(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明の実施形態の概略を説明する。本発明の実施形態では、ダイヤルボタン押下によるダイヤル入力を検出するためのボタン検出部や、DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)ダイヤラー等の音によるダイヤル入力を検出するためのDTMF信号検出部を設け、ダイヤル入力の検出を行う。また、電話番号の総桁数は最初の数桁で判断することが可能であるため、検出したダイヤル入力情報をもとに電話番号の総桁数を判断し、ダイヤル入力終了までの間は、ダイヤル中のマイクからの入力音声を表す送話信号をミュートすると共に、音響エコーキャンセラーと回線エコーキャンセラーを停止状態のままとする。これにより、ダイヤル時や通話開始時のエコーやこれに伴うハウリングを抑制することができる。一方で、DTMF信号はダイヤル検出情報をもとに、DTMF信号生成部により生成し、送話ミュート部より回線側に入力することで、DTMF信号のみを回線に送信することができる。
【0021】
以上が本発明の実施形態の概略である。
【0022】
次に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図2には、本発明の第1の実施形態であるハンズフリー電話機100及びハンズフリー電話機100が接続される回線116が図示されている。
【0024】
図2を参照すると、ハンズフリー電話機100は、ダイヤルボタン101と、ボタン検出部102と、マイク103と、スピーカ104と、AEC106と、制御部108と、記憶部109と、カウント部110と、ミュートスイッチ111と、DTMF信号生成部112と、LEC113と、回線インタフェース部114と、を含んでいる。また、
図2では送信信号105、受信信号115、音響エコー117及び回線エコー118を図示する。
【0025】
これら各部はそれぞれ以下のように機能する。
【0026】
ダイヤルボタン101は、電話番号等を入力するためのボタンであり、ユーザからの電話番号等の入力を受け付ける。ダイヤルボタン101は物理的なキーそれぞれに番号を割り当てることにより実現しても良いが、例えばタッチパネル上に表示されるソフトキーとして実現しても良い。
【0027】
ボタン検出部102は、ダイヤルボタン101が押下されたことを検出し、また、押下されたボタンに割り当てられている番号がどの番号であるのかを認識する。認識された番号は制御部108に出力される。
【0028】
マイク103は、使用者の音声を入力して、この入力した音声を電気信号に変換する。変換後の電気信号は送信信号105としてミュートスイッチ111に出力される。なお、送信信号105は、ミュートスイッチ111に出力される経路の途中において、AEC106からのキャンセル信号が加算部119にて加算されることによりエコー除去される。
【0029】
スピーカ104は、受信信号115として回線116経由で受信した通話相手の音声を電気信号から音声へと変換する。そしてスピーカ104は、変換後の音声を出力する。なお、回線116経由で受信した受信信号115は、スピーカ104に出力される経路の途中において、LEC113からのキャンセル信号が加算部120にて加算されることによりエコー除去される。
【0030】
AEC106は、アコースティックエコーキャンセラーである。AEC106は、音響エコー117を推定し、この推定した値と逆位相のキャンセル信号を生成する。加算部119は、キャンセル信号と送信信号105を干渉させることによって音響エコー117を送信信号105から除去する。
【0031】
制御部108は、AEC106と記憶部109とカウント部110とミュートスイッチ111とLEC113を制御する。なお、制御部108がハンズフリー電話機100全体の制御を更に行うようにしても良い。
【0032】
記憶部109は、電話番号の総桁数情報を記憶しておく記憶部である。ここで、電話番号の総桁数情報について説明する。
【0033】
電話番号は、最初の1桁又は数桁の数字がどの数字であるのかに対応して、総桁数が定められている。日本国を例に取ると“1”から始まる電話番号の総桁数は3桁、“080”または“090”で始まる電話番号の総桁数は11桁、等定められている。そして本実施形態では記憶部109が、この最初の1桁又は数桁の数字がどの数字である場合に総桁数が何桁となるのかという対応関係を記憶しているものとする。
【0034】
