特許第5729600号(P5729600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5729600
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20150514BHJP
   F21V 29/00 20150101ALI20150514BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20150514BHJP
   F21V 21/04 20060101ALI20150514BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150514BHJP
【FI】
   F21S8/02 400
   F21V29/00 111
   F21V29/00 510
   F21V23/00 170
   F21V21/04 310
   F21Y101:02
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-68875(P2011-68875)
(22)【出願日】2011年3月25日
(65)【公開番号】特開2012-204199(P2012-204199A)
(43)【公開日】2012年10月22日
【審査請求日】2014年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101834
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 順一
(72)【発明者】
【氏名】増田 敏文
(72)【発明者】
【氏名】樋口 一斎
(72)【発明者】
【氏名】松田 良太郎
【審査官】 太田 良隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−205660(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3157520(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第101713529(CN,A)
【文献】 特開2009−218007(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0098440(US,A1)
【文献】 特開2010−102897(JP,A)
【文献】 特開2009−163955(JP,A)
【文献】 特開2008−210593(JP,A)
【文献】 特開2007−150268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S8/02
F21V21/04
F21V23/00
F21V29/00−29/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を光源とする光源部と;
前面側に前記光源部が配設されるとともに、背面側から立設され略中央部を中心として中央部から外周方向へ向かって放射状に形成され中央部で接続された複数の支柱と、背面側から立設され前記複数の支柱における隣接する壁面側から外周方向へ向かって相互に離間し、かつ略平行であるとともに、前記複数の支柱のいずれかとも略平行に形成された複数の放熱フィンとを有する放熱部材と;
を具備することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記支柱と放熱フィンとは、一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記放熱フィンの背面側端部には、端子台が取付けられた取付部材が、前記放熱部材の背面側における中央部まで延出することなく載置されるように配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記支柱の外周側には、照明器具本体取付用の取付支持手段が取付け可能な取付面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光源としてLED等の発光素子を用い、その光源の放熱性を向上できる照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、LED等の発光素子の高出力化、高効率化及び普及化に伴い、光源として発光素子を用いて長寿命化が期待できる照明器具が開発されている。例えば、ダウンライトの光源としてLEDが用いられるようになってきている。
【0003】
LED等の発光素子は、その温度が上昇するに従い、光の出力が低下し、耐用年数も短くなる。このため、LEDやEL素子等の固体発光素子を光源とする照明器具にとって、耐用年数を延したり発光効率等の特性を改善したりするために、発光素子の温度が上昇するのを抑制することが必要である。
【0004】
このため、光源としてLEDを用いた照明器具は、熱伝導性を有する本体の前面側(光の照射面側)に光源部を配設し、背面側に複数の放熱フィンを設け、放熱性を促進し、発光素子の温度上昇の抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−73654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、LED等の発光素子の高出力化に伴い、さらに放熱性が要求される場合、本体を大形化したり、各放熱フィンの高さ寸法を大きくしたりして放熱性を向上する必要がある。このため、照明器具が大形化してしまう傾向となる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、大形化を抑制するとともに、放熱性の向上を図ることにより発光素子の温度上昇を効果的に抑制する照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態による照明器具は、発光素子を光源とする光源部と、前面側に前記光源部が配設されるとともに、背面側から立設され略中央部を中心として中央部から外周方向へ向かって放射状に形成され中央部で接続された複数の支柱と、背面側から立設され前記複数の支柱における隣接する壁面側から外周方向へ向かって相互に離間し、かつ略平行であるとともに、前記複数の支柱のいずれかとも略平行に形成された複数の放熱フィンとを有する放熱部材とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、放熱性を向上することができ、発光素子の温度上昇を効果的に抑制することができる照明器具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る照明器具を示す斜視図である。
