特許第5728937号(P5728937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5728937金属製パイプの曲げ加工方法、この方法に用いるパイプベンダのロールブロック、および前記方法を用いて加工された金属製パイプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728937
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】金属製パイプの曲げ加工方法、この方法に用いるパイプベンダのロールブロック、および前記方法を用いて加工された金属製パイプ
(51)【国際特許分類】
   B21D 7/025 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
   B21D7/025 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-290466(P2010-290466)
(22)【出願日】2010年12月27日
(65)【公開番号】特開2012-135797(P2012-135797A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】大野 浩
【審査官】 宇田川 辰郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−301520(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第347415(GB,A)
【文献】 米国特許第2406838(US,A)
【文献】 米国特許第5142895(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 7/025
B21D 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプベンダのロールブロックの外周面に形成されているパイプガイド用凹部に金属製パイプを嵌入し、前記パイプガイド用凹部を規定する側面断面半円弧状の曲げガイド面に、前記金属製パイプを押し付けて沿わせることにより、前記金属製パイプを曲げるとともに、この金属製パイプの曲げ部の内側面には、前記曲げガイド面の周方向に並んで設けられている複数の凹溝に対応した複数の凸部を形成する、金属製パイプの曲げ加工方法であって、
前記ロールブロックの前記複数の凹溝については、前記曲げガイド面の周方向と交差する高さ方向の全長域にわたって所定以上の深さを有するように形成し、前記複数の凹溝の両端部が前記ロールブロックの外周面に開口することにより、前記パイプガイド用凹部のエッジ部分が凹凸状となるように構成しておくとともに、前記複数の凹溝のそれぞれの内壁面を、平面断面視円弧状の湾曲面とした上で、前記複数の凹溝の各間の寸法が実質的にゼロとなるように前記複数の凹溝を互いに隣接させた状態で、前記ロールブロックの曲げガイド面の周方向に略180°の角度範囲で設けておき、
前記金属製パイプに平面視略半円弧状の曲げ部を形成するように前記金属製パイプを前記曲げガイド面に沿わせて曲げるときには、前記パイプガイド用凹部のエッジ部分またはその近傍部分をも利用して前記複数の凸部を形成し、これら複数の凸部を、前記金属製パイプの外周の略半分の寸法長を有するものとし、前記金属製パイプの前記曲げ部の内側領域の略全域を凹凸状領域とすることを特徴とする、金属製パイプの曲げ加工方法。
【請求項2】
外周面に形成され、かつ曲げ加工対象の金属製パイプを嵌入させるためのパイプガイド用凹部と、
このパイプガイド用凹部を規定する側面断面半円弧状の曲げガイド面に設けられ、かつこの曲げガイド面の周方向に並ぶ複数の凹溝と、
を具備している、パイプベンダのロールブロックであって、
前記複数の凹溝は、前記曲げガイド面の周方向と交差する高さ方向の全長域にわたって所定以上の深さを有するように形成され、前記複数の凹溝の両端部が前記外周面に開口することにより、前記パイプガイド用凹部のエッジ部分が凹凸状に形成されているとともに、
前記複数の凹溝のそれぞれの内壁面は、平面断面視円弧状の湾曲面とされた上で、前記複数の凹溝の各間の寸法は実質的にゼロとなるように前記複数の凹溝は互いに隣接した状態で、前記曲げガイド面の周方向に略180°の角度範囲で設けられており、
前記金属製パイプに平面視略半円弧状の曲げ部を形成するように前記金属製パイプを前記曲げガイド面に沿わせて曲げたときには、前記曲げ部の内側領域の略全域を凹凸状領域に形成可能とされていることを特徴とする、パイプベンダのロールブロック。
【請求項3】
請求項1に記載の金属製パイプの曲げ加工方法を用いて加工されたことを特徴とする、金属製パイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製パイプの曲げ加工技術に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製パイプに曲げ加工を施すと、大抵の場合にスプリングバックを生じ、金属製パイプの曲げ角度が、実際に曲げた角度よりも小さくなる。このため、金属製パイプに曲げ加工を施す際には、スプリングバックを見越して、スプリングバックの予測量だけ金属製パイプを余分に曲げることにより、対処しているのが通例である。
