(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
<感放射線性樹脂組成物>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体及び[B]酸発生体を含有する。また、当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として[C]重合体を含有する。さらに、本発明の効果を損なわない限り、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について詳述する。
【0031】
<[A]重合体>
[A]重合体は、上記式(1)で表される基を有する。[A]重合体が上記特定構造の基を有することで、当該感放射線性樹脂組成物は、液浸露光時における疎水性を十分に確保しつつ、アルカリ現像時には、現像液親和性を向上させることができる。その結果、当該感放射線性樹脂組成物によると、ブロッブ欠陥等の現像欠陥の発生が抑制され、良好な形状のパターンを形成することができる。このような効果が得られる理由としては、以下のことが考えられる。上記式(1)で表される基は、複数のアルカリ解離性基を有する。そのため、当該感放射線性樹脂組成物は、アルカリ現像前においては、疎水性を示し、液浸露光を行った場合においても物質溶出抑制に優れ、また、レジスト膜と液浸液との後退接触角を十分に高くできる。そのことにより、高速でスキャン露光した場合に水滴が残らない等の効果を奏する。一方、現像時には、アルカリ現像液により複数の上記アルカリ解離性基が解離して極性基を生じる。それにより、当該感放射線性樹脂組成物は、レジスト膜全体における現像液親和性を向上させることができ、ブロッブ欠陥等の現像欠陥の発生を抑制することができると考えられる。
【0032】
式(1)中、nは、2〜4の整数である。Xは、単結合又は2価の有機基である。Aは、(n+1)価の連結基である。複数のQは、それぞれ独立して、アルカリ解離性基を含む基である。
【0033】
上記Xで表される2価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式基、炭素数6〜20の芳香族基等が挙げられる。
【0034】
上記炭素数1〜20の鎖状炭化水素基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキシレン基等が挙げられる。これらのうち、エチレン基が好ましい。
【0035】
上記炭素数3〜20の脂環式基としては、例えばシクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロヘプタンジイル基、シクロオクタンジイル基、シクロデカンジイル基、シクロドデカンジイル基、シクロブテンジイル基、シクロペンテンジイル基、シクロヘキセンジイル基、シクロデセンジイル基、シクロドデセンジイル、シクロペンタジエンジイル基、シクロヘキサジエンジイル基、シクロデカジエンジイル基等の単環の脂環式基;ビシクロ[2.2.1]ヘプテンジイル基、ビシクロ[2.2.2]オクタンジイル基、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカンジイル基、トリシクロ[3.3.1.1
3,7]デカンジイル基、テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデカンジイル基、アダマンタンジイル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプテンジイル基、ビシクロ[2.2.2]オクテンジイル基、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デセンジイル基、トリシクロ[3.3.1.1.
3,7]デセンジイル基、テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデセンジイル基等の多環の脂環式基が挙げられる。
【0036】
上記炭素数6〜20の芳香族基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0037】
上記Aで表される(n+1)価の連結基としては、例えば炭素数3〜30の脂環式基、炭素数1〜30の鎖状炭化水素基、炭素数6〜30の芳香族基等が挙げられる。
【0038】
上記炭素数3〜30の脂環式基としては、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロブテン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロデカン、シクロドデカン等のシクロアルカン、シクロアルケン等から(n+1)個の水素原子を除いた単環の脂環式基;ビシクロヘプタン、ビシクロオクタン、トリシクロデカン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、ノルボルナン、アダマンタン、ビシクロヘプテン、ビシクロオクテン、トリシクロデセン等から(n+1)個の水素原子を除いた多環の脂環式基等が挙げられる
【0039】
上記炭素数1〜30の鎖状炭化水素基としては、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン等のアルカンから(n+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0040】
上記炭素数6〜30の芳香族基としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等から(n+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0041】
上記式(1)におけるAとしては、炭素数4〜20の脂環式基及び炭素数1〜20の鎖状炭化水素基が好ましい。上記Aが、炭素数4〜20の脂環式基又は炭素数1〜20の鎖状炭化水素基であると、上記式(1)で表される基が有するアルカリ解離性基のアルカリ解離性が高くなり、当該感放射線性樹脂組成物は、液浸露光時には疎水性を確保しつつ、アルカリ現像時には現像液親和性をより向上させることができる。その結果、ブロッブ欠陥、ブリッジ欠陥の発生をより抑制することができる。これらのうち、ノルボルナントリイル基、エチレン基、エタントリイル基、プロパントリイル基、プロパンテトライル基が好ましい。
【0042】
上記Qで表されるアルカリ解離性基を含む基におけるアルカリ解離性基としては、当該感放射線性樹脂組成物を用いてレジストパターンを形成する際の現像工程において、アルカリ現像液処理により解離する基であれば特に限定されることはない。
【0043】
上記式(1)におけるQとしては、上記式(2−1)又は(2−2)で表される基が好ましい。
【0044】
上記Qが、上記式(2−1)で表される基であると、エステル基の酸素原子と直接結合する炭素原子は電子求引性の高いフッ素原子を直接有さないため、当該感放射線性樹脂組成物は保存安定性に優れ、かつ上記炭素原子に隣接する炭素原子はフッ素原子を有することによりR
1自体がアルカリ解離性の高いアルカリ解離性基として機能する。その結果、当該感放射線性樹脂組成物は、保存安定性と高いアルカリ解離性とを両立することができる。
【0045】
また、上記Qが、上記式(2−2)で表される基、すなわちQが有するエステル基の炭素原子に隣接する炭素原子が2つのフッ素原子を有する構造であることにより、上記R
8がアルカリ解離性の高いアルカリ解離性基として機能する。
【0046】
このような理由から、上記Qが、上記式(2−1)又は(2−2)で表される有機基であると、当該感放射線性樹脂組成物は、液浸露光時には疎水性を確保しつつ、アルカリ現像時には現像液親和性をさらに向上させることができ、ブロッブ欠陥等の現像欠陥の発生をさらに抑制することができると考えられる。
【0047】
式(2−1)中、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基である。R
4は、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基である。R
5は、フッ素原子又は1価の有機基である。但し、R
2、R
3及びR
4の炭化水素基及びR
5の1価の有機基が有する水素原子の一部又は全部は、置換されていてもよい。
【0048】
上記R
2〜R
4で表される炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。これらのうち、エチル基が好ましい。
【0049】
上記R
5で表される1価の有機基としては、例えば鎖状炭化水素基、脂環式基、芳香族基、エステル基又はこれらを組み合わせてなる基等が挙げられる。なお、上記有機基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子又は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基等の置換基で置換されていてもよい。
【0050】
上記鎖状炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基等が挙げられる。
【0051】
上記脂環式基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへキシル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。
【0052】
上記芳香族基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等のアリール基等を挙げることができる。
【0053】
上記R
5としては、フッ素原子、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0054】
式(2−2)中、R
6及びR
7は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の鎖状炭化水素基である。R
8は、1価の有機基である。
【0055】
上記R
6及びR
7で表される炭素数1〜10の鎖状炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、へキシル基等が挙げられる。これらのうちエチル基が好ましい。
【0056】
上記R
8で表される1価の有機基としては、上記R
5で表される1価の有機基と同様の基を挙げることができる。
【0057】
上記Qとしては、例えば下記式(q−1)〜(q−14)で表される基等を挙げることができる。
【0059】
