(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5729942
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】ガラス及びガラス−金属接合用のガラスの使用
(51)【国際特許分類】
C03C 3/091 20060101AFI20150514BHJP
C03C 3/095 20060101ALI20150514BHJP
C03C 3/118 20060101ALI20150514BHJP
C03C 27/02 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
C03C3/091
C03C3/095
C03C3/118
C03C27/02 Z
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-184107(P2010-184107)
(22)【出願日】2010年8月19日
(65)【公開番号】特開2011-42565(P2011-42565A)
(43)【公開日】2011年3月3日
【審査請求日】2013年5月10日
(31)【優先権主張番号】10 2009 038 475.8
(32)【優先日】2009年8月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ カス
(72)【発明者】
【氏名】イェルク ヒンリヒ フェヒナー
【審査官】
相田 悟
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭54−090318(JP,A)
【文献】
特開昭48−034211(JP,A)
【文献】
特開昭49−006012(JP,A)
【文献】
特開2009−046379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00〜14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス−金属接合を有するチューブコレクターにおけるガラスチューブ用の、以下の成分:
SiO2 72〜80質量%
B2O3 4〜<6質量%
Al2O3 2〜5質量%
Na2O 4〜7質量%
K2O 0〜3質量%
CaO 2.5〜8質量%
MgO 0〜2質量%
BaO 0〜4質量%
TiO2 0〜5質量%
CeO2 0〜2質量%
Fe2O3 0〜0.1質量%
F 0〜2質量%
を含有するガラスの使用であって、その際、該ガラス中でのMgO、CaO及びBaO(モル%記載)の合計に対するAl2O3及びB2O3(モル%記載)の合計の比が<5であるガラスの使用。
【請求項2】
CaO、MgO、BaO、SrO、ZnOの合計が>3質量%である、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記ガラスが、以下の成分:
SiO2 75〜80質量%
B2O3 4.5〜<6質量%
Al2O3 2〜4.5質量%
Na2O 5.5〜7質量%
K2O 0〜2質量%
CaO >2.5〜8質量%
MgO 0〜2質量%
TiO2 0〜5質量%
CeO2 0〜2質量%
Fe2O3 0〜0.1質量%
F 0〜2質量%
を含有する、請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
前記ガラスが、Fe2O3 50〜200ppmを含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
不純物を除いて、前記ガラスが前記の成分からなる、請求項1から4までのいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
ガラス−金属接合の金属/金属合金がコバール合金である、請求項1から5までのいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
以下の成分:
SiO2 72〜80質量%
B2O3 4〜<6質量%
Al2O3 2〜5質量%
Na2O 4〜7質量%
K2O 0〜3質量%
CaO 2.5〜8質量%
MgO 0〜2質量%
BaO 0〜4質量%
TiO2 0〜5質量%
CeO2 0〜2質量%
Fe2O3 50〜200ppm
F 0〜2質量%
