特許第5729436号(P5729436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5729436
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】タイヤパンクシール剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/10 20060101AFI20150514BHJP
   B29C 73/02 20060101ALN20150514BHJP
【FI】
   C09K3/10 A
   !B29C73/02
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-186355(P2013-186355)
(22)【出願日】2013年9月9日
(65)【公開番号】特開2015-52083(P2015-52083A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2014年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】高原 英之
【審査官】 中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−260911(JP,A)
【文献】 特開2002−332475(JP,A)
【文献】 特開昭61−014277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K3/10−3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ASTM規格D3519−88に定めるブレンダーテストにより測定する体積増加率が15〜120%であり、
天然ゴムラテックスおよび/または合成樹脂エマルジョンと、発泡剤とを含有する、タイヤパンクシール剤。
【請求項2】
前記発泡剤の含有量が、前記天然ゴムラテックスおよび前記合成樹脂エマルジョンの固形分の合計100質量部に対して1〜20質量部である、請求項に記載のタイヤパンクシール剤。
【請求項3】
前記天然ゴムラテックスおよび前記合成樹脂エマルジョンのうち、少なくとも前記天然ゴムラテックスを含有し、
前記発泡剤が、硫酸エステル塩である、請求項またはに記載のタイヤパンクシール剤。
【請求項4】
前記硫酸エステル塩が、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項に記載のタイヤパンクシール剤。
【請求項5】
前記硫酸エステル塩が、トリエタノールアミン、ナトリウムおよびアンモニウムから選択される少なくとも1種の塩である、請求項またはに記載のタイヤパンクシール剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤパンクシール剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の標準またはオプションの装備として、パンク修理キットが導入されるケースが増加している。
パンク修理キットは、タイヤパンクシール剤(タイヤパンクシール材)と任意のコンプレッサー等とを組み合わせた構成が知られており、また、実際の製品としては、「タイヤパンク応急修理剤」等と称するタイヤパンクシール剤と、シガーライターソケットから電源を採る小容量のコンプレッサー等とを組み合わせ、コンパクトにパッケージングしたものが一般的に知られている。
【0003】
このようなタイヤパンクシール剤としては、本出願人により、例えば、特許文献1において、「天然ゴムラテックス及び/又は合成樹脂エマルジョンとプロピレングリコールとを含むタイヤパンクシール剤において、前記プロピレングリコール/水の比が0.5〜1.1であり、かつBL型粘度計を使用したときの−20℃の粘度が回転数60rpmで100〜1200mPa・sであるタイヤパンクシール剤。」が提案されている([請求項1])。
また、本出願人により、特許文献2において、「天然ゴムラテックス(A)と、合成樹脂エマルジョン(B)と、有機物微粒子の水分散体(C)と、凍結防止剤(D)とを含み、前記天然ゴムラテックス(A)と前記合成樹脂エマルジョン(B)との固形分配合比率が、[天然ゴムラテックス(A)の固形分質量/合成樹脂エマルジョン(B)の固形分質量]=5/95〜20/80であり、前記有機物微粒子の水分散体(C)の固形分量が、前記天然ゴムラテックス(A)の固形分量と前記合成樹脂エマルジョン(B)の固形分量との合計100質量部に対して、0.05〜1.5質量部であり、かつ前記有機物微粒子の平均粒子径が15μm以下である、タイヤパンクシール材。」が提案されている([請求項1])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−040297号公報