上記式(q−8)及び(q−13)中、mは、1〜10の整数である。*は、上記式(1)中のAと結合する部位を示す。
【0060】
これらのうち、上記式(2−1)で表される基である上記式(q−1)〜(q−3)で表される基、及び上記式(2−2)で表される基である上記式(q−5)〜(q−9)で表される基が好ましい。
【0061】
上記式(1)で表される基としては、例えば下記式で表される基等が挙げられる。
【0064】
上記式中、mは、上記式(q−8)及び(q−13)と同義である。
【0065】
上記式(1)で表される基は、[A]重合体中にどのような形で含まれていてもよいが、[A]重合体を構成する構造単位中に含まれていることが好ましい。すなわち、[A]重合体は、上記式(1)で表される基を有する構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有することが好ましく、さらに、本発明の効果を損なわない限り、他の構造単位を含むことができる。以下各構造単位について詳述する。
【0066】
[構造単位(I)]
構造単位(I)が有する重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基等が挙げられる。これらのうち、重合性の観点から、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0067】
構造単位(I)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0070】
上記式中、mは、上記式(q−8)及び(q−13)と同義である。R
9は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0071】
[A]重合体において、上記構造単位(I)の含有率としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、40モル%以上がさらに好ましい。なお[A]重合体は、構造単位(I)を1種又は2種以上有してもよい。
【0072】
構造単位(I)を与える単量体としては、例えば上記式(0)で表される化合物等が挙げられる。
【0073】
上記式(0)中、nは、2〜4の整数である。Xは、単結合又は2価の有機基である。Aは、(n+1)価の連結基である。複数のQは、それぞれ独立して、アルカリ解離性基を含む基である。R
1は、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基である。
【0074】
上記式(0)におけるX、A及びQについては、上記式(1)におけるX、A及びQについての説明をそれぞれ適用することができる。
【0075】
上記式(0)で表される化合物としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0078】
上記式中、mは、上記式(r
1−8)及び(r
1−13)と同義である。
【0079】
上記式(0)で表される化合物の合成方法としては、例えば下記に示す方法等が挙げられる。即ち、上記式(0)において、Qが、上記式(2−1)又は(2−2)で表される基である場合は、下記式(0−a)で表される化合物を、オキサルクロリド等の酸塩化物と反応させ、下記式(0−a)で表される化合物が有するカルボキシル基を塩素化し、これと、下記式(0−b)で表される化合物又は下記式(0−c)で表される化合物とをハロゲン化剤およびアミン等の酸捕捉剤の存在下に反応させることにより上記式(0)で表される化合物を合成することができる。
【0081】
上記式(0−a)中、nは、2〜4の整数である。Xは、単結合又は2価の有機基である。Aは、(n+1)価の連結基である。R
1は、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基である。
【0083】
上記式(0−b)中、R
2〜R
5は、上記式(2−1)と同義である。上記式(0−c)中、R
6〜R
8は、上記式(2−2)と同義である。
【0084】
上記反応に使用される溶媒としては、例えばアセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類等が挙げられる。これらのうち、ケトン類、エーテル類が好ましく、エーテル類がより好ましい。これらの溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0085】
これらの方法における反応温度はハロゲン化剤や塩基触媒に応じて適宜決定することができ、通常25℃〜180℃であり、25℃〜160℃が好ましく、25℃〜140℃がさらに好ましい。また、反応時間は、反応温度、塩基触媒の種類、反応させる単量体等の条件によって異なるが、通常、30分〜8時間であり、45分〜6時間が好ましく、1時間〜5時間がより好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間も、滴下時間と同様に条件により異なるが、通常、30分〜20時間であり、45分〜16時間が好ましく、1時間〜14時間がより好ましい
【0086】
ハロゲン化剤としては、オキサリルクロリド、塩化チオニルを挙げることができる。塩基触媒としては、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドを挙げることができる。
酸捕捉剤としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン等のトリアルキルアミン、ピリジン等を挙げることができる。
【0087】
[A]重合体は、構造単位(I)に加えて、本発明の効果を損なわない限りその他の構造単位を含んでいてもよい。その他の構造単位としては、酸解離性基を有する構造単位[以下、「構造単位(II)」ともいう)、極性基を有する構造単位(以下、「構造単位(III)」ともいう)、ラクトン構造、スルトン構造又は環状カーボネート構造を有する構造単位(以下、「構造単位(IV)」ともいう)、フッ素原子を有する他の構造単位等が挙げられる。以下、各構造単位について詳述する。
【0088】
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、構造単位(I)とは異なる構造単位であって、酸解離性基を有する構造単位である。る構造単位(II)としては、下記式(3)で表される構造単位等が挙げられる。[A]重合体が構造単位(II)をさらに有することで、当該感放射線性樹脂組成物の放射線感度を向上させることができる。
【0090】
上記式(3)中、R
10は水素原子又はメチル基である。R
11〜R
13は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の脂環式炭化水素基である。但し、R
12とR
13とは互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に、炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成していてもよい。
【0091】
上記炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0092】
上記炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、又はR
12とR
13が互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に形成する炭素数4〜20の脂環式炭化水素基としては、アダマンタン骨格、ノルボルナン骨格等の有橋式骨格を有する多環の脂環式基;シクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロアルカン骨格を有する単環の脂環式基が挙げられる。また、これらの基は、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種以上で置換されていてもよい。
【0093】
構造単位(II)としては、下記式で表される構造単位が好ましい。
【0095】
上記式中、R
10は上記式(3)と同義である。R
14は炭素数1〜4のアルキル基である。lは1〜6の整数である。
【0096】
これらのうち、下記式(2−1)〜(2−20)で表される構造単位がより好ましい。
【0098】
上記式中、R
10は上記式(3)と同義である。
【0099】
これらのうち、上記式(2−2)、(2−3)、(2−6)で表される構造単位がさらに好ましい。
【0100】
[A]重合体において、構造単位(II)の含有率としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%〜80モル%が好ましく、10モル%〜80モル%がより好ましく、20モル%〜60モル%がさらに好ましい。構造単位(II)の含有率が80モル%を超えると、レジスト膜の密着性が低下し、パターン倒れやパターン剥れを起こすおそれがある。また、5モル%未満であると、レジスト膜の感度が不十分となるおそれがある。なお、[A]重合体は構造単位(II)を1種、又は2種以上有してもよい。
【0101】
構造単位(II)を与える単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカ−7−イルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.1
3,7]デカ−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.1
3,7]デカ−2−イルエステル等が挙げられる。
【0102】
[構造単位(III)]
[A]重合体は、極性基を有する構造単位(III)をさらに有することが好ましい。ここでいう「極性基」としては、水酸基、カルボキシル基、ケト基、スルホンアミド基、アミノ基、アミド基、シアノ基等が挙げられる。構造単位(III)を有することで、[A]重合体は、[B]酸発生体等の他の成分との相溶性を向上させることができる。
【0103】
構造単位(III)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0105】
上記式中、R
15は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0106】
これらのうち、上記式(3−3)で表される構造単位が好ましい。
【0107】
[A]重合体において、構造単位(III)の含有率としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%以上80モル%以下が好ましく、8モル%以上40モル%以下がより好ましい。なお、[A]重合体は構造単位(III)を1種又は2種以上有してもよい。
