(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
<液浸露光用感放射線性樹脂組成物>
本発明の液浸露光用感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体、及び[C]酸発生体を含有する。また、当該組成物は好適成分として[B]重合体、[D]酸拡散制御剤を含有することができる。さらに、当該組成物は本発明の効果を損なわない限り、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について詳述する。
【0027】
<[A]重合体>
[A]重合体は、フッ素原子及びアルカリ解離性基を有し、主鎖に脂環式基を有する重合体である。
【0028】
[構造単位(I)]
[A]重合体としては、フッ素原子及びアルカリ解離性基を有し、主鎖に脂環式基を有していれば特に限定されないが、上記式(1)で表される構造単位(I)を[A]重合体の主たる構造単位として含むことが好ましい。構造単位(I)を[A]重合体の主たる構造単位として含むことで、[A]重合体はより嵩高い脂環式基を有することができ、偏在化がより促進する。
【0029】
上記式(1)中、R
1〜R
4は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。aは、0又は1である。bは、0〜2の整数である。
【0030】
上記R
1〜R
4で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。但し、これらの基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。
【0031】
上記炭素数1〜20の鎖状若しくは分岐状の炭化水素基として、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。上記炭素数3〜20の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等の単環式飽和炭化水素基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクタジエニル基、シクロデカジエン等の単環式不飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デシル基、トリシクロ[3.3.1.1
3,7]デシル基、テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデシル基、アダマンチル基等の多環式飽和炭化水素基等が挙げられる。上記炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0032】
上記R
1〜R
4の少なくとも1つは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であることが好ましい。[A]重合体が、フッ素原子を有する態様として、構造単位(I)中にフッ素原子を有することで、[A]重合体をより偏在化させることができる。また、上記R
1〜R
4の少なくとも1つは上記式(2)で表される基であることが好ましい。[A]重合体が、アルカリ解離性基を有する態様として、構造単位(I)中にアルカリ解離性基を有することで、偏在化がより促進され、動的接触角の低下をより大きくすることができる。
【0033】
上記式(2)中、R
5はアルカリ解離性基である。アルカリ解離性基とは、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基等の極性官能基中の水素原子を置換する基であって、アルカリの存在下(例えば、23℃のテトラメチルアンモニウムヒドロキシシド2.38質量%水溶液中)で解離する基をいう。これにより、構造単位(I)は、アルカリの作用によって極性基を生じることとなる。
【0034】
上記R
5は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフッ素原子若しくはフッ素化アルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20の芳香族基であることが好ましい。アルカリ解離性基であるR
5を、上記特定基とすることでより本願発明の効果が向上する。
【0035】
a及びbとしては、0が好ましい。構造単位(I)としては、下記式で表される構造単位が好ましい。
【0037】
[A]重合体は、構造単位(I)を2種以上含んでいてもよい。[A]重合体における全構造単位に対する構造単位(I)の含有率としては、30モル%以上100モル%以下が好ましい。構造単位(I)の含有率を上記特定範囲とすることで、液浸露光時における大きい動的接触角と共に、現像による動的接触角の十分な低下を達成できる。
【0038】
[構造単位(II)]
[A]重合体は、上記式(3)で表される構造単位(II)をさらに含んでいてもよい。上記式(3)中、R
6及びR
7は、それぞれ独立して炭素数1〜20の1価の有機基である。R
8及びR
9は、それぞれ独立して2価の連結基である。
【0039】
上記R
6及びR
7で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば上記R
1〜R
4で表される炭素数1〜20の1価の有機基として例示した基が適用できる。
【0040】
上記R
8及びR
9で表される2価の連結基としては、例えば炭素数1〜30の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の2価の脂肪族環状炭化水素基、炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、イミノ基、アミド基又はこれらを組み合わせた2価の基等が挙げられる。
【0041】
上記炭素数1〜30の2価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、オクタンジイル基、デカンジイル基、ウンデカンジイル基、ヘキサデカンジイル基、イコサンジイル基等のアルカンジイル基;エテンジイル基、プロペンジイル基、ブテンジイル基、ペンテンジイル基、ヘキセンジイル基、オクテンジイル基、デセンジイル基、ウンデセンジイル基、ヘキサデセンジイル基、イコセンジイル基等のアルケンジイル基;エチンジイル基、プロピンジイル基、ブチンジイル基、オクチンジイル基、ブタジエンジイル基、ヘキサジエンジイル基、オクタトリエンジイル基等のアルキンジイル基等が挙げられる。
【0042】
