(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流路上に設けた主弁と、駆動部からの駆動力で該主弁の止水面と垂直方向に移動し、該主弁を開閉方向に動作させる操作軸とを有し、該主弁の開度に応じて流量調節する流量調節弁装置において、
前記主弁の設定した動作位置に対して一義的に対応した前記操作軸の基準位置を検出する、該操作軸と一体移動する状態に設けた被検出部及び該被検出部を検出する検出部を備えた基準位置検出機構が設けてあり、
更に前記主弁をパイロット操作するパイロット弁が設けてあって、該主弁が該パイロット弁との間に一定の追従間隙を保持しつつ該パイロット弁に追従して同方向に移動するものとなしてあり、前記操作軸が該パイロット弁を移動操作するものとなしてあることを特徴とする流量調節弁装置。
流路上に設けた主弁と、駆動部からの駆動力で主弁の止水面と垂直方向に移動し、該主弁を開閉方向に動作させる操作軸とを有し、主弁の開度に応じて流量調節する流量調節弁装置における該操作軸の基準位置の検出方法であって、
前記流量調節弁装置には、前記主弁をパイロット操作するパイロット弁が設けてあって、該主弁が該パイロット弁との間に一定の追従間隙を保持しつつ該パイロット弁に追従して同方向に移動するものとなしてあり、
前記操作軸の移動により前記主弁を、設定した動作位置としての、前記パイロット弁が開弁して該パイロット弁と主弁との間に前記追従間隙を生じた位置の、該主弁が開弁開始する位置、又は該パイロット弁が開弁開始する位置まで移動させて移動後に、該操作軸と一体に移動する状態に設けた被検出部とともに基準位置検出機構を構成する検出部を、該被検出部の位置まで移動させることを特徴とする基準位置検出機構による操作軸の基準位置の検出方法。
【背景技術】
【0002】
従来、流路上に設けた主弁と、駆動部からの駆動力で主弁の止水面と垂直方向に移動し、主弁を開閉方向に動作させる操作軸とを有し、主弁の開度に応じて流量調節する流量調節弁装置が公知である。
例えば下記特許文献1に、この種の流量調節弁装置が開示されている。
【0003】
図15はその具体例を示している。
図において、200は流路202上に設けられて、その開度に応じて液の流量を調節する主弁で、204はこの主弁200をパイロット操作するパイロット弁である。
206は、主弁200の止水面と垂直方向に移動する操作軸で、主弁200は、この操作軸206によってパイロット弁204が図中上下方向に進退移動せしめられることで、そのパイロット弁204との間に一定の追従間隙を保持しつつパイロット弁204に追従して同方向に動作し、流路202の開度を変化させる。
【0004】
208は、駆動部としてのモータ(ここではステッピングモータ)210の駆動力により回転軸212と一体に回転するカム部材で、上面にカム面214が設けられている。
216はカム面214に下向きに当接する従動部としての突起、218は突起216を備えた従動部材で、スプリング220にて下向きに付勢されている。
上記操作軸206は、図中下端部が従動部材218に圧入により固定され、従動部材218と一体に図中上下方向に直進運動する。
【0005】
この流量調節弁装置では、モータ210の駆動力によりカム部材208が回転すると操作軸206が上下方向に移動し、そして操作軸206が図中上向きに移動すると、パイロット弁204が上向きに押し上げられて主弁200が開弁動作する。
一方操作軸206が下向きに移動すると、パイロット弁204の図中下向きの閉弁方向の移動により、主弁200が閉弁方向に動作して流路202の液の流量を減少変化させ、最終的に閉弁状態となって液の流通を遮断する。
通常、その閉弁後の止水状態で操作軸206はパイロット弁204との間、詳しくはピン222との間に隙間を形成する。
【0006】
しかしながらこの流量調節弁装置の場合、主弁200と駆動部としてのモータ210との間にカム部材208,従動部材218,操作軸206,パイロット弁204等の多数の部品が、主弁200の止水面と垂直方向に組み付けられているため、それら多数の部品の製造誤差及び組付誤差が、主弁200の止水面と垂直方向に累積し、そしてその累積誤差により流量調節弁装置の各個体間で止水状態での操作軸206の位置が大きくばらついてしまう。即ち累積誤差の大小によって、操作軸206とピン222との間の隙間が大きくばらついてしまう。
【0007】
この場合、止水状態から使用感が得られる最小流量までの操作軸206の移動域(空走区間)が必要以上に長くなって、求める流量に達するまでに時間が長くかかってしまったり、また各流量調節弁装置ごとに空走区間の長さがまちまちとなって、所望の流量に達するまでの操作軸206の移動量がばらつき、所望流量に達するまでの時間に長短を生じて、そのことが使用感を悪化させてしまう問題を生じる。
【0008】
以上はパイロット弁204を有する流量調節弁装置の例であるが、主弁200を操作軸206によって直接動作させる形式の流量調節弁装置においても同様の問題が内在する。
更にモータからの駆動力ではなく、ハンドルからの駆動力によって操作軸206を移動させ、主弁200を開閉動作させる場合においても同質の問題が生じ得る。
【0009】
尚本発明に関連する先行技術として、下記特許文献2には、部品寸法のばらつきや組付けのばらつきによって開弁初期の流量が大きく左右されてしまう問題を解決課題として、主弁の主弁本体に円板状の主弁ガイドを形成し、流量調節ハンドルを最小流量位置に操作した状態で、その主弁ガイドを、上端部に主弁座を有する円筒部に嵌入状態として、主弁ガイドと円筒部との間に環状隙間を形成するようにし、開弁初期の流量を安定させるようにした点が開示されている。