【0108】
[構造単位(IV)]
[A]重合体は、ラクトン構造、スルトン構造又は環状カーボネート構造を有する構造単位(IV)をさらに含むことができる。構造単位(IV)を有することで、レジスト膜の基板への密着性を向上できる。
【0109】
構造単位(IV)としては、例えば下記式で示される構造単位等が挙げられる。
【0111】
上記式中、R
16は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
17は水素原子又はメチル基である。R
18は水素原子又はメトキシ基である。Z
1は単結合又はメチレン基である。Z
2はメチレン基又は酸素原子である。a及びbは、それぞれ独立して0又は1である。
【0112】
構造単位(IV)としては、下記式で表される構造単位が好ましい。
【0114】
上記式中、R
16は水素原子又はメチル基である。
【0115】
[A]重合体において、構造単位(IV)の含有率としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%以上70モル%以下が好ましく、10モル%以上40モル%以下がより好ましい。このような含有率とすることによって、レジストと基板との密着性を向上させることができる。一方、70モル%を超えると、良好なパターンが得られないおそれがある。
【0116】
構造単位(IV)を与える好ましい単量体としては、例えば国際公開2007/116664号パンフレットに記載の単量体等が挙げられる。
【0117】
<フッ素原子を有する他の構造単位>
[A]重合体は、フッ素原子を有する構造単位として、構造単位(I)以外に、下記式(4)で表される構造単位(V)、後述する下記式(5)で表される構造単位(VI)等を含むことができる。[A]重合体が、フッ素原子を有する上記他の構造単位を含むことにより、液浸露光時の疎水性を向上させることができる。なお、[A]重合体中のフッ素原子の含有量としては、[A]重合体全量を100質量%として、通常5質量%以上であり、好ましくは5質量%〜50質量%であり、より好ましくは5質量%〜45質量%である。なお、このフッ素原子含有量は
13C−NMRにより測定することができる。
【0120】
上記式(4)中、R
19は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
20はフッ素原子を有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフッ素原子を有する炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。但し、上記アルキル基及び脂環式炭化水素基は水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。
【0121】
上記炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0122】
炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロペンチル基、シクロペンチルプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクチルメチル基等が挙げられる。
【0123】
上記式(4)で表される構造単位(V)のうち、例えば下記式(4−1)及び(4−2)で表される構造単位が好ましい。
【0125】
式(4−1)及び(4−2)中、R
19は上記式(4)と同義である。
【0126】
構造単位(V)を与える単量体としては、例えばトリフルオロメチル(メタ)アクレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ)プロピル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ)ペンチル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ)ヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ)プロピル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ)ペンタ(メタ)アクリレート、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロ)デシル(メタ)アクリレート、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロ)ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0127】
[A]重合体において、構造単位(V)の含有率としては[A]重合体を構成する全構造単位に対して0モル%以上70モル%以下が好ましく、5モル%以上30モル%以下がより好ましい。なお[A]重合体は、構造単位(V)を1種又は2種以上有してもよい。
【0128】
[構造単位(VI)]
構造単位(VI)は、下記式(5)で表される構造単位である。
【0130】
式(5)中、R
21は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
22は、(k+1)価の連結基である。Yは、フッ素原子を有する2価の連結基である。R
23は、水素原子又は1価の有機基である。kは、1〜3の整数である。但し、kが2又は3の場合、複数のX及びR
23は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0131】
上記式(5)中、R
22で表される(k+1)価の連結基としては、例えば炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状の炭化水素基、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基又はこれらの基と酸素原子、硫黄原子、エーテル基、エステル基、カルボニル基、イミノ基及びアミド基からなる群より選ばれる1種以上の基とを組み合わせた基が挙げられる。また、上記(k+1)価の連結基は置換基を有していてもよい。
【0132】
炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状の炭化水素基としては、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、イコサン、トリアコンタン等の炭化水素基から(k+1)個の水素原子を除いた基が挙げられる。
【0133】
炭素数3〜30の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の単環式飽和炭化水素;
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、シクロデカジエン等の単環式不飽和炭化水素;
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン、トリシクロ[3.3.1.1
3,7]デカン、テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデカン、アダマンタン等の多環式飽和炭化水素;
ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デセン、トリシクロ[3.3.1.1
3,7]デセン、テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデセン等の多環式炭化水素基から(k+1)個の水素原子を除いた基が挙げられる。
【0134】
炭素数6〜30の芳香族炭化水素基としては、例えばベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ピレン、ピセン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、クメン等の芳香族炭化水素基から(k+1)個の水素原子を除いた基が挙げられる。
【0135】
上記式(5)中、Yで表されるフッ素原子を有する2価の連結基としては、フッ素原子を有する炭素数1〜20の2価の直鎖状炭化水素基が挙げられる。Yとしては、例えば下記式(Y−1)〜(Y−6)で表される構造等が挙げられる。
【0137】
Yとしては、上記式(Y−1)及び(Y−2)で表される構造が好ましい。
【0138】
上記式(5)中、R
23で表される有機基としては、例えば炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状の炭化水素基、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、又はこれらの基と酸素原子、硫黄原子、エーテル基、エステル基、カルボニル基、イミノ基及びアミド基からなる群より選ばれる1種以上の基とを組み合わせた基が挙げられる。
【0139】
上記構造単位(VI)としては、例えば下記式(5−1)及び(5−2)で表される構造単位等が挙げられる。
【0141】
上記式(5−1)中、R
22は炭素数1〜20の2価の直鎖状、分岐状又は環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基である。R
21、Y及びR
23は、上記式(5)と同義である。
上記式(5−2)中、R
21、Y、R
23及びkは、上記式(5)と同義である。但し、kが2又は3の場合、複数のY及びR
23はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0142】
上記式(5−1)及び式(5−2)で表される構造単位としては、例えば下記式(5−1−1)、式(5−1−2)、式(5−2−1)で表される構造単位等が挙げられる。
【0144】
上記式(5−1−1)、(5−1−2)及び(5−2−1)中、R
21は上記式(5)と同義である。
【0145】
構造単位(VI)を与える単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−3−プロピル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ブチル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−5−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸2−{[5−(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−トリフルオロメチル−2’−ヒドロキシ)プロピル]ビシクロ[2.2.1]ヘプチル}エステル等が挙げられる。
