパラメータに応じて変化する、任意の適切な技術に従うことができる。例としては、圧力、温度、化学組成、粘度又はその他のものが挙げられる。本明細書で使用されるとき、「音響」及び「音響信号」は、任意の種類の振動信号を意味し、特定の周波数範囲に限定されない。
【0018】
図4は、可変共鳴器200の一例の断面図である。可変共鳴器200は、坑底位置106に配置され、本実施例では、温度及び圧力を測定するために使用可能である。図4の実施態様では、共鳴器200は、片持梁204及び206を保持する密閉された真空ボリューム202を備える。梁204は温度応答性片持梁で、梁206は圧力応答性片持梁である。例えば、梁204は二種の金属からなる組成を有することができ、それにより、温度の変化が梁204の引張力の変化を引き起こし、その結果、梁204の共鳴周波数を変化させる。片持梁206は、真空ボリューム202の外側でプロセス流体と開口部212を通して結合された内部空間210を備える。プロセス流体の圧力の変化は、梁206の引張力を変化させ、その結果、梁206の共鳴周波数を変化させる。好ましくは、個々の音響信号が地表で検知され分離できるように、梁204及び206の共鳴周波数範囲は十分に隔てられる。
【0019】
図5は、共鳴する構成部品が配管226の外壁に組み込まれた、可変共鳴器220の別の例示的実施態様の断面図である。この構成は、管226の内側に流体を自由に移動させておくときに、好ましい。可変共鳴器220は、壁226に形成された真空空間222及び224を備える。空間224は温度応答性片持梁230を保持し、空間222は圧力応答性片持梁232を保持する。先に論じたように、梁230は温度に応答する共鳴周波数を有する二種の金属からなる材料を含むことができる。同様に、梁232は、開口部234を通してプロセス流体と結合された内部空間236を備え、プロセス流体の圧力に応答して変化する共鳴周波数を有する。真空ボリューム222及び224は、配管226の内側又は外側の直径上に配置することができる。
【0020】
別の例示的構成では、図4及び図5に示される要素204、206、230及び232は、片持梁ではなく音叉を含む。いくつかの構成では、保存された共鳴エネルギーが一定の質量中心によって構造体内により長く残される傾向にある更に効率的な設計を提供するように、音叉が好ましい。
【0021】
図6は、本発明の別の例示的構成による共鳴構成部品として役立つ音叉250の簡略化された図である。音叉250は、柄254と連結した分岐部分252を含む。音叉250が二種の金属からなる材料で作られる場合、音叉250の共鳴周波数は温度に基づいて変化する。別の例示的構成では、音叉250は、例えば、油などの隔離充満流体で充填することが可能な内部空間256を備える。隔離ダイアフラム258は、上で構成部品206及び232に関して述べたようにプロセス流体と結合する。プロセス流体が隔離ダイアフラム258に圧力をかけたとき、内部ボリューム256内の圧力は変化し、その結果、音叉250の共鳴周波数が変化する。
【0022】
1つの構成では、共鳴構成部品が真空ボリューム内に配置され、その結果、発生するかもしれない任意の制動を減少させる。音叉の基本共鳴周波数は、ダイアフラム258に圧力がかけられないときの周波数であり、次の式を用いて算定できる。
【0023】
【数1】
【0024】
=基本周波数=432.4Hz
=定数=3.52
=管穴の半径=4×10−3
=管の半径=6×10−3
L=音叉のタインの長さ=1.5×10−1
E=ヤング率=1.93×1011kg/ms
ρ=密度=8×10kg/m
【0025】
これは、音叉がステンレス鋼でできており、432.4Hzの基本周波数をもたらすと仮定している。
【0026】
圧力に応じた共鳴周波数は、以下の式を用いて算定できる。
【0027】
【数2】
【0028】
P=内部の音叉の圧力
【0029】
多くの例において、精油所又は化学プラントなどの工業プロセスで、管又はタンクなどの容器の圧力又は温度を非侵入測定することが望ましい。伝統的方法でプロセス変量を測定することは、通常、容器の壁の貫通を必要とする。この貫通は、超高圧、高温又は危険なプロセスの存在などの一定の条件下では、費用がかかり、潜在的に危険となり得る。坑底測定のための図3図4図5及び図6で説明された実施態様は、管及びタンクなどの容器表面を備えた任意の測定に適用できる。
【0030】
本発明は好ましい実施態様を参照にして説明されたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形及び細部で変更が可能であることを当業者は認めるであろう。1つの構成では、上で説明された「坑底」位置には、ローカル位置に配置された測定回路から遠隔又は相隔てられた位置が含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6