(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加工ステーションに設置した加工装置により、該加工ステーションに搬入された遊技盤に対して上面側から加工を施す様にした遊技盤製造設備であって、以下の構成を備えていることを特徴とする遊技盤製造設備。
(11)前記加工ステーションには、遊技盤の搬入・搬出用として、片側にだけ鍔の付いた鍔付きローラを、鍔のある側を下、鍔の無い側を上となる様に鉛直軸を回転中心とする様に二列に設置した片鍔ローラ列を備えること。
(12)前記加工ステーションには、前記二列の片鍔ローラ列間に支持されて搬入される遊技盤の搬送方向の停止位置を規定するためのストッパ部材が出没可能に備えられていること。
(13)前記加工ステーションには、前記ストッパ部材によって搬送方向の位置決めがされた遊技盤を下方から押し上げる昇降テーブルを備えていること。
(14)前記加工ステーションには、前記昇降テーブルで押し上げられた遊技盤の上面に当接し得る様に前記片鍔ローラ列間に、前記鍔の端よりも内側まで出っ張る様に設置された高さ規制部材が備えられていること。
(15)前記加工装置は、前記高さ規制部材により規制される上面高さを、前記上面側からの加工の際の高さ方向の基準位置として動作する自動ビス締め機を備えていること。
(16)前記片鍔ローラ列の鍔は、外側に向かって薄くなる様な断面テーパ形状に構成されていること。
(21)前記昇降テーブルの上面には、先細の位置決めピンが立設されており、前記上昇の際に、該位置決めピンを遊技盤の裏面に形成した位置決め孔に嵌合させた状態で遊技盤を押し上げることができる様に構成されていること。
(40)前記加工ステーションは、遊技盤に役物を取り付けるための作業位置に設置した前記自動ビス締め機のドライバユニットを昇降させ、該ドライバユニットによって回転駆動されるドライバビットの先端にネジ頭を係合させたビスを遊技盤に対して締め込むことによって前記役物をビス締め固定する作業を実行するビス締め制御装置であって、前記ドライバユニットが締め込み開始高さまで下降したことことを検知する第1高さセンサと、前記ドライバユニットが締め込み完了高さまで下降したことを検知する第2高さセンサと、前記ドライバユニットに締め込み完了トルクが発生したことを検知するトルクセンサとを備え、下降を開始した後、前記第1高さセンサによる検知信号が入力されるまでの間に高速回転状態とすると共に、前記第1高さセンサによる検知信号が入力されたら低速回転に切り換え、前記第2高さセンサによる検知信号が入力され、かつ前記トルクセンサが締め込み完了トルクの発生を検知したら回転を停止させる制御を実行するビス締め制御装置を備える遊技盤用ビス締めステーションであること。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この特許文献1に提案される製造設備では、プレスステージにおける遊技盤の搬入・搬出用に、ボビン形状のステージローラ列を設置しており、このステージローラ列の上側の鍔でプレス終了後にゲージ工具に追随して上昇する遊技盤を停止させてポンチ及び位置決めピンから離脱させる様にしている。即ち、従来技術では、遊技盤に対して加工を施す際の高さ方向の基準を支持台への押し付けによって規定する構成となっている。
【0004】
ところで、近年、パチンコ機の遊技盤としてアクリル板などの合成樹脂製のものが採用される様になってきた。こうした合成樹脂製の遊技盤は、板厚が10mm程度とされることがおおく、それ以前の木材製遊技盤(板厚19mm程度)と比べると、厚さが大幅に異なる。
【0005】
このため、従来技術をビス締めステーションに採用した場合、自動ビス締め機を下降させてビス締めを行う際の最後の締め上げの開始・終了の高さを木材製遊技盤を基準に設定しておくと、合成樹脂製遊技盤では十分な締め上げができなくなってしまうという問題がある。
【0006】
逆に、自動ビス締め機の締め上げ開始・終了の高さを合成樹脂製遊技盤を基準に設定しておくと、木材製遊技盤に対しては自動ビス締め機を押し付け過ぎることとなる。
【0007】
そこで、本願は、木材製遊技盤も合成樹脂製遊技盤も、いずれであっても加工可能で、役物等の各種部品の取り付け不良を生じることのない遊技盤製造設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の遊技盤製造設備は、加工ステーションに設置した加工装置により、該加工ステーションに搬入された遊技盤に対して上面側から加工を施す様にした遊技盤製造設備であって、以下の構成を備えていることを特徴とする。
(11)前記加工ステーションには、遊技盤の搬入・搬出用として、片側にだけ鍔の付いた鍔付きローラを、鍔のある側を下、鍔の無い側を上となる様に鉛直軸を回転中心とする様に二列に設置した片鍔ローラ列を備えること。
(12)前記加工ステーションには、前記二列の片鍔ローラ列間に支持されて搬入される遊技盤の搬送方向の停止位置を規定するためのストッパ部材が出没可能に備えられていること。
(13)前記加工ステーションには、前記ストッパ部材によって搬送方向の位置決めがされた遊技盤を下方から押し上げる昇降テーブルを備えていること。
(14)前記加工ステーションには、前記昇降テーブルで押し上げられた遊技盤の上面に当接し得る様に前記片鍔ローラ列間に、前記鍔の端よりも内側まで出っ張る様に設置された高さ規制部材が備えられていること。
(15)前記加工装置は、前記高さ規制部材により規制される上面高さを、前記上面側からの加工の際の高さ方向の基準位置として動作する
自動ビス締め機を備えていること。