【0146】
[A]重合体における、構造単位(VI)の含有率としては[A]重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%以上30モル%以下が好ましく、5モル%以上20モル%以下がより好ましい。なお、[A]重合体は、構造単位(VI)を1種、又は2種以上有してもよい。
【0147】
[A]重合体において、構造単位(I)以外のその他の構造単位の含有率としては[A]重合体を構成する全構造単位に対して、通常50モル%以下であり、40モル%以下が好ましい。
【0148】
[A]重合体の配合量としては、後述する[C]重合体100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましく、1質量部〜15質量部がより好ましく、2質量部〜10質量部が特に好ましい。0.1質量部未満であると、[A]重合体を含有させる効果が十分ではない場合がある。一方、20質量部を超えると、レジスト表面の撥水性が高くなり過ぎ現像不良が起こる場合がある。
【0149】
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、ラジカル重合等の常法に従って合成できる。例えば、
単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;
単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;
各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。なお、単量体溶液に対して、単量体溶液を滴下して反応させる場合、滴下される単量体溶液中の単量体量は、重合に用いられる単量体総量に対して30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、70モル%以上が特に好ましい。
【0150】
これらの方法における反応温度は開始剤種によって適宜決定すればよい。通常30℃〜180℃であり、40℃〜160℃が好ましく、50℃〜140℃がさらに好ましい。滴下時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体等の条件によって異なるが、通常、30分〜8時間であり、45分〜6時間が好ましく、1時間〜5時間がより好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間も、滴下時間と同様に条件により異なるが、通常、30分〜8時間であり、45分〜7時間が好ましく、1時間〜6時間がより好ましい。
【0151】
上記重合に使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。これらの開始剤は単独で又は2種以上を混合して使用できる。
【0152】
上記重合に使用される溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0153】
重合反応により得られた樹脂は、再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち、重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の樹脂を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、樹脂を回収することもできる。
【0154】
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、1,000以上150,000以下が好ましく、2,000以上100,000以下がより好ましく、3,000以上50,000以下がさらに好ましい。なお、[A]重合体のMwが1,000未満であると、レジストとしたときの耐熱性が低下する傾向がある。一方、[A]重合体のMwが150,000を超えると、レジストとしたときの現像性が低下する傾向がある。
【0155】
また、[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常、1以上5以下であり、1以上3以下が好ましく、1以上2以下がより好ましい。Mw/Mnをこのような範囲とすることで、フォトレジスト膜が解像性能に優れたものとなる。
【0156】
本明細書のMw及びMnは、GPCカラム(東ソー社、G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0mL/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した値をいう。
【0157】
<[B]酸発生体>
[B]酸発生体は、露光により酸を発生し、その酸により[A]重合体及び後述する[C]重合体中に存在する酸解離性基を解離させる。その結果、[A]重合体及び[C]重合体が現像液に溶解性となる。当該感放射線性樹脂組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これら両方の形態でもよい。
【0158】
[B]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。これらの[B]酸発生剤のうち、オニウム塩化合物が好ましい。
【0159】
オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩(テトラヒドロチオフェニウム塩を含む)、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。
【0160】
スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルホスホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−6−(1−アダマンタンカルボニロキシ)−ヘキサン−1−スルホネート等が挙げられる。これらのうち、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート及びトリフェニルホスホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−6−(1−アダマンタンカルボニロキシ)−ヘキサン−1−スルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートが好ましい。
【0161】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。これらのテトラヒドロチオフェニウム塩のうち、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート及び1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートが好ましい。
【0162】
ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。これらのヨードニウム塩のうち、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートが好ましい。
【0163】
スルホンイミド化合物としては、例えばN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。これらのスルホンイミド化合物のうち、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドが好ましい。
【0164】
これらの[B]酸発生剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。[B]酸発生体が[B]酸発生剤である場合の使用量としては、レジストとしての感度および現像性を確保する観点から、後述する[C]重合体100質量部に対して、通常、0.1質量部以上20質量部以下、好ましくは0.5質量部以上15質量部以下である。この場合、[B]酸発生剤の使用量が0.1質量部未満では、感度および現像性が低下する傾向があり、一方15質量部を超えると、放射線に対する透明性が低下し、所望のレジストパターンを得られ難くなるおそれがある。
【0165】
<[C]重合体>
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体及び[B]酸発生体に加え、重合体として[C]重合体を好適に含有する。当該感放射線性樹脂組成物が[C]重合体を含有することで、得られるレジスト膜の放射線感度を向上させることができる。
【0166】
[C]重合体は酸解離性基を含む構造単位を含む。また、極性基を有する構造単位、ラクトン構造、環状カーボネート構造又はスルトン構造を有する構造単位等を含んでいてもよい。酸解離性基を有する構造単位としては、[A]重合体の構造単位(II)と同様の構造単位が挙げられる。また、極性基を有する構造単位としては、[A]重合体の構造単位(III)と同様の構造単位が挙げられる。ラクトン構造、環状カーボネート構造又はスルトン構造を有する構造単位としては、[A]重合体の構造単位(IV)と同様の構造単位が挙げられる。
【0167】
[C]重合体における、酸解離性基を有する構造単位の含有率は、[C]重合体を構成する全構造単位の総量の20モル%以上60モル%以下であることが好ましい。なお、[C]重合体は酸解離性基を有する構造単位を1種、又は2種以上有してもよい。
【0168】
[C]重合体における、ラクトン構造、環状カーボネート構造又はスルトン構造を有する構造単位の含有率は、[C]重合体を構成する全構造単位の総量の30モル%以上60モル%以下であることが好ましい。なお、[C]重合体はラクトン構造、環状カーボネート構造又はスルトン構造を有する構造単位を1種、又は2種以上有してもよい。
【0169】
[C]重合体における、極性基を有する構造単位の含有率は、[C]重合体を構成する全構造単位の総量の5モル%以上50モル%以下あることが好ましい。なお、[C]重合体は極性基を有する構造単位を1種、又は2種以上有してもよい。
【0170】
また、[C]重合体は、上記[A]重合体よりもフッ素原子含有率の小さいことが好ましい。このような[C]重合体をさらに含有することにより、[A]重合体及び[C]重合体を含む組成物からレジスト被膜を形成した際に、[A]重合体がレジスト被膜表面に偏在する度合いが高くなる。その結果、上述の[A]重合体の疎水性及びその低下に起因する特性がより効率的に発現される。なお、このフッ素原子含有率は
