特許第5728713号(P5728713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728713
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】ブリスター容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20150514BHJP
   B65D 75/36 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   B65D77/20 J
   B65D75/36
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-62038(P2011-62038)
(22)【出願日】2011年3月22日
(65)【公開番号】特開2012-197097(P2012-197097A)
(43)【公開日】2012年10月18日
【審査請求日】2014年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(72)【発明者】
【氏名】長村 健生
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 友由樹
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−502555(JP,A)
【文献】 国際公開第01/004020(WO,A1)
【文献】 特開平11−240558(JP,A)
【文献】 特開昭63−110108(JP,A)
【文献】 特開平01−124570(JP,A)
【文献】 特許第2551637(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/20
B65D 75/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納凹部を有するカバー部材と、前記収納凹部の開口を閉塞する封止シートと、を有し、
前記封止シートが、第1シートと第2シートが積層された積層シートから形成されており、
前記封止シートに開閉部を形成するために、前記第1シートの面内に平面視非直線状の第1切込線が形成され、且つ、前記第2シートの面内に前記第1切込線と位置ずれした平面視非直線状の第2切込線が形成されており、
前記第1切込線と第2切込線で挟まれた区画、並びに、前記第1切込線の外側近傍領域及び前記第2切込線の内側近傍領域を除いて前記第1シートと第2シートが接着剤層を介して接着され、
前記区画のうち前記第1切込線の内側近傍領域及び前記第2切込線の外側近傍領域を除いた領域における第1シートと第2シートの層間に、粘着剤層が設けられていることを特徴とする、ブリスター容器。
【請求項2】
前記カバー部材が、前記収納凹部の端縁から延設されたフランジ部を有し、
前記フランジ部の被接着面に前記封止シートの第2シートを接着することにより、前記封止シートがカバー部材の収納凹部の開口を閉塞しており、
前記第1切込線と第2切込線で挟まれた区画の全部又は一部が、前記フランジ部の被接着面に重なっている、請求項1に記載のブリスター容器。
【請求項3】
前記第1切込線の内側近傍領域の幅、第1切込線の外側近傍領域の幅、第2切込線の内側近傍領域の幅及び第2切込線の外側近傍領域の幅が、それぞれ1mm〜5mmである、請求項1又は2に記載のブリスター容器。
【請求項4】
前記第1切込線及び第2切込線が、それぞれシートの厚み方向に貫通する切り目が全体的に連続したもの又は切り目の連続線が断続的に繋がったものからなる、請求項1〜3の何れか一項に記載のブリスター容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納するブリスター容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乾電池、化粧品、医薬品、医薬部外品、お菓子、玩具などの各種物品を包装する形態として、ブリスター容器が知られている。
ブリスター容器は、一般的に、透明な合成樹脂製シートを成形したカバー部材と、封止シートと、を有する。カバー部材は、その一部分に物品収納用の収納凹部が形成され、且つその収納凹部の端縁からフランジ部が延設されている。封止シートは、前記収納凹部の開口側を閉塞するものである。
例えば、特許文献1には、前記収納凹部及びフランジ部を有するカバー部材と、そのフランジ部の裏面に、感熱型接着剤又は熱溶着可能なシーラント層を介して接着された封止シートと、を有するブリスター容器が開示されている。
【0003】
このようなブリスター容器に収納された物品は、封止シートをカバー部材のフランジ部から引き剥がすことによってカバー部材の収納凹部から取り出される。
しかしながら、かかるブリスター容器は、封止シートを一旦剥離すると、再封できないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−68876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、封止シートを開封して収納凹部から物品を取り出すことができ、且つその封止シートを再封できるブリスター容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のブリスター容器は、収納凹部を有するカバー部材と、前記収納凹部の開口を閉塞する封止シートと、を有し、前記封止シートが、第1シートと第2シートが積層された積層シートから形成されており、前記封止シートに開閉部を形成するために、前記第1シートの面内に平面視非直線状の第1切込線が形成され、且つ、前記第2シートの面内に前記第1切込線と位置ずれした平面視非直線状の第2切込線が形成されており、前記第1切込線と第2切込線で挟まれた区画、並びに、前記第1切込線の外側近傍領域及び前記第2切込線の内側近傍領域を除いて前記第1シートと第2シートが接着剤層を介して接着され、前記区画のうち前記第1切込線の内側近傍領域及び前記第2切込線の外側近傍領域を除いた領域における第1シートと第2シートの層間に、粘着剤層が設けられている。
