(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、型枠を撤去するまで数日の養生期間が必要であり、埋め戻し作業を毎日又は短期間で行うことができなかった。したがって、シールド機の後方とインバート部との間で作業を行う際に、型枠が邪魔で作業の効率が低下するという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、所望の養生期間の経過後に型枠を撤去しても埋め戻し土は安定を保つことが可能
とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
経時性硬化材を含む埋め戻し土を埋め戻すときに型枠で支持して前記経時性硬化材で硬化した埋め戻し土の端部を形成し、前記形成した端部に、
経時性硬化材を含む新たな埋め戻し土を連続するように埋め戻して、
経時性硬化材により硬化した埋め戻し土からなる構造物を構築する方法であって、
前記型枠の上部を前記埋め戻し土側に傾けた状態で前記型枠を設置する型枠設置工程と、
前記型枠内に前記埋め戻し土を埋め戻す敷設工程と、
前記敷設工程にて埋め戻された前記埋め戻し土が所定の養生日数を経過した後、前記型枠を撤去する撤去工程と、
を繰り返すことを特徴とする。
【0007】
また、本発明において、前記型枠の傾斜角は、前記所定の養生日数を経過した後に前記型枠を撤去しても前記埋め戻し土の端部の斜面が安定を保つ
、前記所定の養生日数を経過した時点での前記埋め戻し土の安息角以下であることとしてもよい。
【0009】
また、本発明は、
経時性硬化材を含む埋め戻し土を埋め戻すときに型枠で支持して前記経時性硬化材で硬化した埋め戻し土の端部を形成する端部形成方法において、前記型枠の上部を前記埋め戻し土側に傾けた状態で前記型枠を設置する型枠設置工程と、前記型枠内に前記埋め戻し土を埋め戻す敷設工程と、前記敷設工程にて埋め戻された前記埋め戻し土が所定の養生日数を経過した後、前記型枠を撤去する撤去工程と、を備え、前記型枠の傾斜角を、前記所定の養生日数を経過した後に前記型枠を撤去しても前記埋め戻し土の端部の斜面が安定を保つ、前記所定の養生日数を経過した時点での前記埋め戻し土の安息角以下とする埋め戻し土の端部形成方法における前記安息角を算出する安息角算出システムであって、
前記埋め戻し土の重量及び前記埋め戻し土の高さの各値を組み合わせたパターン毎に、前記埋め戻し土の養生日数を変数として前記埋め戻し土の安息角を表す関数を記憶した記憶部と、
前記埋め戻し土の重量及び前記埋め戻し土の高さの値をそれぞれ入力部で受け付け、ここで受け付けた値の組み合わせに合致するパターンを前記記憶部にて特定し、特定したパターンに対応する関数を前記記憶部より読み出す処理
部と、
前記埋め戻し土の養生日数の値を入力部で受け付け、ここで受け付けた値を前記読み出した関数に適用して前記埋め戻し土の安息角を算定し、当該安息角を出力部に表示する処理と、を実行する演算部と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明において、前記演算部は、
前記埋め戻し土の重量、前記埋め戻し土の高さ及び養生日数における前記埋め戻し土の強度を変数とした前記埋め戻し土の安定計算を、前記埋め戻し土の重量、前記埋め戻し土の高さ及び前記養生日数における前記埋め戻し土の強度の各値を組み合わせたパターン毎に実行することで前記埋め戻し土の安息角を算出し、
前記養生日数を独立変数、前記安息角を従属変数とした回帰分析を、前記埋め戻し土の重量及び前記埋め戻し土の高さの各値を組み合わせたパターン毎に実行することで前記養生日数を変数とした前記安息角を解とする回帰式を生成し、
当該回帰式を、前記埋め戻し土の重量及び前記埋め戻し土の高さの各値を組み合わせたパターンに対応付けて記憶部に格納する処理を実行することとしてもよい。
【0011】
本発明は、
経時性硬化材を含む埋め戻し土を埋め戻すときに型枠で支持して前記経時性硬化材で硬化した埋め戻し土の端部を形成する端部形成方法において、前記型枠の上部を前記埋め戻し土側に傾けた状態で前記型枠を設置する型枠設置工程と、前記型枠内に前記埋め戻し土を埋め戻す敷設工程と、前記敷設工程にて埋め戻された前記埋め戻し土が所定の養生日数を経過した後、前記型枠を撤去する撤去工程と、を備え、前記型枠の傾斜角を、前記所定の養生日数を経過した後に前記型枠を撤去しても前記埋め戻し土の端部の斜面が安定を保つ、前記所定の養生日数を経過した時点での前記埋め戻し土の安息角以下とする埋め戻し土の端部形成方法における前記安息角を算出する安息角算出方法であって、
