特許第5728581号(P5728581)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728581
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】シガレット
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20150514BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20150514BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   A24D3/04
   A24D1/02
   D21H27/00 D
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-527972(P2013-527972)
(86)(22)【出願日】2012年7月31日
(86)【国際出願番号】JP2012069456
(87)【国際公開番号】WO2013021863
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2013年10月30日
(31)【優先権主張番号】特願2011-172153(P2011-172153)
(32)【優先日】2011年8月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】小野 広善
(72)【発明者】
【氏名】成原 弘芳
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−539717(JP,A)
【文献】 特開平07−250665(JP,A)
【文献】 特表2007−520204(JP,A)
【文献】 特表2008−546400(JP,A)
【文献】 特表2006−517106(JP,A)
【文献】 実公平05−045198(JP,Y2)
【文献】 国際公開第2009/106374(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/04
A24D 1/02
D21H 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たばこ充填材および該たばこ充填材の周囲を巻装するたばこ巻紙を含むたばこロッドと、
互いに離間して配置された複数のフィルタープラグと、前記フィルタープラグ間に中空部を形成するように前記フィルタープラグの周囲に巻かれたプラグ巻取紙と、前記中空部内に位置し、皮膜内に香料を含む内容液を保持した香料カプセルとを含むフィルターと、
前記たばこロッドと前記フィルターとを接続するように該たばこロッドと該フィルター上に巻かれたチップペーパーと
を含み、
前記プラグ巻取紙が、内容液に対して不透過性を有し、
前記プラグ巻取紙および前記チップペーパーから構成される積層紙の不透明度が、(i) 香料カプセルの破壊前に5〜70%であり、(ii) 香料カプセルの破壊によって放出された内容液がプラグ巻取紙に付着した際に、5%以上低下することを特徴とするシガレット。
【請求項2】
前記チップペーパーが透明であることを特徴とする、請求項1に記載のシガレット。
【請求項3】
前記プラグ巻取紙が、
プラグ巻取紙と試験紙を重ね合わせて積層紙を形成し、試験紙の側から積層紙の不透明度を測定し、
プラグ巻取紙の側から内容液を滴下し、試験紙の側から積層紙の不透明度を測定し、
内容液の滴下前の不透明度と滴下後の不透明度の差を求めたときに、
前記差が10%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のシガレット。
【請求項4】
前記プラグ巻取紙および前記チップペーパーから構成される積層紙の不透明度が、(i) 香料カプセルの破壊前に10〜40%であり、(ii) 香料カプセルの破壊によって放出された内容液がプラグ巻取紙に付着した際に、10%以上低下することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のシガレット。
【請求項5】
前記プラグ巻取紙が、5〜40%の不透明度、500〜2500secの平滑度、および0〜5%の灰分を有することを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載のシガレット。
【請求項6】
前記プラグ巻取紙が、グラシン紙またはパーチメント紙であることを特徴とする、請求項5に記載のシガレット。
【請求項7】
前記プラグ巻取紙が、内側表面に、撥水性または撥油性を有する領域を備えていることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のシガレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料カプセルを含むシガレット用フィルターを備えたシガレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シガレット用フィルターに香料カプセルを組み込み、使用時に香料カプセルを破砕し、喫煙時に内容液の香りを楽しんだり、消火後の吸殻のにおいをマスキングしたりすることが行われている(特許文献1および2)。香料カプセルの詳細については、たとえば特許文献3に記載されている。