すなわち、制御部108は、ボタン検出部102から出力される最初の1桁又は数桁の数字がどの数字であるかという情報と、記憶部109に記憶されている情報とを照らし合わせることにより、ユーザが電話番号を入力している途中であっても今回ユーザが発呼しようとしている電話番号の総桁数を判断することができる。
【0035】
カウント部110は、ボタン検出部102で電話番号の入力が検出される度に制御部108を介してカウント値を一つ増加させる。これにより、制御部108は、カウント部110のカウント値を参照することによって現在電話番号の何桁目が入力された状態なのかを判断可能となる。
【0036】
ミュートスイッチ111は、制御部108の制御に従って送信信号105をミュートする。ミュートスイッチ111の出力信号は、ミュートをしていない時には、ミュートスイッチ111の入力信号と等しいが、ミュートをしている時には、ミュート状態としてゼロを表すものである。ミュートスイッチ111がアナログ信号を扱うものであれば、ミュートをしていない状態とは、入力端子と出力端子とが接続されている状態であり、ミュートをしている状態とは、入力端子と出力端子とが切断されている状態である。ミュートスイッチ111がデジタル信号を扱うものであれば、ミュートをしていない状態とは、出力データが入力データと等しい状態であり、ミュートをしている状態とは、出力データがゼロを表している状態である。なお、以下の説明においては、適宜、ミュートをしている状態のことを「ミュート状態」と呼び、ミュートをしていない状態のことを「非ミュート状態」と呼ぶこととする。
【0037】
DTMF信号生成部112は、制御部108の制御に従って、ボタン検出部102で検出された電話番号に対応するDTMF信号を生成する。そして、生成されたDTMF信号は回線インタフェース部114を介して回線116に出力される。ここで、DTMF信号生成部112が生成したDTMF信号は本願発明の「発呼用の信号」に相当する。
【0038】
加算部121は、ミュートスイッチ111の出力する信号とDTMF信号生成部112の出力する信号とを加算する。そして、加算部121は加算された信号を回線インタフェース部114を介して回線116に出力する。
【0039】
ここで前述したようにミュートスイッチ111がミュート状態の場合にはミュートスイッチ111の出力はゼロを表している。そのため、ミュートスイッチ111がミュート状態であって、且つDTMF信号生成部112がDTMF信号を出力している場合には加算部121の出力はDTMF信号生成部112により生成されたDTMF信号のみとなる。一方で、ミュートスイッチ111が非ミュート状態の場合にはマイク103から出力された送信信号105がそのまま加算部121の出力となる。なお、本実施形態の動作の説明の際に後述するが、本実施形態ではミュートスイッチ111が非ミュート状態の場合にDTMF信号生成部112がDTMF信号を出力することは想定していない。
【0040】
LEC113は、ラインエコーキャンセラーである。LEC113は、回線エコー118を推定し、この推定した値と逆位相のキャンセル信号を生成する。加算部120は、キャンセル信号と回線エコー118を干渉させることによって回線エコー118を受信信号115から除去する。
【0041】
回線インタフェース部114は、ハンズフリー電話機100と回線116を接続する為のインタフェースである。回線インタフェース部114を介して送信信号105は回線に出力され、同様に回線インタフェース部114を介して受信信号115は受信される。
【0042】
回線116は、任意の電話網であり、伝送路の終端部や変換部のインピーダンスの不整合などによって発生する信号の反射波である回線エコー118を発生させる。
【0043】
また、スピーカ104から出力された音声をマイク103が集音してしまうことにより音響エコー117が発生する。また、音響エコー117が増大するとハウリングが発生してしまう。
【0044】
上述した各機能ブロックは、ハードウェアにより実現することができる。例えば制御用のIC(Integrated Circuit)により制御部108やカウント部110等を実現し、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)によりAEC106やLEC113を実現しても良い。また、ソフトウェアとハードウェアが協働することにより各機能ブロックを実現するようにしても良い。
【0045】
なお、
