特許第5729958号(P5729958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5729958
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】アイドルストップ車の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/04 20060101AFI20150514BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20150514BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20150514BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20150514BHJP
   F02D 17/00 20060101ALI20150514BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20150514BHJP
   B60W 10/188 20120101ALI20150514BHJP
【FI】
   B60W10/00 120
   B60W10/06
   F02D29/02 321A
   F02D17/00 Q
   B60T7/12 A
   B60W10/188
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-221573(P2010-221573)
(22)【出願日】2010年9月30日
(65)【公開番号】特開2012-76521(P2012-76521A)
(43)【公開日】2012年4月19日
【審査請求日】2013年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(72)【発明者】
【氏名】西光 優
【審査官】 ▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−280360(JP,A)
【文献】 特開2001−003778(JP,A)
【文献】 特開2006−082629(JP,A)
【文献】 特開2003−184713(JP,A)
【文献】 特開2007−331533(JP,A)
【文献】 特開2003−154926(JP,A)
【文献】 特開2000−313253(JP,A)
【文献】 特開2002−201976(JP,A)
【文献】 特開平11−348607(JP,A)
【文献】 特開2007−001425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 17/00
B60W 10/00 − 50/16
B60L 1/00 − 15/42
F02D 29/00 − 29/06
F16H 59/00 − 61/12
F16H 61/16 − 61/24
F16H 61/66 − 61/70
F16H 63/40 − 63/50
B60T 7/12 − 8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともブレーキ圧が所定値未満になることを再始動条件とし、該再始動条件の成立によりエンジンを再始動するアイドルストップ車の制御装置であって、
エンジンを再始動する際に車輪にブレーキ力を付与するブレーキ制御手段を備え、
前記ブレーキ制御手段は、エンジンを再始動する際に、ブレーキペダルが踏み込まれており、かつ、前記ブレーキ圧が前記所定値未満であって、エンジン回転数が所定回転数以上であれば、前記ブレーキ力の付与を所定期間延し、ブレーキペダルが踏み込まれていなければ、前記ブレーキ力の付与を延長しないことを特徴とするアイドルストップ車の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アイドルストップ車の制御装置に関し、詳しくは、自動停止したエンジンが再始動されて再発進する際の低コストの制御の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイドルストップ車においては、ブレーキペダルが踏まれている等の所定の停止条件が成立することを条件にエンジンを自動停止して走行を停止し、その後、一般的には、ブレーキペダルからアクセルペダルに踏み替えられる等の所定の再始動条件が成立することを条件にエンジンを自動的に再始動して再発進するものであるが、エンジンの自動停止を、ブレーキ機構の液圧(マスタシリンダ圧)が自動停止の基準圧を超えることを条件として行ない、エンジンの再始動を、ブレーキ機構の液圧が再始動の基準圧を下回ることを条件に行なうことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、エンジンの再始動に関しては、基本的にはドライバが再発進することを目的としてブレーキペダルからアクセルペダルに踏み替えることでエンジンを再始動するが、ドライバは再発進することを目的としていないが特定条件(バッテリ容量が所定値以下になったこと)に該当することによってもエンジンを再始動し、その際には再始動によるクリープ力を考慮して車輪ホールド手段による制動力の保持(ヒルスタートに相当)を継続することも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−170378号公報