しかしながらこの特許文献2に開示のものは、止水時の状態から使用感が得られる流量までの操作量を一定にするといったものではなく、この点で本発明とは異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は以上のような事情を背景とし、部品の製造誤差や組付誤差の累積を吸収し得て、止水状態から使用感が得られる最小流量までの操作軸の移動域(空走区間)の長さを一定とし得て、吐水性能の一定した、使用感の良好な流量調節弁装置を提供すること、またその流量調節弁装置における操作軸の基準位置の検出方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
而して請求項1は流量調節弁装置に関するもので、流路上に設けた主弁と、駆動部からの駆動力で該主弁の止水面と垂直方向に移動し、該主弁を開閉方向に動作させる操作軸とを有し、該主弁の開度に応じて流量調節する流量調節弁装置において、前記主弁
の設定し
た動作位置に対して一義的に対応した前記操作軸の基準位置を検出する、該操作軸と一体移動する状態に設けた被検出部及び該被検出部を検出する検出部を備えた基準位置検出機構
が設けてあり、更に前記主弁をパイロット操作するパイロット弁が設けてあって、該主弁が該パイロット弁との間に一定の追従間隙を保持しつつ該パイロット弁に追従して同方向に移動するものとなしてあり、前記操作軸が該パイロット弁を移動操作するものとなしてあることを特徴とする。
【0013】
請求項
2のものは、請求項
1において、前記駆動部からの駆動力で回転する回転体と、該回転体の回転運動を前記操作軸の直進運動に変換する運動変換機構と、を有し、前記回転体に前記被検出部が一体回転状態に設けてあることを特徴とする。
【0014】
請求項
3のものは、請求項1
,2の何れかにおいて、前記検出部が位置調節可能となしてあるとともに、該検出部の位置を移動させる移動手段が設けてあることを特徴とする。
【0015】
請求項
4のものは、請求項1〜
3の何れかにおいて、前記検出部が投光部と受光部とを有する光センサとなしてあり、前記被検出部が該投光部と受光部との間の光路を遮断するリブ状の光遮蔽部にて形成されるものであることを特徴とする。
【0016】
請求項
5のものは、請求項1〜
4の何れかにおいて、前記駆動部がモータであることを特徴とする。
【0017】
請求項
6は基準位置検出機構による操作軸の検出方法に関するもので、この方法は、流路上に設けた主弁と、駆動部からの駆動力で主弁の止水面と垂直方向に移動し、該主弁を開閉方向に動作させる操作軸とを有し、主弁の開度に応じて流量調節する流量調節弁装置における該操作軸の基準位置の検出方法であって、
前記流量調節弁装置には、前記主弁をパイロット操作するパイロット弁が設けてあって、該主弁が該パイロット弁との間に一定の追従間隙を保持しつつ該パイロット弁に追従して同方向に移動するものとなしてあり、前記操作軸の移動により前記主弁を
、設定した動作位置としての、前記パイロット弁が開弁して該パイロット弁と主弁との間に前記追従間隙を生じた位置の、該主弁が開弁開始する位置、又は該パイロット弁が開弁開始する位置まで移動させて移動後に、該操作軸と一体に移動する状態に設けた被検出部とともに基準位置検出機構を構成する検出部を、該被検出部の位置まで移動させることを特徴とする。
【0018】
以上のように本発明は、主弁の止水面と垂直方向に移動して主弁を開閉操作させる操作軸を有する流量調節弁装置において、主弁の動作位置を設定し、設定した動作位置に対して一義的に対応した操作軸の基準位置を検出する、操作軸と一体移動する被検出部及びその被検出部を検出する検出部を備えた基準位置検出機構を設けたものである。
【0019】
本発明においては、主弁の設定した動作位置に対して一義的に対応した操作軸の位置、具体的には主弁の設定動作位置を実現する、主弁の設定動作位置に対応した操作軸の基準位置を基準位置検出機構にて検出でき、従ってその基準位置に基づいて操作軸の位置を制御することで、操作軸の移動に正確に追従して主弁を開閉方向に動作させることができる。
【0020】
従って本発明によれば、駆動部と主弁との間に多数の部品が介在していたとしても、それら各部品の製造誤差や組付誤差を吸収し得て、それら誤差に影響されることなく操作軸の位置に正確に対応して主弁の動作位置を規定することができる。
【0021】
これにより上記の累積誤差の大小に拘らず、各流量調節弁装置ごとに操作軸の止水待機状態の位置、詳しくは止水待機状態における操作軸の主弁に対する相対関係位置を一定の同じ位置に設定でき、従って止水待機位置から使用感の得られる流量までの操作軸の空走区間の長さもまた、各流量調節弁装置ごとに一定に揃えることが可能となる。
このように空走区間の長さを各流量調節弁装置ごとに同じ且つ一定とすることができれば、各流量調節弁装置ごとに吐水性能を一定に揃えることができ、また操作軸における空走区間を速く動かすことが可能となって、これにより所望の流量に達するまでの時間を短くすること、即ち素早く吐水することが可能となって、使用感を高めることができる。
【0022】
本発明は
、主弁がパイロット操作式のもの、詳しくは主弁がパイロット弁との間に一定の追従間隙を保持しつつ、パイロット弁に追従して同方向に移動する形式のものに適用
する。
【0023】
このように主弁がパイロット操作式のものである場合、駆動部と主弁との間により多くの部品が介在することとなり、主弁に到るまでの各部品の製造誤差や組付誤差がより多く累積する。
しかるに本発明によれば、そのような累積誤差の増大にも拘らず、操作軸の移動に正確に追従して主弁を開閉動作させることが可能となる。
【0024】
本発明では駆動部からの駆動力で回転する回転体と、回転体の回転運動を操作軸の直進運動に変換する運動変換機構とを設けておき、その回転体に上記被検出部を一体回転状態に設けておくことができる(請求項
2)。
【0025】
