特許第5728768号(P5728768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5728768音声ガイドプログラム、音声ガイド方法、携帯端末装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5728768
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】音声ガイドプログラム、音声ガイド方法、携帯端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/247 20060101AFI20150514BHJP
   H04M 11/08 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   H04M1/247
   H04M11/08
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-125307(P2014-125307)
(22)【出願日】2014年6月18日
【審査請求日】2014年8月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514154846
【氏名又は名称】株式会社アートアンドパート
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 律子
【審査官】 安井 雅史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−203836(JP,A)
【文献】 特開2011−228882(JP,A)
【文献】 特開2005−252379(JP,A)
【文献】 特開2013−038539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラとディスプレイとを有し音声通話の機能を組み込み可能な携帯端末装置を、
対象物が展示された展示場所の名称を示す名称情報であって、該展示場所に展示された複数の対象物のそれぞれを固有に示す固有情報が関連付けられた前記名称情報を選択可能に表示し、1つの名称情報が選択された場合、選択された名称情報に関連付けられた複数の固有情報を選択可能に表示する選択肢表示部と、
選択された固有情報に示される対象物に関する音声ガイド情報を音声として再生する音声再生部と、
前記音声の再生に先立って、前記ディスプレイの照度の低下、前記音声通話の防止、前記カメラの起動防止のうちの少なくとも何れか1つの機能制限を行う機能制限部
として機能させるための音声ガイドプログラム。
【請求項2】
前記機能制限部は、前記機能制限を行うか否かを前記携帯端末装置の使用者に選択させるための選択肢を前記ディスプレイに表示し且つ前記機能制限を行うことを示す選択肢が選択された場合、または、前記音声ガイドプログラムが起動された場合、前記音声ガイドプログラムが停止されるまで前記機能制限を行うことを特徴とする請求項1記載の音声ガイドプログラム。
【請求項3】
前記選択肢表示部は更に、前記音声ガイド情報の言語種類を示す言語種類情報を選択可能に表示し、
前記音声再生部は、選択された名称情報、言語種類情報、またはその両方に基づいて前記音声ガイド情報を音声として再生することを特徴とする請求項1または請求項2記載の音声ガイドプログラム。
【請求項4】
前記携帯端末装置には、予め前記名称情報に示される展示場所の構造を2次元または3次元で視覚的に示した構造情報が格納されており、
前記選択肢表示部は、前記固有情報を、前記構造情報上における対象物の展示位置に配置して選択可能に表示することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の音声ガイドプログラム。
【請求項5】
前記選択肢表示部は、前記固有情報を、前記名称情報に示される展示場所において予め規定された閲覧順序の順に表示することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の音声ガイドプログラム。
【請求項6】
カメラとディスプレイとを有し音声通話の機能を組み込み可能な携帯端末装置が行う音声ガイド方法であって、
前記携帯端末装置が備える選択肢表示部が、対象物が展示された展示場所の名称を示す名称情報であって、該展示場所に展示された複数の対象物のそれぞれを固有に示す固有情報が関連付けられた前記名称情報を選択可能に表示し、1つの名称情報が選択された場合、選択された名称情報に関連付けられた複数の固有情報を選択可能に表示し、
前記携帯端末装置が備える音声再生部が、選択された固有情報に示される対象物に関する音声ガイド情報を音声として再生し、
前記携帯端末装置が備える機能制限部が、前記音声の再生に先立って、前記ディスプレイの照度の低下、前記音声通話の防止、前記カメラの起動防止のうちの少なくとも何れか1つの機能制限を行うことを特徴とする音声ガイド方法。