【0003】
ただし、スプリングバックを見越して金属製パイプを余分に曲げる手段を採用するだけでは、スプリングバック量が大きい場合に、金属製パイプの曲げ角度を相当に大きくしなければならない。これでは、たとえば金属製パイプの曲げられた部分の先端が金属製パイプの他の部分に接触するといった種々の事情から、曲げ加工が困難となる場合がある。また、スプリングバック量が大きい場合には、このスプリングバック量が小さい場合と比較して、スプリングバックの予測量の誤差も大きくなる。したがって、曲げ加工を終えた後に、金属製パイプの曲げ角度が所望の角度となるように微調整する作業を頻繁に行なう必要が生じるといった不具合も生じる。
【0004】
金属製パイプの曲げ加工方法の一例としては、たとえば特許文献1に記載された方法がある。同文献に記載された方法においては、図6に示すようなロールブロック8を用いる。このロールブロック8は、金属製パイプ1を嵌入させるためのパイプガイド用凹部81が外周面に形成されたものであるが、パイプガイド用凹部81を規定する断面半円弧状の曲げガイド面80には、複数の凹溝82を設けている。このため、ロールブロック8を利用して金属製パイプ1を曲げると、図7に示すように、金属製パイプ1の曲げ部10の内側面には、複数の凸部11’が形成される。曲げ加工が施された金属製パイプのスプリングバックは、曲げ部10の内面側に生じる圧縮力と、外面側に生じる引っ張り力とに起因して生じるが、前記した複数の凸部11’を形成すると、前記圧縮力が小さくなり、スプリングバック量も小さくすることが可能である。
【0005】
しかしながら、前記従来技術においては、ロールブロック8の各凹溝82が、曲げガイド面80の上下両端部80a,80bには設けられていない。このため、金属製パイプ1の曲げ部10に形成される各凸部11’はその寸法L1が短いものとなる。図7に示す金属製パイプ1の曲げ部10においては、中心線C1が中立軸に相当し、中心線C1よりも内側領域に曲げ加工に起因する圧縮力が発生する。これに対し、各凸部11’は、中心線C1からかなり離間した位置に短く形成されるに過ぎないために、曲げ部10の内側領域には依然として圧縮力が生じる。したがって、スプリングバック量を十分に小さくする上で、未だ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3,686,347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、スプリングバック量を従来よりも小さくし、加工作業の容易化ならびに効率化を図ることが可能な金属製パ
イプの曲げ加工方法、この方法に用いるパイプベンダのロールブロック、および前記方法を用いて加工された金属製パイプを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面により提供される金属製パイプの曲げ加工方法は、パイプベンダのロールブロックの外周面に形成されているパイプガイド用凹部に金属製パイプを嵌入し、前記パイプガイド用凹部を規定する側面断面半円弧状の曲げガイド面に、前記金属製パイプを押し付けて沿わせることにより、前記金属製パイプを曲げるとともに、この金属製パイプの曲げ部の内側面には、前記曲げガイド面の周方向に並んで設けられている複数の凹溝に対応した複数の凸部を形成する、金属製パイプの曲げ加工方法であって、前記ロールブロックの前記複数の凹溝については、前記曲げガイド面の周方向と交差する高さ方向の全長域にわたって所定以上の深さを有するように形成し、前記複数の凹溝の両端部が前記ロールブロックの外周面に開口することにより、前記パイプガイド用凹部のエッジ部分が凹凸状となるように構成しておくとともに、前記複数の凹溝のそれぞれの内壁面を、平面断面視円弧状の湾曲面とした上で、前記複数の凹溝の各間の寸法が実質的にゼロとなるように前記複数の凹溝を互いに隣接させた状態で、前記ロールブロックの曲げガイド面の周方向に略180°の角度範囲で設けておき、前記金属製パイプに平面視略半円弧状の曲げ部を形成するように前記金属製パイプを前記曲げガイド面に沿わせて曲げるときには、前記パイプガイド用凹部のエッジ部分またはその近傍部分をも利用して前記複数の凸部を形成し、これら複数の凸部を、前記金属製パイプの外周の略半分の寸法長を有するものとし、前記金属製パイプの前記曲げ部の内側領域の略全域を凹凸状領域とすることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、金属製パイプの曲げ部の内側面には、金属製パイプの外周の略半分の寸法長を有する複数の凸部を形成し、金属製パイプの曲げ部の内側領域の略全域を凹凸状領域とすることができる。その結果、曲げ部の内側領域に、曲げ加工に起因する圧縮力が発生することを徹底して防止し、スプリングバック量を前記従来技術よりも小さくすることができる。その結果、スプリングバック量を予測して金属製パイプを余分に曲げる度合いを小さくして、作業の容易化などを図ることが可能となる。また、スプリングバックの予測量に大きな誤差も生じ難くなり、曲げ加工後において曲げ角度を調整する必要性も少なくなるため、作業効率が向上する。