13C−NMRにより測定することができる。
【0171】
<[C]重合体の合成方法>
[C]重合体は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。
【0172】
上記重合に使用される溶媒としては、例えば[A]重合体の合成方法で挙げたものと同様の溶媒が挙げられる。
【0173】
上記重合における反応温度としては、通常40℃〜150℃、50℃〜120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間、1時間〜24時間が好ましい。
【0174】
[C]重合体のGPC法によるMwとしては、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜30,000が特に好ましい。[C]重合体のMwを上記範囲とすることで、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、本発明の効果を向上させることができる。
【0175】
[C]重合体のMwとMnとの比(Mw/Mn)としては、通常1〜3であり、好ましくは1〜2である。
【0176】
当該感放射線性樹脂組成物は、必須成分である[A]重合体及び[B]酸発生体、好適成分であるベース重合体としての[C]重合体に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分として溶媒、酸拡散制御体、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等を含有できる。以下、各成分について詳述する。
【0177】
[溶媒]
当該感放射線性樹脂組成物は通常溶媒を含有する。溶媒は少なくとも必須成分である[A]重合体及び[B]酸発生体、好適成分である[C]重合体、及び必要に応じて加えられるその他の任意成分を溶解できれば特に限定されない。溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒及びその混合溶媒等が挙げられる。
【0178】
アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
【0179】
エーテル系溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、メトキシベンゼン等が挙げられる。
【0180】
ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒が挙げられる。
【0181】
アミド系溶媒としては、例えばN,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0182】
エステル系溶媒としては、例えばジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。
【0183】
炭化水素系溶媒としては、例えばn−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0184】
これらのうち酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンが好ましい。これらの溶媒は単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0185】
[酸拡散制御体]
酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏し、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性がさらに向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上するとともに、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。酸拡散制御体の当該組成物における含有形態としては、遊離の化合物の形態でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0186】
酸拡散制御剤としては、例えばアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0187】
アミン化合物としては、例えばモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ(シクロ)アルキルアミン類;トリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン等が挙げられる。
【0188】
アミド基含有化合物としては、例えばN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
【0189】
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
【0190】
含窒素複素環化合物としては、例えばイミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0191】
また、酸拡散制御剤として、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基の一例として、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物がある。オニウム塩化合物としては、例えば下記式(6)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(7)で表されるヨードニウム塩化合物が挙げられる。
【0193】
式(6)及び式(7)中、R
24〜R
28はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基又はハロゲン原子である。また、式(6)及び式(7)中、M
−はOH
−、R
29−COO
−又はR
29−SO
3−である。但し、R
29はアルキル基、アリール基、アルカリール基又は下記式(8)で表されるアニオンである。
【0195】
式(8)中、R
30は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基である。uは1又は2である。
【0196】
これらの酸拡散制御剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。酸拡散制御剤の含有量としては、[C]重合体100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下が好ましい。合計使用量が5質量部を超えると、レジストとしての感度が低下する傾向にある。
【0197】
[界面活性剤]
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名でKP341(信越化学工業社)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業社)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子工業社)等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0198】
[脂環式骨格含有化合物]
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
【0199】
脂環式骨格含有化合物としては、例えば1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン等が挙げられる。これらの脂環式骨格含有化合物は単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0200】
[増感剤]
増感剤は、[B]酸発生体の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
【0201】
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。これらの増感剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0202】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば有機溶媒中で[A]重合体、[B]酸発生体、[C]重合体、及びその他の任意成分を所定の割合で混合することにより調製できる。また、当該感放射線性樹脂組成物は、適当な有機溶媒に溶解又は分散させた状態に調製され使用され得る。
【0203】
<パターン形成方法>
当該パターン形成方法は、(1)本発明の感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程、(2)上記レジスト膜の少なくとも一部に、液浸露光により放射線を照射して露光する露光工程、(3)上記露光されたレジスト膜を加熱する加熱工程、及び(4)上記加熱されたレジスト膜を現像する現像工程を含む。当該パターン形成方法によると、ブリッジ欠陥等の現像欠陥が抑制され、形状に優れる微細なパターンを形成することができる。以下、各工程を詳述する。
【0204】
[工程(1)]
本工程では、本発明の感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布し、レジスト膜を形成する。基板としては、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知の基板を使用でき、例えば特公平6−12452号公報や、特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。
【0205】
塗布方法としては、例えば回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。なお、形成されるレジスト膜の膜厚としては、通常0.01μm〜1μmであり、0.01μm〜0.5μmが好ましい。
【0206】
当該感放射線性樹脂組成物を塗布した後、必要に応じてプレベーク(PB)によって塗膜中の溶媒を揮発させてもよい。PBの加熱条件としては、当該組成物の配合組成によって適宜選択されるが、通常30℃〜200℃程度であり、50℃〜150℃が好ましい。
【0207】
環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するために、例えば特開平5−188598号公報等に開示されている保護膜をレジスト層上に設けることもできる。さらに、レジスト層からの酸発生剤等の流出を防止するために、例えば特開2005−352384号公報等に開示されている液浸用保護膜をレジスト層上に設けることもできる。なお、これらの技術は併用できる。