【請求項7】
カメラとディスプレイとを有し音声通話の機能を組み込み可能な携帯端末装置であって、
対象物が展示された展示場所の名称を示す名称情報であって、該展示場所に展示された複数の対象物のそれぞれを固有に示す固有情報が関連付けられた前記名称情報を選択可能に表示し、1つの名称情報が選択された場合、選択された名称情報に関連付けられた複数の固有情報を選択可能に表示する選択肢表示部と、
選択された固有情報に示される対象物に関する音声ガイド情報を音声として再生する音声再生部と、
前記音声の再生に先立って、前記ディスプレイの照度の低下、前記音声通話の防止、前記カメラの起動防止のうちの少なくとも何れか1つの機能制限を行う機能制限部と、
を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美術館、博物館、水族館、遺跡等の展示場、特に静寂が求められる展示場に展示された、作品や動植物、剥製といった鑑賞対象である展示物を解説する音声ガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、展示場において、鑑賞者に対して展示物に関する情報を音声で解説する音声ガイドサービスが広く利用されている。このような音声ガイドサービスとしては、展示物近傍の適宜位置にスピーカを配置し、広域に渡って音声を届けるものがあるが、美術館や博物館といった静寂が求められる展示場においては、このようなサービス形態は望まれない。そのため、この種の展示場においては、他の鑑賞者に迷惑をかけることなく自身のみが音声ガイドサービスを受けられるよう、小型形状をなした可搬の音声ガイド装置を貸し出すサービスが主に利用されている。このような音声ガイド装置としては、例えば下記特許文献1に示されるような、本体にテンキーとスピーカとを備え、チャンネル番号をテンキーで入力することで音声データを読み出すものが知られている。
【0003】
一方、スマートフォンに代表される多種多様な機能を有する携帯電話等の携帯端末装置は、近年急激に普及しており、この携帯端末装置に新たな機能として音声ガイドを組み込み、前述したような音声ガイド装置としても使用可能とする傾向がある。例えば下記特許文献2に示されるような、携帯電話などの移動体通信端末に対して、ガイドなどの情報を配信することによって、場所に適した情報を配信する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−219600号公報
【特許文献2】特開2002−245077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯端末装置は、他の通信装置との音声通話やディスプレイ照明の発光といった特有の機能を併せ持つため、前述したような静寂が求められる展示場や展示物が明るく且つ鑑賞者側が暗い環境の展示場では、その使用が他の鑑賞者の鑑賞の妨げになるという問題があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、如何なる形態の展示場においても他の鑑賞者の鑑賞を妨げることなく音声ガイドを行うことができる携帯端末装置の音声ガイドプログラム、音声ガイド方法、携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、カメラとディスプレイとを有し音声通話可能な携帯端末装置を、対象物に関する音声ガイド情報を音声として再生する音声再生部と、前記音声の再生に先立って、前記ディスプレイの照度の低下、前記音声通話の防止、前記カメラの起動防止のうちの少なくとも何れか1つの機能制限を行う機能制限部として機能させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、如何なる形態の展示場においても他の鑑賞者の鑑賞を妨げることなく音声ガイドを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る携帯端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る携帯端末装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る携帯端末装置の音声ガイド処理を示すフローチャートである。
図4】第2の実施形態に係る携帯端末装置の概要を説明するためのブロック図である。
図5】第2の実施形態に係る携帯端末装置の音声ガイド処理を示すフローチャートである。
図6】第3の実施形態に係る携帯端末装置の概要を説明するためのブロック図である。
図7】第3の実施形態に係る携帯端末装置のディスプレイに展示場マップが2次元的に表示された状態を示す模式図である。
