(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質代謝異常症、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、アイセル病/偽ハーラー病、ムコ多糖症、サンドホッフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ(myleoperoxidase)欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常(glycanosis)CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(di)、中枢性di、腎性DI、シャルコー−マリー−トゥース症候群、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、ポリグルタミン神経障害、ハンチントン病、脊髄小脳性運動失調1型、脊髄性および延髄性筋萎縮症、淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳障害、遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、角膜乾燥症およびシェーグレン病から選択される、ABC輸送体活性が関係する状態、疾患、または障害を処置するための、請求項1に記載の組成物。
嚢胞性線維症膜貫通伝導制御因子アミノ酸配列の508位のフェニルアラニンの欠失をもたらす欠陥遺伝子を有する患者において、嚢胞性線維症を処置するための、請求項2に記載の組成物。
【実施例】
【0149】
VI.製造法および実施例
一般的方法I:カルボン酸ブロック
【化16】
【0150】
ベンジルトリエチル塩化アンモニウム(0.025当量)および適当なジハロ化合物(2.5当量)を、置換フェニルアセトニトリルに添加した。混合物を70℃に加熱し、次いで50%水酸化ナトリウム(10当量)を該混合物にゆっくり添加した。反応液を70℃で12−24時間撹拌し、シクロアルキル部分の完全な形成を確認し、130℃で24−48時間加熱して、ニトリルからカルボン酸への完全な変換を確認した。暗褐色/黒色の反応混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで3回抽出して、副生成物を除去した。塩基性水溶液を、濃塩酸でpH1未満まで酸性化し、pH4で形成し始めた沈殿を濾過して、1M塩酸で2回洗浄した。該固体物質をジクロロメタン中に溶解し、1M塩酸で2回抽出し、塩化ナトリウムの飽和水溶液で1回抽出した。有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させて、蒸発乾固して、シクロアルキルカルボン酸を得た。収率および純度は、典型的に90%以上であった。
【0151】
実施例1:1−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−シクロプロパンカルボン酸
【化17】
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)アセトニトリル(5.10g、31.7mmol)、1−ブロモ−2−クロロ−エタン(9.00mL、109mmol)、およびベンジルトリエチル塩化アンモニウム(0.181g、0.795mmol)の混合物を、70℃で加熱し、次いで50%(wt./wt.)水酸化ナトリウム水溶液(26mL)を該混合物にゆっくり添加した。反応液を70℃で24時間撹拌し、次いで130℃で48時間加熱した。暗褐色の反応混合物を水(400mL)で希釈し、等量の酢酸エチルで1回抽出し、等量のジクロロメタンで1回抽出した。塩基性水溶液を、濃塩酸でpH1未満まで酸性化し、沈殿を濾過し、1M塩酸で洗浄した。固体物質をジクロロメタン(400mL)中に溶解し、等量の1M塩酸で2回抽出し、塩化ナトリウムの飽和水溶液で1回抽出した。有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固して、白色から僅かにオフホワイト色−白色固体(5.23g、80%)を得た。ESI−MS m/z 計算値206.1、実測値207.1(M+1)
+。保持時間2.37分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 1.07−1.11 (m, 2H), 1.38−1.42 (m, 2H), 5.98 (s, 2H), 6.79 (m, 2H), 6.88 (m, 1H), 12.26 (s, 1H)。
【0152】
実施例2:1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボン酸
【化18】
【0153】
2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸メチルエステル
【化19】
アセトニトリル(30mL)およびトリエチルアミン(10mL)を含むメタノール(20mL)中、5−ブロモ−2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール(11.8g、50.0mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[Pd(PPh
3)
4、5.78g、5.00mmol]の溶液を、一酸化炭素雰囲気(55PSI)下で、75℃(油浴温度)にて15時間撹拌した。冷却した反応混合物を濾過し、濾液を蒸発乾固した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、粗2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸メチルエステル(11.5g)を得て、それを直接次工程に用いた。
【0154】
(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−メタノール
【化20】
20mLの無水テトラヒドロフラン(THF)中に溶解した粗2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸メチルエステル(11.5g)を、0℃にて、無水THF(100mL)中、水素化アルミニウムリチウム(4.10g、106mmol)の懸濁液にゆっくり添加した。次いで、混合物を室温まで温めた。室温で1時間撹拌後、反応混合物を0℃まで冷却し、水(4.1g)で処理し、次いで水酸化ナトリウム(10%水溶液、4.1mL)で処理した。得られるスラリーを濾過し、THFで洗浄した。合わせた濾液を蒸発乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−メタノール(7.2g、38mmol、2段階で76%)を無色油状物として得た。
【0155】
5−クロロメチル−2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール
【化21】
塩化チオニル(45g、38mmol)を、ジクロロメタン(200mL)中、(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−メタノール(7.2g、38mmol)の溶液に、0℃にて、ゆっくり添加した。得られる混合物を一晩室温で撹拌し、次いで蒸発乾固した。残渣を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)とジクロロメタン(100mL)の間に分配させた。分離した水層をジクロロメタン(150mL)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して、粗5−クロロメチル−2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール(4.4g)を得て、それを直接次工程に用いた。
【0156】
(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−アセトニトリル
【化22】
ジメチルスルホキシド(50mL)中、粗5−クロロメチル−2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール(4.4g)およびシアン化ナトリウム(1.36g、27.8mmol)の混合物を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、氷中に注ぎ、酢酸エチル(300mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固して、粗(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−アセトニトリル(3.3g)を得て、それを直接次工程に用いた。
【0157】
1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボニトリル
【化23】
水酸化ナトリウム(50%水溶液、10mL)を、70℃にて、粗(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−アセトニトリル、ベンジルトリエチル塩化アンモニウム(3.00g、15.3mmol)、および1−ブロモ−2−クロロエタン(4.9g、38mmol)の混合物にゆっくり添加した。
【0158】
混合物を70℃にて一晩撹拌し、その後、反応混合物を水(30mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固して、粗1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボニトリルを得て、それを直接次工程に用いた。
【0159】
1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボン酸
【化24】
1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボニトリル(最後の工程からの粗物質)を、10%水酸化ナトリウム水溶液(50mL)中、2.5時間還流した。冷却した反応混合物をエーテル(100mL)で洗浄し、水相を2M塩酸を用いてpH2まで酸性化した。沈殿した固体を濾過して、1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボン酸を白色固体として得た(0.15g、4段階で1.6%)。ESI−MS m/z 計算値242.04、実測値241.58(M+1)
+;
1H NMR (CDCl
3) δ 7.14−7.04 (m, 2H), 6.98−6.96 (m, 1H), 1.74−1.64 (m, 2H), 1.26−1.08 (m, 2H)。
【0160】
下記の表2は、市販されているか、または上記の3方法のうち1方法で製造される、カルボン酸ブロックのリストを含む:
【表1】
【0161】
実施例3:5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミン
【化25】
【0162】
2−ブロモ−4−tert−ブチル−フェニルアミン
【化26】
DMF(500mL)中、4−tert−ブチル−フェニルアミン(447g、3.00mol)の溶液に、DMF(500mL)中、NBS(531g、3.00mol)を室温で滴下した。添加の完了後、反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を水、塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をさらなる精製なしに次工程に用いた。
【0163】
2−ブロモ−4−tert−ブチル−5−ニトロ−フェニルアミン
【化27】
2−ブロモ−4−tert−ブチル−フェニルアミン(160g、0.71mol)を、H
2SO
4(410mL)に室温で滴下し、透明な溶液を得た。次いで、この透明溶液を−5ないし−10℃まで冷却した。H
2SO
4(410mL)中、KNO
3(83g、0.82mol)の溶液を滴下し、その間、温度を−5ないし−10℃に維持した。添加の完了後、反応混合物を氷/水中に注ぎ、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を5%Na
2CO
3および塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル1:10)により精製して、2−ブロモ−4−tert−ブチル−5−ニトロ−フェニルアミンを黄色固体として得た(150g、78%)。
【0164】