上記炭素数3〜30の2価の脂肪族環状炭化水素基としては、例えば、シクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロヘプタンジイル基、シクロオクタンジイル基、シクロデカンジイル基、メチルシクロヘキサンジイル基、エチルシクロヘキサンジイル基等の単環式飽和炭化水素基;シクロブテンジイル基、シクロペンテンジイル基、シクロヘキセンジイル基、シクロヘプテンジイル基、シクロオクテンジイル基、シクロデセンジイル基、シクロペンタジエンジイル基、シクロヘキサジエンジイル基、シクロオクタジエンジイル基、シクロデカジエンジイル基等の単環式不飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジイル基、ビシクロ[2.2.2]オクタンジイル基、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカンジイル基、トリシクロ[3.3.1.1
3,7]デカンジイル基、テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデカンジイル基、アダマンタンジイル基等の多環式飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.1]ヘプテンジイル基、ビシクロ[2.2.2]オクテンジイル基、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デセンジイル基、トリシクロ[3.3.1.1
3,7]デセンジイル基、テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデセンジイル基等の多環式不飽和炭化水素基等が挙げられる。上記炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ベンジレン基、フェニレンエチレン基、フェニレンシクロへキシレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0043】
構造単位(II)としては、上記R
8及びR
9の少なくとも1つが酸素原子であり、この酸素原子と結合するR
6又はR
7がアルカリ解離性基であることが好ましい。構造単位(II)中にアルカリ解離性基を有することでアルカリ解離性基の存在密度が高まり、本願発明の効果がより向上する。
【0044】
上記R
6及びR
7は、それぞれ独立して炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のフッ素化アルキル基であることが好ましい。構造単位(II)がフッ素原子を有することで、アルカリ現像工程においてアルカリ解離性基はより容易に解離し、親水性の基を生じ、レジスト膜表面の疎水性低下がより向上する。
【0045】
上記フッ素化アルキル基のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0046】
構造単位(II)としては、下記式で表される構造単位が好ましい。
【0048】
[A]重合体は、構造単位(II)を2種以上含んでいてもよい。[A]重合体における全構造単位に対する構造単位(II)の含有率としては、30モル%以上60モル%以下が好ましい。構造単位(II)の含有率を上記特定範囲とすることで液浸露光時における大きい動的接触角と共に現像による動的接触角の十分な低下を達成できる。
【0049】
[構造単位(III)]
[A]重合体は、−C(=O)−O−C(=O)−を有する構造単位(III)をさらに含むことが好ましい。構造単位(III)を[A]重合体が含むことで、例えば構造単位(I)以外に[A]重合体は嵩高い構造を主鎖に有することができる。また、アルカリ現像工程において、−C(=O)−O−C(=O)−を有する構造単位(III)は、容易に加水分解によって解離することから、動的接触角の低下をより短時間で実現することができる。
【0050】
構造単位(III)としては、無水マレイン酸に由来する構造単位であることが好ましく、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0052】
上記式中、R
10は、炭素数1〜20の1価の有機基である。cは、0〜2の整数である。但し、R
10が複数の場合、複数のR
10は同一であっても異なっていてもよい。
【0053】
上記R
10で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば上記R
1〜R
4で表される炭素数1〜20の1価の有機基として例示した基が適用できる。
【0054】
[A]重合体は、構造単位(III)を2種以上含んでいてもよい。[A]重合体における全構造単位に対する構造単位(III)の含有率としては、30モル%以上60モル%以下が好ましい。構造単位(III)の含有率を上記特定範囲とすることで、液浸露光時における大きい動的接触角と共に、現像による動的接触角の十分な低下を達成できる。
【0055】
当該組成物における[A]重合体の含有量としては、後述する[B]重合体を含有する場合に、[B]重合体100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下が好ましい。[A]重合体の含有量を上記特定範囲とすることで、[A]重合体のレジスト膜の表面への偏析が効果的に起きるので、レジスト膜からの溶出がより抑制されると共に、レジスト膜表面の動的接触角がさらに高まるため水切れ性をより向上できる。
【0056】
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体の合成方法としては、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。例えば、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
【0057】
構造単位(I)を与える単量体としては、例えば下記式で表される単量体等が挙げられる。
【0059】
上記式中、R
1〜R
4、a及びbは、上記式(1)と同義である。
【0060】
構造単位(II)を与える単量体としては、例えば下記式で表される単量体等が挙げられ。
【0062】
上記式中、R
6〜R
9は、上記式(3)と同義である。
【0063】
構造単位(III)としては、上述したように、無水マレイン酸に由来する構造単位が好ましく、構造単位(III)を与える単量体としては、例えば下記式で表される単量体等が挙げられる。
【0065】
上記式中、R
10は、炭素数1〜20の1価の有機基である。cは、0〜2の整数である。但し、R
10が複数の場合、複数のR
10は同一であっても異なっていてもよい。
【0066】
