特許第5729840号(P5729840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5729840力率補正装置、電源装置及びモーター駆動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5729840
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】力率補正装置、電源装置及びモーター駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20150514BHJP
   H02M 7/5387 20070101ALI20150514BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20150514BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   H02M7/12 Q
   H02M7/5387 Z
   H02M3/155 Q
   H02P7/63 Z
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-36066(P2013-36066)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-113020(P2014-113020A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2013年2月27日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0140171
(32)【優先日】2012年12月5日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、イン ファ
(72)【発明者】
【氏名】スー、ブン ソク
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミン ギュ
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−164149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 3/155
H02M 7/5387
H02P 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電源をスイッチングして前記入力電源の電流と電圧の位相差を調整する第1スイッチと、
前記第1スイッチがスイッチングオンする前にスイッチングオンして前記第1スイッチの余剰電源の伝達経路を形成する第2スイッチと、
前記第1スイッチのスイッチングによりエネルギーを蓄積又は放出する第1インダクタと、
前記第2スイッチのスイッチングにより前記第2スイッチに流れる電流量を調節する第2インダクタと、を含み、
前記第1インダクタと前記第2インダクタは差動モードで誘導結合し、
前記第2スイッチがスイッチングオフする時点で、前記第2インダクタに貯蔵されているエネルギーが前記第1インダクタに伝達される
力率補正装置。
【請求項2】
前記第1インダクタ及び前記第2インダクタが共有する磁性体コアをさらに含む、請求項に記載の力率補正装置。
【請求項3】
前記磁性体コアは、鉄心コア及びフェライトコアのうち少なくとも一つを含む、請求項に記載の力率補正装置。
【請求項4】
前記第1スイッチのスイッチングにより前記第1インダクタから放出される電源の伝達経路を提供するダイオードと、
前記ダイオードから伝達される電源を安定化させるキャパシタと、をさらに含む、請求項1からの何れか1項に記載の力率補正装置。
【請求項5】
前記入力電源は整流された電源である、請求項1からの何れか1項に記載の力率補正装置。
【請求項6】
前記第2スイッチは、前記第1スイッチがスイッチングオンする前にスイッチングオンし、スイッチングオフする、請求項1からの何れか1項に記載の力率補正装置。
【請求項7】
前記第2スイッチは、前記第1スイッチがスイッチングオンする前にスイッチングオンし、前記第1スイッチがスイッチングオンした後にスイッチングオフする、請求項1からの何れか1項に記載の力率補正装置。
【請求項8】
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの制御信号を出力する制御部をさらに含む、請求項1からの何れか1項に記載の力率補正装置。
【請求項9】
