(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5729905
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】音声システムの較正方法および装置
(51)【国際特許分類】
H04R 3/04 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
H04R3/04
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2009-502129(P2009-502129)
(86)(22)【出願日】2007年3月22日
(65)【公表番号】特表2009-531899(P2009-531899A)
(43)【公表日】2009年9月3日
(86)【国際出願番号】FI2007050156
(87)【国際公開番号】WO2007110476
(87)【国際公開日】20071004
【審査請求日】2010年2月26日
【審判番号】不服2013-22045(P2013-22045/J1)
【審判請求日】2013年11月11日
(31)【優先権主張番号】20060294
(32)【優先日】2006年3月28日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】503298726
【氏名又は名称】ジェネレック オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドバーグ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】マキヴィルタ,アキ
(72)【発明者】
【氏名】ティッカネン,ユシ
(72)【発明者】
【氏名】ウルホネン,ユハ
【合議体】
【審判長】
酒井 朋広
【審判官】
萩原 義則
【審判官】
井上 信一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平5−168087(JP,A)
【文献】
特開2005−341267(JP,A)
【文献】
特開2004−133409(JP,A)
【文献】
特開平3−136499(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/032206(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を生成するスピーカ要素(16)と、増幅器を有し、テスト信号(10)を備える外部コンピュータ(8)とインターフェース装置(18)を介して接続する、前記スピーカ要素(16)を制御するための制御装置(2)と、電気的可変周波数較正信号(50)を形成するためのジェネレータ(15)とから構成されるアクティブ・ラウドスピーカ(1)を準備することと、
正弦波信号の前記電気的可変周波数較正信号(50)が少なくとも全音声周波数範囲にわたって最低周波数から増加する周波数を用いて対数的な速度で走査されるように、前記電気的可変周波数較正信号(50)を音声再生システムの前記アクティブ・ラウドスピーカ(1)の内部の前記ジェネレータ(15)で形成することと、
前記アクティブ・ラウドスピーカの内部で、前記スピーカ要素(16)により、前記電気的可変周波数較正信号(50)から音声信号(3)を形成することと、
前記音声信号(3)を前記アクティブ・ラウドスピーカ(1)の外部のマイクロフォン(4)で測定することと、
前記インターフェース装置(18)のアナログ加算器(6)により、前記音声信号(3)と、前記電気的可変周波数較正信号(50)の形成を開始させる前記テスト信号(10)とを加算して応答信号(9)を形成することと、
前記外部コンピュータ(8)により前記応答信号(9)を分析することと、
前記テスト信号(10)を、前記分析の結果に基づいて前記外部コンピュータ(8)により調整し、前記インターフェース装置(18)により生成して前記制御装置(2)へ送ることと、
を含む、ことを特徴とする音声再生システムにおける遠隔制御による較正方法。
【請求項2】
前記外部コンピュータ(8)の知られていないサウンド・カードを較正するために使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サウンド・カード(7)の応答は、周波数応答を使用してモデル化される、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記外部コンピュータ(8)のサウンド・カード(7)の増幅度を決定するために使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アクティブ・ラウドスピーカ(1)の距離を決定するために使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
