(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
冷媒容器(22)と、圧縮機(24)と、熱交換器(28)と、電動弁(33)および前記電動弁に接続された冷媒配管を含む電動弁アセンブリ(60)とを有する、冷媒回路と、
前記冷媒容器、前記圧縮機および前記熱交換器を載置する底板部材(51)と、
前記冷媒容器に固定され、前記電動弁アセンブリの一部を拘束する、拘束部材(58,158)と、
円柱形状あるいは円筒形状の複数の部材を連結する連結部材(59d)と、
を備え、
前記拘束部材のうち、少なくとも前記電動弁アセンブリの一部を拘束する拘束部(58c、158c)は、円柱形状あるいは円筒形状であり、
前記電動弁アセンブリは、その前記冷媒配管の第1部(61c)が、前記連結部材を介して前記拘束部材の拘束部に連結される、
冷凍装置の熱源ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
熱源ユニットの内部に配置されるもののうち、電動弁およびその周囲の配管は、電動弁アセンブリ(組立品)として一体化されてから、圧縮機などが装着された組み立て途中の熱源ユニットに組み付けられることが多い。その際、配管の接続が為される他、輸送時の振動や落下の衝撃に耐えられるように、電動弁アセンブリは、周囲にある別の配管と結束バンドで締結されたり、ケーシングから延びるサポート部材に固定されたりする。
【0004】
しかし、最近では高性能化とともに熱源ユニットの小型化の要請が強く、熱源ユニットの内部空間の部品間の隙間が小さくなってきている。このように隙間が小さくなると、設計通りに精度良く電動弁アセンブリを組み付けることが求められ、熱源ユニットの輸送時の振動等に対しても電動弁アセンブリの各部の位置がずれないことが要求される。
【0005】
本発明の課題は、電動弁アセンブリが精度良く組み付けられる冷凍装置の熱源ユニット、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る冷凍装置の熱源ユニットは、冷媒回路と、底板部材と、拘束部材とを備えている。冷媒回路は、冷媒容器と、圧縮機と、熱交換器と、電動弁アセンブリとを有する。電動弁アセンブリは、電動弁およびその電動弁に接続された冷媒配管を含む。底板部材には、冷媒容器、圧縮機および熱交換器が載置される。拘束部材は、冷媒容器に固定されており、電動弁アセンブリの一部を拘束する。
【0007】
ここでは、冷媒を気液分離して液冷媒が圧縮機に流れることを抑制するアキュムレータなどの冷媒容器に、拘束部材を固定している。そして、その拘束部材によって電動弁アセンブリの一部を拘束している。これにより、電動弁アセンブリの組み付け精度が向上し、熱源ユニットの輸送時に電動弁アセンブリの各部が他部品と接触することが抑制される。
【0008】
なお、拘束部材の剛性が低ければ電動弁アセンブリの組み付け精度の確保が難しくなるため、拘束部材は、冷媒配管のような銅管ではなく、鉄製の部材など高剛性部材を用いることが好ましい。例えば、拘束部材として、鉄製のパイプを用いることができる。また、拘束部材と冷媒容器との固定方法としては、溶接といった固定度合いが高くなる方法を採用することが好ましい。
【0009】
また、本発明の第1観点に係る冷凍装置の熱源ユニットは、連結部材をさらに備えている。連結部材は、円柱形状あるいは円筒形状の複数の部材を連結する。また、拘束部材のうち、少なくとも電動弁アセンブリの一部を拘束する拘束部は、円柱形状あるいは円筒形状である。そして、電動弁アセンブリは、その冷媒配管の第1部が、連結部材を介して拘束部材の拘束部に連結される。
【0010】
ここでは、拘束部材の拘束部と、電動弁アセンブリの冷媒配管の第1部とが、連結部材によって互いに連結される。このため、電動弁アセンブリの重量が大きい場合にも、まず第1部が拘束部材の近傍にくるように電動弁アセンブリをセットして、その後に電動弁アセンブリの位置を修正して連結部材による連結を行うことができる。
【0011】
なお、連結部材としては、例えば、冷媒配管の第1部に嵌め込むことができる第1の嵌合部と、拘束部材の拘束部に嵌め込むことができる第2の嵌合部とを有する樹脂製の部材を採用することができる。第1の嵌合部を冷媒配管の第1部に連結し、第2の嵌合部を拘束部材の拘束部に連結することで、冷媒配管の第1部が拘束部材の拘束部に連結されることになる。