【0007】
上記本発明のブリスター容器においては、第1切込線と第2切込線で挟まれた区画における第1シートと第2シートの層間には、接着剤層が設けられていないが、それに代わって粘着剤層が設けられているので、前記区画における第1シートと第2シートの層間は互いに貼着している。
この第1切込線を利用して第1シートの一部分を離反させると、粘着剤層の粘着面が前記区画における第1シート又は第2シートから剥がれていき、さらに、第1シートに引っ張られて第2シートの一部分が第2切込線に従って離反する。従って、前記第1シートの一部分及び第2シートの一部分(開閉部に相当)が封止シートから捲れ、第1切込線及び第2切込線で囲われる範囲内に、カバー部材の収納凹部に通じる取出口が生じる。よって、この取出口から物品を取り出したり、或いは、これを戻すこともできる。
一方、離反させた前記第1シートの一部分及び第2シートの一部分(開閉部)を元の状態に戻すと、前記区画における第1シートと第2シートの層間が粘着剤層を介して再び貼着するため、取出口を再封できる。
また、本発明のブリスター容器においては、第1切込線の内側近傍領域及び第2切込線の外側近傍領域にそれぞれ粘着剤層が設けられておらず、さらに、第1切込線の外側近傍領域及び第2切込線の内側近傍領域における第1シートと第2シートの層間が粘着剤の回避空間となるので、粘着剤層の粘着剤が第1切込線及び第2切込線を通じて滲み出ることを効果的に防止できる。
【0008】
本発明の好ましいブリスター容器は、前記カバー部材が、前記収納凹部の端縁から延設されたフランジ部を有し、前記フランジ部の被接着面に前記封止シートの第2シートを接着することにより、前記封止シートがカバー部材の収納凹部の開口を閉塞しており、前記第1切込線と第2切込線で挟まれた区画の全部又は一部が、前記フランジ部の被接着面に重なっている。
【0009】
かかるブリスター容器においては、前記区画の全部又は一部がフランジ部の被接着面に重なっているので、前記区画に対応する第2シートはフランジ部によって補強されている。このため、前記捲り上げた開閉部を元に戻すべく、区画に対応する第1シートを第2シートに押さえ付けたときに第2シートが歪み難く、第1シートと第2シートの層間を粘着剤層を介して簡単且つ確実に再貼着できる。
【0010】
本発明のさらに好ましいブリスター容器は、前記第1切込線の内側近傍領域の幅、第1切込線の外側近傍領域の幅、第2切込線の内側近傍領域の幅及び第2切込線の外側近傍領域の幅が、それぞれ1mm〜5mmである
【0011】
本発明のさらに好ましいブリスター容器は、前記第1切込線及び第2切込線が、それぞれシートの厚み方向に貫通する切り目が全体的に連続したもの又は切り目の連続線が断続的に繋がったものからなる
【発明の効果】
【0014】
本発明のブリスター容器は、取出口を通じて物品を取り出すことができ、さらに、この取出口を再封することができる。
また、本発明のブリスター容器によれば、取出口の再封も簡単且つ確実に行うことができ、又、粘着剤が滲み出ることを効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係るブリスター容器の正面図。なお、第2切込線の形成位置を判りやすく示すため、第2切込線を二点鎖線で表している。
図2】同ブリスター容器の側面図。
図3】同ブリスター容器の背面図。
図4図3のIV−IV線拡大断面図。
図5図3のV−V線拡大断面図。
図6】同ブリスター容器の切込線の変形例を示す背面図。
図7】同ブリスター容器の開閉部を捲り上げた状態を示す斜視図。
図8図7のVIII−VIII線拡大断面図。
図9】本発明の第2実施形態に係るブリスター容器について、図3のIV−IV線と同様な箇所で切断した拡大断面図。
図10】本発明の第3実施形態に係るブリスター容器について、図3のIV−IV線と同様な箇所で切断した拡大断面図。
図11】(a)は、本発明の第5実施形態に係るブリスター容器の第1変形例の背面図、(b)は、同第2変形例の背面図。
図12】本発明の第5実施形態に係るブリスター容器の第3変形例の背面図。
図13】本発明の第7実施形態に係るブリスター容器について、図3のIV−IV線と同様な箇所で切断した拡大断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本明細書において、横方向及び縦方向は、ブリスター容器を封止シートを下にして任意に平坦面上に置いてその法線方向から見たときの方向性を指し、横方向と縦方向は、ブリスター容器の封止シートの面内で互いに直交する方向である。また、平面視形状は、前記と同様にブリスター容器を任意に平坦面上に置いてその法線方向から見たときの形状である。また、用語の接頭語として、第1、第2などを付けているが、該接頭語は、用語を区別するために付加されたものであり、その順序や優劣などを意味しない。さらに、「A〜B」という記載は、A以上B以下を意味する。
また、図3図11及び図12において、非貼着領域を「薄墨」で、粘着剤層が設けられた部分を「網掛け」でそれぞれ表している。これら各部は背面図からは直接現れないが、これらの各部が設けられた範囲を分かりやすく図示する目的で、便宜上、このように塗り分けしている。全図において、物品は図示しない。
【0017】
[第1実施形態]
図1乃至図5に於いて、開閉部を形成できる本発明のブリスター容器10は、収納凹部41が形成されたカバー部材4と、その収納凹部41の開口を閉塞する封止シート3と、を有する。
カバー部材4は、前記収納凹部41と、収納凹部41から一体的に延設されたフランジ部42と、を有する。
封止シート3は、第1シート1と第2シート2とを有する積層シートから形成されている。この封止シート3の面内に再封可能な開閉部を形成するために、第1シート1の面内には、平面視非直線状の第1切込線11が形成され、且つ、第2シート2の面内には、前記第1切込線11と位置ずれした平面視非直線状の第2切込線22が形成されている。この第1切込線11と第2切込線22で挟まれた区画Aにおける前記第1シート1と第2シート2の層間に、粘着剤層5が設けられている。
以下、具体的に説明する。
