(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタ装置には、例えば、特許文献1に示すようなDCコネクタ(プラグ)とDCジャックからなるコネクタ装置の例がある。このコネクタ装置は、携帯型電子機器に用いられるそれに関するものであるが、この装置は、適合しないサイズのDCコネクタ(プラグ)が、前記DCジャックに挿入された場合に、該DCジャック内の中央に配されている端子ピンが無理矢理その背後方向に押し込まれて該DCジャックを組み込んだ機器内部に脱落するようなことのないように改良を加えたものである。
【0003】
このDCジャック及びこれに挿入するDCコネクタ(プラグ)は、基本的には、従来のこの種の装置の構造に変更が加えられてはいない。そのDCジャックは、挿入方向に長い円筒状の中空部を備え、その後部壁中央から該円筒状の中空部の軸心に沿って端子ピンが突設してあり、該中空部の内周壁後部には二つの端子片が周方向180度の角度間隔で配してあるものである。他方、DCコネクタ(プラグ)は、その円柱状部の中央に軸心に沿ってピン挿通穴が構成してあり、かつ該円柱状部の先端周囲にアース側端子である筒型端子が配してあるものである。
【0004】
それ故、以上のDCジャックとDCコネクタとの電気的接続は、DCコネクタの円柱状部をDCジャックの中空部に挿入し、前者のピン挿通穴に後者の端子ピンを挿通させ、かつ前者の筒型端子を後者の二つの端子片に接触させて行うものであり、前記のように、嵌合長の長いものとなっている。
【0005】
従ってDCジャックに嵌合状態のこのようなDCコネクタをこれに結合しているケーブルで引っ張ると、それらの軸方向には、容易に抜けるが、該軸方向に対して傾いた方向に引っ張った場合には容易には抜けない。DCコネクタの円柱状部は、前記DCジャックの中空部に比較的長い嵌合長で嵌合し、かつ前者のピン挿通穴には後者の端子ピンが挿入状態となっている構成であるため、以上のような結果になるのだと理解できる。それにも拘わらず、何らかの事情で無理に引っ張ってしまうこともあり、そうすると、これを組み込んでいる機器がノートパソコンその他の携帯機器であった場合等には、それらが引き摺られて、例えば、机上から落ちて破損してしまうようなおそれがある。或いは、コネクタ装置自体が壊れてしまうこともある。
【0006】
特許文献2は、ACアダプタを使用した電気機器に関し、両者を着脱する従来のコネクタ装置として、特許文献1に示されたDCコネクタとDCジャックとほぼ同様のそれを示し、そのような構成のコネクタ装置では、それらのケーブルを引っ張れば両者は比較的容易に抜けてしまい、このような引き抜きが予期せずに起きた場合には、突然に機器の電源が落ちてしまう問題があると指摘し、そのような問題を解消する手段を提案している。これは、ケーブルを、DCコネクタ及びDCジャックの軸方向に一致する方向に引いた場合に相互が容易に抜けてしまうという問題であって、それはその通りであるが、それと異なる方向に引いた場合に抜けにくい問題があることは否定できない。この問題があるのは、特許文献1の場合と当然同様である。
【0007】
特許文献3は、検査用コネクタに関するもので、プリント配線板に実装されたベースコネクタと、該ベースコネクタの空所部に挿抜自在に嵌合接続する検査用ソケットコネクタとからなり、前記ベースコネクタには、そのベースハウジングの空所部に後壁から相互に平行に延びる複数の接触ピン部を配設し、前記ソケットコネクタには、そのソケットハウジング内に前記接触ピン部と嵌合接触する接触部を備えた複数のソケットコンタクトを個別に離隔して収容し、かつ該ソケットハウジングの前端部に前記ベースハウジングの後部壁に当接する一以上のストッパ部片を突設し、前記ソケットハウジングを前記ベースハウジングの前記空所部に嵌合した際に、前記ストッパ部片が前記空所部内の後壁に当接して、前記ソケットハウジングの前記ベースハウジングに対する嵌合長を短く規制することができるようにしたものである。
【0008】
従ってこの検査用コネクタによれば、以上のように、検査用ソケットコネクタをベースコネクタに接続した際に、相互の嵌合長が短くなるため、該検査用ソケットコネクタを前記接触ピン及びソケットコンタクトの軸方向に対して斜め方向に引いた場合でも、こじり力が軽減され、ベースハウジングに破損が生じるのを回避することができると思われる。