【0012】
本発明の
第2観点に係る冷凍装置の熱源ユニットは、
第1観点に係る熱源ユニットであって、電子回路基板と、ヒートシンクとをさらに備えている。電子回路基板は、電動弁の上方に配置される。電子回路基板には、半導体素子が実装される。ヒートシンクは、半導体素子に取り付けられる。また、電動弁アセンブリの冷媒配管は、電動弁よりも上方に位置する第2部を含んでいる。その冷媒配管の第2部は、ヒートシンクに密着して半導体素子を冷やす。
【0013】
ここでは、電動弁の上方に位置する半導体素子に取り付けられたヒートシンクと、それに密着しなければならない電動弁アセンブリの冷媒配管の第2部とが、組み立て時において精度良く位置決めされる必要がある。位置がずれると、冷媒配管の第2部とヒートシンクとの密着性が悪くなり、半導体素子の冷却能力が設計通り発揮されずに半導体素子の寿命を縮める恐れがあるからである。本発明によれば、電動弁アセンブリの組み付け精度が高くなるため、冷媒配管の第2部のヒートシンクに対する相対位置が確保され、密着性が良くなりヒートシンクの能力も設計どおりに発揮されることになる。
【0014】
本発明の
第3観点に係る冷凍装置の熱源ユニットは、
第1観点又は第2観点に係る熱源ユニットであって、電動弁アセンブリの冷媒配管は、大径管部を含んでいる。大径管部は、その前後の部分の径よりも流路の径が大きい。
【0015】
この熱源ユニットの電動弁アセンブリは、大径管部を含んでいるため、その重量が大きくなりがちであるが、本発明によれば、第1部が拘束部材の拘束部に拘束されるため、組み付け後の電動弁アセンブリの支持状態が安定し、位置ズレが生じるようなことが抑制される。
【0016】
本発明の
第4観点に係る冷凍装置の熱源ユニットは、
第1から第3観点のいずれかに係る熱源ユニットであって、冷媒容器支持脚をさらに備えている。冷媒容器支持脚の底部は、底板部材に固定される。冷媒容器支持脚の上部は、冷媒容器を下から支える。また、冷媒容器支持脚には、電動弁アセンブリ支持部が形成されている。この電動弁アセンブリ支持部は、電動弁アセンブリの冷媒配管の第3部を下から支える。
【0017】
ここでは、アキュムレータなどの冷媒容器を、冷媒容器支持脚を介して底板部材に載置する構造を採り、その冷媒容器支持脚に電動弁アセンブリ支持部を形成している。これにより、電動弁アセンブリは、冷媒容器に固定された拘束部材によって一部が拘束され、且つ、冷媒容器支持脚の電動弁アセンブリ支持部によって下から支えられる。このため、熱源ユニット内における電動弁アセンブリの組み付け精度が更に向上する。
【0018】
本発明に係る冷凍装置の熱源ユニットの製造方法は、上述の
第1観点に係る冷凍装置の熱源ユニットの製造方法であって、第1工程、第2工程および第3工程を備えている。第1工程では、冷媒配管の第1部に連結部材を装着した電動弁アセンブリを作る。第2工程では、底板部材に、冷媒容器、圧縮機および熱交換器を載置して固定する。第3工程は、第1工程および第2工程のあとに行われる。第3工程では、底板部材の上方の所定位置に電動弁アセンブリを配置し、冷媒配管の第1部に装着されている連結部材を、冷媒容器に固定されている拘束部材の拘束部に連結する。
【0019】
ここでは、第2工程を経て冷媒容器が底板部材に載置、固定された状態の熱源ユニットに、連結部材が装着された電動弁アセンブリを持ってきて、第3工程において電動弁アセンブリを組み付ける。その際に、連結部材を拘束部材の拘束部に連結することで、電動弁アセンブリを精度良く組み付けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の1つの具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0022】
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る熱源ユニットを備える冷凍装置としての空気調和装置の冷媒回路を示す図である。
図1において、空気調和装置は、冷房運転や暖房運転が可能な空気調和装置であり、熱源ユニットである室外ユニット20と、利用ユニットである室内ユニット40と、室外ユニット20と室内ユニット40とを接続するための液冷媒連絡配管71およびガス冷媒連絡配管72とを備えている。