図2】同照明器具を背面側から見て示す斜視図である。
図3】同照明器具を示す正面図である。
図4】同照明器具を背面側から見て示す平面図である。
図5】同照明器具を前面側から見て示す平面図である。
図6図4中、Y−Y線に沿って示す一部(光源部等を除く)断面図である。
図7】同照明器具における放熱部材を背面側から見て示す平面図である。
図8】同照明器具における放熱部材を示す正面図である。
図9】放熱部材の変形例を背面側から見て示す平面図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る照明器具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施形態に係る照明器具について図1乃至図9を参照して説明する。各図において同一部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
本発明の実施形態に係る照明器具は、天井に埋め込んで設置するタイプのダウンライトである。
【0012】
ダウンライトは、図1に示すように、放熱部材である器具本体1と、光源部2と、配光部材3と、カバー部材4と、器具本体取付用の取付支持手段としての取付けばね5と、端子台取付用の取付部材6と、図示しない電源ユニットとを備えている。
【0013】
器具本体1は、熱伝導性を有していて、熱伝導性の良好な材料、例えば、アルミニウム合金製のダイカスト成形で作られている。この器具本体1の前面側(光の照射面側)には、光源部2が配設されている。
【0014】
図1図2図7及び図8に示すように、器具本体1は、ベース部11と、このベース部11の背面側から鉛直方向に立設するように形成された複数の支柱12と、同様に、ベース部11の背面側から鉛直方向に立設するように形成された複数の放熱フィン13とを有している。これらベース部11、支柱12及び放熱フィン13は、一体的に形成されている。
ベース部11は、略円形の板状に形成されている。このベース部11の前面側には、詳細を後述する光源部2が熱的に結合されて配設されている。
【0015】
図7に代表して示すように、支柱12は、ベース部11の略中央部を中心として中央部から外周方向へ向かって延出し、放射状に形成されている。具体的には、支柱12は、ベース部11の略中央部を中心として略120度の角度を空けて略等間隔に形成されており、つまり、3つの支柱12が中央部で接続されて放射状に形成されている。
【0016】
放熱フィン13は、複数の支柱12における隣接する壁面12a側から外周方向へ向かって延出し、相互に所定の間隔を空けて離間し、かつ各放熱フィン13は、相互に略平行に配置された態様をなしている。また、各放熱フィン13は、複数の支柱12のいずれかとも略平行に配置されている。具体的には、各放熱フィン13と対向してベース部11の略中央部から反対側に延出する支柱12とも略平行に配置されている。
【0017】
したがって、隣接する支柱12における壁面12a間に複数の放熱フィン13、具体的には、7個の放熱フィン13が配設されている。これを一つのブロックとすると、三つのブロックが形成されて、21個の放熱フィン13が配設されている。
【0018】
このように支柱12が外周方向へ向かって放射状に形成され、放熱フィン13が外周方向へ向かって、相互に離間して略平行に形成されることにより、全周にわたって各放熱フィン13間において通気路Vが形成され確保されるようになる。また、ベース部11の中央部においても、放熱フィン13が相互に離間して略平行に形成されることにより、一定間隔の通気路Vが形成され確保されるようになる。
【0019】
また、支柱12の外周側には、照明器具本体取付用の取付けばね5が取付け可能な取付面14が形成されている。この取付面14は、取付けばね5が安定して固定されるように平面状をなしている。
なお、器具本体1の全表面には、輻射率を向上し、放熱量を増大するため、アルマイト処理を施すことが好ましい。
【0020】
次に、光源部2は、発光モジュールであり、詳細な図示は省略するが、基板と、基板の表面側に実装された発光素子としての複数のLEDのベアチップと、この複数のLEDのベアチップ上を覆うように塗布された蛍光体を含有した封止樹脂層と、前記基板が取付けられた熱伝導性の取付板とを備えている。
【0021】
基板は、本実施形態では、良好な熱伝導性を有するアルミニウム製の平板で構成されている。複数のLEDのベアチップには、例えば、白色系の光を発光部で発光させるために、青色の光を発するものが用いられている。封止樹脂層は、透光性合成樹脂、例えば、所定の弾性を有する透明シリコーン樹脂製であり、YAG:Ce等の蛍光体を適量含有した蛍光体層である。蛍光体は、LEDが発する光で励起されて、LEDが発する光の色とは異なる色の光を放射する。LEDが青色光を発する本実施形態では、白色光を出射できるようにするために、蛍光体には青色の光とは補色の関係にある黄色系の光を放射する黄色蛍光体が使用されている。
なお、光源としての発光素子としては、表面実装型のLEDパッケージを用いるようにしてもよく、格別その形態が限定されるものではない。
このような発光モジュールは、熱伝導性の取付板が器具本体1の前面側に接触するように配設され熱的に結合されている。
【0022】
この光源部2の前面側には、円筒状のホルダーに取付けられた透光性を有するカバー部材4が光源部2を覆うように配設されている。このカバー部材4は、円形状であり、拡散処理されたポリカーボネート等の合成樹脂材料によって形成されている。
【0023】
配光部材3は、円筒状部を有し、この円筒状部から前面側へ向かって拡開するように傾斜状に形成されている。配光部材3は、例えば、ポリカーボネートやABS樹脂等の合成樹脂材料から形成されており、白色を呈している。また、配光部材3には、前面側に向かうに従い広がった略円形の開口端部に、化粧枠として外周方向に延びる環状のフランジ31が一体に形成されている。
【0024】
