特許第5728729号(P5728729)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東工業株式会社の特許一覧 ▶ トヨタホーム株式会社の特許一覧

特許5728729分電盤における変流器保持部材、変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法、及び変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤
<>
  • 特許5728729-分電盤における変流器保持部材、変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法、及び変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤 図000002
  • 特許5728729-分電盤における変流器保持部材、変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法、及び変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤 図000003
  • 特許5728729-分電盤における変流器保持部材、変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法、及び変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤 図000004
  • 特許5728729-分電盤における変流器保持部材、変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法、及び変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤 図000005
  • 特許5728729-分電盤における変流器保持部材、変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法、及び変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤 図000006
  • 特許5728729-分電盤における変流器保持部材、変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法、及び変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤 図000007
  • 特許5728729-分電盤における変流器保持部材、変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法、及び変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤 図000008
  • 特許5728729-分電盤における変流器保持部材、変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法、及び変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤 図000009
  • 特許5728729-分電盤における変流器保持部材、変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法、及び変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728729
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】分電盤における変流器保持部材、変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法、及び変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/42 20060101AFI20150514BHJP
   H02B 1/40 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   H02B9/00 D
   H02B9/00 E
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-214257(P2011-214257)
(22)【出願日】2011年9月29日
(65)【公開番号】特開2013-74775(P2013-74775A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2014年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】北原 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】梅村 基樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 聡
(72)【発明者】
【氏名】松田 美賀
(72)【発明者】
【氏名】刀根川 浩巳
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−228734(JP,A)
【文献】 特開2001−289884(JP,A)
【文献】 特開2011−210456(JP,A)
【文献】 特開平06−165320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/42
H02B 1/40
H01H 73/02
H01F 40/00−40/14
G01R 15/00−17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分電盤の分岐ブレーカの二次側に配置される本体部の表裏に、表裏の変流器の巻線部が互いに重なり合うように変流器を千鳥状に保持できる変流器保持部を形成し、これらの各変流器保持部に変流器を保持させたことを特徴とする分電盤における変流器保持部材。
【請求項2】
本体部の端部に切欠き部を設け、隣接する変流器保持部材の本体部の端部と重なりあうように配置可能としたことを特徴とする請求項1記載の分電盤における変流器保持部材。
【請求項3】
