(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728692
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】配席設計装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20150514BHJP
【FI】
G06Q10/06 130
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-196876(P2011-196876)
(22)【出願日】2011年9月9日
(65)【公開番号】特開2013-58128(P2013-58128A)
(43)【公開日】2013年3月28日
【審査請求日】2014年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】505391285
【氏名又は名称】ピーアンドダブリューソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】大宮 俊之
【審査官】
佐藤 裕子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−76480(JP,A)
【文献】
特開2007−310634(JP,A)
【文献】
特開2010−176483(JP,A)
【文献】
特開2005−128930(JP,A)
【文献】
特開2008−9714(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/055628(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の座席への人員の配席を決定する配席設計装置であって、
配席条件に関して位置毎に異なる属性の強さを示す属性スコアを等高線によるデータ構造で記憶する属性記憶部と、
前記人員それぞれの前記属性に対する許容度を記憶する許容度記憶部と、
前記人員のいずれかが、ある座席に配席されたと仮定した場合に、当該配席された座席と前記配席条件における前記等高線との位置関係に基づいて特定される前記属性スコア、及び当該配席された人員の前記属性に対する前記許容度に基づいて、当該配席された座席が当該人員にとって適している度合いを示す許容ポイントを算出するポイント算出部と、
前記ポイント算出部により算出される前記許容ポイントの全人員についての総和が所定の条件を満たす配席を決定する配席決定部と、を備える配席設計装置。
【請求項2】
前記属性記憶部は、複数の配席条件に関するそれぞれの属性スコアを、等高線による共通のデータ構造で記憶し、
前記許容度記憶部は、前記複数の配席条件それぞれに関する属性に対する許容度を記憶し、
前記配席決定部は、前記複数の配席条件それぞれに対して前記ポイント算出部により算出される前記許容ポイントの和を、全人員について総和した値が前記所定の条件を満たす配席を決定する請求項1に記載の配席設計装置。
【請求項3】
前記所定の条件とは、複数の配席パターン毎に算出される前記許容ポイントの総和が極大となる場合である請求項1又は請求項2に記載の配席設計装置。
【請求項4】
前記配席条件に関する等高線のテンプレートを記憶するテンプレート記憶部と、
前記テンプレートに基づく修正入力を受け付け、修正後の等高線で示される属性スコアを前記属性記憶部に記憶する属性入力部と、を備える請求項1から請求項3のいずれかに記載の配席設計装置。
【請求項5】
前記ポイント算出部は、前記配席条件に関する属性スコアが特定の人員からの影響度を示す場合、前記テンプレートに基づいて、前記特定の人員が配席された位置に応じた属性スコアを特定する請求項4に記載の配席設計装置。
【請求項6】
コンピュータが複数の座席への人員の配席を決定する配席設計方法であって、
配席条件に関して位置毎に異なる属性の強さを示す属性スコアを等高線によるデータ構造で記憶する属性記憶ステップと、
前記人員それぞれの前記属性に対する許容度を記憶する許容度記憶ステップと、
前記人員のいずれかが、ある座席に配席されたと仮定した場合に、当該配席された座席と前記配席条件における前記等高線との位置関係に基づいて特定される前記属性スコア、及び当該配席された人員の前記属性に対する前記許容度に基づいて、当該配席された座席が当該人員にとって適している度合いを示す許容ポイントを算出するポイント算出ステップと、
前記ポイント算出ステップにおいて算出される前記許容ポイントの全人員についての総和が所定の条件を満たす配席を決定する配席決定ステップと、を含む配席設計方法。