【0018】
カバー部材4は、合成樹脂の成形品によって形成されており、比較的剛性の高い部材である。
カバー部材4の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。カバー部材4は、収納した物品を透視するため、透明又は半透明であることが好ましいが、非透明な材質を用いてもよい。
【0019】
カバー部材4は、射出成形法によって形成することもできるが、通常、シート成形法によって形成される。前記シート成型法に用いるシートとしては、熱可塑性樹脂製シート、複数の熱可塑性樹脂製シートが一体的に積層された積層シートなどが挙げられる。
カバー部材4の厚みは、0.1〜2mmであり、好ましくは0.2〜1mmである。
【0020】
カバー部材4の一部分には、凸状に突出した収納凹部41が形成されている。カバー部材4の収納凹部41は、物品を収納する凹状の空間部分である。この収納凹部41は、正面壁411と、前記正面壁411の周端縁から正面壁411に対して略直交して延設された周面壁412と、を有し、前記周面壁412の端縁412aで囲われた部分に、物品を出し入れするための開口がある。
収納凹部41の形状は、物品の形状などに応じて適宜設計される。本実施形態では、収納凹部41の正面壁411は、平面視略矩形状に形成されている。かかる平面視略矩形状の正面壁411に対応して、周面壁412は、4つの起立面からなる四角筒状に形成されている。
【0021】
さらに、前記収納凹部41の端縁412a(周面壁412の端縁412a)から周面壁412に直交する方向に、フランジ部42が延設されている。このフランジ部42は、収納凹部41の突出方向を法線とする平坦面を有する。フランジ部42は、収納凹部41の周囲に形成されているので、フランジ部42の平坦面は、収納凹部41を囲繞するような環状である。
フランジ部42の平坦面は、封止シート3を接着する被接着面421となる。
【0022】
カバー部材4の収納凹部41内に物品を入れた後、前記フランジ部42の被接着面421に封止用シートの第2シート2を接着することにより、物品入りブリスター容器10が得られる。
フランジ部42に対する封止シート3の接着方法は特に限定されず、例えば、接着剤を用いた接着、熱融着による接着、溶剤を用いた溶着などが挙げられる。
【0023】
封止シート3は、柔軟な第1シート1と柔軟な第2シート2とを有し、一部の領域を除いて、前記第1シート1と第2シート2が接着剤層6を介して一体的に積層された積層シートから形成されている。
封止シート3の外形は、カバー部材4のフランジ部42の外形とほぼ一致している。もっとも、封止シート3の形状とフランジ部42の外形は一致している場合に限られず、封止シート3がフランジ部42の外形よりも大きい(この場合には、フランジ部42の外縁から封止シート3の一部が延出する)、又は、封止シート3がフランジ部42の外形よりも小さくてもよい。封止シート3は、少なくとも収納凹部41の開口を閉塞できる大きさに形成されていれば、その形状は特に限定されない。
この封止シート3の面内にカバー部材4の収納凹部41に通じる開閉部(物品の取出口)を形成するために、前記第1シート1及び第2シート2の面内には、それぞれ第1切込線11及び第2切込線22が形成されている。
【0024】
第1切込線11の形状は、平面視非直線状であり、第2切込線22の形状は、前記第1切込線11から位置ずれした平面視非直線状である。位置ずれした第1切込線11と第2切込線22によって挟まれた区画Aにおける第1シート1と第2シート2の層間には、第1シート1及び第2シート2を互いに接着するための接着剤層6が設けられていない。この接着剤層6に代えて、前記第1切込線11と第2切込線22の間の区画Aにおける第1シート1と第2シート2の層間には、粘着剤層5が設けられている。前記区画Aに粘着剤層5が設けられていることにより、前記区画Aにおける第1シート1と第2シート2の層間の貼着及び剥離を繰り返して行うことができる。
【0025】
第1シート1の材質は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。第1シート1としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製シート(なお、本明細書において、シートとは、一般にフィルムと呼ばれるものと同義である)、不織布、発泡樹脂製シート、紙などが挙げられる。第1シート1は、任意に選ばれた2種以上のシートの積層体(例えば、2種以上の合成樹脂製シートが一体的に積層された積層体、或いは、合成樹脂製シートと紙が一体的に積層された積層体など)でもよい。また、第1シート1は、上記のような様々なシート又は積層体に、ガスバリア層及び/又は光バリア層が一体的に積層された積層体でもよい。
加工性に優れ且つ繰り返して開閉しても破損し難いことから、第1シート1は、合成樹脂製シート、合成樹脂製シートを含む積層体、又は、これらにガスバリア層及び/又は光バリア層が積層された積層体を用いることが好ましい。
【0026】
なお、第1シート1は、透明又は非透明の何れでもよい。さらに、第1シート1には、必要に応じて、意匠印刷が施されていてもよい。
第1シート1の厚みは、特に限定されない。第1シート1として合成樹脂製シート又はこれを含む積層体が用いられる場合には、その厚みは、一般に、15μm〜120μmである。
【0027】
第2シート2の材質も、特に限定されず、上記第1シート1で例示したようなシート又は積層体を用いることができる。第2シート2は、第1シート1と同じシートでもよいし、異なるシートでもよい。
封止シート3をカバー部材4のフランジ部42に熱融着にて接着する場合には、第2シート2は、シーラント層を有することが好ましい。例えば、第2シート2は、シーラント層の単層、又は、シーラント層と他の層(例えば、シーラント層とは異なる合成樹脂製シート)を有し且つこのシーラント層が最外面に一体的に積層された積層体を用いることが好ましい。
【0028】
シーラント層は、加熱することにより溶融してフランジ部42の被接着面421に接着し得る層である。シーラント層としては、汎用的なポリエチレン層が挙げられる。