これらの方法における反応温度は開始剤種によって適宜決定すればよい。通常、30℃〜150℃であり、40℃〜150℃が好ましく、50℃〜140℃がより好ましい。滴下時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体等の条件によって異なるが、通常、30分〜8時間であり、45分〜6時間が好ましく、1時間〜5時間がより好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間も、滴下時間と同様に条件により異なるが、通常、30分〜12時間であり、45分〜12時間が好ましく、1時間〜10時間がより好ましい。
【0067】
上記重合に使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等が挙げられる。このうち、AIBNが好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0068】
重合溶媒としては、重合を阻害する溶媒(重合禁止効果を有するニトロベンゼン、連鎖移動効果を有するメルカプト化合物等)以外の溶媒であって、その単量体を溶解可能な溶媒であれば使用することができる。例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステル・ラクトン類、ニトリル類及びその混合溶媒等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0069】
重合反応により得られた重合体は、再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の重合体を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、重合体を回収することもできる。
【0070】
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、1,000〜50,000であることが好ましく、1,000〜40,000であることがより好ましく、1,000〜30,000であることが特に好ましい。[A]重合体のMwを上記特定範囲内とすることで、十分な動的接触角を有するレジスト膜を得られ、かつレジスト膜の現像性が向上する観点から好ましい。
【0071】
[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常1.0〜5.0であり、1.0〜4.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましい。
【0072】
なお、Mw及びMnは東ソー製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い流量1.0mL/分、溶出溶媒にテトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。
【0073】
<[B]重合体>
当該組成物が含有する[B]重合体は、レジスト膜の主成分となる成分であり、酸解離性基を有し、[A]重合体よりもフッ素原子含有率が小さいベース重合体である。[B]重合体を含有することで、[A]重合体及び[B]重合体を含む当該組成物からレジスト膜を形成した際に、[A]重合体がレジスト膜表面に偏在化することとなる。なお、フッ素原子含有率は
13C−NMRにより測定することができる。
【0074】
[B]重合体におけるフッ素原子含有率は、フッ素含有重合体全体を100質量%とした際に、通常5質量%未満であり、好ましくは0質量%〜4.9質量%、より好ましくは0質量%〜4質量%である。[B]重合体におけるフッ素原子含有割合を上記範囲内とすることで、[B]重合体及び[A]重合体を含む当該組成物から形成されるレジスト膜表面の撥水性を高めることができる。
【0075】
[構造単位(IV)]
[B]重合体としては、酸解離性基を有し、[A]重合体よりもフッ素原子含有率が小さければ特に限定されないが、通常下記式で表される酸解離性基を有する構造単位(以下、「構造単位(IV)」とも称する)を含む。酸解離性基とは、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基等の極性官能基中の水素原子を置換する基であって、酸の存在下で解離する基をいう。これにより、構造単位(IV)は、酸の作用によって極性基を生じることとなる。従って、露光工程において露光された部分のアルカリ現像液に対する溶解性を高くすることができる点で好ましい。
【0077】
上記式中、R
11は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
12〜R
14は、それぞれ独立して炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数6~14のアリール基である。但し、R
12とR
13とが互いに結合している炭素原子と共に、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成していてもよい。
【0078】
上記R
12〜R
14で表される炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、1−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、sec−ペンチル基、neo−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、i−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、i−ノニル基、n−デシル基、i−デシル基等が挙げられる。上記R
12〜R
14で表される炭素数6〜14のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。上記R
12とR
13とが互いに結合している炭素原子と共に、形成していてもよい炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ジシクロペンタン、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタン等の脂環式炭化水素から水素原子2つを除いた基が挙げられる。
【0079】
構造単位(IV)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0081】
上記式中、R
11は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0082】
これらのうち、上記R
9がメチル基であり、R
11とR
