(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728758
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】ヒドロキシカルボン酸誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 67/20 20060101AFI20150514BHJP
C07C 69/675 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
C07C67/20
C07C69/675
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-525838(P2011-525838)
(86)(22)【出願日】2010年7月12日
(86)【国際出願番号】JP2010061757
(87)【国際公開番号】WO2011016313
(87)【国際公開日】20110210
【審査請求日】2013年5月28日
(31)【優先権主張番号】特願2009-182530(P2009-182530)
(32)【優先日】2009年8月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100103274
【弁理士】
【氏名又は名称】千且 和也
(72)【発明者】
【氏名】上村 明男
(72)【発明者】
【氏名】海磯 孝二
(72)【発明者】
【氏名】杉本 常実
【審査官】
高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/088756(WO,A1)
【文献】
特開2002−148253(JP,A)
【文献】
特開2007−169256(JP,A)
【文献】
特開2003−171356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 67/20
C07C 69/675
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドにカルボン酸の存在下で超臨界状態のアルコールを作用させて、前記ポリアミドを解重合することによって、ヒドロキシカルボン酸誘導体を得ることを特徴とするヒドロキシカルボン酸誘導体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドから有機合成の中間原料として有用なヒドロキシカルボン酸誘導体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイロン6やナイロン12などのポリアミド製品は、ナイロン繊維、フィルム、エンジニアリングプラスチックスとして各分野で大量に利用されている。利用後のポリアミド製品は、廃棄物として埋立てや焼却処分がなされている。しかし、近年環境保護や資源の有効利用の観点から、ポリアミド製品をリサイクルする方法が種々検討されている。例えば、特許文献1には窒素含有化合物の存在下においてポリアミドを水中で解重合する方法が記載されている。また、特許文献2には、反応温度280〜450℃、圧力100〜500kg/cm
2で、高温高圧水を接触させることにより、ε−カプロラクタムオリゴマーをε−カプロラクタムに解重合する方法が記載されている。
【0003】
しかしながら、例えば、ナイロン6の解重合によって得られるε−カプロラクタムは、ナイロン6のモノマーとして利用する以外の用途はほとんどない。ケミカルリサイクルの観点から、ナイロン6の廃棄物を様々な用途に再利用する場合、水素、一酸化炭素、メタンなどに分解する必要があり、そのためには多大なエネルギーを消費するという問題がある。
【0004】
一方、6−ヒドロキシカプロン酸エステルなどのヒドロキシカルボン酸誘導体は、一般的な有機合成の中間原料として有用であり、特にカチオン系凝集剤や医農薬中間体、合成繊維用の柔軟剤、防錆剤、分散剤など様々な用途に利用されている。
【0005】
そこで、本発明者らは、ポリアミドから多大なエネルギーを消費することなく、様々な用途に再利用可能なヒドロキシカルボン酸誘導体を得るべく、ナイロン6などに超臨界状態のアルコールを作用させて、6−ヒドロキシカプロン酸エステルを得る方法を見出した(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−301843号公報
【特許文献2】特開2000−191638号公報
【特許文献3】国際公開07/088756号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に記載された方法は、得られる6−ヒドロキシカプロン酸エステルの収率が必ずしも十分でないという問題がある。そこで、本発明は、ポリアミドから多大なエネルギーを消費することなく、様々な用途に再利用可能なヒドロキシカルボン酸誘導体を高収率で得ることが可能なヒドロキシカルボン酸誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ポリアミドにカルボン酸誘導体の存在下で超臨界状態のアルコールを作用させて、前記ポリアミドを解重合することによって、多大なエネルギーを消費することなく、様々な用途に再利用可能なヒドロキシカルボン酸誘導体を高収率で得ることができることを見出した。すなわち、本発明は、ポリアミドにカルボン酸誘導体の存在下で超臨界状態のアルコールを作用させて、前記ポリアミドを解重合することによって、ヒドロキシカルボン酸誘導体を得ることを特徴とするヒドロキシカルボン酸誘導体の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るヒドロキシカルボン酸誘導体の製造方法によれば、ポリアミドから、ヒドロキシカルボン酸誘導体を収率良く得ることができる。