(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載の自車速ベースの追従走行制御装置の場合、追従走行制御の目標車間距離が時々刻々の自車速に応じて変化するので、例えば、先行車が高速の一定車速(例えば80km/h)で走行し、追従走行制御の目標車間距離が十分に長くなって実際の車間距離が多少割り込んでも(変動しても)問題のないような状況下、追従走行制御により、自車が先行車に追いついて追従走行するときには、先行車が一定車速で走行しているにもかかわらず、自車速ベースの追従走行制御の目標車間距離が自車速の変化にしたがって変わるので、目標車間距離が長くなって自車を減速することと、目標車間距離が短くなって自車を加速することとを交互にくり返すような事態が発生し、自車の走行挙動が不安定になる可能性がある。
【0007】
前記特許文献2に記載の先行車ベースの追従走行制御装置の場合、目標車間距離が長い高速の一定車速(例えば80km/h)で先行車が走行し、先行車に自車が追従走行するときには、目標車間距離が自車の車速変化によっては変わらず、自車は安定な走行挙動で先行車に追いついて追従走行する。しかしながら、自車と先行車が追従走行しているときに、先行車が減速して低速または停止の状態に変化すると、先行車ベースの目標車間距離は異常に短くなる可能性がある。
【0008】
図8は先行車ベースの追従走行を模式的に示し、(a)は先行車aが例えば80km/hで高速走行している場合であり、このとき、追従する自車bの追従走行制御の目標車間距離αは先行車ベースで例えば40mの十分に長い距離である。(b)はそれから先行車aが減速して停止(0km/h)した場合であり、自車bの前記目標車間距離αは先行車ベースでは略
0mにまで短くなる。
【0009】
そして、このような短い目標車間距離αでの追従走行制御にあっては、自車bが目標車間距離αを割り込み易くなる。
【0010】
本発明は、自車の走行挙動が不安定になることがなく、しかも、先行車が減速または停止の状態に変化したときの追従走行制御の追従性のよい追従走行制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するために、本発明の追従走行制御装置は、設定された追従走行の目標車間距離を保つように自車を先行車に追従走行制御する追従走行制御装置であって、
自車速を検出する車速センサと、自車と先行車との車間距離を検出する車間距離検出手段と、前記車間距離検出手段により検出される前記車間距離の時間変化から求められる先行車の相対速度に前記車速センサによる前記自車速を加えて現在の先行車車速を求め、予め異なる複数の先行車車速それぞれに対する目標車間距離が設定されたデータマップから、前記現在の先行車車速に対応する目標車間距離を先行車車速側の目標車間距離
として求める第1演算手段と、
予め異なる複数の自車速それぞれに対する目標車間距離が設定されたデータマップから、前記車速センサによる現在の自車速に対応する目標車間距離を自車速側の目標車間距離
として求める第2演算手段と、
前記第1演算手段により求められる前記先行車車速側の目標車間距離を追従走行制御の目標車間距離に優先的に選択し、前記先行車車速側の目標車間距離が設定された切替許可距離以下に短くなるときに
、前記第1演算手段により求められる前記先行車車速側の目標車間距離と
前記第2演算手段により求められる前記自車速側の目標車間距離とのいずれか長い方を前記追従走行制御の目標車間距離に選択
し、前記先行車車速側の目標車間距離が設定された切替許可距離以下に短くなるとき以外は、優先的に選択した前記先行車車速側の目標車間距離を追従走行制御の目標車間距離に維持する目標車間距離選択手段とを備えることを特徴としている(請求項1)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る本発明の追従走行制御装置の場合、第1演算手段は先行車の車速ベースで先行車車速側の目標車間距離を