サブウーファおよびメイン・アクティブ・ラウドスピーカの位相をクロスオーバ周波数で同じに設定するために使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
リスニング・ルームで前記アクティブ・ラウドスピーカ(1)全ての応答を均一化するために使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
音を生成するスピーカ要素(16)と、増幅器を有し、前記スピーカ要素(16)を制御するための制御装置(2)と、アクティブ・ラウドスピーカ(1)の内部で正弦波の電気的可変周波数較正信号(50)を形成するためのジェネレータ(15)とから構成されるアクティブ・ラウドスピーカ(1)と、
前記ラウドスピーカ(1)の内部で前記スピーカ要素(16)により前記電気的可変周波数較正信号(50)から生成された音声信号(3)を測定するための前記ラウドスピーカの外部のマイクロフォン(4)と、
アナログ加算器(6)を有する前記ラウドスピーカの外部のインターフェース装置(18)と、
テスト信号を有し、前記制御装置(2)と前記インターフェース装置(18)を介して接続する外部コンピュータ(8)と、
を備え、
前記電気的可変周波数較正信号(50)は、前記ジェネレータ(15)により、少なくとも全音声信号範囲にわたって最低周波数から増加する周波数を用いて対数的な速度で走査され、
前記マイクロフォンから得られる前記音声信号(3)は、前記インターフェース装置(18)の前記アナログ加算器(6)により、前記電気的可変周波数較正信号(50)の形成を開始させる前記テスト信号(10)と加算されて前記外部コンピュータ(8)により分析され、
分析結果に基づき、前記テスト信号(10)は前記外部コンピュータ(8)により調整され、前記インターフェース装置(18)により生成された後、前記制御装置(2)へ送られる、ことを特徴とする音声再生システムにおける較正機器。
【請求項9】
前記外部コンピュータ(8)の知られていないサウンド・カードの周波数応答を較正するために使用される、ことを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項10】
前記サウンド・カード(7)の応答は、前記周波数応答を使用してモデル化される、ことを特徴とする請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記外部コンピュータ(8)のサウンド・カード(7)の増幅度を決定するために使用される、ことを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項12】
前記ラウドスピーカの距離を決定するために使用される、ことを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項13】
サブウーファおよびメイン・ラウドスピーカの位相をクロスオーバ周波数で同じに設定するために使用される、ことを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項14】
リスニング・ルームで前記音声再生システムシステムの前記ラウドスピーカ(1)全ての応答を均一化、つまり較正するために使用される、ことを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項15】
音を生成するスピーカ要素(16)と、
増幅器を有し、テスト信号を備える外部コンピュータ(8)とインターフェース装置(18)を介して接続する、前記スピーカ要素(16)を制御するため制御装置(2)と、
正弦波の電気的可変周波数較正信号(50)を前記ラウドスピーカの内部で形成するためのジェネレータ(15)と、
から構成されるアクティブ・ラウドスピーカ(1)であって、
前記電気的可変周波数較正信号は、少なくとも全音声信号範囲にわたって最低周波数から増加する周波数を用いる手段により対数的な速度で走査されるように、前記ジェネレータ(15)により形成され、
音声信号(3)は、前記アクティブ・ラウドスピーカの内部で、前記スピーカ要素(16)により、前記電気的可変周波数較正信号(50)から形成され、
前記音声信号(3)は、前記アクティブ・ラウドスピーカ(1)の外部のマイクロフォン(4)で測定され、
前記音声信号(3)は、前記インターフェース装置(18)のアナログ加算器(6)が、前記音声信号(3)と、前記電気的可変周波数較正信号(50)の形成を開始させるテスト信号(10)とを加算した後に前記外部コンピュータ(8)により分析され、