12とが互いに結合している炭素原子と共に、アダマンタンから水素原子2つを除いた基を形成し、R
10が炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基である構造が構造単位(IV)としては好ましい。
【0083】
[B]重合体における構造単位(IV)の含有率としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%〜70モル%が好ましく、10モル%〜60モル%がより好ましい。なお、[B]重合体は、構造単位(IV)を2種以上含んでいてもよい。
【0084】
[構造単位(V)]
[B]重合体は、ラクトン構造及び環状カーボネート構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含む構造単位(以下、「構造単位(V)」とも称する)を含んでいてもよい。[B]重合体が構造単位(V)を含むことで、当該組成物から得られるレジスト膜の基板との密着性が向上する。
【0085】
構造単位(V)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0088】
上記式中、R
12は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0089】
[B]重合体における構造単位(V)の含有率としては、[B]重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%〜70モル%が好ましく、5モル%〜60モル%がより好ましい。なお、[B]重合体は、構造単位(V)を2種以上含んでいてもよい。
【0090】
<[B]重合体の合成方法>
[B]重合体の合成方法としては、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。例えば、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
【0091】
これらの方法における反応温度は開始剤種によって適宜決定すればよい。通常30℃〜180℃であり、40℃〜160℃が好ましい。滴下時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体等の条件によって異なるが、通常、30分〜8時間であり、45分〜6時間が好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間も、滴下時間と同様に条件により異なるが、通常、30分〜8時間であり、45分〜7時間が好ましい。
【0092】
重合に使用されるラジカル開始剤、溶媒、重合体の回収方法としては、[A]重合体の合成方法に記載した例と同様の化合物、方法を適用できる。
【0093】
[B]重合体のMwとしては、通常1,000〜300,000であり、2,000〜200,000が好ましく、3,000〜100,000がより好ましい。Mwを上記特定範囲とすることで、レジストとしての耐熱性及び現像性が向上する観点から好ましい。
【0094】
<[C]酸発生体>
[C]酸発生体は、レジストパターン形成の一工程である露光工程において、マスクを通過した光によって酸を発生する化合物である。当該組成物における[C]酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の態様(以下、この態様を適宜「[C]酸発生剤」とも称する)でも、重合体の一部として組み込まれた態様でも、これらの両方の態様でもよい。
【0095】
[C]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、スルホンイミド化合物等が挙げられる。これらのうち、オニウム塩化合物が好ましい。
【0096】
オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩(テトラヒドロチオフェニウム塩を含む)、ヨードニウム塩等が挙げられる。
【0097】
スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルホスホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−6−(1−アダマンタンカルボニロキシ)−ヘキサン−1−スルホネート等が挙げられる。これらのうち、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルホスホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−6−(1−アダマンタンカルボニロキシ)−ヘキサン−1−スルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートが好ましい。
【0098】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。これらのテトラヒドロチオフェニウム塩のうち、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート及び1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートが好ましい。
【0099】
ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。これらのヨードニウム塩のうち、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートが好ましい。
【0100】
スルホンイミド化合物としては、例えばN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0101】
[C]酸発生剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。[C]酸発生体が「剤」である場合の使用量としては、当該組成物により形成される塗膜の感度及び現像性を確保する観点から、[B]重合体100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましい。
【0102】
<[D]酸拡散制御剤>
当該組成物は、好適成分として[D]酸拡散制御剤を含有することができる。[D]酸拡散制御剤は、露光により[C]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏し、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上し、またレジストとしての解像度が向上するとともに、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