図2に表されているのは本実施形態の要旨に直接関係する機能ブロックのみであり、電源や表示部等の電話機としての他の要素については図示を省略している。また、
図2に表されているのは本実施形態の一構成例を図示したものに過ぎず、他の構成要素の追加を禁止したり、他の構成要素への置き換えを禁止したりする趣旨のものではない。
【0046】
次に、
図3−1のフローチャート及び
図3−2のフローチャートを参照して本実施形態の基本的動作について説明する。
【0047】
まず、ハンズフリー電話機100が起動すると制御部108は、AEC106とLEC113の動作を停止し(ステップS11及びステップS13)、それぞれのエコー推定値を初期値に設定する(ステップS12及びステップS14)。なお、
図3−1のフローチャートにおいてはAEC106に対する処理を行ってからLEC113に対する処理を行っているが、これは一例であり、LEC113に対する処理を行ってからAEC106に対する処理を行っても良いし、AEC106に対する処理とLEC113に対する処理とを並行して行っても良い。
【0048】
次に制御部108は、カウント部110のカウンターをクリアする(ステップS15)と共にミュートスイッチ111を送話ミュート状態とする(ステップS16)。なお、ステップS15とステップS16の処理に関してもステップS11〜ステップS14と同様に何れの処理が先であっても構わない。すなわち、ステップS16を行ってからステップS15を行っても良いし、並行して行っても良い。
【0049】
その後、ハンズフリー電話機100がオフフックされるまで待機する(ステップS17においてNo)。そして、ハンズフリー電話機100がオフフックされると(ステップS17においてYes)、ハンズフリー電話機100は回線116と接続され、電話番号入力待ち状態となる(ステップS18においてNo)。
【0050】
この時点では、ミュートスイッチ111により送話がミュートされているため、ダイヤルボタン101を押下する手によって音響エコー117が増加したとしてハウリングが発生することはない。また、AEC106の動作が停止しているため、音響エコー117が増加した状態のエコー推定は行わない。これにより、手による反射により音響エコーが増加してしまうという特殊な状況に応じた推定値の修正は行われない。そのため、特殊な状況に応じた推定値のまま通話が開始してしまうという事態を防止することが可能となる。
【0051】
ダイヤルボタン101押下により電話番号が入力されると(ステップS18においてYes)、ボタン検出部102がこの入力を検出し、検出した電話番号情報を制御部108に送信する(ステップS20)。
【0052】
制御部108は、ボタン検出部102から出力された電話番号情報をDTMF信号生成部112に送信する。更に、DTMF信号生成部112は、制御部108から出力された電話番号情報に基づいてDTMF信号を生成し、回線インタフェース部114を介し回線116に送信する(ステップS21)。これにより、ハウリングを発生させずに電話番号情報を回線116に送信することができる。
【0053】
また、制御部108はカウント部110の電話番号桁数カウント値を1つカウントアップする。
【0054】
次に制御部108は、入力された電話番号情報と電話番号桁数カウント値と記憶部109に格納されている電話番号の総桁数情報とを比較し、電話番号入力が完了したか判断する(ステップS23)。上述したように制御部108は、最初の数桁で総桁数を判断することができる。そして、未だ電話番号入力が完了していない場合や、最初の数桁にまで達していないので総桁数を判断することができない場合には、再び電話番号の入力待ち状態となる(ステップS23においてNo)。
【0055】
一方、電話番号入力が最後の桁まで完了した場合(ステップS23においてYes)、制御部108はミュートスイッチ111を非ミュート状態に設定し(ステップS24)、マイク103からの送信信号を回線116に接続すると共に、AEC106とLEC113を動作させ通話可能な状態とする(ステップS25及びステップS26)。なお、ステップS25及びS26に関してもその処理順序に制限は無く、任意の順序にて実行することができる。
【0056】
その後、通話相手が回線を捕捉することにより通話が開始される(ステップS27)。
【0057】
本実施形態では、ステップS23における判断を行うことにより、電話番号の最後の桁までの入力が終了したならば、すぐに、ステップS24〜S26を行うので、ステップS27に進むまでの期間をできるだけ延ばすことができる。従って、この期間に、AEC106とLEC113は、調整されることができる。つまり、通話が始まるまでにAEC106とLEC113は、少なくとも所定のレベルまで調整されることができる。