前記音声再生システムの前記テスト信号(10)は、分析結果に基づいて前記外部コンピュータ(8)により調整され、前記インターフェース装置(18)により生成された後に前記制御装置(2)へ送られる、ことを特徴とするアクティブ・ラウドスピーカ。
【請求項16】
制御ネットワーク(13)を通して読み取ることができる明白なアイデンティティを有する、ことを特徴とする請求項15に記載のアクティブ・ラウドスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる較正方法に関する。
【0002】
本発明は、較正機器にも関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術で、テスト信号がラウドスピーカに供給される較正方法が知られている。テスト信号への応答は、測定システムを使用して測定され、システムの周波数応答はイコライザを使用してできるだけ平坦に調整される。
【0004】
最先端技術の欠点は、測定の構成がむずかしく特別な機材を必要とすることである。較正の構成は、異なる傾聴空間に対して一般化することができず、信頼できる結果を得るには、非常に正確な計画ならびに測定システムの個々の部分を使用するための知識および技量も常に求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記で開示した、最先端技術の欠陥を無くし、その目的に対して音響再生システムを較正するための完全に新しいタイプの方法および機器を作り出すものとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、制御ネットワークを活用してコンピュータの周辺に構築された較正システムに接続されている音響再生機材に基づいている。
【0007】
本発明の好ましい第1の実施形態を活用して、コンピュータのサウンド・カードの周波数応答は、サウンド・カード外部のジェネレータを使用して較正することができるが、そのサウンド・カードは、そのサウンド・カードがその中にあるコンピュータによって制御される。
【0008】
本発明の第2の好ましい実施形態によって、サウンド・カードの増幅度は、テスト信号の電圧設定を使用して較正される。
【0009】
本発明の第3の好ましい実施形態によって、アクティブ・ラウドスピーカは、対数走査正弦テスト信号を作り出すのに使用できる信号ジェネレータを備える。
【0010】
本発明の第4の好ましい実施形態によって、測定信号のレベルは、可能な最大限の信号対雑音比の達成を目的として調整される。
【0011】
本発明の第5の好ましい実施形態によって、メイン・ラウドスピーカおよびサブウーファの位相は、アクティブ・サブウーファ・ラウドスピーカに組み込まれたサイン・ジェネレータを活用してクロスオーバ周波数で同じにセットされる。
【0012】
本発明の第6の好ましい実施形態によって、相互レベルの相違およびラウドスピーカ・システムでのラウドスピーカのタイム・オブ・フライト遅れを無くすために、対数正弦波信号を使用して聴取位置(マイクロフォンの位置)でのラウドスピーカの周波数応答を均一にする。
【0013】
より具体的には、本発明による方法は請求項1の特徴部分に記載する内容によって特徴付けられている。
【0014】
本発明による機器は、次に、請求項10の特徴部分に記載する内容によって特徴付けられている。
【0015】
本発明を活用して相当の利点が得られる。
【0016】
本発明による方法を活用し、任意の如何なるサウンド・カードでもサウンド・カードがあるコンピュータは、任意の如何なるものであっても経済的なマイクロフォンを活用して音響再生システムを較正するのに使用することができる。
【0017】
本発明を実行するソフトウェアはコンピュータの最もありふれたオペレーティング・システム全てにインストールすることができる。
【0018】
本発明の第1の好ましい実施形態によって、サウンド・カードの応答は、FFTを使用して例えばH=FFT(y)/FFT(x)として計算することができることを構想することが可能である。ここで、Hは周波数応答、xは知られている生成された信号、およびyはサウンド・カードによって記録された音響応答である。しかし、これは、生成された信号のスペクトルが連続でない限り(全周波数でのエネルギが調べられる)結果を生ずることはない。そうでないと入力信号のエネルギ含量が0の(または非常に少ない)それら周波数では周波数応答は計算することができない(信号xおよびyは0値を受け、その場合商Hはこの周波数では存在しなくなる)からであり、したがってこの方法は一般的な解決方法として使用することができない。
【0019】