【0009】
しかし、この検査用ソケットコネクタは、前記のように、単にソケットハウジングの先端に一以上のストッパ部片を突設して、ソケットコネクタをベースコネクタに嵌合する際にその嵌合深さを浅くするようにしたに過ぎないため、必要な保持力等を確保し得ないものとなっている。
【0010】
それ故、このようなコネクタの構成をノートパソコンその他の携帯機器における種々の電気信号の伝送用又は電力の供給用ケーブル類の接続のためのコネクタとして適用した場合は、前記こじりの問題は解消できるが、保持力が弱くなり過ぎ、僅かな力でコネクタの接続が解消されてしまうため、意図せずして、該コネクタを通じて接続していた信号源との接続が切れたり、電源との接続が切れてしまうような新たな問題が生じるおそれがある。
【0011】
特許文献4は、コネクタ装置に関し、ソケット本体のプラグ挿入口にアース金具を配し、かつ該アース金具に、先端と後端とに座巻き部を有し、先端から後端に向かって拡大するコイルスプリング状の係止バネを配して構成したソケットと、プラグ本体に、その長さ方向の途中に、前記プラグ挿入口への挿入時に前記アース金具の先端に当接する当接面を備えた導電性係合部材を配し、かつ該導電性係合部材に、その先端から延長する、先端側に向かって拡大する係合部を構成したプラグとで構成したものである。
【0012】
従って、前記プラグの係合部を前記ソケットのプラグ挿入口に挿入すると、前記導電性係合部材の前記当接面がアース金具の先端に当接し、同時に、そこから延びる係合部の先端大径部と後端の当接面との間にある小径の頸部がアース金具内の前端に位置する係止バネの先端側座巻き部に係止することになる。すなわち、きわめて嵌合長の短い嵌合状態で該頸部がバネ材の座巻き部に抱えられる状態となるものである。それ故、プラグはプラグ挿入口の軸心に対していずれの方向に傾くことも、広い角度範囲で可能となり、かつ該座巻き部で適正な保持力で保持されることになるものでもある。なお、プラグは、当然に、以上の適正な保持力を越えた力で引けばこれを引き抜くことが可能になる
【0013】
このようにこの特許文献4のコネクタ装置は優れたものであるが、プラグの係合部の頸部を抱える係止バネの座巻き部は、文字どおり、リング状であり、該頸部の全周を抱えるものであるから、相応する径にならざるを得ない。ソケット側の十分な低背化が確保できているとは言い難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、以上の従来技術の問題点を解消し、プラグとジャック又は雄のコネクタと雌のコネクタとの接続における嵌合長を短くし、接続状態のコネクタ装置のプラグ又は雄のコネクタをジャック又は雌のコネクタの軸心に対して傾いた方向に引っ張ってジャック又は雌のコネクタから抜こうとした場合に、それがいずれの方向に傾いて引っ張る場合であっても適切な保持力を有すると共に、その引っ張り力が保持力を越えれば、該コネクタ装置に損傷を生じさせることなく、容易に抜け得るようにすることが可能であり、かつ種々の携帯機器その他の適用対象の機器の薄型化に対応した低背化を実現することができるコネクタ装置を提供することを解決の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1は、前部両側から空間形成用突起部を突出させて、その間にプラグの柱状結合部を挿入するプラグ保持空間を構成した絶縁性のレセプタクル本体と、
前記プラグ保持空間に挿入されたプラグの柱状結合部を挟んで該柱状結合部を相互に対向状態で抱持すべく、各々二つの抱持用突部を、該プラグ保持空間に突出させるように、該両空間形成用突起部中に配置したワイヤーコンタクトと、
前記両ワイヤーコンタクトの両抱持用突部を、前記プラグ保持空間に挿入される前記柱状結合部に圧接させるべく、該ワイヤーコンタクトをその背後から押圧するように前記空間形成用突起部中に配置した弾性押圧部材の押圧部と、
前記レセプタクル本体の、前記プラグ保持空間の最奥部となる前面に接片部を突出させるべく配したコンタクト部材と、
で構成したレセプタクル、
及び
プラグ本体から突出する先端周囲に係止用拡大部を備えた前記柱状結合部であって、内部の絶縁部材及びこれを外装する筒状コンタクト部材からなる前記柱状結合部と、