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチは、トランジスター、IGBT(Insulated gate bipolar transistor)及びMOS‐FET(Metal oxide Semiconductor Field‐Effect Transistor)のうち少なくとも一つを含む、請求項1からの何れか1項に記載の力率補正装置。
【請求項10】
入力電源をスイッチングして前記入力電源の電流と電圧の位相差を調整する第1スイッチと、
前記第1スイッチがスイッチングオンする前にスイッチングオンして前記第1スイッチの余剰電源の伝達経路を形成する第2スイッチと、
前記入力電源を供給する入力電源端と前記第1スイッチとの間に連結された第1インダクタと、
前記第1スイッチと前記第1インダクタの連結端と、前記第2スイッチとの間に連結された第2インダクタと、を含み、
前記第1インダクタと前記第2インダクタは差動モードで誘導結合し、
前記第2スイッチがスイッチングオフする時点で、前記第2インダクタに貯蔵されているエネルギーが前記第1インダクタに伝達される
力率補正装置。
【請求項11】
第1スイッチのスイッチングによりエネルギーを蓄積又は放出する第1インダクタと、第2スイッチのスイッチングにより前記第2スイッチに流れる電流量を調節し、前記第1インダクタと差動モードで誘導結合した第2インダクタと、を備えた力率補正回路と、
前記力率補正回路からの電源をスイッチングして予め設定された電源に変換する電源変換部と、
前記電源変換部の電源スイッチングを制御するスイッチング制御部と、を含み、
前記第2スイッチがスイッチングオフする時点で、前記第2インダクタに貯蔵されているエネルギーが前記第1インダクタに伝達される
電源装置。
【請求項12】
前記第1インダクタ及び前記第2インダクタが共有する磁性体コアをさらに含む、請求項11に記載の電源装置。
【請求項13】
前記磁性体コアは、鉄心コア及びフェライトコアのうち少なくとも一つを含む、請求項12に記載の電源装置。
【請求項14】
第1スイッチのスイッチングによりエネルギーを蓄積又は放出する第1インダクタと、第2スイッチのスイッチングにより前記第2スイッチに流れる電流量を調節し、前記第1インダクタと差動モードで誘導結合した第2インダクタと、を備えた力率補正回路と、
前記力率補正回路からの電源をスイッチングしてモーターを駆動させる駆動部と、
前記駆動部の電源スイッチングを制御する駆動制御部と、を含み、
前記第2スイッチがスイッチングオフする時点で、前記第2インダクタに貯蔵されているエネルギーが前記第1インダクタに伝達される
モーター駆動装置。
【請求項15】
前記第1インダクタ及び前記第2インダクタが共有する磁性体コアをさらに含む、請求項14に記載のモーター駆動装置。
【請求項16】
前記磁性体コアは、鉄心コア及びフェライトコアのうち少なくとも一つを含む、請求項15に記載のモーター駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合インダクタ(coupled inductor)を適用した力率補正装置、電源装置及びモーター駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの国の各政府は、エネルギー効率政策によるエネルギーの効率的な使用を勧めている。特に、電子製品及び家電製品に対するエネルギーの効率的な使用が広く勧められている。
【0003】
このような奨励に応じてエネルギーを効率的に使用するために、電子製品及び家電製品などに電源を供給する電源装置にエネルギーの効率的な使用のための改善回路が適用されている。
【0004】
このような改善回路としては力率補正回路が挙げられ、力率補正回路は、入力された電源をスイッチングして入力された電源の電流と電圧の位相差(力率)を調整し、後段に伝達する電源を効率的に伝達するための回路である。
【0005】
しかし、このような力率補正回路もまた入力された電源をスイッチングする過程でスパイク電圧が発生するという問題点を有する。
【0006】
一方、電子製品及び家電製品などには、製品が予め設定された動作を行うためのモーターが備えられる場合が多く、このようなモーターを駆動させるためには適切な電源が供給されなければならない。この際、電源を供給するための電源装置にエネルギー効率の改善のための力率補正回路を適用して入力された電源をスイッチングすることで入力された電源の電流と電圧の位相差を調整することができる。しかし、この場合にも入力された電源 スイッチングする過程でスパイク電圧が発生するという問題点がある。
【0007】
