【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例1
本発明のスワブを
図1に示す。
スワブ4は径方向断面が略円形状に形成され全長150mmからなり、60mmの長さの軸部1を含み、さらに軸部の長手方向の一端部に15mmの長さの採取部2、反対方向の一端部に75mmの把持部3を有する。
【0035】
軸部1は径寸法が0.8mmであるが、把持部3の径寸法は2.5mmであり、把持部3より軸方向(長手方向)に軸部と採取部が延設されるよう形成されている。軸部1の径寸法は0.8mmと細い形成であることから、狭い箇所にも容易にスワブを挿入することができる。
【0036】
把持部3は軸部より径寸法が大きくなるよう形成していることから、検体を採取する際に把持部から採取部へ力を伝えやすく、その結果、効率良く検体を採取できる。
【0037】
また、軸部1の材質はポリアミドからなる可撓性を有する材質であり、軸部1は射出成形により形成されている。
【0038】
ポリアミドは結晶性樹脂でもあり、エンジニアプラスチックでもあることから耐疲労性、機械的強度に優れている。その結果、スワブで検体を採取する際に、把持部から採取部まで力を入れやすく、効率よく検体を採取することができるだけではなく、折れ曲がったり、破断しにくい形となっている。
【0039】
採取部2は軸部の先端から15mmの長さの範囲において、多くの約0.3mmの短繊維がブラシ状の立毛体で固定され、採取部の径寸法は立毛体を含めて約2.8mmで形成されている。立毛体の短繊維部分は検体を効率良く採取することができることから、狭い空間においても無理に力を入れずに検体を採取できる。
【0040】
また立毛状態によって接触時の摩擦ストレスが少なく、上記の通り力を入れなくても良いことから、軸部に対する引っ張り、圧縮、曲げ、捻じれといった力が掛かりにくく、結果として軸部の折れ曲がりや破断が起きない。
【0041】
実施例2
図1に示すスワブを用いて人体から検体を採取する場合、把持部3を指で把持して、採取部2を採取する検体に導くことにより、採取部を検体に接触させて検体を採取する。
【0042】
例えば、入口が狭い鼻孔を通過させて鼻腔の奥の部位に存在する検体を採取する場合には、把持部3を把持して、採取部2の形成された軸部1の先端から鼻孔に挿入する。
【0043】
このように採取しようとする検体が、鼻腔の奥の部位のような入口が狭い鼻孔を通過した奥の部位に存在するような場合には、軸部1は狭い空間を通過しうるように径が小さいことが必要となる。
【0044】
また、把持部3の径が小さい場合には安定して把持部3を把持できないことから、安定した検体の採取作業をするためには、把持部3の径は安定して検体を採取しうる径寸法により形成されている必要がある。
【0045】
挿入されたスワブを用いて鼻腔の奥の部位にある検体を採取するために、更に鼻腔の奥に採取部2を挿入していく。この際、入口の鼻孔が狭いため検体に採取部2を導く過程において鼻孔入口の周辺部に軸部1が接触してしまう場合がある。このような場合であっても、軸部1の径寸法は0.8mmと細く形成されており、また可撓性を有するポリアミドを材質として用いているので、鼻孔入口の周辺部に軸部1が接触しても軸部1を鼻孔の内部形状に沿わせて自然に撓ませることができるので、接触した部位の痛みや損傷を軽減させて、検体の採取を可能とする。
【0046】
そして、検体採取部位に導かれた採取部2により鼻腔の奥の部位にある検体を採取する。この際、採取部2はブラシ状の立毛体に形成されていることから、鼻腔の奥の検体採取部位に強く擦りつけなくても容易に検体を採取できる。また、仮に擦りつけたとしても立毛状態によって接触時の摩擦ストレスが少なく、接触した部位の痛みや損傷を軽減させることができる。さらに、先端部を強く擦りつけなくても良いことから、軸部に対する引っ張り、圧縮、曲げ、捻じれといった力が掛かりにくく、結果として軸部の折れ曲がりや破断が起きない。
【0047】
鼻孔を通過させて鼻腔の奥の部位に存在する検体を採取する場合は、検体の採取の様子を目視することが困難であることから、誤って不用意に力を入れてしまうことがあるが、本発明のスワブは力を加えなくても検体を採取できるし、仮に力を加えたとしても痛みや損傷を軽減させることができる。さらに力を加えても破断しにくいので、目視することが困難であるような狭い空間に破断したスワブが残ってしまうことを防ぐことができる。
【0048】
実施例3
図1に示すスワブを用いて人体から検体を採取し、その検体から目的の被分析物を分析した。
【0049】
1.鼻腔拭い液からのインフルエンザの分析
図1のスワブを用いて鼻腔拭い液を採取し、採取した検体からインフルエンザウイルスの存在の有無を分析した。
インフルエンザウイルスの分析は、市販の「クイックナビーFlu」(デンカ生研)を用いた。
【0050】
図1のスワブをインフルエンザ感染患者の鼻孔へゆっくり挿入し、採取部を鼻腔の奥の検体採取部位に接触させた。さらにスワブを少し前後に動かしたり、回転させることにより、採取部を検体採取部位に擦過させた。スワブを鼻孔からゆっくり抜き取り、スワブの採取部を「クイックナビーFlu」の操作方法に従い検体浮遊液に浮遊して分析した。検体採取の際に、スワブが折れ曲がったり、破断することはなく、無事に検体を採取できた。
【0051】
採取した検体を分析した結果、インフルエンザウイルス陽性と判定され、本発明のスワブは鼻腔拭い液の検体採取に問題なく使用できた。
【0052】
2.直腸拭い液からのノロウイルスの検出
図1のスワブを用いて直腸拭い液を採取し、採取した検体からノロウイルスの存在の有無を分析した。
ノロウイルスの分析は、市販の「クイックナビーノロ」(デンカ生研)を用いた。
【0053】
図1のスワブをノロウイルス感染患者の肛門へゆっくり挿入し、採取部を直腸の検体採取部位に接触させた。さらにスワブを少し前後に動かしたり、回転させることにより、採取部を検体採取部位に擦過させた。スワブを肛門からゆっくり抜き取り、スワブの採取部を「クイックナビーノロ」の操作方法に従い検体浮遊液に浮遊して分析した。検体採取も際に、スワブが折れ曲がったり、破断することはなく、無事に検体を採取できた。
【0054】
分析した結果、ノロウイルスが陽性と判定され、本発明のスワブは直腸拭い液の検体採取に問題なく使用できた。
【0055】
3.角膜拭い液からのアデノウイルスの検出
図1のスワブを用いて角膜拭い液を採取し、採取した検体からアデノウイルスの存在の有無を分析した。
アデノウイルスの分析は、市販の「クイックナビーアデノ」(デンカ生研)を用いた。
【0056】
図1のスワブの採取部をアデノウイルス感染患者の眼球の角膜に接触させた。さらにスワブを少し前後に動かしたり、回転させることにより、採取部を角膜に擦過させた。スワブの採取部を「クイックナビーアデノ」の操作方法に従い、検体浮遊液に浮遊して、分析した。検体採取の際に、アデノウイルス感染患者の角膜を傷つけることなく、無事に検体を採取できた。
【0057】
分析した結果、アデノウイルスが陽性と判定され、本発明のスワブは角膜拭い液の検体採取に問題なく使用できた。