金属製パイプの曲げ部には、複数の凸部を多数形成することが可能となり、金属製パイプのスプリングバック量を小さくするのにより好適となる。また、各凹溝の内壁面が、平面断面視円弧状の湾曲面であると、金属製パイプの外面に凸部を的確に形成するのにも好ましい。
【0011】
本発明の第2の側面により提供されるパイプベンダのロールブロックは、外周面に形成され、かつ曲げ加工対象の金属製パイプを嵌入させるためのパイプガイド用凹部と、このパイプガイド用凹部を規定する側面断面半円弧状の曲げガイド面に設けられ、かつこの曲げガイド面の周方向に並ぶ複数の凹溝と、を具備している、パイプベンダのロールブロックであって、前記複数の凹溝は、前記曲げガイド面の周方向と交差する高さ方向の全長域にわたって所定以上の深さを有するように形成され、前記複数の凹溝の両端部が前記外周面に開口することにより、前記パイプガイド用凹部のエッジ部分が凹凸状に形成されているとともに、前記複数の凹溝のそれぞれの内壁面は、平面断面視円弧状の湾曲面とされた上で、前記複数の凹溝の各間の寸法は実質的にゼロとなるように前記複数の凹溝は互いに隣接した状態で、前記曲げガイド面の周方向に略180°の角度範囲で設けられており、前記金属製パイプに平面視略半円弧状の曲げ部を形成するように前記金属製パイプを前記曲げガイド面に沿わせて曲げたときには、前記曲げ部の内側領域の略全域を凹凸状領域に形成可能とされていることを特徴としている。
【0012】
このような構成のパイプベンダのロールブロックによれば、本発明の第1の側面により提供される金属製パイプの曲げ加工方法を実施するのに適切に使用することができる。
【0015】
本発明の第3の側面により提供される金属製パイプは、本発明の第1の側面により提供される金属製パイプの曲げ加工方法を用いて加工されたことを特徴としている。
【0016】
このような構成の金属製パイプは、スプリングバック量が小さく、曲げ角度の修正などの必要性が少ない取り扱い性の良好なものとなる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a),(b)は、本発明に係る金属製パイプの曲げ加工方法に利用されるパイプベンダの一例を示す概略平面断面図である。
図2図1に示すパイプベンダのロールブロックを示し、(a)は、(b)のII−II平面断面図であり、(b)は側面図である。
図3図2(a)のIII−III断面図である。
図4】本発明が適用された金属製パイプの要部平面図である。
図5金属製パイプの他の例を示す要部平面図である。
図6】従来のパイプベンダのロールブロックの一例を示す側面図である。
図7図6に示すロールブロックを用いて曲げ加工が施された金属製パイプの一例を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
本発明に係る金属製パイプの曲げ加工方法は、たとえば図1に示すようなパイプベンダAを用いて実施することができる。このパイプベンダAは、ロールブロック2の構造を除き、それ以外の基本的な構成は、従来既知のものと同様である。すなわち、このパイプベンダAは、曲げ対象となる金属製パイプ1をロールブロック2の後述する曲げガイド面20に向けて押圧するためのプレッシャダイ30と、金属製パイプ1の一部分を保持するクランプダイ31とを備えている。クランプダイ31は、図1(a)に示す状態から同図(b)に示す状態に公転し、金属製パイプ1をロールブロック2の曲げガイド面20に押し当てていく動作が可能である。その際、ロールブロック2は回転する。このような動作により、金属製パイプ1は、図4を参照して後述するように、曲げ加工が施され、その曲げ部10には、複数の凸部11が長い寸法で密に形成される。
【0021】
図2に示すように、ロールブロック2は、たとえば略直方体のベース部29上に円柱状または円筒状の軸状部28が起立し、かつこの軸状部28の外周面の上端部寄りの位置には、金属製パイプ1を嵌入させるためのパイプガイド用凹部21が形成された構成を有している。パイプガイド用凹部21を規定する曲げガイド面20は、側面断面視形状が半円弧状であり、この曲げガイド面20には、周方向に並び、かつ上下高さ方向(ロールブロック2の軸長方向)に延びた複数の凹溝22が形成されている。このことにより、曲げガイド面20は、凹凸面となっているが、この凹凸面は、図2(a)に示すように、たとえば略180°の角度範囲に設けられている。
【0022】