下記先行技術文献に記載の特許文献1は、スナバ回路部のインダクタに蓄積されたエネルギーを用いて力率を改善するためのスナバ電力を用いた力率改善回路に関するものであるが、スイッチング時に発生するスパイク電圧を低減するための事項については開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第1999‐0058753号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上述した問題点を解決することにあり、本明細書は、スナバスイッチのターンオフ動作時にスナバインダクタに流れる電流の電流パスを提供することができる力率補正装置、電源装置、及びモーター駆動装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本明細書は、スナバスイッチのターンオフ時点で発生する高いスパイク電圧を低減することができる力率補正装置、電源装置、及びモーター駆動装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本明細書は、イーエムアイ(EMI)ノイズレベルを低減する力率補正装置、電源装置、及びモーター駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一様相による力率補正装置は、入力電源をスイッチングして上記入力電源の電流と電圧の位相差を調整する第1スイッチと、上記第1スイッチがスイッチングオンする前にスイッチングオンして上記第1スイッチの余剰電源の伝達経路を形成する第2スイッチと、上記第1スイッチのスイッチングによりエネルギーを蓄積又は放出する第1インダクタと、上記第2スイッチのスイッチングにより上記第2スイッチに流れる電流量を調節する第2インダクタと、を含み、上記第1インダクタと上記第2インダクタは誘導結合することができる。
【0013】
上記第1インダクタ及び上記第2インダクタは差動モードで誘導結合することができる。
【0014】
上記力率補正装置は、上記第1インダクタ及び上記第2インダクタが共有する磁性体コアをさらに含むことができる。
【0015】
上記磁性体コアは、鉄心コア及びフェライトコアのうち少なくとも一つを含むことができる。
【0016】
上記力率補正装置は、上記第1スイッチのスイッチングにより上記第1インダクタから放出される電源の伝達経路を提供するダイオードと、上記ダイオードから伝達される電源を安定化させるキャパシタと、をさらに含むことができる。
【0017】
上記入力電源は整流された電源であることができる。
【0018】
上記第2スイッチは、上記第1スイッチがスイッチングオンする前にスイッチングオンし、スイッチングオフすることができる。
【0019】
上記第2スイッチは、上記第1スイッチがスイッチングオンする前にスイッチングオンし、上記第1スイッチがスイッチングオンした後にスイッチングオフすることができる。
【0020】
上記力率補正装置は、上記第1スイッチ及び上記第2スイッチの制御信号を出力する制御部をさらに含むことができる。
【0021】
上記第1スイッチ及び上記第2スイッチは、トランジスター、IGBT(Insulated gate bipolar transistor)及びMOS‐FET(Metal oxide Semiconductor Field‐Effect Transistor)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0022】
本発明の他の様相による力率補正装置は、入力電源をスイッチングして上記入力電源の電流と電圧の位相差を調整する第1スイッチと、上記第1スイッチがスイッチングオンする前にスイッチングオンして上記第1スイッチの余剰電源の伝達経路を形成する第2スイッチと、上記入力電源を供給する入力電源端と上記第1スイッチとの間に連結された第1インダクタと、上記第1スイッチと上記第1インダクタの連結端と、上記第2スイッチとの間に連結された第2インダクタと、を含み、上記第1インダクタと上記第2インダクタは誘導結合することができる。
【0023】
本発明の一様相による電源装置は、第1スイッチのスイッチングによりエネルギーを蓄積又は放出する第1インダクタと、第2スイッチのスイッチングにより上記第2スイッチに流れる電流量を調節し、上記第1スイッチと誘導結合した第2インダクタと、を備えた力率補正回路と、上記力率補正回路からの電源をスイッチングして予め設定された電源に変換する電源変換部と、上記電源変換部の電源スイッチングを制御するスイッチング制御部と、を含むことができる。
【0024】
上記第1インダクタ及び上記第2インダクタは差動モードで誘導結合することができる。
