(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5729624
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 37/02 20060101AFI20150514BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20150514BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20150514BHJP
F21Y 101/02 20060101ALN20150514BHJP
【FI】
H05B37/02 K
H01L33/00 J
F21V23/00 120
F21V23/00 150
F21Y101:02
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-29053(P2014-29053)
(22)【出願日】2014年2月19日
(62)【分割の表示】特願2007-239589(P2007-239589)の分割
【原出願日】2007年9月14日
(65)【公開番号】特開2014-130831(P2014-130831A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2014年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142664
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】戸田 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】大武 寛和
(72)【発明者】
【氏名】清水 恵一
【審査官】
杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−130438(JP,A)
【文献】
特開2005−011739(JP,A)
【文献】
特開2002−015881(JP,A)
【文献】
特開平11−122923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
F21V 23/00
H01L 33/00
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次巻線と、二次巻線とを有する電源トランスと;
前記一次巻線に接続されるスイッチング手段と;
前記トランスの一次巻線の高電位側と前記トランスの二次巻線の高電位側とを接続する雑音防止用コンデンサと;
前記電源トランスの二次巻線に接続される直流回路と;
前記直流回路に接続される発光ダイオードと;
前記発光ダイオードを収容する器具本体と;
前記発光ダイオードの高電位側と前記器具本体とを接続するとともに、前記器具本体を介して接地する接地用コンデンサと;
を具備することを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記雑音防止用コンデンサの容量は、前記接地用コンデンサの容量よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、LED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED照明装置は、発光ダイオード(LED)とこのLEDを配設した基板とを含むLEDモジュール、当該LEDを点灯させる点灯回路及びこれらを収容する器具本体で構成されている。LED照明装置として、基本絶縁がとれているか検査するために、充電部である点灯回路と非充電部である器具本体に耐電圧を印加し、この電圧に十分耐えることができるかによって基本絶縁が取れているかを試験する(耐電圧試験)ことにしている。その耐電圧値は、LED照明装置の入力電圧によってその値が異なり、入力電圧が高いほど、高い耐電圧に対する基本絶縁を有していなければならない。なお、耐電圧試験等に関係するものではないが、サージ等の電圧による発光ダイオードの破壊を防止することを目的として発光ダイオードにコンデンサを接続させるものがある(特許文献1の段落番号0014、
図3等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−057228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDモジュールと点灯回路が一体となった前記LED照明装置では、LEDモジュールのみを基準にした場合には、その入力電圧は点灯回路の入力電圧に比較して小さい。しかし、このLED照明装置では、点灯回路を基準にし、この入力電圧に合わせた耐電圧をLED照明装置に印加して前記耐電圧試験を実施しなければならない。そのため、比較的入力電圧の小さいLEDモジュールに高い耐電圧が印加される可能性があるため、高い耐電圧に対する絶縁性が必要となる。
【0005】
そこで、比較的入力電圧の小さいLEDモジュールにもかかわらず高い絶縁性を有するLEDモジュールを設計しなければならない。そうすると、高い耐電圧に対する絶縁性を確保するために、コストの高い絶縁性材料など使用しなくてはならなくなり、また、絶縁距離もとる必要があるためにLEDの特徴であるコンパクト性、高密度化を十分に生かしきれないこととなる。
【0006】
そこで、本発明では、LEDモジュールを含むLED照明装置に高い耐電圧を印加したとしてもLEDモジュールには当該高い耐電圧が印加されることを抑制できるLED照明装置及びLEDモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、一次巻線と、二次巻線とを有する電源トランスと;
前記一次巻線に接続されるスイッチング手段と;前記トランスの一次巻線
の高電位側と前記トランスの二次巻線