【0103】
[D]酸拡散制御剤としては、例えばアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0104】
アミン化合物としては、例えばモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ(シクロ)アルキルアミン類;トリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン等が挙げられる。
【0105】
アミド基含有化合物としては、例えばN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
【0106】
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
【0107】
含窒素複素環化合物としては、例えばイミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピペリジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0108】
[D]酸拡散制御剤として、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基の一例として、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物がある。オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
【0109】
[D]酸拡散制御剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。[D]酸拡散制御剤酸の含有量としては、[B]重合体100質量部に対して、レジストとしての感度が向上する観点から15質量部以下が好ましい。
【0110】
<その他の任意成分>
当該組成物は、[A]重合体、[C]酸発生体及び好適成分である[B]重合体、[D]酸拡散制御剤に加え、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて例えば偏在化促進剤、界面活性剤、増感剤等のその他の任意成分を含有できる。これらの各任意成分は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。また、その他の任意成分の配合量はその目的に応じて適宜決定することができる。以下、各成分を詳述する。
【0111】
[偏在化促進剤]
偏在化促進剤は、[A]重合体をより効率的にレジスト膜表面に偏析させる効果を有する。偏在化促進剤としては、例えば比誘電率が30以上200以下で、1気圧における沸点が100℃以上の低分子化合物等が挙げられる。このような化合物としては、例えばラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物v等が挙げられる。
【0112】
ラクトン化合物としては、例えばγ−ブチロラクトン、バレロラクトン、メバロニックラクトン、ノルボルナンラクトン等が挙げられる。
【0113】
カーボネート化合物としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等が挙げられる。
【0114】
ニトリル化合物としては、例えばスクシノニトリル等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、例えばグリセリン等が挙げられる。
【0115】
[界面活性剤]
界面活性剤は、塗布性、現像性等を改良する作用を示す成分である。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。市販品としては、例えばKP341(信越化学工業製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子製)等が挙げられる。
【0116】
[増感剤]
増感剤は、[C]酸発生体に吸収される放射線のエネルギー以外のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを例えば電子やラジカルのような形で[C]酸発生体に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を有する。
【0117】
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。
【0118】
<液浸露光用感放射線性樹脂組成物の調製方法>
当該組成物は、[A]重合体、[B]重合体、[C]酸発生体及び好適成分である[D]酸拡散制御剤に加え、その他の任意成分を均一に混合することによって調製される。当該組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解されて溶液状で用いられる。
【0119】
当該組成物の調製に用いられる溶媒としては、必須成分及び任意成分を均一に溶解し、各成分と反応しないものが用いられる。溶媒としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、酢酸エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸3−メチル−3−メトキシブチル等の酢酸(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−2−オン)、4−ヒドロキシ−4−メチルヘキサン−2−オン等のケトン類;プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピオン酸n−ブチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ヒドロキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、2−オキソ酪酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。溶媒は単独又は2種以上を使用できる。
【0120】
溶媒の含有量としては限定されないが、得られる当該組成物の塗布性、安定性等の観点から当該組成物の溶媒を除いた各成分の合計固形分濃度が、5質量%〜50質量%となる量が好ましく、10質量%〜40質量%となる量がより好ましい。このようにして調製された組成物溶液は、孔径0.5μm程度のミリポアフィルタ等を用いて濾過した後、使用に供することができる。
【0121】
<レジストパターンの形成方法>
当該組成物を用いたレジストパターンの形成方法としては、