【0023】
(1−2)室内ユニットの構成
室内ユニット40は、室内熱交換器42と、室内ファン44とを有している。室内熱交換器42は、クロスフィン型熱交換器であり、室内空気との熱交換によって内部を流れる冷媒を蒸発又は凝縮させ、室内の空気を冷却又は加熱することができる。
【0024】
(1−3)室外ユニットの構成
図1において、室外ユニット20は、主に、アキュムレータ22、圧縮機付属容器23、圧縮機24、四路切換弁26、室外熱交換器28、大径管30、電動弁33、液冷媒側閉鎖弁37およびガス冷媒側閉鎖弁38を有し、これらが冷媒配管によって結ばれて冷媒回路を構成している。さらに、室外ユニット20は、室外ファン35や制御ボックス91(
図2参照)を有しており、各部品や各機器が底板51や左前板55を含むケーシングの内部に収容される。
【0025】
(2)室外ユニットの詳細構成
次に、
図2を参照して、室外ユニット20の構造について詳述する。
図2は、ケーシングを構成する各板状部材のうち、天板、右前板および右側板を外した室外ユニット20を右斜め上方から見た斜視図である。
【0026】
(2−1)圧縮機、四路切換弁およびアキュムレータ
圧縮機24は、圧縮機付属容器23を介してガス冷媒を吸入し、ガス冷媒を圧縮する。圧縮機24および圧縮機付属容器23の手前には、アキュムレータ22が配置されている。また、圧縮機24は、その3つの脚がケーシングの底板51に載置され、ボルト締結によって脚が底板51に固定されている。
【0027】
四路切換弁26は、冷房サイクルと暖房サイクルとの切換時に、冷媒の流れの方向を切り換える。冷房運転時やポンプダウン運転時、四路切換弁26は、圧縮機24の吐出側の冷媒配管と室外熱交換器28のガス側の出入り口とを接続するとともに圧縮機24の吸入側の冷媒配管とガス冷媒側閉鎖弁38とを接続する。つまり、
図1の四路切換弁26内の実線で示された冷房サイクル状態である。
【0028】
また、暖房運転時、四路切換弁26は、圧縮機24の吐出側の冷媒配管とガス冷媒側閉鎖弁38とを接続するとともに圧縮機24の吸入側の冷媒配管と室外熱交換器28のガス側の出入り口とを接続する。つまり、
図1の四路切換弁26内の点線で示された暖房サイクル状態である。
【0029】
アキュムレータ22は、流入してくる冷媒を気相と液相とに分ける気液分離機能を具備している。アキュムレータ22に流入する冷媒は、液相と気相とに分かれ、上部空間に集まる気相の冷媒が圧縮機24へと流れ出ていく。アキュムレータ22は、ケーシングの底板51に固定されるアキュムレータ支持脚52の上に、載置、固定される。アキュムレータ支持脚52の詳細については後述する。
【0030】
(2−2)室外熱交換器
室外熱交換器28は、室外空気との熱交換によって内部を流れる冷媒を凝縮又は蒸発させることができる。室外ファン35が、この室外熱交換器28に対面するように配置されており、回転することによって室外空気を取り込んで室外熱交換器28に送風し、室外熱交換器28と室外空気との熱交換を促進する。
【0031】
この室外熱交換器28、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成形される扁平多穴管、フィンおよびヘッダを有する、いわゆるマイクロチャネル熱交換器である。室外熱交換器28の容積は、室内熱交換器42の容積よりも小さい。
【0032】
また、室外熱交換器28も、圧縮機24やアキュムレータ22と同じくケーシングの底板51に載置、固定される。しかし、圧縮機24やアキュムレータ22が機械室に配置されるのに対し、室外熱交換器28は、室外ファン35とともに送風機室に配置される。底板51の上方のケーシング内部空間は、仕切り板56によって左右に2分割されており、左側が送風機室、右側が機械室となっている。
【0033】
(2−3)大径管
図4、
図8および
図9に示されている大径管30は、その前後の冷媒配管、すなわち、室外熱交換器28と大径管30とを結ぶ冷媒配管61や電動弁33と大径管30とを結ぶ冷媒配管62よりも流路の径が大きい円筒状の管である。この大径管30は、ポンプダウン運転時に、室外熱交換器28とともに余剰冷媒を溜める役割を果たす。この大径管30の容積である容積Vtが、室内熱交換器42の容積Vhi,室外熱交換器28の容積Vhoおよびアキュムレータ22の容積Vaに対し、
