特許第5729294号(P5729294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5729294
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】冷凍装置の室外ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/56 20110101AFI20150514BHJP
【FI】
   F24F1/56
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-290081(P2011-290081)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-139926(P2013-139926A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴司
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−108398(JP,A)
【文献】 特開2000−179895(JP,A)
【文献】 実開昭63−007724(JP,U)
【文献】 特開2007−113861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン(35)と、
前記ファンの吹出口(51a)が形成されたケーシング(50)と、
前記吹出口に対し前記ファンの吹き出し方向前方に配置され、前記ケーシングと対向する第1面(61a)を有する、樹脂製の吹出グリル(60,260)と、
を備えた冷凍装置(1)の室外ユニット(20)であって、
前記吹出グリルは、前記吹出グリルの下部に、前記室外ユニット運搬時に運搬者に把持される、前記運搬者の手指の接触面(66a,266a)に滑り止め(67,267)が形成された把手部(66,266)を有
前記吹出グリルには、前記接触面に対向する部分に開口(OP)が形成され、
前記接触面は、前記第1面の一部であり、前記ケーシングに対向し、
前記吹出グリルには、前記第1面と、前記第1面の周縁から前記ケーシングに向かって延びる周縁面(62b)とに囲まれ、前記吹出口から吹き出す風が通過する通風空間(S3)が形成され、
前記把手部は、前記第1面と前記ケーシングとの間であって、前記通風空間の外に形成される把持空間(S4)に、前記運搬者が前記手指を挿入して把持するものである、
室外ユニット。
【請求項2】
前記滑り止めは、前記接触面に形成された凹凸である、
請求項1に記載の室外ユニット。
【請求項3】
前記凹凸は、前記接触面に設けられた半球状の突起(67)により形成される、
請求項2に記載の室外ユニット。
【請求項4】
前記凹凸は、前記接触面に設けられた溝(267)により形成される、
請求項2に記載の室外ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置の室外ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍装置の室外ユニットに、室外ユニット運搬時に手指を引っ掛けるための把手部が設けられることがある。
【0003】
特に、最近ではケーシングが小型化し、ケーシングの自由な位置に把手部を設けることが難しい場合があることから、特許文献1(特開平11−108398号公報)のように、吹出グリル下部に把手部を設け、室外ユニットの運搬作業性を高めた構成が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1のように、把手部を吹出グリルに設けて運搬作業性を高めた場合であっても、室外ユニットは重量物であり、また吹出グリルは一般に平滑な樹脂等で製造されることが多いことから、運搬者の手指が滑り、運搬者が誤って室外ユニットを落としてしまうなどの問題が発生するおそれがあることを、本願発明者は見い出した。
【0005】
本発明の課題は、室外ユニットの運搬時に、運搬者が室外ユニットを落下させるなどの事故を発生させにくい冷凍装置の室外ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、ファンと、ケーシングと、樹脂製の吹出グリルと、を備える。ケーシングには、ファンの吹出口が形成されている。吹出グリルは、吹出口に対しファンの吹き出し方向前方に配置され、ケーシングと対向する第1面を有する。吹出グリルは、吹出グリルの下部に、室外ユニット運搬時に運搬者に把持される、運搬者の手指の接触面に滑り止めが形成された把手部を有する。吹出グリルには、接触面に対向する部分に開口が形成される。接触面は、第1面の一部であり、ケーシングに対向する。吹出グリルには、第1面と、第1面の周縁からケーシングに向かって延びる周縁面とに囲まれ、吹出口から吹き出す風が通過する通風空間が形成される。把手部は、第1面とケーシングとの間であって、通風空間の外に形成される把持空間に、運搬者が手指を挿入して把持するものである。