(16)前記片鍔ローラ列の鍔は、外側に向かって薄くなる様な断面テーパ形状に構成されていること。
(21)前記昇降テーブルの上面には、先細の位置決めピンが立設されており、前記上昇の際に、該位置決めピンを遊技盤の裏面に形成した位置決め孔に嵌合させた状態で遊技盤を押し上げることができる様に構成されていること。
(40)前記加工ステーションは、遊技盤に役物を取り付けるための作業位置に設置した自動ビス締め機のドライバユニットを昇降させ、該ドライバユニットによって回転駆動されるドライバビットの先端にネジ頭を係合させたビスを遊技盤に対して締め込むことによって前記役物をビス締め固定する作業を実行するビス締め制御装置であって、前記ドライバユニットが締め込み開始高さまで下降したことことを検知する第1高さセンサと、前記ドライバユニットが締め込み完了高さまで下降したことを検知する第2高さセンサと、前記ドライバユニットに締め込み完了トルクが発生したことを検知するトルクセンサとを備え、下降を開始した後、前記第1高さセンサによる検知信号が入力されるまでの間に高速回転状態とすると共に、前記第1高さセンサによる検知信号が入力されたら低速回転に切り換え、前記第2高さセンサによる検知信号が入力され、かつ前記トルクセンサが締め込み完了トルクの発生を検知したら回転を停止させる制御を実行するビス締め制御装置を備える遊技盤用ビス締めステーションであること。
(41)前記加工装置は、前記遊技盤用ビス締めステーションに設置された前記ビス締め機であること。
【0009】
本発明の遊技盤製造設備によれば、遊技盤は、片鍔ローラ列に両サイドを支持される様にして加工ステーションへと搬入される。そして、突出されたストッパ部材に当接して停止し、搬送方向の位置決めが行われる。その後、昇降テーブルを上昇させることにより、遊技盤は押し上げられる。このとき、片鍔ローラ列は上側には鍔がないから、遊技盤は高さ規制部材に上面が当接するまで上昇する。そして、高さ規制部材に上面が当接する位置よりは上昇できなくなり、高さ規制部材と昇降テーブルとに挟まれた状態で保持される。この状態になってから、
自動ビス締め機による加工を実行する。このとき、
自動ビス締め機は、高さ規制部材により規制される上面高さを加工の際の高さ方向の基準位置として動作する様に構成されているので、遊技盤に対して押圧力を掛けすぎたり、逆に、遊技盤に対するビスの締め上げ力が不足するなどといった不具合を生じない。
【0010】
上述の様に、本発明の遊技盤製造設備は、以下の構成を備えている。
(21)前記昇降テーブルの上面には、先細の位置決めピンが立設されており、前記上昇の際に、該位置決めピンを遊技盤の裏面に形成した位置決め孔に嵌合させた状態で遊技盤を押し上げることができる様に構成されていること。
この場合、特に、以下の様に構成するとよい。
(22)前記位置決めピンは、前記遊技盤の裏面に対して対角位置となる様に、前記昇降テーブルの上面に立設されていること。
【0011】
かかる構成をも備えることにより、遊技盤を搬送するための片鍔ローラ列による支持方向やストッパ部材による停止位置に関して若干の遊びを有する構成としておいても、最終的に押し上げ動作を行う昇降テーブルでしっかりとした位置決めができる。従って、片鍔ローラ列及びストッパ部材による支持や位置決めによって遊技盤の昇降動作が阻害されることがない様に遊びを設けても、遊技盤は、昇降テーブルと高さ規制部材との間に挟まれた状態において、位置決めピンによる位置決めもなされているので、例えば、風車や役物など、上面に取り付けるべき部品の取り付け位置がずれたりすることがない。
【0012】
また、これら本発明の遊技盤製造設備は、さらに、以下の構成をも備える様にするとよい。
(31)前記加工ステーションは遊技盤搬送ライン中に直列に設置されていること。
(32)前記遊技盤搬送ラインも、片側にだけ鍔の付いた鍔付きローラを、該鍔を下にして鉛直軸を回転中心とする様に二列に設置した片鍔ローラ列によって構成されていること。
【0013】
かかる構成をも備えることにより、遊技盤は、両サイドからの支持を受けて搬送され、例えば、裏面に部品を取り付けた状態で製造ラインに流すこともできる。
【0015】
なお、本発明の遊技盤製造設備においては、上述の(16)の構成を備えることにより、遊技盤は自重によって片鍔ローラのテーパ断面の鍔の上面にしっかりと当接し、十分な推進力を受けてスムーズに搬送される。また、鍔からの推進力で搬送することになるので、片鍔ローラ列間にスムーズな昇降のための遊びを設けておくこともできる。そして、かかる遊びをしっかりと設けることで、昇降時に遊技盤の縁がローラ面に接触して傾いたりすることがなく、位置決め精度を良好なものとするのに寄与する。
【0017】
(40)の構成に関し、より具体的に示すなら、以下の構成をも備える様にするとよい。
(51)前記自動ビス締め機は、以下の構成を備えていること。
(51a)下降側エア室及び上昇側エア室を備え、前記ドライバユニットを固定したピストンロッドを上下方向にストローク運動させるエアシリンダと、該エアシリンダが下降を開始したことを検知するシリンダセンサとを備えていること。
(51b)前記エアシリンダの下降側エア室の切換弁は、給排停止とされている状態で下降側エア室内に負圧が発生したときには弁が開く構造とされており、前記ドライバユニットは、前記エアシリンダの下降側エア室を給排停止とすると共に上昇側エア室を排気としたときにも下降し続けるだけの重量を有すること。
(52)前記ビス締め制御装置は、以下の構成を備えていること。