前記埋め戻し土の重量及び前記埋め戻し土の高さの各値を組み合わせたパターン毎に、前記埋め戻し土の養生日数を変数として前記埋め戻し土の安息角を表す関数を記憶した記憶部と、演算部と、を備える情報処理システムが、
前記埋め戻し土の重量及び前記埋め戻し土の高さの値をそれぞれ入力部で受け付け、ここで受け付けた値の組み合わせに合致するパターンを前記記憶部にて特定し、特定したパターンに対応する関数を前記記憶部より読み出す処理と、
前記埋め戻し土の養生日数の値を入力部で受け付け、ここで受け付けた値を前記読み出した関数に適用して前記埋め戻し土の安息角を算定し、当該安息角を出力部に表示する処理と、を実行することを特徴とする。
【0012】
本発明は、
型枠システムであって、型枠の傾斜角度を変更可能な型枠支持装置と、上述し
た埋め戻し土の安息角算出方法にて算出された安息角
を受信して、前記型枠支持装置を、前記型枠の傾斜角度が前記受信した安息角以下となるように制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明
の構造物は、上述した
構造物の構築方法にて構築されたことを特徴とする
。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所望の養生期間に応じた埋め戻し土の安息角を算出することができる。また、その安息角以下で埋め戻し土を埋め戻すことによって、この養生期間経過後に型枠を撤去しても埋め戻し土は安定を保つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本実施形態では、シールド機1で掘削されたトンネル2内のインバート部3に経時性硬化材を含む埋め戻し土4を埋め戻す場合について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態におけるトンネル2の断面図である。
本図に示すように、シールド機1で掘削されたトンネル2内のインバート部3に経時性硬化材を含む埋め戻し土4を埋め戻して、資機材を運搬可能な走行路を構築する。
【0018】
埋め戻し土4は、シールド機1から後方へ所定の距離だけ離れた位置に埋め戻される。このとき、埋め戻し土4のシールド機側端面は、型枠12で所定の安息角に形成される。
本実施形態では、埋め戻し土4として、地山Eの掘削により生じた掘削土を流動化処理したものにセメント、水等を添加して形成した泥水状態の流動化処理土を用いた。なお、使用する土砂は掘削土に限定されるものではなく、一般的な土砂を用いてもよい。
【0019】
図2及び
図3は、それぞれ本実施形態における型枠支持装置10の側面図及び平面図である。また、
図4は、
図3のA矢視図である。
これらの図に示すように、型枠支持装置10は、台車11と、覆工体5に沿った円弧状の型枠12と、型枠12を傾斜させるための傾斜装置13と、を備える。
【0020】
台車11は、タイヤ14を備えており、トンネル2内を移動可能である。このタイヤ14には、ストッパが設けられており、このストッパでタイヤ14の回転をロックすることにより、台車11を所定の位置に固定できる。
【0021】
また、台車11の下端部と型枠12の下端部とはピン結合にて連結されており、このピン結合部15を中心に型枠12が回動可能である。
【0022】
型枠12の弧面には、エア入りのチューブ16が取り付けられており、このチューブ16が覆工体5に密着することで、型枠12と覆工体5との間に隙間が生じて埋め戻し土4がシールド機側に流出することを防止できる。
【0023】
傾斜装置13は、油圧により作動するシリンダ17と、油圧ポンプ18と、油タンク19と、型枠12の傾斜角を測定するための傾斜計20と、を備え、台車11に設置されている。
シリンダ17は、その一端が台車11の上部に接続され、他端が型枠12の上部にリンク21、22を介して接続されており、シリンダ17が最も縮んだ状態のとき、型枠12は鉛直になるように構成されている。一方、シリンダ17を伸張させると型枠12は、
図5に示すように、上記ピン結合部15を中心に上側が坑口側に向かって傾斜する。型枠12の傾斜角は傾斜計20にて測定されており、埋め戻し土4が安定を保つ斜面の角度、すなわち、安息角になったら型枠12の傾斜は停止する。なお、シリンダ17の伸縮は、後述する安息角算出システム100の制御部107にて制御される。