前記柱状結合部の先端に配置した、前記コンタクト部材の接片部と接触するコンタクト片の接片部と、
を備えたプラグ、
からなるコネクタ装置である。
【0017】
本発明の2は、本発明の1のコネクタ装置において、
前記ワイヤーコンタクトを、
並列する両端の短軸状の基部軸と、
前記両基部軸の各一端から屈曲して相互に平行に延長する延長軸部と、
前記両延長軸部の延長先端部から各々前記基部軸の軸方向と同一方向に屈曲突出させた部分円弧状の抱持用突部であって、両者で前記プラグの柱状結合部の一周側部を抱えるように構成した抱持用突部と、
前記両抱持用突部の前記延長軸部と反対側の各端部相互を連結する連結軸部と、
で構成し、
前記両空間形成用突起部を、
前記柱状結合部の外周形状に対応する内面形状の、該柱状結合部より大径の内面区画部と、
前記内面区画部の外方側に形成した、前記ワイヤーコンタクトの連結軸部及びこれを前記プラグ保持空間側に押圧する弾性押圧部材の押圧部を配置するバネ配置部であって、前記レセプタクル本体の側部空間に連続するバネ配置部と、
前記バネ配置部から前記内面区画部の周方向両側の部位に連通すべく構成した二つのバネ通過用スリットと、
で構成し、
かつ前記レセプタクル本体の両側部空間の内壁には、各々前記両抱持用突部の一端から延長する前記延長軸部の進入可能な二つの軸用溝と、該二つの軸用溝の後端後方に位置する前記基部軸の挿入固定用の軸穴とを構成し、
前記ワイヤーコンタクトの両基部軸を各々前記軸穴に挿入し、前記両延長軸部を各々前記軸用溝に進入可能に配置し、前記連結軸部を前記バネ配置部に配置して、該ワイヤーコンタクトの二つの抱持用突部を各々前記バネ通過用スリットに挿入し、かつ前記弾性押圧部材の押圧部を該ワイヤーコンタクトの連結軸部に背後側から押し当て、該二つの抱持用突部を前記プラグ保持空間内に押し出すようにしたものである。
【0018】
本発明の3は、本発明の2のコネクタ装置において、
前記連結軸部を、屈曲部を前記両基部軸の中間付近の方向に向けて突出させたV型に屈曲して構成したものである。
【0019】
本発明の4は、本発明の2又は3のコネクタ装置において、
前記弾性押圧部材を、
導電性の弾性金属部材で構成した、前記レセプタクル本体の周囲を包囲する包囲部と、
前記包囲部の両側部の前端から各々前記バネ配置部に向かって延長する帯状延長部と、
前記帯状延長部の前端部を、前記ワイヤーコンタクトの連結軸部側に、ほぼU字形に、折り返して形成した押圧部であって、該連結軸部を前記プラグ保持空間側に押圧する押圧部と、
前記包囲部の一側部の後端から延長状態に構成した端子部と、
で構成したものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の1のコネクタ装置によれば、前記プラグの柱状結合部を、前記レセプタクルの正面からプラグ保持空間に挿入すると、前記両空間形成用突起部中にそれぞれ配したワイヤーコンタクトの各一対の抱持用突部が該プラグ保持空間に挿入された柱状結合部の周方向両側をそれぞれ抱持する状態となり、この状態で、該柱状結合部の先端に配置したコンタクト片の接片部はレセプタクル本体の前面から突出するコンタクト部材の接片部と接触する。こうしてワイヤーコンタクトと柱状結合部の外周を構成する筒状コンタクト部材、及び柱状結合部のコンタクト片の接片部とレセプタクル本体のコンタクト部材の接片部とのそれぞれの電気的接続は確実に行われることになる。
【0021】
また前記両ワイヤーコンタクトは、それぞれその背後から弾性押圧部材の押圧部で該柱状結合部側に向かって一定の押圧力が加えられ、該柱状結合部材はその先端外周に係止用拡大部を備えているため、該両ワイヤーコンタクトの各一対の抱持用突部による前記抱持状態は、該柱状結合部を保持するために必要な保持力を確保することができる。
【0022】
他方、前記プラグ保持空間の二つのワイヤーコンタクトの各一対の抱持用突部と前記プラグの柱状結合部との接続は、以上のとおりであって、該プラグの柱状結合部は、プラグ保持空間中で両側の各一対の抱持用突部で浮いた状態で抱持状態に保持され、かつ嵌合長の非常に短い接続とすることができる。それ故、該柱状結合部を該プラグ保持空間の中心軸に対して一定の範囲でいずれの方向に傾けて引くことも可能であり、それによってレセプタクルに損傷が生じることもない。また、該柱状結合部は、これを前記必要な保持力を越える力で引けば、いずれの方向に引いた場合も同様に、前記プラグ保持空間から抜去することができる。