【0025】
上記電源装置は、上記第1インダクタ及び上記第2インダクタが共有する磁性体コアをさらに含むことができる。
【0026】
上記磁性体コアは、鉄心コア及びフェライトコアのうち少なくとも一つを含むことができる。
【0027】
本発明の一様相によるモーター駆動装置は、第1スイッチのスイッチングによりエネルギーを蓄積又は放出する第1インダクタと、第2スイッチのスイッチングにより上記第2スイッチに流れる電流量を調節し、上記第1スイッチと誘導結合した第2インダクタと、を備えた力率補正回路と、上記力率補正回路からの電源をスイッチングしてモーターを駆動させる駆動部と、上記駆動部の電源スイッチングを制御する駆動制御部と、を含むことができる。
【0028】
上記第1インダクタ及び上記第2インダクタは差動モードで誘導結合することができる。
【0029】
上記モーター駆動装置は、上記第1インダクタ及び上記第2インダクタが共有する磁性体コアをさらに含むことができる。
【0030】
上記磁性体コアは、鉄心コア及びフェライトコアのうち少なくとも一つを含むことができる。
【発明の効果】
【0031】
本明細書の開示により、スナバスイッチのターンオフ動作時にスナバインダクタに流れる電流の電流パスを提供することができる力率補正装置、電源装置、及びモーター駆動装置を提供することができる。
【0032】
また、本明細書の開示により、スナバスイッチのターンオフ時点で発生する高いスパイク電圧を低減することができる力率補正装置、電源装置、及びモーター駆動装置を提供することができる。
【0033】
また、本明細書の開示により、イーエムアイ(EMI)ノイズレベルを低減する力率補正装置、電源装置、及びモーター駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】力率補正回路の概路図である。
図2】力率補正回路に備えられたメインスイッチと補助スイッチのスイッチング制御信号グラフである。
図3】本発明の一実施例による力率補正装置を示す図面である。
図4】本発明の一実施例によるスイッチング制御信号グラフである。
図5】力率補正装置の主要部分の波形グラフである。
図6】第1インダクタと第2インダクタの具現例を示す図面である。
図7】本発明の一実施例によるモーター駆動装置を示す図面である。
図8】本発明の一実施例によるモーター駆動装置を示す図面である。
図9】本発明の一実施例による電源装置を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0036】
図1は力率補正回路の概路図である。
【0037】
図1を参照すると、力率補正回路100は、メインスイッチS1と、補助スイッチS2と、を含むことができ、第1及び第2インダクタL1、L2と、ダイオードD2と、キャパシタC1と、をさらに含むことができる。
【0038】
メインスイッチS1は、入力電源をスイッチングして入力電源の電圧と電流との間の位相差を調整して力率を補正することができる。
【0039】
第1インダクタL1は、入力電源端とメインスイッチS1との間に連結されて、メインスイッチS1のスイッチングによりエネルギーを蓄積又は放出することができる。例えば、メインスイッチS1がトランジスターで構成される場合、第1インダクタL1は入力電源端とメインスイッチS1のコレクターとの間に連結されることができる。
【0040】
上記入力電源は整流された電源であることができ、これにより整流回路D1は、交流電源を整流して上記入力電源を力率補正回路に伝達することができる。
【0041】
補助スイッチS2は、第2インダクタL2と接地との間に連結されることができる。一方、メインスイッチS1及び補助スイッチS2がトランジスターである場合、第2インダクタL2は、メインスイッチS1のコレクターと補助スイッチS2のコレクターとの間に連結されることができる。
【0042】
上記ダイオードD2は、第1インダクタL1と出力端との間に連結されて、メインスイッチS1のスイッチングにより出力される電源の伝達経路を提供することができる。
【0043】
上記キャパシタC1は、出力端に並列連結されて、出力される電源を安定化させることができる。
【0044】
制御部110は、メインスイッチS1と補助スイッチS2のスイッチングオン及びスイッチングオフを制御するスイッチング制御信号G1、G2を提供することができる。
【0045】
力率補正回路100のメインスイッチS1は、入力電源をスイッチングして入力電源の電圧と電流との間の位相差を調整して力率を補正する。この際、補助スイッチS2は、メインスイッチS1のスイッチングオン及びスイッチングオフ時に残った余剰電源の伝達経路を形成することができる。
