(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5729324
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】車両のステアリング装置
(51)【国際特許分類】
B62D 1/181 20060101AFI20150514BHJP
B62D 1/187 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
B62D1/181
B62D1/187
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-27785(P2012-27785)
(22)【出願日】2012年2月10日
(65)【公開番号】特開2013-163458(P2013-163458A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2014年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084124
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 一眞
(72)【発明者】
【氏名】盛永 真也
(72)【発明者】
【氏名】黒川 泰明
【審査官】
柳元 八大
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−88546(JP,A)
【文献】
特開2009−292429(JP,A)
【文献】
特開2009−29325(JP,A)
【文献】
特開2004−262323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/181
B62D 1/187
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定される固定ブラケットと、前記車体に対し揺動可能に支持されるステアリングコラムを備え、該ステアリングコラムを前記固定ブラケットに対し所望の傾斜角度のチルト位置に調整する車両のステアリング装置において、前記ステアリングコラムを保持し、前記固定ブラケットに対し相対移動可能に支持されるチルトブラケットと、前記車体の横方向に延在し、前記固定ブラケットに対し前記ステアリングコラムの軸方向に相対移動可能に支持されるチルトシャフトと、該チルトシャフトの軸を中心に前記チルトブラケットを回転駆動し前記固定ブラケットに対する前記チルトブラケットの相対位置を調整する駆動ユニットとを備えたことを特徴とする車両のステアリング装置。
【請求項2】
前記駆動ユニットは、前記チルトシャフトに一端が固定されるクランク部材と、前記チルトブラケットに固定される電動モータと、該電動モータの出力を減速して前記クランク部材の他端を回転駆動する減速機を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両のステアリング装置。
【請求項3】
前記固定ブラケットには、前記ステアリングコラムの軸方向に長尺側の寸法を有する長穴が形成されており、該長穴に前記チルトシャフトが相対移動可能に支持されることを特徴とする請求項1又は2記載の車両のステアリング装置。
【請求項4】
前記減速機は、前記電動モータの出力軸に固定する第1のウォームギヤと、該第1のウォームギヤに噛合する第1のウォームホイールと、該第1のウォームホイールと一体的に回転する第2のウォームギヤと、該第2のウォームギヤに噛合する第2のウォームホイールを備え、該第2のウォームホイールの回転軸を前記クランク部材の他端に固定することを特徴とする請求項2又は3記載の車両のステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のステアリング装置に関し、特に、車体に対しステアリングコラムを揺動可能に支持し所望のチルト位置に調整するステアリング装置に係る。
【背景技術】
【0002】
ステアリングホイールの操作位置を所望のチルト位置に調整する機構として、電動のチルト機構が知られており、例えば下記の特許文献1には、「チルト作動に影響を及ぼすことなく、上下方向のがたつきを好適に抑制し得るステアリング装置を提供すること」を目的とし(特許文献1の段落〔0004〕に記載)、「ステアリングホイールに連結されるステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトを回転自在に収容支持する筒状のコラムハウジングを有し、固定ブラケットにより車体に固定されるステアリングコラムと、チルトモータの作動に基づいて前記固定ブラケットに対する前記ステアリングコラムの傾動量を調整するチルト機構とを備えたステアリング装置において、前記チルト機構は、前記チルトモータにより回転駆動されるシャフトと、前記シャフトの回転に基づいて該シャフト上をスライドするスライド部材と、前記スライド部材および前記固定ブラケットに対して前記コラムハウジングを連結し、前記スライド部材のスライドに基づいて、前記ステアリングコラムを前記固定ブラケットに対して傾動作動させるリンク機構とを備え、前記リンク機構を、前記コラムハウジングの径方向外側において該コラムハウジングの左右両側に配置」することが提案されている(同段落〔0005〕に記載)。
【0003】