求め、第2演算手段は自車速ベースで自車速側の目標車間距離を
求める。そして、目標車間距離選択手段により、先行車車速側の目標車間距離が所定の切替許可距離より長ければ、第1演算手段
により求められる先行車車速側の目標車間距離を追従走行制御の目標車間距離に優先的に選択し、追従走行制御の目標車間距離が自車の車速変化によっては変化しないようにして安定な走行挙動で追従走行制御を行なう。また、先行車の減速や停止によって先行車車速側の目標車間距離が所定の切替許可距離より短くなると、第2演算手段
により求められる自車速側の目標車間距離を追従走行制御の目標車間距離に選択して追従走行制御を行なう。このとき、追従走行制御の目標車間距離が先行車車速側の目標車間距離を選択する場合より長くなり、追従性が向上する。
【0014】
したがって、自車の走行挙動が不安定になることがなく、しかも、先行車が減速または停止の状態に変化したときの追従走行制御の追従性のよい追従走行制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに、本発明をより詳細に説明するため、一実施形態について、
図1〜
図7を参照して詳述する。
【0018】
図1は自車1に搭載された本実施形態の追従走行制御装置を示し、
図1において、2は制御モードの切り替え等を操作設定する制御スイッチ、3はワイパー動作に連動するワイパースイッチ、4は画像センサとしてのカメラであり、モノクロまたはカラーのCCD単眼カメラ、ステレオカメラ等からなり、車室内に自車前方を撮影するように設けられている。
【0019】
5は車両1のフロントバンパー部等に設けられた測距レーダであり、レーザレーダ、ミリ波レーダ等のスキャン式の種々のレーダからなり、自車前方を左右方向(横幅方向)にスキャンしながら探査する。6は自車1の車速センサ(車輪速センサ)であり、時々刻々の自車速を検出する。7、8は舵角センサ、ヨーレートセンサであり、自車挙動の舵角、ヨーレートを検出する。
【0020】
9はマイクロコンピュータ等からなるECU構成の追従走行制御部であり、予め設定された追従走行制御のプログラムを実行し、後述する追従走行制御の加減速指令、制動指令等を出力し、衝突の注意報や回避等の表示・警報を制御する。
【0021】
10、11、12は追従走行制御部9の指令等にしたがって動作する表示警報ユニット、スロットル制御ユニット、ブレーキ制御ユニットそれぞれであり、表示警報ユニット10は例えば表示インストルメントパネルの適当な位置に設けられて衝突の注意報や回避等を表示・警報し、スロットル制御ユニット11は追従走行制御の加減速指令にしたがって車両1のスロットル開度を制御し、ブレーキ制御ユニット12は追従走行制御の制動指令にしたがって車両1のブレーキ機構を制御する。
【0022】
追従走行制御部9は、追従走行制御のプログラムを実行することにより、周知の追従走行制御と同様、概略、つぎに説明するように動作する。
【0023】
制御スイッチ2により追従走行のモードが選択されることを条件に、追従走行制御部8が追従走行制御のプログラムを実行し、レーダ5の探査結果に基づく自車1と先行車との車間距離の情報、あるいは、カメラ4の撮影画像とレーダ5の探査結果の情報とに基づく周知のセンサフュージョンの処理で先行車を特定して得られる自車1と先行車との車間距離の情報と、車速センサ6から得られる自車1の車速(自車速)の情報と、その他、舵角センサ7やヨーレートセンサ8の自車1の挙動の情報等とをくり返し収集する。
【0024】
さらに、時々刻々の前記車間距離の情報および自車速の情報に基づき、後述するようにして時々刻々の追従走行制御の目標車間距離を設定し、前記車間距離が設定した追従走行制御の目標車間距離になるように、制御ユニット11、12に加減速指令、制動指令それぞれを与えて自車1の走行を制御する。