4−tert−ブチル−5−ニトロ−2−トリメチルシラニルエチニル−フェニルアミン
【化28】
トルエン(200mL)および水(100mL)中、2−ブロモ−4−tert−ブチル−5−ニトロ−フェニルアミン(27.3g、100mmol)の混合物に、Et
3N(27.9mL、200mmol)、Pd(PPh
3)
2Cl
2(2.11g、3.00mmol)、CuI(950mg、0.500mmol)およびトリメチルシリルアセチレン(21.2mL、150mmol)を窒素雰囲気下で添加した。密閉した圧力フラスコ中で反応混合物を70℃で2.5時間加熱し、室温まで冷却し、そしてセライトの短いプラグを通して濾過した。濾過ケーキをEtOAcで洗浄した。合わせた濾液を5%NH
4OH溶液および水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。粗生成をカラムクロマトグラフィー(0−10%酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、4−tert−ブチル−5−ニトロ−2−トリメチルシラニルエチニル−フェニルアミンを褐色粘性液体として得た(25g、81%)。
【0165】
5−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドール
【化29】
DMF(100mL)中、4−tert−ブチル−5−ニトロ−2−トリメチルシラニルエチニル−フェニルアミン(25g、86mmol)の溶液に、CuI(8.2g、43mmol)を窒素雰囲気下で添加した。混合物を、密閉した圧力フラスコ中で135℃にて一晩加熱し、室温まで冷却し、セライトの短いプラグを通して濾過した。濾過ケーキをEtOAcで洗浄した。合わせた濾液を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(10−20%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、5−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドールを黄色固体として得た(13g、69%)。
【0166】
5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミン
【化30】
ラネーニッケル(3g)を、メタノール(100mL)中、5−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドール(15g、67mmol)に添加した。混合物を水素(1atm)下で30℃にて3時間撹拌した。触媒を濾過により除いた。濾液をNa
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。粗暗褐色粘性油状物を、カラムクロマトグラフィー(10−20%酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミンを灰色固体として得た(11g、87%)。
1H NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ 10.3 (br s, 1H), 7.2 (s, 1H), 6.9 (m, 1H), 6.6 (s, 1H), 6.1 (m, 1H), 4.4 (br s, 2H), 1.3 (s, 9H)。
【0167】
実施例4:5−アミノ−2−tert−ブチル−1H−インドール−4−カルボニトリル
【化31】
【0168】
a)KCN、DMSO;b)Pd/C、EtOAc
工程a:2−tert−ブチル−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボニトリル
2−tert−ブチル−4−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール(4.0g、17mmol)のDMSO溶液(30mL)に、KCN(3.4g、51mmol)を添加した。混合物を70℃で3時間撹拌し、水(80mL)中に注ぎ、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させて、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中、7%EtOAc)により精製して、2−tert−ブチル−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボニトリル(2.2g、53%)を得た。
1H NMR (DMSO, 300 MHz) δ 12.23 (br s, 1 H), 8.09 (d, J=9.0 Hz, 1 H), 7.75 (d, J=9.0 Hz, 1 H), 6.50 (s, 1 H), 1.38 (s, 9 H). MS (ESI) m/z: 244.2 [M+H
+]。
【0169】
工程b:5−アミノ−2−tert−ブチル−1H−インドール−4−カルボニトリル
2−tert−ブチル−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボニトリル(550mg、2.3mmol)のEtOAc溶液(10mL)に、窒素雰囲気下でラネーNi(0.1g)を添加した。混合物を、室温にて1時間、水素雰囲気(1atm)下で撹拌した。触媒をセライトで濾取し、濾液を真空下で蒸発させて、5−アミノ−2−tert−ブチル−1H−インドール−4−カルボニトリル(250mg、51%)を得た。
1H NMR (DMSO, 300 MHz) δ 10.93 (br s, 1 H), 7.25 (d, J=8.7 Hz, 1 H), 6.49 (d, J=8.7 Hz, 1 H), 5.94 (d, J=2.1 Hz, 1 H), 5.40 (br s, 2 H), 1.30 (s, 9 H). MS (ESI) m/z: 214.0 [M+H
+].
【0170】
実施例6:N−(2−tert−ブチル−4−シアノ−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化32】
【0171】
工程a:N−(2−tert−ブチル−4−シアノ−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボニルクロライド(26mg、0.1mmol)を、DMF(1mL)中、5−アミノ−2−tert−ブチル−1H−インドール−4−カルボニトリル(21mg、0.1mmol)およびトリエチルアミン(41.7μL、0.3mmol)の溶液に添加した。反応物を室温で一晩撹拌し、次いで濾過し、逆相HPLCで精製することにより生成物N−(2−tert−ブチル−4−シアノ−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを得た。ESI−MS m/z 計算値 437.2、実測値 438.7 (M+1)
+。保持時間2.10分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 11.48 (s, 1H), 8.88 (s, 1H), 7.52 (d, J=8.5 Hz, 2H), 7.41 (d, J=8.3 Hz, 1H), 7.32 (dd, J=1.5, 8.3 Hz, 1H), 7.03 (d, J=8.6 Hz, 1H), 6.21 (d, J=1.8 Hz, 1H), 1.51−1.49 (m, 2H), 1.36 (s, 9H), 1.18−1.16 (m, 2H)。
【0172】
実施例7:N−(2−tert−ブチル−4−シアノ−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化33】
【0173】
工程a:2−tert−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボニトリル
2−tert−ブチル−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボニトリル(200mg、0.82mmol)、2−ヨードエタノール(77μL、0.98mmol)、炭酸セシウム(534mg、1.64mmol)およびDMF(1.3mL)の混合物を、一晩90℃に加熱した。次いで、さらに2−ヨードエタノール(77μL、0.98mmol)を添加し、反応物を90℃で3日間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルと水の間に分配させた。水層を酢酸エチルで洗浄し、次いで合わせた酢酸エチル層を水(x3)および塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させて濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(50−100%CH
2Cl
2−ヘキサン)により精製して、生成物を黄色固体として得た(180mg、NMRにより〜25%純度、インドール出発物質との共溶出生成物)。ESI−MS m/z 計算値 287.1、実測値 288.5 (M+1)
+。保持時間1.59分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 12.23 (s, 1H), 8.14 (d, J=9.1 Hz, 1H), 8.02 (d, J=9.1 Hz, 1H), 6.60 (s, 1H), 5.10 (t, J=5.5 Hz, 1H), 4.55 (t, J=6.3 Hz, 2H), 3.78−3.73 (m, 2H) および 1.49 (s, 9H) ppm。
【0174】
工程b:5−アミノ−2−tert−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−4−カルボニトリル
2−tert−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボニトリル(180mg、0.63mmol)のエタノール溶液(6mL)に、N
2雰囲気下で、Pd−C(5%重量、18mg)を添加した。反応物を、N
2(g)でフラッシュし、次いでH
2(g)でフラッシュし、H
2(atm)下で室温にて1.5時間撹拌した。反応物をセライトを通して濾過し、濃縮して、生成物を得た(150mg、93%)。ESI−MS m/z 計算値 257.2、実測値 258.5 (M+1)
+。保持時間1.26分。
【0175】
工程c:N−(2−tert−ブチル−4−シアノ−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボニルクロライド(196mg、0.75mmol)を、5−アミノ−2−tert−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−4−カルボニトリル(150mg、0.58mmol)およびトリエチルアミン(242μL、1.74mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)に添加した。反応物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、1N HCl溶液(x2)、飽和NaHCO
3溶液(x2)、塩水で抽出し、MgSO
4で乾燥させて、濾過し、濃縮した。残渣をDMSO中に溶解し、逆相HPLCにより精製して、生成物N−(2−tert−ブチル−4−シアノ−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを得た。ESI−MS m/z 計算値 481.2、実測値 482.5 (M+1)
+。保持時間1.99分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.93 (s, 1H), 7.71 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.42 (d, J=8.3 Hz, 1H), 7.33 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.08 (d, J=8.8 Hz, 1H), 6.28 (s, 1H), 5.05 (t, J=5.6 Hz, 1H), 4.42 (t, J=6.8 Hz, 2H), 3.70−3.65 (m, 2H), 1.51−1.48 (m, 2H), 1.44 (s, 9H), 1.19−1.16 (m, 2H)。
【0176】
実施例8:2−(2−tert−ブチル−5−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロライド
【化34】
【0177】