被検出部を操作軸に直接に且つ操作軸と一体に直進移動する状態に設けておいて、その被検出部を検出部にて検出するようになすことも可能であるが、この場合、被検出部の移動量と操作軸の移動量とが同じとなって、被検出部の移動量が少なくなり、検出部による被検出部の検出の精度、つまり操作軸の基準位置の検出の精度が低下する。
【0026】
しかるに駆動部からの駆動力で回転体を回転させ、その回転体の回転運動を運動変換機構により操作軸の直進運動に変換するようにして、その回転体に被検出部を設けておいた場合、操作軸の移動量に対する被検出部の移動量を大きく取ることが可能となり、操作軸の基準位置の検出の精度を高精度となすことができる。
【0027】
また前者の場合には、検出部を操作軸に近接して配置せざるを得なくなって、これにより流路の確保が難しくなったり、或いは操作軸周りの構造が大形状化してしまうが、請求項
2によれば、基準位置検出機構を操作軸とは別途に離れた個所に設けることが可能となって、基準位置検出機構により流路の確保が難しくなったり、或いは操作軸周りの構造が大形状化してしまう問題を解決することができる。
【0028】
ここで運動変換機構は種々形態で構成することが可能であるが、かかる運動変換機構をカム機構となしておくことが望ましく、特にねじ送り機構となしておくことがより望ましい。
ねじ送り機構の場合、操作軸の一定の移動量に対し、被検出部の回転による移動範囲,移動距離をより一層大きく取ることが可能となり、これにより操作軸の基準位置検出精度をより一層高めることができ、従って操作軸の位置の制御をよりきめ細かく高精度で行うことが可能となる。
【0029】
本発明では上記検出部を位置調節可能となしておくとともに、検出部の位置を移動させる移動手段を設けておくことができる(請求項
3)。
この請求項
3によれば、操作軸を移動させて主弁を目的とする設定動作位置に位置させた状態で検出部を移動させることにより、検出部が被検出部を検出する位置まで、位置調節することが可能となる。
このようにすることで、操作軸の基準位置を実際の主弁の動作に合せて(対応付けて)定めることができるとともに、基準位置検出機構による操作軸の基準位置を正確に検出することが可能となる。
【0030】
本発明では上記検出部を、互いに対向配置した投光部と受光部とを有する光センサとなし、上記被検出部を、それら投光部と受光部との間の光路を遮断するリブ状の光遮蔽部にて形成されるものとなしておくことができる(請求項
4)。
このようにすることで、基準位置検出部を簡単に構成することができる。
【0031】
本発明ではまた、上記の駆動部をモータとなしておくことができる(請求項
5)。
使用者がハンドル操作によって手動で主弁を移動させ吐水等を行わせる場合には、吐水の状況を使用者が見ながらハンドル操作を微妙に手加減して目的とする流量で吐水を行わせるといったことが可能であるが、モータ駆動にて自動的に操作軸を移動させて主弁を開閉動作させる場合にはそうしたことは難しく、この場合、上記の空走区間の距離が長かったりまちまちであったりすると使用者は苛立ちを感じてしまう。
しかるに本発明では空走区間を一定且つ最短に設定でき、従ってまたその空走区間を速やかに操作軸を移動させることができるため、このようなモータ駆動の流量調節弁装置に本発明を適用して大なる効果を奏する。
【0032】
次に請求項
6は基準位置検出機構による操作軸の基準位置の検出方法に関するもので、ここでは操作軸の移動により主弁を設定動作位置まで移動させた後、検出部を被検出部の位置まで位置移動させる。
この請求項
6の検出方法によれば、操作軸の基準位置を主弁の設定動作位置に対して正確且つ厳密に対応させることができるとともに、その操作軸の基準位置の検出部を精度高く行うことが可能となる。
【0033】
この場合において、流量調節弁装置をパイロット式の主弁を有するものとなし、そして主弁の設定動作位置を、パイロット弁が開弁してパイロット弁と主弁との間に上記の追従間隙を生じた位置の、主弁が閉弁開始する位置、又はパイロット弁が開弁開始する位置となしてお
く。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は水栓で、カウンタ12上に設けられた操作部14と、カウンタ12から起立する吐水管15とを有している。
吐水管15はグースネック形状をなしており、先端に吐水口16を備えている。
また操作部14には、吐水口16からの吐水と止水とを行うための吐止水操作部,吐水の流量を調節する流調操作部及び吐水の温度を調節する温調操作部等が設けられている。
【0036】
カウンタ12の下方には、給水路18と給湯路20とのそれぞれに本実施形態の流量調節弁装置(以下単に流調弁装置とする)22C,22Hが設けられている。
給水路18上の水側の流調弁装置22C及び給湯路20上の湯側の流調弁装置22Hは、それぞれ水の流量,湯の流量を調節し、そしてそれらによって水と湯との混合比を変化させて、吐水口16からの混合水の温度を変化させる。
また給水路18上の水側の流調弁装置22Cからの水の流量、及び給湯路20上の湯側の流調弁装置22Hからの湯の流量を合せた総流量によって、吐水口16からの吐水の流量を決定する。
【0037】
これら水側の流調弁装置22C,湯側の流調弁装置22Hは、それぞれ操作部14における流調操作部,温調操作部の操作に基づいて水,湯の流出流量を調節する。
これら流量調節弁装置22C,22Hから流出した水と湯とは合流部24で合流して混合水となり、混合水路26を通じて吐水管15へと送られ、吐水口16から外部に吐水される。
尚28は止水栓であり、また30は水栓10に備えられた制御部である。
【0038】
この制御部30には、流量調節弁装置22C,22Hのそれぞれの駆動部としてのモータ(ここではステッピングモータ)32が電気的に接続されている。流量調節弁装置22C,22Hの各モータ32は制御部30にて動作制御される。