【0003】
チッピングペーパーやプラグ巻取紙は、フィルターとたばこロッドの継ぎ目を見えないようにしたり、喫煙によってフィルターのろ材に付着するタールの色を見えないようにしたりする目隠しの役割を担っているため、一般的には、不透明な紙が使用されている。また、チャコールフィルターの場合、不透明なチッピングペーパーやプラグ巻取紙は、上記役割に加えて、活性炭の色を見えないようにする役割も担っている。
【0004】
一方で、透明なチッピングペーパーや透明なプラグ巻取紙を使用して、フィルター内部を可視化することが行われている(特許文献4〜6)。
【0005】
特許文献4は、フィルター内部を可視化するために、チッピングペーパーやプラグ巻取紙として透明な材料を使用すること、チッピングペーパーの一部に不透明なコーティングを施して目隠しの機能を付与することを開示する。特許文献4は、透明な材料としてポリプロピレン、ポリビニルクロライド、セルロースアセテートフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、セロファン、Natureflex(登録商標)およびポリ酢酸を例示する。また、特許文献4は、チッピングペーパーやプラグ巻取紙は、フィルター内部を可視化させることができれば、フィルターに美的効果を提供するために着色により半透明であってもよいことを開示する。
【0006】
特許文献5は、チップペーパーやフィルター巻紙として、フィルター内の香料粒子を目視できるように透明フィルム材料を使用することを開示し、透明フィルム材料として、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニールおよびセルロースアセテートフィルムを例示する。
【0007】
特許文献6は、有害物質の抽出効果を可視化するために、チッピングペーパーやプラグ巻取紙として透明な材料を使用することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−250665号公報
【特許文献2】特表2007−520204号公報
【特許文献3】特表2008−546400号公報
【特許文献4】国際公開第2009/106374号パンフレット
【特許文献5】実公平5−45198号公報
【特許文献6】国際公開第2004/068975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、フィルター部分に香料カプセルを含むシガレットは、不透明なプラグ巻取紙や不透明なチップペーパーで巻かれると、喫煙者が香料カプセルを破砕する際に、香料カプセルの位置が分かりにくいという問題があること、およびカプセル破砕後に、カプセル内容液がフィルター内に展開したことが分からないという問題があることに着目した。
【0010】
フィルター内の香料カプセルを可視化するために、透明なチップペーパーや透明なプラグ巻取紙を使用した場合、上述の目隠しの機能(すなわち、フィルターとたばこロッドの継ぎ目を見えないようにしたり、フィルターのろ材に付着するタールの色を見えないようにしたりする機能)が損なわれる。また、透明なチップペーパーや透明なプラグ巻取紙を使用して香料カプセルを可視化した場合、カプセルの破壊を認識することはできても、カプセル内容液は微量であるため、中空部内に十分に展開したことを視覚的に認識することは難しい。
【0011】
そこで、本発明は、
(a)チップペーパーおよびプラグ巻取紙が、目隠しの機能を保持しており、
(b)喫煙者が、フィルター内の香料カプセルを破砕する際に、チップペーパーおよびプラグ巻取紙を通してカプセルの位置を視覚的に認識することができ、かつ
(c)カプセル破砕後に、チップペーパーおよびプラグ巻取紙を通してカプセル内容液がフィルター内に展開したことを視覚的に認識することができる
チップペーパーおよびプラグ巻取紙を備えたシガレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これまで、香料カプセルを含むシガレットは、カプセルの破壊により放出されるカプセル内容液がプラグ巻取紙やチップペーパーにしみを発生させないことを目的としており、たとえばカプセル内容液として親油性溶媒を使用する場合、プラグ巻取紙としては耐油紙が好ましく使用される。これに反し、本発明者らは、半透明のプラグ巻取紙にカプセル内容液を付着させて、より高い透明度を有するしみをプラグ巻取紙に敢えて発生させることにより、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明によれば、
たばこ充填材および該たばこ充填材の周囲を巻装するたばこ巻紙を含むたばこロッドと、
たばこ充填材および該たばこ充填材の周囲を巻装するたばこ巻紙を含むたばこロッドと、