図8】第3の実施形態に係る携帯端末装置の音声ガイド処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、本実施の形態に係る携帯端末装置について図面を参照しつつその詳細を説明する。本実施の形態では、後述する音声ガイドプログラムが予め組み込まれた(インストールされた)携帯端末装置を例にとり説明を行う。
【0011】
(ハードウェア構成)
図1に示されるように、携帯端末装置10は、スマートフォンに代表される携帯電話であり、制御部101と、通信部102と、音声入出力部103と、ユーザインタフェース部104と、撮像部105と、記憶部106とを備えている。なお、本実施の形態においては、携帯端末装置を、携帯電話として説明するがこれに限定されるものではない。携帯端末装置10としては、少なくとも音声データを再生できるものであればよく、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(personal computer)、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤ等が挙げられる。
【0012】
制御部101は、携帯端末装置10全体の処理を総括的に行うものであり、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)といったメモリ等を備えて構成される。制御部101は、当該メモリ上に展開されるOS(Operating System)、BIOS(Basic Input/Output System)、アプリケーションプログラム等の各種プログラムを実行する。
【0013】
通信部102は、他の携帯端末装置や固定電話との通話回線および基地局を介した無線通信ネットワークとの通信回線の確立を行うものであり、複数の異なる感受帯域を有するアンテナを含む無線通信回路等を備えて構成される。即ち、通信部102は、音声通話や無線通信ネットワークとのアクセスを可能とするものである。
【0014】
音声入出力部103は、携帯端末装置10の使用者(以後、ユーザと称する)の音声の入出力や、後述する音声ガイドデータ300の出力等を行うものであり、受話音声等を収音するマイクロホンや送話音声、音声ガイドを放音するスピーカ等を備えて構成される。
【0015】
ユーザインタフェース部104は、画像や選択項目を選択可能に表示するGUI(Graphical User Interface)を提供すると共に、ユーザによるタップやフリック等の操作入力を受け付けるものであり、タッチスクリーン等のディスプレイを備えて構成される。なお、ユーザインタフェース部104は、ディスプレイとテンキーボタン等、ハードウェアを分けて構成し、表示機能と入力機能とを独立して備えるように構成してもよい。
【0016】
撮像部105は、被写体を撮像して画像データを生成するものであり、レンズやフラッシュ発光用のライト等を備えて構成される。
【0017】
記憶部106は、各種アプリケーションプログラムを読み出し/書き込み自在に記憶するものであり、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)等を備えて構成される。なお、記憶部106は、EEPROMの他、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置等の不揮発性の記憶媒体や記憶装置で実現されてもよい。記憶部106が記憶するアプリケーションプログラムとしては、メーラやWebブラウザ、撮像部105を起動するためのカメラアプリ等、基本的なものが挙げられるが、本実施の形態においては、更に音声ガイドプログラム200と、音声ガイドデータ300とが記憶されている。
【0018】
音声ガイドプログラム200は、アプリケーションプログラムをダウンロードする要領で携帯端末装置10にインストールされたアプリケーションプログラムであり、美術館、博物館、水族館、城、遺跡等の展示場に展示された、作品、動植物、剥製といった展示物の音声ガイドを携帯端末装置10に実行させるものである。この音声ガイドプログラムには、後述する各機能を実現するアルゴリズムや、ユーザが指定するアイコン画像を表示するためのアルゴリズム等が記述されている。
【0019】
また、音声ガイドプログラム200は、展示場リスト201と、言語種類リスト202と、展示物リスト203とを有している。展示場リスト201は、展示場毎の名称をそれぞれ示す複数の名称情報を含むものであり、ユーザに選択可能にディスプレイ表示される。この場合、各名称情報は、例えば複数のボタン(それぞれ個別の名称情報を示す)からなるリストボタン形式で表示される。
【0020】
言語種類リスト202は、音声ガイドデータ300の言語種類を示すものであり、ユーザに選択可能にディスプレイ表示される。この場合、各言語種類は、例えばリストボタン形式で表示される。表示される言語種類は、「日本語」、「English」、「Chinese」、「Korean」、「Thai」等としてディスプレイに表示される。