【0058】
通話継続中はAEC106とLEC113はエコー推定を行いつつエコーの消去を行う(ステップS28においてNo)。
【0059】
ハンズフリー電話機100がオンフックされると(ステップS28においてYes)、回線116とハンズフリー電話機100は切断され通話が終了すると同時に、制御部108は、AEC106とLEC113の動作を停止し(ステップS29及びステップS30)、LEC113のみエコー推定値を初期値に設定する(ステップS31)。ここで、LEC113のみのエコー推定値を初期値に設定し直す理由であるが、回線エコー118は、通話相手により左右される利用する回線毎に、その回線の特性により、大きく異なるため、今回利用した回線での推定値をそのまま流用するよりも、予め設定しておいた初期値を利用する方が適切な結果となる場合が多いためである。
【0060】
一方で、音響エコー117は電話機の設置環境を変えない限り大きく変化しない。そのため、AEC106のエコー推定値を初期値に再設定するのではなく、今回推定した値を保存しておく。これにより、次回通話開始時の大きなエコーやハウリングを抑制することができる。つまり、今回ステップS29を行う時に、AEC106に係るエコー推定値を記憶部109に保存し、次回ステップS25を行う時に、記憶部109に保存されているAEC106に係るエコー推定値を読み出して、これをエコー推定値の初期値として利用する。
【0061】
このように、本実施形態ではダイヤルボタン101を押下する手によって音響エコー117が増加しても、ダイヤル時はAEC106の動作を停止しエコー推定を行わない。そのため、ダイヤルボタン101を押下する手によって音響エコー117が増加するという特殊な状況に応じたエコー推定値に修正されてしまうことはなく、通話終了時のエコー推定値を再度利用できる結果として、通話開始時にはダイヤル時の音響エコー117増加の影響もなくすことができる。
【0062】
以上説明した本実施形態は以下に示すような有利な効果を奏する。
【0063】
第1の効果は、ダイヤル入力時に生じ得るハウリングやエコーを抑制できることである。
【0064】
その理由は、ダイヤル入力が行われている間はマイクから入力された音声をミュートスイッチによりミュートするからである。
【0065】
第2の効果は、ダイヤル入力が終了したことを自動で検知し、ダイヤル入力終了後速やかにミュートスイッチを非ミュート状態にできることである。
【0066】
その理由は、入力されたダイヤルの最初の数桁に基づいてユーザがダイヤルしようとしている電話番号の総桁数を把握できるためである。更に、ダイヤル入力の度にカウントを行い、総桁数に達したか否かを監視するためである。
【0067】
第3の効果は、通話開始時の大きなエコーやハウリングを抑制できることである。
【0068】
その理由は、ダイヤル入力時にはエコーキャンセラーを停止することにより、手による反射により音響エコーが増加してしまう等の特殊な状況に応じて推定値を誤って修正させることをさせないためである。つまり、手が近い状態では大きなエコー値が推定され、これに対応したキャンセル信号は大きくなるが、他方で、手が離れた状態では、エコー推定値がそれよりも小さくなるところ、手が近い状態に対応した大きなキャンセル信号をそこに適用すると過剰キャンセルとなってしまうが、本実施形態によれば、それを回避することができる。すなわち、通話状態に最適化された推定値が特殊な状況に応じた推定値に変更されてしまうようなことが無いからである。
【0069】
続いて、
図4のブロック図と、
図5のフローチャートを参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
【0070】
図4を参照すると第2の実施形態であるハンズフリー電話機200は第1の実施形態であるハンズフリー電話機100と比較してDTMF信号検出部207が追加されている点において相違する。その他の各部に関してはハンズフリー電話機200とハンズフリー電話機100は同一である。
【0071】
なお、ハンズフリー電話機200においては、ダイヤルボタン201及びボタン検出部202を省略することも可能である。よって、この旨を明確とするため、
図4においてはダイヤルボタン201及びボタン検出部202並びにこれらとの接続を表す線を全て破線で表す。