(52a)前記エアシリンダの下降側エア室及び上昇側エア室を、供給,給排停止及び排気のいずれかの状態に切り換えるエア給排切換装置と、前記ドライバユニットを駆動停止する駆動装置とを備えていること。
(53)前記ビス締め制御装置は、以下の制御を実行すること。
(53a)前記エア給排切換装置に対して、前記エアシリンダの上昇側エア室を排気、下降側エア室を供給とした後、前記シリンダセンサが下降開始を検知したら前記下降側エア室を給排停止とし、ねじ込み完了後に前記上昇側エア室を供給、下降側エア室を排気とするエア給排動作を行わせること。
【0018】
本発明がビス締めステーションに特に適するのは、ビス締めにおいては、最後のビスの締め込みがしっかりと行われることが要求され、そのための制御として、ドライバユニットの昇降高さを制御するからである。上述の構成では、自動ビス締め機によるビスの締め込みに当たり、下降側エア室へのエア供給によって下降の切っ掛けを与えた後は、ドライバユニットの自重で下降させ、ねじ込み開始後もドライバユニットの自重でビス締めを実行する。従って、遊技盤に対して強い集中荷重が加わることがなく、昇降テーブルが押し下げられることもないので、エアシリンダ等で昇降させる構成であっても高さに狂いが生じることはない。なお、この自重での下降に当たって、下降側エア室は排気ではなく給排停止状態としているので、負圧に応じて切換弁から流入するエアに応じてゆっくりと下降し、一気に降下することはない。よって、ねじ込みに十分な程度の圧力を加える様にドライバユニットの自重を大きくしたとしても、遊技盤に対してビスを強く衝突させるということはない。
【0019】
より具体的には、ビス締めステーションは、上記(51)〜(53)に代えて以下の構成を備えたものとすることができる。
(61)前記自動ビス締め機は、以下の構成を備えていること。
(61a)下降側エア室及び上昇側エア室を備え、前記ドライバユニットを固定したピストンロッドを上下方向にストローク運動させるエアシリンダと、該エアシリンダが下降を開始したことを検知するシリンダセンサとを備えていること。
(61b)前記エアシリンダの下降側エア室の切換弁は、給排停止とされている状態で下降側エア室内に負圧が発生したときには弁が開く構造とされており、前記ドライバユニットは、前記エアシリンダの下降側エア室を給排停止とすると共に上昇側エア室を排気としたときにも下降し続けるだけの重量を有すること。
(61c)前記ドライバユニットが締め込み開始高さまで下降したことことを検知する第1高さセンサと、前記ドライバユニットが締め込み完了高さまで下降したことを検知する第2高さセンサと、前記ドライバユニットに締め込み完了トルクが発生したことを検知するトルクセンサとを備えていること。
(62)前記ビス締め制御装置は、以下の構成を備えていること。
(62a)前記エアシリンダの下降側エア室及び上昇側エア室を、供給,給排停止及び排気のいずれかの状態に切り換えるエア給排切換装置と、前記ドライバユニットを駆動停止する駆動装置とを備えていること。
(63)前記ビス締め制御装置は、以下の制御を実行すること。
(63a)前記エア給排切換装置に対して、前記エアシリンダの上昇側エア室を排気、下降側エア室を供給とした後、前記シリンダセンサが下降開始を検知したら前記下降側エア室を給排停止とし、その後、前記第2高さセンサが締め込み開始高さへの下降を検知したら前記エアシリンダの上昇側エア室を給排停止とし、さらに、前記トルクセンサがねじ込み完了トルクの発生を検知したら前記上昇側エア室を供給、下降側エア室を排気とするエア給排動作を行わせる制御を実行すること。
(63b)前記駆動装置に対して、前記第2高さセンサが締め込み開始高さへの下降を検知したら締め込み動作を開始させ、前記トルクセンサが締め込み完了トルクの発生を検知したら締め込み動作を停止させる制御を実行すること。
【0020】
ここで、「締め込み開始高さ」とは、「ねじ込み完了直前の残り僅かの量を強く締め上げ始める高さ」を意味し、ビスが遊技盤に形成したネジ孔内に侵入し始める高さではない。従って、(63b)の「締め込み動作」が行われるより前に、「ビスを回転させながらネジ孔内に侵入させる動作」が開始される。かかる構成に代えることで、上述の作用・効果に加えて、締め込み完了高さに到達しかつ締め込み完了トルクが発生したことを検知してからねじ込み動作を停止するので、ビスが確実にねじ込まれた状態とすることができ、ねじ込み不足を回避することができる。
【0021】
さらに具体的には、ビス締めステーションは、上記(51)〜(53)に代えて以下の構成を備えたものとすることができる。
(71)前記自動ビス締め機は、以下の構成を備えていること。
(71a)前記ドライバビットの先端側の周囲に配置される吸着パイプと、該吸着パイプの下端との間にビス受け入れ空間を形成する様に閉じ方向に付勢されているチャック爪と、前記ビス受け入れ空間に対してネジ頭を上にして前記チャック爪に把持される様にビスを供給するビス供給装置を備えていること。
(71b)下降側エア室及び上昇側エア室を備え、前記ドライバユニットを固定したピストンロッドを上下方向にストローク運動させるエアシリンダと、該エアシリンダが下降を開始したことを検知するシリンダセンサとを備えていること。
(71c)前記ドライバビットの先端が前記吸着パイプの先端から皿ビスの頭分だけ上方へ離れた位置まで下降したことを検知する第1高さセンサと、前記ドライバビットの先端が前記吸着パイプの先端位置まで下降したことを検知する第2高さセンサとを備えていること。