【0007】
ここでは、把手部に滑り止めが施されているため、運搬者が手指を滑らせすることが少なくなり、安全に室外ユニットを運搬することができる
【0008】
また、ここでは、樹脂製の吹出グリルにおいて接触面に対向する部分に開口が形成され、接触面はケーシングに対向しているため、吹出グリルが接触面と対向する面を有する場合に比べ、一体成形が容易である。
【0009】
また、ここでは、把手部は、ケーシングと対向する吹出グリルの第1面、すなわち、吹出グリルの背面に設けられるので、室外ユニット正面からは把手部が見えず、把手部が室外ユニットの外観に悪影響を与えない。
【0010】
また、ここでは、把持空間は通風空間とは隔てられた空間であるため、室外ユニット運転中に使用者等が把持空間に手指を挿入しても、ファンと手指とが接触して怪我をすることがない。
【0011】
本発明の第観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第1観点に係る冷凍装置の室外ユニットにおいて、滑り止めは接触面に形成された凹凸である、
ここでは、接触面に凹凸を形成することで、運搬者の手指が滑りにくい把手部を実現できる。
【0012】
本発明の第観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第観点に係る冷凍装置の室外ユニットにおいて、接触面の凹凸は、接触面に設けられた半球状の突起により形成される、
ここでは、接触面に半球状の突起により、運搬者の手指が滑りにくい把手部を実現しやすい。
【0013】
本発明の第観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第観点に係る冷凍装置の室外ユニットにおいて、接触面の凹凸は、接触面に設けられた溝により形成される
【0014】
ここでは、簡単な構成で、運搬者の手指が滑りにくい構造が実現できる
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1観点に係る冷凍装置の室外ユニットでは、把手部に滑り止めが施されているため、運搬者が手指を滑らせすることなく室外ユニットを運搬しやすい。また、ここでは、把手部を設けた樹脂製のファングリルを容易に一体成形可能である。また、ここでは、室外ユニット正面から把手部が見えず、把手部が室外ユニットの外観に悪影響を与えない。また、ここでは、室外ユニット運転中に使用者等が把持空間に手指を挿入しても、ファンと手指とが接触して怪我をすることがない。
【0016】
本発明の第観点から第観点に係る冷凍装置の室外ユニットでは、運搬者の手指の滑りが発生しにくく、安全に室外ユニットを運搬できる
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る冷凍装置の室外ユニットが採用された空気調和装置の概略の冷媒回路図である。
図2】本発明の一実施形態に係る冷凍装置の室外ユニットの概略斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る冷凍装置の室外ユニットの天板を取り除いた状態での概略平面図である。
図4】室外熱交換器の概略斜視図である。同一部材については、一部の参照符号を省略している。
図5】室外熱交換器の扁平多孔管および差込フィンを鉛直方向に切断したときの部分拡大図である。同一部材については、一部の参照符号を省略している。
図6】本発明の一実施形態に係る冷凍装置の室外ユニットのファングリルを背面側(ケーシングの前板側)から見たときの概略斜視図である。同一部材については、一部の参照符号を省略している。
図7図6のVII矢視における拡大断面図である。
図8図6のVIII部の把手部の拡大図である。
図9】本発明の一実施形態に係る冷凍装置の室外ユニットの運搬者により運搬状態を示す図である。
図10】本発明の変形例Bに係る冷凍装置の室外ユニットの把手部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
本実施形態の冷凍装置の室外ユニットは、空気調和装置の室外ユニットとして利用される。
【0020】
(1)空気調和装置の概要
(1−1)全体構成
空気調和装置1は、いわゆるセパレートタイプの空気調和装置であり、図1に示すように、室外ユニット20と、室内ユニット40と、室外ユニット20と室内ユニット40とを接続する液冷媒連絡配管71およびガス冷媒連絡配管72とを有する。