【0208】
[工程(2)]
本工程では、工程(1)で形成したレジスト膜の所望の領域に特定パターンのマスク、及び必要に応じて液浸液を介して縮小投影することにより露光を行う。露光に使用される放射線としては、[B]酸発生体の種類に応じて適宜選択されるが、例えば紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等が挙げられる。これらのうち、ArFエキシマレーザーやKrFエキシマレーザー(波長248nm)に代表される遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザーがより好ましい。露光量等の露光条件は、当該感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選択される。本発明のパターン形成方法においては、露光工程を複数回有してもよく複数回の露光は同じ光源を用いても、異なる光源を用いても良いが、1回目の露光にはArFエキシマレーザー光を用いることが好ましい。
【0209】
[工程(3)]
本工程では、露光後にポストエクスポージャーベーク(PEB)を行なう。PEBを行なうことにより、当該感放射線性樹脂組成物中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行できる。PEBの加熱条件としては、通常30℃以上200℃未満であり、50℃以上150℃未満が好ましく、60℃以上100℃未満がより好ましい。30℃より低い温度では、上記解離反応が円滑に進行しないおそれがあり、200℃以上の温度では、[B]酸発生体から発生する酸が未露光部にまで広く拡散し、良好なパターンが得られないおそれがある。
【0210】
[工程(4)]
本工程は、露光後加熱されたフォトレジスト膜を、現像液で現像することにより、所定のフォトレジストパターンを形成する。現像後は、水で洗浄し、乾燥することが一般的である。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液が好ましい。当該感放射線性樹脂組成物が含有する[A]重合体は、アルカリ解離性基を複数有する。そのため、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジスト膜は、上記アルカリ現像液処理によりアルカリ解離性基が解離し、現像液親和性を向上させることができる。その結果、ブロッブ欠陥、ブリッジ欠陥等の発生が抑制され、パターン形状に優れる微細パターンを形成することができる。
【0211】
現像方法としては、例えば現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0212】
<重合体>
本発明の重合体は、上記式(1)で表される基を有する。当該重合体がアルカリ解離性基を複数含む上記特定構造の基を有することで、当該重合体を含有する感放射線性樹脂組成物は、液浸露光時には疎水性を確保しつつ、アルカリ現像時には現像液親和性を向上させることができ、ブロッブ欠陥等の現像欠陥の発生を抑制することができる。なお、当該重合体については、当該感放射線性樹脂組成物が含有する[A]重合体として、すでに詳細に説明しているため、ここでの説明は省略する。
【0213】
<化合物>
本発明の化合物は、上記式(0)で表され、当該重合体を合成するための材料、すなわち上記構造単位(I)を与える単量体化合物として好適に用いられる。当該化合物については、[A]重合体が有する構造単位(I)を与える単量体化合物として、すでに詳細に説明しているため、ここでの説明は省略する。
【実施例】
【0214】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0215】
重合体のMw及びMnは、GPCカラム(東ソー社、G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、以下の条件により測定した。
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社)
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0216】
13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子社、JNM−EX270)を使用し測定した。
【0217】
<化合物の合成>
[実施例1−1]化合物(M−1)の合成
2−ブロモエタノール40g(0.32mol)とt−ブチルジメチルクロロシラン53gを1Lの反応フラスコに入れ、テトラヒドロフラン(THF)400mLを加えた。0℃にTHF溶液を冷やし、そこにTHF100mLにトリエチルアミン36g(0.35mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン3.9g(0.03mmol)を溶解させたTHF溶液をゆっくりと滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応終了後、生じた沈殿物を吸引ろ過で除き、液層のTHFをエバポレーターにて留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した後に、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を減圧蒸留にて精製することにより下記式(m−1)で表される化合物を66.0g(収率86%)得た。
【0218】
【化30】
【0219】
窒素雰囲気下、40%オイル含有の水素化ナトリウム12.7g(0.32mol)を1Lの反応フラスコに入れ、そこに無水THF500mLを加えた。上記THF溶液を0℃に冷やし、マロン酸ジ−t−ブチル 80.2g(0.37mol)をゆっくりと滴下した後、室温で2時間攪拌した。その後、0℃で化合物(m−1)63.4g(0.27mol)をゆっくりと滴下し、40℃で15時間攪拌した。反応終了後、生じた沈殿物を吸引ろ過で除き、液層のTHFをエバポレーターにて留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した後に、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を1Lのナスフラスコに入れ、1規定の塩酸150mLとメタノール150mL及びTHF400mLを加え、室温で8時間攪拌させた。炭酸水素ナトリウム水溶液にて中和し、液層をエバポレーターにて留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した後に、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を減圧蒸留にて精製することにより下記式(m−2)で表される化合物を56.2g(収率80%)得た。
【0220】
【化31】
【0221】
窒素雰囲気下、化合物(m−2)56.0g(0.22mol)とトリエチルアミン 32.7g(0.32mol)を1Lの反応フラスコに入れ、そこにトルエン500mLを加えた。上記トルエン溶液を0℃に冷やし、メタクリル酸クロライド 23.6g(0.23mol)をゆっくりと滴下した後、室温で4時間攪拌した。反応終了後、生じた沈殿物を吸引ろ過で除き、液層のトルエンをエバポレーターにて留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した後に、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)にて精製することにより下記式(m−3)で表される化合物を43.1g(収率60%)得た。
【0222】
【化32】
【0223】
化合物(m−3)12.0g(37mmol)を300mLのナスフラスコに入れ、そこにトリフルオロ酢酸50mLを加えた後、室温で10時間攪拌した。反応終了後、反応溶液にトルエン50mLを加え、エバポレーターを用いてトルエン及びトリフルオロ酢酸を留去した。残渣に再びトルエンを50mL加え、留去する手順を3回繰り返し行い、トリフルオロ酢酸を完全に取り除いた。その後、析出した白色固体をヘキサンで洗浄し、吸引ろ過をすることにより下記式(m−4)で表される化合物を7.2g(収率90%)得た。
【0224】
【化33】
【0225】
窒素雰囲気下、化合物(m−4)2.3g(10.6mmol)とオキサリルクロリド3.6g(28.6mmol)を200mLの反応フラスコに入れ、無水THF100mLを加えた。そこにDMFを数滴加え、生じる酸をトラップしつつ、室温で2時間攪拌した。上記THF溶液を0℃に冷やし、2,2,2−トリフルオロエタノール2.7g(26.5mmol)を加えた後、トリエチルアミン5.9g(58.3mmol)をゆっくりと滴下し、室温で5時間攪拌した。反応終了後、生じた沈殿物を吸引ろ過で除き、液層のTHFをエバポレーターにて留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した後に、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)にて精製することにより下記式(M−1)で表される化合物を1.7g(収率43%)得た。
得られた化合物(M−1)の
1H−NMRデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl
3)δ:1.91(s,3H,CH
3)、2.35(q,2H,CH
2)、3.59(t,1H,CH)、4.24(t,2H,CH
2)、4.54(m,4H,CH
2)、5.53(s,1H,CH)、6.11(s,1H,CH)
【0226】
[実施例1−2]化合物(M−2)の合成
窒素雰囲気下、DL−りんご酸ジメチル20.0g(0.12mol)とトリエチルアミン18.5g(0.18mol)を1Lの反応フラスコに入れ、そこにトルエン300mLを加えた。0℃にトルエン溶液を冷やし、メタクリル酸クロライド13.3g(0.13mol)をゆっくりと滴下した後、室温で3時間攪拌した。反応終了後、生じた沈殿物を吸引ろ過で除き、液層のトルエンをエバポレーターにて留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した後に、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)にて精製することにより下記式(m−5)で表される化合物を23.8g(収率84%)得た。