【0072】
ハンズフリー電話機200は、DTMF信号を音響的に外部から受け付け、この受け付けたDTMF信号に基づいて発呼を行う。DTMF信号は、トーンダイヤラー等と呼ばれる外部装置にて生成されマイク203より入力される。
【0073】
なお、DTMF信号を受け付けるのではなく、ユーザによる音声をマイク203にて受け付け、ハンズフリー電話機200内部にてDTMF信号を生成するようにしても良い。すなわちユーザより電話帳内に登録されている通話相手の名称を音声として受け付けたり、ユーザから番号を音声として受け付けたりし、この音声を音声認識し、認識結果に基づいてDTMF信号に変換するような機能をハンズフリー電話機200が含んでいても良い。この場合にはマイク203の後段であって且つDTMF信号検出部207の前段にこのような音声をDTMF信号に変換する機能ブロックを設けることとなる。
【0074】
DTMF信号検出部207は、送信信号205からDTMF信号を検出する部分である。そして、DTMF信号検出部207は、DTMF信号を検出する都度、その内容を制御部208に通知する。
【0075】
この点、第1の実施形態においてはボタン検出部102がボタン押下に応じた電話番号を検出し、検出した電話番号を制御部108に通知していた。そして、この通知により制御部108は入力された電話番号を把握していた。
【0076】
一方で、第2の実施形態においてはDTMF信号検出部207が検出したDTMF信号が制御部208に通知され、制御部208はこのDTMF信号を電話番号に変換することにより入力された電話番号を把握することとなる。なお、機能の分担を変え、DTMF信号検出部207がDTMF信号を電話番号に変換し、変換後の電話番号を制御部208に通知するようにしても良い。
【0077】
そして、いずれの実施形態であっても、DTMF信号生成部212(又はDTMF信号生成部112)が制御部208(又は制御部108)から出力された電話番号情報に基づいてDTMF信号を生成し、回線インタフェース部214(又は回線インタフェース部114)を介し回線116に送信する。
【0078】
続いて
図5−1のフローチャートを参照して本実施形態の基本的動作について説明する。
【0079】
ステップS11乃至ステップS17に関しては、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0080】
ここで、ステップS17においてYesであった場合、第1の実施形態と同様にハンズフリー電話機200は回線116と接続され、電話番号入力待ち状態となる。
【0081】
そして、ダイヤルボタン201押下により電話番号が入力されると(ステップS18においてYes)、ステップS20に処理を進める点についても第1の実施形態と同様である。一方で、ダイヤルボタン201押下による電話番号の入力が無い場合(ステップS18においてNo)であっても、DTMF信号検出部207が、送信信号205からDTMF信号を検出した場合にはステップS20に進む。そして、この場合にはステップS20乃至ステップS23においてDTMF信号検出部207が検出したDTMF信号を電話番号情報として処理を行う。これにより、DTMF信号を音響的に外部から受け付ける場合であっても第1の実施形態と同様の処理が実現できる。
【0082】
なお、その後は
図3−2に表されるステップS24乃至ステップS31と同様の処理を行う。処理の内容自体は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。この点、当然のことながら
図5−1のステップS23終了後
図3−2に表されるステップS24乃至ステップS31を行い、その後の
図3−2における「丸付き数字の1」は
図5−1の「丸付き数字の1」に続くことになる。
【0083】
また、本第2の実施形態ではステップS18は省略することも可能であるため、
図5−1では破線にて表す。
【0084】
また、上述したように第2の実施形態においては、DTMF信号を受け付けるのではなく、ユーザによる音声をマイク203にて受け付け、ハンズフリー電話機200内部にてDTMF信号を生成するように変形することも可能である。
【0085】
このように変形する場合には、ユーザが音声(例えば、電話帳内に登録されている通話相手の名称や、電話番号そのもの)を喋り始めたことを検出した段階でステップS19にてYesと判断する。
【0086】