このように構成された配光部材3は、前記光源部2の周囲を囲むように配設されている。配光部材3は、前面側へ向かって広がる傾斜状の形態によって、光源部2から出射される光を配光制御する機能を有する。例えば、グレアを抑制する機能を有する。
器具本体取付用の取付支持手段としての取付けばね5は、配光部材3の開口側外周部に略120度の等間隔を空けて3箇所に取付けられている。
【0025】
端子台取付用の取付部材6は、亜鉛めっき鋼板等の金属製の板状材から形成され、略四角形状であり、裏側に端子台61が取付けられている。この端子台61には、電源ユニットから導出される電源線や信号線等が接続される。
【0026】
取付部材6は、その一端側が放熱フィン13に取付けられている。具体的には、取付部材6は、放熱フィン13における背面側端部に、前記放熱部材1の背面側における中央部まで延出することなく載置されるように取付けられている。
【0027】
したがって、取付部材6は、放熱フィン13が形成する通気路Vを背面側において閉塞しないように、つまり、背面側を全面的に覆わないように、一部の通気路Vを残して、通気路Vが確保されるように取付けられている。
このため、通気路Vによって外周側から空気が流入して背面方向へ上昇気流となるような対流が確保される。
【0028】
図示いない電源ユニットは、商用電源に接続され、点灯回路や接続端子を備えており、前記端子台61を介して光源部2である発光モジュールと電気的に接続されている。点灯回路は、例えば、全波整流回路の出力端子間に平滑コンデンサを接続し、この平滑コンデンサに直流電圧変換回路及び電流検出手段を接続して構成されている。これにより発光モジュールに電力が供給され、発光素子が点灯制御される。この電源ユニットは、天井の裏側に設置されるようになっている。
【0029】
このようなダウンライトの設置にあたっては、電源ユニットを埋込穴から挿入し、天井裏に配置する。次に、取付けばね5を両手で弾性力に抗して押し窄めるように操作して、器具本体1を支えながら埋込穴から挿入する。器具本体1が埋込穴に挿入されるに伴い、手を離し器具本体1を押し上げる。これにより、取付けばね5が外側方向に復帰して天井裏面に当接し、この弾性力によって器具本体1が上方に引き上げられて、配光部材3のフランジ31が埋込穴の周縁に圧接され、器具本体1が天井面に設置される。
【0030】
次に、本実施形態の作用を説明する。電源ユニットに通電されると、光源部2の発光モジュールに電力が供給されることによって、発光素子が発光する。各発光素子から出射された光の多くは、透光性のカバー部材4を透過して前方に照射される。そして、これら前方に照射された光は、配光部材3によって全体的に配光制御されて前面側へ照射される。
【0031】
発光素子の発光中は熱が発生する。発光素子から発生する熱は、主として発光モジュールの裏面側から器具本体1へ伝わる。この熱は、器具本体1のベース部11から支柱12及び放熱フィン13に伝導され、各放熱フィン13が相互に離間し、略平行に配置されたことにより形成された通気路Vに作用する対流を伴って放熱される。
【0032】
この場合、器具本体1の全周にわたって各放熱フィン13間において通気路Vが形成されているので、全周から空気が流入し背面方向へ上昇気流となって対流が生じる。また、発光モジュールから発生する熱によってベース部11の中央部の温度が上昇する傾向となるが、中央部においても、一定間隔の通気路Vが確保されているので、対流が作用し、放熱効果を高めることが可能となる。
【0033】
また、支柱12と放熱フィン13とは、一体的に形成されているので、放熱フィン13には、ベース部11側から熱が伝導されるとともに、支柱12からも熱が伝導され、放熱性の向上が期待できる。
【0034】
さらに、取付部材6は、放熱フィン13が形成する通気路Vを背面側において閉塞しないように取付けられているので、通気路Vが確保されて放熱が行われ、放熱性が阻害されることを軽減できる。
【0035】
以上のように本実施形態によれば、放熱性を向上することができ、発光素子の温度上昇を効果的に抑制することができ、また、器具本体1の大形化を抑制できる照明器具を提供することが可能となる。
【0036】
なお、器具本体1の変形例について図9を参照して説明する。上記器具本体1と同様に、放熱フィン13は、複数の支柱12における隣接する壁面12a側から外周方向へ向かって延出している。
【0037】
しかしながら、放熱フィン13は、支柱12と一体的に形成されていない。すなわち、放熱フィン13は、支柱12における壁面12aと若干離間して形成されている。
【0038】
この場合にも器具本体1の全周にわたって各放熱フィン13間において通気路Vが確保され、また、ベース部11の中央部においても、通気路Vが確保されるので、対流が作用し、放熱効果を高めることができる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態に係る照明器具について図10を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0040】
本実施形態においては、第1の実施形態のダウンライトと異なるタイプのダウンライトを示している。放熱部材である器具本体1の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0041】
主な相違点は、第1の実施形態では、取付支持手段としての取付けばね5が配光部材3の開口側外周部に取付けられているが、本実施形態では、取付けばね5が支柱12の外周側に形成された取付面14に取付けられるようになっている点である。
【0042】
このような構成によれば、第1の実施形態の奏する効果に加え、重量のある器具本体1を取付けばね5によって直接的に支えるようになるため、重量バランスが良好となり、ダウンライトの設置にあたって施工作業性が向上するという効果が期待できる。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1・・・放熱部材(器具本体)、2・・・光源部、
3・・・配光部材、4・・・カバー部材、
5・・・取付支持手段(取付けばね)、6・・・取付部材、
11・・・ベース部、12・・・支柱、
12a・・・壁面、13・・・放熱フィン、
14・・・取付面、61・・・端子台、
V・・・通気路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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