【請求項7】
コンピュータに複数の座席への人員の配席を決定させるための配席設計プログラムであって、
配席条件に関して位置毎に異なる属性の強さを示す属性スコアを等高線によるデータ構造で記憶する属性記憶ステップと、
前記人員それぞれの前記属性に対する許容度を記憶する許容度記憶ステップと、
前記人員のいずれかが、ある座席に配席されたと仮定した場合に、当該配席された座席と前記配席条件における前記等高線との位置関係に基づいて特定される前記属性スコア、及び当該配席された人員の前記属性に対する前記許容度に基づいて、当該配席された座席が当該人員にとって適している度合いを示す許容ポイントを算出するポイント算出ステップと、
前記ポイント算出ステップにおいて算出される前記許容ポイントの全人員についての総和が所定の条件を満たす配席を決定する配席決定ステップと、を実行させるための配席設計プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の座席への人員の配席を決定する装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスにおける業務効率の向上又は低下に対して、人員の配席設計は大きな要員となっている。この配席設計時に考慮すべき事項は、例えば、空調の体感温度、役職、業務内容、人間関係等、多岐に渡っているため、個々の条件に対応して適切な配席を決定することは容易ではない。
【0003】
そこで、多くの配席要求に基づく複数の配席ルールの間の矛盾を排除し、これらの配席要求に応えるための配席管理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−004386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のように、配席に関する要求は、通常、配席されるべき人員それぞれに対して設定され、さらに、各座席に対して要求に関する属性が設定される。これにより、人員毎に割り当てられた座席について要求を満たしているか否かが判断される。
【0006】
しかしながら、配席に関する要求を満たしているとしても、座席によって属性の強弱が存在するため、配席されることへの許容度(満足度)が異なる場合がある。この場合、人員毎の座席の属性に対する許容度の差異を判断するのが難しいため、全人員が配席された状態での全体としての配席の適性を、他の配席状態と比較することは難しかった。
【0007】
本発明は、座席毎に異なる属性の強弱を容易に設定でき、かつ、条件に適した配席を容易に決定できる配席設計装置、配席設計方法及び配席設計プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
(1)複数の座席への人員の配席を決定する配席設計装置であって、配席条件に関して位置毎に異なる属性の強さを示す属性スコアを等高線によるデータ構造で記憶する属性記憶部と、前記人員それぞれの前記属性に対する許容度を記憶する許容度記憶部と、前記人員のいずれかが、ある座席に配席されたと仮定した場合に、当該配席された座席と前記配席条件における前記等高線との位置関係に基づいて特定される前記属性スコア、及び当該配席された人員の前記属性に対する前記許容度に基づいて、当該配席された座席が当該人員にとって適している度合いを示す許容ポイントを算出するポイント算出部と、前記ポイント算出部により算出される前記許容ポイントの全人員についての総和が所定の条件を満たす配席を決定する配席決定部と、を備える配席設計装置。
【0010】
このような構成によれば、配席設計装置は、等高線によるデータ構造で属性スコアの分布を記憶し、人員が配席された座席の属性スコアと、属性に対して人員毎に設定されている許容度とに基づいて、許容ポイントを算出する。そして、配席設計装置は、この許容ポイントの総和により適切な配席を決定できる。
したがって、配席設計装置は、座席毎に異なる属性の強弱を、等高線を用いて容易に設定でき、かつ、人員毎の許容度で示される条件に適した配席を容易に決定できる。
【0011】
(2)前記属性記憶部は、複数の配席条件に関するそれぞれの属性スコアを、等高線による共通のデータ構造で記憶し、前記許容度記憶部は、前記複数の配席条件それぞれに関する属性に対する許容度を記憶し、前記配席決定部は、前記複数の配席条件それぞれに対して前記ポイント算出部により算出される前記許容ポイントの和を、全人員について総和した値が前記所定の条件を満たす配席を決定する(1)に記載の配席設計装置。
【0012】