また、下記の特許文献2には、「チルト・テレスコピック機構の駆動方式に関係なく、ステアリングコラムを共通使用することができるステアリング装置を提供すること」を目的とし(特許文献2の段落〔0005〕に記載)、「ステアリングホイールが取着されるステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトを回転可能に収容支持するステアリングコラムと、前記ステアリングコラムにステアリング位置調整機構を取り付けるためのブラケットを備えるステアリング装置において、前記ステアリングコラムは、前記ブラケットが着脱自在に構成」された装置が提案されている(同段落〔0006〕に記載)。更に、「前記ブラケットは、手動式チルト・テレスコピック機構を取り付けるためのサポートブラケット又は電動式チルト・テレスコピック機構を取り付けるためのベースブラケットである」と記載され(同段落〔0007〕)、「前記サポートブラケットの取付部と、前記ベースブラケットの取付部を共通化」することが記載されている(同段落〔0009〕)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−327374号公報
【特許文献2】特開2006−264547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のステアリング装置は、チルトモータ(電動モータ)の出力をスクリューシャフト(台形螺子等)を用いたスライド機構により直線運動に変換し、ベルクランクを用いたリンク機構によりステアリングホイールの上下変位(チルト作動)に変換するように構成されたものであり、電動チルト機構は、駆動ユニットを構成する電動モータ、リンク機構等の構成部品が多く、大型であり、車両への搭載が困難である。また、手動チルト機構とは構造が大きく異なり、手動チルト機構との互換性が考慮されたものでもないので、構成部品の共通化は期待できない。
【0006】
一方、上記特許文献2に記載のステアリング装置においては、手動チルト機構と電動チルト機構のブラケット取付部を共通化することが提案されており、夫々のチルト機構部をサブアッセンブリ化し、ステアリングコラムに対し着脱可能な構成とすれば、ステアリングコラムは共通化しつつ、両者を適宜選択することができる。然し乍ら、特許文献2に記載のチルト機構部は従前の手動チルト機構と電動チルト機構の構造を踏襲しているので、電動チルト機構は従前同様大型であり、車両への搭載が困難である。
【0007】
そこで、本発明は、ステアリングコラムを所望のチルト位置に調整する車両のステアリング装置において、手動チルト機構との互換性を有し、車両への搭載が容易な小型の電動チルト機構を構成し得るステアリング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するため、本発明は、車体に固定される固定ブラケットと、前記車体に対し揺動可能に支持されるステアリングコラムを備え、該ステアリングコラムを前記固定ブラケットに対し所望の傾斜角度のチルト位置に調整する車両のステアリング装置において、前記ステアリングコラムを保持し、前記固定ブラケットに対し相対移動可能に支持されるチルトブラケットと、前記車体の横方向に延在し、前記固定ブラケットに対し前記ステアリングコラムの軸方向に相対移動可能に支持されるチルトシャフトと、該チルトシャフトの軸を中心に前記チルトブラケットを回転駆動し前記固定ブラケットに対する前記チルトブラケットの相対位置を調整する駆動ユニットとを備えることとしたものである。
【0009】
上記のステアリング装置において、前記駆動ユニットは、前記チルトシャフトに一端が固定されるクランク部材と、前記チルトブラケットに固定される電動モータと、該電動モータの出力を減速して前記クランク部材の他端を回転駆動する減速機を備えたものとするとよい。
【0010】
上記のステアリング装置において、前記固定ブラケットには、前記ステアリングコラムの軸方向に長尺側の寸法を有する長穴が形成されており、該長穴に前記チルトシャフトが相対移動可能に支持されるように構成するとよい。
【0011】
前記減速機は、前記電動モータの出力軸に固定する第1のウォームギヤと、該第1のウォームギヤに噛合する第1のウォームホイールと、該第1のウォームホイールと一体的に回転する第2のウォームギヤと、該第2のウォームギヤに噛合する第2のウォームホイールを備えたものとし、該第2のウォームホイールの回転軸を前記クランク部材の他端に固定するように構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、本発明のステアリング装置においては、上記の構成に成るチルトブラケット、チルトシャフト及び駆動ユニットを備え、駆動ユニットによって、チルトシャフトの軸を中心にチルトブラケットを回転駆動し固定ブラケットに対するチルトブラケットの相対位置を調整するように構成されており、従来に比し少ない部品点数で簡単且つ組み付け容易な小型の電動チルト機構を構成することができるので、車両への搭載が容易で、安価な装置を提供することができる。特に、手動チルト機構と同等の大きさで電動チルト機構を構成することができるので、例えば手動チルト機構をベースにしたステアリング装置に対し、車両搭載性を維持しながら電動チルト化が可能となる。逆に、上記と同様の固定ブラケット及びチルトブラケットに対し、手動チルト機構の構成部品を装着すれば、簡単且つ容易に手動チルト機構を備えたステアリング装置を構成することもでき、手動チルト機構との互換性を有する。
【0013】