第2シート2は、透明又は非透明の何れでもよい。
第2シート2の厚みは、特に限定されない。第2シート2としてシーラント層の単層が用いられる場合には、その厚みは、一般に、15μm〜70μmである。
【0029】
接着剤層6は、第1切込線11と第2切込線22で挟まれた区画A(この区画Aには第1切込線11の内側近傍領域11i及び第2切込線22の外側近傍領域22oが含まれる)における第1シート1と第2シート2の層間、及び、第1切込線11の外側近傍領域11oと第2切込線22の内側近傍領域22iのそれぞれの領域における第1シート1と第2シート2の層間を除いて、第1シート1の第2面と第2シート2の第1面の間に介在されている。この接着剤層6を介して、第1シート1と第2シート2は積層接着されている。
【0030】
前記第1切込線11の内側近傍領域11iとは、第1切込線11を基準にして、その第1切込線11の内側に隣接し且つ第1切込線11に沿って延びる幅狭な帯状領域である。前記第1切込線11の外側近傍領域11oとは、その第1切込線11の外側に隣接し且つ第1切込線11に沿って延びる幅狭な帯状領域である。
前記第2切込線22の外側近傍領域22oとは、第2切込線22を基準にして、その第2切込線22の外側に隣接し且つ第2切込線22に沿って延びる幅狭な帯状領域である。前記第2切込線22の内側近傍領域22iとは、その第2切込線22の内側に隣接し且つ第2切込線22に沿って延びる幅狭な帯状領域である。
【0031】
上記接着剤層6は、第1シート1と第2シート2を強固に接着するための層である。接着剤層6が設けられている部分においては、第1シート1と第2シート2は、人力ではほぼ層間剥離させることができない。つまり、接着剤層6によって第1シート1と第2シート2が強固に接着されている。
接着剤層6は、公知の接着剤を、第1シート1の第2面又は第2シート2の第1面の所定範囲に塗布することにより、両シート1,2の層間に設けることができる。
なお、第1シート1の第1面は、第1シート1の2つの面のうち、第2シート2に接着される側の面とは反対側の面を指し、第1シート1の第2面は、第2シート2に接着される側の面を指す。第2シート2の第1面は、第2シート2の2つの面のうち、第1シート1に接着される側の面を指し、第2シート2の第2面は、その反対側の面を指す。
【0032】
前記接着剤は、特に限定されず、例えば、ドライラミネート用接着剤、ウェットラミネート用接着剤、感熱型接着剤、紫外線硬化型接着剤などが挙げられ、一般的には、ドライラミネート用接着剤又は紫外線硬化型接着剤が用いられる。
【0033】
そして、上記封止シート3には、物品を取り出すための取出口を開閉する開閉部が形成されている。取出口の大きさ(開口面積)は、そこから物品を取り出すことができるように、物品に応じて適宜設計される。
前記取出口は、第1切込線11及び第2切込線22に従って第1シート1の一部分及び第2シート2の一部分を離反させることによって、封止シート3に形成される開口部分である。
前記開閉部は、第1切込線11及び第2切込線22に従って封止シート3から切り離される、前記第1シート1の一部分及び第2シート2の一部分からなる。
【0034】
第1切込線11の形成箇所と第2切込線22の形成箇所は一致しておらず、第2切込線22は、第1切込線11と位置ずれしている。なお、位置ずれとは、部分的に交わっている、すなわち、平面から見たときに、第1切込線11と第2切込線22が部分的に交差している場合を含む。
本実施形態では、第2切込線22は、前記第1切込線11を基準にして、第1切込線11から内側に離れて形成されている。特に、第1切込線11と第2切込線22は、部分的にも交わっていない(平面から見たときに両線が部分的に交差していない)ことが好ましい。
【0035】
具体的には、第1切込線11は、封止シート3がカバー部材4のフランジ部42に接着された状態においてカバー部材4の収納凹部41の端縁412aよりも外側に位置するように、第1シート1に形成されている。
第1切込線11の形状は、両端部を有する有端の非直線状である。例えば、有端の非直線状の第1切込線11は、両端部を有し、この両端部を結んだ仮想直線から封止シート3の一方側(本実施形態では、縦方向一方側)に膨らんだ平面視非直線状に形成されている。
【0036】
一方、第2切込線22は、封止シート3がカバー部材4のフランジ部42に接着された状態においてカバー部材4の収納凹部41の端縁412aに沿って又はその端縁412aよりも少し内側に位置するように、第2シート2に形成されている。
第2切込線22の形状は、両端部を有する有端の非直線状、又は、無端の非直線状の何れかである。なお、無端の非直線状の切込線とは、その内側に閉鎖領域を形成するような形状の切込線(すなわち、環状の切込線)である。
第2切込線22が両端部を有する有端の非直線状である場合、上記第1切込線11と同様に、第2切込線22は、両端部を有し、この両端部を結んだ仮想直線から封止シート3の一方側に膨らんだ平面視非直線状に形成されている。
【0037】
封止シート3がカバー部材4のフランジ部42に接着された状態において、第1切込線11がカバー部材4の収納凹部41の端縁412aよりも外側に位置し且つ第2切込線22がカバー部材4の収納凹部41の端縁412aに沿って又はその端縁412aよりも少し内側に位置しているので、第1切込線11と第2切込線22で挟まれた区画Aの全部又は一部が、フランジ部42の被接着面421に重なっている。つまり、封止シート3の第2シート2は、前記区画Aの全部又は一部に対応する部分を含んでフランジ部42の被接着面421に接着されている。
なお、第2切込線22がカバー部材4の収納凹部41の端縁412aに沿って形成されている場合には、前記区画Aの全部がフランジ部42の被接着面421に重なるようになる。
【0038】
より詳細には、第1切込線11は、一方の端部及び他方の端部と、この両端部から縦方向一方側にそれぞれ延びる一対の第1縦切込線111と、一対の第1縦切込線111に連設され且つ横方向に延びる1つの第1横切込線112と、を有する。一対の第1縦切込線111及び第1横切込線112は、フランジ部42の被接着面421に重なるような位置に形成されている。