(1)当該組成物を用いて基板上に塗膜を形成する工程
(2)上記形成された塗膜に液浸露光用液体を配置し、液浸露光用液体を介して液浸露光する工程、
(3)液浸露光された塗膜を現像してレジストパターンを形成する工程
を有する。
【0122】
工程(1)では、当該組成物の溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の基板上に塗布することにより、塗膜を形成する。また、所望の膜厚となるように当該組成物溶液を塗布した後、必要に応じてプレベークすることにより塗膜中の溶媒を揮発させる。塗膜の膜厚としては、10nm〜500nm程度が好ましい。プレベークの加熱条件としては、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって変わるが、30℃〜200℃程度が好ましく、50℃〜150℃がより好ましい。
【0123】
工程(2)では、工程(1)で形成された塗膜に液浸露光用液体を配置し、液浸露光用液体を介して放射線を照射し液浸露光する。上記液浸露光用液体としては、例えば純水、長鎖又は環状の脂肪族化合物、フッ素系不活性液体等が挙げられる。上記放射線としては、使用される[C]酸発生体の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等から適宜選定されて使用されるが、ArFエキシマレーザー(波長193nm)又はKrFエキシマレーザー(波長248nm)に代表される遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザー(波長193nm)がより好ましい。露光量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定することができる。
【0124】
また、露光後にポストベークを行うことが好ましい。ポストベークにより、樹脂成分中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行できる。ポストベークの加熱条件としては、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって適宜調整されるが、通常30℃〜200℃、50℃〜170℃が好ましい。
【0125】
本発明においては、感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば使用される基板上に有機系又は無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば塗膜上に保護膜を設けることもできる。さらに、液浸露光においてフォトレジスト膜からの[C]酸発生体等の流出を防止するため、例えば塗膜上に液浸用保護膜を設けることもできる。また、これらの技術は併用できる。
【0126】
工程(3)では、液浸露光された塗膜を現像してレジストパターンを形成する。現像工程に使用される現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
【0127】
上記アルカリ性水溶液の濃度としては、非露光部が現像液に溶解しにくいという観点から10質量%以下が好ましい。
【実施例】
【0128】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。なお、化合物の
1H−NMR分析、重合体のフッ素原子含有率を求めるための
13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子製、JNM−ECX400)を使用した。
【0129】
<単量体の合成>
[合成例1]
オキサリルクロリドのトルエン溶液を準備し、前駆体として下記式で表されるモノマー(M−1−1)のトルエン溶液(0.25モル/L)を室温下、10分間かけて滴下した。滴下後DMFを数滴加え2時間攪拌し、下記式で表される酸クロリド(M−1−2)を調製した。氷浴中、トリエチルアミンのトルエン溶液(2.0モル/L)を1時間かけて滴下、1時間攪拌した後、tert−ブチルアルコールのトルエン溶液(1.5モル/L)を30分かけて滴下した。さらに1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのトルエン溶液(0.075モル/L)を10分かけて滴下し12時間攪拌した。1N塩酸を加え30分間攪拌した後、有機層を取り出し溶剤留去した。トルエン/炭酸水素ナトリウム水溶液にて分液精製し、下記式で表される単量体(M−1)を得た(収率70%)。
【0130】
【化14】
【0131】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ6.33(1H,dd),6.07(1H,m),3.49(1H,br),3.01(1H,br),2.62(1H,dd),1.50(2H,m),1.42(1H,s),1.39(9H,s)
【0132】
[合成例2]
オキサリルクロリドのトルエン溶液を準備し、上記前駆体モノマー(M−1−1)のトルエン溶液(0.25モル/L)を室温下、10分間かけて滴下した。滴下後DMFを数滴加え2時間攪拌し、上記式で表される酸クロリド(M−1−2)を調製した。氷浴中、トリエチルアミンのトルエン溶液(2.0モル/L)を1時間かけて滴下、1時間攪拌した後、2,2,2−トリフルオロエタノールのトルエン溶液(1.5モル/L)を30分かけて滴下した。さらに1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのトルエン溶液(0.075モル/L)を10分かけて滴下し12時間攪拌した。1N塩酸を加え30分間攪拌した後、有機層を取り出し溶剤留去した。トルエン/炭酸水素ナトリウム水溶液にて分液精製し、下記式で表される単量体(M−2)を得た(収率75%)。
【0133】
【化15】
【0134】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ6.38(1H,dd),6.14(1H,m),4.60(2H,m),3.49(1H,br),3.01(1H,br),2.62(1H,dd),1.50(2H,m),1.42(1H,s)
【0135】
[合成例3]
オキサリルクロリドのトルエン溶液を準備し、上記前駆体モノマー(M−1−1)のトルエン溶液(0.25モル/L)を室温下、10分間かけて滴下した。滴下後DMFを数滴加え2時間攪拌し、上記酸クロリド(M−1−2)を調製した。氷浴中、トリエチルアミンのトルエン溶液(2.0モル/L)を一時間かけて滴下、1時間攪拌した後、ヘキサフルオロイソプロピルアルコールのトルエン溶液(1.5モル/L)を30分かけて滴下した。さらに1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのトルエン溶液(0.075モル/L)を10分かけて滴下し12時間攪拌した。1N塩酸を加え30分間攪拌した後、有機層を取り出し溶剤留去した。トルエン/炭酸水素ナトリウム水溶液にて分液精製し、下記式で表される単量体(M−3)を得た(収率73%)。