例えば、上記の駆動ユニットを、上記のクランク部材、電動モータ及び減速機を備えたものとし、電動モータの出力を減速してクランク部材を回転駆動するように構成すれば、従前のスライド機構やリンク機構を必要とすることなく、少ない部品点数で小型に形成することができる。
【0014】
更に、固定ブラケットに上記の長穴を形成し、この長穴にチルトシャフトを相対移動可能に支持する構成とすれば、装置全体として簡単且つ安価に形成することができる。
【0015】
尚、上記の減速機は、第1及び第2のウォームギヤ並びに第1及び第2のウォームホイールを備えたものとし、第2のウォームホイールの回転軸をクランク部材の他端に固定するように構成すれば、逆効率を極力小さくし得る好適な装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るステアリング装置を示す側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るステアリング装置を示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に供する駆動ユニットを示すもので、
図2のA−A線断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に供する駆動ユニットを示すもので、
図2のB−B線断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るステアリング装置のチルトダウン位置の状態を示す側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るステアリング装置のチルトアップ位置の状態を示す側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態において固定ブラケットに対するチルトシャフトの支持構造の他の例を示す正面図である。
【
図8】本発明の一実施形態から手動チルト機構に変換するときに用いる固定ブラケットの一態様を示す側面図である。
【
図9】本発明の一実施形態を変換して手動チルト機構を構成した場合のステアリング装置の一態様を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至
図4は本発明の一実施形態に係るステアリング装置の構成を示すもので、車体(図示せず)に対しステアリングコラム10が揺動可能に支持されており、ステアリングコラム10を固定ブラケット1に対し所望の傾斜角度のチルト位置に調整し得るように構成されている。ステアリングコラム10の車体への支持構造は、車体に固定された固定ブラケット1に対し、チルトブラケット2が相対移動可能に支持されており、このチルトブラケット2にステアリングコラム10の中間部が保持され、車体の前方に配置された揺動中心(C)回りに揺動し得るように支持されている。
【0018】
ステアリングコラム10は、ステアリングシャフト11と、これを囲繞するように同軸上に配置されるメインチューブ12を有し、ステアリングシャフト11の後端にステアリングホイール(図示せず)が支持され、その前端が転舵機構(図示せず)に連結される。ステアリングシャフト11は、後端部にステアリングホイール(図示せず)が接続される筒状のアッパシャフト11aと、このアッパシャフト11aの前端部と連結されるロアシャフト11bから成る。即ち、アッパシャフト11aとロアシャフト11bが軸方向に相対移動可能に連結されており、ロアシャフト11bの前端部が転舵機構(図示せず)に接続されている。この転舵機構はステアリングホイールの操作に応じて駆動されて車輪操舵機構(図示せず)を介して操舵輪(図示せず)を転舵するように構成されている。
【0019】
固定ブラケット1は、
図2に示すように車体締結部を有するアッパブラケット1aとU字形状のロアブラケット1bが(例えば溶接により)結合されたものである。また、チルトブラケット2はU字形状に形成され、その両端部がステアリングコラム10の中間部に(例えば溶接にて)固定されている。チルトブラケット2には、車体の横方向に延在するようにチルトシャフト3が支持されている。固定ブラケット1には、ロアブラケット1bの両側壁に夫々、ステアリングコラム10の軸方向に長尺側の寸法(長手方向寸法)を有する長穴(
図1に一方を1sで示す)が形成されており、これらの長穴1sを介してチルトシャフト3が車体の横方向に貫通するように配置され、固定ブラケット1に対しチルトシャフト3がステアリングコラム10の軸方向に相対移動可能に支持されている。尚、長穴1sとチルトシャフト3との間にクリアランスがあると、ステアリングホイール(図示せず)のガタにつながるため、クリアランスは極力小さくするか、あるいは締め代をもった寸法関係にするとよい。
【0020】
そして、本実施形態の駆動ユニット4がチルトブラケット2のU字形状の内側に配置され、螺子等でチルトブラケット2に固定されている。この駆動ユニット4は、チルトシャフト3の軸を中心にチルトブラケット2を回転駆動し固定ブラケット1に対するチルトブラケット2の相対位置を調整するもので、チルトシャフト3に一端が固定されるクランク部材41と、チルトブラケット2に固定される電動モータ42と、この電動モータ42の出力を減速してクランク部材41の他端を回転駆動する減速機50を備えている。
【0021】
本実施形態の減速機50は、ステアリングホイール(図示せず)への荷重入力により運転者が意図しないチルト位置変化が生ずるのを防ぐため、ステアリングホイール入力に対しチルト位置を保持し得るよう、逆効率を極力小さくする構成とされている。即ち、