【0024】
続いて、埋め戻し土4の端部形成方法について、施工手順に従って説明する。
【0025】
まず、型枠12を設置する型枠設置工程を実施する。
チューブ16が縮んだ状態、すなわちチューブ16内に空気が入っていない状態で型枠支持装置10を移動させることによって型枠12を所定の位置に設置する。このとき、型枠12は、既設の埋め戻し土4からシールド機側に所定の間隔をおいて設置される(
図1参照)。
その後、型枠支持装置10が動かないように台車11のタイヤ14にストッパをかける。
【0026】
型枠12を設置したら、傾斜装置13のシリンダ17を伸縮させて型枠12を所定の安息角まで傾斜させる。この安息角の算出方法については後述する。
型枠12の傾斜角が安息角であることを傾斜計20で確認したら、チューブ16内に空気を供給してチューブ16を覆工体5に密着させる。
【0027】
次に、型枠12と既設の埋め戻し土4との間に、新たな埋め戻し土4を埋め戻す敷設工程を実施する。
【0028】
次に、新たに敷設した埋め戻し土4が所定の養生日数を経過した後、型枠12を撤去する撤去工程を実施する。
型枠12を撤去する際は、チューブ16内の空気を抜いて型枠12と覆工体5との間に隙間を形成する。そして、タイヤ14のストッパを解除し、型枠支持台車10をシールド機側へ移動させる。
【0029】
上述した型枠設置工程から撤去工程までの一連の作業を繰り返すことによって、トンネル2内のインバート部3に埋め戻し土4を連続的に埋め戻して、走行路を構築する。
【0030】
−−−安息角算出システム100構成例−−−
続いて、安息角を算出する安息角算出システム100について、その構成を詳述する。
【0031】
図6は、本実施形態における安息角算出システム100のハードウェア構成例を示す図である。
本図に示すように、本実施形態の安息角算出システム(以下、システムという)100は、ハードディスクドライブなど不揮発性の記憶部101、RAMなどの不揮発性の記憶部であるメモリ103、記憶部101に保持しているプログラム102をメモリ103に読み出して実行するCPUなどの演算部104、キーボードやマウスといった入力部105、ディスプレイやスピーカー、プリンタ等の出力部106及びシリンダ17の伸縮を制御する制御部107、を備えている。
【0032】
さらに、出力データをシールド機1の操作室内や地上の監視室内のモニターで表示できるように、システム100は、NIC(Network Interface Card)やモデム、携帯電話モジュールなど、他装置と通信する通信部108を備えている。
【0033】
このシステム100による安息角の算出処理は、記憶部101のプログラム102を演算部104が実行することで実現される。
【0034】
記憶部101には、パターンテーブル125と、回帰式テーブル126と、が格納されている。
後述する
図7に例示するように、パターンテーブル125には、埋め戻し土4の重量及び高さの各値を組み合わせたパターンIDが格納されている。
また、後述する
図10に例示するように、回帰式テーブル126には、埋め戻し土4の養生日数を変数として埋め戻し土4の安息角を表す関数(本実施形態の例では回帰式)が、上記パターンID毎に格納されている。
パターンテーブル125及び回帰式テーブル126の例については後述する。
【0035】
次に、プログラム102を利用して演算部104が実現する処理について説明する。
演算部104は、敷設予定の埋め戻し土4の重量及び高さの値をそれぞれ入力部105でユーザから受け付け、ここで受け付けた各値の組み合わせに合致する複数のパターンIDを記憶部101のパターンテーブル125にて特定し、特定したパターンIDに対応する関数を記憶部101の回帰式テーブル126より読み出す。
【0036】
また、演算部104は、敷設予定の埋め戻し土4の養生日数の値を入力部105でユーザから受け付け、ここで受け付けた埋め戻し土4の養生日数の値を上記読み出した関数に適用して安息角を算定し、この安息角を出力部106に表示する処理を実行するとともに、制御部107に送信する。
【0037】
制御部107は、演算部104から受信した安息角となるようにシリンダ17の伸縮量を調整する。これにより、型枠12を算出された安息角に傾斜させることができる。
【0038】
−−−パターンテーブル125、回帰式テーブル126の構造例−−−
図7は、本実施形態におけるパターンテーブル125の例を示す図である。