【特許文献2】特開2013−006949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、特許文献1および2に記載されたタイヤパンクシール剤を検討したところ、シール性や注入性は良好であるが、これらの特性を保持した上で、液量を減らし、収納容器を小さくする余地があることを明らかにした。
そこで、本発明は、優れたシール性および注入性を保持しつつ、液量を減らすことができるタイヤパンクシール剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、体積増加率(%)が特定の数値範囲となるタイヤパンクシール剤を用いることにより、優れたシール性および注入性を保持しつつ、液量を減らすことができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0007】
(1)ASTM規格D3519−88に定めるブレンダーテストにより測定する体積増加率が15〜120%であり、
天然ゴムラテックスおよび/または合成樹脂エマルジョンと、発泡剤とを含有する、タイヤパンクシール剤。
)上記発泡剤の含有量が、上記天然ゴムラテックスおよび上記合成樹脂エマルジョンの固形分の合計100質量部に対して1〜20質量部である、上記()に記載のタイヤパンクシール剤。
)上記天然ゴムラテックスおよび上記合成樹脂エマルジョンのうち、少なくとも上記天然ゴムラテックスを含有し、
上記発泡剤が、硫酸エステル塩である、上記()または()に記載のタイヤパンクシール剤。
)上記硫酸エステル塩が、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群から選択される少なくとも1種である、上記()に記載のタイヤパンクシール剤。
)上記硫酸エステル塩が、トリエタノールアミン、ナトリウムおよびアンモニウムから選択される少なくとも1種の塩である、上記()または()に記載のタイヤパンクシール剤。
【発明の効果】
【0008】
以下に示すように、本発明によれば、優れたシール性および注入性を保持しつつ、液量を減らすことができるタイヤパンクシール剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のタイヤパンクシール剤は、ASTM規格D3519−88に定めるブレンダーテストにより測定する体積増加率が15〜120%となり、天然ゴムラテックスおよび/または合成樹脂エマルジョンと発泡剤とを含有する、タイヤパンクシール剤である。
ここで、体積増加率とは、ASTM規格D3519−88に定めるブレンダーテストにより測定した値(%)をいう。
【0010】
本発明においては、体積増加率が15〜120%となるタイヤパンクシール剤を用いることにより、優れたシール性および注入性を保持しつつ、液量を従来公知のタイヤパンクシール剤の2/3程度以下に減らすことができる。
これは、詳細には明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
まず、特許文献2にも記載されている通り、タイヤパンクシール剤は、通常、パンクしたタイヤの空気注入部(バルブ)からタイヤ内部に注入され、所定の空気圧まで空気が充填された後、車を一定距離走行させることにより、タイヤパンクシール剤がパンク穴に到達するものである。そして、タイヤが回転し設置する際に受ける圧縮力やせん断力によってタイヤパンクシール剤がタイヤ内で凝固物を形成し、パンク穴がシールされることにより、タイヤ交換をすることができる自動車修理工場、ガソリンスタンド等まで自走することができるようになる。
したがって、本発明においては、体積増加率が15〜120%となるタイヤパンクシール剤をパンクしたタイヤに注入することにより、一定距離を走行させる際にタイヤ内でタイヤパンクシール剤がブレンドされ、発泡することにより、少ない液量であってもタイヤパンクシール剤がパンク穴に到達することができると考えられる。
【0011】
また、本発明においては、タイヤトレッドのショルダー溝部に対してもタイヤパンクシール剤が行き渡り易くなる理由から、体積増加率は、30〜120%であるのが好ましく、80〜120%であるのがより好ましい。
【0012】
以下に、体積増加率が15〜120%となるタイヤパンクシール剤となる態様である、天然ゴムラテックスおよび/または合成樹脂エマルジョンと、発泡剤とを含有するタイヤパンクシール剤について詳述する。
なお、後述する合成樹脂エマルジョンにおいて、分散質である合成樹脂の相は、液相であっても固相であってもよい。
すなわち、一般的には、液相である分散媒に液相である分散質が分散した系を「エマルジョン」といい、液相である分散媒に固相である分散質が分散した系を「サスペンション」というが、本発明においては、「エマルジョン」は「サスペンション」を含む概念とする。
【0013】
<天然ゴムラテックス>
上記天然ゴムラテックスは、特に限定されず、従来公知の天然ゴムラテックスを用いることができる。
上記天然ゴムラテックスとしては、具体的には、例えば、ヘベア・ブラジリエンシス樹をタッピングして採取されるもの、天然ゴムラテックスから蛋白質を除去した所謂「脱蛋白天然ゴムラテックス」等が挙げられる。