図3に示すように、電動モータ42の出力軸に固定する第1のウォームギヤ51と、この第1のウォームギヤ51に噛合する第1のウォームホイール52によって第1段の減速機構が構成され、第1のウォームホイール52と一体的に回転する第2のウォームギヤ53と、この第2のウォームギヤ53に噛合する第2のウォームホイール54によって第2段の減速機構が構成されている。尚、第1のウォームホイール52と第2のウォームギヤ53は例えばスプライン結合されており、一体となって回転する。本実施形態においては、電動モータ42の回転出力が2段の減速機構によって減速されるように構成されているが、1段のみとしてもよく、3段以上としてもよい。
【0022】
そして、
図4に示すように、第2のウォームホイール54の軸部には、クランク回転軸43の一端がスプライン結合されており、クランク回転軸43の他端はクランク部材41の他端側に結合されている。従って、電動モータ42が駆動されるとクランク部材41は第2のウォームホイール54の回転軸を中心に揺動する。尚、クランク部材41の両端部の結合手段としては、一端がチルトシャフト3に固定され、他端がクランク回転軸43に固定されるのであれば、溶接、圧入、螺合等何れでもよい。
【0023】
本実施形態の駆動ユニット4は上記のように構成されているので、電動モータ42が駆動されると、その回転が減速機50によって適切に減速されてクランク部材41に伝達され、クランク部材41が回転(揺動)するが、チルトシャフト3は固定ブラケット1を介して車体(図示せず)に結合されているので、駆動ユニット4全体がチルトシャフト3の軸を中心に回転(揺動)することとなる。そして、駆動ユニット4はチルトブラケット2に固定されているため、チルトブラケット2もチルトシャフト3の軸を中心に回転することになり、チルトブラケット2と一体のステアリングコラム10が揺動中心(C)回りに揺動し、
図5又は
図6に示すようにチルト作動する。而して、ステアリングコラム10が所望のチルト位置となるように、固定ブラケット1に対するチルトブラケット2の相対位置が調整される。尚、
図5及び
図6のNTは中立位置(チルトニュートラル位置)、TDはチルトダウン位置、TUはチルトアップ位置を示す。
【0024】
上記のチルト作動において、クランク部材41(チルトシャフト3と一体)の揺動中心とステアリングコラム10の揺動中心(C)が異なるため、駆動ユニット4(チルトシャフト3に固定)とステアリングコラム10とではコラム軸方向の移動量に差異が生じる。この差異を吸収するため、固定ブラケット1に形成される長穴1sが、ステアリングコラム10の軸方向に長尺側の寸法(長手方向寸法)を有する形状に設定されており、クランク部材41の揺動に応じてチルトシャフト3が長穴1sに案内されて移動し、
図5及び
図6に示す位置で停止する。本実施形態は上記のように構成されているので、従前のスライド機構やリンク機構を必要とすることなく、電動チルト機構を備えたステアリング装置を小型に形成することができる。
【0025】
尚、固定ブラケット1に対しステアリングコラム10の軸方向に相対移動可能にチルトシャフト3を支持する手段としては、上記の長穴1sに代えて、
図7に示すように固定ブラケット1の両側壁の内側に、上記の長穴1sと同形状の長溝(代表して1vで表す)を同位置に形成し、これらの長溝1vにチルトシャフト3の両端部を摺動可能に嵌合するように構成してもよい。
図7におけるその他の構成は
図1乃至
図4に示す実施形態と同様であるので、実質的に同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
また、上記の構成になるステアリング装置における固定ブラケット1に若干の変更を加え、上記の駆動ユニット4に代えて手動チルト機構の構成部品をチルトブラケット2に装着すれば、手動操作でチルト作動を行い得るステアリング装置を構成することができる。例えば、
図8に示すように、前述のチルトシャフト3を支持するための長穴1s(
図8に二点鎖線で示す)とは形状が異なる手動チルト機構用の長穴1xsを形成した固定ブラケット1xを用いれば、
図9に示すように、運転者によるレバー61の操作に応じてチルト作動を行い得る手動チルト機構6を構成することができる。従って、
図1に示すような電動チルト機構を備えたステアリング装置と同じ生産ラインで、手動チルト機構6をステアリングコラム10に組付ければ、従前と同様の手動チルト機構を備えたステアリング装置を製造することができる。尚、
図9に示す手動チルト機構6の構造は従前のもの(例えば前掲の特許文献2に記載)と同様であるので説明を省略するが、更に
図1乃至
図4に記載の構成部品(チルトシャフト3等)をそのまま用いて新たな手動チルト機構を構成することもできる。
【0027】
以上のように、チルト機構部を除く基本構成、例えばステアリングコラム10及びチルトブラケット2を共通仕様とし、
図1に示す固定ブラケット1又は
図8に示す固定ブラケット1xを用いることにより、夫々、電動チルト機構又は手動チルト機構を構成することができ、何れかを選択可能な仕様となる。而して、電動チルト機構から手動チルト機構への変換、あるいはその逆の変換も、大幅なコストアップや車両搭載性の困難化等を惹起することなく、容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0028】
1 固定ブラケット
1s 長穴
1v 長溝
2 チルトブラケット
3 チルトシャフト
4 駆動ユニット
10 ステアリングコラム
41 クランク部材
42 電動モータ
50 減速機