工程a:tert−ブチル 2−(2−tert−ブチル−5−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)エチルカルバメート
塩化チオニル(81.28μL、1.117mmol)中、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸(90.14mg、0.3722mmol)に、N,N−ジメチルホルムアミド(8.204μL、0.1064mmol)を添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、その後、過剰な塩化チオニルおよびN,N−ジメチルホルムアミドを真空下で除去して、酸塩化物を得た。次いで、該酸塩化物をジクロロメタン(1.5mL)に溶解し、tert−ブチル 2−(5−アミノ−2−tert−ブチル−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)エチルカルバメート(156.1mg、0.4467mmol)およびトリエチルアミン(155.6μL、1.117mmol)のジクロロメタン溶液(1.5mL)にゆっくり添加した。得られる反応混合物を室温で21時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(5mL)で希釈し、1N HCl水溶液(5mL)および飽和NaHCO
3水溶液(5mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中、0−30%酢酸エチル)により精製して、tert−ブチル 2−(2−tert−ブチル−5−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)エチルカルバメートを白色固体として得た(140mg、66%)。ESI−MS m/z 計算値 573.2、実測値 574.7 (M+1)
+。保持時間2.41分。1H NMR (400.0 MHz, DMSO) d 8.35 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.44−7.41 (m, 2H), 7.34−7.29 (m, 2H), 7.13−7.10 (m, 1H), 6.17 (s, 1H), 4.24−4.20 (m, 2H), 3.20−3.17 (m, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.41 (s, 18H) および 1.15−1.12 (m, 2H) ppm。
【0178】
工程b:N−(1−(2−アミノエチル)−2−tert−ブチル−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
tert−ブチル 2−(2−tert−ブチル−5−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)エチルカルバメート(137.5mg、0.24mmol)のジクロロメタン溶液(1.8mL)に、トリフルオロ酢酸(444μL、5.8mmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。反応物をジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液(3mL)および塩水(3mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中、0−10%メタノール)により精製して、N−(1−(2−アミノエチル)−2−tert−ブチル−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを白色固体として得た(93.7mg、82%)。ESI−MS m/z 計算値 473.19、実測値 474.5 (M+1)
+。保持時間1.61分。
【0179】
工程c:2−(2−tert−ブチル−5−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロライド
N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)中、N−(1−(2−アミノエチル)−2−tert−ブチル−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド(50mg、0.1056mmol)の透明溶液に、ヨウ化メチル(336.8mg、147.7μL、2.37mmol)およびトリエチルアミン(106.9mg、147.2μL、1.05mmol)を添加し、混合物を80℃で2時間加熱した。粗生成物を逆相分取HPLCにより精製した。この生成物22mgを、メタノール中、1.25M HCl(112μL、0.14mmol)に溶解し、60℃で1時間加熱した。反応物を室温まで冷却した。生成物をまず乾燥させ、次いでジクロロメタン中に溶解し、再び乾燥させた。この方法を4回繰り返して、2−(2−tert−ブチル−5−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロライドを得た。ESI−MS m/z 計算値 516.25、実測値 516.7 (M+1)
+。保持時間1.69分。1H NMR (400.0 MHz, DMSO) δ 8.43 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.45−7.41 (m, 2H), 7.36−7.31 (m, 2H), 6.27 (s, 1H), 4.74−4.70 (m, 2H), 3.57−3.53 (m, 2H), 3.29 (s, 9H), 1.48−1.42 (m, 11H), および 1.15 (dd, J=3.9, 6.8 Hz, 2H) ppm。
【0180】
実施例9:2−(4−(Tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール
【化35】
【0181】
工程a:3−フルオロ−4−ニトロアニリン
CH
2Cl
2(400mL)中、N−(3−フルオロ−4−ニトロ−フェニル)−2,2−ジメチル−プロピオンアミド(87.0g、0.36mol)および6N塩酸(800mL)の混合物を、2時間、加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却した。反応混合物を1000mLの酢酸エチルで希釈し、炭酸カリウム(500.0g)を少しずつ添加した。水溶液を分離し、有機層を塩水で洗浄して、無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 30:1)により精製して、3−フルオロ−4−ニトロアニリン(56.0g、99%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.07 (t, J=8.7 Hz, 1 H), 7.86 (dd, J
=2.1, 13.2 Hz 1 H), 7.59 (brs, 2 H), 7.22 (s, 1 H)。
【0182】
工程b:2−ブロモ−5−フルオロ−4−ニトロアニリン
3−フルオロ−4−ニトロアニリン(56g、0.36mol)の酢酸溶液(500mL)に、1時間かけて、臭素(17.7mL、0.36mol)を少しずつ添加した。反応混合物を、氷浴中、0−5℃で1時間撹拌した。反応混合物を飽和Na
2CO
3で塩基性にし、酢酸エチルで抽出した(200mLx3)。合わせた有機層を塩水で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させて、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得て、それをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 10:1)により精製して、2−ブロモ−5−フルオロ−4−ニトロアニリン(45.6g、84%)を黄色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.29 (d, J=7.6 Hz, 1 H), 653 (d, J=12.4 Hz, 1 H), 4.94 (br s, 2 H)。
【0183】
工程c:エチル5−(2−アミノ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)−3,3−ジメチルペント−4−イノアート
2−ブロモ−5−フルオロ−4−ニトロアニリン(45.7g、0.19mol)およびエチル3,3−ジメチルペント−4−イノアート(88.3g、0.57mol)のEt
3N溶液(700mL)に、N
2下、Pd(PPh
3)
2Cl
2(13.8g、0.02mol)およびCuI(3.6g、0.02mol)を添加した。反応混合物を、70℃で8時間撹拌した。反応混合物を、500mLの酢酸エチルおよび1500mLの水で希釈した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出し(500mL×3)、合わせた有機層を塩水で洗浄して、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 10:1)により精製して、エチル−5−(2−アミノ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)−3,3−ジメチルペント−4−イノアート(34.5g、57%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.05 (d, J=8.1Hz, 1 H), 6.36 (d, J=13.2 Hz, 1 H), 5.60 (brs, 2 H), 4.16 (q, J=7.2 Hz, 2 H), 2.51 (s, 2 H), 1.40 (s, 6 H), 1.28 (t, J=7.2 Hz, 3 H)。
【0184】
工程d:エチル3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタノエート
CH
3CN(350mL)中、エチル5−(2−アミノ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)−3,3−ジメチルペント−4−イノアート(34.5g、0.11mol)およびPdCl
2(10.4g、58.6nmol)の混合物を、1.5時間、加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却した。酢酸エチル(300mL)を添加し、沈殿を濾取し、メタノールで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 40:1)により精製して、エチル3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタノエート(34.0g、98%)を濃黄色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 10.11 (brs, 1 H), 8.30 (d, J=7.2 Hz, 1 H), 7.14 (d, J=11.7 Hz, 1 H), 6.35 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 4.17 (q, J=7.2 Hz, 2 H), 2.69 (s, 2 H), 1.51 (s, 6 H), 1.25 (t, J=7.2 Hz, 3 H)。
【0185】
工程e:3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール
エチル3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタノエート(34g、0.11mol)の乾燥CH
2Cl
2溶液(400mL)に、−78℃で、DIBAL−H(283.4mL、0.27mol)を2時間かけて少しずつ添加した。反応混合物を−78℃で10時間撹拌し、次いで水(200mL)を添加して急冷した。沈殿を濾取し、メタノールで洗浄した。濾液をCH
2Cl
2(200mL×3)で抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 50:1)により精製して、3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールを得た(6.6g、22%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 9.35 (brs, 1 H), 8.30 (d, J=7.6 Hz, 1 H), 7.11 (d, J=12.0 Hz, 1 H), 6.35 (d, J=1.2 Hz, 1 H), 3.74 (t, J=6.4 Hz, 2 H), 1.9 (t, J=6.4 Hz, 2 H), 1.4 (s, 6 H)。