また、第1横切込線112の横方向中央部は、縦方向一方側に略円弧状に膨らんでいる。この第1横切込線112の略円弧状で囲われた領域は、開閉部を捲り出すときの摘み部として機能する。なお、摘みやすくするために、第1横切込線112の略円弧状で囲われた領域における第1シート1と第2シート2の層間には、図3に示すように、粘着剤層5を有しない(又はこの領域にも粘着剤層5を設けた場合には、その粘着を抑える隠蔽層を積層する)ことが好ましい。
【0039】
第2切込線22は、一方の端部及び他方の端部と、この両端部から縦方向一方側にそれぞれ延びる一対の第2縦切込線221と、一対の第2縦切込線221に連設され且つ横方向に延びる1つの第2横切込線222と、を有する。
【0040】
第2縦切込線221及び第2横切込線222は、それぞれ第1縦切込線111及び第1横切込線112よりも内側に位置ずれして形成されている。具体的には、一対の第2縦切込線221及び第2横切込線222は、カバー部材4の収納凹部41の端縁412aに沿って形成されており、従って、第2縦切込線221及び第2横切込線222は、フランジ部42の被接着面421に重なっていない。
第1切込線11と第2切込線22が位置ずれして形成されていることにより、第1切込線11と第2切込線22の間に、第1シート1の一部と第2シート2の一部が離反可能に接する区画Aが生じる。
【0041】
第2縦切込線221と第1縦切込線111との間隔及び第2横切込線222と第1横切込線112との間隔(つまり、第1切込線11と第2切込線22で挟まれた区画Aの間隔)は、特に限定されず、適宜設定できる。もっとも、前記間隔が余りに狭いと、それに応じて粘着剤層5の幅が狭くなるので、前記区画Aにおける第1シート1と第2シート2の層間を貼着できないおそれがある。かかる点を考慮すると、前記間隔は、5mm以上が好ましく、さらに、7mm以上がより好ましい。また、前記間隔が広くても本発明の効果は変わらないが、前記間隔が余りに広いと相対的に第2切込線22で囲われる部分(取出口)が狭くなる。かかる点を考慮すると、前記間隔は、20mm以下が好ましい。
【0042】
本実施形態では、第1縦切込線111と第2縦切込線221との間隔は縦方向に亘って略一定であり、第1横切込線112と第2横切込線222との間隔は横方向に亘って略一定である(ただし、第1横切込線112の横方向中央部と第2横切込線222との間隔を除く)。つまり、第2切込線22の平面視形状は、第1切込線11の平面視形状よりも小さく且つその形状の相似形である。
もっとも、第1縦切込線111と第2縦切込線221との間隔及び第1横切込線112と第2横切込線222との間隔が略一定でなく、少なくとも何れか一方の間隔が次第に広がっていたり、或いは、部分的に異なっていてもよい。
【0043】
ここで、切込線(第1切込線11及び第2切込線22)とは、シートの厚み方向に貫通した切り目の連続線又はシートの厚み方向に略V字状に刻設した切込み目の連続線を意味する。なお、前記略V字状に刻設した切込み目の連続線は、シートに非貫通な切込線であり、一般には、ハーフカット線とも呼ばれる。
切込線は、図1及び図3に示すように、前記切り目又は切込み目が全体的に連続しているものでもよいし、或いは、前記切り目又は切込み目の連続線が断続的に繋がっているもの(図6に示すように、長い連続線Xが、短い間隔Yを開けて繋がっているもの)でもよい。このように、切り目の連続線が断続的に繋がって構成される切込線であっても、この切込線に従ってシートを切り取ることができる。
【0044】
なお、前記切り目の連続線が断続的に繋がっているものは、比較的長い貫通孔部を有するミシン目とも言える。
第1切込線11及び第2切込線22に従って第1シート1及び第2シートから開閉部を容易に切り離すことができるので、第1切込線11及び第2切込線22は、シートの厚み方向に貫通した切り目の連続線、又は、シートの厚み方向に貫通した切り目の連続線が断続的に繋がっているものが好ましい。
【0045】
また、本実施形態では、第1切込線11と第2切込線22の間の中間領域(第1切込線11と第2切込線22の間の区画Aのうち、第1切込線11の内側近傍領域11i及び第2切込線22の外側近傍領域22oを除いた領域)における第1シート1と第2シート2の層間に、粘着剤層5が設けられている。
つまり、粘着剤層5は、第1切込線11上及び第2切込線22上にそれぞれ重ならないように第1切込線11と第2切込線22で挟まれた区画Aの範囲内に設けられている。
【0046】
この粘着剤層5は、第1切込線11及び第2切込線22に沿って設けられている。
粘着剤層5は、図示したように、第2切込線22に沿って、連続した帯状の範囲に設けられていることが好ましい。粘着剤層5が連続した帯状に設けられていることにより、区画Aにおける第1シート1と第2シート2の層間が前記粘着剤層5を介して隙間なく密着されるので、カバー部材4の収納凹部41が封止シート3で密封されたブリスター容器10を提供できる。
もっとも、粘着剤層5は、第1切込線11及び第2切込線22に沿って、断続的に設けられていてもよい。粘着剤層5が断続的に設けられるとは、ある程度の面積がある複数の粘着剤層5が、少しの間隔を開けて第1切込線11及び第2切込線22に沿って並設されていることである。
【0047】
粘着剤層5は、前記中間領域における第1シート1の第2面又は第2シート2の第1面の何れか一方面に、公知の粘着剤を塗布することにより設けることができ、好ましくは、第1シート1の第2面に粘着剤を塗布することにより第1シート1に粘着剤層5が設けられる。第1シート1に粘着剤層5を設けることにより、開閉部を開閉している間に物品が粘着剤層5に付着し難いという利点がある。
【0048】
前記区画Aにおける第1シート1の第2面に粘着剤が塗布された場合には、この粘着剤層5の粘着面が前記区画Aにおける第2シート2の第1面に付着し、この両面間で層間剥離し得る。なお、粘着剤層5の粘着力を調整するために、粘着剤が塗布されていない相手側に(例えば、第1シート1の第2面に粘着剤が塗布された場合には、この粘着剤層5の粘着面が対面する第2シート2の第1面に)、離型剤を薄く塗布してもよい。
【0049】