変流器保持部が、変流器を保持する複数の係止爪を備えたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の分電盤における変流器保持部材。
【請求項4】
請求項1記載の変流器保持部材を分電盤に組み込んで変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤を構成し、前記変流器保持部に保持させた変流器により負荷電流を検出することを特徴とする変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法。
【請求項5】
請求項2記載の変流器保持部材を分電盤に組み込んで変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤を構成し、前記変流器保持部に保持させた変流器により負荷電流を検出することを特徴とする変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法。
【請求項6】
請求項3記載の変流器保持部材を分電盤に組み込んで変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤を構成し、前記変流器保持部に保持させた変流器により負荷電流を検出することを特徴とする変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法。
【請求項7】
請求項1記載の変流器保持部材を分電盤に組み込んだことを特徴とする変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤。
【請求項8】
請求項2記載の変流器保持部材を分電盤に組み込んだことを特徴とする変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤。
【請求項9】
請求項3記載の変流器保持部材を分電盤に組み込んだことを特徴とする変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷電流を監視するために分電盤に組み込んで使用される変流器保持部材と、変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法、及び変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分電盤においては、主幹ブレーカから配線された主幹バーに多数の分岐ブレーカが接続され、これらの分岐ブレーカの二次側に各々の負荷が接続されている。近年の省エネルギー志向により、負荷電流をリアルタイムで監視したいという需要があり、その場合には各分岐ブレーカにそれぞれ変流器(CT)を取り付けて各負荷に流れる電流を検出するのが一般的である。
【0003】
そのため例えば特許文献1に示されるように、各分岐ブレーカの二次側のレールに変流器を取り付けておき、各分岐ブレーカの負荷側端子から引き出される二次側の電線を変流器に通すことにより、負荷電流を検出する構造が提案されている。
【0004】
しかし最近では分岐ブレーカの幅寸法は次第に小型化しているため、各分岐ブレーカに対応させて変流器を保持するためのスペースも狭くなっている。また変流器を取り付けることができたとしても、変流器の相互の間隔が小さいために、客先で行われる分岐ブレーカの二次側の配線作業が困難となることがあった。さらに負荷電流の検出精度を高めるためにはやや大型の変流器を使用する必要があり、各分岐ブレーカに対応させて多数の変流器を配置すること自体が困難な場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−165320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、分岐ブレーカの幅寸法が小さい場合にも分岐ブレーカの二次側の配線作業を容易に行うことができ、しかも測定精度の高い大型の変流器をも組み込むことができる分電盤における変流器保持部材を提供することである。また本発明の目的は、この変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤における電流検知方法、及び変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた請求項1の発明の分電盤における変流器保持部材は、分電盤の分岐ブレーカの二次側に配置される本体部の表裏に、表裏の変流器の巻線部が互いに重なり合うように変流器を千鳥状に保持できる変流器保持部を形成し、これらの各変流器保持部に変流器を保持させたことを特徴とするものである。
【0008】
また請求項2のように、本体部の端部に切欠き部を設け、隣接する変流器保持部材の本体部の端部と重なりあうように配置可能とすることが好ましい。さらに請求項3のように、変流器保持部が、変流器を保持する複数の係止爪を備えたものであることが好ましい。
【0009】
また本発明の電流検知方法は、請求項1から3の何れかに記載の変流器保持部材を分電盤に組み込んで変流器保持部材を備えたセンサー付分電盤を構成し、前記変流器保持部に保持させた変流器により負荷電流を検出することを特徴とするものである。
【0010】
また本発明のセンサー付分電盤は、請求項1から3の何れかに記載の変流器保持部材を分電盤に組み込んだことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の分電盤における変流器保持部材は、板状の本体部の表裏に、表裏の変流器の巻線部が互いに重なり合うように変流器を千鳥状に保持できる変流器保持部を形成したものであるから、分岐ブレーカの幅寸法よりも大きな変流器を各分岐ブレーカに対応させて保持することができる。また表面側あるいは裏面側において隣接する変流器の間隔を分岐ブレーカの幅寸法の2倍とすることができるので、変流器への配線作業も容易に行うことができる。
【0012】
また本発明の本発明のセンサー付分電盤は、分岐ブレーカの幅寸法が小さい場合にも大型の変流器を各分岐ブレーカに対応させて保持することができる。したがって本発明の電流検知方法によれば、負荷電流の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の変流器保持部材を組み込んだ分電盤の全体図である。
図2】変流器の幅と分岐ブレーカの幅との関係を示す拡大図である。
図3】変流器保持部材の斜視図である。
