特許第5729650号(P5729650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 共立電気計器株式會社の特許一覧

特許5729650コンセントチェッカおよびコンセントチェッカを用いた電圧測定方法
<>
  • 特許5729650-コンセントチェッカおよびコンセントチェッカを用いた電圧測定方法 図000002
  • 特許5729650-コンセントチェッカおよびコンセントチェッカを用いた電圧測定方法 図000003
  • 特許5729650-コンセントチェッカおよびコンセントチェッカを用いた電圧測定方法 図000004
  • 特許5729650-コンセントチェッカおよびコンセントチェッカを用いた電圧測定方法 図000005
  • 特許5729650-コンセントチェッカおよびコンセントチェッカを用いた電圧測定方法 図000006
  • 特許5729650-コンセントチェッカおよびコンセントチェッカを用いた電圧測定方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5729650
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】コンセントチェッカおよびコンセントチェッカを用いた電圧測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/14 20060101AFI20150514BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   G01R19/14
   G01R19/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-113004(P2012-113004)
(22)【出願日】2012年5月17日
(65)【公開番号】特開2013-238546(P2013-238546A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2014年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025623
【氏名又は名称】共立電気計器株式會社
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】中田 知秀
(72)【発明者】
【氏名】和田 篤
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−180496(JP,A)
【文献】 特開2002−189017(JP,A)
【文献】 特開平04−118826(JP,A)
【文献】 特開2003−315379(JP,A)
【文献】 特開平06−075676(JP,A)
【文献】 特開2008−108557(JP,A)
【文献】 特開2012−168083(JP,A)
【文献】 特開2003−315380(JP,A)
【文献】 実開平02−109269(JP,U)
【文献】 特開2003−294702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/14
G01R 19/00
H01H 1/00−9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンセントに差し込まれるプラグと、
このプラグが接続された基板と、
操作の際に操作者によって触れられる被接触電極部材、および、操作に連動させられ前記被接触電極部材と前記基板とに電気的に接続されたバネ部材、から構成された操作スイッチと、
前記基板に取り付けられて前記被接触電極部材が被せられ、前記操作スイッチに連動させられる測定開始スイッチと、
前記被接触電極部材と前記測定開始スイッチとの間に備えられ、径方向に突出した突状鍔部に前記バネ部材が挿入されたスペーサと、
前記基板に組み込まれ、前記測定開始スイッチによって前記被接触電極部材と前記コンセントとの電位差を測定させられる電圧測定回路と、
から構成された、
ことを特徴とするコンセントチェッカ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンセントチェッカを用いて、
前記コンセントに前記プラグを差し込む手順と、
前記操作者が前記操作スイッチを操作することによって、前記被接触電極部材に触れると共に前記測定開始スイッチが連動する手順と、
