(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5729669
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】所望の溶接継ぎ目線に関する実際の溶接継ぎ目線の横ずれを監視する方法、構造体及び自動車用シート
(51)【国際特許分類】
B23K 26/02 20140101AFI20150514BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20150514BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20150514BHJP
B62D 65/00 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
B23K26/02 A
B23K26/00 M
B23K26/21 F
B23K26/21 N
B62D65/00 A
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-555783(P2013-555783)
(86)(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公表番号】特表2014-508044(P2014-508044A)
(43)【公表日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】EP2012000795
(87)【国際公開番号】WO2012116795
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2014年6月12日
(31)【優先権主張番号】102011005004.3
(32)【優先日】2011年3月3日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513212866
【氏名又は名称】ブローゼ・ファールツォイグタイレ・ゲーエムベーハー・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト,コーブルク
【氏名又は名称原語表記】BROSE FAHRZEUGTEILE GMBH & CO.KOMMANDITGESELLSCHAFT,COBURG
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151367
【弁理士】
【氏名又は名称】柴 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100184262
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 義則
(72)【発明者】
【氏名】ザイデル,トルシュテン
(72)【発明者】
【氏名】ブラドウスキー,クリストフ
【審査官】
岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−148470(JP,U)
【文献】
特開2001−246486(JP,A)
【文献】
特開昭64−087090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/02
B23K 26/00
B23K 26/21
B62D 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標溶接継ぎ目線(138)と関連させて実際の溶接継ぎ目線(128)の横ずれ(140)を監視する方法であって、以下の工程を有する方法:
a)前記目標溶接継ぎ目線(138)の領域に幾何学的変形部(104,114)を備えた少なくとも一つの第一の部品(100)を提供する工程;
b)溶融池(142)の形成のもとに、溶接継ぎ目(126)を製造するために、前記第一の部品(100)に沿ってレーザー光線(124)をガイドする工程であって、その際、前記実際の溶接継ぎ目線(128)が生じる工程;
c)工程b)と同時に、前記溶融池(142)からのレーザー光の反射光(144)を検出する工程;
d)前記幾何学的変形部(104,114)で検出された前記レーザー光の反射光(144)の変化に基づき、前記目標溶接継ぎ目線(138)と関連させて前記実際の溶接継ぎ目線(128)を決定する工程。
【請求項2】