式:容積Vt>容積Vhi−容積Vho−容積Va
を満たすように、大径管30の直径および長さが決められている。
【0034】
大径管30は、鉛直方向に沿って長く延びるように配備される。
【0035】
(2−4)電動弁
電動弁33は、冷媒圧力や冷媒流量の調節を行うために、
図1や
図9に示すように大径管30と液冷媒側閉鎖弁37の間に設けられ、冷媒を膨張させる機能を有している。電動弁33は、その開度の調整が可能な弁である。
【0036】
(2−5)閉鎖弁および冷媒連絡配管
液冷媒側閉鎖弁37およびガス冷媒側閉鎖弁38は、手動で開け閉めする手動弁であり、それぞれ、液冷媒連絡配管71およびガス冷媒連絡配管72に接続される。液冷媒連絡配管71は、室内ユニット40の室内熱交換器42の液側の配管と室外ユニット20の液冷媒側閉鎖弁37との間を接続する。ガス冷媒連絡配管72は、室内ユニット40の室内熱交換器42のガス側の配管と室外ユニット20のガス冷媒側閉鎖弁38との間を接続する。
【0037】
これらの冷媒連絡配管71,72によって、冷房サイクルのときには、圧縮機24、室外熱交換器28、電動弁33および室内熱交換器42の順に冷媒が流れ、暖房サイクルのときには、圧縮機24、室内熱交換器42、電動弁33および室外熱交換器28の順に冷媒が流れる。
【0038】
(2−6)制御ボックス
制御ボックス91は、
図2に示すように圧縮機24や電動弁33の上方に配備されている。室外ユニット20の制御ボックス91の中には、制御基板やインバータ基板といった電子回路基板93が収容されており、その電子回路基板93には、各種の電子部品が実装されている。制御ボックス91内のマイクロコンピュータやメモリ等から成る制御部が、室内ユニット40の制御部(図示せず)とともに、冷房運転、暖房運転、ポンプダウン運転などの運転制御を行い、電動弁33の開度調整や圧縮機24、室外ファン35の回転数調整を行う。
【0039】
電子回路基板93の電子部品のうち、発熱の大きなIGBT等の半導体素子93aには、ヒートシンク(放熱器)31が取り付けられている(
図7参照)。
図3は、
図2に示す制御ボックス91の部分カバー95を外した図であり、ヒートシンク31は、電子回路基板93の面に沿って鉛直方向に長く延び、半導体素子93aに取り付けられている。
【0040】
ヒートシンク31は、
図5A,5B,5Cに示すヒートシンク本体131と、
図6A,6B,6Cに示すヒートシンクカバー231とから成る。ヒートシンク本体131は、半導体素子93aに密着する背面131aと、背面131aと逆側の左右に形成されている断面が円弧状の配管保持面131b,131bと、左右の配管保持面131b,131bの間に位置する中央部131cとを有している。中央部131cには、ヒートシンクカバー231を固定するための2つのネジ穴131dと、冷却対象である半導体素子93aを固定するための多数のネジ貫通穴131eとが形成されている。ヒートシンクカバー231は、ヒートシンク本体131の配管保持面131b,131bと対向する配管押さえ部231c,231cと、それらの配管押さえ部231c,231cを結ぶ連結薄肉部231aとを有している。連結薄肉部231aは、ヒートシンク本体131の中央部131cと対向しており、ヒートシンク本体131の2つのネジ穴131dに対応する位置にネジ貫通穴231bが開けられている。
【0041】
電動弁33の上方に位置する電子回路基板93の半導体素子93aに取り付けられたヒートシンク31には、電動弁アセンブリ60の上部冷媒配管62が装着されるが、それについては後述する。
【0042】
(2−7)電動弁アセンブリ
上述のように、室外ユニット20の冷媒回路は、多くの機器が冷媒配管によって結ばれることで構成されているが、その冷媒回路のうち、室外熱交換器28の液冷媒側端部から延びる冷媒配管28a(
図1および
図2参照)よりも液冷媒側閉鎖弁37のサイドにある部分は、電動弁アセンブリ60として一体化されている。この電動弁アセンブリ60は、1つの組立体として一体化された後に、ケーシングの底板51の上方に運ばれて組み付けられる。
【0043】
電動弁アセンブリ60は、
図1、
図8および
図9に示すように、電動弁33、液冷媒側閉鎖弁37および大径管30と、それらに接続される冷媒配管61,62,63,64を有している。
【0044】