を経ることにより、
前記被接触電極部材と前記コンセントとの電位差を測定する、
ことを特徴とする電圧測定方法
【請求項3】
前記操作者が前記被接触電極部材を離すことで、前記被接触電極部材と前記コンセントとの電位差の測定を停止する手順、
を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の電圧測定方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンセントに接続された配線の極性を検査するコンセントチェッカ、およびコンセントチェッカを用いた電圧測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンセントには極性があり、アース側(接地側)の差込口に中性線が接続され、ホット側(電圧側)の差込口にライン線が接続されている。電気工事により設けられた後、コンセントは極性が検査される。ここで、コンセントの極性を検査する装置として、例えば、下記特許文献1に記載のコンセントチェッカが提案されている。
【0003】
このコンセントチェッカは、器体の先端面からコンセントに差し込むプラグ部が突出し、器体の左側面にタッチ電極が、右側面にスライドハンドルが、それぞれ備えられている。操作者は器体を片手で把持してプラグ部をコンセントに差し込み、タッチ電極に触れたままスライドハンドルを器体に沿ってスライドする。これによりスイッチがオンとなって、コンセントの極性が検査される。特に、右側面にスライドハンドルが備えられているため、右利きの操作者が親指でスライドハンドルをスライドしやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−180496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したように、コンセントチェッカは、互いに反対側の側面にタッチ電極とスライドハンドルとが備えられている。したがって、タッチ電極への接触と、スライドハンドルのスライドとの二種類の異なる作業を個別に行うという操作が必要とされ、タッチ電極が接触されずにスライドハンドルがスライドされた場合、誤った検査結果が出力される。
【0006】
また、このコンセントチェッカは、例えば、身体的な事情により操作者が片手で器体を把持できない場合や、操作者が左利きの場合などに適しておらず、この場合、例えば、片手や体の一部でタッチ電極に接触され、他の片手や体の一部でスライドハンドルが操作されるなど、経時的な操作が必要とされる。
【0007】
また、上記したコンセントチェッカの他、タッチ電極への接触を促すためのメッセージを表示する他のコンセントチェッカも提案されているが、このコンセントチェッカは、タッチ電極への接触を確認するものではない。したがって、上記したコンセントチェッカと同様に、タッチ電極が接触されずに検査された場合、誤った検査結果が出力される。
【0008】
したがって、いずれのコンセントチェッカも、正確かつ早期にコンセントの極性を検査することができない場合がある。
【0009】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、操作性が優れており、正確かつ早期にコンセントの極性を検査することができるコンセントチェッカ、およびコンセントチェッカを用いた電圧測定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係るコンセントチェッカは、コンセントに差し込まれるプラグと、このプラグが接続された基板と、操作の際に操作者によって触れられる被接触電極部材、および、操作に連動させられ前記被接触電極部材と前記基板とに電気的に接続された連動部材、から構成された操作スイッチと、前記基板に取り付けられ、前記操作スイッチに連動させられる測定開始スイッチと、前記基板に組み込まれ、前記測定開始スイッチによって前記被接触電極部材と前記コンセントとの電位差を測定させられる電圧測定回路と、から構成された、ことを特徴としている。
【0011】
また、コンセントチェッカは、前記被接触電極部材が前記測定開始スイッチに被さっている、ことを特徴としている。
【0012】
また、コンセントチェッカは、前記操作スイッチが押ボタン式であり、前記連動部材が導電性のバネ部材である、ことを特徴としている。
【0013】
また、コンセントチェッカは、前記被接触電極部材と前記測定開始スイッチとの間にスペーサが備えられ、このスペーサを介して前記操作スイッチに前記測定開始スイッチが連動させられる、ことを特徴としている。