【0025】
そして、追従走行制御の目標車間距離を設定するため、追従走行制御部9は、ソフトウェア処理によって形成された本発明の第1演算手段、第2演算手段、目標車間距離選択手段を備える。
【0026】
第1演算手段は先行車の車速と車間距離とに基づいて先行車ベースの先行車車速側の目標車間距離を算出する手段であり、第2演算手段は自車速と車間距離とに基づいて自車速ベースの自車速側の目標車間距離を算出する手段である。
【0027】
目標車間距離選択手段は、先行車車速側の目標車間距離を追従走行制御の目標車間距離に優先的に選択し、先行車車速側の目標車間距離が設定された切替許可距離以下に短くなるときに先行車車速側の目標車間距離と自車速側の目標車間距離とのいずれか長い方を追従走行制御の目標車間距離に選択する手段である。
【0028】
つぎに、自車1と先行車の検出した車間距離をLa、先行車の車速をVp、自車速をVn、先行車ベースの先行車車速側の目標車間距離をLp、自車速ベースの自車速側の目標車間距離をLn、切替許可距離をLsw、追従走行制御の目標車間距離をLrとして、第1、第2演算手段および目標車間距離選択手段の処理を説明する。
【0029】
第1演算手段は、自車1と先行車との車間距離Laの時間変化から先行車の相対速度を求め、この相対速度に車速センサ6の自車速Vnを加えて時々刻々の先行車の車速Vpを求め、この車速Vpと車間距離Laとの組み合わせに対する目標車間距離Lpを、例えば、複数の車速Vp、車間距離Laの組み合わせに対する目標車間距離Lpが設定されたデータマップから、周知の補完演算によって算出して求める。
【0030】
第2演算手段は、車速センサ6の自車速Vnと、自車1と先行車との車間距離Laとに基づき、車速Vnと車間距離Laとの組み合わせに対する目標車間距離Lnを、例えば、複数の車速Vn、車間距離Laの組み合わせに対する目標車間距離Lnが設定されたデータマップから、周知の補完演算によって算出して求める。
【0031】
そして、先行車が定速走行していると、先行車ベースの目標車間距離Lpは一定であり変化しない。そのため、目標車間距離Lpを追従走行制御の目標車間距離Lrに設定すれば、目標車間距離Lrの変動がなく自車1は安定に走行する。一方、実際の車間距離Laは車速Vp、Vnの大小関係等にしたがって長短変化し、少なくとも自車1が先行車の目標車間距離Lr後方に追いつくまでは、自車速Vnは先行車の車速より大きく、目標車間距離Lnは目標車間距離Lpより大きくなる。また、自車1が先行車の目標車間距離Lr後方に追いつくと、車間距離Laを一定に保つために、自車1は加速から減速に変化し、その結果、車間距離Laが目標車間距離Lrより長くなって自車1は減速から加速に変化する。このくり返しにより、先行車が定速で走行していても、目標車間距離Lnが変動するので、目標車間距離Lnを目標車間距離Lrに設定すれば、自車1の走行挙動が不安定になる。
【0032】
つぎに、例えばVp=80km/hの定速で走行する先行車が減速して停止するような場合、先行車ベースの目標車間距離Lpは先行車の車速Vpの低下にしたがって小さく(短く)なり、先行車が停止したとき(Vp=0km/h)には、追従する自車1がある程度の自車速Vnで走行してしているにもかかわらず、目標車間距離Lpは0mに近い数メートル程度の最小車間距離になり、目標車間距離Lpを目標車間距離Lrに設定していると、車間距離Laが目標車間距離Lrを割り込むことは許されなくなり、追従走行制御の追従性が下がる。一方、自車速ベースの目標車間距離Lnは先行車の減速に伴う車間距離Laの減少変化にしたがって小さくなるが、先行車に追従走行する自車1の車速(自車速Vn)は先行車の車速Vpより遅れて変化し、また、先行車が停止しても、目標車間距離Lnは実際の自車速Vnに即した適切な距離になる。そのため、目標車間距離Lnを目標車間距離Lrに設定していると、車間距離Laが目標車間距離Lrを多少割り込んでも問題なく、追従走行制御の追従性を確保できる。