前記幾何学的変形部(104,114)が、前記第一の部品(100)の角部(116)の領域に提供されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記幾何学的変形部(104,114)が、機械加工により製造されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記幾何学的変形部(104,114)が、フライス加工、押し抜き、旋削、研削、のこ引き、及び切断の中から選択される切削加工により製造されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記幾何学的変形部(104,114)が、前記目標溶接継ぎ目線(138)に沿った1または1を超える数の溝部(300)の形態で構成されることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記角部(116)が前記溝部(300)を有しており、前記溝部(300)が、その厚さ方向において前記第一の部品(100)を貫通していて、前記角部(116)の厚さ(D)が4mmより小さいか4mmに等しく、前記溝部(300)の深さ(t)が少なくとも0.3mmであり、及び/または前記溝部(300)の長さ(l)が2〜10mmであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記角部(116)が前記溝部(300)を有していて、これと共に段状領域(306)を構成しており、前記角部(116)の厚さ(D)が4mmより大きく、及び/または前記溝部(300)の深さ(t)が少なくとも0.3mmであり、前記溝部(300)の幅(b)が少なくとも3mmであり、及び/または前記溝部(300)の長さ(l)が2〜10mmであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の部品(100)が、前記製造された溶接継ぎ目(126)によって、第二の部品(102)と連結され、前記幾何学的変形部(104)が前記第一及び第二の部品(100,102)との間の突き合わせ部(200)の領域に提供されることを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記溶接継ぎ目(126)が、フランジ継ぎ目,T型継ぎ目,隅肉継ぎ目またはI型継ぎ目の形態で製造されることを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記溶接継ぎ目(126)が、
a)隅肉継ぎ目の場合には、前記溝部(300)が0.5〜0.8mmの深さ(t)と2〜10mmの長さ(l)に形成され、
b)フランジ継ぎ目の場合には、前記溝部(300)が0.5〜1mmの深さ(t)と2〜10mmの長さ(l)に形成され、又は
c)I型またはT型継ぎ目の場合には、前記溝部(300)が0.3〜0.6mmの深さ(t)と2〜10mmの長さ(l)に形成されており、
前記溶融池(142)の領域における前記レーザー光線(124)の直径が0.2〜0.6mmであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記レーザー光の反射光(144)が前記レーザー光線(124)の光路内で検出手段(146)により検出され、前記レーザー光の反射光(144)が400〜700nmの波長を有することを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記検出手段(146)がフォトダイオードを備えることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
目標溶接継ぎ目線(138)に関連して前記実際の溶接継ぎ目線(128)の横ずれ(140)が検出された際、作業者に警告を発することを特徴とする、請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
目標溶接継ぎ目線(138)に関連して前記実際の溶接継ぎ目線(128)の横ずれ(140)が検出された際、前記実際の溶接継ぎ目線(128)が修正されることを特徴とする、請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか1項に記載の方法で製造された溶接継ぎ目(126)により連結される少なくとも一つの第一及び第二の部品(100,102)を備え、前記溶接継ぎ目(126)が、その線に沿って少なくとも一つの陥没部を有し、前記陥没部が前記第一及び/または第二の部品(100,102)における目標溶接継ぎ目線(138)に関する実際の溶接継ぎ目線(128)の横ずれ(140)を監視するために、溶接された幾何学的変形部(104,114)に関連づけられる、自動車分野の構造体。
【請求項16】
前記陥没部が複数個配置され、該複数個の陥没部は、前記第一の部品及び/または第二の部品(100,102)において重ねて溶接された幾何学的変形部(104,114)に関連づけられることを特徴とする、請求項15に記載の構造体。
【請求項17】
少なくとも三つの前記陥没部が配置され、それらが互いに同じ間隔であることを特徴とする、請求項15又は16に記載の構造体。
【請求項18】
1以上の前記陥没部が、前記溶接継ぎ目(126)の方向が変化する領域に配置されることを特徴とする、請求項15〜17の何れか1項記載の構造体。
【請求項19】