【0186】
工程f:2−(4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール
3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール(6.6g、25mmol)のCH
2Cl
2溶液(80mL)に、0℃で、TBSCl(3.7g、25nmol)およびイミダゾール(4.2g、62nmol)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。沈殿を濾取し、メタノールで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 10:1)により精製して、所望の生成物を褐色固体として得た(5.0g、53%)。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 9.80 (brs, 1 H), 8.30 (d, J=7.2 Hz,1 H), 7.05 (d, J=11.7 Hz, 1 H), 6.33 (t, J=1.2 Hz, 1 H), 3.7 (t, J=6.0 Hz, 2 H), 1.91 (t, J=6.0 Hz, 2 H), 1.42 (s , 6 H), 0.94 (s , 9 H), 0.12 (s , 6 H)。MS (ESI) m/z (M+H
+): 381.1。
【0187】
実施例10:ベンジル2,2−ジメチルブタ−3−イノアート
【化36】
【0188】
工程a:メチル2,2−ジメチル−3−オキソブタノエート
THF(270mL)中、NaH(28.5g、0.718mol、60%)の懸濁液に、0℃で、3−オキソ−酪酸メチルエステル(78.6g、0.677mol)のTHF溶液(70mL)を滴下した。混合物を0℃で0.5時間撹拌した。MeI(99.0g、0.698mol)を0℃で滴下した。得られた混合物を室温まで温め、1時間撹拌した。NaH(28.5g、0.718mol、60%)を0℃で少しずつ添加し、得られる混合物を0℃で0.5時間撹拌し続けた。次いで、MeI(99.0g、0.698mol)を0℃で滴下した。反応混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。混合物を氷水に注いだ。有機層を分離した。水相をEtOAcで抽出した(300mL×3)。合わせた有機層を乾燥させ、減圧下で蒸発させて、メチル 2,2−ジメチル−3−オキソブタノエート(52g、53%)を得て、それを直接次工程に用いた。
【0189】
工程b:メチル 3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エノアート
ジクロロメタン(600mL)中、PCl
5(161g、0.772mol)の懸濁液に、0℃で、メチル2,2−ジメチル−3−オキソブタノエート(52g、0.361mol、最後の工程からの粗物質)を少しずつ添加し、次いで、乾燥DMFを約20滴添加した。混合物を一晩、加熱還流した。冷却後、反応混合物を氷水にゆっくり注いだ。有機層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した(300mL×3)。合わせた有機層を飽和NaHCO
3水溶液で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶媒を蒸発させて、生成物メチル3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エノアートを得て、それをさらに精製することなく用いた(47g、82%)。
【0190】
工程c:3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エン酸
水(300mL)中、メチル3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エノアート(42.0g、0.26mol)およびNaOH(12.4g、0.31mol)の混合物を、一晩、加熱還流した。冷却後、反応混合物をエーテルで抽出した。有機層は、20gのメチル3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エノアートを含んでいた(48%回収)。水層を冷20% HCl溶液で酸性化し、エーテルで抽出した(250mL×3)。合わせた有機層を乾燥させ、減圧下で蒸発させて、3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エン酸(17g、44%)を得て、それを直接次工程に用いた。
【0191】
工程d:2,2−ジメチルブタ−3−イン酸
三つ口フラスコ(500mL)に、NaNH
2(17.8g、0.458mmol、ペレット)およびDMSO(50mL)を添加した。混合物を、もはやNH
3(g)が放出されなくなるまで、室温で撹拌した。3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エン酸(17.0g、114mmol)のDMSO溶液(50mL)を0℃で滴下した。混合物を温め、50℃で5時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌した。混合物を冷20%HCl溶液に注ぎ、次いでエーテルで3回抽出した。エーテル抽出物を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して、6:1比で出発物質とアルキン産物を得た。残渣をエーテルおよびNa
2SO
4を用いて再び乾燥させて、上記の反応条件に再び反応させた。反応混合物を同様の方法で後処理し、2,2−ジメチルブタ−3−イン酸を得た(12.0g、94%)。
【0192】
ベンジル2,2−ジメチルブタ−3−イノアート
ジクロロメタン(800mL)中、2,2−ジメチルブタ−3−イン酸(87.7g、0.782mmol)およびベンジルアルコール(114.6g、0.938mol)の撹拌溶液に、−20℃で、DCC(193.5g、0.938mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤として、石油エーテル中、2%酢酸エチル)により精製して、ベンジル2,2−ジメチルブタ−3−イノアートを得た(100g、59%収率)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 7.37−7.36 (m, 5 H), 5.19 (s, 2 H), 2.28 (s, 1 H), 1.52 (s, 6 H)。
【0193】
実施例11:2−(1−(Tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルプロパン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール
【化37】
【0194】
工程a:ベンジル4−(2−アミノ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)−2,2−ジメチルブタ−3−イノアート
2−ブロモ−5−フルオロ−4−ニトロアニリン(23.0g、0.1mol)のEt
3N溶液(250mL)に、ベンジル2,2−ジメチルブタ−3−イノアート(59.0g、0.29mol)、CuI(1.85g)およびPd(PPh
3)
2Cl
2(2.3g)を室温で添加した。混合物を80℃で一晩撹拌した。室温まで冷却後、反応物を水で急冷し、水層を酢酸エチルで抽出した(100mL×3)。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中、10%酢酸エチル)により精製して、ベンジル4−(2−アミノ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)−2,2−ジメチルブタ−3−イノアートを得た(20.0g、56%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) 8.05 (d, J=8.4 Hz, 1 H), 7.39−7.38 (m, 5 H), 6.33 (d, J=13.2 Hz, 1 H), 5.20 (s, 2 H), 4.89 (br s, 2 H), 1.61 (s, 6 H)。
【0195】
工程b:ベンジル2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート
ベンジル4−(2−アミノ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)−2,2−ジメチルブタ−3−イノアート(20.0g、56mmol)のアセトニトリル溶液(100mL)に、室温で、PdCl
2(5.0g、28mmol)を添加した。混合物を80℃で一晩撹拌した。混合物を濾取し、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中、10%EtOAc)により精製して、ベンジル2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエートを得た(18.0g、90%)。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) 8.96 (br s, 1 H), 8.33 (d, J=7.2 Hz, 1 H) 7.35−7.28 (m, 5 H) 7.08 (d, J=11.7 Hz, 1 H), 6.47 (s, 1 H), 5.18 (s, 2 H) 1.69 (s, 6 H)。
【0196】
工程c:2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール
ベンジル2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート(18.0g、0.05mol)のCH
2Cl
2溶液(100mL)に、−78℃で、DIBAL−H(12mL)を添加した。混合物をその温度で1時間撹拌し、室温まで温めた。反応物を水で急冷し、水層をEtOAcで抽出した(100mL×3)。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中、10%EtOAc)により精製して、2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールを得た(10.0g、77%)。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) 9.37 (s, 1 H), 8.32 (d, J=7.2 Hz, 1 H), 7.11 (d, J=11.7 Hz, 1 H), 6.36 (s, 1 H), 3.73 (d, J=5.1 Hz 2 H), 1.97 (t, J=5.1 Hz, 1 H), 1.39 (s, 6 H)。
【0197】
工程d:2−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルプロパン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール
CH
2Cl
2中、2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(10.0g)の撹拌溶液に、室温で、TBSCl(8.9g)、イミダゾール(8.1g、0.12mol)を添加した。混合物を一晩撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中、10%EtOAc)により精製して、2−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルプロパン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドールを得た(5.3g、38%)。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) 9.51 (s, 1 H), 8.31 (d, J=7.5 Hz, 1 H), 7.02 (d, J=11.7 Hz, 1 H), 6.32 (s, 1 H), 3.63 (s, 2 H), 1.35 (s, 6 H), 0.99 (s, 9 H), 0.11 (s, 6 H).