【0021】
(1−2)室内ユニット
室内ユニット40は、空気調和の対象である室内に設置される。室内ユニット40は、主に、室内熱交換器41と、室内ファン42とを有する。
【0022】
室内熱交換器41は、伝熱管と多数の伝熱フィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する。室内熱交換器41の液側は液冷媒連絡配管71に接続され、室内熱交換器41のガス側はガス冷媒連絡配管72に接続される。
【0023】
室内ファン42は、図示しないモータにより回転され、室内空気を取り込んで室内熱交換器41に送風し、室内熱交換器41と室内空気との熱交換を促進する。
【0024】
(1−3)室外ユニット
図1に室外ユニット20内の冷媒回路を、図2に室外ユニット20の概観斜視図を示す。室外ユニット20は、室外に設置される横吹き型の室外ユニットである。室外ユニット20は、主に、アキュムレータ21、圧縮機23、四路切換弁24、室外熱交換器25、膨張弁26、液側閉鎖弁27、ガス側閉鎖弁28、および室外ファン35を、ケーシング50内に有する。アキュムレータ21、圧縮機23、四路切換弁24、室外熱交換器25、膨張弁26、液側閉鎖弁27、および、ガス側閉鎖弁28は、冷媒配管により接続される。冷媒配管による接続については後述する。
【0025】
なお、室外ファン35の吹出し側に配置されるケーシング50の前板51には、図3に示すように、室外ファン35から送風される空気の吹出口51aが形成される。吹出口51aは円形の開口である。吹出口51aの開口の周縁部からは、ケーシング50の内側に向かって突出するベルマウス65が設けられる。吹出口51aのケーシング50外側には、吹出口51a全体を覆う吹出グリル60が取り付けられる。
【0026】
(2)室外ユニットの詳細説明
以下の説明で、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「正面」、「背面」等の方向を示す表現を用いているが、特に断りのない場合、吹出グリル60の配置される前板51を室外ユニット20の正面として、正面側から見た場合の方向を示す。
【0027】
(2−1)冷媒配管による接続
圧縮機23の吸入口と四路切換弁24とは、吸入管81によって接続される。吸入管81には、圧縮機23の吸入口と四路切換弁24との間に、アキュムレータ21が設けられる。圧縮機23の吐出口と四路切換弁24とは、吐出管82によって接続される。四路切換弁24と室外熱交換器25のガス側とは、第1ガス冷媒管83によって接続される。室外熱交換器25と液側閉鎖弁27とは、液冷媒管84によって接続される。液冷媒管84には、室外熱交換器25と液側閉鎖弁27との間に、膨張弁26が設けられる。液側閉鎖弁27は、液冷媒連絡配管71に接続される。四路切換弁24とガス側閉鎖弁28とは、第2ガス冷媒管85によって接続される。ガス側閉鎖弁28は、ガス冷媒連絡配管72に接続される。
【0028】
(2−2)圧縮機
圧縮機23はガス冷媒を吸入し、ガス冷媒を圧縮する。圧縮機23は容積式圧縮機である。
【0029】
(2−3)四路切換弁
四路切換弁24は、空気調和装置1の冷房運転と暖房運転との切換時に、冷媒の流れ方向を切り換える。冷房運転時には吐出管82と第1ガス冷媒管83とを接続するとともに吸入管81と第2ガス冷媒管85とを接続する。一方、暖房運転時には吐出管82と第2ガス冷媒管85とを接続するとともに吸入管81と第1ガス冷媒管83とを接続する。
【0030】
(2−4)アキュムレータ
アキュムレータ21は、冷媒を気相と液相とに分離する気液分離機能を有する。アキュムレータ21に流入する冷媒は、液相と気相とに分離され、上部空間に集まる気相の冷媒は圧縮機23に供給される。
【0031】
(2−5)室外熱交換器
室外熱交換器25は、室外空気との熱交換によって内部を流れる冷媒を凝縮又は蒸発させる。室外熱交換器25は、全てがアルミニウム製又はアルミニウム合金製である。室外熱交換器25は、ケーシング50を含む鋼製部材と直接接触することがないよう、鋼製部材と適切なスペースを空けて、又は、樹脂部材等を鋼製部材と室外熱交換器25との間に設置して、ケーシング50内に配置される。
【0032】
後述する室外ファン35によりケーシング50外から取り込まれた室外空気は、室外熱交換器25を通過したのち、ケーシング50に形成された吹出口51aからケーシング外へ排出される。
【0033】
室外熱交換器25は、扁平多孔管93、差込フィン94およびヘッダ91,92を有する。図4は、室外熱交換器25の概略斜視図である。
【0034】
室外熱交換器25は、図3のように、ケーシング50の背面側に沿って、後述する仕切板58の端部付近から左方に延び、ケーシング50の左後方角部付近でその方向を変え、後述する左側板54に沿って前方に延びる。