【0023】
また本発明の1のコネクタ装置は、前記のように、前記レセプタクルのプラグ保持空間を両側の空間形成用突起部で両側を閉じることによって構成し、その上下にこれを閉じる部材を配していない。また挿入されたプラグの柱状結合部は、該両側の空間形成用突起部中に配したワイヤーコンタクトの各一対の抱持用突部で両側から抱持することで保持することとしている。それ故、本発明の1のコネクタ装置は、その低背化を図ることができるものでもある。
【0024】
本発明の2のコネクタ装置によれば、前記二つのワイヤーコンタクトは、それぞれその基部軸が前記軸穴に挿入固定されており、前記連結軸部及び前記一対の抱持用突部は、該基部軸の延長軸部との境界付近を中心としてプラグ保持空間側に弾力的に回動できるようになっている。そして該連結軸部が、前記のように、前記弾性押圧部材の押圧部で前記プラグ保持空間側に押圧され、該各一対の抱持用突部は、対向状態で該プラグ保持空間中に挿入されるプラグの柱状結合部の周側部を弾力的に抱持することになる。それ故、両側の各一対の抱持用突部によるプラグの柱状結合部の周方向両側の抱持は確実なものとなる。
【0025】
本発明の3のコネクタ装置によれば、前記連結軸部がV型に屈曲して構成したものであるため、前記弾性押圧部材の押圧部による押圧が確実に行われ得る利点がある。
【0026】
本発明の4のコネクタ装置によれば、前記弾性押圧部材の押圧部による前記ワイヤーコンタクトの連結軸部に対する背後からの押圧をより適切に行うことができ、該ワイヤーコンタクトの抱持用突部によるプラグの柱状結合部に対する抱持を確実なものとすることができる。また弾性押圧部材の一部に端子部を構成して使用することができる利点もある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明を実施するための形態を図面を参照しながら実施例に基づいて詳細に説明する。
【0029】
この実施例のコネクタ装置は、
図4に示すように、基本的に、レセプタクル1とプラグ2とで構成したものである。
【0030】
前記レセプタクル1は、
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、プラグ保持空間1a1を正面中央に開口した絶縁性のレセプタクル本体1aと、該レセプタクル本体1aの正面のプラグ保持空間1a1をその間に構成する両側の空間形成用突起部1a2、1a2と、該空間形成用突起部1a2、1a2中にそれぞれ配したワイヤーコンタクト1b、1bと、該ワイヤーコンタクト1b、1bを背後から押圧する弾性押圧部材の先端押圧部(押圧部)1c1、1c1と、前記プラグ保持空間1a1の最奥部となるレセプタクル本体1aの前面に突出させるべく配したコンタクト部材1dの接片部1d1とで構成したものである。
【0031】
前記プラグ2は、
図3及び
図4に示すように、プラグ本体2aと、該プラグ本体2aの先端から突出する先端周囲に係止用拡大部2b1を構成した柱状結合部2bと、該柱状結合部2bの先端に配置したコンタクト片2cの接片部2c2とで構成したものである。
【0032】
前記レセプタクル本体1aは、この実施例では、
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、絶縁性部材で構成した基本的に直方体状の部材であり、その中央部には、前記コンタクト部材1dを配置するバネ保持空間1a3が構成してあり、最前部中央に該コンタクト部材1dの前部のU字形に屈曲した接片部1d1を前面のプラグ保持空間1a1側に突き出すための接片用開口部1a32が開口してある。また両側には、それぞれ前記空間形成用突起部1a2、1a2の後記バネ配置部1a22に連続する側部空間1a6、1a6が形成してあり、各側部空間1a6、1a6の内壁の最後部上下には、前記ワイヤーコンタクト1bの基部軸1b3を挿入固定する軸穴1a61、1a61が構成してあり、該内壁には、更に該軸穴1a61、1a61の近傍から前方に徐々に深くなりながら延長する軸用溝1a62、1a62を形成してある。なお、該軸穴1a61、1a61は、特に
図5に示すように、バネ保持空間1a3側に貫通する状態に形成してある。
【0033】