請求項15〜18の何れか1項に記載の構造体を備えた自動車用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標溶接継ぎ目線に関する実際の溶接継ぎ目線の横ずれを監視する方法、構造体及び自動車用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特に自動車の分野においては、しばしば鋼製の薄板材または板材を溶接により連結することが必要である。その際、典型的には、適宜の溶接継ぎ目が二つの連結すべき薄板材の間の突き合わせ部に形成される。溶接継ぎ目の作製のために、今日では、たびたびレーザー装置が使用される。作製された溶接継ぎ目の品質のために、レーザー装置のレーザー光線が連結すべき薄板材の間の突き合わせ部または間隙に正確に追従する、即ち、実際の溶接継ぎ目線と目標溶接継ぎ目線の間の対応する横ずれが最小に抑制されるということが重要である。
【0003】
横ずれを最小に抑制するために、従来から、種々の解決法が既に用意されている。
【0004】
第一の解決法は、溶接継ぎ目を製造するために、連結すべき薄板を溶接装置内に非常に正確に固定し、レーザー装置を溶接装置に対して常に一様に移動させる、ということを提供する。これは、横ずれの監視のためにいかなる電子回路も必要ではないので、確かにコスト的に有利なアプローチを示している。しかしながら、連結すべき薄板の外形に関する公差、または薄板の溶接装置内での僅かに異なる固定状態から生ずる公差が調整され得ないということが不利である。従って、それぞれの場合に、より大きな横ずれさえ生じ得る。
【0005】
横ずれを最小にするための他の解決法は、例えば文献DE69127121 T2号公報に記載されている。そこに記載された解決法は、二つの薄板の間の突き合わせ部に追従する接触プローブの使用を提供する。しかしながら、このような接触プローブは、しばしば対応する突き合わせ部と接触しなくなり、それにより溶接継ぎ目品質が脅かされる。一般に、このようなシステムは、低い溶接速度及び特別の使用に限定される。さらに、接触プローブは、熱及び消耗に対して敏感であるので、それらの故障をもたらし得る。
【0006】
文献DE69127121 T2号公報は、さらに、部品位置と比較して実際の溶接継ぎ目線を視覚的に検出して調整する視覚的検出システムを記載している。このようなシステムは、不利なことに非常に複雑で、従ってコストがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、一方で、横ずれの十分に正確な検出を可能にし、他方で、比較的コスト的に有利である、特に自動車の分野において、目標溶接継ぎ目線に関する実際の溶接継ぎ目線の横ずれを監視する方法を提供することである。さらに、改良された構造体及び改良されたシートが提供されるべきである。
【0008】
この課題は、請求項1の特徴部分を有する方法により、請求項11の特徴部分を備えた構造体により、そして請求項15の特徴部分を備えた自動車用シートにより、解決される。
【0009】
それによって、特に自動車の分野における、目標溶接継ぎ目線に関する実際の溶接継ぎ目線の横ずれを監視する方法であって、以下の工程:
a)目標溶接継ぎ目線の領域に幾何学的変形部を備えた少なくとも一つの第一の部品を提供する工程;
b)溶融池の形成のもとに、溶接継ぎ目を製造するために、第一の部品に沿ってレーザー光線をガイドする工程であって、その際、実際の溶接継ぎ目線が生じる工程;
c)工程b)と同時に、溶融池からの反射光を検出する工程、
を有する方法が提供される。
【0010】
さらに、レーザー溶接法で製造された溶接継ぎ目により連結される少なくとも一つの第一及び第二の部品を備え、溶接継ぎ目が、その線に沿って少なくとも一つの陥没部を有し、陥没部が第一及び/または第二の部品における目標溶接継ぎ目線に関する実際の溶接継ぎ目線の横ずれを監視するために、溶接された幾何学的変形部に関連づけられる、特に自動車分野における構造体が提供される。
【0011】
さらに、本発明による構造体を備えた自動車用シートが提供される。
【0012】
本発明の基礎となる思想は、目標溶接継ぎ目線に幾何学的変形部が提供されるということにある。この幾何学的変形部をレーザー光線が横切ると、検出される反射光の変化をもたらす。このような変化が検出されると、最も簡単な場合には、警報が作業者に出され得る。あるいは、レーザー光線及び第一の部品と必要に応じて第二の部品が固定される把持装置が、実際の溶接継ぎ目線が再び目標溶接継ぎ目線に追従するように、互いに移動することにより、実際の溶接継ぎ目線が調整される。
【0013】
反射光が検出されることによって、双方の部品の間の突き合わせ部を追跡するための冒頭に述べたような高価な視覚的システムは必要ではない。さらに、例えば冒頭に述べた接触プローブのような接触する手段も必要ではない。さらに、実際の溶接継ぎ目線と目標溶接継ぎ目線との間の横ずれが確実に検出されることができる。
【0014】
他の請求項から、本発明の有利な実施形態が明らかになる。
【0015】
『横ずれ』は、目標溶接継ぎ目線に対して横向きの実際の溶接継ぎ目線のずれを意味している。
【0016】
完全に一般的に、検出された反射光に依存して、溶接工程が中断され、実際の溶接継ぎ目線が調整され、警戒信号が例えば作業者に出され、及び/または溶接された部品が自動的に廃棄処理され得る。