【0046】
図2は力率補正回路に備えられたメインスイッチと補助スイッチのスイッチング制御信号グラフである。
【0047】
図1及び図2を参照すると、力率補正回路100の補助スイッチS2は、メインスイッチS1のスイッチングオン前に上記余剰電源の伝達経路を形成することができる。即ち、上記余剰電源を接地にバイパスすることができる。
【0048】
このために、制御部110は、メインスイッチS1のスイッチングオン前に補助スイッチS2をスイッチングオンさせるスイッチング制御信号G1、G2を伝達することができる。
【0049】
制御部110は、メインスイッチS1のスイッチングオン前に補助スイッチS2をスイッチングオン及びスイッチングオフさせることができる。あるいは、上記制御部110は、メインスイッチS1のスイッチングオン前に補助スイッチS2をスイッチングオンさせ、メインスイッチS1がスイッチングオンした後に補助スイッチS2をスイッチングオフさせることもできる。
【0050】
好ましくは、上記制御部110は、上記補助スイッチS2をオンさせ、上記メインスイッチS1の両端にかかる電圧がゼロ電圧になった後に、上記補助スイッチS2をオフさせることができる。
【0051】
図3は本発明の一実施例による力率補正装置を示す図面である。
【0052】
図3を参照すると、本発明の一実施例による力率補正装置200は、メインスイッチS10と、補助スイッチS20と、を含むことができ、第1及び第2インダクタL10、L20と、ダイオードD20と、キャパシタC10と、をさらに含むことができる。
【0053】
一方、説明の便宜上、上記メインスイッチS10は第1スイッチと定義することができ、上記補助スイッチS20は第2スイッチと定義することができる。
【0054】
上記メインスイッチS10は、入力電源をスイッチングして入力電源の電圧と電流との間の位相差を調整して力率を補正することができる。
【0055】
上記第1インダクタL10は、入力電源端とメインスイッチS10との間に連結されることができる。例えば、メインスイッチS10がトランジスターで構成される場合、第1インダクタL10は入力電源端とメインスイッチS10のコレクターとの間に連結されることができる。
【0056】
また、上記第1インダクタL10は、メインスイッチS10のスイッチングによりエネルギーを蓄積又は放出することができる。
【0057】
上記入力電源は整流された電源であることができる。例えば、整流回路D10は、交流電源を整流して上記入力電源を力率補正回路に伝達することができる。
【0058】
上記補助スイッチS20は、上記メインスイッチS10がオンする前にスイッチングオンして、上記第1スイッチの余剰電源の伝達経路を形成することができる。
【0059】
また、上記補助スイッチS20は、第2インダクタL20と接地との間に連結されることができる。一方、メインスイッチS10及び補助スイッチS20がトランジスターである場合、第2インダクタL20はメインスイッチS10のコレクターと補助スイッチS20のコレクターとの間に連結されることができる。
【0060】
上記ダイオードD20は、第1インダクタL10と出力端との間に連結されて、メインスイッチS10のスイッチングにより上記第1インダクタL10から出力される電源の伝達経路を提供することができる。
【0061】
上記キャパシタC10は、出力端に並列連結されて、上記ダイオードD20から伝達される電源を安定化させることができる。
【0062】
制御部210は、メインスイッチS10と補助スイッチS20のスイッチングオン及びスイッチングオフを制御するスイッチング制御信号G10、G20を出力することができる。
【0063】
力率補正装置200のメインスイッチS10は、入力電源をスイッチングして入力電源の電圧と電流との間の位相差を調整することで力率を補正する。この際、補助スイッチS20は、メインスイッチS10のスイッチングオン及びスイッチングオフ時に残った余剰電源の伝達経路を形成することができる。
【0064】
一方、本発明の一実施例によると、上記第1インダクタL10と上記第2インダクタL20は誘導結合することができる。
【0065】
また、本発明の一実施例によると、上記第1インダクタL10及び上記第2インダクタL20は、差動モードで誘導結合することができる。ここで、差動モードとは、上記第1インダクタL10と上記第2インダクタL20の極性が互いに反対に結合された状態を意味する。例えば、第2インダクタL20の第2電流IL20により、第1インダクタL10には第1電流IL10が誘導されることができる。
【0066】