【0021】
展示物リスト203は、1つの名称情報に対して1つの展示物リスト203が用意されるよう名称情報に対応付けられ、名称情報が示す展示場に展示された、複数の展示物のそれぞれを固有に示す固有情報を含むものである。この固有情報は、音声ガイドデータ300と対応付けられている。固有情報としては、展示物の名称や、展示場において展示物近傍に掲示されている作品番号等が挙げられる。本実施の形態においては、固有情報を作品番号とし、複数の展示物リスト203について言及する場合、展示物リスト群と称して以後説明を行う。なお、1つの展示場に複数の展示会場が設けられている場合、展示物リスト203は、その展示会場毎に用意されることが好ましい。
【0022】
音声ガイドデータ300は、展示物の解説を含むものであり、音声入出力部103から出力可能な形式をなしている。また、音声ガイドデータ300は、展示物リスト203が含む固有情報に対応付けられており、当該固有情報に対応付けられた言語種類リスト202に示される言語種類の数だけ用意されている。
【0023】
携帯端末装置10は、上述した音声ガイドプログラム200を立ち上げる(読み込む)ことにより、音声ガイド処理を実行する。音声ガイド処理を簡単に説明すると、展示場リスト201や言語種類リスト202等をディスプレイで表示し、ユーザの選択または入力に基づいて、ユーザが所望する音声ガイドデータ300を割り出し、これを再生する処理である。この音声ガイド処理により携帯端末装置10による音声ガイドサービスが実現される。
【0024】
この音声ガイド処理には、館内マナーモードを実行する処理が含まれている。館内マナーモードとは、携帯端末装置10の各種機能を制限するものであり、制限される機能としては、例えば、ユーザインタフェース部104が備えるディスプレイの照度の低下、音声通話等の無線通信の遮断、カメラアプリの選択防止等の撮像部105の起動防止等が挙げられる。なお、無線通信の遮断には、携帯端末装置10が予め備える機内モードをONにすることで対応してもよい。また、照度の低下の度合いは適宜設定可能であるが、照度の最高値を100%とすると、5〜50%に低下させることが好ましく、10〜20%に低下させることがより好ましい。この館内マナーモードが実行されることにより、静寂が求められる美術館や博物館を含む如何なる展示場においても、他の鑑賞者の鑑賞を妨害することなく、携帯端末装置10による音声ガイドサービスをユーザに提供することができる。
【0025】
(機能構成)
次に、音声ガイドプログラム200を立ち上げた携帯端末装置10の機能構成について図を参照しつつその詳細を説明する。図2に示されるように、携帯端末装置10は、制限部401と、表示部402と、取得部403と、判定部404と、再生部405とを機能として備える。これらの機能は、上述した制御部101等のハードウェア資源が協働することにより実現される。
【0026】
制限部401は、前述した館内マナーモードを実行するものであり、例えば、音声の再生に先立って、ディスプレイの照度の低下および音声通話の防止、撮像部105の起動防止のうちの少なくとも何れか1つの機能制限を行う。また、制限部401は、当該機能制限を行うことを示す選択肢がユーザにより選択された場合、または、音声ガイドプログラム200が立ち上げられた場合、音声ガイドプログラム200が停止されるまで当該機能制限を行う。
【0027】
表示部402は、選択肢や入力欄等をディスプレイ上に表示するものである。例えば、館内マナーモードを実施するか否かを携帯端末装置10のユーザに選択させるための選択肢ボタンの表示や、展示場リスト201および言語種類リスト202の表示、ユーザに固有情報として作品番号を入力させるための作品番号入力欄の表示等を行う。
【0028】
取得部403は、表示部402が表示した展示場リスト201や言語種類リスト202からユーザが選択した名称情報、言語種類の取得や、表示部402が表示した作品番号入力欄に入力された固有情報の取得等を行う。
【0029】
判定部404は、音声ガイド処理における各種判定処理を行うものであり、例えば、取得部403により取得された作品番号が展示物リスト203に含まれる固有情報と一致するか否かの判定を行う。
【0030】
再生部405は、展示物に関する音声ガイドデータ300を音声として再生するものであり、例えば、ユーザにより選択された名称情報、言語種類情報、またはその両方に基づいて音声ガイドデータ300を再生する。
【0031】
(処理動作)
次に、本実施の形態に係る携帯端末装置10が行う音声ガイド処理の動作について図3を参照しつつその詳細を説明する。なお、図3に示されるフローは、携帯端末装置10のディスプレイ上に表示された音声ガイドプログラム200のアイコンがユーザによりタップされ、音声ガイドプログラム200が立ち上げられることをトリガとしている。
【0032】