の高電位側とを接続する雑音防止用コンデンサと;前記電源トランスの二次巻線に接続される直流回路と;前記直流回路に接続される発光ダイオードと;前記発光ダイオードを収容する器具本体と;前記発光ダイオード
の高電位側と前記器具本体とを接続するとともに、前記器具本体を介して接地する接地用コンデンサと;
を具備することを特徴とする。
ここで、前記雑音防止用コンデンサは電源トランスの一次側と二次側とを接続するものであれば、接続位置、接続方法等を問わない。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のLED照明装置において、前記雑音防止用コンデンサの容量は、前記接地用コンデンサの容量よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のLED照明装置によると、耐電圧試験においては雑音防止用コンデンサ及び接地用コンデンサに耐圧電圧がかかるので、LED照明装置に高い耐電圧を印加したとしても発光ダイオードには当該高い耐電圧が印加されることを抑制できる。したがって、入力電圧の小さい発光ダイオードに対して、高い耐電圧に対する絶縁性を確保する必要が緩和される。
【0010】
請求項
2記載のLED照明装置によると、耐電圧試験においては前記雑音防止用コンデンサにかかる電圧を接地用コンデンサにかかる電圧よりも確実に
小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態を示すLED照明装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を示すLED照明装置について図面を参照して説明する。
図1及び
図2において、符号1は器具本体で、この器具本体1は、アルミニウムのダイカスト製のもので、両端を開口した円筒状をしている。この器具本体1は、内部を仕切り部材1a、1bにより上下方向に3分割され、下方開口と仕切り部材1aの間の空間は、LEDモジュール2が配設されている。
【0013】
このLEDモジュール2には、複数の発光ダイオード2a、接地用コンデンサ32及び反射体2bが設けられている。この接地用コンデンサ32は、器具本体1に接続されている。複数の発光ダイオード2aは、仕切り部材1a下面に設けられた円盤状の配線基板2cの円周方向に沿って等間隔に配置され実装されている。なお、接地用コンデンサ32は、複数の発光ダイオード2aが配設された配線基板2cを構成する例えばアルミニウム等の金属性基板に接続したものであってもよい。
【0014】
器具本体1の仕切り部材1aと1bの間の空間は電源室3に形成されている。この電源室3は、仕切り部材1a上部に配線基板3aが配置されている。この配線基板3aには、前記複数の発光ダイオード2aを駆動するための直流出力生成手段10が設けられている。この直流出力生成手段10と複数の発光ダイオード2aは、リード線4により接続されている。器具本体1の仕切り板1bと上方開口の間の空間は、電源端子室5に形成されている。この電源端子室5は、仕切り板1bに電源端子台6が設けられている。この電源端子台6は、商用電源の交流電力を供給するための端子台で、電絶縁性の合成樹脂で構成されたボックス6aの両面に電源ケーブル用端子部となる差込口6b、送りケーブル用端子部となる差込口6c及び電源線及び送り線を切り離すリリースボタン6dなどを有している。
【0015】
図3は、前記LED照明装置の直流出力生成手段10を示している。
図3において、直流出力生成手段10は、一次巻線13aと二次巻線13bを含む電源トランス13、前記一次巻線13a側に設けられたスイッチング手段14、前記二次巻線13bを含む直流回路20、及び電源トランス13の一次巻線13a側及び二次巻線13b側とを接続する雑音防止用コンデンサ31を備え、前記スイッチング手段14のスイッチング動作により直流出力を生成する。LEDモジュール2は、複数の発光ダイオード2a、これらの発光ダイオード2a及び発光ダイオード2aに直列に接続する接地用コンデンサ32を含んでいる。
【0016】
符号11は直流電源で、この直流電源11には、例えば交流電源(商用電源)の交流出力を全波整流し、この全波整流した出力を平滑コンデンサにより平滑して直流出力として発生するものが用いられる。直流電源11の両端には、リップル電流平滑用のコンデンサ12が接続されるとともに、電源トランス13の一次巻線13aとスイッチング手段としてのスイッチングトランジスタ14の直列回路が接続されている。
【0017】
電源トランス13は、一次巻線13aと磁気的結合された二次巻線13bと補助巻線13cを有している。電源トランス13の一次巻線13a両端には、コンデンサ15と抵抗16の並列回路と図示極性のダイオード17の直並列回路からなるスナバ回路171が接続されている。このスナバ回路171は、電源トランス13の一次巻線13aに発生するフライバック電圧をコンデンサ15による充電と抵抗16の放電により吸収し、電源トランス13のリーケージインダクタンスにより発生するリンギング電圧をコンデンサ15により吸収する。
【0018】
電源トランス13の二次巻線13bには、図示極性のダイオード18と平滑コンデンサ19からなる直流回路20が接続されている。この直流回路20は、電源トランス13の二次巻線13bより発生する交流出力をダイオード18で整流し、この整流出力を平滑コンデンサ19により平滑して直流出力する。そして、直流回路20の平滑コンデンサ19両端には、接続端子21a、21bが接続されている。
【0019】
一方、電源トランス13の補助巻線13cの両端には、図示極性方向のダイオード23と平滑コンデンサ24の直列回路が接続されている。この平滑コンデンサ24は、後述する発光ダイオード2aに流れる電流により充電され、制御回路25を起動させる起動手段を構成するとともに、補助巻線13cより交流出力が発生すると、この交流出力を整流するダイオード23の出力により充電され、制御回路25に駆動電源を供給する。