本図に示すように、パターンテーブル125は、埋め戻し土4の重量及び高さの各値を組み合わせたパターンを網羅したテーブルとなる。
【0039】
このテーブルは、埋め戻し土4の重量及び高さといった条件について、各条件のとりうる値が対応付けされた構成となっている。
【0040】
パターンテーブル125を構成する埋め戻し土4の重量及び高さの各値は、トンネル2掘削作業等を行う前に予めユーザによって入力される。
ユーザがこれらの値を入力する際においては、
図8に示すように、ユーザに問いかける順序すなわち質問順序が設定されているとすれば好適である。本図の例では、質問順に、「埋め戻し土の重量」、「埋め戻し土の高さ」となっている。
したがって、パターンテーブル125に登録されている各パターンも、
図9に示すように、各条件を分岐点としたツリー構造で互いに結ばれたものとなる。このような構造となっていれば、システム100は、上記ツリー構造の上位階層から順に、すなわちパターンテーブル125の質問順序に沿って、各条件の値を入力部105で順次受け付けていき、受け付けた条件とその値によりツリー構造を分岐した箇所から下位階層のパターンIDを、関数の検索範囲として順次絞り込んでいくことができる。
なお、本実施形態では、パターンテーブル125を構成する要素を埋め戻し土4の重量及び高さとしたが、これらに限定されるものではなく、経時硬化材の混合量を追加してもよい。
【0041】
図10は、本実施形態における回帰式テーブル126の例を示す図である。
本図に示すように、回帰式テーブル126は、パターンテーブル125で規定した各パターンID毎に、埋め戻し土4の養生日数を変数として当該埋め戻し土4の安息角を表す関数が記憶部101に格納されている。
【0042】
安息角を表す関数、すなわち回帰式は、例えば、パターンID00001の場合、安息角R=a+b×D、となる。ここで、a、bは係数であり、Dは養生日数である。
こうした回帰式は例えばシステム100が予め上記パターンIDの全てについて求めておき、記憶部101の回帰式テーブル126に格納している。回帰式の求め方については後述する。
【0043】
−−−安息角算出の処理フロー−−−
次に、本実施形態の埋め戻し土4の安息角算出方法の処理フローについて説明する。
【0044】
図11は、本実施形態における安息角算出方法の処理フロー例を示す図である。
本図に示すように、まず、システム100の演算部104は、回帰式テーブル126の生成処理を実行する(ステップs100)。
【0045】
このステップs100ではシステム100の演算部104が、パターンテーブル125で規定した各パターンID毎に、所定の養生日数における埋め戻し土4の強度(内部摩擦角及び粘着力)を用いて安定計算を実施して安息角を算出する。この所定の養生日数における埋め戻し土の強度(内部摩擦角及び粘着力)の各値は入力部105でユーザから受け付ける。なお、所定の養生日数における埋め戻し土の強度(内部摩擦角及び粘着力)の各値は、埋め戻し土4の供試体を使って予め所定の養生日数(例えば、1日、7日、28日など)の内部摩擦角及び粘着力を測定したものを用いる。
【0046】
安定計算は、例えば、一般によく用いられる、無限長の二次元問題としてすべり面を円弧と仮定した、円弧すべり解析法により実行する。この安定計算はシステム100の記憶部101に備わる、既存の安定計算プログラムで実行できる。この場合、システム100は、記憶部101に安定計算プログラムを備えており、この安定計算プログラムを記憶部101から読み出し、各パターンIDが示す条件の値(本実施形態では、埋め戻し土4の重量及び高さ)及び所定の養生日数における埋め戻し土4の強度(内部摩擦角及び粘着力)を入力値として安定計算プログラムに与え、解析結果として所定の養生日数における埋め戻し土4の安息角の値を得ることになる。したがって、各パターンIDと所定の養生日数とを組み合わせた数だけ安息角が算出されることとなる。
【0047】
続いて、システム100の演算部104が、各パターンID毎に対応する所定の養生日数を独立変数とし、上記解析で得られた安息角を従属変数とした回帰分析を実行することで、養生日数を変数とした安息角の式である回帰式を生成し、当該回帰式を該当パターンIDに対応付けて記憶部101の回帰式テーブル126に格納する処理を実行する。この場合、当然ながらシステム100は、記憶部101にて回帰分析のプログラムを備えており、必要に応じて読み出して実行できるものとする。所定の養生日数の埋め戻し土4の強度は変わらずとも、埋め戻し土4の重量、高さの少なくとも何れか一方が異なればその安息角は変わってくる。したがって、各パターンID毎に回帰式が存在することとなる。
