【実施例】
【0043】
実施例1:カプセルの視認性
本実施例では、本発明のシガレットの香料カプセルをつぶした前とつぶした後において、香料カプセルを視覚的に認識できるかどうかを評価した。
【0044】
1.材料
フィルターA〜Fのプラグ巻取紙として、下記商品名の紙を使用した。括弧内に入手先、紙の種類を記す。
【0045】
フィルターA:40.0特厚白色グラシン(日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)
不透明度30〜35%、平滑度800〜1000sec、灰分0〜5%
フィルターB:25.8薄口白色グラシン(日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)
不透明度20〜25%、平滑度1000〜1200sec、灰分0〜5%
フィルターC:50NFB(耐油紙)(日本製紙パピリア株式会社;耐油紙)
不透明度75〜80%、平滑度30〜130sec、灰分1〜2%
フィルターD:グラファン35gsm(王子特殊紙株式会社;グラシン紙)
不透明度5〜15%、平滑度1500〜2000sec、灰分0〜5%
フィルターE:P-10000C(高通気度不織布)(日本製紙パピリア株式会社;高通気度不織布)
不透明度40〜50%、平滑度8〜10sec、灰分0〜3%
フィルターF:NatureFlex 42μ(透明フィルム)(Innovia社;透明セロハン)
不透明度1.0〜2.0%、平滑度3500〜4000sec
フィルターG:JT高透明グラシン40(日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)
不透明度15〜25%、平滑度1500sec以上、灰分0〜5%
2.フィルターの製造
上記プラグ巻取紙を用いて、
図2に示されるフィルターを製造した。フィルターは、刻側(左側)のフィルタープラグ21a、吸口側(右側)のフィルタープラグ21b、プラグ巻取紙22、および香料カプセル23から構成される。
【0046】
「刻側のフィルタープラグ21a」は、Non-Wrap-Acetate (ATK2010-02) のろ材から構成され(素材紙を含まない)、その長さL1は11 mm、円周は24.1 mmである。「吸口側のフィルタープラグ21b」は、Acetate tow (2.8Y35000) のろ材とP10000Cの素材紙とから構成され、その長さL2は10 mm、円周24.1 mmである。これら2つのフィルタープラグとプラグ巻取紙から形成される中空部の長さ(S)は6 mmである。香料カプセル23は、中鎖脂肪酸トリグリセリド(トリカプリル/カプリン酸グリセリン)と香料(メンソールおよび植物精油)を含有する内容液23bと多糖類(デンプン)をベースとした皮膜23aとから構成され、香料カプセルの直径Dは4.5 mmである。香料カプセルは、皮膜物質としてのデンプン(20重量%)と内容液(80重量%)を混合し、滴下法により調製した。製造されたフィルターの全長(Lf)は27 mmである。
【0047】
2つのフィルタープラグと香料カプセルを、FLR巻上機(ND-5RC、株式会社三條機械製作所)を用いて、
図2に示されるとおりプラグ巻取紙22で巻いた。
【0048】
3.シガレットの製造
上述のとおり製造されたフィルターを使用して、
図3に示されるシガレットを製造した。シガレットは、「たばこロッド10」と「フィルター20」と「チップペーパー30」から構成される。
【0049】
「たばこロッド」は、自社製造販売銘柄のマイルドセブンのたばこロッドを使用した。たばこロッドは、長さ(Lr)57 mm、円周24.8 mmのサイズを有する。「フィルター」は、
図2に示されるとおりであり、その全長(Lf)は27 mmである。「チップペーパー」は、ベースフィルムとしてNatureFlex 23μ(Innovia社)を使用し、これをTANNPAPIER GmbHがチップペーパーの両端の各10 mmを白地に印刷し、チップペーパーに加工したものを使用した。チップペーパーの長さ(Lt)は32 mmであり、白地部分の長さ(Lt1およびLt2)は、10 mmである。
【0050】
チップ糊として、EVA系エマルジョンを使用した。フィルターAおよびBから、たばこ巻上機(HAUNI社 ProtosM5)を用いてシガレットAおよびBを作成した。また、フィルターC〜Gから、手巻でシガレットC〜Gを作成した。
【0051】
4.評価結果
香料カプセルの視認性(視認レベル)を目視で評価した。評価は、23℃、湿度50%、標準光源下で実施した。
【0052】
(1)シガレットA〜Gを、それぞれ2本ずつ用意した。
【0053】
(2)2本のうちの1本について、カプセルをラジオペンチを用いてつぶした。
【0054】
(3)カプセルをつぶしたシガレットを机に置き、5分間放置した。
【0055】