(71d)前記エアシリンダの下降側エア室の切換弁は、給排停止とされている状態で下降側エア室内に負圧が発生したときには弁が開く構造とされており、前記ドライバユニットは、前記エアシリンダの下降側エア室を給排停止とすると共に上昇側エア室を排気としたときにも下降し続けるだけの重量を有すると共に、締め込み完了トルクが発生したことを検知するトルクセンサを備えていること。
(72)前記ビス締め制御装置は、以下の構成を備えていること。
(72a)前記エアシリンダの下降側エア室及び上昇側エア室を、供給,給排停止及び排気のいずれかの状態に切り換えるエア給排切換装置と、前記吸着パイプをエアによるビス吸着状態とする吸着装置と、前記ドライバユニットに対して少なくとも高速回転と低速回転で回転速度を切り換えることのできる駆動装置とを備えていること。
(73)前記ビス締め制御装置は、以下の制御を実行すること。
(73a)前記エア給排切換装置に対して、前記エアシリンダの上昇側エア室を排気、下降側エア室を供給とした後、前記シリンダセンサが下降開始を検知したら前記下降側エア室を給排停止とし、その後、前記第2高さセンサからの検知信号が入力されたら前記エアシリンダの上昇側エア室を給排停止とし、さらに、前記トルクセンサが締め込み完了トルクの発生を検知したら前記上昇側エア室を供給、下降側エア室を排気とするエア給排動作を行わせる制御を実行すること。
(73b)前記駆動装置に対して、前記下降側エア室を供給としてから前記第1高さセンサによる検知信号が入力されるまでの間に高速回転状態とすると共に、前記第1高さセンサによる検知信号が入力されたら低速回転に切り換え、前記トルクセンサが締め込み完了トルクの発生を検知したら停止させる制御を実行すること。
(73c)前記吸着装置に対して、前記下降側エア室を供給としてから前記第1高さセンサによる検知信号が入力されるまでの間に吸着動作を実行させ、前記第1高さセンサによる検知信号が入力されたら吸着を停止させる制御を実行すること。
【0022】
かかる構成に代えることで、上述の作用・効果に加えて、さらに、以下の作用・効果を発揮する。まず、ドライバユニットを高速回転で下降させることにより、吸着パイプとチャック爪との間に形成されるビス受け入れ空間内でドライバビット先端に係合させたビスを芯出しした状態で下降させることができる。そして、皿ビスの頭を締め込むべき高さまで下がったときに、ドライバユニットを低速回転に切り換える。この結果、締め込み開始時には低速回転により、回転トルクを大きくして確実な締め込みを行い得る状態とすることができる。そして、第2高さセンサが所定の検知信号を出力したら上昇側エア室をエア給排停止状態とすることで、ドライバユニットの自重が加わり過ぎない様にしている。なお、この第2高さセンサによる検知とトルクセンサによる検知とにより、ビスは確実に締め込んだ状態となり、ねじ込み不足といった問題は生じない。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、木材製遊技盤も合成樹脂製遊技盤も、いずれであっても加工可能であり、かつ、役物等の各種部品の取り付け不良を生じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態の遊技盤ビス締め設備について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
実施形態の遊技盤ビス締め設備は、
図1,
図2に示す様に、ビス締めステーション10を、遊技盤搬送ライン20,30中に一直線に直列に設置した構成となっている。上流側の遊技盤搬送ライン20及び下流側の遊技盤搬送ライン30は、いずれも片側にだけ鍔21,31の付いた鍔付きローラ22,32を鍔21,31を下にして鉛直軸を回転中心とする様に二列に設置した片鍔ローラ列23L,23R,33L,33Rによって構成されている。各片鍔ローラ列23L,23R,33L,33Rには、片鍔ローラ22,32と列方向交互になる様に、鍔なしローラ24,34も配置されている。
【0026】
ビス締めステーション10には、
図1〜
図4,
図6に示す様に、遊技盤1の搬入・搬出用として、遊技盤搬送ライン20,30と同様に、片側にだけ鍔11の付いた鍔付きローラ12を、鍔11を下にして鉛直軸を回転中心とする様に二列に設置した片鍔ローラ列13L,13Rが備えられている。この片鍔ローラ列13L,13Rにも、片鍔ローラ12と列方向交互になる様に、鍔なしローラ14が配置されている。
【0027】
また、ビス締めステーション10の搬出側端部位置には、二列の片鍔ローラ列13L,13Rの間で出没するストッパ部材41が設置されている。このストッパ部材41は、ビス締めステーション10に搬入される遊技盤1の搬送方向の停止位置を規定する部品として備えられており、エアシリンダ42と、その二本の円柱状ロッド43,43とで構成されている。これら円柱状ロッド43,43は、片鍔ローラ列13L,13Rに直交する方向に並んで配置されている。
【0028】
さらに、ビス締めステーション10には、ストッパ部材41によって搬送方向の位置決めがされた遊技盤1を下方から押し上げる昇降テーブル51も備えられている。この昇降テーブル51は、遊技盤1とほぼ同じ面積を有する矩形板52と、この矩形板52の四隅近くに垂直に立設された4本の支持ピラー53〜56と、矩形板52を昇降させるエアシリンダ57とから構成されている。4本の支持ピラー53〜56は、上端に支持面を構成する円板53a〜56aを備え、これら4本の内の対角位置にある2本の支持ピラー53,56は、円板53a,56aの中央に位置決めピン58,59が突設されている。これら位置決めピン58,59は、先端が細くなるテーパ部58a,59aと円柱部58b,59bとから構成されている(
図4,
図6参照)。
【0029】