を含有するガラスであって、その際、MgO、CaO及びBaO(モル%記載)の合計に対するAl2O3及びB2O3(モル%記載)の合計の比が<5であるガラス。
【請求項8】
CaO、MgO、BaO、SrO、ZnOの合計が>3質量%である、請求項7記載のガラス。
【請求項9】
前記ガラスが以下の成分:
SiO2 75〜80質量%
B2O3 4.5〜<6質量%
Al2O3 2〜4.5質量%
Na2O 5.5〜7質量%
K2O 0〜2質量%
CaO >2.5〜8質量%
MgO 0〜2質量%
TiO2 0〜5質量%
CeO2 0〜2質量%
Fe2O3 50〜200ppm
F 0〜2質量%
を含有する、請求項7又は8記載のガラス。
【請求項10】
太陽電池製品における、カバーガラス又は基板ガラスとしての、請求項7から9までの少なくともいずれか1項記載のガラスの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス−金属接合用のガラスの使用に関する。本発明はまた、ガラス自体に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス−金属接合は、例えば、真空管コレクターにおいて使用されている。真空管コレクターにおいて、断熱用の真空気密ガラス−金属接合が、金属からなる吸収管とガラスからなる外包管との間で必要とされている。
【0003】
そのようなチューブコレクターは、例えば、パラボラトラフ式太陽熱発電設備において使用されている。
【0004】
パラボラトラフ式太陽熱発電設備においては、集光照射によってコレクター中で400℃までの動作温度が強い局所温度差を伴って生じる。それに加えて、概日周期及び断続的な曇天時期によって引き起こされる温度変化が原因である恒常的な負荷が生じる。
【0005】
高温型ソーラーコレクターにおいて、一方ではいわゆるアンマッチドガラス−金属接合(unmatched glass-metal bonds)が今日まで使用されてきた。その名称は、ガラス及び金属が異なる熱膨張率を有するという事実に基づく。他方ではいわゆるマッチドガラス−金属接合(matched glass-metal bonds)が使用されており、この場合、整合を達成するのに考えられる一手法は、多数の中間ガラスの使用である。しかしながら、このアプローチには様々な欠点がある。
【0006】
DE102004008559A1は、医薬品一次包装用材料としても用いられているホウケイ酸アルミニウムガラスを使用したチューブコレクターのガラス−金属接合を開示する。それはチューブコレクター用ガラスの要求及びそのようなガラスを製造する要求には特に合わせられていない。とりわけ太陽熱利用のためのガラスの類似のガラス組成範囲が、DE102006041469B3に開示されている。比較的高水準の酸化ホウ素及び酸化アルミニウムを有する両方のガラスは、コスト及び環境保護の理由で欠点を有している。DE4430710C1は、熱膨張率α
20/300≦5.3×10
-6/Kを有する低ホウ素ホウケイ酸ガラスを開示している。
【0007】
パラボラトラフ式太陽熱発電設備用のチューブコレクターの重要な部分としてのレシーバーは、鋼製の内管とガラス製の外側の被覆管とからなる。2つの構成要素は、ガラス−金属接合によって真空気密に結合されていなければならない。ガラス−金属接合の典型的な金属はコバール合金である。
【0008】
外包管には、金属に整合された熱膨張係数が欠かせない。
【0009】
鋼管(吸収管)は、高い吸収比を保証するために放射選択材料で被覆されている。
【0010】
外包管と吸収管との間の真空は、熱損失を減少させ、かつ最適な加熱効率に寄与する。
【0011】
外包管が構成されているガラスは、ソーダ石灰ガラスより著しく低い屈折率、すなわち1.52より低い、好ましくは<1.51の屈折率を有している。このようにして、反射光の部分が減少する。
【0012】
外包管は反射防止層を備えており、それはガラスの必須の高い透過性と一緒に、少なくとも96%の高い透過率を付与するよう意図されている。
【0013】
外包管には、高い熱安定性及び温度変化安定性、高い耐候性、すなわち高い加水分解安定性、及び高い機械的安定性、すなわち高い強度が欠かせない。
【0014】