【0017】
原則として、本発明による方法を、ただ一つの部品に対して、例えば第一の部品上に表面溶接継ぎ目が製造されるべき場合に、使用することも可能である。『表面溶接継ぎ目』は、溶接による部品の積層を意味している。
【0018】
本発明による方法の一つの実施形態によれば、幾何学的変形部が、第一の部品の角部の領域に提供される。これは、第一の部品がその角部で第二の部品と突き合わせ部で連結される場合に、まさに有利である。
【0019】
本発明による方法の他の実施形態によれば、幾何学的変形部が、機械加工により、特に切削加工により、さらに好ましくはフライス加工,押し抜き,旋削,研削,のこ引き及び/または切断により、製造される。他の構成によれば、幾何学的変形部は、第一の部品の原型例えば鋳物の場合にも、製造され得る。幾何学的変形部を形成するための前述した方法は、簡単に実行することができる。
【0020】
本発明による方法の他の実施形態によれば、幾何学的変形部が、目標溶接継ぎ目線に沿った1または1を超える数の溝部の形態で構成される。溝部は、例えば、特に第一の部品の角部の領域において貫通する長方形の凹陥部として、または開口部として形成され得る。第一の部品における溝部の深さは、溶融池の領域にて好ましくは0.9mmの前記レーザー光線の最大直径の場合に、好ましくは少なくとも0.3mmである。さらに、レーザー光線の直径は、溶融池の領域において、好ましくは0.2〜0.6mmである。『深さ』は、レーザー光線の移動方向に対して横向きの方向且つレーザー光線に対して実質的に垂直な面内における溝部の長さを意味している。上述で提案された寸法により、レーザー光線が溝部を横切るときに、溶融池からの反射光が十分に影響を受けて、この影響が評価装置により認められ得る、ということが達成される。なぜならば、溝部の深さが0.3mm以下になると、前記反射光の対応する影響が、他の影響に対して、例えば前記実際の溶接継ぎ目線に沿って前記第一の部品の変動する材料状態に基づいて、十分には際立たない、ということになり得る。これに対して、レーザー光線の大きすぎる直径は、レーザー光線が前記幾何学的変形部を横切って、かつ反射光の対応する影響も検出され得る、ということになる。この場合、実際の溶接継ぎ目線と幾何学的変形部そして目標溶接継ぎ目線との間の横ずれは、かなり大きくなり得る。即ち、レーザー光線は、光線方向に見て、少なくともその縁部領域のみが溝部を横切る。
【0021】
本発明による方法の他の実施形態によれば、角部が溝部を備えており、溝部が、その厚さ方向において第一の部品を貫通していて、角部の厚さが好ましくは4mmより小さいか4mmに等しく、溝部の深さが少なくとも0.3mmであり、及び/または長さが2〜10mmである。この手段によっても、反射光の十分な影響が確保される。
【0022】
本発明による方法の他の実施形態によれば、角部が前記溝部を有していて、これと共に段状領域を構成しており、角部の厚さが好ましくは4mmより大きく、及び/または溝部の深さは少なくとも0.3mmであり、溝部の幅が少なくとも3mmであり、及び/または長さが2〜10mmである。『幅』は、ここでは前記レーザー光線の方向における溝部の広がりを意味している。このアプローチは、厚い板に対して特に良好に適しており、反射光の十分な影響が確保される。
【0023】
本発明による方法の他の実施形態によれば、第一の部品が、製造された溶接継ぎ目によって、第二の部品と連結され、幾何学的変形部が第一の部品及び第二の部品との間の突き合わせ部の領域に提供される。従って、好ましくは、本発明による方法によって、少なくとも二つの部品が互いに連結される。
【0024】
本発明による方法の他の実施形態によれば、溶接継ぎ目が、フランジ継ぎ目,T型継ぎ目,隅肉継ぎ目またはI型継ぎ目の形態で製造される。これらの継ぎ目及びその対応する突き合わせ部態様は、前述の方法に対して良好に適している。
【0025】
本発明による方法の他の実施形態によれば、a)隅肉継ぎ目の場合に、0.5〜0.8mmの深さと2〜10mmの長さを有する溝部、b)フランジ継ぎ目の場合に、0.5〜1mmの深さと2〜10mmの長さを有する溝部、またはc)I型またはT型継ぎ目の場合に、0.3から0.6mmの深さと2〜10mmの長さを有する溝部が形成され、溶融池の領域におけるレーザー光線の直径が0.2〜0.6mmである。上述の寸法により、反射光の上述した十分な影響が達成され得る。さらに、10mm以上の溝部のより長い長さによって、現れる横ずれが確実に検出され得る。これに反して、溝部の長さが10mm超であるべきではないことによって、溝部の製造のために過度の加工コスト及び第一の部品の過度の弱体化が回避される。
【0026】
本発明による方法の他の実施形態によれば、反射光がレーザー光線の光路内で検出手段、特にフォトダイオードにより検出され、反射光が400〜700nmの波長を有する。有利には、このような検出装置は、既に通常、市場で利用可能なレーザー装置において、他の溶接パラメータ、例えば溶接温度を検出するために、存在する。有利には、横ずれを監視するために、この既に存在する検出装置が使用される。