また、ビス締めステーション10に配置された片鍔ローラ列13L,13Rの片鍔ローラ12及び鍔なしローラ14は、左右の下プレート15L,15Rに回転可能に立設支持されると共に、上側を鍔11よりも内側にせり出す幅を有する帯板状のガイドプレート16L,16Rで連結支持されている。
【0030】
一方、
図1,
図2に示す様に、遊技盤搬送ライン20,30に配置された片鍔ローラ列23L,23R,33L,33Rの片鍔ローラ22,32及び鍔なしローラ24,34は、左右の下プレート25L,25R,35L,35Rの上面に回転可能に立設支持されると共に、上側をローラ直径と同じ程度の幅を有する帯板26L,26R,36L,36Rで連結支持されている。
【0031】
なお、ビス締めステーション10及び遊技盤搬送ライン20,30に設置された片鍔ローラ列13L,13R,23L,23R,33L,33Rを構成する各片鍔ローラ12,22,32の鍔11,21,31は、いずれも外側に向かって薄くなる様な断面テーパ形状に構成されている。
【0032】
ビス締めステーション10には、次の様な構成の自動ビス締め機100が設置されている。
【0033】
自動ビス締め機100は、
図9〜
図14に示す様に、ドライバビット101の先端側の周囲に配置される吸着パイプ102と、吸着パイプ102の下端との間にビス受け入れ空間を形成する様に閉じ方向に付勢されているチャック爪103と、ビス受け入れ空間に対してネジ頭を上にしてチャック爪103に把持される様にビス2を供給するビス供給装置104とを備えている。
【0034】
また、自動ビス締め機100は、下降側エア室及び上昇側エア室を備え、ドライバユニット105を固定したピストンロッド111を上下方向にストローク運動させるエアシリンダ112と、エアシリンダ112が下降を開始したことを検知するシリンダセンサ113とを備えている。
【0035】
さらに、自動ビス締め機100は、ドライバビット101の先端が吸着パイプ102の先端から皿ビス2の頭分だけ離れた位置まで下降したことを検知する第1高さセンサ121と、ドライバビット101の先端が吸着パイプ102の先端位置まで下降したことを検知する第2高さセンサ122とを備えている。なお、ドライバビット101の回転軸107には第2高さセンサ122が高さ検出を行うための被検出部122aが取り付けられている。また、吸着パイプ102とは独立してドライバユニット105と共に下降する第1高さ検出用ロッド106にも、第1高さセンサ121が高さ検出を行うための被検出部121aが取り付けられている。
【0036】
そして、エアシリンダ112の下降側エア室の切換弁は、給排停止とされている状態で下降側エア室内に負圧が発生したときには当該負圧に応じてわずかに弁が開く構造とされており、ドライバユニット105は、エアシリンダ112の下降側エア室を給排停止とすると共に上昇側エア室を排気としたときにも下降し続けるだけの重量を有すると共に、締め込み完了トルクが発生したことを検知するトルクセンサ123(
図15参照)を備えている。
【0037】
さらに、自動ビス締め機100は、
図15に示す様に、エアシリンダ112の下降側エア室及び上昇側エア室を、供給,給排停止及び排気のいずれかの状態に切り換えるエア給排切換装置131と、吸着パイプ102をエアによるビス吸着状態とする吸着装置132と、ドライバユニット105に対して少なくとも高速回転と低速回転で回転速度を切り換えることのできるモータドライバ133とを備えている。
【0038】
この様に構成された自動ビス締め機100は、次の様な構成のビス締め制御装置200(
図15参照)によって、ドライバユニット105の昇降、回転駆動のタイミング等を制御されている。
【0039】
ビス締め制御装置200は、エア給排切換装置131に対して、エアシリンダ112の上昇側エア室を排気、下降側エア室を供給とした後、シリンダセンサ113が下降開始を検知したら下降側エア室を給排停止とし、その後、第2高さセンサ122が検知信号を出力したらエアシリンダ112の上昇側エア室を給排停止とし、さらに、トルクセンサ123が締め込み完了トルクの発生を検知したら上昇側エア室を供給、下降側エア室を排気とするエア給排動作を行わせる制御を実行する。
【0040】
また、ビス締め制御装置200は、モータドライバ133に対して、下降側エア室を供給としてから第1高さセンサ121が検知信号を出力するまでの間に高速回転状態とすると共に、第2高さセンサ122が検知信号を出力したら低速回転に切り換え、トルクセンサ123が締め込み完了トルクの発生を検知したら停止させる制御を実行する。
【0041】
さらに、ビス締め制御装置200は、吸着装置132に対して、下降側エア室を供給としてから第1高さセンサ121が検知信号を出力するまでの間に吸着動作を実行させ、第1高さセンサ121が検知信号を出力したら吸着を停止させる制御を実行する。
【0042】
この遊技盤ビス締め設備は、