【0198】
実施例12:6−フルオロ−1,1−ジメチル−7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール、(R)−3−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール、2−(4−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール、3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールおよび(R)−2−(4−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール
【化38】
【0199】
工程a:6−フルオロ−1,1−ジメチル−7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール、(R)−3−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール、2−(4−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール、3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールおよび(R)−2−(4−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール
DMF(10mL)中、2−(4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール(1.9g、5.0mmol)および4−メチルベンゼンスルホン酸(S)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(2.86g、10.0mmol)の溶液に、Cs
2CO
3(4.88g、15.0mmol)を添加した。混合物を90℃で24時間加熱した。反応物を酢酸エチルと水の間に分配させた。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させた。溶媒の除去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(10−50%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、6−フルオロ−1,1−ジメチル−7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドールを得た(600mg、48%)。ESI−MS m/z 計算値 248.1、実測値 249.2 (M+1)
+。保持時間2.00分;2−(4−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール(270mg、(R)−2−(4−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドールを幾らか含む)。ESI−MS m/z 計算値 494.2および380.2、実測値 495.4および381.4 (M+1)
+。保持時間2.12および1.92分;(R)−3−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール(1.0g、3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールを含む)。ESI−MS m/z 計算値 380.2および266.1、実測値 381.2および267.2 (M+1)
+。保持時間1.74および1.48分。
【0200】
実施例13:(R)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールおよび3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール
【化39】
【0201】
(R)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールおよび3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールの混合物を、2−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルプロパン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドールから出発して上記の方法に従って得た。(R)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール、ESI−MS m/z 計算値 366.2、実測値 367.2 (M+1)
+。保持時間1.71分;3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール、ESI−MS m/z 計算値 252.1、実測値 253.4 (M+1)
+。保持時間1.42分。
【0202】
実施例14:(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化40】
【0203】
工程a:(R)−3−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール
エタノール(10mL)中、3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール(500mg、1.3mmol)を幾らか含む(R)−3−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールの溶液に、ギ酸アンモニウム(500mg、7.9mmol)およびPd/C(10%、139mg、0.13mmol)を添加した。混合物を5分間還流した。Pd触媒をセライト濾過により除去し、エタノールで洗浄した。濾液を蒸発乾固し、カラムクロマトグラフィー(30−50%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、(R)−3−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールを得た(220mg、48%、3−(5−アミノ−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールを幾らか含む)。ESI−MS m/z 計算値 350.2 実測値 351.4 (M+1)
+。保持時間0.94分。
【0204】
工程b:(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
DMF(3.0mL)中、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸(183mg、0.75mmol)、3−(5−アミノ−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール(220mg、0.63mmol)を幾らか含む(R)−3−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール、ならびにHATU(287mg、0.75mmol)の混合物に、トリエチルアミンを添加した(0.21mL、1.5mmol)。反応物を室温で一晩撹拌し、次いで酢酸エチルと水の間に分配させた。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させた。溶媒の除去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(20−40%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを得た(315mg、87%、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを幾らか含む)。ESI−MS m/z 計算値 574.2、実測値 575.7 (M+1)
+。保持時間2.08分。
【0205】
工程c:(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
メタノール(3mL)および水(0.3mL)中、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド(315mg、0.55mmol)を幾らか含む(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドに、p−TsOH.H
2O(21mg、0.11mmol)を添加した。混合物を80℃で30分間加熱した。反応物を酢酸エチルと水の間に分配させて、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO
3水溶液および塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させた。溶媒の除去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(20−80%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを得た(92mg、31%)。ESI−MS m/z 計算値 534.2、実測値 535.5 (M+1)
+。保持時間1.72分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.32 (s, 1H), 7.53 (d, J=1.0 Hz, 1H), 7.43−7.31 (m, 4H), 6.17 (s, 1H), 4.97−4.92 (m, 2H), 4.41 (dd, J=2.4, 15.0 Hz, 1H), 4.23 (t, J=5.0 Hz, 1H), 4.08 (dd, J=8.6, 15.1 Hz, 1H), 3.87 (s, 1H), 3.48−3.44 (m, 1H), 3.41−3.33 (m, 1H), 3.20 (dd, J=7.4, 12.7 Hz, 2H), 1.94−1.90 (m, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.42 (s, 3H), 1.41 (s, 3H) および 1.15−1.12 (m, 2H) ppm.
【0206】
実施例15:1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−((S)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−((R)−2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドおよび(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化41】
【0207】
1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−((S)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−((R)−2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドおよび(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−((S)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−((R)−2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドおよび(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを、(R)−2−(4−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール)を幾らか含む2−(4−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドールから出発して、上記の方法と同様にして製造した。1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−((S)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−((R)−2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド、ESI−MS m/z 計算値 608.2、実測値 609.5 (M+1)
+。保持時間1.67分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.32 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.43−7.31 (m, 4H), 6.19 (s, 1H), 4.95−4.93 (m, 2H), 4.51 (d, J=5.0 Hz, 1H), 4.42−4.39 (m, 2H), 4.10−4.04 (m, 1H), 3.86 (s, 1H), 3.49−3.43 (m, 2H), 3.41−3.33 (m, 1H), 3.30−3.10 (m, 6H), 2.02−1.97 (m, 2H), 1.48−1.42 (m, 8H) および 1.13 (dd, J=4.0, 6.7 Hz, 2H) ppm;(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド、ESI−MS m/z 計算値 534.2、実測値 535.5 (M+1)