図3に示されるように、制限部401は、先ず前述した館内マナーモードを実行し、ディスプレイの照度の低下、無線通信の遮断、カメラアプリの選択防止、撮像部105の起動防止を行う(S101)。館内マナーモード実行後、表示部402は、展示場リスト201及び言語種類リスト202を設定画面として表示し、ユーザの入力を促す(S102)。具体的には、表示部402は、ディスプレイに展示場リスト201を表示し、ユーザからの名称情報の選択を受け付けた後、言語種類リスト202を表示し、言語種類の選択を受け付ける。ユーザの選択後、取得部403は、ユーザが選択した名称情報と言語種類とを取得する(S103)。取得後、表示部402は、固有情報として作品番号を入力するための作品番号入力欄を表示し、ユーザの入力を促す(S104)。この際、作品番号入力欄と共にテンキーボタンや決定ボタンを表示することが好ましい。
【0033】
作品番号入力欄に作品番号が入力された場合、判定部404は、取得部403により取得された名称情報に対応する展示物リスト203を展示物リスト群から抽出し、入力された作品番号と一致する作品番号が展示物リスト群に含まれているか否かを判定する(S105)。一致する作品番号がある場合(S105,YES)、一致した作品番号に対応する音声ガイドデータ300が存在するため、再生部405は、この音声ガイドデータ300のうち、選択された言語種類の音声ガイドデータ300を抽出すると共に再生する(S106)。再生後、ステップS104の作品番号入力欄を表示する処理へ移行する。一方、一致する作品番号がない場合(S105,NO)、表示部402は、入力された作品番号が誤りであることを伝えるエラー画面をディスプレイに表示し(S107)、ユーザに対し再度作品番号を入力させるために、ステップS104へ移行し、作品番号入力欄を表示する。なお、一定時間が経過したり、または音声ガイドプログラム200を閉じた(終了した)場合、本フローは終了となる。
【0034】
本実施の形態によれば、館内マナーモードを実行することにより、静寂が求められる美術館や博物館、携帯電話の使用が禁止されている展示場であっても、これら展示場から敬遠されるような機能を制限することができるため、これら展示場において携帯端末装置10を用いた音声ガイドサービスを受けることが可能となる。具体的には、館内マナーモードとして、ディスプレイの照度を低下させることにより、鑑賞対象である展示物が明るく且つ鑑賞者側が暗い環境であっても、その鑑賞を妨げることがなくなる。また、ディスプレイの照度の低下は、携帯端末装置10のバッテリ消費を低減させる効果をも奏する。更に、無線通信を遮断することにより、着信音や音声通話による鑑賞雰囲気の悪化が生じることがなくなる。また、撮像部105の起動を防止することにより、撮影禁止が規定された展示場においての撮影を防止することができる。
【0035】
(応用例)
本実施の形態では、音声ガイドプログラム200が起動している間は、館内マナーモードが実行されてディスプレイの照度が低下した状態を継続しているが、この間にユーザによるタップやフリック、スワイプ等のタッチ操作がなされた場合、一時的に照度を元の状態に戻す、または、所定の割合で照度を上げるようにしてもよい。照度を上げる時間としては、タッチ操作後3秒間等、タッチ操作後に自身が入力した番号を確認可能であり且つ短い時間とすることが好ましい。このように、タッチ操作後に照度を一時的に上昇させることにより、例えば、作品番号を作品番号入力欄に入力する際に照度を上げれば、入力を容易にすることができると共に、他の鑑賞者への影響を極力低減できる。なお、誤触によるディスプレイの照度上昇を防止するため、照度上昇を行うタッチ操作をダブルタップやロングタップ、上フリック、ピンチアウト等の特別な操作に限定することが好ましい。
【0036】
また、本実施の形態では、判定部404により作品番号が一致すると判定された場合に、再生部405が対応する音声ガイドデータ300を即再生すると説明したがこれに限定されるものではなく、当該判定がなされた場合、表示部402が再生ボタンや一時停止ボタン、早送りのスライドバー等をディスプレイに選択可能に表示して入力を待つように設計してもよい。
【0037】
本実施の形態では、ユーザが展示場リスト201から所望の展示場を選択するとして説明したが、携帯端末装置10が備えるGPS機能を用いて、取得部403が自身の位置情報を取得し、位置情報に対応する展示場を展示場リスト201から抽出するようにしてもよい。なお、この場合、館内マナーモードでは機内モードのONは行わず、通話回線の確立または通話アプリの起動を防止する。また、各展示場の住所や位置を示す地図情報を予め記憶部106に記憶させて、地図情報と取得した位置情報とを比較して展示場を認識してもよく、無線通信ネットワークを介して位置情報を外部サーバへ送信し、対応する展示場の名称を受信するようにしてもよい。このように動作させることにより、ユーザが展示場を選択する動作を省くことができ、ユーザの負担を軽減させることができる。
【0038】
実施の形態2.