【0227】
【化34】
【0228】
化合物(m−5)4.2g(18.2mmol)を200mLのナスフラスコに入れ、そこにメタノール/水=5/1混合溶媒を30mL加えた。混合溶媒を0℃に冷やし、そこに10%水酸化リチウム水溶液を3g加えた後、0℃を保ったまま一時間攪拌した。反応終了後、エバポレーターを用い溶媒を留去した。その後、残渣にトルエン100mLを加え、再び溶媒を留去する一連の操作を3回繰り返し行い、水を取り除いた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/メタノール=8/1)にて精製することにより下記式(m−6)で表される化合物を1.9g(収率52%)得た。
【0229】
【化35】
【0230】
窒素雰囲気下、化合物(m−6)1.8g(8.9mmol)とオキサリルクロリド3.1g(24.0mmol)を200mLの反応フラスコに入れ、無水THF80mLを加えた。そこにDMFを数滴加え、生じる酸をトラップしつつ、室温で2時間攪拌した。THF溶液を0℃に冷やし、ヘキサフルオロ−2−プロパノール3.7g(22.3mmol)を加えた後、トリエチルアミン5.0g(49.0mmol)をゆっくりと滴下し、室温で4時間攪拌した。反応終了後、生じた沈殿物を吸引ろ過で除き、液層のTHFをエバポレーターにて留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した後に水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)にて精製することにより下記式(M−2)で表される化合物を2.3g(収率51%)得た。
得られた化合物(M−2)の
1H−NMRデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl
3)δ:1.91(s,3H,CH
3)、2.65(d,2H,CH
2)、5.42(t,1H,CH)、5.53(s,1H,CH)、5.79(m,2H,CH)、6.11(s,1H,CH)
【0231】
[実施例1−3]化合物(M−3)の合成
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物40g(0.24mmol)とギ酸300mLを1Lの反応フラスコに入れ、90℃で110時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え中和し、残渣を酢酸エチルで抽出した後に、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を500mLのナスフラスコに入れ、そこにTHF200mLと2mol/L水酸化ナトリウム水溶液30mLを加え、60℃で2時間攪拌した。反応終了後、エバポレーターを用い溶媒を留去した。その後、残渣にトルエン200mLを加え、再び溶媒を留去する一連の操作を3回繰り返し行い、水を取り除いた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/メタノール=8/1)にて精製することにより下記式(m−7)で表される化合物を23.4g(収率48%)得た。
【0232】
【化36】
化合物(m−7)20.0g(0.10mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン25.7g(0.21mol)及びN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド43.3g(0.21mol)を1Lの反応フラスコに入れ、そこにtert−ブタノール400mLを加え、80℃で21時間攪拌した。反応終了後、生じた沈殿物を吸引ろ過で除き、液層のtert−ブタノールをエバポレーターにて留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した後に、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製することにより下記式(m−8)で表される化合物を19.4g(収率62%)得た。
【0233】
【化37】
【0234】
窒素雰囲気下、化合物(m−8)22.0g(70mmol)とトリエチルアミン10.7g(106mmol)を1Lの反応フラスコに入れ、そこにトルエン400mLを加えた。トルエン溶液を0℃に冷やし、メタクリル酸クロライド 7.7g(74mmol)をゆっくりと滴下した後、室温で4時間攪拌した。反応終了後、生じた沈殿物を吸引ろ過で除き、液層のトルエンをエバポレーターにて留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した後に、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)にて精製することにより下記式(m−9)で表される化合物を22.5g(収率84%)得た。
【0235】
【化38】
【0236】
化合物(m−9)17.2g(45mmol)を300mLのナスフラスコに入れ、そこにトリフルオロ酢酸 100mLを加えた後、室温で10時間攪拌した。反応終了後、反応溶液にトルエン100mLを加え、エバポレーターを用いてトルエン及びトリフルオロ酢酸を留去した。残渣に再びトルエンを100mL加え、留去する手順を3回繰り返し行い、トリフルオロ酢酸を完全に取り除いた。その後、析出した白色固体をヘキサンで洗い、吸引ろ過をすることにより下記式(m−10)で表される化合物を11.3g(収率93%)得た。
【0237】
【化39】
【0238】
窒素雰囲気下、化合物(m−10)2.3g(8.6mmol)とオキサリルクロリド2.9g(23mmol)を300mLの反応フラスコに入れ、無水THF100mLを加えた。そこにDMFを数滴加え、生じる酸をトラップしつつ、室温で2時間攪拌した。THF溶液を0℃に冷やし、3−ヒドロキシベンゾトリフルオリド3.5g(22mmol)を加えた後、トリエチルアミン4.8g(47mmol)をゆっくりと滴下し、室温で5時間攪拌した。反応終了後、生じた沈殿物を吸引ろ過で除き、液層のTHFをエバポレーターにて留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した後に、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)にて精製することにより下記式(M−3)で表される化合物を2.2g(収率45%)得た。
得られた化合物(M−3)の
1H−NMRデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl
3)δ:1.70(m,2H,CH
2)、1.90(s,3H,CH
3)、1.70−2.23(m,4H)、2.58(m,1H,CH)、2.67(m,1H,CH)、4.02(m,1H,CH)、5.53(s,1H,CH)、6.11(s,1H,CH)、7.24−7.40(m,6H)、7.69(s,2H,CH)
【0239】
[実施例1−4]化合物(M−4)の合成
窒素雰囲気下、クエン酸トリエチル5.0g(18.1mmol)、 トリエチルアミン 3.7g(36.6mmol)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン0.6g(5.3mmol)を300mLの反応フラスコに入れ、そこにトルエン100mLを加えた。0℃にトルエン溶液を冷やし、メタクリル酸クロライド2.0g(19.0mmol)をゆっくりと滴下した後、室温で4時間攪拌した。反応終了後、生じた沈殿物を吸引ろ過で除き、液層のトルエンをエバポレーターにて留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した後に、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)にて精製することにより下記式(m−11)で表される化合物を5.1g(収率82%)得た。
【0240】
【化40】
【0241】
化合物(m−11)4.0g(11.6mmol)を200mLのナスフラスコに入れ、そこにメタノール/水=5/1混合溶媒を40mL加えた。混合溶媒を0℃に冷やし、そこに10%水酸化リチウム水溶液を4g加えた後、0℃を保ったまま一時間攪拌した。反応終了後、エバポレーターを用い溶媒を留去した。その後、残渣にトルエン100mLを加え、再び溶媒を留去する一連の操作を3回繰り返し行い、水を取り除いた。残渣を酢酸エチル/メタノール=8/1混合溶媒に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/メタノール=8/1)にて精製することにより下記式(m−12)で表される化合物を1.8g(収率60%)得た。
【0242】
【化41】
【0243】
窒素雰囲気下、化合物(m−12)1.8g(6.9mmol)とオキサリルクロリド3.5g(28mmol)を200mLの反応フラスコに入れ、無水THF70mLを加えた。そこにDMFを数滴加え、生じる酸をトラップしつつ、室温で2時間攪拌した。THF溶液を0℃に冷やし、2,2,2−トリフルオロエタノール2.6g(26mmol)を加えた後、トリエチルアミン4.9g(48mmol)をゆっくりと滴下し、室温で5時間攪拌した。反応終了後、生じた沈殿物を吸引ろ過で除き、液層のTHFをエバポレーターにて留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した後に、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)にて精製することにより下記式(M−4)で表される化合物を1.4g(収率40%)得た。
得られた化合物(M−4)の
1H−NMRデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl
3)δ:1.91(s,3H,CH
3)、3.24(s,4H,CH
2)、4.61(m,6H,CH
2)、5.53(s,1H,CH)、6.12(s,1H,CH)
【0244】
[実施例1−5]化合物(M−5)の合成
窒素雰囲気下、プロピオンアルデヒド18.0g(0.31mol)、クロロジフルオロ酢酸エチル49.1g(0.31mol)、亜鉛粉末20.3g(0.31mol)を1Lの反応フラスコに入れ、無水DMF400mLを加え、80℃で20時間攪拌した。反応終了後、沈殿物を吸引ろ過で除き、液層を酢酸エチルで抽出した後に、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、減圧濃縮して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製することにより下記式(m−13)で表される化合物を29.4g得た(収率52%)。