従来のケミカルリサイクルにおいては、多大なエネルギーを消費してナイロン6などのポリアミドの廃棄物を水素、一酸化炭素及びメタンなどまでに分解しているが、本発明に係るヒドロキシカルボン酸誘導体の製造方法によれば、加工度が進んだ化学原料であり様々な用途に再利用可能なヒドロキシカルボン酸誘導体をポリアミドの廃棄物などから高収率で得ることができ、より少ないエネルギーでポリアミドのケミカルリサイクルを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るヒドロキシカルボン酸誘導体の製造方法に用いられるポリアミドは、アミド(−C(=O)NH−)結合を2個以上結合した重合体である。より具体的には、カプロラクタムのように一分子中にアミノ基とカルボキシル基が脱水縮合して環化した形状のモノマーを開環重合して得られた鎖状高分子体である。また、ポリアミドの重合度は特に制限されるものではなく、低重合物であるオリゴマーでも良い。オリゴマーとしては、鎖状体(アミノカプロン酸の2量体から7量体程度まで)と環状体(2量体から9量体程度まで)が挙げられる。また、ポリアミドは一種においてまたは二種類以上が混合されてあっても良い。例えば、ナイロン6、ナイロン11およびナイロン12などが挙げられ、ナイロン6が好ましく使用される。具体例としては、ナイロン6繊維カーペットの廃棄物やカプロラクタムを連続的に重合してナイロン6を製造する際に、製品のグレードを切り替える際に発生する規格外品や、重合物を熱水洗浄した後の洗浄水から水を除去したオリゴマーを含有する残渣物や、モノマーであるカプロラクタムを製造する工程においてカプロラクタムを連続蒸留した際に発生する蒸留残渣物などが挙げられる。
【0011】
本発明に係るヒドロキシカルボン酸誘導体の製造方法に用いられるアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール(n−プロパノール)、2−プロパノール、(イソプロパノール)、アリルアルコール、1−ブタノール(n−ブタノール)、2−ブタノール(sec−ブタノール)、2−メチル−1−プロパノール(イソブタノール)、2−メチル−2−プロパノール(t−ブタノール)、3−ブテン−2−オール、クロチルアルコール、シクロプロパンメタノール、3−ブテン−1−オール、2−メチル−2−プロペン−1−オール、3−ブチン−1−オール、2−ブチン−1−オール、3−ブチン−2−オール、1−ペンタノール(n−ペンタノール)、2−ペンタノール(sec−アミルアルコール)、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール(t−アミルアルコール)、1−シクロプロピルエタノール、1−ペンテン−3−オール、4−ペンテン−2−オール、4−ペンテン−1−オール、3−ペンテン−2−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、シクロブタンメタノール、2−メチルシクロプロパンメタノール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、2−ペンチン−1−オール、4−ペンチン−2−オール、4−ペンチン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オール、2−ペンチン−1−オール、1−ヘキサノール(n−ヘキサノール)、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール(n−ヘプタノール)、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−メチル−3−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘキサノール、2,2−ジメチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、4,4−ジメチル−2−ペンタノール、1−オクタノール(n−オクタノール)、2−オクタノール、3−オクタノール、6−メチル−2−ヘプタノール、4−メチル−3−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール、2−プロピル−1−ペンタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、3−メチル−3−オクタノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、3−エチル−2,2−ジメチル−3−ペンタノール、1−デカノール(n−デカノール)、2−デカノール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール(n−ドデカノール)、2−ドデカノール、2−ブチル−1−オクタノール、シクロドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、2−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、2−ヘキサデカノール、2−ヘキシル−1−デカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノールなどが挙げられる。これらのアルコールの炭素数は、特に制限されないが、一級アルコールが好ましく、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノールなどの炭素数1〜6の鎖状の脂肪族アルコールが挙げられる。このうち、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノールなどの一級アルコールが好ましく、メタノールが特に好ましい。