熱交換器近傍冷媒配管61は、室外熱交換器28から延びる冷媒配管28aに接続される接続部61aと、その接続部61aの下端から水平に延びる水平部61bと、水平部61bと大径管30とを結ぶように略鉛直方向に延びる被拘束部61cとを有している。水平部61bは、周囲に断熱筒61dが巻き付けられており、後述するアキュムレータ支持脚52の舌部52gに支えられる。被拘束部61cは、後述する拘束用固定部材58および管固定具59dにより、水平方向の動きが拘束される(
図13参照)。
【0045】
上部冷媒配管62および電動弁近傍冷媒配管63は、大径管30と電動弁33との間の連続する1本の冷媒配管である。上部冷媒配管62は、大径管30の上端から上方に延び、上端で折り返されて下方に延びる部分であり、電動弁近傍冷媒配管63は、電動弁33から水平に延びて途中で上方に曲がり、液冷媒側閉鎖弁37の近傍の空間を超えて上方に延びる部分である。上部冷媒配管62は、左右に並ぶ部分を含み、その部分が上下2箇所で管固定具59a,59bによって連結されている(
図8参照)。最終的に、この管固定具59a,59bの間の部分がヒートシンク31に装着されることになるが、それについては後述する。また、管固定具59a,59bについても後述する。
【0046】
閉鎖弁側冷媒配管64は、電動弁33から下方に延び、折り返されて上方に向かい、大径管30の上端に近い高さ位置において液冷媒側閉鎖弁37に接続されている。また、閉鎖弁側冷媒配管64の下端から少し上の部分は、管固定具59cによって熱交換器近傍冷媒配管61の被拘束部61cと連結されている(
図8、
図9および
図13参照)。
【0047】
管固定具59a,59b,59c,59dは、
図10および
図11に示す形状の連結部材である。管固定具59a,59b,59c,59dは、樹脂製部材であり、冷媒配管61,62やそれと同等の外径の円柱状部材あるいは円筒状部材を、互いに連結させる。管固定具59a,59b,59c,59dは、連結対象の2つの部材にそれぞれ嵌め込まれる第1および第2の嵌合部591a,591bと、それらの嵌合部591a,591bを結ぶ結合部592とから構成されている。また、管固定具59a,59b,59c,59dには、嵌合部591a,591bおよび結合部592に渡って凸状リブ593が形成されている。
【0048】
管固定具59a,59b,59cは、電動弁アセンブリ60において、第1および第2の嵌合部591a,591bの両方がそれぞれ冷媒配管61あるいは冷媒配管62に嵌め込まれる。一方、管固定具59dは、一方の嵌合部591aが熱交換器近傍冷媒配管61の被拘束部61cに嵌め込まれて連結されているが、電動弁アセンブリ60単体のときには、他方の嵌合部591bは宙に浮いた状態である(
図9参照)。
【0049】
(2−8)電動弁アセンブリを支持するための構造
一体化された電動弁アセンブリ60を室外ユニット20の中に組み付けるときに、電動弁アセンブリ60を主として支持する構造について、以下に説明する。
【0050】
室外ユニット20において、電動弁アセンブリ60は、主として、アキュムレータ支持脚52およびアキュムレータ22に固定された拘束用固定部材58によって支持される。
【0051】
金属板から成形されるアキュムレータ支持脚52は、上述のようにケーシングの底板51に固定される部材である。アキュムレータ支持脚52は、
図12A,12Bに示すように、鉛直背面部51aと、鉛直背面部51aの下部の両端から水平に延びる基部52bと、鉛直背面部51aの上部の両端から水平に延びるアキュムレータ固定部52cと、基部52bおよびアキュムレータ固定部52cを結ぶ鉛直側面部52dとを有している。
【0052】
また、鉛直背面部51aの下端から基部52bと反対側に第1底水平面部52eが延びており、一方の基部52bの下端から外側に第2底水平面部52fが延びている。これらの第1底水平面部52eおよび第2底水平面部52fが、底板51に固定される。
【0053】
さらに、鉛直背面部51aには、両側部に鉛直方向に延びるリブ52h,52hが形成されるとともに、それらのリブ52h,52hの間に舌部52gが形成されている。舌部52gは、鉛直背面部51aの高さ方向の中央部分から基部52bやアキュムレータ固定部52cと同じ側に水平に延び、その先端が上向きに折り曲げられている。この舌部52gは、