粘着剤層5の幅は、特に限定されないが、余りに狭いと開閉部を確実に再封できないおそれがあるので、3m以上が好ましく、5mm以上がより好ましい。
なお、粘着剤層5の厚みは、通常、5μm〜25μm程度である。
【0050】
前記粘着剤は、特に限定されず、感圧型粘着剤、感熱型粘着剤、紫外線硬化型粘着剤などが挙げられ、一般的には、感圧型粘着剤が用いられる。
粘着剤とは、2つの被着体の間に介在して両者を貼着でき、且つ手の力で被着体を引き剥がすことができる程度の粘着力を有し、剥離後再貼付可能なもの(剥離後も粘着性を有するもの)をいう。
詳しくは、粘着剤層5の粘着力は、特に限定されないが、粘着剤層5の接着強度が、1〜5N/15mmが好ましい。
【0051】
前記粘着剤層5の接着強度は、JIS Z 0237の180度剥離に準じた方法で測定された値をいう。具体的には、前記接着強度は、粘着剤を介して第1シート1と第2シート2が接着されたものを100mm×15mmに切り出し、温度23±2℃、湿度50±5%RH、300mm/分の速度で剥離したときの最大強度をいう。
【0052】
本実施形態においては、上述のように、第1切込線11の内側近傍領域11i、第1切込線11の外側近傍領域11o、第2切込線22の外側近傍領域22o、及び、第2切込線22の内側近傍領域22iのそれぞれの領域における第1シート1と第2シート2の層間には、粘着剤層5及び接着剤層6が設けられておらず、これらの近傍領域は、非貼着領域とされている。
この非貼着領域における第1シート1と第2シート2の層間は、貼り付いておらず、この層間には僅かな隙間を有する。
【0053】
第1切込線11の内側近傍領域11iの幅、第1切込線11の外側近傍領域11oの幅、第2切込線22の内側近傍領域22iの幅、及び第2切込線22の外側近傍領域22oの幅は、それぞれ特に限定されない。もっとも、これらの幅が余りに狭すぎると、本発明の効果を十分に発揮できないおそれがあり、一方、これらの幅が余りに広すぎると、相対的に粘着剤層5の幅が狭くなる上、開閉部を開閉しているうちにそれら近傍領域における第1シート1と第2シート2の層間に異物が噛み込むおそれがある。かかる観点から、これらの幅は、それぞれ1mm〜5mm程度が好ましく、1mm〜3mm程度がより好ましい。
なお、符号9は、ブリスター容器10の吊下げ用孔である。
【0054】
上記ブリスター容器10は、例えば、次のようにして作製される。
長尺の第1シート1の第2面(又は長尺の第2シート2の第1面)の所定範囲(接着剤層6及び粘着剤層5の形成予定範囲)に、接着剤及び粘着剤を塗布した後、これに長尺の第2シート2の第1面(又は長尺の第1シート1の第2面)を貼り合わせて積層シートを形成する。次に、接着剤層6及び粘着剤層5の間に対応するように、第1シート1の第1面側からカッター刃を用いて第1切込線11を刻設し且つ第2シート2の第2面側からカッター刃を用いて第2切込線22を刻設する。得られた長尺の積層シート(封止シート3が連続的に繋がった連続体)は、必要に応じて、ロールに巻き取られる。
【0055】
なお、上述のように、第1切込線11の内側近傍領域11i、第1切込線11の外側近傍領域11o、第2切込線22の外側近傍領域22o、及び、第2切込線22の内側近傍領域22iには、粘着剤層5が設けられていないので、粘着剤が滲み出にくい。このため、ロールに巻き取った積層シートはブロッキングを起こすこともない。
【0056】
次に、長尺の積層シートから1枚の封止シート3を切り出す。この封止シート3の第2シート2側を、収納凹部41に物品が入れられたカバー部材4のフランジ部42の被接着面421側に向け、且つ、第2シート2の第2切込線22を収納凹部41の端縁412aに略一致させて、封止シート3をフランジ部42に重ね合わせる。最後に、封止シート3の第2シート2の第2面とフランジ部42の被接着面421とを熱融着(熱シール)することにより、本発明のブリスター容器10が得られる。なお、前記熱融着に代えて、前記第2シート2の第2面とフランジ部42の被接着面421を公知の接着剤を用いて接着してもよい。
【0057】
得られた物品入りブリスター容器10は、カバー部材4の収納凹部41の開口が封止シート3によって封止されている。また、フランジ部42の被接着面421に接着された封止シート3の第2シート2の第2面は、第1切込線11と第2切込線22で挟まれた区画Aに対応する部分が含まれている。
ブリスター容器10に入れられる物品は特に限定されず、例えば、化粧品類、固形医薬品類、歯間ブラシなどの医薬部外品、お菓子などの食品類、玩具類、文房具類、乾電池などが挙げられる。
【0058】
上記ブリスター容器10においては、第1シート1及び第2シート2に第1切込線11及び第2切込線22が形成され且つ第1切込線11と第2切込線22で挟まれた区画Aにおける第1シート1と第2シート2の層間には、接着剤層6が設けられていないが、それに代わって粘着剤層5が設けられているので、前記区画Aにおける第1シート1と第2シート2の層間は互いに貼着している。
特に、粘着剤層5が、図示したように連続した帯状に設けられていると、ブリスター容器10の密封性が保持される。かかるブリスター容器10は、化粧品類、固形医薬品類、医薬部外品及び食品類などの包装にも適している。
【0059】
さらに、上記ブリスター容器10においては、第1切込線11の内側近傍領域11i、第1切込線11の外側近傍領域11o、第2切込線22の外側近傍領域22o、及び、第2切込線22の内側近傍領域22iの各領域に、粘着剤層5が設けられていないので、粘着剤層5の粘着剤が、第1切込線11及び第2切込線22を通じて第1シート1の第1面側及び第2シート2の第2面側に滲み出ることを効果的に防止できる。詳細には、粘着剤層が切込線上に被さっていると、粘着剤が切込線を通じて滲み出るが、本発明においては、粘着剤層5が第1切込線11及び第2切込線22の上に存在しないので、粘着剤の滲み出しを効果的に防止できる。
【0060】