曲げガイド面20の各凹溝22は、曲げガイド面20の上下高さ方向の全長域にわたって所定以上の深さ(金属製パイプ1に後述の凸部11を形成するのに適する深さ)を有するように形成されている。このことにより、図2(b)および図3に示すように、各凹溝22の上下両端部は、軸状部28の外周面に切欠き凹部状の態様で開口しており、パイプガイド用凹部21の上下のエッジ部分e1,e2は凹凸状となっている。図2(a)のB部拡大図によく表われているように、各凹溝22の内壁面22aの平面断面視形状は、適当な曲率半径Rの円弧状の凹状の湾曲面である(曲率半径Rなどの具体的寸法例は、後述する)。凹溝22どうしの間の幅W2は、凹溝22の幅W1よりも小さくされ、このことにより凹溝22の配列ピッチが小さく、凹溝22の総数が多くされている。より好ましくは、複数の凹溝22は、幅W2が実質的にゼロとなるように隣接して設けられている。
【0023】
次に、図1に示したパイプベンダAを用いた金属製パイプ1の曲げ加工方法の一例を説明する。
【0024】
金属製パイプ1に曲げ加工を施すには、金属製パイプ1をロールブロック2のパイプガイド用凹部21に嵌入させて、プレッシャダイ30により曲げガイド面20に押し付ける。次いで、先に述べたように、クランプダイ31を図1(b)のように公転させて、金属製パイプ1を曲げガイド面20に押し付けて沿わせていく。クランプダイ31の公転角度は、たとえば180°にスプリングバック量を加えた角度とする。ただし、後述するように、本実施形態では、スプリングバック量は非常に小さいものとなる。
【0025】
前記した曲げ加工を施すと、図4に示すように、半円弧状の曲げ部10を有する金属製パイプ1が得られる。曲げ部10の内側面には、ロールブロック2の複数の凹溝22に対応した複数の凸部11が形成される。一方、金属製パイプ1の曲げ加工時には、パイプガイド用凹部21の凹凸状に形成されたエッジ部分e1,e2またはその近傍部分も利用して複数の凸部11が形成される。このため、複数の凸部11は、金属製パイプ1の外周の略1/2の寸法を有するものとなり、曲げ部10のうち、図4の中心線Cよりも内側に位置する外面の略全域を凹凸状とすることができる。このことにより、曲げ部10の内側領域に、曲げ加工に起因して大きな圧縮力が発生しないようにすることができる。既述したように、金属製パイプ1のスプリングバックは、曲げ部10の内側領域の圧縮力と外側領域の引っ張り力に起因して発生するため、前記の圧縮力を減少させることにより、スプリングバック量も小さくなる。
【0026】
本実施形態では、ロールブロック2の複数の凹溝22が、既述したように、小ピッチで多数設けられているために、金属製パイプ1の複数の凸部11もそれに対応して小ピッチで多数設けられる。このことにより、曲げ部10に発生する圧縮力をより小さくすることができる。また、曲げ部10に複数の凸部11が形成される加工は、塑性加工であり、曲げ部10を変形し難くする作用を生じさせる。このことにより、金属製パイプ1のスプリングバック量が一層小さくなる効果が得られる。
【0027】
ロールブロック2の複数の凹溝22に関する具体的な寸法の一例を挙げると、図2(a)のB部拡大図において、各凹溝22の幅W1:2.0mm、各凹溝22の内壁面22aの曲率半径R:2.0mm、各凹溝22の深さd1:0.3mm、複数の凹溝22のピッチ角a1:9.00°である。このような仕様のロールブロック2を用いて、金属製パイプ(たとえば、外径8mm、肉厚0.3mm、材質ステンレス(JIS:SUS304Lの金属製パイプなど)を対象とし、パイプ中心曲げ半径が十数mm〜二十数mm程度の範囲で曲げ加工を施した処、金属製パイプには、上述した複数の凸部11に相当する複数の凸部を的確に形成することができ、スプリングバック量を相当に小さくする効果が得られた。
【0028】
曲げ部10が施された金属製パイプ1は、たとえば熱交換器の伝熱管として利用することができる。長尺状の金属製パイプ1に複数の曲げ加工を施すことにより、たとえば特開2007−333343号公報に記載されているような、平面視長円状の螺旋状伝熱管を製作することも可能である。このような螺旋状伝熱管においては、曲げ部10の数が多いために、スプリングバック量が小さくなって曲げ加工後に曲げ角度を修正する作業を行な
う必要がなくなれば、その生産性が相当に高くなる。
【0029】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る金属製パイプの曲げ加工方法の各作業工程の具体的な構成は、本発明の意図する範囲で変更自在である。また、本発明に係るパイプベンダのロールブロック、および金属製パイプの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0030】
図5は、金属製パイプ1を90°の角度で曲げる例を示す。この場合であっても、曲げ部10の内側面に、金属製パイプ1の外径の略1/2の寸法を有する凸部11を適切に形成し、スプリングバック量を小さくすることができる。本発明が適用された金属製丸パイプは、熱交換器の伝熱管として利用するのに適するが、これ以外の用途に用いることもできる。
【符号の説明】
【0031】
A パイプベンダ
e1,e2 エッジ部分
1 金属製パイプ
2 ロールブロック
10 曲げ部
11 凸部(金属製パイプの)
20 曲げガイド面
21 パイプガイド用凹部
22 凹溝
22a 内壁面(凹溝の)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7