従来、属性の強弱を個別の座席毎に考慮して設定する作業は煩雑であり、さらに、配席のための条件は様々であるため、性質の異なる複数の条件の相互間の優先度も含めて統一的に配席条件を設定・適用することは困難であった。
(2)の構成によれば、配席設計装置は、等高線による共通のデータ構造で、性質の異なる複数の配席条件に関する属性スコアの分布を定義できる。したがって、配席設計装置は、座席毎に異なる属性の強弱を容易に設定でき、かつ、性質の異なる複数の条件に適した配席を容易に決定できる。
【0013】
(3)前記所定の条件とは、複数の配席パターン毎に算出される前記許容ポイントの総和が極大となる場合である(1)又は(2)に記載の配席設計装置。
【0014】
このような構成によれば、配席設計装置は、許容ポイントを算出した配席パターンの中で、この許容ポイントの総和が極大となる場合の配席パターンを、設計結果として出力する。したがって、配席設計装置は、各座席の属性スコアに対してより大きな許容度が設定されている人員が割り当てられた配席パターンを選択し、より適切な配席を決定できる。
【0015】
(4)前記配席条件に関する等高線のテンプレートを記憶するテンプレート記憶部と、前記テンプレートに基づく修正入力を受け付け、修正後の等高線で示される属性スコアを前記属性記憶部に記憶する属性入力部と、を備える(1)から(3)のいずれかに記載の配席設計装置。
【0016】
このような構成によれば、配席設計装置は、テンプレートを予め記憶しておくことにより、利用者の作業負荷を低減し、かつ、容易に属性のスコアの分布を定義できる。
【0017】
(5)前記ポイント算出部は、前記配席条件に関する属性スコアが特定の人員からの影響度を示す場合、前記テンプレートに基づいて、前記特定の人員が配席された位置に応じた属性スコアを特定する(4)に記載の配席設計装置。
【0018】
配席条件に関する属性スコアが特定の人員からの影響度を示す場合、この特定の人員の配置に応じて等高線を移動させる必要がある。
(5)の構成によれば、配席設計装置は、特定の人員がいずれの座席に割り当てられたとしても、テンプレートに基づいて属性スコアを特定できるので、特定の人員の配置に応じて、都度、等高線を設定する必要がなく、利用者の作業負荷を低減できる。
【0019】
(6)コンピュータが複数の座席への人員の配席を決定する配席設計方法であって、配席条件に関して位置毎に異なる属性の強さを示す属性スコアを等高線によるデータ構造で記憶する属性記憶ステップと、前記人員それぞれの前記属性に対する許容度を記憶する許容度記憶ステップと、前記人員のいずれかが、ある座席に配席されたと仮定した場合に、当該配席された座席と前記配席条件における前記等高線との位置関係に基づいて特定される前記属性スコア、及び当該配席された人員の前記属性に対する前記許容度に基づいて、当該配席された座席が当該人員にとって適している度合いを示す許容ポイントを算出するポイント算出ステップと、前記ポイント算出ステップにおいて算出される前記許容ポイントの全人員についての総和が所定の条件を満たす配席を決定する配席決定ステップと、を含む配席設計方法。
【0020】
このような構成によれば、配席設計方法をコンピュータが実行することにより、(1)と同様の効果が期待できる。
【0021】
(7)コンピュータに複数の座席への人員の配席を決定させるための配席設計プログラムであって、配席条件に関して位置毎に異なる属性の強さを示す属性スコアを等高線によるデータ構造で記憶する属性記憶ステップと、前記人員それぞれの前記属性に対する許容度を記憶する許容度記憶ステップと、前記人員のいずれかが、ある座席に配席されたと仮定した場合に、当該配席された座席と前記配席条件における前記等高線との位置関係に基づいて特定される前記属性スコア、及び当該配席された人員の前記属性に対する前記許容度に基づいて、当該配席された座席が当該人員にとって適している度合いを示す許容ポイントを算出するポイント算出ステップと、前記ポイント算出ステップにおいて算出される前記許容ポイントの全人員についての総和が所定の条件を満たす配席を決定する配席決定ステップと、を実行させるための配席設計プログラム。
【0022】