この粘着剤の滲み出し防止効果は、第1切込線11及び第2切込線22として、シートに非貫通な切込線を用いた場合にも奏する。もっとも、非貫通な切込線を用いた場合、その非貫通な第1切込線11及び第2切込線22を利用して封止シート3を切断した後には、粘着剤が滲み出す可能性がある。この点、上記のように、第1切込線11の内側近傍領域11iなどの各近傍領域に粘着剤層5を設けないことによって、開閉部の開封前及び再封後においても、前記粘着剤の滲み出を効果的に防止できる。
【0061】
かかるブリスター容器10は、第2切込線22を通じて収納凹部41内に粘着剤が滲入し難いので、特に、固形医薬品類、医薬部外品及び食品の包装に適している。
また、粘着剤が第1切込線11を通じて第1シート1の第1面側にも出ないので、粉塵などが付着することも防止できる。
【0062】
上記ブリスター容器10から物品を取り出す際には、摘み部の縁を捲り、摘み部を摘んで第1シート1を捲り上げる。なお、摘み部の内側(第1横切込線112の略円弧状で囲われた領域の内側近傍領域)は、非貼着領域とされているので、摘み部の縁に爪を入れることによってこれを容易に捲ることができる。
第1シート1を捲り上げると、第1切込線11に沿って第1シート1の一部分が封止シート3から離反していくと共に、粘着剤層5の粘着面が区画A内における第2シート2の第1面から剥がれていく。さらに、第1シート1に引っ張られて第2シート2の一部分が第2切込線22に従って袋本体4から離反する(図7及び図8参照)。このようにして第1シート1の一部分及び第2シート2の一部分(開閉部8)が封止シート3から捲れ、第2切込線22で囲われる範囲内に、カバー部材4の収納凹部41に通じる取出口7が生じる。よって、この取出口7から物品を取り出したり、或いは、これを戻すこともできる。
【0063】
また、捲り上げた開閉部8を元の状態に戻すと、第1切込線11と第2切込線22で挟まれた区画Aにおける第1シート1と第2シート2の層間が粘着剤層5を介して再度貼着するため、取出口7を再封できる。特に、粘着剤層5が連続した帯状の範囲に設けられている場合には、前記開閉部8の再貼着により、取出口7を密封状に再封できる。
このように本発明のブリスター容器10によれば、物品を取出口7から取り出し且つこの取出口7を開閉部8にて再封でき、これを繰り返すことができる。
【0064】
また、前記第1切込線11と第2切込線22で挟まれた区画Aの全部又は一部がフランジ部42の被接着面421に重なっているので、前記区画Aに対応する第2シート2の背後に接着したフランジ部42によって、その第2シート2は補強されている。このため、上記捲り上げた開閉部を元に戻すべく、区画Aに対応する第1シート1を第2シート2の第1面に押さえ付けたときに第2シート2が歪み難く、区画Aにおける第1シート1と第2シート2の層間を粘着剤層5を介して簡単に再貼着できる。
【0065】
なお、本発明のブリスター容器は、上記実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で、適宜変更することができる。以下、本発明の他の実施形態を説明する。ただし、以下の他の実施形態の説明においては、上記第1実施形態と異なる事項について主として説明し、上記第1実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し且つ用語及び符号を援用する場合がある。また、以下では、様々な他の実施形態を説明するが、それらの実施形態の各構成を、本発明の意図する範囲で適宜組み合わすことも可能である。
【0066】
[第2実施形態]
本実施形態では、図9に示すように、第1切込線11の外側近傍領域11o及び第2切込線22の内側近傍領域22iを含んで接着剤層6が設けられている点が、上記第1実施形態と異なっている。
つまり、本実施形態では、第1切込線11と第2切込線22で挟まれた区画Aにおける第1シート1と第2シート2の層間には、接着剤層6が設けられておらず、第1切込線11と第2切込線22の間の中間領域(第1切込線11と第2切込線22の間の区画Aのうち、第1切込線11の内側近傍領域11i及び第2切込線22の外側近傍領域22oを除いた領域)に粘着剤層5が設けられている。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0067】
本実施形態のブリスター容器10においても、開閉部によって取出口を開閉でき、さらに、第1切込線11の内側近傍領域11i及び第2切込線22の外側近傍領域22oに、それぞれ粘着剤層5が設けられていないので、粘着剤層5の粘着剤が第1切込線11及び第2切込線22を通じて滲み出ることを効果的に防止できる。
【0068】
[第3実施形態]
本実施形態では、図10に示すように、第1切込線11の内側近傍領域11i及び第2切込線22の外側近傍領域22oを含んで粘着剤層5が設けられている点が、上記第1実施形態と異なっている。
つまり、本実施形態では、第1切込線11の外側近傍領域11o、第2切込線22の内側近傍領域22i、及び第1切込線11と第2切込線22で挟まれた区画Aのそれぞれにおける第1シート1と第2シート2の層間には、接着剤層6が設けられておらず、第1切込線11の外側近傍領域11o及び第2切込線22の内側近傍領域22iが非貼着領域とされ、且つ、第1切込線11と第2切込線22の間の区画A全体に亘って粘着剤層5が設けられている。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0069】
本実施形態のブリスター容器10においても、開閉部によって取出口を開閉できる。さらに、第1切込線11の外側近傍領域11o及び第2切込線22の内側近傍領域22iに、それぞれ粘着剤層5が設けられていないので、粘着剤層5から滲み出た粘着剤が、前記第1切込線11の外側近傍領域11o及び前記第2切込線22の内側近傍領域22iにおける第1シート1と第2シート2の層間に入り込む。このため、粘着剤が第1切込線11及び第2切込線22を通じて袋本体4の第2面側及び第1面側に滲み出にくい。換言すると、非貼着領域とされた第1切込線11の外側近傍領域11o及び前記第2切込線22の内側近傍領域22iにおける第1シート1と第2シート2の層間が、粘着剤の回避空間となり、粘着剤が切込線に入り込むことを防止している。
【0070】
[第4実施形態]
本実施形態は、上記第2実施形態及び第3実施形態を組み合わせたブリスター容器10である。