この制御部30にはまた、操作部14及び後述のセンサ92が電気的に接続され、それらから制御部30に信号入力される。
【0039】
上記水側の流調弁装置22C,湯側の流調弁装置22Hは同じ構成のもので、その構成が
図2に具体的に示してある。ここで水側の流調弁装置22C,湯側の流調弁装置22Hは同一の構成のものであるので、
図2では単に流調弁装置22として示してある。
【0040】
図2において、34は流調弁装置22のボデーで、内部に流路36が形成されており、その流路36上に主弁38が設けられている。
36Aは流路36における主弁38の上流側(1次側)の流入流路を、36Bは下流側(2次側)の流出流路を表している。
主弁38はダイヤフラム式の弁で、
図3にも示しているように硬質の主弁本体40と、これに保持された、シール部材を兼ねたゴム製のダイヤフラム膜42とから成っている。
主弁38は主弁座44に向けて進退移動して流路36を開閉し、また開度を変化させる。
詳しくは、主弁38は主弁座44への着座によって流路36を遮断し、また主弁座44から図中上向きに離間することによって流路36を開放する。
また主弁座44からの離間量に応じて流路36の開度を大小変化させ、流路36を流れる水の流量を調節する。
図3において、45は主弁が主弁座44に着座状態となって止水を行うときの止水面を表している。
尚、主弁座44はボデー34に形成された円筒部46の上端部にて構成されている。
【0041】
この主弁38の図中上側、即ち主弁38に対し流出流路36Bと反対側に背圧室48が設けられている。
背圧室48は、内部の圧力を主弁38に対し図中下向きの閉弁方向の押圧力として作用させる。
図3に示しているように主弁38には、これを貫通して1次側の流入流路36Aと背圧室48とを連通させる導入小孔50が設けられている。
導入小孔50は、流入流路36Aからの水を背圧室48に導いて背圧室48の圧力を増大させる。
【0042】
主弁38にはまた、これを貫通して背圧室48と2次側の流出流路36Bとを連通させる、水抜路としてのパイロット流路52が設けられている。
このパイロット流路52は、背圧室48内の水を流出流路36Bに抜いて背圧室48の圧力を減少させる。
【0043】
54はパイロット弁ケースで、ボデー34に形成されたガイド孔56に摺動可能に嵌合され、ガイド孔56によって図中上下方向、即ち止水面45と垂直方向に姿勢維持され且つ移動ガイドされる。
パイロット弁ケース54は中心部にガイド孔58を有しており、そこにプランジャ式のパイロット弁60が摺動可能に嵌合されている。
パイロット弁60は、このガイド孔58によって図中上下方向の移動時に移動ガイドされる。
尚、パイロット弁ケース54には
図3(B)に示しているように切欠部62が設けられており、この切欠部62によって、背圧室48と上記のガイド孔56及び58とが互いに連通状態とされている。
ここでパイロット弁60は、パイロット弁ケース54内部に組み込まれたスプリング72によって図中下方、即ち閉弁方向に付勢されている。
【0044】
パイロット弁ケース54は、
図3(B)中下端部にL字状に折れ曲がった形態の係合突部64を有しており、この係合突部64を、主弁38の係合孔66に係合させることによって、主弁38と一体移動する状態に主弁38に固定されている。
主弁38は、パイロット弁ケース54とガイド孔56とによるガイド作用によって、止水面45と垂直方向に動作案内される。
【0045】
パイロット弁60は、
図3中下部に下向きに突出した細径のピン70を有しており、このピン70が、主弁38の中心部の貫通孔を下向きに挿通している。
上記のパイロット流路52は、このピン70と主弁38の貫通孔の内周面との間に狭小幅で環状に形成されている。
パイロット弁60の図中下部には、ゴム等の弾性材から成るシール部材68が設けられている。
パイロット弁60は図中上下方向、即ち主弁38に設けられたパイロット弁座74に対し図中上下方向の軸方向、即ち上記の止水面45と垂直方向に進退移動して、パイロット流路52の開度を変化させる。
【0046】
詳しくは、パイロット弁60がパイロット弁座74に着座することでパイロット流路52が閉鎖され、またパイロット弁60がパイロット弁座74から図中上向きに離間することで、パイロット流路52が開放される。
更にパイロット弁60のパイロット弁座74からの離間量に応じて、パイロット流路52の開度が変化せしめられる。
【0047】
但しこの実施形態では、実際にはパイロット弁60が図中上下方向に進退移動すると、主弁38がこのパイロット弁60に追従して図中上下方向に進退移動する。
その際主弁38、具体的にはこれに設けられたパイロット弁座74とパイロット弁60との間に一定の微小な追従間隙を保持した状態で、主弁38がパイロット弁60の進退移動に追従して同方向に進退移動する。
【0048】
詳しくはパイロット弁60が図中上方向に後退移動すると、パイロット流路52が開いて背圧室48内の水がパイロット流路52を通じて流出流路36Bに抜け、背圧室48の圧力が低下する。
すると背圧室48の圧力と流入流路36Aの圧力とをバランスさせるようにして、主弁38がパイロット弁60の後退移動に追従して上向きに後退移動し、流路36を開いて流入流路36Aから流出流路36Bへと水を流通させる。
【0049】
主弁38は、パイロット弁座74とパイロット弁60との間に上記の微小な一定の追従間隙を維持しつつ、パイロット弁60の更なる後退移動に追従して同方向に移動し、流路36の開度を更に拡くして、流路36における水の流量を増大変化させる。
【0050】
また逆にパイロット弁60が図中下向きに前進移動すると、背圧室48の圧力と流入流路36Aの圧力とをバランスさせるようにして、主弁38がパイロット弁60の前進移動に追従して図中下向きに移動し、流路36の開度を減少変化させて、流路36における水の流量を減少させる。