また、本発明の一実施例によると、上記第1インダクタL10及び上記第2インダクタL20は一つのコアを共有することができる。
【0067】
上記第1インダクタL10と上記第2インダクタL20が一つのコアを共有する場合、力率補正装置でのインダクタ実装空間及びコストを節約することができる。
【0068】
上記コアは磁性体コアであることができる。上記磁性体コアは鉄心コア、フェライトコアであることができる。
【0069】
図4は本発明の一実施例によるスイッチング制御信号グラフである。
【0070】
図3及び図4を参照すると、力率補正装置200の補助スイッチS20は、メインスイッチS10のスイッチングオン前に上記余剰電源の伝達経路を形成することができる。即ち、上記余剰電源を接地にバイパスすることができる。
【0071】
このために、制御部210は、メインスイッチS10のスイッチングオン前に補助スイッチS20をスイッチングオンさせるスイッチング制御信号G10、G20を伝達することができる。
【0072】
以降、制御部210は、メインスイッチS1のスイッチングオン前に補助スイッチS2をスイッチングオン及びスイッチングオフさせることができる。
【0073】
あるいは、上記制御部210は、メインスイッチS10のスイッチングオン前に補助スイッチS20をスイッチングオンさせ、メインスイッチS10がスイッチングオンした後に補助スイッチS20をスイッチングオフさせることもできる。
【0074】
好ましくは、上記制御部210は、上記補助スイッチS20にオンさせ、上記メインスイッチS10のゼロ電圧ターン‐オン(Zero Voltage Switching)条件を発生させ、上記補助スイッチS20をオフさせることができる。
【0075】
図1及び図2を参照すると、補助スイッチS2がスイッチングオフする時点で、上記補助スイッチS2の両端には非常に高いスパイク電圧が発生することができる。その理由は、上記補助スイッチS2のスイッチングオフ動作時に上記補助スイッチS2に流れていた電流が導通する電流パスがないためである。特に、ダイオードD2に向かう負荷電流が大きい場合、第2スイッチS2の定格電圧より高いスパイク電圧が発生することができる。
【0076】
図3及び図4を参照すると、本発明の一実施例による力率補正装置は、補助スイッチS20がスイッチングオフする時点で、上記第2インダクタL20に貯蔵されたエネルギーを第1インダクタの電流パスに伝達することができる。
【0077】
このように、第2インダクタL20と第1インダクタL10のエネルギーカップリング(energy coupling)により、スパイク電圧が低い値に制限されることができる。
【0078】
図5は力率補正装置の主要部分の波形グラフである。
【0079】
図5の(a)は図1に図示された回路の主要部分の波形グラフである。
【0080】
図5の(b)は図3に図示された回路の主要部分の波形グラフである。
【0081】
図5を参照すると、I区間は、補助スイッチS2、S20のスイッチングオフ状態と、メインスイッチS1、S10のスイッチングオフ状態を意味する。
【0082】
また、II区間は、補助スイッチS2、S20のスイッチングオン状態を意味する。
【0083】
また、III区間は、補助スイッチS2、S20のスイッチングオフ状態と、メインスイッチS1、S10のスイッチングオン状態を意味する。
【0084】
I区間において、補助インダクタL2、L20には電流IL2、IL20が流れず、出力端への電流ID2、ID20は流れ、メインスイッチS1、S10には電流IS1、IS10が流れない。
【0085】
II区間において、補助スイッチS2、S20がスイッチングオンし、補助インダクタL2、L20には電流IL2、IL20が流れ、出力端への電流ID2、ID20は遮断され、メインスイッチS1、S10には電流IS1、IS10が流れない。
【0086】
III区間において、補助スイッチS2はスイッチングオフするが、補助スイッチS2がスイッチングオフする時点で、上記補助スイッチS2の両端には非常に高いスパイク電圧が発生することができる。その理由は、上記補助スイッチS2のスイッチングオフ動作時に、上記補助スイッチS2に流れていた電流が導通する電流パスがないためである(図5の(a)参照)。
【0087】
反面、本発明の一実施例による力率補正装置は、補助スイッチS20がスイッチングオフする時点で、上記第2インダクタL20に貯蔵されたエネルギーを第1インダクタL10の電流パスに伝達することができる。
【0088】
このように、第2インダクタL20と第1インダクタL10のエネルギーカップリング(energy coupling)により、スパイク電圧が低い値に制限されることができる。