なお、安息角と埋め戻し土4の性状との関係は関数で表現されていれば、回帰分析で得られる回帰式に拘らない。
【0048】
なお、本実施形態では、システム100の演算部104がステップs100で回帰式テーブル126を作成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、設計作業等によって回帰式テーブル126が既に作成されている場合には、その回帰式テーブル126を記憶部101に移行してもよい。かかる場合には、演算部104の負担を低減することができる。
【0049】
次に、システム100の演算部104が、
図12に示すように、敷設予定の埋め戻し土4に関する「埋め戻し土の重量」、「埋め戻し土の高さ」の各値を入力部105でユーザから受け付ける(ステップs101)。
【0050】
次に、システム100の演算部104は、ここで受け付けた「埋め戻し土の重量」、「埋め戻し土の高さ」の各値の組み合わせに合致するパターンIDを記憶部101のパターンテーブル125にて特定する(ステップs102)。
【0051】
次に、システム100の演算部104は、ステップs102で特定したパターンIDに対応する回帰式を、記憶部101の回帰式テーブル126より読み出す(ステップs103)。
【0052】
続いて、システム100の演算部104は、敷設予定の「埋め戻し土の養生日数」の値を入力部105でユーザから受け付ける(ステップs104)。ここで受け付けられる埋め戻し土の養生日数の値は任意の正数で、現場の状況に応じて適宜決定されるものであり、上記安定計算時に用いた所定の養生日数の値(例えば、1日、7日、28日など)に限定されるものではない。
【0053】
ステップs104で受け付けた養生日数の値は、回帰式の変数となる条件に関する値であり、回帰式たる安息角の式、例えば、パターンID00001のR=a+b×D(
図10参照)、における変数(D)の値となる。
【0054】
また、システム100の演算部104は、ここで受け付けた養生日数Dの値を、この安息角の式に代入し安息角を算定する(ステップs105)。これにより、所望の養生日数に応じた安息角を算定することができる。
【0055】
ここで算定した安息角の値は、システム100の演算部104がディスプレイ装置などの出力部106に表示させる(ステップs106)。
【0056】
また、システム100の演算部104が、安息角の値を制御部107に送信する(ステップs107)。
【0057】
ここで、送信された安息角の値を受信したシステム100の制御部107は、傾斜計20にて測定される型枠12の傾斜角が安息角になるようにシリンダ17を伸縮させる(ステップs108)。
【0058】
以上、本実施形態によれば、所望の養生期間に応じた埋め戻し土4の安息角を算出することによって、この養生期間経過後に型枠12を撤去しても埋め戻し土4は安定を保つことができる。
【0059】
すなわち、適切な安息角で埋め戻し土を敷設することにより、1日の養生期間であっても埋め戻し土4が崩壊することがない。養生期間を1日とすると、埋め戻し土4を毎日敷設することが可能になる。これにより、資機材等を運搬するための走行路が、常にシールド機1近辺まで構築されるので、効率よくトンネル2内での作業を実施することができる。
【0060】
また、埋め戻し土4の重量及び高さにより分類された各パターンID毎に養生日数を独立変数とした回帰式を用いて安息角を算出するので、多くの独立変数を利用する重回帰式よりも安息角の精度を高めることができる。
【0061】
また、型枠12は移動可能なので、埋め戻し土4からなるインバート部3をトンネル2の掘進方向へ連続的に構築することができる。
【0062】
なお、本実施形態においては、型枠12を傾斜させる方法として、油圧にてシリンダ17を伸縮させる機構を用いたが、これに限定されるものではなく、他の機構を用いてもよい。
【0063】
なお、本実施形態においては、トンネル2内のインバート部3に埋め戻し土4を埋め戻す場合について説明したが、この場所に限定されるものではなく、埋め戻し土4を埋め戻す場合であれば本発明が適用可能である。
【0064】
なお、本実施形態においては、型枠12の傾斜角を安息角とした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、型枠12の傾斜角は安息角以下であればよい。