ここで、ユーザが電話番号そのものを音声入力する場合をまず考える。この場合には電話番号を1つの番号分認識する度にステップS20〜ステップS22の処理が行なわれ、ステップS23においてYesとなるまでステップS18〜ステップS23が繰り返される。
【0087】
一方で、ユーザが、電話帳内に登録されている通話相手の名称等を音声入力する場合をまず考える。この場合には通話相手が特定されるまでは、電話番号の総桁数は分からないが、通話相手が特定された段階で総桁数及び電話番号そのものが分かることとなる。
【0088】
そのため、通話相手が特定されるまでステップS20の処理を継続し、通話相手が特定された段階で電話番号全ての桁分のDTMF信号を生成及び送信する。その後、ステップS24から処理を継続することにより、全ての処理を実現できる。
【0089】
以上説明した本実施形態は、DTMF信号を音響的に外部から受け付ける場合であっても第1の実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。
【0090】
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0091】
なお、上記のハンズフリー電話機は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記のハンズフリー電話機により行なわれるエコー発生防止方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0092】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0093】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0094】
(付記1) 集音部と音声出力部を備える電話装置でのエコー発生を防止するエコー発生防止装置であって、
前記集音部にて集音された音であって、前記音声出力部から出力された音を少なくとも含む音を表す信号が前記電話装置に接続された電話用回線に送信されないようにミュートするミュート手段と、
前記集音部と前記音声出力部との間に、電話番号入力のためにこれらの部分に近接したユーザの人体により音響的な短絡伝送路が形成されている期間を少なくとも含む所定の期間に、前記ミュートを行うように前記ミュート手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするエコー発生防止装置。
【0095】
(付記2) 付記1に記載のエコー発生防止装置であって、
前記制御手段は、前記電話番号の入力が開始されたならば、入力される前記電話番号の最初の所定数の桁を基に、前記電話番号の全桁を予測し、前記全桁の入力が終了した時に前記所定の期間を終了することを特徴とするエコー発生防止装置。
【0096】
(付記3) 付記2に記載のエコー発生防止装置であって、
前記電話番号の入力は、ダイヤルボタンに対する前記ユーザの操作により行われ、
前記ダイヤルボタンに対する前記ユーザの操作により入力された前記電話番号を検出する手段を更に備えることを特徴とするエコー発生防止装置。
【0097】
(付記4) 付記2に記載のエコー発生防止装置であって、
前記電話番号の入力は、前記集音部に対するDTMFトーンの入力により行われ、
前記集音部に対する前記DTMFトーンの入力により入力された前記電話番号を検出する手段を更に備えることを特徴とするエコー発生防止装置。
【0098】
(付記5) 付記1に記載のエコー発生防止装置であって、
前記制御手段は、前記ユーザが呼出先を特定する為の音声を前記集音部に対して喋り始めたことを検出したのならば前記所定の期間を開始し、前記ユーザが呼出先を特定する為の音声を前記集音部に対して喋り終えたことを検出したのならば前記所定の期間を終了することを特徴とするエコー発生防止装置。
【0099】
(付記6) 付記1乃至5の何れか1に記載のエコー発生防止装置であって、
前記制御手段は、前記電話装置がハンズフリー状態に切り替わった時又は前記電話装置がオンフック状態となった時に前記所定の期間を開始することを特徴とするエコー発生防止装置。
【0100】
(付記7) 付記1乃至6の何れか1に記載のエコー発生防止装置であって、
前記ユーザから入力された電話番号に対応する発呼用の信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段により生成された発呼用の信号と、前記ミュート手段の出力信号とを加算する加算手段と、
を更に備え、