図15に示す様な制御系統によって制御されている。メイン制御装置300には遊技盤製造用管理データが入力されている。そして、メイン制御装置300は、ビス締め制御装置200及び搬送制御装置400との間で通信を行う様に構成されている。ビス締め制御装置200には、シリンダセンサ113、第1高さセンサ121、第2高さセンサ122、トルクセンサ123から検知信号が入力される。そして、ビス締め制御装置200は、ビス供給装置104、エア給排切換装置131、吸着装置132、モータドライバ133、さらには、自動ビス締め機100のベースを移動させるXモータ134及びYモータ135へと制御信号を出力すると共に、これら制御対象機器からの動作完了信号等も入力される様に構成されている。一方、搬送制御装置400には、ストッパ部材41に遊技盤1が当接したことを検知するストッパセンサ411や、搬送ラインに沿って配置された遊技盤検知センサ群412からの検知信号が入力されている。そして、搬送制御装置400は、ビス締めステーション10の片鍔ローラ列13L,13Rによる搬送動作を実行させるための搬送モータ421、遊技盤搬送ライン20の片鍔ローラ列23L,23Rによる搬送動作を実行させるための搬送モータ422、遊技盤搬送ライン30の片鍔ローラ列33L,33Rによる搬送動作を実行させるための搬送モータ423、ストッパ部材41を出没させるためのエアシリンダ42、及び昇降テーブル51を昇降させるためのエアシリンダ57のそれぞれに対して制御信号を出力すると共に、これら制御対象機器からの動作完了信号等も入力されている。
【0043】
次に、本実施形態の遊技盤ビス締め設備の実行する制御動作について、
図16〜
図20のフローチャートに基づいて説明する。メイン制御装置300は、
図16のメインフローに示す様に、まず、搬送制御装置400に対して遊技盤1をビス締めステーション10において位置決めしてビス締め開始状態とするための搬入制御を実行させる(S1)。そして、搬送制御装置400から位置決め完了信号が返信されてきたら(S2:YES)、ビス締め制御装置200に対してビス締め動作の開始を指令する(S3)。そして、ビス締め制御装置200からビス締め完了信号が返信されてきたら(S4:YES)、次の遊技盤があるか否かを判定し(S5)、次の遊技盤がある場合は(S5:YES)、搬送制御装置400に対してビス締めステーション10からビス締めの完了した遊技盤を搬出すると共に、次の遊技盤を搬入する搬出・搬入動作を開始する様に指令する(S6)。そして、搬送制御装置400から次の遊技盤の位置決めが完了した旨の信号が返信されてきたら(S7:YES)、S3へ戻ってビス締め制御装置200に対してビス締め動作の開始を指令する。一方、S5の判定で次の遊技盤がないと判定された場合は(S5:
NO)、搬送制御装置400に対して遊技盤の搬出を指令する(S8)。
【0044】
搬送制御装置400は、
図17に示す様に、メイン制御装置300から搬入動作の指令が入力された場合は(S10:YES)、エアシリンダ42を突出方向へストロークさせてストッパ部材41を突出状態とする(S11)。そして、上流側の搬送ライン20の搬送モータ422及びビス締めステーション10の搬送モータ421を駆動して搬送動作を実行させる(S12)。そして、ストッパセンサ411から、遊技盤1がストッパ部材41に当接した状態であることを示す検知信号が入力されたら(S13:YES)、搬送モータ421,422を停止させると共に(S14)、エアシリンダ57を突出方向へストロークさせて昇降テーブル51を上昇させる(S15)。そして、エアシリンダ57から動作完了信号が入力されると(S16:YES)、メイン制御装置300に対して位置決め完了信号を出力する(S17)。
【0045】
以上の搬入動作によって、
図7(A)〜(H)及び
図6(A)〜(C)に示した様に、遊技盤1がビス締めステーション10へと搬入され、搬送方向の位置決めがなされると共に上昇されて上面を基準高さに位置決めされる。
【0046】
一方、メイン制御装置300からの指令が搬出・搬入動作である場合は(S10:NO、S20:YES)、
図18に示す様に、エアシリンダ42を没入方向へストロークさせてストッパ部材41を没入状態とすると共に(S21)、エアシリンダ57も没入方向へストロークさせて昇降テーブル51を下降させる(S22)。続いて、ビス締めステーション10の搬送モータ421及び下流側搬送ライン30の搬送モータ423を駆動して搬出動作を実行させる(S23)。そして、遊技盤検知センサ群412の内の下流側搬送ライン30の所定位置にあるセンサからの検知信号に基づいてビス締めステーション10から遊技盤が搬出されたか否かを判定し(S24)、搬出完了と判定された場合は(S24:YES)、エアシリンダ42を突出方向へストロークさせてストッパ部材41を突出状態とし(S25)、上流側の搬送ライン20の搬送モータ422も駆動して次の遊技盤の搬入動作を実行させると共に(S26)、ストッパセンサ411から、遊技盤1がストッパ部材41に当接した状態であることを示す検知信号が入力されたら(S27:YES)、搬送モータ421,422を停止させると共に(S28)、エアシリンダ57を突出方向へストロークさせて昇降テーブル51を上昇させる(S29)。そして、エアシリンダ57から動作完了信号が入力されると(S30:YES)、メイン制御装置300に対して搬出・搬入完了信号を出力する(S31)。なお、下流側搬送ライン30の搬送モータ423は、次の工程との関係で停止時期を制御される。
【0047】
以上の搬出・搬入動作によって、
図8(A)〜(F)及び
図6(D),(E)に示した様に、ビス締めの完了した遊技盤1がビス締めステーション10から搬出されると共に、次の遊技盤1が、
図7(A)〜(H)及び
図6(A)〜(C)に示した様に、ビス締めステーション10へと搬入され、搬送方向の位置決めがなされると共に上昇されて上面を基準高さに位置決めされる。
【0048】
これに対し、メイン制御装置300からの指令が搬出動作である場合は(S10,S20:NO)、