実施の形態1では、音声ガイドデータ300が予め記憶部106に記憶されているとして説明したが、これらを無線通信ネットワークを介して外部のサーバからダウンロードするようにしてもよい。以下、本実施の形態について図を参照しつつその詳細を説明する。
【0039】
(概要)
図4に示されるように、本実施の形態に係る携帯端末装置10aは、無線通信ネットワーク500を介して、ユーザにより選択された情報(名称情報、言語種類、固有情報等)を外部サーバ600へ送信し、外部サーバ600からユーザにより選択された情報に基づく音声ガイドデータ300を受信し、記憶部106に記憶させるものである。携帯端末装置10aは、実施の形態1に係る携帯端末装置10と比較すると、音声ガイドデータ300を記憶していない点、外部サーバ600と無線通信を行う点、音声ガイドプログラム200に代わり音声ガイドプログラム200aが記憶部106に記憶されている点で大きく異なる。音声ガイドプログラム200aは、固有情報が展示物の名称である展示物リスト203aを含んでおり、表示部402が、作品番号入力欄の代わりに、展示物の名称を複数含む展示物リスト203aを選択可能に表示する。
【0040】
(処理動作)
以下、本実施の形態に係る携帯端末装置10aの音声ガイド処理の動作について図5を参照しつつその詳細を説明する。なお、図5において、図3と同一符号のものは図3の処理と同一又は同等の処理を示しており、重複する説明は省略する。
【0041】
図5に示されるように、先ず表示部402は、展示場リスト201、言語種類リスト202及び展示物リスト203を設定画面として表示し、ユーザの入力を促す(S201)。具体的には、表示部402は、ディスプレイに展示場リスト201を表示し、ユーザからの名称情報の選択を受け付けた後、言語種類リスト202を表示し、言語種類の選択を受け付ける。次に、選択された名称情報に対応する展示物リスト203aを表示、即ち展示物の名称をリストボタンの形式で表示し、音声ガイドを受けたい展示物の名称を選択させる。ここで、展示物が複数ある場合は、複数の選択を可能とすることが好ましい。
【0042】
ユーザの選択後、取得部403は、ユーザが選択した名称情報、言語種類および展示物の名称を取得し(S202)、無線通信ネットワーク500を介してこれらを外部サーバ600へ送信する(S203)。この外部サーバ600は予め音声ガイドデータ300を格納しており、受信する情報に基づいて対応する音声ガイドデータ300を携帯端末装置10aへ送信するものである。各種データの送信後、取得部403は、外部サーバ600から送信された音声ガイドデータ300をダウンロードし、記憶部106に記憶させる(S204)。なお、音声ガイドデータ300は、展示場での鑑賞を終えた後は不要となるため、制御部101のメモリに記憶させてもよい。
【0043】
ダウンロード後、表示部402は、館内マナーモードを実行するか否かをYES/NOの選択肢ボタンの形式をなす選択画面としてディスプレイに表示し(S205)、判定部404は、館内マナーモードが実行されたか否かをYESの選択肢ボタンが選択されたか否かにより判定する(S206)。YESの選択肢ボタンが選択された場合(S206,YES)、ステップS101の館内マナーモード実行の処理が行われ、後述するステップS207へ移行する。一方、NOの選択肢ボタンが選択された場合(S206,NO)、ステップS101の館内マナーモード実行の処理が行われず、ステップS207へ移行する。
【0044】
判定部404の判定後、表示部402は、ステップS201において選択された名称情報に対応する展示物リスト203aのうち、同ステップS201において選択された展示物の名称をリストアップしてリストボタンの形式で表示し、ユーザに対して何れの展示物の音声ガイドを行うか選択を促す(S207)。なお、ここでのリストアップ時に、展示場において予め規定された閲覧順路(閲覧順序)の順に展示物の名称を並べてリストボタン形式に表示することが好ましい。次いで、再生部405は、選択された展示物の名称に対応する音声ガイドデータ300を再生し(S208)、再生後に再びステップS207に移行し、展示物の名称選択画面を表示する。
【0045】
本実施の形態によれば、先ずユーザに対して音声ガイドを所望する展示物の選択を仰ぐため、記憶部106に全ての展示場の音声ガイドデータ300を記憶する必要がなく、その分空くリソースを有意義に使用することができる。また、携帯端末装置が備える基本的な通信機能を用いるため、無線通信に関する機構を新たに備える必要がない。
【0046】
実施の形態3.