+。保持時間1.81分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 10.91 (d, J=1.5 Hz, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.42−7.33 (m, 3H), 7.03 (d, J=10.9 Hz, 1H), 6.07 (d, J=1.6 Hz, 1H), 4.56 (d, J=5.0 Hz, 1H), 4.43 (t, J=5.7 Hz, 1H), 3.51−3.46 (m, 1H), 3.31−3.13 (m, 6H), 1.88 (t, J=7.3 Hz, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.31 (s, 6H) および 1.15−1.12 (m, 2H) ppm。
【0208】
実施例16:1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化42】
【0209】
1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを、(R)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールおよび3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールを含む混合物から出発して、上記の方法に従い製造した。ESI−MS m/z 計算値 446.2、実測値 447.5 (M+1)
+。保持時間1.88分。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.68 (s, 1H), 8.20 (d, J=7.7 Hz, 1H), 7.30−7.21 (m, 3H), 7.12 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.94 (d, J=11.2 Hz, 1H), 6.18 (s, 1H), 3.64 (s, 2H), 1.75 (dd, J=3.8, 6.8 Hz, 2H), 1.34 (s, 6H) および 1.14 (dd, J=3.9, 6.9 Hz, 2H) ppm。
【0210】
実施例17:(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化43】
【0211】
工程a:(R)−ベンジル 2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエートおよび((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 2−(1−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート
炭酸セシウム(8.23g、25.3mmol)を、DMF(17mL)中、ベンジル 2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート(3.0g、8.4mmol)および(S)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホネート(7.23g、25.3mmol)の混合物に添加した。反応物を、窒素雰囲気下で、80℃にて46時間撹拌した。次いで、混合物を酢酸エチルと水の間に分配させた。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた酢酸エチル層を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過して濃縮した。上記の生成物の両方を含む粘性の褐色油状物である粗生成物を、さらに精製することなく直接用いた。(R)−ベンジル 2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート、ESI−MS m/z 計算値 470.2、実測値 471.5 (M+1)
+。保持時間2.20分。((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 2−(1−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート、ESI−MS m/z 計算値 494.5、実測値 495.7 (M+1)
+。保持時間2.01分。
【0212】
工程b:(R)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール
工程(a)で得られた粗反応混合物をTHF(42mL)中に溶解し、氷浴中で冷却した。LiAlH
4(16.8mLの1M溶液、16.8mmol)を少しずつ添加した。添加の完了後、反応物をさらに5分間撹拌した。反応物を、水(1mL)、15%NaOH溶液(1mL)、その後、水(3mL)の添加により急冷した。混合物をセライト濾過し、固体をTHFおよび酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(30−60%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、生成物を褐色油状物として得た(2.68g、2工程で87%)。ESI−MS m/z 計算値 366.4、実測値 367.3 (M+1)
+。保持時間1.68分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.34 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.65 (d, J=13.4 Hz, 1H), 6.57 (s, 1H), 4.94 (t, J=5.4 Hz, 1H), 4.64−4.60 (m, 1H), 4.52−4.42(m, 2H), 4.16−4.14 (m, 1H), 3.76−3.74 (m, 1H), 3.63−3.53 (m, 2H), 1.42 (s, 3H), 1.38−1.36 (m, 6H) および 1.19 (s, 3H) ppm。
【0213】
工程c:(R)−2−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール
(R)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(2.5g、6.82mmol)を、エタノール(70mL)に溶解し、反応物をN
2でフラッシュした。次いで、Pd−C(250mg、5%重量)を添加した。反応物を再び窒素でフラッシュし、次いでH
2(atm)下で撹拌した。2.5時間後、生成物への部分的な変換がLCMSにより観察された。反応物をセライトを通して濾過した。残渣を、上記の条件に再び付した。2時間後、LCMSにより、生成物への完全な変換が示された。反応混合物をセライトを通して濾過した。濾液を濃縮して、生成物を黒色固体として得た(1.82g、79%)。ESI−MS m/z 計算値 336.2、実測値 337.5 (M+1)
+。保持時間0.86分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 7.17 (d, J=12.6 Hz, 1H), 6.76 (d, J=9.0 Hz, 1H), 6.03 (s, 1H), 4.79−4.76 (m, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.37−4.31 (m, 3H),4.06 (dd, J=6.1, 8.3 Hz, 1H), 3.70−3.67 (m, 1H), 3.55−3.52 (m, 2H), 1.41 (s, 3H), 1.32 (s, 6H) および 1.21 (s, 3H) ppm。
【0214】
工程d:(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
DMF(3滴)を、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸(1.87g、7.7mmol)および塩化チオニル(1.30mL、17.9mmol)の撹拌混合物に添加した。1時間後、透明溶液が形成された。該溶液を真空下で濃縮し、次いでトルエン(3mL)を添加し、混合物を再び濃縮した。トルエン工程をもう一度繰り返し、残渣を高真空下に10分間置いた。次いで、酸塩化物をジクロロメタン(10mL)中に溶解し、ジクロロメタン(45mL)中、(R)−2−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(1.8g、5.4mmol)およびトリエチルアミン(2.24mL、16.1mmol)の混合物に添加した。反応物を室温で1時間撹拌した。反応物を1N HCl溶液、飽和NaHCO
3溶液および塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濃縮して、生成物を黒色泡状固体として得た(3g、100%)。ESI−MS m/z 計算値 560.6、実測値 561.7 (M+1)
+。保持時間2.05分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.31 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.42−7.40 (m, 2H), 7.34−7.30 (m, 3H), 6.24 (s, 1H), 4.51−4.48 (m, 1H), 4.39−4.34 (m,2H), 4.08 (dd, J=6.0, 8.3 Hz, 1H), 3.69 (t, J=7.6 Hz, 1H), 3.58−3.51 (m, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.39 (s, 3H), 1.34−1.33 (m, 6H), 1.18 (s, 3H) および 1.14−1.12 (m, 2H) ppm。
【0215】
工程e:(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド(3.0g、5.4mmol)を、メタノール(52mL)中に溶解した。水(5.2mL)を添加し、次いでp−TsOH.H
2O(204mg、1.1mmol)を添加した。反応物を80℃で45分間加熱した。溶液を濃縮し、次いで酢酸エチルと飽和NaHCO
3溶液の間に分配させた。酢酸エチル層をMgSO
4で乾燥させ、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(50−100%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、生成物をクリーム色の泡状固体として得た(1.3g、47%、SFCによりee>98%)。ESI−MS m/z 計算値 520.5、実測値 521.7 (M+1)
+。保持時間1.69分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.31 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.42−7.38 (m, 2H), 7.33−7.30 (m, 2H), 6.22 (s, 1H), 5.01 (d, J=5.2 Hz, 1H), 4.90 (t, J=5.5 Hz, 1H), 4.75 (t, J=5.8 Hz, 1H), 4.40 (dd, J=2.6, 15.1 Hz, 1H), 4.10 (dd, J=8.7, 15.1 Hz, 1H), 3.90 (s, 1H), 3.65−3.54 (m, 2H), 3.48−3.33 (m, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.35 (s, 3H), 1.32 (s, 3H) および 1.14−1.11 (m, 2H) ppm。
【0216】
実施例18:(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化44】
【0217】
工程a:(S)−ベンジル 2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエートおよび((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 2−(1−(((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート
炭酸セシウム(2.74g、8.4mmol)を、DMF(5.6mL)中、ベンジル 2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート(1.0g、2.8mmol)および(S)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホネート(3.21g、11.2mmol)の混合物に添加した。反応物を、窒素雰囲気下で、80℃にて64時間撹拌した。次いで、混合物を酢酸エチルと水の間に分配させた。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた酢酸エチル層を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させて、濾過し、濃縮した。上記の生成物の両方を含む粘性の褐色油状物である粗生成物を、さらに精製することなく直接用いた。(S)−ベンジル 2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート、ESI−MS m/z 計算値 470.2、実測値 471.5 (M+1)
+。保持時間2.22分。((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 2−(1−(((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート、ESI−MS m/z 計算値 494.5、実測値 495.5 (M+1)
+。保持時間2.03分。
【0218】
工程b:(S)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール
(S)−ベンジル 2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエートおよび((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 2−(1−(((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエートの粗反応混合物の混合物を、THF(15mL)中に溶解し、氷水浴中で冷却した。LiAlH
4(2.8mLの1M溶液、2.8mmol)を滴下した。添加の完了後、反応物を5分間撹拌した。反応物を水(0.5mL)、15%NaOH溶液(0.5mL)、次いで水(1.5mL)の添加により急冷した。混合物をセライトで濾過し、固体をTHFおよび酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(30−60%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、生成物を褐色油状物として得た(505mg、2工程で49%)。ESI−MS m/z 計算値 366.4、実測値 367.3 (M+1)
+。保持時間1.68分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.34 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.65(d, J=13.5 Hz, 1H), 6.57 (s, 1H), 4.94 (t, J=5.4 Hz, 1H), 4.64−4.60 (m, 1H), 4.52−4.42 (m, 2H), 4.14 (dd, J=6.2, 8.4 Hz, 1H), 3.74 (dd, J=7.0, 8.3 Hz, 1H), 3.63−3.53 (m,2H), 1.42 (s, 3H), 1.37 (m, 6H) および 1.19 (s, 3H) ppm。
【0219】
工程c:(S)−2−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール
(S)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(500mg、1.4mmol)を、エタノール(15mL)中に溶解し、反応物をN
2でフラッシュした。次いで、Pd−C(50mg、5%重量)を添加した。反応物を再び窒素でフラッシュし、次いでH
2(atm)下で撹拌した。1時間後、生成物への部分的な変換がLCMSにより観察された。反応物をセライトを通して濾過し濃縮した。残渣を、上記の条件に再び付した。1時間後、LCMSにより、生成物への完全な変換が示された。反応混合物をセライトを通して濾過した。濾液を濃縮して、生成物を黒色固体として得た(420mg、91%)。ESI−MS m/z 計算値 336.2、実測値 337.5 (M+1)
+。保持時間0.90分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 7.17 (d, J=12.6 Hz, 1H), 6.76 (d, J=9.0 Hz, 1H), 6.03 (s, 1H), 4.78 (br s, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.41−4.27 (m, 3H), 4.06(dd, J=6.1, 8.3 Hz, 1H), 3.70−3.67 (m, 1H), 3.53 (dd, J=10.7, 17.2 Hz, 2H), 1.40 (s, 3H), 1.32 (s, 6H) および 1.21 (s, 3H) ppm。
【0220】
工程d:(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
DMF(3滴)を、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸(187mg、0.8mmol)および塩化チオニル(0.13mL、1.8mmol)の撹拌混合物に添加した。30分後、透明溶液が形成された。少量をピペリジンと混合して、酸塩化物が形成されたことを試験した。溶液をrotovap中で濃縮し、次いでトルエン(1mL)を添加し、混合物を再び濃縮した。トルエン工程をもう一度繰り返し、残渣を高真空下に10分間置いた。次いで、酸塩化物をジクロロメタン(2mL)中に溶解し、ジクロロメタン(4mL)中、(S)−2−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(200mg、0.6mmol)およびトリエチルアミン(0.25mL、1.8mmol)の混合物に添加した。反応物を室温で45分間撹拌した。反応物を1N HCl溶液、飽和NaHCO
3溶液および塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濃縮して、生成物を黒色泡状固体として得た(320mg、96%)。ESI−MS m/z 計算値 560.6、実測値 561.5 (M+1)
+。保持時間2.05分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.31 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.42−7.40 (m, 2H), 7.34−7.30 (m, 3H), 6.24 (s, 1H), 4.84 (t, J=5.5 Hz, 1H), 4.51−4.46 (m, 1H), 4.41−4.32 (m, 2H), 4.08 (dd, J=6.0, 8.3 Hz, 1H), 3.71−3.67 (m, 1H), 3.58−3.50 (m, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.40 (s, 3H), 1.34−1.33 (m, 6H), 1.18 (s, 3H) および 1.14−1.12 (m, 2H) ppm。
【0221】
工程e:(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド(290g、0.5mmol)を、メタノール(5mL)中に溶解した。水(0.5mL)を添加し、次いでp−TsOH.H
2O(20mg、0.1mmol)を添加した。反応物を80℃で45分間加熱した。次いで、溶液を酢酸エチルと飽和NaHCO
3溶液の間に分配させた。酢酸エチル層をMgSO
4で乾燥させ、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(50−100%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、生成物をクリーム色の泡状固体として得た(146mg、54%、SFCによりee>97%)。ESI−MS m/z 計算値 520.5、実測値 521.5 (M+1)
+。保持時間1.67分。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.31 (s, 1H), 7.53 (d, J=1.1 Hz, 1H), 7.42−7.37 (m, 2H), 7.33−7.30 (m, 2H), 6.22 (s, 1H), 5.01 (d, J=5.0 Hz, 1H), 4.91 (t, J=5.5 Hz, 1H), 4.75 (t, J=5.8 Hz, 1H), 4.42−4.38 (m, 1H), 4.10 (dd, J=8.8, 15.1 Hz, 1H), 3.90 (s, 1H), 3.64−3.54 (m, 2H), 3.48−3.33 (m, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.35 (s, 3H), 1.32 (s, 3H) および 1.14−1.11 (m, 2H) ppm。
【0222】
実施例19:(R)−1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−tert−ブチル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化45】
【0223】
(R)−1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−tert−ブチル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸および2−tert−ブチル−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドールから、実施例72と同様の実験方法を用いて製造した。
【0224】
実施例20:(S)−1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−tert−ブチル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化46】
【0225】
(S)−1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−tert−ブチル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸および2−tert−ブチル−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドールから、実施例72と同様の実験方法を用いて製造した。
【0226】
化学分野の当業者は、下記の表3の化合物を含む本発明の化合物を合成するための公知の合成方法と合わせて、実施例およびスキームを用いることができる。
【0227】
【表2】
【表3】
【0228】
実施例21:化合物のΔF508−CFTR矯正(correction)特性を検出および測定するためのアッセイ
化合物のΔF508−CFTR調節特性をアッセイするための光学的膜電位方法
該アッセイは、NIH3T3細胞における機能的ΔF508−CFTRの増大を読み出すために、蛍光プレートレーダー(例えば、FLIPR III, Molecular Devices, Inc.)を用いて膜電位の変化を測定するために蛍光電圧検出色素を利用する。応答の駆動力は、細胞を予め化合物で処理し、その後、電圧検出色素を充填した後の、単回液体添加工程によるチャネル活性化と関連する塩化物イオン勾配の構築である。
【0229】
矯正化合物の同定
ΔF508−CFTRと関係する輸送障害を矯正する小分子を同定するため、単一付加(single−addition)HTSアッセイフォーマットを開発した。細胞を含むアッセイプレートを、37℃、5%CO
2、90%湿度で組織培養インキュベーター中、〜2−4時間インキュベートする。次いで、細胞を、アッセイプレートの底に接着後に、化合物暴露様に準備する。
【0230】
細胞を、血清不含有媒体中、試験化合物の存在または不存在下(陰性対照)で、37℃、5%CO
2、90%湿度の組織培養インキュベーター中、16−24時間インキュベートした。その後、細胞をクレブスリンゲル溶液で3回濯ぎ、電位感受性再分布色素を充填した。ΔF508−CFTRを活性化するため、10μMフォルスコリンおよびCFTR増強剤、ゲニステイン(20μM)を、各ウェルにCl
−不含有媒体と共に添加した。ΔF508−CFTR活性化に応答してCl
−排出を促進するCl
−不含有媒体の添加およびその結果の膜脱分極を、電位感受性色素を用いて光学的に測定した。
【0231】
増強化合物の同定
ΔF508−CFTRの増強剤を同定するため、二重付加(double−addition)HTSアッセイフォーマットを開発した。このHTSアッセイは、温度矯正ΔF508−CFTR NIH 3T3細胞において、ΔF508−CFTRの開閉(伝導性)の増強を測定するために、FLIPR III上で膜電位の変化を測定するための蛍光電位感受性色素を利用する。応答の駆動力は、細胞を予め増強化合物(または、DMSOビヒクル対照)で処理し、その後、再分配色素を充填した後の、FLIPR IIIのような蛍光プレートレーダーを用いる単回液体添加工程における、フォルスコリンでのチャネル活性化と関連する塩素イオン勾配である。