その高い荷重容量、とりわけ熱的荷重容量にも関わらず、それは最小のエネルギー集約的な手法で容易に溶融可能であるべきである。更にこれらの全てのガラス及び製造特性は、最小の製造コスト及び原料コストで達成可能であるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】DE102004008559A1
【特許文献2】DE102006041469B3
【特許文献3】DE4430710C1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
それゆえ本発明の目的は、前記の要求を満たす、チューブコレクターの整合されたガラス−金属接合用のガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、以下の成分を以下の組成:
SiO
2 72〜80質量%
B
2O
3 4〜<6質量%
Al
2O
3 2〜5質量%
Na
2O 4〜7質量%
K
2O 0〜3質量%
CaO 2.5〜8質量%
MgO 0〜2質量%
BaO 0〜4質量%
TiO
2 0〜5質量%
CeO
2 0〜2質量%
Fe
2O
3 0〜0.1質量%
F 0〜2質量%
で含有するガラスによって及びガラス−金属接合を有するチューブコレクターにおけるガラスチューブ用のその使用によって達成される。
【0018】
Al
2O
3含有量は、好ましくは5質量%未満である。
【0019】
類似のガラスは、既にDE10035801Aから一次包装用、例えば注射器、カープル、バイアル及び試験管用として公知である。そのような医薬品一次包装の製造は、30mmの最大外径を有するガラスチューブを基礎としている。同様に非常に小さい直径を有するチューブ、すなわち背面照明を形成するためにのみ加工されている類似のガラスが、DE102004027120A1及びDE102004027119A1からも公知である。
【0020】
120mmより大きい直径を有していなければならない太陽熱利用のためのガラスチューブ、及びガラス−金属接合における使用のためのガラスチューブを製造するそのようなガラスの使用は過去に考慮されていなかった。このことは、これらのガラスが真空管コレクターでの使用において以前使用されたガラスの特性より適している特性を兼ね備えていることに以前は認識されていなかったという事実に帰せられる。
【0021】
組成範囲内で表して、一般によく用いられる及び/又は引用される金属/金属合金と共に溶融するために要求されるガラス特性(これらは特定の熱膨張率のみならず適合された変態温度Tgでもある)は、以下の係数(全ての量はそのつどモル%で記載される):(Al
2O
3+B
2O
3)/(MgO+CaO+BaO)<5、好ましくは<3、とりわけ好ましくは<2を守ることによってガラス組成に備わっている。とりわけ特定の構成要素が平衡に存在することを保証するこの比に関して、>0.5の値が好ましい。
【0022】
本発明によるガラスは、本発明によるその使用にとって不可欠な熱膨張率5.0×10
-6/K〜5.8×10
-6/K、好ましくは5.3×10
-6/K〜5.7×10
-6/K、とりわけ好ましくは>5.3×10
-6/K〜5.7×10
-6/Kを有し、該熱膨張率は、慣例の金属の熱膨張率と僅かにしか異ならない。この有利な特性は、接合ガラスの使用を不要なものとし、その結果、工業的に自動化可能な方法が可能となる。該ガラスは、更に耐酸性及び耐アルカリ性(DIN12116及びDIN ISO 695に従った等級S1又はS2及びA2)、及び耐水性(等級HGB1又は2、DIN ISO 719)である。更にこれらのガラスはまた、外径>120mmを有する管を形成するのに容易に加工され得る。該ガラスは更に、酸化鉄を含有してよい。好ましくは、該ガラスは、真空管コレクターにおける外包管に要求される透過率条件のためにとりわけ重要である、低い酸化鉄含有量を有する。当業者は、適した低鉄原料を選択することによって低鉄含有量をいかに達成すべきかを知っている。好ましくは、該ガラスの酸化鉄含有量(Fe
2O
3で記載)は、50ppm〜200ppm、特に好ましくは100ppm〜150ppmである。特に好ましい一実施態様において、該ガラスは、Fe
2+/Fe
3+平衡をFe