このような構成によれば、配席設計プログラムをコンピュータに実行させることにより、(1)と同様の効果が期待できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、座席毎に異なる属性の強弱を容易に設定でき、かつ、条件に適した配席を容易に決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る配席設計装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る配席条件テーブルを示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る等高線の例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る人員条件テーブルを示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。
本実施形態に係る配席設計装置1は、コンタクトセンタ等のオフィスにおいて、複数の座席への人員の配席を決定する装置である。
【0026】
図1は、本実施形態に係る配席設計装置1の機能構成を示すブロック図である。
配席設計装置1は、制御部10と、記憶部20と、入力部40と、出力部50とを備える。
【0027】
制御部10は、配席設計装置1の全体を制御する部分であり、記憶部20に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上記のハードウェアと協働し、本実施形態における各種機能を実現している。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)であってよい。なお、制御部10が備える各部の機能は後述する。
【0028】
記憶部20は、ハードウェア群を配席設計装置1として機能させるための各種プログラム、及び各種データ等の記憶領域であり、ハードディスク(HDD)であってよい。具体的には、記憶部20には、本実施形態の各種機能を実現させるため制御部10に実行させるプログラム(配席設計プログラム)の他、後述の属性スコアデータが配席条件テーブル21(属性記憶部)に、許容度データが人員条件テーブル22(許容度記憶部)に、属性スコアのテンプレートデータがテンプレートテーブル23(テンプレート記憶部)に記憶される。
【0029】
図2は、本実施形態に係る配席条件テーブル21を示す図である。
配席条件テーブル21には、複数の配席条件のそれぞれに関して位置毎に異なる属性の強さを示す属性スコアが等高線によるデータ構造で記憶されている。
【0030】
例えば、空調の効き具合という配席条件に関する属性は、エアコンの設置場所からの距離、風向き、オフィスのレイアウト等に影響されて分布し、等高線#1(例えば、スコア10)、#2(例えば、スコア8)、・・・の順に空調の影響(属性スコア)が弱まっていく。
また、A氏に対する忌避度を示す属性スコア、B氏に対する忌避度を示す属性スコア、スーパーバイザの席として適している度合いを示す属性スコア、ショッピング応答チームの席として適している度合いを示す属性スコア等についても、同様に等高線#1、#2、・・・によって、属性スコアが定義される。
【0031】
ここで、等高線は、複数の座標データの組合せで表現され、これらの座標を順に結んで出来る閉じた曲線が同一の属性スコアの位置を示す等高線となる。
なお、属性スコアは、A氏又はB氏に対する忌避度を示す属性スコアのように、同種類のものが複数定義されてもよい。また、これら同種類の属性スコアが同一の等高線によって定義されてもよい。
【0032】
また、この等高線は、利用者からの入力情報に基づいて後述の制御部10の処理により生成されるが、制御部10は、利用者に対して既存のテンプレートを提示し、このテンプレートに対する修正入力を受け付けることもできる。本実施形態に係るテンプレートテーブル23には、配席条件に関する等高線のテンプレートが記憶される。
【0033】
なお、テンプレートは、同心円等、基準位置に基づく固定された形状であってよいが、これには限られず、オフィスの形状や配置された物品等に応じて動的に変形する形状であってもよい。
【0034】
図3は、本実施形態に係る配席条件テーブル21によって定義される等高線の例を示す図である。
図3(a)は、空調の効き具合を示す属性の等高線、
図3(b)は、A氏に対する忌避度を示す属性の等高線、
図3(c)は、スーパーバイザの席として適している度合いを示す属性の等高線、
図3(d)は、ショッピング応答チームの席として適している度合いを示す属性の等高線である。
【0035】
なお、これらの等高線が示す属性スコアは、各配席条件間での許容ポイントのバランスを考慮し、適宜設定される。
また、属性スコアは、複数の等高線を設けることによって連続値(例えば、0から10まで)が設定されてもよいし、単一の等高線(例えば、属性スコア=10)を設けることによって2値(例えば、10又は0)が設定されてもよい。
【0036】