図19に示す様に、エアシリンダ42を没入方向へストロークさせてストッパ部材41を没入状態とすると共に、エアシリンダ57も没入方向へストロークさせて昇降テーブル51を下降させる(S41、S42)。次に、ビス締めステーション10の搬送モータ421及び下流側搬送ライン30の搬送モータ423を駆動して搬出動作を実行させる(S43)。そして、遊技盤検知センサ群412の内の下流側搬送ライン30の所定位置にあるセンサからの検知信号に基づいて遊技盤が搬送ラインから搬出され終わったか否かを判定し(S44)、搬送終了と判定されたら(S44:YES)、搬送モータ421を停止する(S45)。なお、下流側搬送ライン30の搬送モータ423は、次の工程との関係で停止時期を制御される。
【0049】
以上の搬出動作によって、
図8(A)〜(F)及び
図6(D),(E)に示した様に、ビス締めの完了した遊技盤1がビス締めステーション10から搬出される。
【0050】
ビス締め制御装置200は、
図20に示す様に、メイン制御装置300からビス締め開始指令が入力されると(S100:YES)、縦軸方向移動用のXモータ134及び横軸方向移動用のYモータ135を駆動して自動ビス締め機100をビス締め位置(ドライバビット101の軸線がネジ孔1cの真上に来る位置)へと移動させる(S101)。そして、ビス締め位置への移動完了信号が入力されたら(S102:YES)、ビス供給装置104に対してビス2の供給を指令する(S103)。
【0051】
以上の動作によって、
図9に示した様に、自動ビス締め機100がビス締め位置へとXY移動されると共にビス2が供給されてビス締め開始準備が完了する。
【0052】
次に、エア給排切換装置131に対して、上昇側エア室の切替弁を排気、下降側エア室の切替弁を供給へと動作させる指令を出力すると共に(S111)、吸着装置132に対して、吸着動作を指令し(S112)、さらに、モータドライバ133に対して高速回転を指令する(S113)。
【0053】
以上の動作によって、
図10に示した様に、ビス2がドライバビット101に保持されて芯出しされた状態となる。
【0054】
そして、シリンダセンサ113から下降開始信号が入力されたら(S121:YES)、エア給排装置131に対して、下降側エア室の切替弁を給排停止に切り換えさせる指令を出力する(S122)。
【0055】
以上の動作によって、
図11,
図12に示した様に、ドライバビット101が吸着パイプ102と共に下降し、チャック爪103,103を押し開いて遊技盤1の上面にビス2を到達させ、遊技盤1に形成されているネジ孔1cへとビスを侵入させていく。図示の例は、アクリル板製遊技盤を示しており、ネジ孔1cは貫通孔として形成されている。なお、木材製遊技盤の場合には、貫通孔ではなく、ポンチ等による窪みが形成され、この窪みにビス2をねじ込む。
【0056】
その後、被検出部121aが第1検出高さLvel1まで下降し(
図13(C)参照)、第1高さセンサ121から検知信号が入力されたら(S131:YES)、モータドライバ133に対して、低速回転への切り換えを指令する(S132)。
【0057】
以上の動作によって、
図13に示した様に、ビス2の締め上げが開始される。
【0058】
その後、被検出部122aが第2検出高さLvel2まで下降し(
図14(C)参照)、第2高さセンサ122から検知信号が入力されたら(S141:YES)、エア給排切換装置131に対して、上昇側エア室の切替弁を給排停止へと動作させる指令を出力する(S142)。
【0059】
そして、トルクセンサ123が締め込み完了トルクの発生を検知したら(S151:YES)、モータドライバ133に停止を指令すると共に(S152)、エア給排切換装置131に対して、上昇側エア室の切替弁を供給、下降側エア室の切替弁を排気とする動作を行わせる指令を出力する(S153)。
【0060】
以上の動作によって、
図14に示した様に、ビス2の締め上げが完了する。
【0061】
そして、シリンダセンサ113から上昇完了信号が入力されたら(S161:YES)、次のビス締め位置があるか否かを判定する(S162)。そして、次のビス締め位置がある場合には(S162:YES)、S101へと戻る。一方、次のビス締め位置がない場合には(S162:NO)、ビス締め完了信号を出力する(S163)。
【0062】
以上の制御処理をタイミングチャートにすると、
図21に示す様に、時刻t1においてエアシリンダ112の下降側エアの供給と上昇側エアの排気とを開始すると、シリンダロッド111が下降し始める。また、時刻t1においては、ビス吸着とドライバ高速回転も開始している。
【0063】
時刻t2にてシリンダセンサ113がOFFになって下降開始が確認できると、下降側エアの供給を停止し、下降側エア室を給排停止状態とする。ここで、下降側エア室の切換弁は、負圧によって開く構造となっているので、ドライバユニット105の自重とバランスして少しずつエアが下降側エア室へと流入し、ゆっくりと下降していく。
【0064】
時刻t3になって第1高さセンサ121がONとなると、ドライバ回転速度を低速に切り換える。また、ビス吸着を停止する。この状態はちょうど、ビス2の頭の皿の部分をこれから締め上げる状態に相当する。従って、この後も、シリンダロッド111はさらにビス2の頭の分だけ下降するが、低速回転となった関係から、シリンダロッド111の下降ラインの傾斜はより緩やかになる。
【0065】
時刻t4になって第2高さセンサ122がONとなると、シリンダ112の上昇側エア室を給排停止とする。これにより、ドライバユニット105はこれ以上下降しなくなる。そして、時刻t5になってトルクセンサ123がONになったのを受けて、ドライバビット101の回転を停止する。時刻t4〜t5の間はシリンダロッド111は下降しないがドライバビット101が回転する間にビス2は皿の部分を締め上げる様にねじ込まれ続けている。そして、ドライバビット101が停止する時刻t6に下降側エア室を排気、上昇側エア室を供給とすることで、シリンダロッド111を速やかに上昇させる。そして、シリンダセンサ113がONとなった直後に下降側及び上昇側のエア室を共に給排停止状態とする。