互いに離間して配置された複数のフィルタープラグと、前記フィルタープラグ間に中空部を形成するように前記フィルタープラグの周囲に巻かれたプラグ巻取紙と、前記中空部内に位置し、皮膜内に香料を含む内容液を保持した香料カプセルとを含むフィルターと、
前記たばこロッドと前記フィルターとを接続するように該たばこロッドと該フィルター上に巻かれたチップペーパーと
を含み、
前記プラグ巻取紙が、内容液に対して不透過性を有し、
前記プラグ巻取紙および前記チップペーパーから構成される積層紙の不透明度が、(i) 香料カプセルの破壊前に70%以下であり、(ii) 香料カプセルの破壊によって放出された内容液がプラグ巻取紙に付着した際に、5%以上低下することを特徴とするシガレット
が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシガレットによれば、
(a)チップペーパーおよびプラグ巻取紙は、目隠しの機能を保持しており、
(b)喫煙者が、フィルター内の香料カプセルを破砕する際に、チップペーパーおよびプラグ巻取紙を通してカプセルの位置を視覚的に認識することができ、かつ
(c)カプセル破砕後に、カプセル内容液によりプラグ巻取紙にしみを発生させ、これにより、カプセル内容液がフィルター内に展開したことを視覚的に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】香料カプセルをつぶす前の本発明のシガレットの一部を示す断面図。
図1B】香料カプセルをつぶした後の本発明のシガレットの一部を示す断面図。
図2】本発明の実施例のフィルターを示す説明図。
図3】本発明の実施例のシガレットを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図面を参照して説明するが、以下の説明は、本発明を詳説することを目的とし、本発明を限定することを意図しない。
【0017】
図1Aおよび1Bは、本発明のシガレットの一部を示す断面図である。図1Aは、香料カプセル23をつぶす前のシガレットを示し、図1Bは、香料カプセル23をつぶした後のシガレットを示す。
【0018】
図1Aおよび1Bに示すシガレットは、たばこロッド10と、2つのフィルタープラグ21a、21bおよびプラグ巻取紙22から形成される中空部に香料カプセル23が収容されたフィルター20とを備え、たばこロッド10とフィルター20は、チップペーパー30により接続されている。図1Aおよび1Bに示すシガレットは、通常のフィルター付シガレットと同様、全体として円柱形状を有する。
【0019】
たばこロッド10は、通常のシガレットと同様、たばこ充填材11とその周囲を巻装するたばこ巻紙12からなり、例えば、5〜10mmの直径および40〜80mmの長さを有することができる。
【0020】
フィルター20は、互いに離間し中空部を介して配置された2つのフィルタープラグ21a、21bと、フィルタープラグ21a、21bの間に中空部を形成するようにフィルタープラグの周囲に巻かれたプラグ巻取紙22と、フィルタープラグ間の中空部に収容され、皮膜内に香料を含む内容液を保持した香料カプセル23を含む。フィルター20は、たばこロッド10とほぼ同じ直径を有し、長さは、通常のフィルターと同様、例えば15〜40mmであり得る。
【0021】
図1Aおよび1Bのシガレットでは、2つのフィルタープラグ21a、21bが1つの中空部を介して配置されているが、n個(nは2以上の整数)のフィルタープラグが(n−1)個の中空部を介して配置されていてもよく、たとえばnは2〜4であり、好ましくはnは2〜3であり、より好ましくはnは2である。
【0022】
フィルタープラグ21a、21bは、通常のフィルター付シガレットと同様、セルロースアセテート繊維等の繊維状フィルター材により構成され得る。フィルタープラグは、繊維状フィルター材のみから構成されていてもよいし、繊維状フィルター材とその周囲に巻かれた素材紙とから構成されていてもよい。刻側のフィルタープラグ21aと吸口側のフィルタープラグ21bは、同じ素材および構造を有していてもよいし、異なる素材および構造を有していてもよい。
【0023】
プラグ巻取紙22は、2つのフィルタープラグ21の周囲に巻かれ、その結果、2つのフィルタープラグ21a、21bとともに中空部を形成する。プラグ巻取紙22は、半透明であり、中空部内に位置する香料カプセル23を視認可能な程度の不透明度を有する。すなわち、プラグ巻取紙22は、喫煙者が、フィルター内の香料カプセルを破砕する際に、香料カプセルの位置を視覚的に認識することができる程度の不透明度を有する。このため、プラグ巻取紙22は、フィルター内部の構造を見えないようにする目隠しの機能も備えている。また、プラグ巻取紙22は、香料カプセルの破壊によって放出されたカプセル内容液が付着すると、その不透明度が低下して香料カプセルの視認レベルが増大する。すなわち、プラグ巻取紙22は、カプセル内容液の付着した位置で透明性が増加し、破壊された香料カプセルの輪郭がはっきり見えるようになる。「視認レベルが増大する」とは、破壊された香料カプセルの輪郭がはっきり見えるようになること、具体的には、後述の表1に記載される評価基準に従って評価点が増大することを意味する。これにより、喫煙者は、カプセル内容液が中空部内に展開したことを視覚的に認識することができる。