2+側の方向に移動させるために、2000nmまでの近赤外領域内での透過率を最大にするために、比較的還元性の条件下(例えば、酸素/ガス及び/又は油比を調整することによって、及び/又は糖あるいは石炭のような還元性物質を、例えばバッチに又はガラス融液に添加することによって)で溶融される。これと関連しているのは、例えば吸収層のための紫外線保護に相当し得る、紫外線領域内でのより高い吸収である。
【0023】
そのうえ好ましくは、該ガラスは低いH
2O含有量しか含有しない。なぜならH
2Oもまた赤外線において吸収され、それゆえ吸収管の吸収の減少及びそれゆえレシーバーチューブの効率の減少が起こり、かつガラスチューブが付加的に加熱する可能性があるからである。低含水量は、低含水量の原料を使用することによってと、特定のタイプのトラフ(例えば全電気式トラフ設計等)において溶融を実施することによっても達成されることができる。
【0024】
好ましいのは、CaO、MgO、BaO、SrO及びZnOを計3質量%より多く含有するガラス及びその使用である。該ガラスが、好ましいとして、ZnO及びSrOを含まない場合、CaO+MgO+BaOの部分は、好ましくは>3質量%である。該ガラスが、好ましいとして、BaOも含まない場合、CaO+MgOの部分は、好ましくは>3質量%である。
【0025】
以下の成分を以下の組成:
SiO
2 75〜80質量%
B
2O
3 4.5〜<6質量%
Al
2O
3 2〜4.5質量%
Na
2O 5.5〜7質量%
K
2O 0〜2質量%
CaO >2.5〜8質量%
MgO 0〜2質量%
TiO
2 0〜5質量%
CeO
2 0〜2質量%
Fe
2O
3 0〜0.1質量%
F 0〜2質量%
で含有するガラス、及びその使用が好ましい。
【0026】
特に好ましいのは、K
2O含有量が<2質量%であり、極めて好ましくは、≦1.5質量%である。これも原料コストを減らす。
【0027】
特に好ましいのは、少なくとも3.5質量%のCaO含有量である。特に好ましいのは、少なくとも76質量%のSiO
2含有量である。
【0028】
該ガラスは、通常の清澄剤、例えばSb
2O
3、As
2O
3、NaCl、BaCl、CaCl、MgCl、SnO
2、V
2O
5、Na
2SO
4及び他のアルカリ金属硫酸塩及びアルカリ土類金属硫酸塩を用いて、通常の量で、すなわち、例えば0.5質量%までの添加量で精製してよい。V
2O
5を使用しないことが好ましい。該ガラスがBaOを含まない場合、BaCl又はBaSO
4が使用される。該ガラスがMgOを含まない場合、MgClは使用されない。使用されるガラスは、好ましくは、フッ化物0.02〜0.5質量%を含有する。当業者は、完成したガラスが前記割合を含有するように、融液中、バッチ中で大いに揮発性であるフッ化物の含有量をいかに選択すべきであるかを知っている。
【0029】
CeO
2も清澄作用を有する(精製効果)。
【0030】
該ガラスは、TiO
2を5質量%まで含有してよい。しかしながら、それは好ましくはTiO
2不含である。しかしながら、少量のTiO
2が、例えば原料アルミナを介してガラスに入り込んでよい。
【0031】
熱膨張率α
20/300を変えるために、該ガラスは、更なる成分、例えばLi
2O及び/又はZnO及び/又はZrO
2を、使用に欠かせない特性に不利益には影響を及ぼさない、せいぜい1.5%の量で含有してもよい。
【0032】
不純物、例えばV
2O
5を除いて、該ガラスは、好ましくは、前記の量で成分SiO
2、B
2O
3、Al
2O
3、Na
2O、CaO、場合によりK
2O、MgO、BaO、CeO
2、F、Fe
2O
3及び/又はTiO
2からなる。
【0033】
好ましい使用に従って、ガラス−金属接合の金属/金属合金はコバール合金であり、それはDIN17745に従ったグループ番号1.3981での金属材料である。この材料は以下の組成を有する(%記載での質量割合):
Ni 8〜30、C 0.05まで、Co 16〜18、Fe 残分。
【実施例】
【0034】
本発明によるガラス(A1〜A6)の6つの実施例及び比較例としての1つのガラス(V1)を、通常の原料から溶融した。
【0035】
これらの例示的な実施態様A1〜A6及び比較ガラスV1について、表1及び3は、合計(Al
2O
3+B
2O
3)/(MgO+CaO+BaO)の比(表3)と一緒に質量%(表1)及びモル%記載での組成を示す。表2は、例示的な実施態様及び比較例に関する以下の重要な特性を示す:
− 熱膨張率α
20/300[10
-6/K]
− 変態温度T
g[℃]