【0027】
上述した反射光の影響は、特にスペクトルの変動、好ましくは所定の周波数における前記反射光の強度の変動の形態をとる。
【0028】
本発明による構造体の他の実施形態によれば、陥没部が複数個所に設けられ、これらの陥没部は第一の部品及び/または第二の部品において重ねて溶接された幾何学的変形部に関連づけられる。『陥没部』は、特にその線における溶接継ぎ目の沈下を意味している。
【0029】
本発明による構造体の他の実施形態によれば、少なくとも三つの陥没部が提供され、それらは互いに同じ間隔である。
【0030】
本発明による構造体の他の実施形態によれば、1または1を超える数の陥没部が、溶接継ぎ目の方向変化の範囲に配置される。
本発明は、以下に、図面の各図に示された実施例に基づいて、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一つの実施形態による方法を実施する際の状態を示す斜視図である。
【
図3B-3D】
図3Aによる実施形態に対する種々の変形例を示す図である。
【
図4】移動距離Xの関数としてのフォトダイオードにより生ずる電圧信号Vを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面の各図において、他の符号が与えられていない限りは、同種の部品,要素及び特徴には、同種の符号が付されている。
【0033】
図1は、本発明の一つの実施形態による方法における状態を示している。
【0034】
図1において斜視図で示されているように、第一の部品100は、第二の部品102と、突き合わせ部200(
図2参照)に配置されている。その際、
図2は、
図1のI−I線断面図を示している。
【0035】
前記第一及び第二の部品100,102は、好ましくは金属製、特に鋼製の薄板または板である。
【0036】
前記第一の部品100は、その角部116に沿って幾何学的変形部104,114を備えており、それらは、前記第二の部品102の対向する角部118と共に突き合わせ部200を形成する。各幾何学的変形部104,114は、例えば
図3AのII−II線断面図に示されているように、第一の部品100の上面302から下面304まで完全に貫通する直方体状の凹陥部300として形成されている。凹陥部300は、これが第二の部品102と突き合わせ部200に配置される前に、例えばフライス加工により、第一の部品100に製造される。
【0037】
凹陥部300は、好ましくは2及び10mmの間の長さl(
図1参照)を有している。さらに、凹陥部300は、少なくとも0.3mmの深さtを有している。深さtは、図面においては、より良好に見やすいように大いに誇張して表されている。板厚Dは、貫通する凹陥部300の場合には、好ましくは4mm以下である。
【0038】
図1に戻ると、さらにそこには、レーザー装置120が示されており、このレーザー装置は、例えばロボット122により空間で移動可能であり、このレーザー装置により、第一及び第二の部品100,102をそれらの突き合わせ部200に沿って互いに連結する溶接継ぎ目126(その最初の部分のみが示されている)が形成される。その際、溶接継ぎ目126の線は、実際の溶接継ぎ目線128に一致しており、それは、第一の場合には実質的に目標溶接継ぎ目線138と一致しており、第二の場合には、目標溶接継ぎ目線138に関して明らかな横ずれ140を有している。実際の溶接継ぎ目線128及び目標溶接継ぎ目線138は、第一の場合には一致しているので、単一の一点鎖線により示されている。第二の場合には、実際の溶接継ぎ目線128は、二点鎖線により示されている。
【0039】
レーザー装置120は、例えば、好ましくは2〜4KWの出力を備えたYAGレーザー装置である。レーザー装置120は、(溶接継ぎ目126と同じ陰影により表される)溶融池142の領域で0.2及び0.6mmの間のレーザー光線直径を有するレーザー光線124を発生させる。
【0040】
溶接装置(図示しない)内に第一及び第二の部品100,120が(突き合わせ部200の形成のもとで)固定または設置された後、レーザー光線124が、溶接継ぎ目126を製造するために移動される。同時に、
図1では簡略化して描いているが、レーザー光線124と一致している溶融池142からのレーザー光の反射光144が、従って詳細には図示しないが、レーザー光線124の光路内において、例えばフォトダイオード146のような検出装置で検出される。フォトダイオード146は、検出された反射光144のスペクトルに依存して、
図4で表される電圧信号400を発生する。
図4は、突き合わせ部200に沿ってレーザー光線124が進む移動距離X(
図1も参照)の関数としての電圧信号400を示している。
【0041】
図4から分かるように、電圧信号400は、
図4にて位置X1に関連づけられる第一の凹陥部114の領域で明らかに降下する。これは、レーザー光線124が凹陥部114に進んだときに生ずる反射光144の変動によるものである。同様に、電圧信号400は、