【0012】
これらのアルコールは、例えば、加熱及び加圧することによって、又は密閉状態で加熱することによって、超臨界状態にすることができる。本発明に係るヒドロキシカルボン酸誘導体の製造方法においては、ポリアミドとアルコールとカルボン酸とを同時に混合させた後に加熱などによりアルコールを超臨界状態にしても良く、また、アルコールとカルボン酸誘導体を混合し、超臨界状態にしたものをポリアミドに加えても良い。主なアルコールの臨界温度及び臨界圧力は、表1に示す通りである。
【0014】
本発明に係るヒドロキシカルボン酸誘導体の製造方法に用いられるカルボン酸誘導体としては、カルボン酸が好ましく、脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸が挙げられる。
【0015】
脂肪族カルボン酸としては、炭素数1〜12の脂肪族カルボン酸、好ましくは、炭素数2〜7の脂肪族カルボン酸であり、具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、メトキシ酢酸、ペンタン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、乳酸、グリコール酸などが挙げられるが、好ましくは、グリコール酸、乳酸、酢酸、メトキシ酢酸である。
【0016】
芳香族カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、トリメリット酸、安息香酸、クレゾール酸、ナフトエ酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられるが、好ましくは安息香酸である。
【0017】
カルボン酸誘導体の使用量は、ポリアミドに対して1〜1000重量%であることが好ましく、10〜500重量%が特に好ましい。ここで、カルボン酸誘導体の使用量が少ないと反応速度が低下したり、ヒドロキシカルボン酸誘導体の収率が低下する。
【0018】
反応温度は、200〜400℃、好ましくは220℃以上、特に好ましくは250℃以上である。 また、反応圧力は、5〜40MPaG(Gはゲージ圧を表す)、好ましくは8MPaG以上である。さらに、反応時間は、5分から48時間、好ましくは0.5時間から24時間である。
【0019】
ポリアミドとアルコールの総重量に対するポリアミドの重量は、0を超え50重量%以下であることが好ましく、0.5から30重量%であることがより好ましく、1から25重量%であることが特に好ましい。
【0020】
本発明に係るヒドロキシカルボン酸誘導体の製造方法によれば、NH−部位とC(=O)−部位を有する原料ポリアミドの連続ユニットのNH−部位がヒドロキシル基に、C(=O)−部位が使用するアルコールのエステル基になったヒドロキシカルボン酸誘導体を得ることができる。例えば、ナイロン6にアルコールとしてメタノールを作用させて反応させた場合、6−ヒドロキシカプロン酸メチルを得ることができる。
【0021】
本発明に係るヒドロキシカルボン酸誘導体の製造方法によって得られたヒドロキシカルボン酸誘導体を含む反応液は、フラッシュ蒸留などにより、アルコールとカルボン酸エステル(カルボン酸誘導体としてカルボン酸を使用した場合に、アルコールと反応して生成するカルボン酸エステルを示す。)が分離除去される。純度が高いヒドロキシカルボン酸誘導体を所望する場合、アルコールとカルボン酸エステルが分離除去された後の残余を減圧蒸留することにより精製される。
【実施例】
【0022】
次に、本発明に係るヒドロキシカルボン酸誘導体の製造方法の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することができる。
【0023】
実施例において、反応器としては、ステンレス(SUS316)配管(外径3/8インチ、内径7.53mm、長さ23cm)と両端キャップ(Swagelok製SS−600−C)から構成され、容積10mLのものを用意して用いた。反応温度に加熱するために電気炉(ADVANTEC製:DRD360DA)を使用した。ガスクロマトグラフィー測定は、島津製作所(株)製GC−2014を使用した。反応混合物中の各成分の収率は、[各成分のmol量]/[仕込みポリアミド(g)/モノマー分子量]×100に基づいて算出した。
【0024】
実施例1
容積10mLの配管反応器(外径3/8インチ、内径7.53mm、長さ23cm)に、ナイロン6(0.1g)、カルボン酸としてグリコール酸(0.380g)、メタノール(3.0g)を加え、室温で窒素置換を行い密閉した。反応器を300℃に加熱した電気炉に投入し(圧力16.1MPa)、経時変化を測定した。測定は、得られた反応混合物と内部標準物質として1−ヘキサノールをはかりとり、ガスクロマトグラフィー分析の分析試料とした。ガスクロマトグラフィー分析により積分値を算出、作成した検量線表から6−ヒドロキシカプロン酸メチルの収率を求めた。その結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
実施例2