【0232】
溶液 浴溶液#1:NaCl 160mM、KCl 4.5mM、CaCl
2 2mM、MgCl
2 1mM、HEPES 10mM、NaOHでpH7.4。
塩化物不含有浴溶液:浴溶液#1中塩化物塩を、グルコン酸塩に置き換える。
【0233】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、膜電位の光学的測定に用いた。細胞を、175cm
2培養フラスコ中、2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×pen/strep、および25mM HEPESを添加したダルベッコの修飾イーグルス媒体中で、37℃にて5%CO
2下で、90%湿度にて維持した。全ての光学アッセイに関して、細胞を、384ウェルマトリゲル−コートしたプレート中〜20,000/ウェルで播種し、37℃で2時間培養し、その後、増強剤アッセイのために27℃で24時間培養した。矯正アッセイに関して、細胞を16−24時間、化合物を含有または不含有下、27℃または37℃で培養した。
【0234】
化合物のΔF508−CFTR調節特性をアッセイするための電気生理的アッセイ
1.ユッシングチャンバーアッセイ
ユッシングチャンバー実験を、ΔF508−CFTRを発現する極性化上皮細胞で行い、光学的アッセイで同定したΔF508−CFTRモジュレーターをさらに特徴付けた。非CFおよびCF気道上皮細胞を、既報の培養された気管支組織から単離し(Galietta, L.J.V., Lantero, S., Gazzolo, A., Sacco, O., Romano, L., Rossi, G.A., & Zegarra−Moran, O. (1998) In vitro Cell. Dev. Biol. 34, 478−481)、NIH3T3−馴化培地で予めコーティングしたCostar(商標)Snapwell
(登録商標)フィルター上にプレーティングした。4日後、頂端部媒体(apical media)を除去し、細胞を、使用前に>14日間、気液界面で増殖させた。この結果、繊毛化した完全分化したカラム化細胞の単層が得られ、それは気道上皮の特徴を示す。非CF HBEを、何らかの公知の肺疾患を有さない非喫煙者から単離した。CF−HBEを、ΔF508−CFTRのホモ接合体患者から単離した。
【0235】
Costar(商標)Snapwell
(登録商標)細胞培養インサート上で増殖したHBEを、ユッシングチャンバー(Physiologic Instruments, Inc., San Diego, CA)中にマウントし、基底外側から頂端部のCl
−勾配(I
SC)の存在下、経上皮抵抗性および短絡回路電流を、電圧固定システム(Department of Bioengineering, University of Iowa, IA)を用いて測定した。簡単には、HBEを、電圧固定記録条件(V
hold=0mV)下、37℃で調べた。基底外側溶液は、145mM NaCl、0.83mM K
2HPO
4、3.3mM KH
2PO
4、1.2mM MgCl
2、1.2mM CaCl
2、10mM グルコース、10mM HEPES(NaOHでpH7.35に合わせた)を含み、頂端部溶液は、145mM グルコン酸Na、1.2mM MgCl
2、1.2mM CaCl
2、10mM グルコース、10mM HEPES(NaOHでpH7.35に合わせた)を含んでいた。
【0236】
矯正化合物の同定
典型的なプロトコールは、基底側から頂端膜のCl
−濃度勾配を利用した。この勾配を設定するため、通常のリンゲル溶液を基底側膜に用い、一方、頂端NaClを、等モルのグルコン酸ナトリウムに置き換え(NaOHを用いてpH7.4に滴定)、上皮を横切る大きなCl
−濃度勾配を得た。全ての実験を、無傷の単層で行った。ΔF508−CFTRを完全に活性化するため、頂端側に、フォルスコリン(10μM)、PDE阻害物質、IBMX(100μM)およびCFTR増強剤、ゲニステイン(50μM)を添加した。
【0237】
他の細胞タイプにおける観察として、△F508−CFTRを発現する、FRT細胞およびCF罹患患者から単離したヒト気管支上皮細胞(CF−HBE)の低温でのインキュベートは、細胞膜でのCFTRの機能的密度を増大する。矯正化合物の活性を決定するため、細胞を試験化合物と共に24−48時間37℃にてインキュベートし、その後、3回洗浄して、記録した。化合物処理した細胞におけるcAMP−およびゲニステイン−仲介I
SCを、37℃対照に標準化し、wt−HBEにおけるCFTR活性の活性%として現した。細胞と矯正化合物のプレインキュベーションは、37℃対照と比較して、cAMP−およびゲニステイン−仲介I
SCを顕著に増大した。
【0238】
増強化合物の同定
典型的なプロトコールは、基底側から頂端膜のCl
−濃度勾配を利用した。この勾配を設定するため、通常のリンゲル溶液を基底側膜に用い、一方、頂端NaClを、等モルのグルコン酸ナトリウムに置き換え(NaOHを用いてpH7.4に滴定)、上皮を横切る大きなCl
−濃度勾配を得た。フォルスコリン(10μM)および全ての試験化合物を、頂端側の細胞培養インサートに添加した。推定上のΔF508−CFTR増強剤の効果を、公知の増強剤であるゲニステインのそれと比較した。
【0239】
2.パッチクランプ記録
ΔF508−NIH3T3細胞中、全Cl
−電流を、既報の有孔パッチ記録構成(Rae, J., Cooper, K., Gates, P., & Watsky, M. (1991) J. Neurosci. Methods 37, 15−26)を用いて測定した。電圧−クランプ記録を、Axopatch 200B パッチクランプ増幅器(Axon Instruments Inc., Foster City, CA)を用いて22℃で行った。ピペット溶液は、150mM N−メチル−D−グルカミン(NMDG)−Cl、2mM MgCl
2、2mM CaCl
2、10mM EGTA、10mM HEPESおよび240μg/mlアンホテリシン−B(HClでpH7.35に合わせた)を含んでいた。細胞外培地は、150mM NMDG−Cl、2mM MgCl
2、2mM CaCl
2、10mM HEPES(HClでpH7.35に合わせた)を含んでいた。パルス発生、データ収集および分析を、Clampex 8に接続されたDigidata 1320 A/Dインターフェースを備えたPC(Axon Instruments Inc.)を用いて実施した。活性化するために、ΔF508−CFTR、10μM フォルスコリンおよび20μM ゲニステインを浴に添加し、電流電圧関係を30秒毎にモニターした。
【0240】
矯正化合物の同定
細胞膜における機能的△F508−CFTRの密度を増大するための矯正化合物の活性を決定するため、本発明者らは、上記の有孔パッチ−記録技術を矯正化合物で24時間処理後の電流密度を測定するために用いた。△F508−CFTRを完全に活性化するため、10μMフォルスコリンおよび20μMゲニステインを細胞に添加した。本発明の記録条件下で、27℃で24時間インキュベート後の電流密度は、37℃で24時間インキュベート後に観察される密度よりも高かった。これらの結果は、細胞膜における△F508−CFTRの密度に対する低温インキュベートの公知の効果と一致する。CFTR電流密度に対する矯正化合物の効果を決定するため、細胞を、37℃で24時間、10μMの試験化合物と共にインキュベートし、電流密度を27℃および37℃対照と比較した(%活性)。記録の前に、細胞を細胞外記録培地で3回洗浄して、残っている試験化合物を除去した。10μMの矯正化合物とのプレインキュベーションは、37℃対照と比較して、cAMP−およびゲニステイン−依存性電流を顕著に増大した。
【0241】
増強化合物の同定
△F508−CFTRを安定に発現するNIH3T3細胞における巨視的ΔF508−CFTR Cl
−電流(I
ΔF508)を増大するΔF508−CFTR増強剤の能力もまた、有孔パッチ−記録技術を用いて調査した。光学アッセイで同定された増強剤は、光学アッセイにおいて同様の効力および観察された効果を有するI
ΔF508において用量依存的増大を引き起こした。試験した全ての細胞において、増強剤適用前および適用中の逆転電位は、約−30mVであって、それは、計算されたE
Clである(−28mV)。
【0242】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、全細胞記録に用いた。該細胞を、175cm
2培養フラスコ中、2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×pen/strep、および25mM HEPESを添加したダルベッコの修飾イーグルス培地中、5%CO
2および90%湿度にて、37℃で維持した。全細胞記録のために、2,500−5,000細胞を、ポリ−L−リシン−コートしたガラスのカバースリップ上に播種し、27℃にて24−48時間培養し、その後、増強剤の活性を試験するために用いた;そして、矯正体の活性を測定するために、37℃にて矯正化合物の有無においてインキュベートした。
【0243】
3.単一チャネル記録
NIH3T3細胞において安定に発現される温度修正ΔF508−CFTRの単一チャネル活性および増強化合物の活性を、Axopatch 200B patch−clamp amplifier (Axon Instruments Inc.)を用いて、既報(Dalemans, W., Barbry, P., Champigny, G., Jallat, S., Dott, K., Dreyer, D., Crystal, R.G., Pavirani, A., Lecocq, J-P., Lazdunski, M. (1991) Nature 354, 526−528)の通り切り離した内側−外側細胞膜パッチを用いて観察した。ピペットは、150mM NMDG、150mM アスパラギン酸、5mM CaCl
2、2mM MgCl
2、および10mM HEPES(トリス塩基でpH7.35に合わせた)を含んでいた。浴は、150mM NMDG−Cl、2mM MgCl
2、5mM EGTA、10mM TESおよび14mM トリス塩基(HClでpH7.35に合わせた)を含んでいた。切除後、野生型およびΔF508−CFTRの両方ともが、1mM Mg−ATP、75nM cAMP依存性タンパク質キナーゼの触媒サブユニット(PKA; Promega Corp. Madison, WI)、およびタンパク質ホスファターゼの阻害のための10mM NaFの添加により活性化され、それは電流低下を阻止した。ピペット電位は、80mVで維持した。チャネル活性を、≦2活性チャネルを含む膜パッチから分析した。同時に開く最大数が、実験コース中、活性チャネルの数を決定した。単一チャネル電位振幅を決定するため、120秒のΔF508−CFTR活性から記録されたデータを、100Hzで“オフライン”フィルター処理し、次いで、Bio−Patch Analysisソフトウェア(Bio−Logic Comp. France)を用いてマルチガウス関数に合わせた、全ての振幅点ヒストグラムを構築するために用いた。顕微鏡的総電位および開確率(P
o)が、120秒のチャネル活性から決定された。P
oを、Bio−Patchソフトウェアを用いて決定するか、またはP
o=I/i(N)(式中、I=平均電流、i=単一チャネル電位振幅であり、N=パッチにおける活性チャネルの数である。)の関係から決定した。
【0244】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、切除した膜のパッチクランプ記録に用いた。該細胞を、175cm
2培養フラスコ中、2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×pen/strep、および25mM HEPESを添加したダルベッコの修飾イーグルス培地中、5%CO
2および90%湿度で、37℃にて維持した。単一チャネル記録のため、2,500−5,000細胞を、ポリ−L−リシン−コートしたガラスのカバースリップ上に播種し、27℃で24−48時間インキュベートし、その後使用した。
【0245】
本発明の化合物は、上記のアッセイで測定された通り、矯正活性を示すことが見いだされた。
【0246】
本発明の化合物は、ATP結合カセット輸送体のモジュレーターとして有用である。上記の方法を用いて、本発明の化合物の活性、すなわちEC50は、約3.8nMないし約13.5μMであると測定された。さらに、上記の方法を用いて、本発明の化合物の効力は、約35%ないし約110%であると測定された。
【0247】
表4において、以下の意味が適用される:
EC50:“+++”は、<2uMを意味する;“++”は、2uMないし5uMを意味する;“+”は、5uMないし25uMを意味する。
%効果:“+”は、<25%を意味する;“++”は、25%ないし100%を意味する;“+++”は、>100%を意味する。
【表4】
【0248】
他の態様
本発明をその詳細な記載と関連して記載しているが、前記は説明を意図するものであり、本発明の範囲を制限するものではなく、それは添付の特許請求の範囲により定義されるものであることは理解されるべきである。他の局面、利点および修飾は、特許請求の範囲の範囲内である。