【0035】
図5は、扁平多孔管93および差込フィン94を鉛直方向に切断したときの部分拡大図である。扁平多孔管93は、伝熱面となる上下の平面部と、冷媒が流れる複数の内部流路93aとを有している。扁平多孔管93は、平面部を上下に向けた状態で、間隔をあけて複数段配列される。差込フィン94は、図5に示す形状のフィンであり、扁平多孔管93に接している。両ヘッダ91,92の間に配列された複数段の扁平多孔管93に対して差込フィン94を差し込めるように、差込フィン94には、水平に細長く延びる複数の切り欠き94aが形成されている。これらの差込フィン94の切り欠き94aの形状は、図5に示すように、扁平多孔管93の断面の外形にほぼ一致している。
【0036】
ヘッダ91,92は、上下方向に複数段配列された扁平多孔管93の両端に連結される。ヘッダ91,92は、扁平多孔管93を支持する機能と、冷媒を扁平多孔管93の内部流路93aに導く機能と、内部流路93aから出てきた冷媒を集合させる機能とを有している。
【0037】
(2−6)膨張弁
膨張弁26は、冷媒圧力や冷媒流量の調節を行うために設けられ、冷房運転時および暖房運転時のいずれにおいても、冷媒を膨張させる機能を有する。
【0038】
(2−7)閉鎖弁
液側閉鎖弁27およびガス側閉鎖弁28は、それぞれ、液冷媒連絡配管71およびガス冷媒連絡配管72に接続される。通常運転時においては、両閉鎖弁27,28は開いた状態にある。
【0039】
(2−8)室外ファン
室外ファン35は、水平方向に送風するファンである。室外ファン35は、モータ35aにより回転され、室外空気をケーシング50の外部から取り込む。取り込まれた室外空気は、室外熱交換器25を通過したのち、ケーシング50に形成された吹出口51aからケーシング50の外へ排出される。すなわち、室外ファン35が回転することで、概ね図3中の矢印のように空気が移動する。
【0040】
(2−9)ケーシング
ケーシング50は、主に鋼製である。ケーシング50は、前板51と左側板54とが一体に形成された左ケーシング部材151、底板52、右前板55、右後板56、天板57、および仕切板58から構成される。
【0041】
(2−9−1)左ケーシング部材
左ケーシング部材151は、平面視において略L字形状に形成される板状部材であり、前板51と左側板54とが一体に成形されている。左ケーシング部材151は、底板52から天板57まで略鉛直上方に延びる。左ケーシング部材151と、底板52および天板57とは、それぞれネジ等により固定される。
【0042】
前板51は、ケーシング50の左側正面を構成する板状部材である。前板51には、室外ファン35から送風される空気の吹出口51aが形成されている。吹出口51aは円形の開口である。吹出口51aの開口の周縁部からは、ケーシング50の内側に向かって突出するベルマウス65が設けられる。吹出口51aのケーシング50外側には、吹出グリル60が取り付けられる。
【0043】
左側板54は、ケーシング50の左側面を構成する部材であり、室外熱交換器25の前後方向に延びる部分と対面する。左側板54には、室外ファン35によってケーシング50内に吸入される空気の吸入口54aが形成される。
【0044】
(2−9−2)底板
底板52は、ケーシング50の下面を構成する略直方形状の板状部材である。底板52の周縁部には、上向きに延びる図示しない折曲部が設けられている。折曲部には、左ケーシング部材151、右前板55、右後板56、および仕切板58がネジ等により固定される。
【0045】
(2−9−3)右前板
右前板55は、ケーシング50の右前面及び右側面の前部を構成する板状部材である。右前板55は、底板52から天板57まで略鉛直上方に延び、底板52とネジ等により固定される。また、右前板55の左端部は、左ケーシング部材151の前板51の右端部と、ネジ等により固定される。
【0046】
なお、右前板55の右前面の中間高さ位置には、室外ユニット20の運搬時に、運搬者が把持するための把手部155が形成される。
【0047】
(2−9−4)右後板
右後板56は、ケーシング50の右背面及び右側面の後部を構成する板状部材である。右後板56は、底板52から天板57まで略鉛直上方に延び、底板52および天板57と、それぞれネジ等により固定される。左ケーシング部材151の左側板54の後端部と、右後板56の背面側端部との左右方向間には、室外ファン35によってケーシング50内に吸入される空気の吸入口53aが形成される。
【0048】
なお、右後板56の右前面の中間高さ位置には、室外ユニット20の運搬時に、運搬者が把持するための把手部156が形成される。
【0049】
(2−9−5)天板