図4は、本実施形態に係る人員条件テーブル22を示す図である。
人員条件テーブル22には、人員それぞれの属性スコアに対する許容度が記憶されている。
【0037】
例えば、IDが「0001」の人員は、配席条件「A01」(空調の効き具合)についての許容度が「10」であり、空調が良く効く座席を好むことを示している。一方、IDが「0002」の人員は、配席条件「A01」についての許容度が「−5」であり、空調が良く効く座席を嫌っていることを示している。なお、許容度の値は、絶対値が大きいほど、対応する属性に対する好き嫌いの度合いが強いことを示している。
【0038】
また、許容度は、人員毎に複数の配席条件に対して設定可能であり、考慮が不要な配席条件に対しては、許容度が「0」に設定される。
【0039】
入力部40は、配席設計装置1に対する利用者からの指示入力を受け付けるインタフェース装置である。入力部40は、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネル等により構成される。
【0040】
出力部50は、利用者にデータの入力を受け付ける画面を表示したり、配席設計装置1による処理結果の画面を表示したりするディスプレイ装置を含む。さらに、出力部50は、ブラウン管表示装置(CRT)や液晶表示装置(LCD)等のディスプレイ装置の他、プリンタ等の各種出力装置を含んでよい。
【0041】
次に、制御部10の機能を詳述する。
制御部10は、ポイント算出部11と、配席決定部12と、属性入力部13とを備える。これら各部は、アラート分析プログラムを実行することにより実現される機能ブロックである。
【0042】
ポイント算出部11は、配席対象の人員のいずれかが、ある座席に配席されたと仮定した場合に、まず、配席条件テーブル21を参照して、この配席された座席と配席条件における等高線との位置関係に基づいて属性スコアを特定する。次に、ポイント算出部11は、人員条件テーブル22を参照して、配席された人員について、属性に対する許容度を抽出する。そして、ポイント算出部11は、属性スコアと許容度とに基づいて、配席された座席が人員にとって適している度合いを示す許容ポイントを算出する。
【0043】
具体的には、許容ポイントは、属性スコアと許容度とを乗じた値とする。つまり、属性スコア及び許容度の双方の値が大きくなるほど、仮定された配席が適していることを示している。また、属性スコア又は許容度が小さくなり、さらには、許容度が負の値になれば、仮定された配席が適していないことを示している。
【0044】
また、ポイント算出部11は、配席条件に関する属性スコアが特定の人員からの影響度(例えば、A氏に対する忌避度)を示す場合、テンプレートテーブル23に記憶されているいずれかのテンプレートに基づいて、特定の人員(A氏)が配席された位置に応じた属性スコアを特定する。これにより、ポイント算出部11は、配席条件の基準が変動する場合においても、一定の精度により簡易的に許容ポイントを算出できる。
【0045】
配席決定部12は、ポイント算出部11により算出される許容ポイントの全人員についての総和が所定の条件を満たす配席を決定する。また、配席決定部12は、配席条件が複数の場合、複数の配席条件それぞれに対してポイント算出部11により算出される許容ポイントの和を、全人員について総和した値が所定の条件を満たす配席を決定する。
【0046】
ここで、所定の条件とは、配席の候補として仮定される複数の配席パターン毎に算出される許容ポイントの総和が極大となる場合である。すなわち、全ての配席パターン又は一部の配席パターンについて、それぞれの許容ポイントを算出した上で、許容ポイントが最大となる配席パターンが決定される。
【0047】
属性入力部13は、入力部40を介して、利用者からテンプレートに基づく修正入力を受け付け、修正後の等高線で示される属性スコアを配席条件テーブル21に記憶する。
【0048】
図5は、本実施形態に係る配席設計装置1における処理を示すフローチャートである。
ステップS1において、制御部10は、利用者からの選択入力を受け付けて、テンプレートテーブル23から等高線のテンプレートを選択する。
【0049】
ステップS2において、制御部10(属性入力部13)は、ステップS1で選択されたテンプレートに対して、利用者から修正入力を受け付けて、属性スコアの分布を示す等高線データを更新する。
【0050】
ステップS3において、制御部10(属性入力部13)は、ステップS2で更新された等高線データを、配席条件テーブル21に登録する。
【0051】