前記所定の期間では、前記ミュート手段から前記加算手段に与えられる信号はミュート状態の信号であり、前記加算手段は、前記集音部からの信号を含まず前記発呼用の信号を含む信号を前記電話用回線に出力することを特徴とするエコー発生防止装置。
【0101】
(付記8) 付記1乃至7の何れか1に記載のエコー発生防止装置であって、
前記音声出力部から出力された音を前記集音部が集音することにより生じるエコーを除去するためのエコーキャンセル手段と、
前記所定の期間に前記エコーキャンセル手段によるエコー除去の機能を停止させ、前記所定の期間が終了した時に前記エコーキャンセル手段によるエコー除去の機能を再開させる手段と、
を更に備えることを特徴とするエコー発生防止装置。
【0102】
(付記9) 付記8に記載のエコー発生防止装置であって、
前記エコーキャンセル手段は、少なくともアコースティックエコーキャンセラーを含み、
前記制御手段は、前記アコースティックエコーキャンセラーの機能を停止させる時に、該アコースティックエコーキャンセラーが推定しているエコー推定値を、次回に前記アコースティックエコーキャンセラーの機能を再開させる時にエコー推定値の初期値として利用させることを特徴とするエコー発生防止装置。
【0103】
(付記10) 集音部及び音声出力部を備える電話装置であって、エコーの発生を防止する為のエコー発生防止装置として、
集音部と音声出力部を備える電話装置でのエコー発生を防止するエコー発生防止装置であって、
前記集音部にて集音された音であって、前記音声出力部から出力された音を少なくとも含む音を表す信号が前記電話装置に接続された電話用回線に送信されないようにミュートするミュート手段と、
前記集音部と前記音声出力部との間に、電話番号入力のためにこれらの部分に近接したユーザの人体により音響的な短絡伝送路が形成されている期間を少なくとも含む所定の期間に、前記ミュートを行うように前記ミュート手段を制御する制御手段と、
を備えるエコー発生防止装置を更に備えることを特徴とする電話装置。
【0104】
(付記11) 付記10に記載の電話装置であって、
前記制御手段は、前記電話番号の入力が開始されたならば、入力される前記電話番号の最初の所定数の桁を基に、前記電話番号の全桁を予測し、前記全桁の入力が終了した時に前記所定の期間を終了することを特徴とする電話装置。
【0105】
(付記12) 付記11に記載の電話装置であって、
前記電話番号の入力は、ダイヤルボタンに対する前記ユーザの操作により行われ、
前記ダイヤルボタンに対する前記ユーザの操作により入力された前記電話番号を検出する手段を更に備えることを特徴とする電話装置。
【0106】
(付記13) 付記11に記載の電話装置であって、
前記電話番号の入力は、前記集音部に対するDTMFトーンの入力により行われ、
前記集音部に対する前記DTMFトーンの入力により入力された前記電話番号を検出する手段を前記エコー発生防止装置が更に備えることを特徴とする電話装置。
【0107】
(付記14)
付記10に記載の電話装置であって、
前記制御手段は、前記ユーザが呼出先を特定する為の音声を前記集音部に対して喋り始めたことを検出したのならば前記所定の期間を開始し、前記ユーザが呼出先を特定する為の音声を前記集音部に対して喋り終えたことを検出したのならば前記所定の期間を終了することを特徴とする電話装置。
【0108】
(付記15) 付記10乃至14の何れか1に記載の電話装置であって、
前記制御手段は、前記電話装置がハンズフリー状態に切り替わった時又は前記電話装置がオンフック状態となった時に前記所定の期間を開始することを特徴とする電話装置。
【0109】
(付記16) 付記10乃至14の何れか1に記載の電話装置であって、
前記ユーザから入力された電話番号に対応する発呼用の信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段により生成された発呼用の信号と、前記ミュート手段の出力信号とを加算する加算手段と、
を前記エコー発生防止装置が更に備え、
前記所定の期間では、前記ミュート手段から前記加算手段に与えられる信号はミュート状態の信号であり、前記加算手段は、前記集音部からの信号を含まず前記発呼用の信号を含む信号を前記電話用回線に出力することを特徴とする電話装置。
【0110】
(付記17) 付記10乃至16の何れか1に記載の電話装置であって、
前記音声出力部から出力された音を前記集音部が集音することにより生じるエコーを除去するためのエコーキャンセル手段と、