【0014】
<合成樹脂エマルジョン>
上記合成樹脂エマルジョンは、特に限定されず、従来公知の合成樹脂エマルジョンを用いることができる。
上記合成樹脂エマルジョンとしては、具体的には、例えば、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、ポリオレフィンエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリ塩化ビニル系エマルジョン等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、シール性がより良好となり、保管性にも優れるという理由から、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョンであるのが好ましく、エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョンであるのがより好ましい。
【0015】
本発明においては、上述した天然ゴムラテックスおよび/または合成樹脂エマルジョンを配合する場合、上記天然ゴムラテックスおよび上記合成樹脂エマルジョンの固形分の合計は、シール性および注入性がより良好となる理由から、タイヤパンクシール剤の20〜40質量%であるのが好ましく、25〜35質量%であるのがより好ましい。
ここで、「天然ゴムラテックスおよび合成樹脂エマルジョンの固形分の合計」とは、天然ゴムラテックスおよび合成樹脂エマルジョンを併用している場合は天然ゴムラテックスの固形分(天然ゴム)および合成樹脂エマルジョンの固形分(合成樹脂)の合計量をいうが、天然ゴムラテックスを用いていない場合は合成樹脂エマルジョンの固形分(合成樹脂)をいい、合成樹脂エマルジョンを用いていない場合は天然ゴムラテックスの固形分(天然ゴム)をいう。
【0016】
<発泡剤>
上記発泡剤は、タイヤパンクシール剤の体積増加率を上述した範囲に調整できるものであれば特に限定されない。
【0017】
上記発泡剤としては、具体的には、例えば、硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸のアルカリ金属塩、N−アシル−N−メチルタウリン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、N−アルキル−N,N−ジメチルオキシド等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、上述した天然ゴムラテックスおよび合成樹脂エマルジョンのうち、少なくとも天然ゴムラテックスを含有する場合は、シール性がより向上し、体積増加率を調整しやすくなる理由から、硫酸エステル塩であるのが好ましい。
【0018】
上記硫酸エステル塩としては、シール性の発現が速くなる理由から、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
ここで、上記アルキル硫酸エステル塩としては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられ、上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0019】
【化1】

(式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基を表し、Mはそれぞれ独立にスルホン酸の塩基を表し、nは1〜15の整数を表す。)
【0020】
上記式中、Rが示す炭素数1〜20のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基(ラウリル基)、ウンデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロプロピルメチル基、トリフルオロエチル基等が挙げられ、中でも、炭素数10〜20の長鎖アルキル基であるのが好ましい。
また、Mが示す塩基としては、具体的には、例えば、トリエタノールアミン塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、中でも、トリエタノールアミン塩であるのが好ましい。
【0021】
本発明においては、上述した天然ゴムラテックスおよび/または合成樹脂エマルジョンを配合する場合、上記発泡剤の含有量は、上記天然ゴムラテックスおよび上記合成樹脂エマルジョンの固形分の合計100質量部に対して1〜20質量部であるのが好ましく、10〜20質量部であるのがより好ましい。
【0022】
<凍結防止剤>
本発明のタイヤパンクシール剤は、凍結防止剤を含有しているのが好ましい。
上記凍結防止剤は、特に限定されず、従来公知の凍結防止剤を用いることができる。
上記凍結防止剤としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
<添加剤>