【0024】
このように、本発明では、半透明のプラグ巻取紙にカプセル内容液を付着させて、より高い透明度を有するしみをプラグ巻取紙に発生させ、このしみの広がりにより、カプセル内容液が中空部内に展開したことを視覚的に認識することができる。これにより、喫煙者は、カプセル内容液が中空部内に十分に展開したことを確認した上で、香りを楽しむことができる。
【0025】
上述の効果を奏するために、本発明においてプラグ巻取紙22は、具体的には、以下の3つの要件を備えている。
【0026】
(1)プラグ巻取紙は、カプセル内容液に対して不透過性を有する。
【0027】
(2)プラグ巻取紙およびチップペーパーから構成される積層紙は、70%以下の不透明度を有する。
【0028】
(3)プラグ巻取紙およびチップペーパーから構成される積層紙は、香料カプセルの破壊によって放出されたカプセル内容液が付着した際に、カプセル破壊前と比較して5%以上低い不透明度を有する。
【0029】
本発明において、チップペーパーは透明であることが好ましく、チップペーパーが透明である場合、不透明度は一般に0.5〜3%である。透明チップペーパーとしては、たとえばNatureFlex 23μ(Innovia社)、NatureFlex 42μ(Innovia社)をチップペーパー用のベースフィルムとして使用することができる。このため、チップペーパーが透明である場合、チップペーパーは、積層紙の不透明度に実質的に影響を及ぼさない。したがって、チップペーパーが透明である場合、(2)の要件は、「プラグ巻取紙は、70%以下の不透明度を有する」と表現され、(3)の要件は、「プラグ巻取紙は、香料カプセルの破壊によって放出されたカプセル内容液が付着した際に、カプセル破壊前と比較して5%以上低い不透明度を有する」と表現される。
【0030】
本明細書全体にわたって、不透明度は、JIS P8138A(1976年)に従って測定された値をいう。
【0031】
プラグ巻取紙が(1)の要件を満たすか否かは、具体的には、以下のとおり判断することができる。すなわち、
プラグ巻取紙と試験紙を重ね合わせて積層紙を形成し、試験紙の側から積層紙の不透明度を測定し、
プラグ巻取紙の側からカプセル内容液を滴下し、試験紙の側から積層紙の不透明度を測定し、
カプセル内容液の滴下前の不透明度からカプセル内容液の滴下後の不透明度を引き算することにより不透明度の差を求め、
前記差が10%以下である場合に、プラグ巻取紙は、カプセル内容液に対して不透過性を有すると評価され、前記差が10%を超える場合に、プラグ巻取紙は、カプセル内容液に対して不透過性を有していないと評価される(後述の実施例2を参照)。したがって、本発明において「不透過性を有する」とは、完全な不透過性を有する場合に加えて、不透過性を有するがごくわずかな浸透性がみられる場合も包含する(後述の表3参照)。ここでの不透明度の測定も、JIS P8138A(1976年)に従って行う。ここで使用される「試験紙」は、液体がプラグ巻取紙を透過した際にその液体を吸収することができるろ紙としての機能を有する不透明な紙であり、たとえば、不透明度80以上の厚さ33〜53μmの紙を使用することができ、例として37白原紙(日本製紙パピリア株式会社)を挙げることができる。
【0032】
プラグ巻取紙およびチップペーパーから構成される積層紙が、(2)の要件を満たすか否かは、具体的には、以下のとおり判断することができる。すなわち、プラグ巻取紙とチップペーパーを重ね合わせて積層紙を形成し、チップペーパーの側から積層紙の不透明度を測定する(後述の実施例3を参照)。ここでの不透明度の測定も、JIS P8138A(1976年)に従って行う。本発明では、このようにして測定される不透明度(すなわち、カプセル内容液が付着する前の不透明度)が、70%以下であり、好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜40%、更に好ましくは15〜40%である。不透明度が70%を超えると、プラグ巻取紙とチップペーパーを通して香料カプセルを視覚的に認識することが困難である。
【0033】
プラグ巻取紙およびチップペーパーから構成される積層紙が、(3)の要件を満たすか否かは、具体的には、以下のとおり判断することができる。すなわち、
プラグ巻取紙とチップペーパーを重ね合わせて積層紙を形成し、チップペーパーの側から積層紙の不透明度を測定し、
プラグ巻取紙の側からカプセル内容液を滴下し、チップペーパーの側から積層紙の不透明度を測定し、
カプセル内容液の滴下前の不透明度からカプセル内容液の滴下後の不透明度を引き算することにより不透明度の差を求める(後述の実施例3を参照)。ここでの不透明度の測定も、JIS P8138A(1976年)に従って行う。本発明では、このようにして求められる不透明度の差が5%以上であり、好ましくは5〜30%、より好ましくは10〜30%である。不透明度の差が5%未満である場合、積層紙の不透明度の低下が十分でなく、カプセルの破壊により放出されたカプセル内容液がフィルター中空部内に広がったことを認識することが困難である。
【0034】