前記バネ保持空間1a3の後部は、
図4(b)及び
図5に示すように、全面的に開口する後部開口部となっており、この後部開口部には、後部カバー1a4が着脱開閉自在に取り付けてあり、この後部カバー1a4には、そのほぼ中央部に、該後部カバー1a4との間に係止溝1a41を形成する挟持片1a5が構成してあり、かつ該後部カバー1a4には、該係止溝1a41に繋がる後方に開くスリット1a42が形成してある。
【0034】
前記バネ保持空間1a3には、
図4(b)及び
図5に示すように、コンタクト部材1dの横向きU字形に屈曲した弾性発生部1d2を配置するが、該弾性発生部1d2の最後部を、前記後部カバー1a4と前記挟持片1a5との間に形成した係止溝1a41に挿入係止し、該弾性発生部1d2の後端から直角に屈曲して後方に延びる端子部1d3を後方に開く前記スリット1a42を通じて該レセプタクル本体1aの後方に突き出させるものである。
【0035】
また、前記のように、前記プラグ保持空間1a1を形成すべく、前記レセプタクル本体1aの正面の両側からこれと一体に前記空間形成用突起部1a2、1a2を突出させたものである。
【0036】
該空間形成用突起部1a2、1a2は、それぞれ、
図1(a)及び
図2(a)に示すように、前記プラグ2の柱状結合部2bの外周形状、すなわち、この実施例では、円柱状のそれに対応し、これより若干大径の部分円筒状内面形状の内面区画部1a21、1a21と、
図4(b)及び
図5に示すように、該内面区画部1a21、1a21の各々の外側に形成したバネ配置部1a22、1a22と、該バネ配置部1a22、1a22から前記両側の内面区画部1a21、1a21の周方向両側部、すなわち、該各内面区画部1a21、1a21の上下端部付近を通じて前記プラグ保持空間1a1に連通するバネ通過用スリット1a23、1a23とを備えているものである。
【0037】
また前記各バネ配置部1a22、1a22を構成する空間は、
図1(e)、
図4(b)及び
図5に示すように、最前部以外は若干狭くなり、その狭くなった幅で各々レセプタクル本体1aの両側の側部空間1a6、1a6に延長接続状態に構成され、各々その側部外面側は、空間形成用突起部1a2、1a2側とレセプタクル本体1a側との境界付近を除いては、開放状態となっている。該境界付近は、その外縁の外側にそれらの底部と天板部とを接続する態様の柱状部1a31、1a31が構成してあり、この部分のみが僅かに閉じている。
【0038】
また、
図5に示すように、前記レセプタクル本体1aの両側部空間1a6、1a6の内壁に形成してある前記軸用溝1a62、1a62は、前記バネ配置部1a22、1a22まで延長し、該バネ配置部1a22、1a22中では、前記バネ通過用スリット1a23、1a23に接続させてある。
【0039】
前記ワイヤーコンタクト1bは、導電性弾性金属部材、この実施例では、リン青銅で構成したワイヤーを用い、
図6及び
図7に示すように、両端の並列する短軸状の基部軸1b3、1b3と、該両基部軸1b3、1b3の各一端(同一側端)から直角に屈曲して相互に平行に延長する延長軸部1b4、1b4と、該両延長軸部1b4、1b4の延長先端部から各々前記基部軸1b3、1b3の軸方向と同一方向(平行な方向)に屈曲突出させた部分円弧状の抱持用突部1b2、1b2と、該両抱持用突部1b2、1b2の前記延長軸部1b4、1b4と反対側の各端部相互を連結する連結軸部1b1とで構成したものである。
【0040】
前記抱持用突部1b2、1b2は、
図1(a)に示すように、両者で前記プラグ2の柱状結合部2bの一周側部を抱えるように構成するものである。また前記連結軸部1b1は、
図6及び
図7に示すように、V型に屈曲した構成とし、そのV型の屈曲部は前記両基部軸1b3、1b3の中間付近の方向に向けて突出させるものとし、該連結軸部1b1の両端間の間隔は、前記バネ配置部1a22から前記プラグ保持空間1a1側に貫通する上下のバネ通過用スリット1a23、1a23の間隔と一致する間隔に構成する。
【0041】
以上のワイヤーコンタクト1bは、