図4にて位置X2に関連づけられる第二の凹陥部104の領域においても降下する。領域X1及びX2において、電圧信号400は、しきい値V1以下に低下し、それは評価装置148(
図1参照)により検出される。例えば、この場合、評価装置148は、それが二度しきい値V1以下を測定した場合に、作業者への警告信号を出さず、及び/または『溶接継ぎ目異常なし』の情報を出すように設定することができる。なぜならば、この場合、実際の溶接継ぎ目線128は、
図1にて一点鎖線で示す目標溶接継ぎ目線138とほぼ一致しているからである。
【0042】
しかしながら、実際の溶接継ぎ目線128が、
図1にて二点鎖線で示すように、互いに大きな横ずれ140を有するように、目標溶接継ぎ目線138を離れると、レーザー光線124は、もはやあるいは十分には第二の凹陥部104に当たらなくなる。これは、例えば図示しない溶接装置のロボット122に関する位置が変化し、第一及び第二の部品100,102が溶接装置内で正確に固定されず、または第一及び第二の部品100,102がそれ自体大きな公差を有することが理由であり得る。
【0043】
レーザー光線124が第二の凹陥部104上に当たらないことにより、位置X2(
図4参照)の領域では、電圧信号400の電圧降下は、点線402で示されるように発生しない。評価装置148は、しきい値V1がただ一度だけ下回ることを確認すると、作業者に警告を出し、及び/または『溶接継ぎ目異常あり』の情報を出す。
【0044】
従って、簡単な方法で、実際の溶接継ぎ目線128と目標溶接継ぎ目線138の間の横ずれ140が最小に保たれることが、監視され得る。
【0045】
他の実施形態によれば、前記評価装置148は、前記ロボット122とも接続され得、ただ一つのしきい値V1のみ下回ったことが確認されたとき、前記レーザー124の位置が対応して修正される。
【0046】
図3Bは、凹陥部300の他の構成を示している。これは、特に板厚D>4mmの場合に適している。この場合、凹陥部300は、第一の部品100の厚さDを部分的にのみ通って延びており、これにより第二の部品102の角部118に達する段部306を形成している。深さtは、
図3Bに示す実施形態におけるように、0.3mmを超える範囲である。凹陥部300が第一の部品100内に延びる幅bは、好ましくは3mmを超える。
【0047】
図3A及び
図3Bは、好ましくは 部品100,102のI型突き合わせ部に由来して、I型の溶接継ぎ目の形成に関連する。
【0048】
図3Cは、共に一つのフランジ突き合わせ部200を形成し且つフランジ継ぎ目により溶接されるべき第一及び第二の部品100,102に対する上述した方法の応用を示している。凹陥部300の深さtは、好ましくは0.5及び0.8mmの間であり、長さl(
図1参照)は、2及び10mmの間である。幅bは、好ましくは3mmより大きい。
【0049】
図3Dは
図3Aのさらなる変形例を示し、第一及び第二の部品100,102がT型突き合わせ部200で互いに配置され、上述した方法によって、隅肉継ぎ目が製造される。凹陥部300は、この場合、好ましくは0.5及び1mmの間の深さtと、2〜10mmの長さl(
図1参照)を有している。幅bは、再び好ましくは3mm超である。第一の部品100の厚さDは、好ましくは4mm超である。
【0050】
好ましくは、第一及び第二の部品100,102は、自動車分野の部品である。例えば、第一の部品100は、アングル部材、特に取付アングル部材として、さらに好ましくは自動車用シートのための取付アングル部材として形成され得る。第二の部品は、レール、特に自動車用シートのためのシートレールとして形成され得る。
【0051】
他の構成によれば、幾何学的変形部104は、穴として形成されてもよい。
【0052】
溶接継ぎ目126は、それぞれ第一の部品100内で上に溶接された凹陥部300に関連づけられる複数の陥没部(図示しない)を有する。
【0053】
本発明を好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明は、それに限定されるものではなく、多様に修正可能である。さらに、本発明による方法に関して上述した構成及び実施形態は、本発明による構造体及び本発明による自動車用シートに応じて応用可能であり、逆も可能である。さらに、上述した『ein』(一つの)という表現は、複数を排除するものではない、ということに留意されるべきである。
【符号の説明】
【0054】
100 第一の部品
102 第二の部品
104 幾何学的変形部
114 幾何学的変形部
116 角部
118 角部
120 レーザー装置
122 ロボット
124 レーザー光線
126 溶接継ぎ目
128 実際の溶接継ぎ目線
138 目標溶接継ぎ目線
140 横ずれ
142
溶融池
144 反射光
146 フォトダイオード
148 評価装置
200 突き合わせ部
300 凹陥部
302 上面
304 下面
306 段部
400 電圧信号
402 電圧信号
b 幅
l 長さ
t 深さ
D 厚さ
V1 しきい値
X1
位置
X2
位置