本発明のタイヤパンクシール剤は、上述した各成分以外に、所望により必要に応じて、例えば、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、帯電防止剤のような各種添加剤を含有することができる。
【0024】
<製造方法>
本発明のタイヤパンクシール剤の製造方法は特に限定されず、例えば、上述した天然ゴムラテックスおよび/または合成樹脂エマルジョン、発泡剤ならびに任意の凍結防止剤および添加剤を減圧下で混合ミキサー等のかくはん機を用いて十分に混合することによって調製する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
<実施例1〜8、比較例1〜4>
下記第1表の各成分を、同表に示す組成で、撹拌機を用いて混合し、同表に示される各タイヤパンクシール剤を得た。なお、同表に示す各成分の配合量は、天然ゴムラテックスの固形分と合成樹脂エマルジョンの固形分との合計を100質量部として、固形分換算した質量部である。
調製した各タイヤパンクシール剤について、下記に示す方法により、体積増加率、シール性および注入性の評価を行った。これらの結果を同表に示す。
【0027】
<体積増加率>
調製した各タイヤパンクシール剤の「体積増加率」をASTM規格D3519−88に定めるブレンダーテストにより測定した。
【0028】
<シール性>
タイヤのトレッドのショルダー溝部にパンク孔(直径4mm)を空けた。
次いで、パンク孔を空けたタイヤをドラム試験機に装着し、調製した各タイヤパンクシール剤をタイヤのバルブ口から250ml(250g)注入し、タイヤ内圧が150kPaになるように空気を充填した。
その後、荷重350kg、時速30kmの条件下で上記タイヤを1分間走行させて停止する間欠運転サイクルを、空気漏れが無くなるまで繰り返した。空気漏れの有無は、目視および石鹸水をパンク孔付近に吹き付けることで確認した。
シール性能の評価は、シールするまでの間欠運転のサイクル数に基づき、以下の基準により行った。
・評価◎:5サイクル以内でシールしたもの
・評価○:6〜10サイクルでシールしたもの
・評価△:11〜20サイクルでシールしたもの
・評価×:21サイクル以上でもシールしなかったもの
【0029】
<注入性>
調製した各タイヤパンクシール剤450ml(450g)を70℃に加温し、温度が低下しないように保温しながらタイヤのバルブ口から注入し、以下の基準により注入性を評価した。
・評価○:全量注入できたもの
・評価×:全量注入できなかったもの
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
第1表に示す各成分の詳細は、次のとおりである。
・NR:天然ゴムラテックス(Hytex HA、固形分:60質量%、フェルフェックス社製(野村貿易社取扱))
・VEVA:エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合樹脂エマルジョン(スミカフレックス950HQ、固形分:53質量%、住化ケムテックス社製)
・ラウリル硫酸(トリエタノールアミン塩):エマールTD(分子量:405、花王株式会社製)
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル(トリエタノールアミン塩):エマール20T(花王株式会社製)
・アルキルベンゼンスルホン酸(トリエタノールアミン塩):ネオペレックスGS(花王株式会社製)
・ラウリル硫酸(ナトリウム塩):エマール10G(分子量:272、花王株式会社製)
・ラウリル硫酸(アンモニウム塩):ラテムルAD−25(分子量:267、花王株式会社製)
・ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩:デモールN(花王株式会社製)
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル:エマルゲン150(花王株式会社製)
【0033】
第1表に示す結果から明らかなように、体積増加率が15%未満の比較例1、2および4のタイヤパンクシール剤は、従来のタイヤパンクシール剤の液量(450ml程度)の2/3程度であると、シール性が担保できないことが分かった。
また、体積増加率が120%より大きい比較例3のタイヤパンクシール剤は、従来のタイヤパンクシール剤の液量(450ml程度)の2/3程度であっても、注入性が劣ることが分かった。
これに対し、体積増加率が15〜120%のタイヤパンクシール剤は、従来のタイヤパンクシール剤の液量(450ml程度)の2/3程度であっても、優れたシール性および注入性を保持できることが分かった(実施例1〜8)。
また、実施例1〜3の対比から、体積増加率が80〜120%のタイヤパンクシール剤は、シール性がより良好となることが分かった。
更に、実施例2、6および7の対比から、発泡剤としての硫酸エステル塩は、トリエタノールアミン塩であると、体積増加率が80%以上となり、シール性がより良好となることが分かった。