本発明による方法は、コンピュータの任意の如何なるサウンド・カードでも動作するので、サウンド・カードの周波数応答は互いに異なっている可能性がある。
【0020】
本発明によるモデリングを使用して行われる測定がこの問題を無くす。
【0021】
サウンド・カードの周波数応答の欠陥を無くすための知られている方法は、例えばサウンド・カードが信号を生成しそれ自体を記録するループバック測定である。この方法では、サウンド・カードの出力の応答は入力の応答と区別することができない。本発明による方法では出力だけが測定され、その場合入力はそれ自体によって均一にすることができる。
【0022】
本方法によって生成される構造は、測定に必要なパルスが例えばマイクロ・コントローラのIOラインで生成され、そのマイクロ・コントローラによって生成された電圧はマイクロフォン信号で合計されるので実装が非常に簡単である。
【0023】
この方法はマイクロフォン増幅器内に組み込むことができ、それによって較正はオペレータに対して透過的に(オペレータがそれと知らずに)、かつ音響測定が記録されるのと同時に実施することもできる。
【0024】
本発明の第2の好ましい実施形態によって、コンピュータのオペレーティング・システムによって引き起こされる未知で変化する遅れを無くすことができる。コンピュータのサウンド・カードの出力の感度(電圧によるディジタル・ワードのサイズ)を計算することができる。
【0025】
本発明の第3の好ましい実施形態によれば、テスト信号は、コンピュータからラウドスピーカに供給されるのではなくラウドスピーカ内で生ずるので、テスト信号が音響応答に加えて他の歪または変化を創出することはない。
【0026】
測定マイクロフォンおよびコンピュータ・サウンド・カードの入力の周波数応答だけが音響伝達経路に加えて測定信号に影響を与える。
【0027】
測定信号は組み込まれているので常時使用可能である。
【0028】
測定信号の波高率は小さいので良好な信号対雑音比を生成する。
【0029】
第4の好ましい実施形態によって、下記の利点が達成される。
【0030】
マイクロフォンの距離は大きく変化することができるので、測定信号によって生成される音響応答の大きさは非常に広い限度内で変化することができる。
【0031】
環境によって生成される雑音は同じようには変化せず、(各部屋で)比較的一定にとどまる。
【0032】
マイクロフォンがラウドスピーカに非常に近い場合には記録される信号が大きすぎることもあり、その場合信号はコンピュータのサウンド・カードでピーク・リミット処理される。
【0033】
マイクロフォンが非常に離れている場合、信号は環境雑音に対して小さすぎ、その場合には信号対雑音比は貧弱のままである。
【0034】
レベル設定を活用して有利な信号対雑音比を常に確保することができる。
【0035】
測定信号のピーク・リミット処理は信号のレベルを少なくすることによって避けることができる。信号対雑音比は信号のレベルを上げることによって向上させることができる。
【0036】
レベルの設定はコンピュータの制御に常時知らされ、計算に際して考慮に入れることができる。
【0037】
本発明の第5の実施形態を活用して下記の利点が達成される。
【0038】
ラウドスピーカがどこに配置されているかに関係なく(距離が音声レベルに、配置が位相に影響を与える)正しい位相設定が見出される。
【0039】
測定は現状に対応する(サブウーファおよびメイン・ラウドスピーカは同時に作動し、同じ音声信号を繰り返す)。
【0040】
本発明の第6の好ましい実施形態によって、全ラウドスピーカ・システムの全てのラウドスピーカは、同一のルーム・レスポンスを伴って、相互に適切なレベルに、仮想距離におかれる。
【0041】
下記で例を活用して本発明を添付図面を参照して検討する。
【0042】
本発明では下記の用語が使用される。
1 ラウドスピーカ
2 ラウドスピーカ制御ユニット
3 音響信号
4 マイクロフォン
5 プリアンプ
6 アナログ加算器
7 サウンド・カード
8 コンピュータ
9 測定信号
10 テスト信号
11 USBリンク
12 制御ネットワーク・コントローラ
13 制御ネットワーク
14 IOライン
15 信号ジェネレータ
16 ラウドスピーカ要素
18 インターフェース装置
50 較正信号
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
図1は機器全体を示し、ラウドスピーカ1は制御ネットワーク13を通し、インターフェース装置18を用いてコンピュータ8に接続されている。
【0044】
インターフェース装置18は、