【0020】
平滑コンデンサ24の両端には、制御手段としての制御回路25の電源端子25a、25bが接続されている。制御回路25は、駆動端子25cを抵抗29を介してスイッチングトランジスタ14のゲートに接続されている。この制御回路25は、駆動開始の際に平滑コンデンサ24の充電電圧により起動されるもので、その動作によりスイッチングトランジスタ14をオンオフさせて電源トランス13をスイッチング駆動する。ダイオード23と平滑コンデンサ24の接続点には、抵抗28を介して接続端子21cが接続されている。接続端子21a、21b、21cには、発光ダイオード2aが接続される。この場合、発光ダイオード2aは、アノードに接続端子27a、カソードに接続端子27b、27cがそれぞれ接続されている。発光ダイオード2aは、接続端子27a、27b、27cとともにユニット化されており、接続端子21a、21b、21cに対し接続端子27a、27b、27cを介して接続又は切り離し可能になっている。例えば、接続端子21a、21b、21cが光源取付部22に設けられていて、この光源取付部22にモジュール化されたLEDモジュール2を装着することにより、接続端子27a、27b、27cが接続端子21a、21b、21cに電気的に接続される。
【0021】
また、符号40はLED照明装置の耐電圧試験用の交流電圧印加手段である。交流電圧印加手段の一端41aは充電部である商用交流電源に接続されるところに接続され、他端41bは非充電部である器具本体1に耐電圧を印加し、この電圧に十分耐えることができるか試験する。この耐電圧試験においては、雑音防止用コンデンサ31及び接地用コンデンサ32に耐圧電圧がかかるので、LED照明装置に高い耐電圧を印加したとしてもLEDモジュール2には当該高い耐電圧が印加されることを抑制できる。したがって、入力電圧の小さいLEDモジュール2に対して、高い耐電圧に対する絶縁性を確保する必要が緩和される。また、前記雑音防止用コンデンサ31にかかる電圧を接地用コンデンサ32にかかる電圧よりも確実に
小さくすることができる。
【0022】
次に、LED照明装置の作用を説明する。まず、LEDモジュール2を光源取付部22に装着し、接続端子27a、27b、27cが接続端子21a、21b、21cに電気的に接続されている場合、電源スイッチ(図示しない。)を投入すると、直流電源11の電流が抵抗21を通って発光ダイオード2aに流れ、さらに、抵抗28を通って平滑コンデンサ24に流れて、平滑コンデンサ24が充電される。
【0023】
そして、平滑コンデンサ24の充電電圧が所定の値になると、この充電電圧により制御回路25が起動され、スイッチングトランジスタ14をオンオフさせる。スイッチングトランジスタ14がオンオフされると、電源トランス13がスイッチング駆動される。この場合、スイッチングトランジスタ14のオンで電源トランス13の一次巻線13aに直流電源11より電流を流してエネルギーを蓄積し、スイッチングトランジスタ14のオフで一次巻線13aに蓄積したエネルギーを二次巻線13bを通して放出する。これにより直流回路20を介して直流出力が発生し発光ダイオード2aが点灯される。
【0024】
一方、電源トランス13がスイッチング駆動を始めると、補助巻線13cに交流出力が発生する。この交流出力は、ダイオード23により整流され、この整流出力が平滑コンデンサ24に充電される。したがって、これ以降、制御回路25は、ダイオード23の整流出力で充電される平滑コンデンサ24の充電電圧により駆動され、スイッチングトランジスタ14をオンオフさせる。
【0025】
次に、LEDモジュール2を光源取付部22から取外し、接続端子27a、27b、27cが接続端子21a、21b、21cから切り離されている場合を説明する。この場合、電源スイッチを投入すると、接続端子21a、21b、21cに接続端子27a、27b、27cが接続されていないので、直流電源11から平滑コンデンサ24に流れる電流が断たれ、平滑コンデンサ24が充電されることがない。このため、平滑コンデンサ24の充電電圧は上昇しないままであり、この充電電圧を駆動開始時の電源とする制御回路25は動作しない。これにより、スイッチングトランジスタ14はオフしたままで電源トランス13もスイッチング駆動されない。
【0026】
つまり、発光ダイオード2aを光源取付部22から取り外した負荷非装着状態では、電源トランス13のスイッチング駆動を停止させることができる。したがって、このようにすれば、発光ダイオード2aを光源取付部22に着脱可能に設け、発光ダイオード2aを光源取付部22に装着した状態で、この発光ダイオード2aを介して平滑コンデンサ24を充電し、この平滑コンデンサ24の充電電圧が所定値になると制御回路25を起動させ、スイッチングトランジスタ14をオンオフさせて、電源トランス13をスイッチング駆動可能とし、また、LEDモジュール2を光源取付部22から取外した状態では、平滑コンデンサ24の充電路を断って、制御回路25の動作を阻止し、電源トランス13のスイッチング駆動を禁止するようにした。
【0027】
これにより、LEDモジュール2が取り外され、電源側からみて負荷非装着状態となったときには、電源トランス13のスイッチング駆動による直流出力の発生を止めることができるので、従来の負荷が装着されない状態でも出力を発生し続けるものと比べて消費電力の大幅な低減を図ることができるようになり省エネルギー化に大いに貢献できる。また、負荷が故障して負荷非装着状態となった場合も、電源トランス13のスイッチング駆動を止めて出力が発生しないようにできるので、ユーザが負荷の故障の状況を検査するなどの際の作業の安全性を確保することもできる。
【符号の説明】
【0028】
1…器具本体、2a…発光ダイオード、13…電源トランス、13a…一次巻線、13b…二次巻線、14…スイッチングトランジスタ、20…直流回路、31…雑音防止用コンデンサ、32…接地用コンデンサ