図5に示すように、その両基部軸1b3、1b3を各々前記軸穴1a61、1a61に挿入し、前記両延長軸部1b4、1b4を各々前記軸用溝1a62、1a62に進入可能に配置し、前記連結軸部1b1を前記バネ配置部1a22に配置して、該ワイヤーコンタクト1bの二つの抱持用突部1b2、1b2を各々前記バネ通過用スリット1a23、1a23に挿入し、かつ前記弾性押圧部材の先端押圧部1c1、1c1を該ワイヤーコンタクト1bの前記連結軸部1b1に背後側から押し当て、該二つの抱持用突部1b2、1b2を前記プラグ保持空間1a1内に押し出すようにしたものである。
【0042】
前記弾性押圧部材は、
図1(b)〜(e)、
図2、
図4及び
図5に示すように、導電性の弾性金属部材で構成した、前記レセプタクル本体1aを包囲する包囲部1c2と、該包囲部1c2の両側部の前端から各々前記バネ配置部1a22、1a22に向かって延長する帯状延長部1c3、1c3と、該帯状延長部1c3、1c3の前端で、ほぼU字形に折り返して形成した先端押圧部(押圧部)1c1と、前記包囲部1c2の一側部の後端から延長状態に構成した端子部1c4とで構成したものである。
【0043】
前記包囲部1c2は、
図1(b)〜(e)、
図2、
図4及び
図5に示すように、両側部では、レセプタクル本体1aの前記柱状部1a31、1a31より後部をカバーし、上部及び下部では、両側部と同様に、後部をカバーする外、若干中央寄りの部位について、該後部のカバー部から各々該レセプタクル本体1aの前端までを台形状にカバーするように構成した角筒状の部材である。また該包囲部1c2には、下部中央には、
図1(e)、
図2(b)及び
図4(a)に示すように、U字形の返し片1c21が構成してあり、該包囲部1c2をレセプタクル本体1aに後部側から外装包囲した状態で、この返し片1c21が、該レセプタクル本体1aの図示しない下部側の係止用段差部に係止して抜け止めとなる。更に該包囲部1c2の後部には、
図1(b)〜(e)、
図2(b)、
図4及び
図5に示すように、その上部の右側後部及び下部の左側後部にそれぞれ固定片1c22、1c22が構成してあり、前記レセプタクル本体1aのバネ保持空間1a3の後部開口部を閉じる前記後部カバー1a4の取り付け状態を該固定片1c22、1c22で固定保持するようにしてある。
【0044】
前記帯状延長部1c3、1c3は、
図4(b)及び
図5に示すように、前記包囲部1c2の両側部の前端から前記プラグ保持空間1a1側に傾いた状態で、前記バネ配置部1a22、1a22に向かって延長し、前記先端押圧部1c1、1c1は、該帯状延長部1c3、1c3のバネ配置部1a22、1a22に位置する先端で、内側、すなわち、該プラグ保持空間1a1側にほぼU字形に折り返して形成し、前記のように、該バネ配置部1a22、1a22の該先端押圧部1c1、1c1より内側に位置するワイヤーコンタクト1b、1bの連結軸部1b1、1b1をそれぞれ該プラグ保持空間1a1側に押圧するものである。該連結軸部1b1、1b1は、そのV型の屈曲部を前記両基部軸1b3、1b3の中間付近の方向に向けて突出させてあるので、前記弾性押圧部材の先端押圧部1c1が広い範囲で適切にこれに当接することが可能となり、その押圧力を良好に受けることが可能となるものである。こうして該ワイヤーコンタクト1bの抱持用突部1b2、1b2は前記プラグ保持空間1a1中に押し込まれ、
図1(a)に示すように、ここに挿入されるプラグ2の柱状結合部2bの周側面に抱持状態に圧接することになる。
【0045】
前記端子部1c4は、
図1(c)〜(e)、
図2、
図4及び
図5に示すように、前記包囲部1c2の一側部の後端から帯状に延長したものであり、この実施例では、アース端子として構成したものである。
【0046】
前記コンタクト部材1dは、
図4(b)及び
図5に示すように、導電性の帯状弾性部材で構成した構成要素であり、平面視で横向きU字形に屈曲した弾性発生部1d2と、該弾性発生部1d2の前端からその向きと直交する縦向きで前方に延び、先端で折り返した態様のU字形の接片部1d1と、前記弾性発生部1d2の後端からその向きと直交する縦向きで後方に延びる端子部1d3とで構成したものである。
【0047】
前記し、
図4(b)及び
図5に示すように、このコンタクト部材1dは、その弾性発生部1d2を、前記レセプタクル本体1aのバネ保持空間1a3中に配置し、該弾性発生部1d2の後部側の横向き部分を、該バネ保持空間1a3の後部開口を閉じる後部カバー1a4と前記挟持片1a5との間の係止溝1a41に挿入係止しながら端子部1d3の前端部付近を該後部カバー1a4に形成したスリット1a42に挿入し、該端子部1d3を後方に延長状態に配する。同時に前記U字形の接片部1d1をレセプタクル本体1aの前部中央に開口する接片用開口部1a32を通じてプラグ保持空間1a1中に突き出させる。