【0245】
【化42】
【0246】
2,2,2−トリフルオロエタノールの代わりに化合物(m−13)4.3g(26.5mmol)を用いた以外は実施例1−1と同様にして下記式(M−5)で表される化合物を5.5g得た(収率38%)。
得られた化合物(M−5)の
1H−NMRデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl
3)δ:0.97(t,6H,CH
3)、1.29(t,6H,CH
3)、1.69−1.87(m,4H,CH
2)、1.89(s,3H,CH
3)、2.33(q,2H,CH
2)、3.64(t,1H,CH)、4.19−4.31(m,6H,CH
2)、5.35(m,2H,CH)、5.60(s,1H,CH)、6.11(s,1H,CH)
【0247】
[実施例1−6]化合物(M−6)の合成
化合物(m−4)の代わりに化合物(m−12)2.8g(10.6mmol)を用いた以外は実施例1−5と同様にして下記式(M−6)で表される化合物を2.8g得た(収率35%)。
得られた化合物(M−6)の
1H−NMRデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl
3)δ:0.99(t,9H,CH
3)、1.31(t,9H,CH
3)、1.69−1.87(m,6H,CH
2)、1.90(s,3H,CH
3)、3.31(s,4H,CH
2)、4.19−4.31(m,6H,CH
2)、5.35(m,3H,CH)、5.53(s,1H,CH)、6.12(s,1H,CH)
【0248】
<[A]重合体の合成>
[A]重合体及び後述する[C]重合体の合成に用いた単量体を以下に示す。
【0249】
【化43】
【0250】
[実施例2−1]
化合物(M−1)7.4g(60mol%)と化合物(M−10)2.6g(40mol%)及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.37gを300mLの反応フラスコに入れ、20gの2−ブタノンを入れた。窒素パージ下で、撹拌しながら80℃に加熱した。加熱開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を5時間実施した。重合反応終了後、溶剤量/モノマー仕込み量が0.5になるように溶剤を留去し、メタノール/蒸留水=2/1の混合溶剤150g中に濃縮した重合溶剤を投入した。生じた粘性固体がこぼれないように、白濁した上澄み液のみをデカンテーションで取り除いた。その後、残渣にメタノール/蒸留水=4/1の混合溶剤20gを加え、粘性固体を洗浄し、再び上澄み液のみをデカンテーションで取り除いた。同様の方法による粘性固体の洗浄を二回繰り返し行った。最後に粘性固体を50℃で17時間乾燥させることにより、無色透明の固体として重合体(A−1)を得た(6.7g、収率67%)。得られた重合体(A−1)のMwは9,400であり、Mw/Mnは1.42であった。また、
13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)由来の構造単位:化合物(M−10)由来の構造単位の含有率は57:43(mol%)であった。
【0251】
[実施例2−2〜2−21、比較例2−1〜2−8]
表1に記載の単量体を所定量配合した以外は、実施例2−1と同様に操作して重合体(A−2)〜(A−21)、(a−1)〜(a−8)を得た。また、得られた各重合体のMw、Mw/Mn、収率及び各重合体における各単量体に由来する構造単位の含有率を合わせて表1に示す。
【0252】
【表1】
【0253】
<[C]重合体の合成>
[合成例1]
化合物(M−13)33.11g(40モル%)、化合物(M−14)12.22g(10モル%)及び化合物(M−15)54.67g(50モル%)を、2−ブタノン200gに溶解し、さらに、AIBN8.08gを投入して単量体溶液を準備した。一方、100gの2−ブタノンを1,000mLの三口フラスコに投入し、30分間窒素ガスによりパージした。窒素パージの後、三口フラスコ内の2−ブタノンを攪拌しながら、80℃に加熱した。次いで、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて、3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、80℃で3時間撹拌した。重合終了後、重合溶液を水冷により、30℃以下に冷却した。そして、この重合反応溶液を2,000gのメタノール中へ投入し、白色粉末を析出させ、その後、これを濾別した。濾別された白色粉末を、2度、400gのメタノールを用いてスラリー洗浄した後、濾別した。次いで、白色粉末(共重合体)を50℃で17時間乾燥した(収量80.1g、収率80%)。これを重合体(C−1)とする。この重合体(C−1)のMwは7,300であった。
【0254】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
各感放射線性樹脂組成物の調製で使用した[B]酸発生剤、酸拡散制御剤及び溶媒は、下記のとおりである。
【0255】
<[B]酸発生剤>
下記式(B−1)で表される化合物。
【0256】
【化44】
【0257】
[酸拡散制御剤]
下記式(D−1)で表される化合物。
【0258】
【化45】
【0259】
[溶媒]
以下、実施例及び比較例で用いた溶媒を示す。
(E−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(E−2):シクロヘキサノン
【0260】
[実施例3−1]
合成例1で得られた重合体(A−1)5質量部、酸発生体として上記式(B−1)で表される化合物12質量部、合成例1で得られた重合体(C−1)100質量部、酸拡散制御剤として上記式(D−1)で表される化合物0.8質量部、及び溶媒として(E−1)1,980質量部、(E−2)848質量部を混合し、得られた混合溶液を孔径0.20μmのフィルターでろ過して感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0261】
[実施例3−1〜3−21、比較例3−1〜3−8]
表2に示す配合処方にしたこと以外は、実施例3−1と同様の操作を行い各感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0262】
【表2】
【0263】
<評価>
上記各感放射線性樹脂組成物の評価を下記の方法に従って行った。評価結果を表2に合わせて示す。
【0264】
[後退接触角の測定]
8インチシリコンウェハ上に、上記各感放射線性樹脂組成物によって、東京エレクトロン株式会社製、クリーントラック「ACT8」用いて膜厚100nmの被膜を形成し、110℃で60秒間ソフトベーク(SB)を行ったフォトレジスト層を「SB後フォトレジスト膜」とした。
同じように8インチシリコンウェハ上に、上記各感放射線性樹脂組成物によって、膜厚100nmの被膜を形成し、110度で60秒間SBを行い、その後、東京エレクトロン株式会社製、クリーントラック「ACT8」の現像装置のGPノズルによって2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により10秒間現像し、15秒間純水によりリンスし、2,000rpmで液振り切り乾燥を行ったフォトレジスト層を「DEV後フォトレジスト膜」とした。
その後、形成した被膜について、室温23℃、湿度45%、常圧の環境下で、KRUS社のDSA−10を用いて以下の手順で後退接触角を測定した。
DSA−10の針を測定前にアセトンとイソプロピルアルコールで洗浄し、次いで針に水を注入し、ウェハステージ上にウェハをセットした。ウェハ表面と針の先端の距離が1mm以下になるようステージの高さを調整し、次に、針から水を排出してウェハ上に25μLの水滴を形成した後、針によって水滴を10μL/分の速度で180秒間吸引すると共に、接触角を毎秒測定した。接触角が安定した時点から計20点の接触角について平均値を算出して後退接触角とした。
SB後フォトレジスト膜の後退接触角については、80度以上の場合を「○」、76度以上80度未満の場合を「△」、76度未満の場合を「×」と評価した。DEV後フォトレジスト膜の後退接触角については、50度以上の場合を「×」、35°以上50度未満の場合を「△」、35°未満の場合を「○」と評価した。
【0265】
[現像欠陥抑制性]
まず、下層反射防止膜(「ARC66」、日産化学社製)を形成した12インチシリコンウェハ上に、各感放射線性樹脂組成物によって、膜厚100nmの被膜を形成し、110℃で60秒間ソフトベーク(SB)を行った。次に、この被膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(「NSR S610C」、NIKON社製)を用い、NA=1.3、Crosspoleの条件により、マスクパターンを介して露光した。露光後、95℃で60秒間ポストベーク(PEB)を行った。その後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、幅48nmのラインアンドスペースを形成する露光量を最適露光量とした。この最適露光量にてウェハ全面に線幅48nmのラインアンドスペースを形成し、欠陥検査用ウェハとした。なお、測長には走査型電子顕微鏡(「CG−4000」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
その後、欠陥検査用ウェハ上の欠陥数を、KLA−Tencor社製の「KLA2810」を用いて測定した。さらに、「KLA2810」にて測定された欠陥を、レジスト被膜由来と判断されるものと外部由来の異物とに分類した。分類後、レジスト被膜由来と判断されるものの数(欠陥数)の合計を、レジスト被膜1cm
2あたりの欠陥数(個/cm
2)として算出した。現像欠陥抑制性は、この欠陥数が10個/cm
2以下の場合は「○」と、10個/cm
2を超え、50個/cm
2以下の場合は「△」と、50個/cm
2を超える場合は「×」と評価した。
【0266】
表2に示す通り、実施例3−1〜実施例3−21の感放射線性樹脂組成物は、比較例3−1〜3−8の感放射線性樹脂組成物に比べて、ブリッジ欠陥、ブロッブ欠陥等の現像欠陥の発生が著しく抑制され、現像欠陥抑制性に優れることがわかった。また、上記実施例の感放射線性樹脂組成物は、アルカリ現像後の後退接触角が35度未満となり、上記比較例の感放射線性樹脂組成物に比べて、アルカリ現像後の現像液親和性が向上していた。