【特許文献2】特開平11−348607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のようにブレーキ機構の液圧変化に基づいて、すなわち、ブレーキ圧(マスタシリンダ圧)の変化に基づいて、エンジンの自動停止及び再始動を行なう場合、エンジンの自動停止や再始動は条件が簡易で迅速に行なえ、再始動時には不要なブレーキ力の付与がなく迅速に発進できる。しかしながら、再始動については、ドライバによっては車両が自動停止した後、ブレーキペダルの踏み込みを緩和してブレーキ力を小さくすることがあり、このようなブレーキペダルの踏み込みの緩和に伴うブレーキ力の低下(減少)があると、ブレーキ機構の液圧(ブレーキ力)が再始動の基準圧を容易に下回り、ドライバが意図しないにもかかわらずエンジンが不意に再始動されて車両が動き出し、ドライバにいわゆる飛び出し感を与える問題がある。
【0005】
また、特許文献2に記載のように、ブレーキペダルの踏み込みの緩和に伴うブレーキ力の低下(減少)があるとき、エンジンの再始動時に、必ず車輪ホールド手段による制動力の保持を継続すると、場合によってはエンジンの再始動後、迅速に発進することができない。
【0006】
本発明は、自動停止したエンジンが再始動されて再発進する際に低コストで飛び出し感なく再発進できるようにし、しかも、基本的にはエンジンの再始動によって迅速に発進できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明のアイドルストップ車の制御装置は、少なくともブレーキ圧が所定値未満になることを再始動条件とし、該再始動条件の成立によりエンジンを再始動するアイドルストップ車の制御装置であって、エンジンを再始動する際に車輪にブレーキ力を付与するブレーキ制御手段を備え、前記ブレーキ制御手段は、エンジンを再始動する際に、ブレーキペダルが踏み込まれており、かつ、前記ブレーキ圧が前記所定値未満であって、エンジン回転数が所定回転数以上であれば、前記ブレーキ力の付与を所定期間延し、ブレーキペダルが踏み込まれていなければ、前記ブレーキ力の付与を延長しないことを特徴としている(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明の場合、ブレーキ圧(マスタシリンダ圧)が所定値未満になることでエンジンを再始動する際には、ブレーキ圧が所定値未満になることだけでなく、ブレーキペダルが踏み込まれていることも条件の1つとしてブレーキ力(ホイールシリンダ圧)の付与が所定時間継続される。そのため、ドライバのブレーキペダルの踏み込みが緩和されて浅くなっていると把握できるときには、ドライバに対して意図せぬエンジンの再始動による飛び出し感を与えないようにブレーキをかけることができ、低コストにドライバに飛び出し感を与えないようにしてエンジンを再始動することができる。そして、ドライバがブレーキペダルからアクセルペダルに踏み替えると、上記のブレーキ力の付与の継続は行なわれなくなり、迅速に発進することができる。また、エンジン回転数が所定回転数以上であることもブレーキ力の付与が所定時間継続される条件としているので、飛び出し感を与えるほどの駆動力が現に発生していなければ、無駄にブレーキ力の付与の継続が行なわれることがない。そのため、好適に低燃費なアイドルストップ車を提供することがでる。さらに、十分なブレーキ力でブレーキペダルが踏み込まれている状態からブレーキペダルが踏み込まれていない状態になった場合は、ドライバが意図したエンジンの再始動であり、ドライバが飛び出し感に違和感を感じないと考えられるため、ブレーキ力の付与が継続されず、迅速にエンジンを再始動して発進でき、かつ急激なヌケもない。
【0009】
したがって、自動停止したエンジンが再始動されて再発進する際に低コストで飛び出し感なく再発進できるようにし、しかも、エンジンの再始動によって極力迅速に発進できる好適に低燃費なアイドルストップ車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態のブロック図である。
図2図1の動作を説明するエンジン回転数等の時間変化の説明図であり、(a)はエンジン回連数の変化、(b)は車速の変化、(c)はマスタシリンダ圧の変化、(d)はブレーキスイッチの変化、(e)はホイールシリンダ圧の変化である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明をより詳細に説明するため、一実施形態について、図1及び図2を参照して詳述する。
【0012】
図1は本発明が適用されるアイドルストップ車1の制御装置の構成を示し、2はブレーキペダル、3はブレーキペダル2の踏力がブレーキブースタ4を介して加わるマスタシリンダ、5はマスタシリンダ3に接続された配管、6は配管5に取り付けられた液圧センサであり、マスタシリンダ圧を検出する。7は液圧センサ6、ソレノイドバルブ群8を含むブレーキアクチュエータである。
【0013】