つまり、本実施形態では、第1切込線11の外側近傍領域11o及び第2切込線22の内側近傍領域22iにも接着剤層6が設けられ、且つ、第1切込線11と第2切込線22の間の区画Aにおける第1シート1と第2シート2の層間には接着剤層6が設けられておらず、この第1切込線11と第2切込線22で挟まれた区画A全体に亘って粘着剤層5が設けられている。
本実施形態のブリスター容器10においても、開閉部によって取出口を開閉できる。
【0071】
[第5実施形態]
第5実施形態においては、第1切込線11及び第2切込線22の様々な変形例を示す。
上記第1実施形態においては、第1切込線11及び第2切込線22の平面視形状は、それぞれ略コの字状であるが、例えば、図11(a)に示すように、第1切込線11及び第2切込線22が、それぞれ平面視略V字状に形成されていてもよい。
また、図11(b)に示すように、第1切込線11及び第2切込線22が、それぞれ平面視略半楕円状に形成されていてもよい。
その他、図示しないが、第1切込線11及び第2切込線22の平面視形状は、略半円状などに形成されていてもよい。
【0072】
なお、図11(b)に示すように、第1切込線11の両端部に、反対方向に延びる返し切込線113が連設されていてもよい。かかる返し切込線113が形成されていれば、第1切込線11に沿って開閉部を捲り上げたとき、第1切込線11の両端部を越えて封止シート3が切れることを防止できる。
【0073】
さらに、上記第1実施形態においては、第1切込線11及び第2切込線22の平面視形状は、大きさの異なる相似形であるが、第1切込線11及び第2切込線22は、異なる形状に形成されていてもよい。
例えば、図12に示すブリスター容器10は、第1切込線11が平面視略U字状に形成され、一方、第2切込線22がこの第1切込線11の内側に離れて略コの字状に形成されている。
【0074】
また、上記第1実施形態においては、第2切込線22が有端の非直線状であるが、第2切込線22が無端の非直線状に形成されていてもよい。かかる無端の非直線状の第2切込線22は、第1切込線11の内側に形成されることが好ましい。この場合、無端の非直線状の第2切込線22は、第1切込線11で囲われる範囲内に完全に含まれていてもよいし、或いは、第2切込線22の一部分が、第1切込線11の両端部から外側に出ていてもよい。
【0075】
なお、第5実施形態に示す第1切込線11及び第2切込線22の各変形例において、少なくとも第2切込線22は、カバー部材4の端縁412aで囲われる範囲内に収まるように形成されていることが好ましい。
【0076】
また、第5実施形態における各変形例のブリスター容器10は、図11及び図12に示すように、第1切込線11の内側近傍領域11i、第1切込線11の外側近傍領域11o、第2切込線22の外側近傍領域22o、及び、第2切込線22の内側近傍領域22iのそれぞれの領域が、非貼着領域とされているが、これら各変形例のブリスター容器10においても、上記第2乃至第4実施形態のように変更してもよい。
【0077】
[第6実施形態]
上記第1実施形態においては、第1シート1の第1切込線11はカバー部材4の収納凹部41の端縁412aよりも外側に位置するように形成されているが、第1切込線11がカバー部材4の収納凹部41の端縁412aに沿って又はその端縁412aよりも内側に位置するように第1シート1に形成されていてもよい。この場合、第2切込線22は、区画Aを確保するために、その第1切込線11よりもさらに内側に位置するように第2シート2に形成されていることが好ましい。
また、第1切込線11の第1縦切込線111がカバー部材4の収納凹部41の端縁412aに沿って又はその端縁412aよりも内側に位置し且つ第1横切込線112が収納凹部41の端縁412aよりも外側に位置しするように形成されていてもよい。この場合についても、第2切込線22は、区画Aを確保するために、その第1切込線11よりもさらに内側に位置するように形成されていることが好ましい。
【0078】
[第7実施形態]
上記第1実施形態においては、封止シート3は同形同大の第1シート1と第2シート2との積層シートからなるが、封止シート3として、第1シート1又は第2シート2の何れか一方が小さい積層シートを用いることもできる。
図13に示すブリスター容器10は、第2シート2の横幅が第1シート1よりも短く、第1シート1の第2面がカバー部材4のフランジ部42の被接着面421に接着されている。この第1シート1の第2面は、接着剤層61を介してフランジ部42の被接着面421に接着されている。この第1シート1とフランジ部42を接着させる接着剤層61は、第1シート1と第2シート2を接着させる接着剤層6が兼用されている。つまり、第1シート1と第2シート2を接着させる接着剤(接着剤層6を形成する接着剤)を、第2シート2の外縁を越えて第1シート1の第2面に塗工することにより、第1シート1とフランジ部42が接着剤層61を介して接着されている。この接着剤層61及び接着剤層6を形成する接着剤としては、感熱型接着剤を用いることが好ましい。
【0079】
なお、第1シート1としてシーラント層を有する積層体を用いた場合には、前記接着剤層61を用いずに、第1シート1の第2面を熱融着によってフランジ部42の被接着面421に接着することも可能である。
本実施形態において、第1切込線11及び第2切込線22は、収納凹部41の端縁412aよりも内側に位置していることが好ましい。
その他の構成は、上記第1乃至第6実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0080】
10…ブリスター容器、1…第1シート、11…第1切込線、2…第2シート、22…第2切込線、3…封止シート、4…カバー部材、41…収納凹部、42…フランジ部、421…フランジ部の被接着面、5…粘着剤層、6…接着剤層、7…取出口、8…開閉部、11i…第1シートの内側近傍領域、11o…第1シートの外側近傍領域、22i…第2シートの内側近傍領域、22o…第2シートの外側近傍領域、A…区画
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13