図12Aに示すように、電動弁アセンブリ60の熱交換器近傍冷媒配管61の水平部61bの周囲に巻き付けられた断熱筒61dを介して、電動弁アセンブリ60の下部を下から支持することになる。
【0054】
アキュムレータ固定部52cは、その上面が湾曲しており、
図12A,12Bや
図13に示すように、アキュムレータ22の底面を下から支える。なお、アキュムレータ支持脚52とアキュムレータ22とは、まずアキュムレータ固定部52cにおいて溶接されてアキュムレータアセンブリとして一体化された後に、底板51に固定される。
【0055】
また、アキュムレータアセンブリの段階で、アキュムレータ22の側周面には、
図14に示すように拘束用固定部材58が溶接される。拘束用固定部材58は、U字状の鉄製のパイプで、2つの鉛直円筒部58a,58cと、それら鉛直円筒部58a,58cを結ぶ湾曲部58bとから成り、一方の鉛直円筒部58aがアキュムレータ22の側周面に溶接で固定され、他方の鉛直円筒部58cはアキュムレータ22の側周面から少し外側に離れた位置に浮いている。
【0056】
なお、拘束用固定部材58の代わりに、
図15に示す拘束用固定部材158をアキュムレータ22の側周面に固定してもよい。拘束用固定部材158は、アキュムレータ22の側周面に沿った形状の湾曲した板状部158aと、その板状部158aの下端からアキュムレータ22の径方向外側に延びる水平板状部158bと、その水平板状部158bの先端近傍から鉛直上向きに延びる鉛直円筒部158cとから成る。
【0057】
拘束用固定部材58の鉛直円筒部58c(あるいは、拘束用固定部材158の鉛直円筒部158c)は、電動弁アセンブリ60の冷媒配管61と同じ外径となっており、電動弁アセンブリ60を組み付ける際に、電動弁アセンブリ60の管固定具59dの他方の嵌合部591bが嵌め込まれる。これにより、
図13に示すように、電動弁アセンブリ60の熱交換器近傍冷媒配管61の被拘束部61cが、管固定具59dを介して、アキュムレータ22の側周面に固定された拘束用固定部材58に連結され、水平方向の動きが拘束されるようになる。すなわち、アキュムレータ22の側周面に固定された拘束用固定部材58は、管固定具59dを介して、電動弁アセンブリ60の下部に位置する冷媒配管61を水平方向に拘束する。
【0058】
(3)室外ユニットの製造
室外ユニット20を生産ラインにおいて組み立て製造するときには、別の場所で作られた室外熱交換器28、圧縮機24、アキュムレータアセンブリ、電動弁アセンブリ60などが工場に運ばれてきて、生産ラインで底板51の上に組み付けられていく。
【0059】
まず、底板51の上に、圧縮機24、アキュムレータ22を含むアキュムレータアセンブリ、室外熱交換器28などの重量物が載置され固定され、仕切り板56も設置されて室外熱交換器28などと固定される。
【0060】
次に、部分カバー95を外した状態の制御ボックス91が仕切り板56などに固定される。この状態において、半導体素子93aに取り付けられたヒートシンク本体131にはヒートシンクカバー231が装着されていない。
【0061】
この状態の組み立て途中の室外ユニット20に対し、電動弁アセンブリ60が搬入され、底板51の上方の所定位置に電動弁アセンブリ60が仮置きされる。このときに、電動弁アセンブリ60の熱交換器近傍冷媒配管61の水平部61bの周囲に巻き付けられた断熱筒61dが、アキュムレータ支持脚52の舌部52gの上に載せられる。そして、電動弁アセンブリ60の上部冷媒配管62の管固定具59a,59bの間の部分を、ヒートシンク本体131の配管保持面131b,131bに押し当てながら、電動弁アセンブリ60の熱交換器近傍冷媒配管61の被拘束部61cに一方の嵌合部591aが連結されている管固定具59dの他方の嵌合部591b(宙に浮いた状態のもの)を、
図13に示すように、アキュムレータ22の側周面に固定された拘束用固定部材58の鉛直円筒部58cに嵌め込んで連結させる。これにより、電動弁アセンブリ60は、その下部がアキュムレータ支持脚52により下から支えられ、且つ、その上の部分(熱交換器近傍冷媒配管61の被拘束部61c)が水平方向に拘束された状態となり、自立して上部が倒れてこないようになる。この電動弁アセンブリ60が自立した状態で、ヒートシンク本体131の配管保持面131b,131bの前方に位置している電動弁アセンブリ60の上部冷媒配管62に対して、