【0033】
図2は上記のように先行車が高速で定速走行している状態から減速する際の目標車間距離Lp、Lnの変化例を示し、実線pが目標車間距離Lp、実線nが目標車間距離Lnである。また、図中の破線swが切替許可距離Lswである。
【0034】
そして、上記の説明および
図2からも明らかなように、先行車が高速で走行して先行車ベースの車間距離Lpが大きく、目標車間距離Lpの追従走行制御で適切に走行できるときには、目標車間距離Lpの追従走行制御が、自車速ベースの目標車間距離Lnの追従走行制御より安定で有利である。一方、先行車が減速して低速速行あるいは停止をする際には、目標車間距離Lpより目標車間距離Lnが大きくなるので、自車速ベースの目標車間距離Lnの追従走行制御が、先行車ベースの目標車間距離Lpの追従走行制御より適切になる。
【0035】
そこで、追従走行による車間距離Laの誤差等を考慮して、先行車ベースの目標車間距離Lpの追従走行制御が適切に行なえる下限界の目標車間距離Lpを切替許可距離Lswに設定する。切替許可距離Lswは例えば先行車の車速Vpが20km/hのときの目標車間距離Lpに相当する距離に設定され、さらに具体的には、予め設定された略13m、15m、16mの距離候補からドライバがボタン操作等で選択して設定した距離である。
【0036】
そして、目標車間距離選択手段は、(1)先行車ベースの目標車間距離Lpを優先的に選択して追従走行制御の目標車間距離Lrに設定し、(2)先行車ベースの目標車間距離Lpが設定された切替許可距離Lsw以下に短くなるときに先行車ベースの目標車間距離Lpと自車速ベースの目標車間距離Lnとのいずれか長い方(距離が長く適切な方)を選択して追従走行制御の目標車間距離Lrに設定する。
【0037】
このようにすると、追従走行制御の目標車間距離Lrは、先行車が高速の一定速度で走行していて先行車ベースの目標車間距離Lpが十分に長くなるようなときには、優先的に先行車ベースの目標車間距離Lpに設定され、追従走行制御の目標車間距離Lrが自車速Vnによっては変化しないようにして安定な走行挙動で追従走行制御が行なわれる。また、先行車の減速や停止によって先行車ベースの目標車間距離Lpが切替許可距離Lswより短くなると、自車速ベースの目標車間距離Lnを追従走行制御の目標車間距離Lrに選択して追従走行制御が行なわれる。このとき、追従走行制御の目標車間距離Lrが先行車ベースの目標車間距離Lpを選択する場合より長くなり、追従性が向上する。
【0038】
図3は先行車の減速または停止に伴う追従走行制御の目標車間距離Lrの上記の選択変化例を示し、図中の実線pは先行車ベースの目標車間距離Lp、破線nは自車速ベースの目標車間距離Ln、破線swは切替許可距離Lswを示し、実線rが追従走行制御の目標車間距離Lrである。この例の場合、時刻t1に先行車ベースの目標車間距離Lpが切替許可距離Lswに短くなって、追従走行制御の目標車間距離Lrが先行車ベースの目標車間距離Lpから自車速ベースの目標車間距離Lnに切り替わり、その後、時刻t2に自車速ベースの目標車間距離Lnが先行車ベースの目標車間距離Lpより短くなると、追従走行制御の目標車間距離Lrが自車速ベースの目標車間距離Lnから先行車ベースの目標車間距離Lpに切り替わる。
【0039】
したがって、追従走行制御の目標車間距離Lrが、常に先行車ベースの目標車間距離Lpと自車速ベースの目標車間距離Lnの長い方に設定され、自車1の走行挙動が不安定になることがなく、しかも、先行車が減速または停止の状態に変化したときの追従走行制御の追従性のよい追従走行制御装置を提供することができる。
【0040】