天板57は、ケーシング50の上面を構成する略直方形状の板状部材である。天板57の周縁部は、下向きに折り曲げられた折曲部57aを有する。折曲部には、左ケーシング部材151および右後板56がネジ等により固定される。
【0050】
(2−9−6)仕切板
仕切板58は、ケーシング50の底板52から天板57まで略鉛直上方に延びる板状部材である。仕切板58は、その下部が底板52とネジ等により固定される。仕切板58は、図3に示すように、平面視において弧状の形状を有する。仕切板58は、ケーシング50の内部を送風機室S1と、機械室S2とに分割する。
【0051】
送風機室S1は、左ケーシング部材151および仕切板58に側面を囲まれて形成された空間であり、主に室外ファン35および室外熱交換器25が配置される。機械室S2は、右前板55、右後板56および仕切板58で側面を囲まれて形成された空間であり、圧縮機23、四路切換弁24や、電装ユニット等が配置される。
【0052】
(2−10)吹出グリル
吹出グリル60は、室外ファン35に人間の手指や異物が接触することを防止する略直方形状のカバー部材である。吹出グリル60は、樹脂で一体に成形される。吹出グリル60は、左ケーシング部材151の前板51の吹出口51a全体をカバーするように、ケーシング50の正面外側に取り付けられる。すなわち、吹出グリル60は、ケーシング50の吹出口51aに対し、室外ファン35から吹き出す空気の吹き出し方向に取り付けられる。
【0053】
図6から図8を用いてさらに詳しく説明する。
【0054】
吹出グリル60は、室外ファン35と対向し室外ファン35をカバーするカバー部61およびカバー部61の周縁から前板51に向かって延びる周縁部62を有するグリル本体部63と、グリル本体部63の上面62aから、前板51の平面部に沿って上方に延びる延伸部64と、吹出グリル60の左側下部に配置される把手部66とを有する。カバー部61の背面61aと周縁部62の内面62bとで囲まれて形成される空間は、室外ファン35により送風される空気が通過する通風空間S3である。把手部66は、室外ユニット20の運搬時に、運搬者が把持する部分である。
【0055】
(2−10−1)延伸部
延伸部64は、図6のように、グリル本体部63の上面62aの左右方向に、ほぼ全体に亘って設けられる。延伸部64は、図7のように、室外ファン35の吹き出し方向、すなわち、室外ユニット20の正面方向に突出する横溝が形成された横溝部161を有する。また、延伸部64は、横溝部161の上端から前板51に向かって斜め上方に延びる折曲部162を有する。
【0056】
横溝部161の横溝は、水平方向に延び、延伸部64のほぼ全面に亘って形成される。横溝部161は、前板51と略平行に、略鉛直上方に延びる対向面161aを有し、対向面161aのほぼ全面に亘ってシール材165が貼付されて固定される。横溝部161の鉛直方向の幅は約10mmである。シール材165は、ゴム等で作られたガスケットである。
【0057】
吹出グリル60は、グリル本体部63の4つの取付部163にそれぞれ設けられた爪部164を、前板51に形成された対応する図示しない角穴に差し込むと共に、グリル本体部に形成された丸穴163aに図示しないネジを挿入し、前板51に形成された図示しないネジ穴にネジをねじ込んで固定することで、前板51に取り付けられる。グリル本体部63を前板51に固定する際にネジを締め付けることで、横溝部161の対向面161aと前板51との間でシール材165が圧縮され、シール材165の接触面165aは前板51の平面部と隙間なく密接する。
【0058】
(2−10−2)把手部
把手部66は、図8に示すように、カバー部61の背面61aの一部に形成された接触面66aを有する。吹出グリル60の把手部66の接触面66aと対向する部分には、開口OPが形成されている。すなわち、接触面66aは、ケーシング50の前板51と対向する。接触面66aは、接触面66aの背面側の上方および左右に配置された周縁部62およびケーシング50の前板51と共に、通風空間S3の外に、通風空間S3とは分離された把持空間S4を形成する。把持空間S4は下方が開いており、運搬者は、下方から手指を挿入し、接触面66aを手指で握るように把持する。接触面には、滑り止めとして凹凸が形成されている。より具体的には、半球状の小突起67が複数形成されており、運搬者が把持する際に、手指が滑りにくい。
【0059】
なお、室外ユニット20を二人で運搬する場合には、図9に示すように、一方の運搬者は、把手部66および室外ユニット20のケーシング50の左側背面部の下面を保持する。他方の運搬者は、右前板55に設けられた把手部155および右後板56に設けられた把手部156を保持する。
【0060】
(3)特徴
(3−1)