【0066】
以上の様に構成したので、本実施形態によれば、遊技盤1は、片鍔ローラ列13L,13Rに両サイドを支持される様にしてビス締めステーション10へと搬入される。そして、突出されたストッパ部材41に当接して停止し、搬送方向の位置決めが行われる。その後、昇降テーブル51を上昇させることにより、遊技盤1は押し上げられる。このとき、片鍔ローラ列13L,13Rは上側には鍔がないから、遊技盤1はガイドプレート16L,16Rの下面に上面が当接するまで上昇する。そして、ガイドプレート16L,16Rの下面に遊技盤1の上面が当接する位置よりは上昇できなくなり、ガイドプレート16L,16Rと昇降テーブル51とに挟まれた状態で保持される。この状態になってから、自動ビス締め機100によるビス締めを行う。このとき、自動ビス締め機100は、ガイドプレート16L,16Rの下面を基準位置として動作する様に構成されているので、遊技盤1に対して押圧力を掛けすぎたり、逆に、遊技盤1に対するビス2の締め上げ力が不足するなどといった不具合を生じない。
【0067】
ここで、昇降テーブル51の上面には位置決めピン58,59が立設されており、上昇の際に、位置決めピン58,59を遊技盤1の裏面に形成した位置決め孔1a,1b(
図5参照)に嵌合させた状態で遊技盤1を押し上げる様に構成されている。かかる構成をも備えることにより、遊技盤1を搬送するための片鍔ローラ列13L,13Rによる支持方向やストッパ部材41による停止位置に関して若干の遊びを有する構成としておいても、最終的に押し上げ動作を行う昇降テーブル51でしっかりとした位置決めができる。従って、片鍔ローラ列13L,13R及びストッパ部材41による支持や位置決めが遊技盤1の昇降動作を阻害することとならない様に遊びを設けても、遊技盤1は、昇降テーブル51とガイドプレート16L,16Rとの間に挟まれた状態において、位置決めピン58,59による位置決めもなされているので、例えば、風車や役物など、上面に取り付けるべき部品の取り付け位置がずれたりすることがない。
【0068】
また、本実施形態の遊技盤製造設備は、さらに、ビス締めステーション10を遊技盤搬送ライン20,30の間に直列に設置し、遊技盤搬送ライン20,30も、片側にだけ鍔21,31の付いた鍔付きローラ22,32を、鍔21,31を下にして鉛直軸を回転中心とする様に二列に設置した片鍔ローラ列23L,23R,33L,33Rによって構成したので、遊技盤1は、両サイドからの支持を受けて搬送され、例えば、裏面に裏樋、制御基板、液晶表示装置などの裏側部品を取り付けた状態で製造ラインに流すこともできる。
【0069】
加えて、本実施形態においては、片鍔ローラ列の鍔11,21,31は、外側に向かって薄くなる様な断面テーパ形状に構成されているので、遊技盤1は自重によって片鍔ローラ12,22,32のテーパ断面の鍔11,21,31の上面にしっかりと当接し、十分な推進力を受けてスムーズに搬送される。また、鍔11,21,31からの推進力で搬送することになるので、片鍔ローラ列間にスムーズな昇降のための遊びを設けておくこともできる。そして、かかる遊びをしっかりと設けることで、昇降時に遊技盤1の縁がローラ面に接触して傾いたりすることがなく、位置決め精度を良好なものとすることができる。
【0070】
加えて、ビス締めステーション10では、自動ビス締め機100によるビス2の締め込みに当たり、下降側エア室へのエア供給によって下降の切っ掛けを与えた後は、ドライバユニット105の自重で下降させ、ねじ込み開始後もドライバユニット105の自重でビス締めを実行する。従って、遊技盤1に対して強い集中荷重が加わることがなく、昇降テーブル51が押し下げられることもないので、エアシリンダ57で昇降させる構成であっても高さに狂いが生じることはない。なお、この自重での下降に当たって、下降側エア室は排気ではなく給排停止状態としているので、負圧に応じて切換弁から流入するエアに応じてゆっくりと下降し、一気に降下することはない。よって、ねじ込みに十分な程度の圧力を加える様にドライバユニットの自重を大きくしたとしても、遊技盤に対してビス2を強く衝突させるということはない。
【0071】
また、ねじ込み完了直前の残り僅かの量を強く締め上げ始める高さになったことを第1高さセンサ121で検出し、それまでは高速回転による良好な芯出しがされた状態でビス2を遊技盤1に形成されているネジ孔内に侵入させる。そして、締め上げ始めるべき高さに到達したことを第1高さセンサ121で検出したら低速回転に切り換えて十分なトルクを加えながら締め上げを実行し、第2高さセンサ122が締め上げ完了高さに到達したことを検知し、かつ、トルクセンサ123によって締め込み完了トルクが発生したことを検知してからねじ込み動作を停止するので、ビス2が確実にねじ込まれた状態とすることができ、ねじ込み不足とならない。
【0072】
従って、本実施形態によれば、木材製遊技盤も合成樹脂製遊技盤も、いずれであっても加工可能であり、かつ、役物等の各種部品の取り付け不良を生じることがない。
【0073】
以上、発明を実施するための最良の形態としての一実施形態を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0074】
例えば、搬送ライン20,30には、水平ローラによるローラコンベアを備える様にしても構わない。