図2によれば制御ネットワーク・コントローラ12、プリアンプ5、および制御ネットワーク・コントローラから来るIOライン15(そのIOラインを通してテスト信号10が加算器へ伝送される)が接続されているアナログ加算器6を含む。
【0045】
図2は
図1と同じ機能を含むが、簡明さのためにラウドスピーカ1は1つだけが示されている。
【0046】
図2は本発明の機器全体を示し、ラウドスピーカ1が音響信号3を生成する。テスト目的で音響信号3が、ラウドスピーカ自身の制御ユニット2のジェネレータ15によって形成される電気較正信号から作り出される。制御ユニット2は一般的に増幅器を含み、したがってラウドスピーカ1をアクティブ・ラウドスピーカとしている。テスト信号は、
図6でとりわけグラフに示されているような正弦走査信号であることが好ましい。較正信号50(
図5)の周波数は、人の可聴範囲にわたって走査されるが、好ましくは走査が最低周波数から始まり周波数が対数的な速度でより高い周波数に向かって増加するような方法で行われる。較正信号50の生成は制御バス13を通してラウドスピーカ1の制御ユニット2にもたらされる信号によって開始される。音響信号3はマイクロフォン4で受けられプリアンプ5によって増幅される。プリアンプ5から来る信号は、アナログ加算器6で一般的に方形波であるテスト信号10と組み合わされる。アナログ加算器6は一般的に演算増幅器を使用して実装される回路である。テスト信号10は、制御ネットワークの制御ユニット12から得られる。実際にはテスト信号は、制御ネットワークの制御ユニットのマイクロプロセッサのIOライン14から直接得ることができる。
【0047】
したがって、本発明により音響測定信号3は制御バス13を通して遠隔制御によって開始することができる。マイクロフォン4は音響信号3を受け、それとテスト信号10が加算される。
図2によると、コンピュータ8のサウンド・カード7はサウンド信号を受け、そのサウンド信号には当初テスト信号があり、次いで特定の時間(音響のタイム・オブ・フライト)の後には音響信号の応答9がある。
【0048】
図3は、上記の方法によってコンピュータのサウンド・カード7で生成される信号を示す。時間t
1は、コンピュータのオペレーティング・システムによって引き起こされる不規則に変化する時間である。音響応答9開始迄の時間t
2は、主に音響遅れ(移動時間)に基づいて決められ不規則な変化は現れない。音響応答9は、ラウドスピーカ室システムの対数正弦走査に対する応答であり、その周波数は増加してゆく。
【0049】
本発明の第1の好ましい実施形態では、知られていないサウンド・カードの周波数応答が較正されるがその手順は下記の通りである。パルス形状が、コンピュータ8のサウンド・カード7および好ましくはコンピュータのUSBバス11に接続されている制御ネットワークのコントローラ12によって生成される。コンピュータによって実行させられるプログラムの制御の下に制御ネットワーク・コントローラがテスト信号10を生成する。コンピュータ8のサウンド・カード7の入力のテスト信号に対する応答として発生するパルスの形状を受け取って記録するためにサウンド・カード7が使用される。
【0050】
ディジタルIOライン14によって生成されるパルス波10(2つの値がある:0および1つの値に対応する電圧)は入力パルスとして使用することができる。
【0051】
入力パルス10はマイクロフォン信号と(アナログ的に)加算することができる。
【0052】
サウンド・カードに記録されたテスト信号10は、サウンド・カードによってもたらされるフィルタリングによってその形状を変える。サウンド・カードの周波数応答は帯域周波数応答であり、ハイパス特性(低周波で)およびローパス特性(高周波で)を含むことが知られている。テスト信号の原形10はコンピュータに知られている。その中でテスト信号の原形がサウンド・カードのフィルタリング特性を示すフィルタを通って移動するモデルが、記録されたテスト信号10に適用される。ある好ましい実装形態では、フィルタの伝達関数のパラメータは、適応方法を使用する最適化を活用して選択されるが、このモデルによって生成されたフィルタ後のテスト信号10がその形状においてできるだけ正確にサウンド・カードに記録された本当のテスト信号に対応するように選択される。フィルタリングによってもたらされる周波数応答H(b,a)(bおよびaは、周波数応答モデルのパラメータである)が次いで定められる。
【0053】
このように定められた周波数応答を使用してイコライザが形成され、そのイコライザを活用して周波数応答Hは、人の可聴範囲に対応する周波数と等しくすることができる。このようにして定められた等価値は、後に音響応答が測定されるときに使用される。測定された音響応答がこの等価値を使用して修正されるとき、サウンド・カードがもたらすフィルタリングは人の可聴範囲内の周波数で修正される。