そして最終的に主弁38及びパイロット弁60が主弁座44,パイロット弁座74に着座して、それぞれが閉弁状態となる。
【0051】
但し主弁38が閉弁し、またパイロット弁60が閉弁した状態からパイロット弁60が開弁したとき、パイロット弁60と主弁38との間、詳しくはシール部材68とパイロット弁座74との間の間隙が上記の一定の追従間隙に達するまでの間は、パイロット弁60が開弁しても主弁38は開弁せず、このとき背圧室48の水がパイロット流路52を通じて流出流路36B側にブリード流として流れる。
そしてパイロット弁60と主弁38との間の間隙が上記の追従間隙に達し、更にパイロット弁60が図中上向きに後退移動するに到って、そこで初めて主弁38がパイロット弁60に追従して図中上向きに開弁動作する。
【0052】
図2において、76はパイロット弁60、詳しくは上記のピン70に対して主弁38の止水面45と垂直方向である上下方向に対向して、ピン70と同軸状に設けられた操作軸で、図中上部が流出流路36B内に突き出している。
ここで操作軸76は、軸方向の一端から他端に到るまで同一外径で一様な断面円形で延びる丸棒状をなしている。
この操作軸76は、図中上向きの移動によってパイロット弁60を図中上方に後退移動させ、そしてパイロット弁60を介して主弁38を同方向に後退移動せしめる。
【0053】
尚、操作軸76とボデー34との間はシール部材としてのOリング78によって水密にシールされている。
またOリング78は、Oリング押え80によって図中下側から上向きに押えられ、支持されている。
このOリング押え80は中心部に挿通孔を有しており、操作軸76はこの挿通孔を挿通して下端側がボデー34の凹所82内に突き出している。
【0054】
図2に示す流調弁装置22において、ボデー34の外面(図中下面)には、駆動部としての上記のモータ32が取り付けられている。
またボデー34の内部の収容室84には、雌ねじ部材(回転体)86,雄ねじ部材88,基準位置検出機構90における検出部としてのセンサ92を保持する保持部材94,及びこれを回転移動させるための小径のギヤ96等が収容されている。
【0055】
雌ねじ部材86は有底円筒状をなしていて、その底部にモータ32からの出力軸である回転軸98が結合され、雌ねじ部材86がモータ32によって回転軸98と一体に回転するようになっている。
雌ねじ部材86の円筒状の筒壁100には、内周面に雌ねじ部102が設けられている。
一方雄ねじ部材88には円形の外周面に雄ねじ部104が設けられ、この雄ねじ部104が雌ねじ部102に螺合されている。
この雄ねじ部材88は中心部に挿込孔106を有しており、そこに操作軸76の図中下端部が圧入状態に差し込まれ、雄ねじ部材88に結合されている。
【0056】
この実施形態では、モータ32の駆動力によって回転軸98が回転すると、これと一体に雌ねじ部材86が回転運動し、そしてその回転運動が、雌ねじ部102と雄ねじ部104との螺合に基づいて雄ねじ部材88及び操作軸76の直進運動に変換されて、それらが図中上下方向、つまり上記の止水面45と垂直方向にねじ送りで進退移動せしめられる。
即ちこの実施形態では、雌ねじ部102と雄ねじ部104とが、回転体としての雌ねじ部材86の回転運動を操作軸76の直進運動に変換する運動変換機構としてのねじ機構を構成している。
【0057】
尚、
図5にも示しているように雄ねじ部材88は図中上部にフランジ部を有していて、そのフランジ部に一対の切欠部112(
図5参照)が、周方向に180°隔たった2個所に設けられており、それら切欠部112が、
図2に示すようにボデー34の係合突部114に係合していて、それらの係合作用によって雄ねじ部材88が回転阻止されている。
【0058】
上記雄ねじ部材88には、挿込孔106周りに円環状の溝108が設けられていて、そこにスプリング110の図中下部が挿入されている。
スプリング110は、この雄ねじ部材88と上記のOリング押え80との間に介在して、軸方向の各端を雄ねじ部材88の溝108の底面と、Oリング押え80の下面とに当接させ、それらを互いに逆方向に弾発している。
【0059】
上記保持部材94は、
図5に示しているように全体として円環状をなしていて、その内周面の周方向所定個所に上記の検出部としてのセンサ92を保持している。
このセンサ92は、回転体としての雌ねじ部材86に設けた後述の被検出部の到来を検出するもので、図中上下方向に対向する投光部116と受光部118とを有していて、それらの間に挿入空間を形成している。
このセンサ92からは検出信号を出力するためのリード線120が延び出している。
【0060】
一方雌ねじ部材86の筒壁100の外周面にはリブ状の光遮蔽部122が、周方向に沿って所定周長(ここでは
図4に示しているように約半周)で雌ねじ部材86と一体回転状態に設けられている。
この実施形態においては、光遮蔽部122の周方向の端部124が上記のセンサ92にて検出される被検出部を成している。
【0061】
具体的には、リブ状の光遮蔽部122が雌ねじ部材86と一体に回転し、そしてその周方向の端部124がセンサ92の投光部116と受光部118との間の挿入空間に挿入すると、投光部116と受光部118との間で光路が遮られることで、端部124の到達が検出される。
【0062】
尚、リブ122を全周に亘って設けておいて、周方向所定個所に被検出部としてのスリットを設けておき、通常は投光部116から受光部118への光をリブ状の光遮蔽部122で遮断しておいて、そのスリットがセンサ92の位置に到ったところで、投光部116からの光を受光部118で受光するようにし、そのことをもって被検出部を検知するようになすこと、或いはその他形態で被検出部を設けておくことも可能である。