図4】変流器保持部材の背面斜視図である。
図5】変流器保持部材の上面図である。
図6】変流器を保持させた状態を示す斜視図である。
図7】変流器を保持させた状態を示す上面図である。
図8】変流器を保持させた状態を示す正面図である。
図9】変流器保持部材を隣接配置した状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の変流器保持部材を組み込んだ分電盤の全体図であり、1は主幹ブレーカ、2はその二次側に接続された主幹バー、3はこの主幹バー2に接続された多数の分岐ブレーカである。この実施形態では分岐ブレーカ3はプラグインブレーカであり、3層に積層配置された主幹バー2の両側にプラグイン接続されている。
【0015】
前述したように、これらの分岐ブレーカ3の二次側から各々の負荷への配線が行われるのであるが、分岐ブレーカ3の二次側には、本発明の変流器保持部材10が組み込まれ、各分岐ブレーカ3に対応させて変流器11を保持している。図2に示されるように、分岐ブレーカ3の幅W1よりも変流器11の幅W2の方が大きくなっている。
以下に本発明の変流器保持部材10の構造を詳述する。
【0016】
図3は変流器保持部材の斜視図、図4図3の背面斜視図、図5は上面図である。
これらの図面に示されるように、本発明の変流器保持部材10は中央に板状の本体部12を備え、その表裏に変流器保持部13を形成した構造を持つ、この実施形態では本体部12は両端が変流器11の外径に対応する円弧面となっており、表裏にそれぞれ2個の変流器11を保持する構造である。しかし保持される変流器11の個数はこれに限定されるものではなく、例えば表裏に3個の変流器11を保持させるようにしてもよい。
【0017】
変流器保持部13は、変流器11の電線挿通孔に挿通して変流器11を保持する第1の係止爪14と、変流器11の外周面に当接して変流器11を保持する第2の係止爪15とを備えている。図6以下に示すように、変流器11はこれらの複数の係止爪14,15によって巻線部を挟み込むように保持されている。なお第1の係止爪14の先端部16は第2の係止爪15の方向に屈曲させてあり、変流器11の脱落を防止している。
【0018】
図6図7に明示されるように、これらの変流器保持部13は、表裏の変流器11の巻線部が互いに重なり合うように変流器11を千鳥状に保持できるように構成されている。すなわち、表側の変流器保持部13と裏側の変流器保持部13とは1/2ピッチずらせてある。また中央の板状の本体部12には変流器11の電線挿通孔とほぼ同径の貫通孔17が形成されているが、図8に示されるようにこの実施形態では4つの貫通孔17が等間隔で配置されている。この間隔は、分岐ブレーカ3の幅方向のピッチに等しくしておくことが好ましい。
【0019】
なお、本体部12は上面視するとジグザグ状に形成されており、中央側の変流器11は第2の係止爪15の反対側の円弧状片18によっても保持されている。
【0020】
さらに図9に示されるように、板状の本体部12の端部に切欠き部19を設け、隣接する変流器保持部材10の本体部12の端部と重なりあうように配置可能としておくことが好ましい。この構成により、隣接する変流器保持部材10、10間においても、同一ピッチで、かつ長手方向において直線状に変流器11を保持することが可能となる。
【0021】
このように構成された本発明の変流器保持部材10は、図1に示されるように分電盤の分岐ブレーカ3の二次側に配置され、各分岐ブレーカ3に対応するように変流器11を保持するものである。変流器11は係止爪14、15によって弾性的にワンタッチで変流器保持部13に保持させることができる。
【0022】
また本発明の変流器保持部材10は、表裏に変流器11を保持することができるので、図2に示されるように変流器11の幅W2が分岐ブレーカ3の幅W1よりも大きくても、支障なく取り付け可能である。このため分岐ブレーカ3の幅寸法が小さい場合にも、検出感度に優れた大型の変流器11を各分岐ブレーカ3に対応させて保持することができる。
【0023】
負荷配線は変流器11の電線挿通孔をくぐらせたうえで、対応する分岐ブレーカ3の負荷側端子に接続される。第1の係止爪14は、電線挿通孔の軸線方向に延びているので、負荷配線を通す際の支障とはならず、変流器保持部材10の長手方向側に配置しているので、上下に配線し易くなり、分岐ブレーカ3の負荷側端子への配線の邪魔にならない。また本発明の変流器保持部材10を用いれば、表面側あるいは裏面側において隣接する変流器11の間隔を分岐ブレーカ3の幅寸法の2倍とすることができるので、配線作業が容易となる。
【0024】
各変流器11からのリード線20は端部にアダプタを備え、図1に示すように分電盤の機器設置スペースに設けられた電流測定機器21に入力される。各々の負荷に対応する変流器11からの出力は電流測定機器21に入力され、使用状況表示や電流使い過ぎによる警報を発することができる。
【0025】
なおこの実施形態では、各変流器11の電線挿通孔が分電盤の盤面(底面)に対して垂直となるように、すなわち板状の本体部12が分電盤の盤面と平行になるように変流器保持部材10を分電盤に取り付け、箱体底面の配線挿通孔から引き込まれた電線を方向を変えることなくそのまま変流器11の電線挿通孔をくぐらせたうえ、分岐ブレーカ3の負荷側端子に接続できるようにした。しかし分電盤への変流器保持部材10の取り付け方向は必ずしも図1の実施形態に限定されるものではなく、盤内に広い配線スペースを確保できるような場合には、各変流器11の電線挿通孔が分電盤の盤面(底面)に対して平行となるように配置することも可能である。
【0026】
以上に説明したように、本発明の変流器保持部材10を用いれば、分電盤の各分岐ブレーカ3の二次側の配線作業を容易に行うことができ、分岐ブレーカ3の幅寸法が小さい場合にも、測定精度の高い大型の変流器11を組み込むことができる。従って分電盤の各分岐ブレーカ3に接続された各負荷の電流を精度よく検知することができ、負荷電流の合理的な管理を行うに適する利点がある。
【符号の説明】
【0027】
1 主幹ブレーカ
2 主幹バー
3 分岐ブレーカ
10 変流器保持部材
11 変流器
12 本体部
13 変流器保持部
14 第1の係止爪
15 第2の係止爪
16 先端部
17 貫通孔
18 円弧状片
19 切欠き部
20 リード線
21 電流測定機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9