【0054】
構造を選択し、モデル化される伝達関数の程度を決めて測定の精度および速度に影響を与えることができる。
【0055】
本発明の第2の好ましい実施形態によれば、IOライン14によって生成されるテスト信号15の電圧はある特定の値に設定される。
【0056】
この方法では、知られているテスト信号10の発生は、ラウドスピーカによって生成される較正信号50を開始させる命令(対数正弦走査)の部分として組み込まれている。
【0057】
コンピュータ8は3つの部分から成る信号を記録する。第1はテスト信号10であり、それがおさまった後は、マイクロフォンに3番目に到達する、ラウドスピーカによって生成される音響信号3であり、その信号は応答9として記録される。下記が記録された情報から読み取ることができる:
テスト信号の電圧を活用して、コンピュータに記録されているディジタル・ワードの大きさを電圧で測定することができる。(これは、パルスの電圧による高さは事前に知ることができ、パルスのディジタル表現の大きさは記憶された信号から調べることができるからである。)
テスト信号10の開始と音響応答9の開始の間の時間t
2は、ラウドスピーカ1の測定マイクロフォン4からの距離を表し、この情報を使用してラウドスピーカ1(全音声バンドを再生する)の測定点からの距離を計算することが可能である。これが生じるのは、テスト信号の開始(
図3で時間t
2の開始)からサウンド・カード7によって記録され、計算を開始する前にその中のテスト信号10を0に設定する信号を含むある信号をFFT計算のための初期データとして取ることによってであり最も有利である。
【0058】
テスト信号を発生させる命令はコンピュータ8から来る。しかし実際には、その後から命令が発せられる遅れ(
図3、t
1)は、オペレーティング・システム(Windows(登録商標)、Mac OS X)と関係なく変化することが観察されよう。この遅れは不規則で予測することができない。一度命令が発せられると、命令およびテスト信号は1つに、かつ同じ機能にリンクされるのでテスト信号の発生から測定信号(つまり較正信号)の発生の開始までの間に知られた一定の時間が常に存在する。これに加えてラウドスピーカと測定マイクロフォンの間の距離だけによって影響される、音響的に記録される測定信号を開始するまでの時間がある。
【0059】
本発明の第3の好ましい実施形態によれば、事前に正確に知られている較正信号50を生成するジェネレータ15がラウドスピーカ1内に組み込まれる。
【0060】
ジェネレータ15によって生成される較正信号は正弦走査であり、その周波数走査の速度は、その時点の周波数の対数が時間に比例し、log(f)=ktとなるように増加する。ここで、fは信号の瞬時周波数、kは速度を定める定数、tは時間である。周波数の増加は時間の経過とともに加速する。
【0061】
テスト信号は、数学的に正確に定められるので、それはラウドスピーカ1によって生成されるテスト信号に関係なくコンピュータ内で精確に再生することができる。
【0062】
そのような測定信号は、全ての周波数を含むが、ピーク・レベルがRMSレベルに非常に近いので信号の波高率(ピーク・レベルのRMSレベルに対する関係)は非常に有利であり、したがって信号は測定において非常に優れた信号対雑音比を生成する。
【0063】
信号50(
図5)は低周波数から動き始めその周波数が増加するので、低周波数では高周波数の場合より通常は長い反響時間を伴う部屋では信号は有利に動作する。
【0064】
較正信号50の発生は遠隔制御を通して与えられる命令を使用して開始することができる。
【0065】
本発明の第4の好ましい実施形態によって、ラウドスピーカで生成される較正信号50の大きさは制御ネットワーク13を通して変更することができる。
【0066】
較正信号50は記録される。較正信号に対する較正信号50の音響応答9の大きさが測定される。音響応答9が小さすぎる場合、その較正信号50のレベルが増やされる。音響応答9がピーク・リミット処理される場合には、較正信号50のレベルが減ぜられる。
【0067】
測定は、最適な信号対雑音比および音響信号9のレベルが見出されるまで繰り返される。
【0068】
レベルの設定は各ラウドスピーカに対して別々に実施することができる。
【0069】
レベルが変更された程度はコンピュータ8で制御され、したがって知られているため、結果を計算するときにこの情報を考慮に入れることができ、それによってレベルに対して正確な尺度をもつ信頼性の高い測定結果が距離に関係なく得られる。
【0070】
本発明の第5の好ましい実施形態によって、サブウーファで内部正弦ジェネレータが使用される。サブウーファの位相はコンピュータから制御ネットワーク13を通して調整され、音響信号がマイクロフォンを使用して測定される。