【0014】
また、コンセントチェッカを用いた電圧測定方法は、上記したコンセントチェッカを用いて、前記コンセントに前記プラグを差し込む手順と、前記操作者が前記操作スイッチを操作することによって、前記被接触電極部材に触れると共に前記測定開始スイッチが連動する手順と、を経ることにより、前記被接触電極部材と前記コンセントとの電位差を測定する、ことを特徴としている。
【0015】
また、コンセントチェッカを用いた電圧測定方法は、前記操作者が前記被接触電極部材を離すことで、前記被接触電極部材と前記コンセントとの電位差の測定を停止する手順、を含む、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るコンセントチェッカは、操作の際に操作者によって触れられる被接触電極部材、および、操作に連動させられ被接触電極部材と基板とに電気的に接続された連動部材、から操作スイッチが構成され、測定開始スイッチが操作スイッチに連動させられる。この構成によれば、操作者が操作スイッチを操作する際、必然的に被接触電極部材に接触すると共に測定開始スイッチが連動するため、プラグをコンセントに差し込んだ後、一つの操作でコンセントの極性を検査することができる。したがって、操作性に優れ、正確かつ早期にコンセントの極性を検査することができる。
【0017】
特に、被接触電極部材が測定開始スイッチに被さっている。この構成によれば、コンセントチェッカは、操作スイッチに追従して測定開始スイッチが連動する。したがって、操作性に優れ、正確かつ早期にコンセントの極性を検査することができる。
【0018】
特に、操作スイッチが押ボタン式であり、連動部材が導電性のバネ部材である。この構成によれば、コンセントチェッカは構成が簡便であり、操作者が操作スイッチを押下するのみでコンセントの極性を検査することができる。したがって、操作性に優れ、正確かつ早期にコンセントの極性を検査することができる。
【0019】
特に、被接触電極部材と測定開始スイッチとの間にスペーサが備えられ、このスペーサを介して操作スイッチに測定開始スイッチが連動させられる。この構成によれば、コンセントチェッカは、測定開始スイッチの形状と、操作スイッチの被接触電極部材の形状とが互いに依拠しない。したがって、それぞれの形状が設計しやすい。
【0020】
本発明に係る電圧測定方法は、上記した構成である。この構成によれば、操作者が操作スイッチを操作する際、必然的に被接触電極部材に接触すると共に測定開始スイッチが連動するため、プラグをコンセントに差し込んだ後、一つの操作でコンセントの極性を検査することができる。したがって、正確かつ早期にコンセントの極性を検査することができる。
【0021】
特に、操作者が被接触電極部材を離すことで、被接触電極部材とコンセントとの電位差の測定を停止する手順を含む。この構成によれば、操作者が被接触電極部材を離すと電位差が測定されず、検査結果が出力されない。したがって、誤った検査結果を出力せず、正確にコンセントの極性を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係るコンセントチェッカの外観を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るコンセントチェッカの操作スイッチを拡大して示す断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るコンセントチェッカの操作スイッチを拡大して示す分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るコンセントチェッカの使用状態の概略を示す概略図である。
図5】本発明の実施形態に係るコンセントチェッカの使用状態の概略を示し、コンセントの配線が正しく接続されている場合の概略図である。
図6】発明の本実施形態に係るコンセントチェッカの使用状態の概略を示し、コンセントの配線が誤って接続されている場合の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
まず、本実施形態に係るコンセントチェッカの外観および内部の概略を説明する。図1は、コンセントチェッカの外観を示す図である。図2および図3は、コンセントチェッカの内部である操作スイッチを拡大して示す断面図、および分解斜視図である。
【0025】