容積10mLの配管反応器(外径3/8インチ、内径7.53mm、長さ23cm)に、ナイロン6(0.1g)、カルボン酸としてメトキシ酢酸(0.45g)、メタノール(3.0g)を加え、室温で窒素置換を行い密閉した。反応器を300℃に加熱した電気炉に投入し(圧力16.3MPa)、経時変化を測定した。測定は、得られた反応混合物と内部標準物質として1−ヘキサノールをはかりとり、ガスクロマトグラフィー分析の分析試料とした。ガスクロマトグラフィー分析により積分値を算出、作成した検量線表から6−ヒドロキシカプロン酸メチルの収率を求めた。その結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
【0028】
比較例1
カルボン酸を無添加に変更した以外は、実施例1と同様に行った(圧力16.7MPa)。その結果を表4に示す。
【0029】
【表4】
【0030】
実施例3
容積10mLの配管反応器(外径3/8インチ、内径7.53mm、長さ23cm)に、ナイロン6(0.1g)、カルボン酸としてグリコール酸(0.380g)、メタノール(3.0g)を加え、室温で窒素置換を行い密閉した。反応器を270℃に加熱した電気炉に投入し(圧力11.8MPa)、経時変化を測定した。測定は、得られた反応混合物と内部標準物質として1−ヘキサノールをはかりとり、ガスクロマトグラフィー分析の分析試料とした。ガスクロマトグラフィー分析により積分値を算出、作成した検量線表から6−ヒドロキシカプロン酸メチルの収率を求めた。その結果を表5に示す。
【0031】
【表5】
【0032】
実施例4
容積10mLの配管反応器(外径3/8インチ、内径7.53mm、長さ23cm)に、ナイロン6(0.1g)、カルボン酸としてグリコール酸(0.380g)、メタノール(3.0g)を加え、室温で窒素置換を行い密閉した。反応器を250℃に加熱した電気炉に投入し(圧力9.1MPa)、経時変化を測定した。測定は、得られた反応混合物と内部標準物質として1−ヘキサノールをはかりとり、ガスクロマトグラフィー分析の分析試料とした。ガスクロマトグラフィー分析により積分値を算出、作成した検量線表から6-ヒドロキシカプロン酸メチルの収率を求めた。その結果を表6に示す。
【0033】
【表6】
【0034】
実施例5
容積10mLの配管反応器(外径3/8インチ、内径7.53mm、長さ23cm)に、ナイロン6(0.3g)、カルボン酸としてグリコール酸(0.380g)、メタノール(3.0g)を加え、室温で窒素置換を行い密閉した。反応器を300℃に加熱した電気炉に投入し、3時間反応させた(圧力17.0MPa)。その後、反応器を電気炉より取り出し、冷水浴により急冷却し、反応を停止した。反応器が十分に冷却されたのを確認したのち、メタノールで反応混合物を取り出し捕集した。得られた反応混合物と内部標準物質として1−ヘキサノールをはかりとり、ガスクロマトグラフィー分析の分析試料とした。ガスクロマトグラフィー分析により積分値を算出、作成した検量線表から収量を求めた。その結果、6−ヒドロキシカプロン酸メチルの収率は、48%であった。
【0035】
実施例6
容積10mLの配管反応器(外径3/8インチ、内径7.53mm、長さ23cm)に、ナイロン6(0.5g)、カルボン酸としてグリコール酸(0.380g)、メタノール(3.0g)を加え、室温で窒素置換を行い密閉した。反応器を300℃に加熱した電気炉に投入し、3時間反応させた(圧力17.0MPa)。その後、反応器を電気炉より取り出し、冷水浴により急冷却し、反応を停止した。反応器が十分に冷却されたのを確認したのち、メタノールで反応混合物を取り出し捕集した。得られた反応混合物と内部標準物質として1−ヘキサノールをはかりとり、ガスクロマトグラフィー分析の分析試料とした。ガスクロマトグラフィー分析により積分値を算出、作成した検量線表から収量を求めた。その結果、6−ヒドロキシカプロン酸メチルの収率は、46%であった。
【0036】
実施例7
容積10mLの配管反応器(外径3/8インチ、内径7.53mm、長さ23cm)に、ナイロン6(0.1g)、カルボン酸として酢酸(0.300g)、メタノール(3.0g)を加え、室温で窒素置換を行い密閉した。反応器を330℃に加熱した電気炉に投入し、5時間反応させた(圧力21.1MPa)。その後、反応器を電気炉より取り出し、冷水浴により急冷却し、反応を停止した。反応器が十分に冷却されたのを確認したのち、メタノールで反応混合物を取り出し捕集した。得られた反応混合物と内部標準物質として1−ヘキサノールをはかりとり、ガスクロマトグラフィー分析の分析試料とした。ガスクロマトグラフィー分析により積分値を算出、作成した検量線表から収量を求めた。その結果、6−ヒドロキシカプロン酸メチルの収率は、50%であった。
【0037】
比較例2
カルボン酸を無添加に変更した以外は、実施例7と同様に行った(圧力20.8MPa)。その結果、6−ヒドロキシカプロン酸メチルの収率は22%であった。
【0038】
実施例8
容積10mLの配管反応器(外径3/8インチ、内径7.53mm、長さ23cm)に、ナイロン6(0.1g)、カルボン酸として乳酸(0.450g)、メタノール(3.0g)を加え、室温で窒素置換を行い密閉した。反応器を300℃に加熱した電気炉に投入し、3時間反応させた(圧力16.1MPa)。その後、反応器を電気炉より取り出し、冷水浴により急冷却し、反応を停止した。反応器が十分に冷却されたのを確認したのち、メタノールで反応混合物を取り出し捕集した。得られた反応混合物と内部標準物質として1−ヘキサノールをはかりとり、ガスクロマトグラフィー分析の分析試料とした。ガスクロマトグラフィー分析により積分値を算出、作成した検量線表から収量を求めた。その結果、6−ヒドロキシカプロン酸メチルの収率は、58%であった。