【0063】
このセンサ92を保持した保持部材94は、
図2中上部においてボデー34の嵌合孔に回転移動可能に嵌合され、センサ92が保持部材94の回転とともに周方向に位置移動可能とされている。
尚保持部材94の嵌合部は、ボデー34との間に介装されたOリング126による摩擦力によって、回転移動のための操作力を加えていない状態で回転方向位置が自在に変化してしまわないようになしてある。
【0064】
図5に示しているように、保持部材94には図中下部に全周に亘ってギヤ128が設けられており、
図4に示しているようにこのギヤ128の係合歯130が、保持部材94に隣接して配置された小径のギヤ96の係合歯132に噛み合わされている。
この小径のギヤ96は、
図2に示しているように円形の軸部134を有しており、この軸部134がボデー34の嵌合孔136に回転可能に嵌合されている。
軸部134は図中下面がボデー34の外部に露出せしめられており、そしてその露出した下面にマイナスドライバー等の工具を係合させるための係合溝138が設けられている。
【0065】
この実施形態では、ボデー34の外部からマイナスドライバー等の工具をギヤ96の係合溝138に係合させてギヤ96を回転させることで、保持部材94をその軸線周りに回転させ、これに保持されたセンサ92を所望の位置まで持ち来すことができる。
【0066】
本実施形態の流調弁装置22は、通常組付時において操作軸76とパイロット弁60のピン70との間に隙間S(
図6(I)参照)が存在する。
この状態からモータ32によって雌ねじ部材86を回転させ、操作軸76を図中上向きに移動させて行くと、
図6(II)に示すようにあるところで隙間Sが無くなって、操作軸76の先端とピン70とが当接した状態となる。
【0067】
この状態から操作軸76を更に上向きに移動させると、これによりパイロット弁60が押し上げられ、
図6(III)に示しているようにパイロット弁60と主弁38との間、詳しくはパイロット弁座74との間に間隙が生じる。
この間隙が上記の追従間隙dよりも小さいときには、主弁38はパイロット60に追従して開弁せず、そのまま閉弁状態を維持する。
従ってこのときには、背圧室48内の水がパイロット流路52を通じて流出流路36B側に流れる、微小なブリード流X(
図8参照)のみを生じる。
【0068】
この状態から更に操作軸76を上向きに移動させてパイロット弁60の開度を更に大きくすると、あるところで
図6(IV)に示しているようにパイロット弁60と主弁38との間の間隙が一定の追従間隙dの大きさとなる。
このとき上記のブリード流Xは最大流量となる。但しこの時点においてもなお主弁38は閉弁状態をそのまま維持している。
【0069】
この状態から更に操作軸76を上向きに移動させてパイロット弁60を更に大きく開弁させると、ここにおいて主弁38が追従間隙dを維持しつつ開弁動作し、
図7(V)に示しているように流路36を開いて流入流路36Aから流出流路36Bに向って水を流通させる。
その後主弁38は、パイロット弁60の弁開度の増大につれて弁開度を大きくし、流路36を流れる水の流量を増大変化させる。
【0070】
他方、操作軸76を図中下方に後退移動させて行くと、パイロット弁60が閉弁方向に移動し、また主弁38が追従間隙dを保ちつつパイロット弁60に追従して閉弁方向に移動し、そしてあるところで
図6(IV)に示す状態、つまり主弁38が主弁座44に着座し閉弁する。そしてその後はパイロット弁60のみが閉弁方向に移動し、
図7(VI)に示しているように最終的にパイロット弁座74に着座し、閉弁状態となる。
【0071】
図6(I)に示す操作軸76とピン70との間の隙間Sは、部品組付時の累積誤差によって様々に異なっている。
例えば
図8(ロ)の比較例図において、個体Aの隙間SがS
Aであったり、また個体Bの隙間Sがこれよりも大きいS
Bであったりする。
【0072】
尚同図中Xは、パイロット弁60が閉弁状態から上記の追従間隙dを形成するまでの間にパイロット流路52を通じて流れるブリード流を表しており、またYは主弁38が開弁開始した後の流路36の水の流れである本流をそれぞれ表している。
またP
1は、主弁38が閉弁状態にあり且つパイロット弁60が開弁開始する位置を表し、P
2はパイロット弁60と主弁38との間に追従間隙dが生じ、以後主弁38が開弁開始する位置、即ちブリード流Xから本流Yに切り替る位置を表している。
尚
図8(ロ)において横軸は操作軸76の移動量を、縦軸は流量をそれぞれ表している。
【0073】
図8(ロ)に示しているように、個体間の累積誤差の大小によって、例えば個体Aでは止水状態から使用感の得られる流量となるまでの(ブリード流Xから本流Yに切り替るまでの)操作軸76の移動域(空走区間)の長さ、つまり操作軸76の移動量はK
Aとなり、固体Bではこれよりも大きなK
Bとなるなど、その長さはまちまちとなる。
そこで本実施形態では、主弁38の設定動作位置に対応した操作軸76の位置を基準位置として、制御部30に記憶させておき、その基準位置に基づいて操作軸76を移動制御する。
【0074】
具体的にはここではブリード流Xから本流Yに切り替る位置P
2、つまり上記の追従間隙dを生じた後、主弁38が開弁開始する位置P
2に対応した操作軸76の位置を基準位置となし、そしてこの基準位置から追従間隙dだけ操作軸76を後退させた位置(つまり位置P
1)を止水待機位置として設定する。
尚P
1はパイロット弁60が開弁開始する位置であり、
図9(ハ)に示しているように止水待機位置はこれよりも一定微小距離操作軸76を後退させた位置に設定しておくこともできる。
【0075】
本実施形態では、
図2に示す基準位置検出機構90による操作軸76の基準位置に対する検出を、次のようにして行うようになすことができる。