ソレノイドバルブ群8はブレーキ液圧制御バルブ8aを含む複数のソレノイドバルブで構成されている。ブレーキ液圧制御バルブ8aは、配管5から分枝した例えば2系統の系統毎に設けられ、アイドルストップおよび、走行中のESCやTCSのブレーキ制御に兼用され、本発明のブレーキ制御手段を形成する。9FL、9FRはアイドルストップ車1の左、右前輪のシリンダ、9RL、9RRはアイドルストップ車1の左、右後輪のシリンダであり、いずれもホイールシリンダを形成し、例えばブレーキ液圧制御バルブ8aから伸びた一方の系統の配管10FL、10RRに左前輪のシリンダ9FL、右後輪のシリンダ9RRが接続され、ブレーキ液圧制御バルブ8aから伸びた他方の系統の配管10FR、10RLに右前輪のシリンダ9FR、左後輪のシリンダ9RLが接続されている。
【0014】
つぎに、アイドルストップ車1はCAN(Control Area Network)等の車内ネットワーク11が配設され、車内ネットワーク11には、アイドルストップ制御ECU(エコラン制御ECU)12、ブレーキアクチュエータ7内のブレーキ制御ECU13、エンジン制御ECU14、変速機制御ECU15等が接続され、ECU12〜15は車内ネットワーク11を介して情報をやり取りする。
【0015】
各ECU12〜15はマイクロコンピュータで形成され、エンジン制御ECU14は、エンジン(図示せず)のスロットル開度等を制御し、変速機制御ECU15はエンジンとトルクコンバータ(図示せず)を介して接続されるベルト式CVT(図示せず)を制御する。アイドルストップ制御ECU12、ブレーキ制御ECU13は、詳細は後述するが、他のECU等と同様に車載の12Vのバッテリ16から給電されて動作する。
【0016】
アイドルストップ制御ECU12およびブレーキ制御ECU13について説明する。
【0017】
アイドルストップ制御ECU12は、アイドルストップ車1の走行中等に車内ネットワーク11を介した通信に基づいて液圧センサ6が検出したマスタシリンダ圧や車速等の情報を収集し、エンジンの自動停止制御、再始動制御を含むアイドルストップの制御を実行する。
【0018】
そして、アクセルペダル(図示せず)からブレーキペダル2に踏み替えられ、車速が一定以下に低下する等の所定の自動停止条件(例えば、ストップランプが点灯してブレーキスイッチ17がオンし、車速が7km/h以下、かつ、マスタシリンダ圧が0.4MP以上になる条件)が成立すると、アイドルストップ制御ECU12は、車内ネットワーク11を介してブレーキ制御ECU13にブレーキ液圧保持要求を送ると同時に、エンジン制御ECU14にアイドルストップのエンジン停止要求を送る。このエンジン停止要求に基づき、エンジン制御ECU14がエンジンを自動停止する。なお、ブレーキペダル2が踏まれていることは、ブレーキスイッチ17のオンにより検出される。車速は4輪の車輪速センサ18により検出される。ブレーキスイッチ17のオンオフ、車輪速センサ18の検出車速の情報は、本発明の制御手段を形成するブレーキ制御ECU13に取り込まれ、ブレーキ制御ECU13から車内ネットワーク11を介してアイドルストップ制御ECU12等に送られる。
【0019】
さらに、ドライバがブレーキペダル2を踏み続けることにより、ブレーキ力がシリンダ9FL〜9RRに付与され、アイドルストップ車1は減速して走行が停止し、アイドルストップの状態になる。
【0020】
また、ブレーキ液圧保持要求を受信したブレーキ制御ECU13は、例えば走行停止後、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8aを閉じてそのときのマスタシリンダ圧のブレーキ力を保持し、通常は、エンジンが再始動されるまで各シリンダ9FL〜9RRに保持したブレーキ力を付与してヒルスタートの機能を発揮する。
【0021】
つぎに、ブレーキペダル2からアクセルペダルに踏み替えられ、少なくともマスタシリンダ圧が所定値未満(例えば、0.1Mpa未満)になる等の所定の再始動条件が成立することにより、アイドルストップ制御ECU12は、車内ネットワーク11を介してエンジン制御ECU14に再始動要求を送信し、自動的にエンジンを再始動する。この再始動のクランキング期間には、ブレーキ液圧制御バルブ8aが閉じられて各車輪にブレーキ力が付与されるため、アイドルストップ車1の坂道発進等でのずり下がりが防止される。
【0022】
ところで、エンジンを再始動する際には、ブレーキ制御ECU13は、ブレーキペダル2が踏みこまれており、かつ、液圧センサ6のマスタシリンダ圧が前記所定値未満であって、エンジン制御ECU14から得られるエンジン回転数が所定回転数(十分なクリープ力が発生する完爆状態の例えば500rpm)以上の状態であるか否かを判断する。
【0023】
ブレーキペダル2が踏み込まれていれば、エンジンの再始動によってアイドルストップ車1のずり下がりや飛び出しが生じないようにする意思があることが分かる。マスタシリンダ圧が前記所定値未満になるというこは、ドライバのブレーキペダルの踏み込みが緩和されて浅くなっていると把握でき、とくに平坦路ではエンジンの再始動によってアイドルストップ車1の飛び出しが生じ易いことが分かる。エンジン回転数が所定回転数以上であれば、エンジンの再始動によって飛び出しに十分なクリープ力が発生しつつあることが分かる。
【0024】
そして、ブレーキ制御ECU13は、エンジンを再始動する際に、ブレーキペダル2が踏みこまれており、かつ、マスタシリンダ圧が所定値未満であって、エンジンが再始動で完爆状態に近づき、エンジン回転数が所定回転数以上になると、ドライバのブレーキペダルの踏み込みが緩和されて浅くなっており、平坦路ではエンジンの再始動によってアイドルストップ車1の飛び出しが生じ易いと判断し、ブレーキ液圧制御バルブ8aの動作によるブレーキ力の付与を、通常は、エンジンの完爆により坂道でのずり下がりが防止されるようになるので、エンジンが完爆すると終了するところ、それから例えば1秒程度の所定期間継続して延長し、アイドルストップ車1の飛び出しを防止する。なお、実際には、エンジンの回転数が上昇してアイドルストップ車1は動き出すが、その動きを鈍くしてドライバに対するアイドルストップ車1の飛び出し感を緩和する。