図1において、コンセントチェッカ9は、本体10、この本体10の先端から長手方向に突出させられたプラグ11、操作者が触れる被接触電極部材20が本体10の表面に露出した操作スイッチ25、および本体10の表面に備えられた表示部40、から構成されている。また、図2および図3において、コンセントチェッカ9は、基板16、この基板16に取り付けられ、被接触電極部材20が被せられた測定開始スイッチ18、被接触電極部材20と基板16とを電気的に接続する連動部材としてのコイルバネ19、測定開始スイッチ18と被接触電極部材20との間に備えられたスペーサ30、基板16に組み込まれた電圧測定回路41および制御回路42(図4参照)、から構成されている。
【0026】
図1において、本体10は、操作者が把持するのに適した太さに形成されている。プラグ11は、コンセント1に差し込まれる三つの差込刃を有している。すなわち、プラグ11は、第一差込刃12、第二差込刃13、および第三差込刃14から構成され、それぞれ、コンセント1の中性線6(以下、“N線”と記す)が接続されたN端子2、ライン線5(以下、“L線”と記す)が接続されたL端子3、およびアース線7(以下、“E線”と記す)が接続されたE端子4に接続される(図4参照)。
【0027】
表示部40は本体10の表面に形成され、検査結果などが表示される。なお、表示部40と共に、または表示部40の代わりに、スピーカを設け、音声で検査結果を報知してもよい。被接触電極部材20は、本体10の表面に形成された開口部15に嵌め込まれ、本体10の表面に露出している。なお、被接触電極部材20については後でさらに詳述する。
【0028】
図2および図3において、基板16には電圧測定回路41および制御回路42が組み込まれている(図4参照)。電圧測定回路41は、表面実装用の一組のパッド17が接続されている。パッド17は間隔を開けて基板16の表面に露出されている。測定開始スイッチ18はパッド17間に配置され、基板16に取り付けられている。なお、測定開始スイッチ18、電圧測定回路41、および制御回路42は公知のものであるため、説明を省略する。
【0029】
次に、図2および図3に基づいて操作スイッチ25について説明する。操作スイッチ25は、被接触電極部材20とコイルバネ19とから構成され、いわゆる押ボタン式である。ここで、“押ボタン式“は、外力により押下されることで回路を開閉(オン/オフ)する構造であり、押されている間のみ”オン”状態を維持する自動復帰型である。なお、“押ボタン式“は、押される毎に”オン“と”オフ“とが反転する位置保持型も含まれるが、操作性や安全性の面から、復旧操作が不要である自動復帰型の押ボタン式が好ましい。また、押ボタン式は、有接点式、無接点式、いずれでもよい。
【0030】
コイルバネ19は公知のものである。すなわち、コイルバネ19は、コイル状に巻かれて弾性力を蓄えるものである。コイルバネ19は、導電性である金属から形成されている。なお、コイルバネ19の代わりに、例えば、引張バネ、ねじりコイルバネ、板バネなどを用いてもよい。
【0031】
被接触電極部材20は略円筒状に形成され、平坦な円盤状の被接触面部21、この被接触面部21の円周縁から垂下された筒状の側壁部22、この側壁22の下端縁から径方向に連ねられた円環状の環状鍔部23から構成されている。この構成により被接触電極20は、内側に中空部24を有している。なお、被接触電極部材20は、操作者が接触しやすい平坦な被接触面部21を有すれば多角形などの筒状であってもよい。
【0032】
スペーサ30は、被接触電極部材20の中空部24と略同一の形状に形成されている。すなわち、円筒状のスペーサ本体31、このスペーサ本体31の内側で軸方向に突出した突部32、およびスペーサ本体31の側面の一部から径方向に突出した突状鍔部33から構成されている。突状鍔部33は、スペーサ30の軸方向と同一方向に貫通する貫通孔34が形成されている。スペーサ30は、高さ方向の長さが被接触電極部材20よりも長く、突状鍔部33の先端までの長さが被接触電極部材20の環状鍔部23よりも長く、突状鍔部33の高さ方向の長さがコイルバネ19の自然長よりも短い。また、スペーサ30は、絶縁性を有する合成樹脂などから形成されている。なお、スペーサ30は、被接触電極部材20の中空部24に倣った形状であれば多角形状などであってもよい。
【0033】
次に、被接触電極部材20、コイルバネ19、およびスペーサ30の組み立て方を図2および図3に基づいて説明する。
【0034】