【0071】
サブウーファおよびメイン・ラウドスピーカをクロスオーバ周波数で同じ位相に設定するには2つの段階がある。
段階1:サブウーファおよび基準ラウドスピーカのレベルは、1つまたは両方のレベルを別々に測定し、各ラウドスピーカによって生成されるレベルを設定することによって同じに設定される。
段階2:両方のラウドスピーカは、サブウーファが生成する同じ正弦波信号を繰り返す。
共通の音声レベルはマイクロフォンで測定される。
位相が調整され、音声レベルが最低になる位相設定が探られる。ラウドスピーカおよびサブウーファは次いで反対位相になる。
サブウーファは、これと180度の関係にある位相設定に変えられ、それによってラウドスピーカとサブウーファは同じ位相になり、したがって正しい位相設定が見出されたこととなる。
【0072】
本発明の第6の好ましい実施形態によって、システムの全ラウドスピーカ1の音響インパルス応答が、上記の方法を使用して測定される。そのような較正が
図3に示されている。
【0073】
周波数応答は各インパルス応答から計算される。
【0074】
ラウドスピーカの距離は各インパルス応答から計算される。
【0075】
周波数応答に基づいて、室内で所望の周波数応答を達成することになるイコライザ・フィルタの設定(平坦周波数応答)が計画される。
【0076】
均一化された応答によって生成された(相対的)音声レベルが計算される。
【0077】
各ラウドスピーカに対する遅れが設定され、全ラウドスピーカの測定された応答はこの設定を用いて同じ量の遅れを含む(ラウドスピーカは見かけ上同じ距離にある)ことになる。
【0078】
レベルが各ラウドスピーカに対して設定され、そのレベルでラウドスピーカは測定点で見かけ上同じ音声レベルを生成する。各ラウドスピーカのレベルは周波数応答から、周波数のある一点でまたはより広い周波数範囲で測定することができ、そのより広い周波数範囲における平均レベルは平均値、RMS値、または中央値を使用して計算することができる。さらにその平均値を計算する前に音声レベルには異なる周波数で異なる重み係数を与えることができる。周波数範囲および重み係数は、異なるラウドスピーカおよびサブウーファからこのようにして計算された音声レベルが主観的にできるだけ同等になるように選択することができる。好ましい実装形態では平均レベルは、周波数帯500Hz〜10kHzからRMS値を用いて全周波数が同じ重み係数を有するように計算される。
【0079】
1つまたは複数のサブウーファ位相が次いで上記のように調整される。
【0080】
本適用例では音声という用語は周波数範囲10Hz〜20kHzを表す。
【0081】
本発明の好ましい1つの実施形態では、システムの本質的なデータは全て1つのファイルまたはラウドスピーカのアイデンティティによる情報に基づくシステム・セットアップ・ファイルに記録される。各ラウドスピーカは、システム・セットアップ・ファイルでデータ管理に使用される明白なアイデンティティを有することが好ましい。このアイデンティティはラウドスピーカ1の製造段階で形成されることが好ましい。データ・システム8はラウドスピーカの設定を積極的にアップデートする。全ラウドスピーカ・システムの特性はファイルを開くことによって表示され、かつこのファイルまたはシステム・セットアップ・ファイルを通してアップデートすることもできる。
【0082】
ある好ましい実装形態では、上記の段階は下記の順序で実行される:
全ラウドスピーカの音響応答がコンピュータのサウンド・カードを活用して記録される、
各応答からラウドスピーカのインパルス応答が計算される、
音の移動時間が各インパルス応答から測定され、ラウドスピーカの距離がそれに基づいて計算される、
各ラウドスピーカの距離に基づいて、そのラウドスピーカから来る音の移動時間を他方のラウドスピーカからの音の移動時間と同じにするのに追加される遅れが計算される、
各インパルス応答から周波数応答が計算される、
周波数応答に基づいてラウドスピーカのレベルが計算される、
各ラウドスピーカに対する補正(そのラウドスピーカのレベルを他方のラウドスピーカのものと同じにする)が計算される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】本発明による方法に対して適切である1システムのブロック図である。
【
図2】本発明による第2の較正回路を示す図である。
【
図3】コンピュータのサウンド・カードが記録する本発明による信号をグラフで示した図である。
【
図4】本発明による較正構成で一般的に測定される信号をグラフで示した図である。
【
図5】ラウドスピーカによって生成されるテスト信号をグラフで示した図である。