本実施形態にかかる空気調和装置1の室外ユニット20は、室外ファン35と、ケーシング50と、吹出グリル60と、を備える。ケーシング50には、室外ファン35の吹出口51aが形成されている。吹出グリル60には、吹出口51aに対し室外ファン35の吹き出し方向前方に配置される。吹出グリル60は、吹出グリル60の下部に、室外ユニット20の運搬時に運搬者に把持される、運搬者の手指の接触面66aに凹凸としての小突起67が滑り止めとして形成された把手部66を有する。
【0061】
把手部66に滑り止めが施されているため、運搬者が手指を滑らせすることが少なくなり、安全に室外ユニット20を運搬できる。
【0062】
接触面66aには、滑り止めとして凹凸が形成されるので、運搬者の手指が滑りにくい。特に、凹凸が小突起67により形成されているので、運搬者の手指が滑りにくい。
【0063】
(3−2)
本実施形態にかかる空気調和装置1の室外ユニット20は、吹出グリル60は、樹脂製であり、接触面66aに対向する部分に開口OPが形成されている。接触面66aは、ケーシング50の前板51に対向する面である。
【0064】
樹脂製の吹出グリル60が接触面66aに対向する面を有し、把手部66がポケット状になっている場合には、形状的に一体成形が困難であるが、接触面66aに開口OPを設け、接触面66aを前板51と対向させたことで、容易に一体成形可能である。
【0065】
(3−3)
本実施形態にかかる空気調和装置1の室外ユニット20において、運搬者の手指の接触面66aは、ケーシング50の前板51に対向するカバー部61の背面61aの一部である。
【0066】
運搬者の手指の接触面66aを、ケーシング50の前板51に対向するカバー部61の背面61aの一部とすることで、図9のようにして運搬者が室外ユニット20を運搬する際に、運搬者は接触面66aをしっかりと把持できる。
【0067】
さらに、接触面66aは、カバー部61の背面61a側なので、目に付きにくく、室外ユニット20の外観に悪影響を与えない。
【0068】
(3−4)
本実施形態にかかる空気調和装置1の室外ユニット20では、吹出グリル60には、カバー部61の背面61aと、カバー部61の周縁からケーシング50の前板51に向かって延びる周縁部62の内面62bとに囲まれ、吹出口51aから吹き出す風が通過する通風空間S3が形成される。把手部66は、カバー部61とケーシング50の前板51との間であって通風空間S3の外に形成される把持空間S4に、運搬者が手指を挿入して把持するものである。
【0069】
把持空間S4は通風空間S3と隔てられた空間であるため、室外ユニット20の運転中に、使用者等が把持空間S4に手指を挿入しても、室外ファン35と手指との接触を原因とした怪我が発生しない。
【0070】
(4)変形例
以下に本実施形態の変形例を示す。なお、複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0071】
(4−1)変形例A
上記の実施形態に示された室外ユニット20は、空気調和装置1に使用されるものであるが、これに限定されるものではなく、その他の冷凍装置に使用されるものであってもよい。
【0072】
(4−2)変形例B
上記の実施形態に示された室外ユニット20では、運搬者の手指が接触する接触面66aの凹凸が半球状の小突起67により実現されているが、これに限定されるものではなく、滑りが発生しにくい形状の凹凸であればよい。
【0073】
例えば、図10のように、吹出グリル260の把手部266の接触面266aには、左右方向に延びる複数の溝266bが形成されている。
【0074】
これにより、吹出グリル260においては、簡単な構成で、運搬者の手指が滑りにくい構造が実現できる。
【0075】
(4−3)変形例C
上記の実施形態に示された室外ユニット20では、接触面66aの小突起67は一体に形成されるが、これに限定されるものではない。
【0076】
例えば、接触面66aに別部材の滑り止めを貼付等により固定してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 空気調和装置(冷凍装置)
20 室外ユニット
35 室外ファン(ファン)
50 ケーシング
51a 吹出口
60,260 吹出グリル
61 カバー部
61a 背面(第1面)
62 周縁部
62b 内面(周縁面)
66 把手部
66a,266a 接触面
67 小突起(滑り止め)
266b 溝(滑り止め)
OP 開口
S3 通風空間
S4 把持空間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開平11−108398号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10