【0025】
ところで、ブレーキ力の付与の継続中にドライバがブレーキペダル2からアクセルペダルに踏み替えると、「ブレーキペダル2が踏み込まれている」に該当しなくなるので、ブレーキ制御ECU13は、ブレーキ力の付与の継続を直ちに終了する。その結果、迅速に発進することができる。なお、ドライバがブレーキペダル2からアクセルペダルに踏み替えることでエンジンの再始動を開始するときには、上記の要件が満たされないので、始からブレーキ力の付与の継続は行なわれない。
【0026】
図2はエンジンの自動停止後、エンジンを再始動する際に、前記のブレーキペダル2が踏みこまれており、かつ、マスタブレーキ圧が所定値未満であって、エンジン回転数が所定回転数以上である場合のエンジン回転数等の時間変化例を示し、(a)はエンジン回転数の変化、(b)は車速の変化、(c)はマスタシリンダ圧の変化、(d)はブレーキスイッチの変化、(e)はブレーキ力であるホイールシリンダ圧の変化である。
【0027】
そして、図2の時刻t1にエンジンが自動停止し、時刻t2に走行が停止してアイドルストップの状態になり、その間の時刻t3に、ドライバのブレーキペダル2の踏み込みが緩和されて浅くなり、ブレーキペダル2は踏み込まれているが、マスタシリンダ圧が0.1Mpa未満になると、所定の再始動条件が成立することにより、アイドルストップ制御ECU12がエンジン制御ECU14に再始動要求を送信し、エンジン制御ECU14がエンジンを再始動する。
【0028】
そして、エンジンが完爆状態に近づき、時刻t4にエンジン回転数が所定回転数のrpm以上になると、ブレーキ制御ECU13は、ブレーキ液圧制御バルブ8aの動作によるブレーキ力の付与を、例えば1秒間継続して延長する。
【0029】
その結果、シリンダ9FL〜9RRのホイールシリンダ圧が、図2(e)の延長しない場合の破線の変化から、同図(e)の実線の変化に変わり、エンジンの完爆後も一定時間はブレーキがかかる。そこで、車速も、図2(b)の延長しない場合の破線の変化から、同図(e)の実線の変化に変わり、車速の上昇が通常より遅くなり、ドライバに対するアイドルストップ車1の飛び出し感が緩和される。
【0030】
そして、本実施形態の場合、アイドルストップ中にマスタシリンダ圧(ブレーキ力)が所定値未満(0.1Mpa)になることでエンジンを再始動する際には、ブレーキ力が前記所定値未満になることだけでなく、ブレーキペダル2が踏み込まれていることも条件の1つとしてブレーキ液圧制御バルブ8aのブレーキ力の付与が所定時間(例えば1秒)継続される。そのため、ドライバのブレーキペダル2の踏み込みが緩和されて浅くなっていると把握できるときには、ドライバに対して意図せぬエンジンの再始動による飛び出し感を与えないようにブレーキをかけることができ、低コストにドライバに飛び出し感を与えないようにして発進できる。また、ドライバがブレーキペダルからアクセルペダルに踏み替えると、上記のブレーキ力の付与の継続は行なわれなくなり、迅速に発進することができる。また、エンジン回転数が所定回転数(500rpm)以上であることもブレーキ力の付与が前記所定時間継続される条件としているので、飛び出し感を与えるほどの駆動力(クリープ力)が現に発生していなければ、無駄にブレーキ力の付与の継続が行なわれることがない。そのため、好適に低燃費なアイドルストップ車1を提供することがでる。さらに、十分なブレーキ力でブレーキペダルが踏み込まれている状態からブレーキペダルが踏み込まれていない状態になった場合(ブレーキスイッチがオフ)、ドライバが意図したエンジンの再始動であり、ドライバが飛び出し感に違和感を感じないと考えられるため、ブレーキ力の付与が継続されず、エンジンを再始動してより迅速に発進でき、かつ急激なヌケも生じない。
【0031】
したがって、本実施形態の場合、自動停止したエンジンが再始動されて再発進する際に低コストで飛び出し感なく再発進できるようにし、エンジンの再始動によって極力迅速に発進できる好適に低燃費なアイドルストップ車を提供することがでる。
【0032】
そして、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えば、ブレーキアクチュエータ7の構成やアイドルストップ制御ECU12、ブレーキ制御ECU13等の構成、制御手法等は、前記実施形態のものに限るものではない。
【0033】
さらに、ブレーキ力についての所定値未満、エンジン回転数についての所定回転数、ブレーキ力の付与を継続する所定期間等は、それぞれエンジンやリレーの特性等に基づいて適当に設定すればよく、前記実施形態で説明した数値に限るものではない。
【0034】
そして、本発明は、種々のアイドルストップ車のエンジンの再始動時の制御に適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 アイドルストップ車
7 ブレーキアクチュエータ
8a ブレーキ液圧制御バルブ
12 アイドルストップ制御ECU
13 ブレーキ制御ECU
図1
図2