(2)および(3)の要件については、シガレットを製造する前に、プラグ巻取紙とチップペーパーを重ね合わせて形成された積層紙の不透明度を測定してもよいし、シガレットを製造した後に、プラグ巻取紙とチップペーパーが接着された状態の積層紙を中空部の位置から切り取り、かかる積層紙の不透明度を測定してもよい。後者の場合、積層紙に接着剤が含まれるが、プラグ巻取紙とチップペーパーの接着には、一般に透明な接着剤(たとえばエマルジョン系接着剤)が使用されるため、接着剤が不透明度に及ぼす影響は無視することができる。
【0035】
より具体的には、プラグ巻取紙22は、5〜40%の不透明度、500〜2500secの平滑度、および0〜5%の灰分を有する紙を使用することができる。好ましくは、プラグ巻取紙22は、20〜40%の不透明度、500〜2500secの平滑度、および0〜5%の灰分を有する紙を使用することができる。より具体的には、プラグ巻取紙22は、上記条件を満たすグラシン紙、パーチメント紙を使用することができる。好ましくは、プラグ巻取紙22は、上記条件を満たすグラシン紙を使用することができる。不透明度が30%を超えると、香料カプセルの視覚的な認識の観点で好ましくない。また、平滑度が500sec未満であると、カプセル内容液に対する不透過性の観点で好ましくない。また、灰分が5%を超えると、不透明度上昇の観点で好ましくない。プラグ巻取紙22は、たとえば40〜80μmの厚さであり得る。
【0036】
プラグ巻取紙22は、その内側表面(中空部側の表面)に、撥水性または撥油性を有する特定形状の領域を設けることにより、香料カプセルの破壊によって放出された内容液が付着した際に、前記特定形状が浮かび上がるように処理されていてもよい。撥水性を有する領域は、パラフィン、シリコン等を塗布することにより形成することができ、撥油性を有する領域は、ワックス、パラフィン、カルボキシメチルセルロース、ラテックス等を塗布することにより形成することができる。これら物質は、印刷技術を利用してプラグ巻取紙の上に塗工することにより塗布することができる。特定形状は、記号;丸、三角、四角、星などの図形;アルファベット等の文字など、任意の形状であり得る。
【0037】
図1Aおよび1Bのシガレットにおいて、香料カプセル23は、フィルタープラグ間の中空部に収容されている。中空部1つあたり1個の香料カプセルが収容されていてもよいし、複数個(たとえば2〜10個)の香料カプセルが収容されていてもよい。
【0038】
香料カプセルは、皮膜23aと香料を含有する内容液23bとから構成される。皮膜23aには、たとえばデンプン、デキストリン、多糖類、寒天、ジェランガム、ゼラチン、各種天然ゲル化剤、グリセリンなどを用いることができ、さらに香料や着色料を含むことができる。香料カプセルは、不透明度を有するプラグ巻取紙に囲まれていても香料カプセルをつぶす際に喫煙者が認識できるように着色されていることが好ましく、皮膜23aに着色料、たとえば青色1号等を含むことが好ましい。内容液23bの香料としては、たとえばメンソール、植物精油などを用いることができる。内容液23bの溶媒としては、香料に適した溶媒を用いることができ、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)(具体的には、トリカプリル/カプリン酸グリセリン)、プロピレングリコール、水、エタノールなどを用いることができる。内容液は、さらに他の溶媒、色素、乳化剤、増粘剤などの他の添加剤を含有していてもよい。
【0039】
香料カプセルの製造方法は特に限定されないが、たとえば滴下法を用いればシームレスな皮膜を有する香料カプセルを製造することができる。この方法では、二重ノズルを用い、内側ノズルから内容液を、外側ノズルから液状の皮膜物質を同時に吐出させることにより、皮膜液が、継ぎ目を有することなく内容液を包み込むことができる。香料カプセルは、たとえば直径1.5〜7.0mmとすることができる。
【0040】
本発明のシガレットを製造する際には、シガレットに含有させる香料をまず決定し、香料の種類に応じて、香料を溶解させるのに適した溶媒を選択し、この溶媒に対して、上述の(1)〜(3)の要件を満たすプラグ巻取紙を選択することができる。たとえばメンソールをシガレットに含有させる場合、溶媒として中鎖脂肪酸トリグリセリドを選択し、この溶媒に対して上述の(1)〜(3)の要件を満たす紙、たとえば40.0特厚白色グラシン(日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)、25.8薄口白色グラシン(日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)、ドリープW34.9(王子特殊紙株式会社;パーチメント紙)、JT高透明グラシン40(日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)などを選択することができる(表4および表6を参照)。
【0041】
図1Aおよび1Bのシガレットにおいて、チップペーパー30は、内容液不透過性であることが好ましい。また、チップペーパーは、透明であることが好ましい。このようなチップペーパーとして、透明のセロハンを使用することができる。
【0042】