(4)放置したシガレットを市販のコピー用紙の上に置き、カプセルの視認性を目視で採点評価した。
【0056】
採点は、以下の表に基づき行った。
【表1】
【0057】
(5)つぶす前のシガレットについても同様に評価した。この評価点と(4)で得られた評価点との差を、「視認性の変化」として算出した。
【0058】
(6)評価は5人の評価者により行い、目視による評価結果を以下に示す。下記表は、目視による評価結果を、不透明度の測定結果と併せて示す。不透明度の測定結果は、後述の実施例3(表6)で得られた結果を転記した。
【表2】
【0059】
シガレットCでは、つぶす前にカプセルを視覚的に認識することができず、50NFB(耐油紙)は、プラグ巻取紙として適していない。シガレットFでは、つぶす前もつぶした後もカプセルをはっきりと視覚的に認識することができ、NatureFlex 42μは、目隠しの機能を有しておらず、プラグ巻取紙として適していない。一方、シガレットA、B、D、EおよびGでは、つぶす前にカプセルを視覚的に認識することができ(評価点2〜3)、カプセルをつぶすとカプセル内の内容液がプラグ巻取紙に付着して、カプセルをよりはっきりと視覚的に認識することができるようになった。
【0060】
実施例2:プラグ巻取紙の液体不透過性
本実施例では、種々のプラグ巻取紙の液体不透過性を評価した。
【0061】
1.材料
プラグ巻取紙として、下記の紙を使用した。括弧内に商品名、入手先、紙の種類を記す。
【0062】
(1)普通紙24(普通紙24.0 gsm;日本製紙パピリア株式会社;普通紙)
不透明度65〜75%、平滑度80〜140sec、灰分8〜12%
(2)N250(N250;日本製紙パピリア株式会社;普通紙)
不透明度40〜50%、平滑度100〜140sec、灰分5%以下
(3)NPWS(NPWS-OLL;日本製紙パピリア株式会社;普通紙)
不透明度45〜55%、平滑度150〜190sec、灰分5%以下
(4)P10000C(P-10000C;日本製紙パピリア株式会社;高通気度不織布)
不透明度40〜50%、平滑度8〜10sec、灰分0〜3%
(5)P20000C(P-20000C;日本製紙パピリア株式会社;高通気度不織布)
不透明度35〜45%、平滑度1〜4sec、灰分0〜3%
(6)NatureFlex 23μ(NatureFlex 23μ;Innovia;透明セロハン)
不透明度1.0〜2.0%、平滑度3500〜4000sec
(7)50NFB(50NFB;日本製紙パピリア株式会社;耐油紙)
不透明度75〜80%、平滑度30〜130sec、灰分1〜2%
(8)ドリープW34.9(ドリープW34.9;王子特殊紙株式会社;パーチメント紙)
不透明度30〜50%、平滑度3000sec以上、灰分0〜5%
(9)グラファン(グラファン35gsm;王子特殊紙株式会社;グラシン紙)
不透明度5〜15%、平滑度1500〜2000sec、灰分0〜5%
(10)グラシン25.8(25.8薄口白色グラシン;日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)
不透明度20〜25%、平滑度1000〜1200sec、灰分0〜5%
(11)グラシン40(40.0特厚白色グラシン;日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)
不透明度30〜35%、平滑度800〜1000sec、灰分0〜5%
(12)高透明グラシン40(JT高透明グラシン40;日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)
不透明度15〜25%、平滑度1500sec以上、灰分0〜5%
2.評価方法
添加液体として、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)(トリカプリル/カプリン酸グリセリン)、プロピレングリコール(PG)、および水を使用した。
【0063】
評価は、23℃、湿度50%、標準光源下で実施した。
【0064】
(1)液体滴下前
プラグ巻取紙をチップペーパー(37白原紙;日本製紙パピリア株式会社)(試験紙)と重ね合わせ、得られた積層紙の不透明度(%)を、チップペーパー側からHunter法(JIS P 8138A)により測定した。
【0065】
(2)液体滴下後
上述の積層紙のプラグ巻取紙側に、液体を70μl滴下した。液体滴下から2分後、プラグ巻取紙の表面に残っている液体をふき取った。その後、チップペーパー側から不透明度(%)をHunter法(JIS P 8138A)により測定した。
【0066】
液体滴下後の不透明度(%)と液体滴下前の不透明度(%)との差を「不透明度の変化量」として算出した。不透過性は、「不透明度の変化量」に基づいて以下の表のとおり評価した。
【表3】
【0067】