基板16に、測定開始スイッチ18を覆うようにしてスペーサ30を取り付ける。その際、スペーサ30を、突部32が測定開始スイッチ18に接触すると共に、突状鍔部33に形成された貫通孔34がパッド17と対面する位置に合わせて配置する。コイルバネ19を貫通孔34に挿入してパッド17に接触させる。スペーサ30に被接触電極部材20を取り付け、被接触電極部材20によってスペーサ本体31が覆われた状態にする。その際、被接触電極部材20の環状鍔部23と、スペーサ30の突状鍔部33に形成された貫通孔34とが対面し、コイルバネ19が環状鍔部23と基板16に形成されたパッド17との間で圧縮させられる。これにより、被接触電極部材20とパッド17とがコイルバネ19によって電気的に接続される。なお、コイルバネ19は、被接触電極部材20が押下されたときのみ環状鍔部23とパッド17との間を電気的に接続する構成としてもよい。すなわち、被接触電極部材20が押下されていない場合、パッド17と環状鍔部23とが電気的に離れていてもよい。
【0035】
この状態で本体10を被接触電極部材20に被せる。その際、本体10の表面に形成された開口部15を被接触電極部材20に取り付け、被接触電極部材20が開口部15に挿入されて被接触面部21が本体10から露出した状態にする。
【0036】
以上のようにして、被接触電極部材20、コイルバネ19、およびスペーサ30を組み立てる。
【0037】
なお、操作スイッチ25は、被接触電極部材20が測定開始スイッチ18に直接接触する構成であってもよい。例えば、被接触面部の厚みが増加され、または被接触面部の裏側から軸方向に突部を突出させることにより、測定開始スイッチ18を押下させる構成であってもよい。この場合、スペーサ30が用いられなくてもよい。
【0038】
また、パッド17の数および配置、これに伴うコイルバネ19の数およびスペーサの形状は適宜変更される。例えば、パッドが環状に連なって基板に形成され、測定開始スイッチが環状のパッドの内側に配置されて基板に取り付けられ、スイッチを内側に配置させた一つの大きなコイルバネが環状のパッドに接触させられた構成であってもよい。この場合、フック状の突片などによりコイルバネを係止する構成であればスペーサが用いられなくてもよい。
【0039】
次に、コンセントチェッカ9の使用方法について図1図4図5および図6に基づいて説明する。図4は、コンセントチェッカの使用状態の概略を示す図である。図5および図6は、コンセントチェッカの使用状態の概略を示し、それぞれコンセントの配線が正しく接続されている場合の概略図、およびコンセントの配線が誤って接続されている場合の概略図である。
【0040】
図1において、コンセントチェッカ9のプラグ11をコンセント1に差し込む。この状態で、操作者50は被接触面部21に触れると共に、被接触電極部材20を押下する(図4参照)。被接触電極部材20が操作者50を介して接地され、コイルバネ19を圧縮させながら沈んでスペーサ30に形成された突部32が測定開始スイッチ18を押す(図2参照)。
【0041】
図4において、コンセントチェッカ9の制御回路42が測定開始スイッチ18からの入力信号を受ける。制御回路42は信号を出し、N端子2と被接触電極部材20(操作者50)との間の電位差を電圧測定回路41に測定させる。表示部40は、測定値に基づいて検査結果を表示する。
【0042】
図5において、コンセント1の配線が正しく接続されている場合、すなわち、コンセント1のN端子2にN線6が接続され、L端子3にL線5が接続されている場合、N端子2と被接触電極部材20との間の電位差は0Vである。表示部40は電位差が0Vである旨、または配線が正常である旨の検査結果を表示する。
【0043】
一方、図6において、コンセント1の配線が誤って接続されている場合、すなわち、コンセント1のN端子2にL線5が接続され、L端子3にN線6が接続されている場合、N端子2と被接触電極部材20(操作者50)との間の電位差は100Vである。表示部40は電位差が100Vである旨、または配線が異常である旨の検査結果を表示する。
【0044】
電圧測定回路41が電位差を測定している途中で操作者50が被接触電極部材20を離すと、押下された被接触電極部材20がコイルバネ19の復元力により元の位置に戻ると共に、スペーサ30の突部32が測定開始スイッチ18から離れる。測定開始スイッチ18から制御回路42への入力信号が途絶えた電圧測定回路41は電位差の測定を中止する。この場合、表示部40は検査結果を表示しない。
【0045】
次に、本実施形態に係るコンセントチェッカ9の効果について説明する。
【0046】