【0089】
図5の(b)を参照すると、本発明の一実施例による力率補正装置がスパイク電圧を大きく低減させることを確認することができる(VL2、VL20参照)。
【0090】
図6は第1インダクタと第2インダクタの具現例を示す図面である。
【0091】
本発明の一実施例によると、上記第1インダクタL10及び上記第2インダクタL20は一つのコア(core)を共有することができる。
【0092】
上記第1インダクタL10と上記第2インダクタL20が一つのコアを共有する場合、力率補正装置でのインダクタ実装空間及びコストを節約することができる。
【0093】
上記コアは磁性体コアであることができる。上記磁性体コアは鉄心コア、フェライトコアであることができる。
【0094】
図7及び図8は本発明の一実施例によるモーター駆動装置を示す図面である。
【0095】
図7及び図8を参照すると、本発明のモーター駆動装置300、400は、力率補正回路310、410と、駆動部320、420と、駆動制御部330、430と、を含むことができる。力率補正回路310、410は図3に図示された力率補正装置200と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0096】
但し、図7及び図8を参照すると、力率補正回路310、410のメインスイッチS10及び補助スイッチS20は、IGBT(Insulated gate bipolar transistor)310又はMOS‐FET(Metal oxide Semiconductor Field‐Effect Transistor)410で構成されることができる。
【0097】
駆動部320、420は、力率補正回路310、410から力率補正された電源の供給を受けて制御信号に応じてそれぞれスイッチングしてモーターMを駆動することができる。ここでは3相の電源を供給してモーターMを駆動する実施形態が記述されているが、単相電源によるモーター駆動も可能である。
【0098】
駆動制御部330、430は、力率補正回路310、410からの力率補正された電源のスイッチングを制御して、モーターMの駆動を制御することができる。
【0099】
図9は本発明の一実施例による電源装置を示す図面である。
【0100】
図9を参照すると、電源装置500は、力率補正回路510と、電源変換部520と、スイッチング制御部530と、を含むことができる。
【0101】
力率補正回路510は、図3に図示された力率補正装置200と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0102】
また、力率補正回路510のメインスイッチS10及び補助スイッチS20は、図7及び図8のように、IGBT(Insulated gate bipolar transistor)又はMOS‐FET(Metal oxide Semiconductor Field‐Effect Transistor)で構成されることができる。
【0103】
電源変換部520は、力率補正回路510からの直流電源をスイッチングして予め設定された電圧レベルを有する直流電源に変換し、負荷に供給することができ、スイッチング制御部530は、出力される直流電源の電圧又は電流レベルに応じて電源変換部520のスイッチングを制御することができる。
【0104】
本発明によると、力率補正のためのスイッチング前に余剰電源を接地に伝達して力率補正スイッチングのゼロ電圧スイッチングを保障するため、力率補正スイッチング時に発生するスイッチング損失を低減することができる。
【0105】
また、本発明によると、第1インダクタL10と第2インダクタL20が誘導結合して補助スイッチS20のターンオフ動作時に第2インダクタL20に貯蔵されたエネルギーの電流パスを提供することができる。したがって、本発明によると、補助スイッチS20のターンオフ時点で発生する高いスパイク電圧を低減することができる。また、本発明によると、上記構成により、イーエムアイ(EMI)ノイズレベルを低減することができる。
【0106】
また、本発明によると、第1インダクタL10と第2インダクタL20がコアを共有するため、設置コスト及び実装面積を減少させることができる。
【0107】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0108】
200 力率補正装置
210 制御部
300、400 モーター駆動装置
330、430 駆動制御部
500 電源装置
530 スイッチング制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9