前記所定の期間に前記エコーキャンセル手段によるエコー除去の機能を停止させ、前記所定の期間が終了した時に前記エコーキャンセル手段によるエコー除去の機能を再開させる手段と、
を前記エコー発生防止装置が更に備えることを特徴とする電話装置。
【0111】
(付記18) 付記17に記載の電話装置であって、
前記エコーキャンセル手段は、少なくともアコースティックエコーキャンセラーを含み、
前記制御手段は、前記アコースティックエコーキャンセラーの機能を停止させる時に、該アコースティックエコーキャンセラーが推定しているエコー推定値を、次回に前記アコースティックエコーキャンセラーの機能を再開させる時にエコー推定値の初期値として利用させることを特徴とする電話装置。
【0112】
(付記19) 集音部と音声出力部を備える電話装置でのエコー発生を防止するエコー発生防止方法であって、
前記集音部にて集音された音であって、前記音声出力部から出力された音を少なくとも含む音を表す信号が前記電話装置に接続された電話用回線に送信されないようにミュートするミュートステップを有し、
前記集音部と前記音声出力部との間に、電話番号入力のためにこれらの部分に近接したユーザの人体により音響的な短絡伝送路が形成されている期間を少なくとも含む所定の期間に、前記ミュートを行うことを特徴とするエコー発生防止方法。
【0113】
(付記20) 付記19に記載のエコー発生防止方法であって、
前記電話番号の入力が開始されたならば、入力される前記電話番号の最初の所定数の桁を基に、前記電話番号の全桁を予測し、前記全桁の入力が終了した時に前記所定の期間を終了することを特徴とするエコー発生防止方法。
【0114】
(付記21) 付記20に記載のエコー発生防止方法であって、
前記電話番号の入力は、ダイヤルボタンに対する前記ユーザの操作により行われ、
前記ダイヤルボタンに対する前記ユーザの操作により入力された前記電話番号を検出する手段を更に備えることを特徴とするエコー発生防止方法。
【0115】
(付記22) 付記20に記載のエコー発生防止方法であって、
前記電話番号の入力は、前記集音部に対するDTMFトーンの入力により行われ、
前記集音部に対する前記DTMFトーンの入力により入力された前記電話番号を検出する手段を更に備えることを特徴とするエコー発生防止方法。
【0116】
(付記23)
付記19に記載のエコー発生防止方法であって、
前記ユーザが呼出先を特定する為の音声を前記集音部に対して喋り始めたことを検出したのならば前記所定の期間を開始し、前記ユーザが呼出先を特定する為の音声を前記集音部に対して喋り終えたことを検出したのならば前記所定の期間を終了することを特徴とするエコー発生防止方法。
【0117】
(付記24) 付記19乃至23の何れか1に記載のエコー発生防止方法であって、
前記電話方法がハンズフリー状態に切り替わった時又は前記電話方法がオンフック状態となった時に前記所定の期間を開始することを特徴とするエコー発生防止方法。
【0118】
(付記25) 付記19乃至24の何れか1に記載のエコー発生防止方法であって、
前記ユーザから入力された電話番号に対応する発呼用の信号を生成する信号生成ステップと、
前記信号生成手段により生成された発呼用の信号と、前記ミュート手段の出力信号とを加算する加算ステップと、
を更に備え、
前記所定の期間では、前記ミュート手段から前記加算手段に与えられる信号はミュート状態の信号であり、前記加算手段は、前記集音部からの信号を含まず前記発呼用の信号を含む信号を前記電話用回線に出力することを特徴とするエコー発生防止方法。
【0119】
(付記26) 付記19乃至25の何れか1に記載のエコー発生防止方法であって、
前記音声出力部から出力された音を前記集音部が集音することにより生じるエコーを除去するためのエコーキャンセルステップと、
を更に備え、
前記所定の期間に前記エコーキャンセルステップによるエコー除去の機能を停止し、前記所定の期間が終了した時に前記エコーキャンセル手段によるエコー除去の機能を再開する、
ことを特徴とするエコー発生防止方法。
【0120】
(付記27) 付記26に記載のエコー発生防止方法であって、
前記電話機は、少なくともアコースティックエコーキャンセラーを含み、
前記アコースティックエコーキャンセラーの機能を停止させる時に、該アコースティックエコーキャンセラーが推定しているエコー推定値を、次回に前記アコースティックエコーキャンセラーの機能を再開させる時にエコー推定値の初期値として利用させることを特徴とするエコー発生防止方法。