液体が水の場合は、経時で乾燥してしまうため不透明度を測定できず、不透過性は、表3の評価基準に従って瞬時に外観で評価した。
【0068】
3.評価結果
種々のプラグ巻取紙について「不透明度の変化量」および「不透過性の評価」を以下に示す。
【表4】
【0069】
普通紙24、N250、NPWS、P10000C、P20000Cは、いずれの液体に対しても透過性を示し、プラグ巻取紙としての使用に適していない。NatureFlex 23μ、50NFB、ドリープW34.9、グラファン、高透明グラシン40は、いずれの液体に対しても不透過性を有していた。グラシン25.8は、中鎖脂肪酸トリグリセリドに対して若干の透過性を示したが、プラグ巻取紙としての使用に問題はないと思われる。グラシン25.8は、水に対して透過性を示したため、水を、香料カプセルの溶媒として使用することはできない。グラシン40は、水以外のすべての液体に対して不透過性を有していた。
【0070】
実施例3:プラグ巻取紙の不透明度の変化
1.評価方法
本実施例では、実施例2で使用したプラグ巻取紙を、透明チップペーパーNatureFlex 23μと重ね合わせて、液体の付着による不透明度の変化を評価した。実施例2で使用したのと同じ液体を滴下し、実施例2と同様の手法で評価を行った。
【0071】
液体滴下後の不透明度(%)と液体滴下前の不透明度(%)との差を「不透明度の変化量」として算出した。「不透明度の変化量」を、以下の表のとおり「外観(透明性)」と関連づけて評価した。
【表5】
【0072】
表5に示されるとおり、不透明度の変化量が5%以上である場合、透明性が増大したことを視覚的に認識することができる。
【0073】
2.評価結果
種々のプラグ巻取紙について「不透明度の変化量」および「評価」を以下に示す。
【表6】
【0074】
普通紙24、N250、NPWS、P10000C、P20000Cは、いずれの液体を滴下した後も、不透明度は大きく変化したが、実施例2の結果より、いずれの液体に対しても透過性を示すため、プラグ巻取紙としては適していない。
【0075】
NatureFlex 23μは、5%以上の不透明度の変化量を示さないため、プラグ巻取紙としては適していない。
【0076】
50NFBは、不透明であるため、この紙を使用した場合、香料カプセルの位置を認識することはできないため、プラグ巻取紙としては適していない。
【0077】
ドリープW34.9は、滴下前の不透明度が37.2%であり、かついずれの液体に対しても液体の滴下後に5%以上の不透明度の変化量を示し、透明性が増大したことを視覚的に認識することができた。また、ドリープW34.9は、いずれの液体に対しても不透過性を示した(実施例2の結果を参照)。このことから、ドリープW34.9は、プラグ巻取紙として使用可能である。
【0078】
グラファンは、5%以上の不透明度の変化量を示さないため、プラグ巻取紙としては適していない。
【0079】
グラシン25.8は、滴下前の不透明度が20.9%であり、かつ中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)およびプロピレングリコール(PG)の滴下後に5%以上の不透明度の変化量を示し、透明性が増大したことを視覚的に認識することができた。また、グラシン25.8は、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)およびプロピレングリコール(PG)に対して不透過性を示した(実施例2の結果を参照)。このことから、グラシン25.8は、これらの液体を香料含有液として使用した際にプラグ巻取紙として使用可能である。
【0080】
グラシン40は、滴下前の不透明度が31.2%であり、かつ中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、プロピレングリコール(PG)および水の滴下後に5%以上の不透明度の変化量を示し、透明性が増大したことを視覚的に認識することができた。また、グラシン40は、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、プロピレングリコール(PG)および水に対して不透過性を示した(実施例2の結果を参照)。このことから、グラシン40は、これらの液体を香料含有液として使用した際にプラグ巻取紙として使用可能である。
【0081】
高透明グラシン40は、滴下前の不透明度が16.2%であり、かつ中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の滴下後に5%以上の不透明度の変化量を示し、透明性が増大したことを視覚的に認識することができた。また、高透明グラシン40は、いずれの液体に対しても不透過性を示した(実施例2の結果を参照)。このことから、高透明グラシン40は、プラグ巻取紙として使用可能である。