【0136】
【化16】
【0137】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ6.38(1H,dd),6.14(1H,m),5.59(1H,m),3.49(1H,br),3.01(1H,br),2.62(1H,dd),1.50(2H,m),1.42(1H,s)
【0138】
[合成例4]
オキサリルクロリドのトルエン溶液を準備し、上記前駆体モノマー(M−1−1)のトルエン溶液(0.25モル/L)を室温下、10分間かけて滴下した。滴下後DMFを数滴加え2時間攪拌し、上記酸クロリド(M−1−2)を調製した。氷浴中、トリエチルアミンのトルエン溶液(2.0モル/L)を一時間かけて滴下、1時間攪拌した後、m−トリフルオロメチルフェノールのトルエン溶液(1.5モル/L)を30分かけて滴下した。さらに1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのトルエン溶液(0.075モル/L)を10分かけて滴下し12時間攪拌した。1N塩酸を加え30分間攪拌した後、有機層を取り出し溶剤留去した。トルエン/炭酸水素ナトリウム水溶液にて分液精製し、下記式で表される単量体(M−4)を得た(収率75%)。
【0139】
【化17】
【0140】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ8.23(2H,d),7.55(2H,d),6.38(1H,dd),6.14(1H,m),3.49(1H,br),3.01(1H,br),2.62(1H,dd),1.50(2H,m),1.42(1H,s)
【0141】
[合成例5]
オキサリルクロリドのトルエン溶液を準備し、前駆体として下記式で表されるモノマー(M−5−1)のトルエン溶液(0.25モル/L)を室温下、10分間かけて滴下した。滴下後DMFを数滴加え2時間攪拌し、下記式で表される酸クロリド(M−5−2)を調製した。氷浴中、トリエチルアミンのトルエン溶液(2.0モル/L)を1時間かけて滴下、1時間攪拌した後、2,2,2−トリフルオロエタノールのトルエン溶液(1.5モル/L)を30分かけて滴下した。さらに1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのトルエン溶液(0.075モル/L)を10分かけて滴下し12時間攪拌した。1N塩酸を加え30分間攪拌した後、有機層を取り出し溶剤留去した。トルエン/炭酸水素ナトリウム水溶液にて分液精製し、単量体(M−5)を得た(収率72%)。
【0142】
【化18】
【0143】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ6.31(1H,dd),6.09(1H,m),4.53(2H,m),3.45(1H,br),3.06(1H,br),2.65(1H,dd),1.56(1H,m),1.50(1H,m)1.46(1H,s)
【0144】
[合成例6]
オキサリルクロリドのトルエン溶液を準備し、上記前駆体モノマー(M−5−1)のトルエン溶液(0.25モル/L)を室温下、10分間かけて滴下した。滴下後DMFを数滴加え2時間攪拌し、上記酸クロリド(M−5−2)を調製した。氷浴中、トリエチルアミンのトルエン溶液(2.0モル/L)を一時間かけて滴下、1時間攪拌した後、m−トリフルオロメチルフェノールのトルエン溶液(1.5モル/L)を30分かけて滴下した。さらに1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのトルエン溶液(0.075モル/L)を10分かけて滴下し12時間攪拌した。1N塩酸を加え30分間攪拌した後、有機層を取り出し溶剤留去した。トルエン/炭酸水素ナトリウム水溶液にて分液精製し、下記式で表される単量体(M−6)を得た(収率68%)。
【0145】
【化19】
【0146】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ8.23(2H,d),7.55(2H,d),6.31(1H,dd),6.09(1H,m),3.45(1H,br),3.06(1H,br),2.65(1H,dd),1.56(1H,m),1.50(1H,m)1.46(1H,s)
【0147】
[合成例7]
オキサリルクロリドのトルエン溶液を準備し、下記式で表される前駆体モノマー(M−7−1)のトルエン溶液(0.25モル/L)を室温下、10分間かけて滴下した。滴下後DMFを数滴加え2時間攪拌し、下記式で表される酸クロリド(M−7−2)を調製した。氷浴中、トリエチルアミンのトルエン溶液(2.0モル/L)を1時間かけて滴下、1時間攪拌した後、2,2,2−トリフルオロエタノールのトルエン溶液(1.5モル/L)を30分かけて滴下、室温に戻し1時間半攪拌した。1N塩酸を加え30分間攪拌した後、有機層を取り出し溶剤留去した。トルエン/炭酸水素ナトリウム水溶液にて分液精製し、下記式で表される単量体(M−7)を得た(収率78%)。
【0148】
【化20】
【0149】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.20(2H,s),4.64(4H,q)
【0150】
<[A]重合体の合成>
[合成例8]
温度計を備えた500mLの三つ口フラスコに単量体(M−1)50モル%、無水マレイン酸50モル%を仕込み30分間窒素パージを行った。その後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱した。そこへ重合開始剤としてAIBNを加え6時間反応させた。その後、30℃以下になるまで冷却して重合体溶液を得た。なお、各単量体のモル%は単量体全量に対するモル%を表し、開始剤の使用割合は、単量体と開始剤の合計量に対して、2モル%とした。重合終了後、250gのヘキサンに投入して粘性のある白色固体を析出させた。その後、析出した白色固体をろ別した。ろ別された白色固体を50gのヘキサンを用い2回洗浄し、ろ別した。その後50℃にて17時間乾燥し、重合体(A−1)を得た(70g、収率70%)。重合体(A−1)のMwは4,500、Mw/Mnは1.44、
13C−NMR分析の結果、各単量体に由来する各構造単位の含有率は、(M−1):無水マレイン酸=50:50(モル%)であった。フッ素原子含有率は、14.6モル%であった。
【0151】