詳しくは、ここでは操作軸76を図中上向きに移動させて
図6(IV)に示す状態、即ちパイロット弁60を主弁38に対し追従間隙dを生ずる状態、つまり本流Yの流れが開始する状態とする。
【0076】
このときの操作軸76の位置を基準位置とする。そしてその基準位置を検出するために、
図4の小径のギヤ96を回転させることで保持部材94を回転させ、以てセンサ92を一体に回転移動させてその位置を周方向に変化させ、リブ状の光遮蔽部122の周方向の端部124が、投光部116と受光部118との間に挿入する位置にセンサ92を持ち来す。
ここにおいて操作軸76の基準位置を検出する位置が設定される。
【0077】
その後操作軸76を後退移動させて、パイロット弁60を閉弁方向に移動させ、そしてパイロット弁60がパイロット弁座74に着座した位置を止水待機位置として設定する。
このとき操作軸76はパイロット弁60のピン70に当接した状態にある。
但し操作軸76を更に僅かに後退移動させた位置を止水待機位置とすることもできることは上記した通りである。
尚上記の追従間隙dはその距離が予め分かっているので、基準位置に位置させた操作軸76を、その追従間隙dに応じた距離だけ後退移動させるための必要パルス数をモータ32に送ることで、操作軸76を止水待機位置に位置させることができる。
【0078】
図8(イ)に示しているように、このようになした場合個体Aの空走区間K
A,個体Bの空走区間K
Bはそれぞれ一定の長さとなり、またこの空走区間は予め分かっているため、止水待機位置から空走区間だけ速やかにモータ32の回転により操作軸76を移動させることで、目的とする所望の流量を速やかに吐水させることができるようになり、使用感を高めることができる。
【0079】
以上ではブリード流Xから本流Yに切り替るときの操作軸76の位置を基準位置として設定しているが、
図9(ニ)に示しているようにブリード流が流れ始める位置P
1、即ちパイロット弁60が開弁開始する位置(何れの場合も操作軸76とパイロット弁60のピン70との隙間はゼロ)を基準位置として設定しておくことも可能である。
【0080】
以上のように本実施形態では、モータ32からの駆動力で回転する雌ねじ部材86を設けて、雌ねじ部材86の回転運動を運動変換機構としてのねじ送り機構にて操作軸76の直進運動に変換し、そしてその雌ねじ部材86に、リブ状の光遮蔽部122の周方向の端部124にて構成される被検出部を一体回転状態に設けてある。
【0081】
後述の
図13に示す例のように被検出部を操作軸76に直接に且つ操作軸76と一体に直進移動する状態に設けておいて、その被検出部をセンサ92にて検出するようになすことも可能であるが、この場合、被検出部の移動量と操作軸76の移動量とが同じとなって、被検出部の移動量が少なくなり、センサ92による被検出部の検出の精度、つまり操作軸76の基準位置の検出の精度が低下する。
【0082】
しかるにモータ32からの駆動力で雌ねじ部材86を回転させ、その雌ねじ部材86の回転運動を運動変換機構により操作軸76の直進運動に変換するようにして、その雌ねじ部材86に被検出部(光遮蔽部122の周方向の端部124)を設けておいた場合、操作軸76の移動量に対する被検出部の移動量を大きく取ることが可能となり、操作軸76の基準位置の検出の精度を高精度となすことができる。
【0083】
また前者の場合には、センサ92を操作軸76に近接して配置せざるを得なくなって、これにより操作軸76周りの構造が大形状化してしまうが、本実施形態によれば、基準位置検出機構90を操作軸76とは別途に離れた個所に設けることができるため、基準位置検出機構90により操作軸76周りの部位が構造的に大形状化してしまうのを回避することができる。
【0084】
本実施形態では上記センサ92を位置調節可能となしてあるとともに、センサ92の位置を移動させる移動手段としてギヤ96が設けてあるため、操作軸76を移動させて主弁38を目的とする設定動作位置に位置させた状態で、センサ92を移動させることにより、センサ92が周方向の端部124を検出する位置にこれを持ち来すことができる。
このようにすることで、操作軸76の基準位置を実際の主弁38の動作に合せて(対応付けて)定めることができるとともに、基準位置検出機構90による操作軸76の基準位置を正確に検出可能となる。
【0085】
図10及び
図11は、本発明の他の実施形態を示している。
この例では、操作軸76の図中上端側にくびれ部140を設け、そしてこのくびれ部140の上側に、棒状のパイロット弁60を一体に構成している。
この例において、主弁38には中心の貫通孔の内周面に沿って軸心周りに環状をなすパイロット弁座142が一体に設けられている。
このパイロット弁座142は、シール部としてのOリング144を保持している。
【0086】
操作軸76は、上記実施形態と同様にくびれ部140を除いてその全体が断面円形且つ外径が一様な棒状をなしており、その先端側の一部にて構成された上記のパイロット弁60が、パイロット弁座142に対し、主弁38の軸心に沿って図中上下方向に、即ちその止水面45と垂直方向に進退移動可能に嵌合して止水するようになっている。
ここでパイロット弁60には、くびれ部140側の端部に全周に亘って傾斜面146が形成されている。
操作軸76の、くびれ部140側の端部においても同様に傾斜面146が全周に亘り形成されている。
尚、他の構成については基本的に上記実施形態と同様である。
【0087】
図11は、本実施形態における弁部の作用を表している。
図11(I)は止水状態を表しており、このときパイロット弁60は、パイロット弁座142のOリング144に全周に亘り弾性嵌合しており、パイロット流路52は閉鎖された状態にある。