チップペーパー30は、プラグ巻取紙22の全体とたばこ巻紙12の一部を覆うように、接着剤で接着されている。接着剤は、香料カプセルの視認レベルに影響を及ぼさないように無色透明であることが好ましく、たとえばエマルジョン系接着剤を使用することができる。チップペーパー30は、例えば、たばこロッドの軸方向の長さ(幅)が20〜50mm、厚さが10〜100μmであり得る。通常のフィルター付シガレットと同様、チップペーパーには、通気用の小開孔(ベンチレーション孔)がシガレットの円周方向に沿って一列、複数列若しくは不規則に多数穿設されていてもよい。チップペーパー30は、中空部以外の領域にコーティング、たとえば白地の印刷が施されていてもよい。
【実施例】
【0043】
実施例1:カプセルの視認性
本実施例では、本発明のシガレットの香料カプセルをつぶした前とつぶした後において、香料カプセルを視覚的に認識できるかどうかを評価した。
【0044】
1.材料
フィルターA〜Fのプラグ巻取紙として、下記商品名の紙を使用した。括弧内に入手先、紙の種類を記す。
【0045】
フィルターA:40.0特厚白色グラシン(日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)
不透明度30〜35%、平滑度800〜1000sec、灰分0〜5%
フィルターB:25.8薄口白色グラシン(日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)
不透明度20〜25%、平滑度1000〜1200sec、灰分0〜5%
フィルターC:50NFB(耐油紙)(日本製紙パピリア株式会社;耐油紙)
不透明度75〜80%、平滑度30〜130sec、灰分1〜2%
フィルターD:グラファン35gsm(王子特殊紙株式会社;グラシン紙)
不透明度5〜15%、平滑度1500〜2000sec、灰分0〜5%
フィルターE:P-10000C(高通気度不織布)(日本製紙パピリア株式会社;高通気度不織布)
不透明度40〜50%、平滑度8〜10sec、灰分0〜3%
フィルターF:NatureFlex 42μ(透明フィルム)(Innovia社;透明セロハン)
不透明度1.0〜2.0%、平滑度3500〜4000sec
フィルターG:JT高透明グラシン40(日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)
不透明度15〜25%、平滑度1500sec以上、灰分0〜5%
2.フィルターの製造
上記プラグ巻取紙を用いて、図2に示されるフィルターを製造した。フィルターは、刻側(左側)のフィルタープラグ21a、吸口側(右側)のフィルタープラグ21b、プラグ巻取紙22、および香料カプセル23から構成される。
【0046】
「刻側のフィルタープラグ21a」は、Non-Wrap-Acetate (ATK2010-02) のろ材から構成され(素材紙を含まない)、その長さL1は11 mm、円周は24.1 mmである。「吸口側のフィルタープラグ21b」は、Acetate tow (2.8Y35000) のろ材とP10000Cの素材紙とから構成され、その長さL2は10 mm、円周24.1 mmである。これら2つのフィルタープラグとプラグ巻取紙から形成される中空部の長さ(S)は6 mmである。香料カプセル23は、中鎖脂肪酸トリグリセリド(トリカプリル/カプリン酸グリセリン)と香料(メンソールおよび植物精油)を含有する内容液23bと多糖類(デンプン)をベースとした皮膜23aとから構成され、香料カプセルの直径Dは4.5 mmである。香料カプセルは、皮膜物質としてのデンプン(20重量%)と内容液(80重量%)を混合し、滴下法により調製した。製造されたフィルターの全長(Lf)は27 mmである。
【0047】
2つのフィルタープラグと香料カプセルを、FLR巻上機(ND-5RC、株式会社三條機械製作所)を用いて、図2に示されるとおりプラグ巻取紙22で巻いた。
【0048】
3.シガレットの製造
上述のとおり製造されたフィルターを使用して、図3に示されるシガレットを製造した。シガレットは、「たばこロッド10」と「フィルター20」と「チップペーパー30」から構成される。
【0049】
「たばこロッド」は、自社製造販売銘柄のマイルドセブンのたばこロッドを使用した。たばこロッドは、長さ(Lr)57 mm、円周24.8 mmのサイズを有する。「フィルター」は、図2に示されるとおりであり、その全長(Lf)は27 mmである。「チップペーパー」は、ベースフィルムとしてNatureFlex 23μ(Innovia社)を使用し、これをTANNPAPIER GmbHがチップペーパーの両端の各10 mmを白地に印刷し、チップペーパーに加工したものを使用した。チップペーパーの長さ(Lt)は32 mmであり、白地部分の長さ(Lt1およびLt2)は、10 mmである。
【0050】
チップ糊として、EVA系エマルジョンを使用した。フィルターAおよびBから、たばこ巻上機(HAUNI社 ProtosM5)を用いてシガレットAおよびBを作成した。また、フィルターC〜Gから、手巻でシガレットC〜Gを作成した。
【0051】
4.評価結果