ステップS4において、制御部10は、全ての配席条件について属性スコアの分布を示す等高線データが登録されたか否か、具体的には、利用者から配席条件の設定を終了する指示を受け付けたか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS5に移り、判定がNOの場合、処理はステップS1に戻り、別の配席条件について属性スコアの設定を継続する。
【0052】
ステップS5において、制御部10は、配席の候補の1つとして、全人員を仮に配席した配席パターンの1つを仮定する。
【0053】
ステップS6において、制御部10(ポイント算出部11)は、ステップS5で仮定された配席によって特定される属性スコア及び許容度に基づいて、配席条件及び人員毎の許容ポイントを算出する。
【0054】
ステップS7において、制御部10は、ステップS6で算出された許容ポイントを、全配席条件及び全人員について総和し、仮定された配席パターンに対応付けて記憶する。
【0055】
ステップS8において、制御部10は、他の配席パターンを検証するか否かを判定する。具体的には、制御部10は、配席可能な全ての組合せを対象とするか、処理負荷の低減のために一部の組合せを対象とするかが予め設定されている場合に、対象とした配席パターンのうち、許容ポイントを算出していないパターンが残っているか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS9に移り、判定がNOの場合、処理はステップS5に戻り、別の配席パターンの検証を継続する。
【0056】
ステップS9において、制御部10(配席決定部12)は、ステップS7で得られた許容ポイントの総和が最大となる配席パターンを抽出し、配席設計の結果として決定する。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、配席設計装置1は、等高線によるデータ構造で属性スコアの分布を記憶する。そして、配席設計装置1は、人員が配席された座席の属性スコアと、属性に対して人員毎に設定されている許容度とに基づいて算出される許容ポイントの総和により適切な配席を決定できる。したがって、配席設計装置1は、座席毎に異なる属性の強弱を、等高線を用いて容易に設定でき、かつ、人員毎の許容度で示される条件に適した配席を容易に決定できる。
【0058】
さらに、配席設計装置1は、等高線による共通のデータ構造で、性質の異なる複数の配席条件に関する属性スコアの分布を定義できる。したがって、配席設計装置1は、座席毎に異なる属性の強弱を容易に設定でき、かつ、性質の異なる複数の条件に適した配席を容易に決定できる。
【0059】
このとき、配席設計装置1は、許容ポイントを算出した配席パターンの中で、この許容ポイントの総和が極大となる場合の配席パターンを、設計結果として出力する。したがって、配席設計装置1は、各座席の属性スコアに対してより大きな許容度が設定されている人員が割り当てられた配席パターンを選択し、より適切な配席を決定できる。
【0060】
また、配席設計装置は、テンプレートを予め記憶しておくことにより、利用者の作業負荷を低減し、かつ、容易に属性のスコアの分布を定義できる。
【0061】
さらに、配席設計装置1は、特定の人員の配置に応じて等高線を移動させる必要がある場合、特定の人員がいずれの座席に割り当てられたとしても、テンプレートに基づいて属性スコアを特定できる。したがって、配席設計装置1は、特定の人員の配置に応じて、都度、等高線を設定する必要がなく、利用者の作業負荷を低減できる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0063】
前述の配席設計装置1は、サーバ装置又はPC(Personal Computer)等、様々な情報処理装置(コンピュータ)であってよく、前述の各機能は、ソフトウェアにより実現される。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが情報処理装置にインストールされる。また、これらのプログラムは、CD−ROM等のリムーバブルメディアに記録されて配布されてもよいし、ネットワークを介して情報処理装置にダウンロードされることにより配布されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 配席設計装置
10 制御部
11 ポイント算出部
12 配席決定部
13 属性入力部
20 記憶部
21 配席条件テーブル21(属性記憶部)
22 人員条件テーブル22(許容度記憶部)
23 テンプレートテーブル23(テンプレート記憶部)