ところで、本実施形態においては、さらに、先行車ベースの目標車間距離Lpが切替許可距離Lswに短くなり、目標車間距離選択手段が、先行車ベースの目標車間距離Lpの選択から自車速ベースの目標車間距離Lnの選択に切り替わる際に、自車速ベースの目標車間距離Lnが切替許可距離Lswに短くなるまでは、追従走行制御の目標車間距離Lrを切替許可距離Lswに維持する。
【0041】
図4は上記のように維持した場合の追従走行制御の目標車間距離Lrの上記の選択変化例を示し、図中の実線pは先行車ベースの目標車間距離Lp、破線nは自車速ベースの目標車間距離Ln、破線swは切替許可距離Lswを示し、実線rが追従走行制御の目標車間距離Lrである。この例の場合、時刻t11に先行車ベースの目標車間距離Lpが切替許可距離Lswに短くなると、自車速ベースの目標車間距離Lnが切替許可距離Lswに短くなる時刻t12までは、追従走行制御の目標車間距離Lrが切替許可距離Lswに維持され、時刻t12から追従走行制御の目標車間距離Lrが自車速ベースの目標車間距離Lnに切り替わり、その後、時刻t13に自車速ベースの目標車間距離Lnが先行車ベースの目標車間距離Lpより短くなると、追従走行制御の目標車間距離Lrが自車速ベースの目標車間距離Lnから先行車ベースの目標車間距離Lpに切り替わる。
【0042】
図5は前記したように時刻t11に先行車ベースの目標車間距離Lpが切替許可距離Lswに短くなったが、その後、自車速ベースの目標車間距離Lnが切替許可距離Lswに短くなる前に、先行車が加速して走行を再開した場合の追従走行制御の目標車間距離Lrの選択変化例を示し、この場合は、時刻t13に先行車が加速して先行車ベースの目標車間距離Lpが大きくなり、自車速ベースの目標車間距離Lnが切替許可距離Lswに短くなる前の時刻t14に先行車ベースの目標車間距離Lpが切替許可距離Lswに大きくなるため、追従走行制御の目標車間距離Lrは時刻t11から時刻t14までは切替許可距離Lswに維持され、その後、先行車ベースの目標車間距離Lpに切り替わる。
【0043】
このようにすると、先行車ベースの目標車間距離Lpの選択から自車速ベースの目標車間距離Lnの選択に切り替わる際に、自車速ベースの目標車間距離Lnが切替許可距離Lswに短くなるまでは、追従走行制御の目標車間距離Lrが切替許可距離Lswに維持されて急に長くなったりせず、追従走行制御の目標車間距離Lrを、先行車ベースの目標車間距離Lpから自車速ベースの目標車間距離Lnにスムーズに切り替えることができ、制御の安定性が向上して追従性が一層向上する。
【0044】
ところで、先行車が減速または停止の状態から加速走行に変化し、目標車間距離選択手段が、自車速ベースの目標車間距離Lnの選択から先行車ベースの目標車間距離Lpの選択に切り替わる際には、自車速ベースの目標車間距離Lnが先に切替許可距離Lswに長くなると、それから先行車ベースの目標車間距離Lpが切替許可距離Lswに長くなるまでは、追従走行制御の目標車間距離Lrを切替許可距離Lswに維持することが、制御の安定性等からはさらに好ましい。
【0045】
図6は先行車が減速または停止した後、再び加速する場合の追従走行制御の目標車間距離Lrの変化例を示し、この例の場合も、図中の実線pは先行車ベースの目標車間距離Lp、破線nは自車速ベースの目標車間距離Ln、破線swは切替許可距離Lswを示し、実線rが追従走行制御の目標車間距離Lrである。
【0046】
そして、時刻t21に先行車ベースの目標車間距離Lpが切替許可距離Lswに短くなると、自車速ベースの目標車間距離Lnが切替許可距離Lswに短くなる時刻t22までは、追従走行制御の目標車間距離Lrが切替許可距離Lswに維持され、時刻t22から追従走行制御の目標車間距離Lrが自車速ベースの目標車間距離Lnに切り替わり、その後、時刻t23に自車速ベースの目標車間距離Lnが先行車ベースの目標車間距離Lpより短くなると、追従走行制御の目標車間距離Lrが自車速ベースの目標車間距離Lnから先行車ベースの目標車間距離Lpに切り替わる。