この状態から操作軸76が図中上向きに前進移動させられると、(II)に示しているようにあるところでパイロット弁60の傾斜面146がOリング144と接触するに到る。
【0088】
これ以後、操作軸76が更に上向きに前進移動するとパイロット弁60における傾斜面146とOリング144との間に間隙が生じ、その間隙を通じてブリード流が流れるようになる。
但しその隙間dが一定の追従間隙dに達するまではブリード流のみが流れて、主弁38は未だ開弁しない。
【0089】
そして操作軸76によってパイロット弁60が更に図中上向きに後退移動し、そして傾斜面146とOリング144との間の隙間が上記の一定の追従間隙dに達したところでブリード流は最大量となる。
図11(III)はこのときの状態を表している。
【0090】
図11(III)に示す状態から、更に操作軸76によってパイロット弁60が図中上向きに後退移動せしめられると、ここにおいて主弁38が主弁座44から離間して開弁し、流路36に流れを生ぜしめる。
一方操作軸76が図中下向きに後退移動することでパイロット弁60が下向きに前進移動し、これとともに主弁38が閉弁方向に動作し、最終的に主弁座44に着座して閉弁状態となる。
その後更にパイロット弁60が前進移動することで、傾斜面146が再びOリング144に接触し、
図11(II)に示すのと同様の状態となって、ここにパイロット弁60が閉弁状態となる。
このときの
図11(II)に示す状態となる位置が、
図8(イ)の位置P
1となる。
【0091】
図12は本発明の他の実施形態を示している。
この例では、上記の実施形態における雌ねじ部材86に代えて、カム部材148を回転軸98と一体に回転する回転体として設けている。
カム部材148は図中上面に、周方向に沿って反時計方向に移動するにつれ上方に移行する形状の、部分螺旋形状をなすカム面150を有している。
またその外周面には、上記と同様の形態のリブ状の光遮蔽部122が所定周長に亘って(ここでは半周に亘って)一体回転状態に設けられている。
【0092】
152は従動部材で、図中下面から下向きに突出する従動部としての突起154を有しており、この突起154が、カム面150に対し下向きに当接せしめられている。
またカム部材150は、スプリング110によって下向きに弾発されている。
尚、操作軸76はこの従動部材152に一体移動する状態に結合されている。
【0093】
この例において、センサ92を保持する保持部材94が設けられていること、またその保持部材94が小径のギヤ96の回転により回転移動せしめられる点において、上記実施形態と同様である。
その他の構成においても
図12に示す流調弁装置22は、
図2に示す流調弁装置22と基本的に同様である。
【0094】
この実施形態においては、回転体としてのカム部材148の回転運動が操作軸76の直進運動に変換される。
そしてこの実施形態では、回転体としてのカム部材148の上面に設けられたカム面150と従動部材152とで、運動変換機構としてのカム機構が構成されている。
【0095】
以上は操作軸によりパイロット弁を移動させることで、主弁を追従して動作させる形式のものであるが
、操作軸から直接に主弁に操作力を加えてこれを動作させる形式の流調弁装置に適用することも可能である。
図13はその具体例
(参考例)を示している。
図13(A)に示す例において、操作軸76は主弁156に直接に固定されており、操作軸76の図中上下方向の移動によって、主弁156が主弁座44に対し着座若しくは離間させられるようになっている。
尚45は止水面を表している。
【0096】
図13(A)の例は、2次側の流出流路36Bの側から操作軸76によって主弁156を移動させるようになした例である。
この例では、操作軸76の側方に上記と同様の投光部116と受光部118とを有するセンサ92が設けられている。
またここでは操作軸76に直接に、被検出部としてのリブ状の光遮蔽部122が設けられ、光遮蔽部122が操作軸76と一体に直進運動する状態に設けられている。
ここで光遮蔽部122はセンサ92における投光部116と受光部118との間の挿入空間に挿入することで光路を遮断し、そのことによってセンサ92による光遮蔽部122の検出が行われる。
【0097】
尚、158はセンサ92を保持する保持部材であり、ボデー34に固定状態に設けられている。
但し保持部材158を図中上下方向に移動可能に設けておくこと、或いは保持部材158を固定状態とし、センサ92を図中上下方向に移動可能に設けておくといったことも可能である。
【0098】
図13(A)の例は、主弁156を2次側流路である流出流路36B側から操作する場合の例であるが、(B)に示すものは、主弁156を1次側である流入流路36A側から操作するようになした例である。
他の点については(A)に示すのと同様である。
【0099】
図14は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は、給水路18と給湯路20との合流部に湯水混合弁160を設けて、そこで湯と水を混合するとともに混合比率を調節し、そしてそこで混合された後の混合水を混合水路26へと流出させて、その混合水路26上に流調弁装置22を設けた例である。
他の点ついては上記実施形態と同様である。
【0100】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明においては操作軸における基準位置を上記とは異なった位置に設定することも可能であるし、また止水待機位置を主弁の閉弁状態における適宜の位置に設定しておくといったことも可能である。
更に本発明は上例以外の様々な形態の流調弁装置に適用することが可能であるし、また手動操作によりハンドルを操作して操作軸を移動させる形式のものにも適用可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。