− 加工温度V
A[℃]
− ここでは"溶融温度"と呼ばれる、ガラスが溶融される温度[℃]
− V1に対して標準化された、相対的なコスト
− 波長間隔300〜1300nmにおける太陽光透過率[%]
− 屈折率n
d
【表1】
【0036】
該表中の全てのガラスは、Fe
2O
3約120ppmを含有する。更に該ガラスは、清澄剤としてNaClを含有する。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
比較例V1は所望される使用に関連した特性のほとんどを満たしているにも関わらず、それはしかしながら不都合にも高い溶融温度で溶融されなければならず、かつ平均して1/3高いバッチコストを有する。
【0040】
例示的な実施態様が明らかにしているように、本発明によるガラスは、本発明による該ガラスの使用にとりわけ有利である以下の特性を有しているのみならず、経済的に実現性のある製造にとって重要な以下の特性も有する:
− 該ガラスは、5.0×10
-6/K〜5.8×10
-6/Kの、好ましい実施態様において5.3×10
-6/K〜5.7×10
-6/Kの、とりわけ好ましい実施態様において>5.3×10
-6/K〜5.7×10
-6/Kの熱膨張を有しかつ、それゆえチューブコレクターのガラス−金属接合において使用される金属及び/又は金属合金、とりわけコバール合金の膨張挙動に整合されている。
− 該ガラスは、せいぜい585℃、有利な実施態様ではせいぜい575℃の変態温度を有する。これらの変態温度により、これらのガラスからなるコレクター及びレシーバーチューブは容易に加工されることができる。より高い変態温度の場合、該レシーバーを製造するためのより大きいエネルギー消費量がかかり、そしてガラス−金属溶融操作において過度の応力が生じると考えられる。これらの変態温度により、該ガラスの温度抵抗は、外被管としての使用のために十分高い。温度変動に対する該ガラスの抵抗も十分に高い。
− 該ガラスは、せいぜい1230℃、好ましい実施態様においてせいぜい1220℃の加工温度V
Aを有する。これらの加工温度により、これらのガラスからなるコレクター又はレシーバーチューブは容易に加工されることができる。より高い加工温度の場合、ガラス融液における及び該レシーバーを製造するためのより大きいエネルギー消費量がかかると考えられる。
− 該ガラスは、該ガラスの加工及びチューブとしての使用に有利である、高い耐候性、すなわち非常に高い加水分解安定性を有する。
− 該ガラスは、加工及びチューブの使用にとって大切である、高い機械的安定性、すなわち高い引張強さを有する。
− 該ガラスは、<1.52、好ましくは<1.51、極めて好ましくは<1.50の屈折率を有する。
− 該ガラスは、所望の高い太陽光透過率を有する。
− それらのバッチコストは比較的低い。それは本発明による使用において公知のガラスのコストより約30%まで低くなり得る。
− 本発明によるガラスは、本発明による使用において公知のガラスと比較して、ずっと低い温度、すなわち<1500℃、好ましくは≦1480℃で溶融されることができる。エネルギー消費量は、それゆえ約10%低減されることができる。更に溶融単位の純生産量は増大する。該ガラスは高い収量で溶融されることができ、実際には非溶融バッチの結果としての溶融残存物はなく、かつ良好な洗練性を備えている。
− 該ガラスの低いB
2O
3含有量は、コスト及び環境保護の理由で有利である。
− 該ガラスは、意想外にも高い結晶化安定性を有する。結果として該ガラスは、ダンナー法においてのみならず、ダウンドロー法又はベロー管引き法においても効果的に加工されることができる。しかしながら、所望の使用に応じて、該ガラスは、例えばフロート法及びロール法によって、板ガラスとしても製造されることができる。
【0041】
これらの特性により、該ガラスは製造が簡単であり、かつ経済的である。特に該ガラスの低いB
2O
3含有量は、費用対効果が大きく、かつ環境的に優しい製造にとって利点である。該ガラスは、相当の大きさの直径を有する場合ですら、容易に加工して管へと形成することができる。これらはガラス−金属接合を有するチューブコレクターにおけるガラスチューブとしての使用に顕著に適している。
【0042】
該ガラスは同様に、太陽電池製品におけるカバーガラス、基板ガラス又はスーパーストレート型ガラスとしての使用に顕著に適している。