実施の形態1及び2では、展示物の作品番号を入力または展示物の名称を選択することにより、所望の音声ガイドデータ300を抽出すると説明した。しかしながら、展示場の構造を2次元または3次元で視覚的に示した展示場マップをディスプレイに表示し、ユーザに各種情報を選択させて音声ガイドデータを再生するようにしてもよい。以下、本実施の形態について図を参照しつつその詳細を説明する。
【0047】
(概要)
図6に示されるように、本実施の形態に係る携帯端末装置10bは、実施の形態1と比較して音声ガイドプログラム200に代わり音声ガイドプログラム200bを記憶部106に記憶している。音声ガイドプログラム200bは、音声ガイドプログラム200と比較すると、展示物リスト203に代わり展示場マップ204を含んでいる。図7は、携帯端末装置10bのユーザインターフェース部104が備えるディスプレイ104bに展示場マップ204が2次元的に表示された状態を示している。なお、図7に示される100は携帯端末装置10bの筐体を示している。
【0048】
図7に示されるように、展示場マップ204は展示場の内部構造(見取り図)を示しており、展示場に展示された展示物を示す展示物アイコン700a〜700iが、実際に展示されている位置に対応して配置されている。展示物アイコンを区別せずに説明する場合は展示物アイコン700と称する。展示物アイコン700a〜700iはそれぞれに対応する音声ガイドデータ300が割り当てられており、選択可能なボタン形式で表示されている。ユーザが展示物アイコン700a〜700iの何れかをタップ等して選択することで、対応する音声ガイドデータ300が再生される。なお、展示物アイコン700のアイコン画像は、展示物の種類に応じて変化させることが好ましく、ロングタップによりその名称が表示されることが好ましい。
【0049】
(処理動作)
以下、本実施の形態に係る携帯端末装置10bの音声ガイド処理の動作について図8を参照しつつその詳細を説明する。なお、図8において、図3と同一符号のものは図3の処理と同一又は同等の処理を示しており、重複する説明は省略する。
【0050】
図8に示されるように、ステップS101〜ステップS103の処理がなされた後、表示部402は、選択された名称情報に対応する展示場マップ204を抽出し(S301)、抽出した展示場マップ204と共に展示物アイコン700を表示し、ユーザへ選択を促す(S302)。展示物アイコン700が選択されると、再生部405は、選択された展示物アイコン700に対応する音声ガイドデータ300を再生し(S303)、再生後に再びステップS302に移行し、展示場マップ204と共に展示物アイコン700を表示する。
【0051】
本実施の形態によれば、展示場マップ204をディスプレイ104b上に表示するため、ユーザは直感的且つ正確に、所望する音声ガイドに係る展示物アイコン700を選択することができ、展示物の選択を容易にすることが可能となる。したがって、作品番号の打ち間違えや類似名称に係る選択ミスが生じることはない。
【0052】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態1〜3は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。また、前述の実施の形態1〜3は、矛盾しない限りで適宜組み合わせることが可能であることは言うまでもない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【0053】
なお、特許請求の範囲に記載の音声再生部は、例えば再生部405に対応し、機能制限部は、例えば制限部401に対応する。選択肢表示部および入力欄表示部は、例えば表示部402に対応し、固有情報判定部は、例えば判定部404に対応する。音声ガイド情報は、例えば音声ガイドデータ300に対応し、構造情報は、例えば展示場マップ204に対応する。対象物は、例えば展示物に対応し、音声ガイド方法は、例えば音声ガイド処理に対応する。
【符号の説明】
【0054】
10,10a,10b 携帯端末装置
104b ディスプレイ
105 撮像部(カメラ)
200,200a,200b 音声ガイドプログラム
204 展示場マップ(構造情報)
300 音声ガイドデータ(音声ガイド情報)
401 制限部(機能制限部)
402 表示部(選択肢表示部、入力欄表示部)
404 判定部(固有情報判定部)
405 再生部(音声再生部)
【要約】
【課題】如何なる形態の展示場であっても他の鑑賞者の鑑賞を妨げずに音声ガイドを行うことができる携帯端末装置の音声ガイドプログラム、音声ガイド方法、携帯端末装置を提供する。
【解決手段】カメラとディスプレイとを有し音声通話可能な携帯端末装置10を、対象物に関する音声ガイド情報を音声として再生する再生部405と、前記音声の再生に先立って、前記ディスプレイの照度の低下、前記音声通話の防止、前記カメラの起動防止のうちの少なくとも何れか1つの機能制限を行う制限部401として機能させる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8