【0047】
さらに、先行車が再び走行を開始する等して先行車ベースの目標車間距離Lpが長くなり、自車1が追従走行することによって自車速ベースの目標車間距離Lnも遅れてより急峻な変化で長くなる。
【0048】
そして、先行車ベースの目標車間距離Lpが切替許可距離Lswより短い状態で、時刻t24に自車速ベースの目標車間距離Lnが先行車ベースの目標車間距離Lpより長くなると、追従走行制御の目標車間距離Lrが自車速ベースの目標車間距離Lnに切り替わる。
【0049】
さらに、時刻t25に自車速ベースの目標車間距離Lnが切替許可距離Lswに長くなると、それから先行車ベースの目標車間距離Lpが切替許可距離Lswに長くなるまでは、追従走行制御の目標車間距離Lrが切替許可距離Lswに維持され、その後、時刻t26に先行車ベースの目標車間距離Lpが切替許可距離Lswに長くなることにより、追従走行制御の目標車間距離Lrが先行車ベースの目標車間距離Lpに急な変動なくスムーズに切り替わる。
【0050】
したがって、先行車が再び加速走行する際にも、安定かつ追従性のよい追従走行制御を実現できる。
【0051】
追従走行制御の目標車間距離Lrの上記の切り替えは、具体的には、(1)Lp≦Lsw、かつ、Ln≧Lpの条件が成立すれば、Ln≧LswのときにLr=Lsw、それ以外のときにLr=Lnとし、(2)Lp≦Lsw、かつ、Ln≧Lpの条件が成立しなければ、Lr=Lpとすることで、実現できる。
【0052】
図7は追従走行制御部9の第1演算手段、第2演算手段、目標車間距離選択手段による追従走行制御の目標車間距離Lrの設定手順例を示し、まず、第1演算手段により先行車ベースの車間距離Lpを演算し(ステップS1)、第2演算手段により自車速ベースの車間距離Lnを演算し(ステップS2)、選択された切替許可距離Lswを設定する(ステップS3)。
【0053】
つぎに、Lp≦Lsw、かつ、Ln≧Lpの条件が成立するか否かを判定し(ステップS4)、成立しなければ(NO)、ステップS5に移行して追従走行制御の目標車間距離Lrを先行車ベースの目標車間距離Lpに設定する。
【0054】
一方、ステップS4において、Lp≦Lsw、かつ、Ln≧Lpの条件が成立すれば(YES)、ステップS6に移行してLn≧Lswが成立するか否かを判定し、成立すれば(YES)、ステップS7に移行して追従走行制御の目標車間距離Lrを切替許可距離Lswに維持し、成立しなくなると(NO)、ステップS6からステップS8に移行して追従走行制御の目標車間距離Lrを自車速ベースの目標車間距離Lnに設定する。
【0055】
したがって、前記実施形態の場合、基本的に、先行車ベースの車間距離Lpと自車速ベースの車間距離Lnとの長い方を追従走行制御の目標車間距離Lrに切り替えて設定することができ、自車1の走行挙動が不安定になることがなく、しかも、先行車が減速または停止の状態に変化したときの低速域での追従走行制御の追従性のよい追従走行制御装置を提供するができる。
【0056】
さらに、追従走行制御の目標車間距離Lrの切り替えに際して、切替許可距離Lswに維持して急な変動を防止し、目標車間距離Lpから目標車間距離Lnその逆の切り替えがスムーズに行なえ、制御の安定性が向上して追従性が一層向上する。
【0057】
そして、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えば、切替許可距離Lsw等は適当に設定してよい。
【0058】
また、追従走行制御部9の第1演算手段、第2演算手段、目標車間距離選択手段等の構成、処理手順等はどのようであってもよい。
【0059】
そして、本発明は、種々の車両の追従走行制御装置に適用できる。