【0048】
なお、このとき、このコンタクト部材1dは、レセプタクル本体1aから外した状態の後部カバー1a4の係止溝1a41に、弾性発生部1d2の後部側横向き部分を挿入係止し、かつ端子部1d3の前端部付近を該後部カバー1a4のスリット1a42に挿入した状態で、弾性発生部1d2を、レセプタクル本体1aのバネ保持空間1a3に装入しながら該後部カバー1a4で該バネ保持空間1a3の後部開口部を閉じ、更に該コンタクト部材1dの先端の接片部1d1を該レセプタクル本体1aの前部中央の開口部を通じてプラグ保持空間1a1中に突き出させる手順でセットするのが適当である。
【0049】
これは、当然、前記包囲部1c2をレセプタクル本体1aから外した状態で行い、以上のように、後部カバー1a4をバネ保持空間1a3の後部開口部を閉じるべく配した上で、該包囲部1c2を該レセプタクル本体1aに後部から外装する。
【0050】
前記プラグ2は、
図3及び
図4に示すように、プラグ本体2aと、その前端から突出する、先端に係止用拡大部2b1を構成した前記柱状結合部2bと、該柱状結合部2bの外周を構成する筒状コンタクト部材2b2と、その内部を構成する円柱状絶縁部材2b3と、該柱状結合部2bの先端中央部に配置した、前記コンタクト部材1dの接片部1d1と接触するコンタクト片2cの接片部2c2とで構成したものである。
【0051】
前記プラグ本体2aは、同図に示すように、この実施例では、全体を90度に屈曲した構成の絶縁性硬質部材であり、その先端側から、前記のように、柱状結合部2bを突出させ、後端側から電気信号又は電力の授受用のケーブルを引き出したものである。
【0052】
前記柱状結合部2bは、前記し、
図3及び
図4に示すように、内部の円柱状絶縁部材2b3と、これに外装する導電性の円筒状部材である前記筒状コンタクト部材2b2とで構成したものであり、前記係止用拡大部2b1は、該筒状コンタクト部材2b2の先端から僅かに突出した円柱状絶縁部材2b3の先端縁部を全周に渡って僅かに膨らませることで構成したものである。また該係止用拡大部2b1は、その直前に位置する筒状コンタクト部材2b2の先端外周部を僅かに肉薄に形成することで、より係止機能を高めるように構成してあるものでもある。
【0053】
また前記コンタクト片2cは、
図3(b)及び
図4(b)に示すように、導電性の帯状金属で構成したコンタクト片本体2c1と、その先端部を90度に折曲して構成した接片部2c2とで構成したものであり、該コンタクト片本体2c1は、前記円柱状絶縁部材2b3の長さを越える長さ寸法に構成したものである。
図3(b)に示すように、このコンタクト片2cは、そのコンタクト片本体2c1を該円柱状絶縁部材2b3にその長さ方向に沿って形成した取り付けスリットに貫通させた上で、その先端の接片部2c2を該円柱状絶縁部材2b3の先端に当接状態に配したものである。なお、該円柱状絶縁部材2b3の先端は、僅かに凹ませた凹部に構成してある。該接片部2c2は、該凹部に当接状態に配してあるものである。
【0054】
従ってこの実施例のコネクタ装置によれば、前記レセプタクル1を小型の携帯機器等に組み込んで有用に使用することができる。携帯機器等に組み込んだレセプタクル1の正面からそのプラグ保持空間1a1に前記プラグ2の柱状結合部2bを挿入すると、前記両空間形成用突起部1a2、1a2のバネ配置部1a22、1a22にそれぞれ連結軸部1b1、1b1を位置させたワイヤーコンタクト1b、1bの抱持用突部1b2、1b2が、両側の内面区画部1a21、1a21の上下のバネ通過用スリット1a23、1a23を通じて該プラグ保持空間1a1中に突出しており、これらで該プラグ2の柱状結合部2bの周側両側がそれぞれ抱持状態に保持されることになる。
【0055】
上下両端のバネ通過用スリット1a23、1a23を通じてプラグ保持空間1a1中に突出している各一対の抱持用突部1b2、1b2は、弾力性のあるワイヤー部材で構成され、かつ部分円弧状であり、プラグ2の柱状結合部2bの挿入方向に平行に配されているので、該柱状結合部2bの挿入の際には、その先端等が該抱持用突部1b2、1b2に接触することにはなるが、その際にその挿入に障害を与えない方向に屈曲回避し、または弾力的に後退して不都合を生じさせない。