香料カプセルの視認性(視認レベル)を目視で評価した。評価は、23℃、湿度50%、標準光源下で実施した。
【0052】
(1)シガレットA〜Gを、それぞれ2本ずつ用意した。
【0053】
(2)2本のうちの1本について、カプセルをラジオペンチを用いてつぶした。
【0054】
(3)カプセルをつぶしたシガレットを机に置き、5分間放置した。
【0055】
(4)放置したシガレットを市販のコピー用紙の上に置き、カプセルの視認性を目視で採点評価した。
【0056】
採点は、以下の表に基づき行った。
【表1】
【0057】
(5)つぶす前のシガレットについても同様に評価した。この評価点と(4)で得られた評価点との差を、「視認性の変化」として算出した。
【0058】
(6)評価は5人の評価者により行い、目視による評価結果を以下に示す。下記表は、目視による評価結果を、不透明度の測定結果と併せて示す。不透明度の測定結果は、後述の実施例3(表6)で得られた結果を転記した。
【表2】
【0059】
シガレットCでは、つぶす前にカプセルを視覚的に認識することができず、50NFB(耐油紙)は、プラグ巻取紙として適していない。シガレットFでは、つぶす前もつぶした後もカプセルをはっきりと視覚的に認識することができ、NatureFlex 42μは、目隠しの機能を有しておらず、プラグ巻取紙として適していない。一方、シガレットA、B、D、EおよびGでは、つぶす前にカプセルを視覚的に認識することができ(評価点2〜3)、カプセルをつぶすとカプセル内の内容液がプラグ巻取紙に付着して、カプセルをよりはっきりと視覚的に認識することができるようになった。
【0060】
実施例2:プラグ巻取紙の液体不透過性
本実施例では、種々のプラグ巻取紙の液体不透過性を評価した。
【0061】
1.材料
プラグ巻取紙として、下記の紙を使用した。括弧内に商品名、入手先、紙の種類を記す。
【0062】
(1)普通紙24(普通紙24.0 gsm;日本製紙パピリア株式会社;普通紙)
不透明度65〜75%、平滑度80〜140sec、灰分8〜12%
(2)N250(N250;日本製紙パピリア株式会社;普通紙)
不透明度40〜50%、平滑度100〜140sec、灰分5%以下
(3)NPWS(NPWS-OLL;日本製紙パピリア株式会社;普通紙)
不透明度45〜55%、平滑度150〜190sec、灰分5%以下
(4)P10000C(P-10000C;日本製紙パピリア株式会社;高通気度不織布)
不透明度40〜50%、平滑度8〜10sec、灰分0〜3%
(5)P20000C(P-20000C;日本製紙パピリア株式会社;高通気度不織布)
不透明度35〜45%、平滑度1〜4sec、灰分0〜3%
(6)NatureFlex 23μ(NatureFlex 23μ;Innovia;透明セロハン)
不透明度1.0〜2.0%、平滑度3500〜4000sec
(7)50NFB(50NFB;日本製紙パピリア株式会社;耐油紙)
不透明度75〜80%、平滑度30〜130sec、灰分1〜2%
(8)ドリープW34.9(ドリープW34.9;王子特殊紙株式会社;パーチメント紙)
不透明度30〜50%、平滑度3000sec以上、灰分0〜5%
(9)グラファン(グラファン35gsm;王子特殊紙株式会社;グラシン紙)
不透明度5〜15%、平滑度1500〜2000sec、灰分0〜5%
(10)グラシン25.8(25.8薄口白色グラシン;日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)
不透明度20〜25%、平滑度1000〜1200sec、灰分0〜5%
(11)グラシン40(40.0特厚白色グラシン;日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)
不透明度30〜35%、平滑度800〜1000sec、灰分0〜5%
(12)高透明グラシン40(JT高透明グラシン40;日本製紙パピリア株式会社;グラシン紙)
不透明度15〜25%、平滑度1500sec以上、灰分0〜5%
2.評価方法
添加液体として、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)(トリカプリル/カプリン酸グリセリン)、プロピレングリコール(PG)、および水を使用した。
【0063】
評価は、23℃、湿度50%、標準光源下で実施した。
【0064】
(1)液体滴下前
プラグ巻取紙をチップペーパー(37白原紙;日本製紙パピリア株式会社)(試験紙)と重ね合わせ、得られた積層紙の不透明度(%)を、チップペーパー側からHunter法(JIS P 8138A)により測定した。
【0065】
(2)液体滴下後
上述の積層紙のプラグ巻取紙側に、液体を70μl滴下した。液体滴下から2分後、プラグ巻取紙の表面に残っている液体をふき取った。その後、チップペーパー側から不透明度(%)をHunter法(JIS P 8138A)により測定した。
【0066】
液体滴下後の不透明度(%)と液体滴下前の不透明度(%)との差を「不透明度の変化量」として算出した。不透過性は、「不透明度の変化量」に基づいて以下の表のとおり評価した。
【表3】
【0067】
液体が水の場合は、経時で乾燥してしまうため不透明度を測定できず、不透過性は、表3の評価基準に従って瞬時に外観で評価した。