[合成例2〜13]
表1に示す種類、配合量の各単量体を混合したこと以外は、合成例8と同様に操作して各重合体を得た。また、それぞれの物性値についても表1にあわせて示す。なお、表1中の単量体(M−8)及び(M−9)はそれぞれ下記式で表される化合物である。
【0152】
【化21】
【0153】
【表1】
【0154】
<[B]重合体の合成>
下記式で表される化合物(M−10)32g(50モル%)及び下記式で表される化合物(M−11)28g(50モル%)を2−ブタノン120gに溶解し、さらに重合開始剤としてAIBN20.94gを投入して単量体溶液を得た。一方、60gの2−ブタノンを投入した三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間行った。重合終了後、重合溶液は、水冷によって30℃以下に冷却し、1,200gのメタノールに投入して白色粉末を析出させた。その後、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を240gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄し、ろ別した。その後、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体(B−1)を得た(42g、収率70%)。重合体(B−1)はMwが6,200、Mw/Mnは1.5であった。
13C−NMR分析の結果、各単量体に由来する各構造単位の含有率は(M−10):(M−11)=47.5:52.5(モル%)であった。
【0155】
【化22】
【0156】
<液浸露光用感放射線性樹脂組成物の調製>
液浸露光用感放射線性樹脂組成物の調製に使用した[C]酸発生剤、[D]酸拡散制御剤を以下に示す。
【0157】
<[C]酸発生剤>
下記式で表される化合物
【0158】
【化23】
【0159】
<[D]酸拡散制御剤>
D−1:t−ブチル−4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレート
【0160】
[実施例1]
重合体(A−1)5質量部、重合体(B−1)100質量部、酸発生剤(C−1)9.0質量部、酸拡散制御剤(D−1)5.6質量部並びに溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2,800質量部及びシクロヘキサノン1,200質量部を混合し、液浸露光用感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0161】
[実施例2〜12及び比較例1]
表2に示す種類、配合量の各成分を混合したこと以外は、実施例1と同様に操作して各液浸露光用感放射線性樹脂組成物を得た。
【0162】
<評価>
調製した液浸露光用感放射線性樹脂組成物について以下のようにレジストパターンを形成し、以下の評価をした。評価結果を表2にあわせて示す。
【0163】
[後退接触角(°)]
各液浸露光用感放射線性樹脂組成物を用いて基板上に塗膜を形成した。その後、形成した塗膜について、室温23℃、湿度45%、常圧の環境下で、KRUS製DSA−10を用いて以下の手順で後退接触角(°)を測定した。DSA−10の針を測定前にアセトンとイソプロピルアルコールで洗浄し、次いで針に水を注入し、ウェハステージ上にウェハをセットする。ウェハ表面と針の先端の距離が1mm以下になるようステージの高さを調整し、次に、針から水を排出してウェハ上に25μLの水滴を形成した後、針によって水滴を10μL/分の速度で180秒間吸引するとともに、接触角を毎秒測定した。接触角が安定した時点から計20点の接触角について平均値を算出して後退接触角とした。
8インチシリコンウェハ上に、各液浸露光用感放射線性樹脂組成物を塗布し、膜厚110nmの塗膜を形成し、120℃で50秒間ソフトベーク(SB)を行った基盤の後退接触角を表2中の「SB後」とした。
8インチシリコンウェハ上に、各液浸露光用感放射線性樹脂組成物を塗布し、膜厚110nmの塗膜を形成し、120℃で50秒間SBを行った。その後、現像装置(東京エレクトロン製、クリーントラックACT8)のGPノズルによって2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により10秒間現像し、15秒間純水によりリンスし2,000rpmで液振り切り乾燥した基盤の後退接触角を表2中の「10秒現像後」とした。
8インチシリコンウェハ上に、各液浸露光用感放射線性樹脂組成物を塗布し、膜厚110nmの塗膜を形成し、120℃で50秒間SBを行った。その後、現像装置(東京エレクトロン製、クリーントラックACT8)のGPノズルによって2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により30秒間現像し、30秒間純水によりリンスし2,000rpmで液振り切り乾燥した基盤の後退接触角を表2中の「30秒現像後」とした。
【0164】
[現像欠陥]
下層反射防止膜(ARC66、日産化学製)を形成した12インチシリコンウェハ上に、各液浸露光用感放射線性樹脂組成物を塗布し、膜厚100nmの塗膜を形成した。次に、この塗膜をArFエキシマレーザー液浸露光装置(NSR S610C、NIKON製)を用い、NA=1.3、ratio=0.812、Crosspoleの条件により、マスクパターンを介して露光した。露光後、95℃で60秒間ポストベークを行った。その後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、水洗、乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、幅55nmのラインアンドスペースを形成する露光量を最適露光量とした。この最適露光量にてウェハ全面に線幅55nmのラインアンドスペースを形成し、欠陥検査用ウェハとした。なお、測長には走査型電子顕微鏡(S−9380、日立ハイテクノロジーズ製)を用いた。その後、欠陥検査用ウェハ上の欠陥数を、KLA−Tencor製KLA2810を用いて測定した。測定された欠陥を、レジスト由来と判断されるものと外部由来の異物とに分類した。分類後、レジスト由来と判断されるものの数(欠陥数)の合計が100個/wafer以下であった場合「A」(良好と判断)、100個/wafer以上であった場合「B」(不良と判断)とした。
【0165】
【表2】
【0166】
表2の結果から明らかなように、当該組成物を用いた場合には、比較例と比べSB後の後退接触角が10秒現像後及び30秒現像後において大きく低下していることが確認でき、後退接触角変化に優れることがわかった。また、当該組成物を用いた場合は現像欠陥を生じ難いことがわかった。