【0056】
また前記両側の各上下一対の抱持用突部1b2、1b2は、このようにして挿入されたプラグ2の柱状結合部2bを、前記し、かつ
図1(a)に示すように、周方向両側で、抱持状態に保持するものであり、かつ、前記したように、前記バネ配置部1a22、1a22内にそれぞれ位置する連結軸部1b1、1b1が弾性押圧部材の先端押圧部1c1、1c1で内側(プラグ保持空間1a1側)に押圧されており、これによって両側の一対の抱持用突部1b2、1b2が該柱状結合部2b側に適度な圧力で付勢されているため、該柱状結合部2bは、適度な保持力でプラグ保持空間1a1内に保持されることになる。しかも、このとき、プラグ2の柱状結合部2bには、その先端部に係止用拡大部2b1が構成してあるため、これに引き抜き力が加わっても、容易に抜けるようなこともない。
【0057】
またプラグ保持空間1a1は、前記のように、両側の空間形成用突起部1a2、1a2で構成されており、上下を閉じる構成要素がないため、レセプタクル1を低背化させることができたものであり、それにもかかわらず、両側からこのプラグ保持空間1a1に突出する各一対の抱持用突部1b2、1b2で挿入されるプラグ2の柱状結合部2bを抱持することとしたため、適度の保持力を確保することができるものでもある。
【0058】
他方、前記プラグ保持空間1a1の各一対の抱持用突部1b2、1b2と前記プラグ2の柱状結合部2bとの接続は、前記のとおりであり、特に
図1(a)に示すように、該プラグ2の柱状結合部2bは、プラグ保持空間1a1中で、そのほぼ中央に、両側の各一対の抱持用突部1b2、1b2…により浮いた状態で抱持状態に保持され、かつ嵌合長の非常に短い接続となっている。そのため、該柱状結合部2bを該プラグ保持空間1a1の中心軸に対して一定の範囲内でいずれの方向に傾けて引くことも可能であり、そのようないずれの方向の引っ張りによっても該プラグ保持空間1a1を構成する両側の空間形成用突起部1a2、1a2又はレセプタクル本体1aに損傷を加えるおそれはない。
【0059】
また、該柱状結合部2bは、前記のように、適度な保持力で保持されており、これにいずれの方向の引き抜き力が加わっても容易に抜けることはない。しかしその保持力を越える力で引けば、前記プラグ保持空間1a1の軸心方向ばかりでなく、それに対して傾いたいずれの方向に引いた場合であっても、同様に、該プラグ保持空間1a1の周囲のいずれの部位に損傷を生じさせることもなく抜去することができる。
【0060】
なお、以上の保持力を適切に設定しておくことにより、このコネクタ装置を、ノートパソコン等の携帯機器の電力又は電気信号の授受用のケーブルの接続手段として用いた場合に、そのケーブルをプラグ2の柱状結合部2b及びレセプタクル1のプラグ保持空間1a1の軸方向と一致しない種々の方向から引っ張ったとしても、該プラグ2の柱状結合部2bは、レセプタクル1の適切な保持力を越えたところで、そのプラグ保持空間2bから離脱することになるため、対象のノートパソコン等を引き摺ってしまって、テーブル等から落下させてしまうような問題を生じるおそれもない。
【0061】
また、前記のように、プラグ2の柱状結合部2bを、前記プラグ保持空間1a1に挿入すると、該柱状結合部2bの外面を構成する筒状コンタクト部材2b2が前記抱持用突部1b2、1b2…に接触し、これらが前記連結軸部1b1、1b1を介して前記弾性押圧部材の先端押圧部1c1、1c1に接続しており、該先端押圧部1c1、1c1から帯状延長部1c3及び包囲部1c2を通じて端子部1c4に接続しており、他方、柱状結合部2bの先端に配されたコンタクト片2cの接片部2c2は、レセプタクル本体1aの前部から該プラグ保持空間1a1に突出しているコンタクト部材1dの接片部1d1に当接状態となる。
【0062】
こうしてワイヤーコンタクト1bと柱状結合部2bの外周を構成する筒状コンタクト部材2b2、及び柱状結合部2b2の先端のコンタクト片2cの接片部2c2とレセプタクル本体1aの前面のコンタクト部材1dの接片部1d1との各々の電気的接続は確実に行われることになる。
【0063】
プラグ2及びレセプタクル1としての基本的機能も十分に有するものである。