【0068】
3.評価結果
種々のプラグ巻取紙について「不透明度の変化量」および「不透過性の評価」を以下に示す。
【表4】
【0069】
普通紙24、N250、NPWS、P10000C、P20000Cは、いずれの液体に対しても透過性を示し、プラグ巻取紙としての使用に適していない。NatureFlex 23μ、50NFB、ドリープW34.9、グラファン、高透明グラシン40は、いずれの液体に対しても不透過性を有していた。グラシン25.8は、中鎖脂肪酸トリグリセリドに対して若干の透過性を示したが、プラグ巻取紙としての使用に問題はないと思われる。グラシン25.8は、水に対して透過性を示したため、水を、香料カプセルの溶媒として使用することはできない。グラシン40は、水以外のすべての液体に対して不透過性を有していた。
【0070】
実施例3:プラグ巻取紙の不透明度の変化
1.評価方法
本実施例では、実施例2で使用したプラグ巻取紙を、透明チップペーパーNatureFlex 23μと重ね合わせて、液体の付着による不透明度の変化を評価した。実施例2で使用したのと同じ液体を滴下し、実施例2と同様の手法で評価を行った。
【0071】
液体滴下後の不透明度(%)と液体滴下前の不透明度(%)との差を「不透明度の変化量」として算出した。「不透明度の変化量」を、以下の表のとおり「外観(透明性)」と関連づけて評価した。
【表5】
【0072】
表5に示されるとおり、不透明度の変化量が5%以上である場合、透明性が増大したことを視覚的に認識することができる。
【0073】
2.評価結果
種々のプラグ巻取紙について「不透明度の変化量」および「評価」を以下に示す。
【表6】
【0074】
普通紙24、N250、NPWS、P10000C、P20000Cは、いずれの液体を滴下した後も、不透明度は大きく変化したが、実施例2の結果より、いずれの液体に対しても透過性を示すため、プラグ巻取紙としては適していない。
【0075】
NatureFlex 23μは、5%以上の不透明度の変化量を示さないため、プラグ巻取紙としては適していない。
【0076】
50NFBは、不透明であるため、この紙を使用した場合、香料カプセルの位置を認識することはできないため、プラグ巻取紙としては適していない。
【0077】
ドリープW34.9は、滴下前の不透明度が37.2%であり、かついずれの液体に対しても液体の滴下後に5%以上の不透明度の変化量を示し、透明性が増大したことを視覚的に認識することができた。また、ドリープW34.9は、いずれの液体に対しても不透過性を示した(実施例2の結果を参照)。このことから、ドリープW34.9は、プラグ巻取紙として使用可能である。
【0078】
グラファンは、5%以上の不透明度の変化量を示さないため、プラグ巻取紙としては適していない。
【0079】
グラシン25.8は、滴下前の不透明度が20.9%であり、かつ中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)およびプロピレングリコール(PG)の滴下後に5%以上の不透明度の変化量を示し、透明性が増大したことを視覚的に認識することができた。また、グラシン25.8は、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)およびプロピレングリコール(PG)に対して不透過性を示した(実施例2の結果を参照)。このことから、グラシン25.8は、これらの液体を香料含有液として使用した際にプラグ巻取紙として使用可能である。
【0080】
グラシン40は、滴下前の不透明度が31.2%であり、かつ中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、プロピレングリコール(PG)および水の滴下後に5%以上の不透明度の変化量を示し、透明性が増大したことを視覚的に認識することができた。また、グラシン40は、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、プロピレングリコール(PG)および水に対して不透過性を示した(実施例2の結果を参照)。このことから、グラシン40は、これらの液体を香料含有液として使用した際にプラグ巻取紙として使用可能である。
【0081】
高透明グラシン40は、滴下前の不透明度が16.2%であり、かつ中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の滴下後に5%以上の不透明度の変化量を示し、透明性が増大したことを視覚的に認識することができた。また、高透明グラシン40は、いずれの液体に対しても不透過性を示した(実施例2の結果を参照)。このことから、高透明グラシン40は、プラグ巻取紙として使用可能である。
【符号の説明】
【0082】
10・・・たばこロッド
11・・・たばこ充填材
12・・・たばこ巻紙
20・・・フィルター
21a・・・フィルタープラグ(刻側)
21b・・・フィルタープラグ(吸口側)
22・・・プラグ巻取紙
23・・・香料カプセル
23a・・・皮膜
23b・・・内容液
30・・・チップペーパー
図1A
図1B
図2
図3