本実施形態に係るコンセントチェッカ9は、操作者50によって触れられる被接触電極部材20、基板16のパッド17および被接触電極部材20に電気的に接続されたコイルバネ19、から操作スイッチ25が構成され、被接触電極部材20が測定開始スイッチ18に被せられている。
【0047】
この構成によれば、操作者50が操作スイッチ25を押下する際、必然的に被接触電極部材20の被接触面部21に接触すると共に測定開始スイッチ18が連動して押下されるため、プラグ11をコンセント1に差し込んだ後、一つの操作でコンセント1の極性を検査することができる。したがって、操作性に優れ、正確かつ早期にコンセント1の極性を検査することができる。
【0048】
本実施形態に係るコンセントチェッカ9は、操作スイッチ25が押ボタン式であり、コイルバネ19が被接触電極部材20の環状鍔部23と基板16に形成されたパッド17との間で圧縮させられると共に、これらを電気的に接続する構成である。この構成によれば、構成が簡便であり、操作者50が被接触電極部材20を押下するのみでコンセント1の極性を検査することができる。したがって、操作性に優れ、正確かつ早期にコンセント1の極性を検査することができる。
【0049】
また、このコンセントチェッカ9は、操作スイッチ25が自動復帰型の押ボタンであるため、復旧操作が不要であり、操作性や安全性が優れている。
【0050】
本実施形態に係るコンセントチェッカ9は、基板16に測定開始スイッチ18を覆うようにしてスペーサ30を取り付け、スペーサ30の突部32が測定開始スイッチ18に接触する。スペーサ30に被接触電極部材20を取り付け、被接触電極部材20がスペーサ本体31に被さっている。この構成によれば、測定開始スイッチ18の形状と、被接触電極部材20の形状とが互いに依拠しない。したがって、それぞれの形状が設計しやすい。
【0051】
本実施形態に係る電圧測定方法は、電圧測定回路41が電位差を測定している途中で操作者50が被接触電極部材20を離すと、押下された被接触電極部材20がコイルバネ19の復元力により元の位置に戻ると共に、スペーサ30の突部32が測定開始スイッチ18から離れる。測定開始スイッチ18から制御回路42への入力信号が途絶えた電圧測定回路41は電位差の測定を中止する。
【0052】
この構成によれば、操作者50が被接触電極部材20を離すと電位差が測定されず、検査結果が表示部40に表示されない。したがって、操作者50が被接触電極部材20に触れた場合にのみ表示部40が検査結果を表示するため、正確にコンセント1の極性を検査することができる。
【0053】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0054】
第一変形例では、連動部材としてコイルバネ19の代わりに板バネが用いられる。この場合、被接触電極部材の一端部に板バネが接続され、被接触電極部材がこの板バネをヒンジとして上下に動くように構成される。板バネはパッドに接触させられている。
【0055】
第二変形例では、操作スイッチがスライドスイッチである。スライドスイッチは、操作者によって接触されて外力が加えられたノブが水平に摺動させられることで回路を開閉(オン/オフ)する。この場合、操作者が操作するノブに被接触電極部材が被せられ、このノブに追従して摺動する可動片が連動部材として別途備えられる。可動片はパッドに接触させられている。
【0056】
第三変形例では、操作スイッチがシーソースイッチである。例えば、トグルスイッチであれば、操作者が操作するレバーに被接触電極部材が被せられ、このレバーに追従してシーソー式に可動する可動接片が連動部材として別途備えられる。また、可動接片の代わりに、レバーの傾倒に追従するヒンジ構造が連動部材として備えられていてもよい。可動接片またはヒンジ構造はパッドに接触させられている。
【0057】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 コンセント
2 N端子
3 L端子
4 E端子
5 L線
6 N線
7 E線
9 コンセントチェッカ
10 本体
11 プラグ
12 第一差込刃
13 第二差込刃
14 第三差込刃
15 開口部
16 基板
17 パッド
18 測定開始スイッチ
19 コイルバネ(連動部材)
20 接触電極部材
21 被接触面部
22 側壁部
23 環状鍔部
24 中空部
30 スペーサ
31 スペーサ本体
32 突部
33 突状鍔部
34 貫通孔
40 表示部
41 電圧測定回路
42 制御回路
50 操作者
図1
図2
図3
図4
図5
図6