図7に示すようにヒートシンクカバー231を前から被せて、ヒートシンクカバー231とヒートシンク本体131とをネジで締結する。これにより、
図3および
図4に示すように、ヒートシンク31に電動弁アセンブリ60の上部冷媒配管62が装着された状態になる。このようにしてヒートシンク31に精度良く組み付いた電動弁アセンブリ60の上部冷媒配管62は、その内部を流れる冷媒によってヒートシンク31を介して半導体素子93aを仕様どおりに冷やすことになる。
【0062】
(4)空気調和装置の室外ユニットの特徴
(4−1)
室外ユニット20では、アキュムレータ22に、拘束用固定部材58を固定している。そして、その拘束用固定部材58によって電動弁アセンブリ60の下部(具体的には、熱交換器近傍冷媒配管61の被拘束部61c)を拘束している。これにより、電動弁アセンブリ60の組み付け精度が向上しており、室外ユニット20の輸送時に電動弁アセンブリ60の各部分が他部品と接触することが抑制されている。
【0063】
また、この室外ユニット20では、電動弁33の上方に位置する電子回路基板93の半導体素子93aに取り付けられたヒートシンク31と、その配管保持面131b,131bに密着しなければならない電動弁アセンブリ60の上部冷媒配管62とが、組み立て時において精度良く位置決めされる必要がある。位置がずれると、電動弁アセンブリ60の上部冷媒配管62とヒートシンク31との密着性が悪くなり、ヒートシンク31の冷却能力が設計通り発揮されずに半導体素子93aの寿命を縮める恐れがあるからである。しかし、ここでは電動弁アセンブリ60の組み付け精度が良好になっているため、電動弁アセンブリ60の上部冷媒配管62のヒートシンク31に対する相対位置が良好になり、両者の密着性が良くなってヒートシンク31の能力も設計どおりに発揮される。
【0064】
(4−2)
この室外ユニット20の電動弁アセンブリ60は、大径管30を含んでいるため、その重量が大きくなっている。
【0065】
しかし、この室外ユニット20では、アキュムレータ22を、アキュムレータ支持脚52を介して底板51に載置および固定する構造を採り、そのアキュムレータ支持脚52に、電動弁アセンブリ60の下部を下から支える舌部52gを形成している。これにより、電動弁アセンブリ60は、アキュムレータ22に固定された拘束用固定部材58によって一部が拘束され、且つ、アキュムレータ支持脚52の舌部52gによって下から支えられる。このため、室外ユニット20内における電動弁アセンブリ60の組み付け精度が非常に良くなっている。
【0066】
このように、組み付け時において、電動弁アセンブリ60は、その下部(熱交換器近傍冷媒配管61の水平部61bおよび断熱筒61d)がアキュムレータ支持脚52により下から支えられ、且つ、その上の部分(熱交換器近傍冷媒配管61の被拘束部61c)がアキュムレータ22から延びる拘束用固定部材58によって水平方向に拘束された状態となる。このため、ヒートシンクカバー231をヒートシンク本体131に被せて電動弁アセンブリ60の上部冷媒配管62をヒートシンク31に装着する前の段階においても、電動弁アセンブリ60が自立して、その上部が前方に倒れてこないようになっている。すなわち、大径管30や上部冷媒配管62が電動弁アセンブリ60に存在していても、電動弁アセンブリ60を支持する構造がしっかりしており、組み付けの途中において電動弁アセンブリ60を自立させることができるため、上部冷媒配管62とヒートシンク31との密着性が確保され、また室外ユニット20の輸送時の不具合も生じないようになっている。
【0067】
(4−3)
この室外ユニット20では、アキュムレータ22から延びる拘束用固定部材58と電動弁アセンブリ60の被拘束部61cとを直接連結する方式を採るのではなく、拘束用固定部材58と被拘束部61cとを、それら両方に嵌め込まれる管固定具59dを介して連結している。このため、電動弁アセンブリ60の組み付け時において、その下部の水平方向の動きの拘束を、電動弁アセンブリ60の管固定具59dの他方の嵌合部591bをアキュムレータ22から延びる拘束用固定部材58に嵌め込むという1つの作業を行うだけで、済ませることができる。溶接や結束バンドによる締結といった別の連結方法を採る場合に較べて、組み立て作業性が格段に良くなっている。